scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012

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Posted by 八少女 夕

「海のそよ風」

「黄金の枷とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いています。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

パーゴラ

本編は最終回を残すだけとなりました。今日、このカテゴリーでご紹介するのは、最終回の最終シーンを書くときにイメージしていた「マイアと大西洋」のイメージソングです。そう、最終シーンは、春の大西洋なんです。

春の大西洋

そのイメージソングとは、ボサ・ノヴァの名曲でいろいろな方が演奏している「Brisa do mar (海のそよ風)」。

私が聴いていたのは、小野リサのCDなのですが、この方の楽曲は動画での使用が少し難しいので、別の方の歌声でお送りします。


NANA CAYMMI - BRISA DO MAR

で、なぜこれがイメージソングなのかを理解していただくために、例によって拙いながら私の調べて訳した和訳を。こんな歌詞なんです。

Brisa Do Mar (海のそよ風)

Brisa do mar
Confidente do meu coração
Me sinto capaz de uma nova ilusão

Que também passará
Como ondas na beira de um cais
Juras, promessas, canções
Mas por onde andarás

Pra ser feliz não há uma lei
Não há porém sempre é bom
Viver a vida atento ao que diz
No fundo do peito o seu coração

E saber entender
Os segredos que ele ensinou
Mensagens sutis
Como a brisa do mar

海のそよ風
私の心の友だち
新しい幻想が叶いそう

それもまた過ぎ去っていく
浜辺の波のように
誓いも、約束も、歌も
みんなどこに行ってしまうのだろう

幸せになるのに
法則などない
但し書きもない
単純にそれはいいこと

耳を傾けて生きていきましょう
あなたのハートは
胸の奥底でなんとささやいているの

そして理解することを学びましょう
彼の教えてくれる秘密を
それはとても繊細なメッセージ
海のそよ風のように



この記事を読んで「Infante 323 黄金の枷」が読みたくなった方は……

「Infante 323 黄金の枷」「Infante 323 黄金の枷」をはじめから読む
あらすじと登場人物




【次回予告】「Infante 323 黄金の枷」 (25)雪の朝

「起きたのか」
振り向いた23はマイアが泣いていることに氣がついた。

「どうした」
「……」
「閉じこめられたのがつらいのか?」
マイアは激しく頭を振った。

 彼は大きくため息をついてベッドに戻ってきた。それから彼女の頬に手を当てて、その瞳を覗き込んだ。瞳には初めて会った時と同じ暗い光が浮かんでいた。


23の居住区に閉じこめられて一夜を過ごしたマイア。朝起きて目にした光景は……。

「Infante 323 黄金の枷」最終回、来月末に発表予定です。お楽しみに!
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Posted by 八少女 夕

ポルトでの復活祭

敬虔とは口が裂けても言えませんが、私はカトリック教徒です。幼児洗礼を受けてなので、「信仰を持つようになったきっかけは」と訊かれても困るのですが、多くの日本人がお盆にお墓参りをしてご先祖さまの前で真面目に手を合わせるのと同じように、教会に赴くときは真摯な氣持ちで臨みます。とはいえ、普段から真面目なのではなく、どうもクリスマスと復活祭には……程度になってしまうんですけれど。

Igreja dos Congregados

移住してからまもなく15年になるんですが、クリスマスや復活祭をスイス以外で迎える事って滅多にないのです。

今年は、生まれて初めてカトリックの街で復活祭を経験しました。そう、私の住んでいる地域はほとんどがプロテスタントなのですね。ポルトガルはカトリックの国です。

特に意識しないで予約して、ついた翌日が復活祭に当たる事を一ヶ月くらい前に知った(復活祭は毎年日付が変わるのです)ので、ぜひミサに行こうと思っていました。

街中教会だらけなので、どこでミサに預かるか、と考えたのです。第一希望は「サン・ジョゼ・ダス・タイパス教会」でした。ええ、本当に個人的なこだわりで。(作中に時折でてくるんです)

残念ながらミサをする氣配がなく閉まっていたので、では「セ」と呼ばれる大聖堂にしようかなとも思ったんです。でも、二つの理由でやめました。大きい理由はミサが11時からだった事です。連れ合いは「カトリックのミサなんてごめんだ」ということで別行動だったので、朝の九時くらいからのミサにちゃっちゃと預かり、合流したかったのですね。もう一つの理由は、実は、テロを怖れていました。大聖堂は十分標的になりそうだったので。もちろんそんな事は何もなかったんですが。

で、サン・ベント駅の真ん前にある、アズレージョの美しいコングレガドス教会で預かってきました。ここは、九時と十時と次々とミサが行われ、そのせいかさほど混んでいなくて、ゆったり座れました。

Igreja dos Congregados

ミサの最中は写真などは撮れませんし(そもそも儀式の間は撮影禁止)、去り際に一枚だけ映したのですが、こういう感じの内装です。それなりに重厚ですし、装飾も立派ですけれど、キンキラキンではなく落ち着く教会です。ミサはあたり前ですがポルトガル語で執り行われます。でも、どこで何をやるかは決まっているので、問題はありません。唱える言葉はごにょごにょと日本語で。

十字架の行列

さて、派手なパレードでもやるのかと思っていましたが、特にそんな事はなく、ホテルで卵形のチョコレートやドラジェをくれる以外は、あまりいつものポルトと変わらないなあと思っていました。そうしたら翌日の月曜日に十字架の行列に出くわしました。

というか、お店の(言葉の通じない)おじさんが、わざわざ「行列が通るよ!」と身振り手振りで教えてくれたのです。行ってみたら、神父さんたちが十字架と聖水を持って、それぞれのお店に入り祝福をしている所でした。

写真を撮らせてもらい、お礼に頭を下げてから十字を切ったら、十字架を差し出されました。キスしろってことらしいです。もちろんしてきましたよ。
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Posted by 八少女 夕

ポルトの戦利品

ポルト

昨日、無事に帰ってきました。あっという間の一週間でした。すでに四回行っていたので「あそこもみなくちゃ、ここもみていない」という焦りはゼロで、のんきに楽しんできました。初日の土曜日の全日、日曜日の一部、火曜日全日が雨だったのですが、晴れていてもまったりとお茶をする事の多い我々にはあまり問題はなく、むしろ写真を見ると、晴れている写真も多くて「けっこう天候よかったじゃない」と思っています。ショッピングも楽しんできましたよ。

以下、今回の戦利品のご紹介です。

ポルト戦利品

まずは音楽関係。前回に続き、ギターラ名手カルロス・パレーデスの「essencial」とドゥルス・ポンテスのアルバム「O primeiro Canto」。後者はiTuneでも買えるし、実は一曲は購入済みなのですが、5ユーロだったので迷わずゲット。もう一枚はファドのオムニバスです。

DVDは空から眺めたポルトガル各地の映像で、いつも入り浸っているカフェ「グアラニィ」でかかっていてずっと欲しかったもの。いつ行っても品切れだったのですが、今回ようやくゲットできました。

それからギターの調湿材。滅多に都会に行かないので、見つけたときに買っておくことにしています。初日にゲット。

ポルト戦利品

こちらの写真を見ると、まるでアル中だなあ。でも、全部ミニボトルです。二本のポートワインは、LBV(Late bottled vintage)のもので、いわゆるヴィンテージと同じ味なのにお値段がお買い得になるもの。自分用に買ってきました。(というか、この記事に映っている全ては自分用。差し上げる分は別です)

その他にジンジャ(チェリーのお酒)、ムスカテル、アグアルデンテ(ぶどうのシュナップス)二種、各種のリカー、ミニポートワインセットなど。それを入れて楽しむチョコレートの器も見えています。

手前にはアヴェイロの特産品オヴォシュ・モーレシュ(Ovos Moles de Aveiro)が映っています。最中に黄身餡が入っているお菓子です。黄身餡に煩悩している私には、夢のようなお菓子で、劇的に美味しいです。

茶色いお菓子は、朝食で出てきて大好きになったのだけれど、なんと言うお菓子か不明。金色のはチョコレートですけれど、ホテル「インファンテ・サグレシュ」で毎晩ベッドの上に置いておいてくれたもの。歯磨いた後は食べないのでたまっちゃいました。

アズレージョの鍋敷きとランチョンマットも、普段使い用に。

ポルト戦利品

それから、ポルトとは関係ないけれど、柔らかいパシュミナをひとつ。

石鹸も外せないお土産。なかなか見つけられないけれど、Real Saboariaのものを。もっともこれは私だけのこだわりです(だって、23とお揃いにしたいんだもの→しょーもない)。素晴らしい香りの他の石鹸も、ポルト土産としてはおすすめですよ。

ポルト戦利品

少しレトロなものも含めて、ポルトガルらしい絵はがきも買ってきました。飾ったりしようかなと。といっても来年もまた行くんだろうな。帰るときに、向こうの知り合いみんなと「また来年」といって別れてきましたよ。



戦利品おまけ
これはおまけ。以前の記事で書いた、冷凍庫の整理用にタッパーをまとめ買いしてきました。単純に安かったという事もあるのですが、潰れがちなお菓子やCDの保護に役に立ちました。網は灰汁とり用に。洗濯アミも1つ購入。
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《Et in Arcadia ego》



このタイトルを見てニヤリとなさった方は、相当の通ですね。

「そして私はアルカディアにもいる」作品中で使っているラテン語ですが、今日は文字通りの意味です(^^)

ポルトに幾つもある有名なお菓子屋さん「アルカディア」でお茶をしました。


これはキンディムというお菓子。パッションフルーツ味で小さいのでお腹いっぱいの時にもいけます。

いろいろ種類があるようです。



これはカステラの原型パン・デ・ロー、いろいろなタイプがあるのですが、このお店のは中心が半生タイプ。美味しいです。

ポルトにいる間にできるだけ美味しいものを食べようと躍起になっています。その為にダイエットまでしてきたのですから(^^)
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Posted by 八少女 夕

ドウロワインの故郷



電車でドウロ谷を遡り、ピニャンに来ました。

作品の中でヒロインが乗った電車はスペインまで行く事になっていますが、実際にはスペイン行きはもう運行していません。

ポルトに5年通っていますが、いろいろなものが変わっていくのを感じます。

さて、橋を渡ってサブローザという村でお茶しています。


村の偉人だと言われて、よく見たらマゼランじゃないですか。そりゃ偉人だわ。どの日本人でも知っていますものね。ここで生まれたそうです。

そして特産のムスカテル。甘いデザートワインですね。

お昼にとても美味しい鱈を食べてデザートまで入らなかったので、その代わりです。
のんびりとしています。


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またポルトに行ってきます

「黄金の枷とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いています。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

本編はあと二回を残すだけとなりました。月に一回の更新なので、ずいぶんと長くかかりましたが、もうじき終わるのかと思うと感無量です。

春のポルト

さて、私たちは春休みを再びポルトで過ごす事にしました。5年連続。こんなに通った場所ってありません。行く度に馴染みの場所が増えて、懐かしくなる素晴らしい街です。

ヴィアナ・ド・カステロの聖堂

これからフライトです。ブリュッセルテロを受けての厳戒態勢で、セキュリティ・チェックでは靴まで脱がされました。(なぜ女性だけなんだろう)

朝一番の便なので、さほど混んでいませんでしたが、日中はすごい混雑になるのでしょうね。

今年は、はじめてイースターをポルトで過ごす事になります。せっかくだからイースターのミサに出たいなと思っているのですがどうなるかな。

それから、毎回一日はしている小旅行は、コインブラとアヴェイロにしてみました。ロケハンも兼ねて、行って参ります。

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【次回予告】「Infante 323 黄金の枷」 (24)宣告

 ドンナ・マヌエラが眉をひそめた。
「メウ・クワトロ、いい加減になさい」
「なぜです、母上。僕には赤い星を持つどんな娘でも自由にする先祖伝来の権利があるはずですよ。ほら、例の宣告をすればいいんでしょう。《碧い星を》ってやつ。やってみようかな」

 あざ笑うような24の挑発に唇を噛んで黙っていた23は、突然席を立ち口を開いた。その口から聞こえてきたのは、普段使うものとは似ても似つかぬ古い時代の言葉だった。


自分の先を越すようにマティルダと結婚したミゲルにつらくあたる24を諌めた事から、こんどは23が24の攻撃の矛先になります。そして、その結果23は、望まぬ行動をする事になります。

来月末に発表予定です。お楽しみに!
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Posted by 八少女 夕

美術と自然とを同時に楽しむ午後

「黄金の枷とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いています。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

本編はストーリーも終わりに近づいているので、楽しく観光しているシーンではなくなっていますが、今日は執事メネゼスと当主アルフォンソが読んでいた報告書にあった「セラルヴェス現代美術庭園」を少しだけ紹介しましょう。

セラルヴェス現代美術庭園 エントランス

ポルトに限らず、私たちがある程度有名な街を訪れるときは、乗降自由なタイプの二階建て観光バスで街をめぐります。以前はそういうのは恥ずかしいと勝手に思っていて、意地で公共バスや電車に乗り地図を片手にめぐっていたのですが、はっきりいってそれは無駄です。

ある程度大きい街になると観光名所はそれなりに分散していますし、探して歩くだけで疲れてしまい、さらに下調べをしなくてはいけない上、調べていない場所には行くチャンスすらなくなってしまいます。その点、乗降自由なタイプの二階建て観光バスには各国後の解説がついているので、まず乗って街を一巡りし、街の地理と歴史や見所について知ることができます。それから、降りて詳しく見たいところは二周目以降に訪れればいいのです。足を棒にする必要もなくとても効率よく街の果てまでいけるのです。

セラルヴェス現代美術庭園」は、そうやって行くことのできた場所のひとつで、旧市街からは少し離れています。それもそのはず、18ヘクタールもある広大な敷地に現代アートを展示する美術館と、広大な庭園の両方が解放されています。あ、入場料はかかりますが。

上の写真の大きなシャベルのオブジェが外からも見えていて、とても氣になるので行ってきました。

セラルヴェス現代美術庭園 美術館内

実をいうと、私も連れ合いも、あまり現代美術には強い関心がなくて「へえ〜」という感じで見るだけだったのですが、ものすごく広い空間にぽつんと置かれたオブジェの数々、きっと好きな人が見たらたまらないんじゃないかと思います。

明るい空間、窓の外に見える美しい自然の光景、喧噪を離れてアートに浸る静かな時間。あまり急いだ日程ではなくてのんびり滞在する方、もしくは何度目かのポルトで少し変わった時間話過ごしたい方におすすめなスポットです。

私たちは、実は来たる三月にまたポルトへ行く予定なのですが、またここヘ行って今度はランチでもしてこようかなと思っています。庭園を望むレストランでビュッフェが食べられるそうなんですよ。前回は庭園内のカフェでケーキを食べたんですけれど。

セラルヴェス現代美術庭園 庭園

さて、現代美術に全く興味のない方にもおすすめなのは、この庭園です。美術館とは別に庭園だけに入場することもできます。これが広くて素敵なのです。

三月でしたから薔薇園などは楽しめませんでしたが、森林のようなパートや、池の周り、藤や綺麗な草花が咲き乱れていて、スイスより一足早い春を十分に楽しめました。もっと暖かい季節にはさらに素敵だと思います。

私の妄想では、抜け出してきた23とマイアは例によって自転車の二人乗りでここまでやってきて、広々とした庭園を散歩していました。

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【次回予告】「Infante 323 黄金の枷」 (23)遺言

「23。お前とアントニアは変なところがそっくりだ。人のことばかり慮って、自分の幸福を簡単にゴミ箱に放り込もうとする」

 23は視線を落とした。
「こんな風に生まれてきた俺には、選択の余地がない。簡単にはいかないんだ。わかっているだろう」

 マイアはやっぱり席を外せばよかったと思った。聞きたくない。ドン・アルフォンソはマイアの動揺はもちろん、23の言葉にも動じた様子はなかった。


マイアはいつものように掃除のついでに23にコーヒーを淹れてもらっていましたが、そこに当主アルフォンソが訪ねてきます。マイアは成り行きから二人の会話を聞くことになってしまいます。

来月末に発表予定です。お楽しみに!
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Posted by 八少女 夕

【動画】「Infante 323 黄金の枷」のプロモーション動画です

「黄金の枷とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いています。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

今回は、先日から止まらない動画遊びの一つです。そう、「Infante 323 黄金の枷」にも作ってしまいました。



この作品用には写真素材が1000枚近くあるんですよ。作らなきゃもったいない! そして、先日の動画の時にドサクサでlimeさんに許可をいただきました。去年のscriviamo!で描いていただいたマイアのイラストを使わせていただきました。limeさん、本当にありがとうございました。

使ってある写真は全てポルトやその周辺で撮ったものですが、一応この作品はPの街ということになっていることもあり、わざと全ての写真を加工してあります。アニメっぽく見えたら嬉しいな。

曲は、ギターラ(ポルトガルギター)の世界では神様のような存在であるCarlos Paredesによる「Asas sobre o mundo」です。「世界の上に広がる翼」という意味で、鉄格子の嵌まった窓から空を飛ぶカモメをいつも見ていた23の心情にあわせて選びました。(長さがちょうどよかったという説もあり)なお、この曲の関係で、ドイツでだけはこの動画は再生できないそうです。

さて、みなさんのイメージの中のPの街や「Infante 323 黄金の枷」の世界と較べて少し暗かったのではないかと思います。本編は基本的にマイア視点で、今回使ったキーワードやセリフも全て本文にあるものなのですが、この動画は構成や色調を23の心情にあわせて作ってみたのです。このギャップでお花畑脳のマイアと、もっと沈んだところでグルグルしている23の違いを感じ取っていただけると嬉しいです。



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【次回予告】「Infante 323 黄金の枷」 (22)推定相続人

「ちょっと、氣になるケースがあるので耳に入れておいた方がいいと思って。これだ」
ペドロはアタッシュケースから書類の束を取り出して従兄弟に手渡した。メネゼスは不審な顔で紙の束の上の縁を見た。一枚だけ「レベル3」を意味するオレンジに染まっているが後は全て白かった。ドラガォンの館への報告義務があるのは黄色い縁のレベル2からだ。

「この一枚を除いて全てレベル1の報告だな。これが?」
「すべて一人の娘の報告だが、氣になる点がいくつかあってな」
メネゼスは一番上の書類を見て、名前を確認し、片眉を上げた。マイア・フェレイラ。


《監視人たち》には中枢組織があり、ドラガォンの執事メネゼスもその中心メンバーです。ペドロ・ソアレスが持ってきたのは、マイアの監視記録。《監視人たち》は、いい仕事をしているようです。

来年一月末に発表予定です。お楽しみに!
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Tag : 動画

Posted by 八少女 夕

ポルトと橋

「黄金の枷とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いています。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

今回の更新で、世界旅行へと出かける船から小さくなっていく街を見つめるキャラクターが街のランドマークとしての橋を見つめているシーンがありました。

観光客の私にとっても、ポルトの橋は印象ぶかいのですから、住んでいる人たちにはとても大切な街の象徴だと思うのです。

Ponte D.Luis Ⅰ

ポルトとガイアを結ぶ橋といったら、なんと言おうともドン・ルイス一世橋ではないでしょうか。鉄橋でありながらその優美なシルエットは、とても有名です。二重橋で、上は歩行者とメトロが、下は歩行者と車が通るようになっています。

橋から眺めるリベイラやガイアの光景は絶景です。ポルトに行ったら何は置いてもここから写真を撮らなくては。

どちらも通りたいので、ポルトに行く度に上と下と両方渡るのですけれど、この高低差がかなりあって、毎回ふうふういいながら登ったり降りたりする羽目になります。

Ponte Dona Maria Pia

ドナ・マリア・ピア橋は、パッと見はドン・ルイス一世橋とよく似ていますが、別の橋で、ドン・ルイス一世橋から見て上流にかかっています。どちらの橋もエッフェル塔で有名なエッフェルの会社に属する建築家テオフィロ・セイリングが手がけました。ドン・ルイス一世橋は、二階建てですが、こちらは一重。ドン・ルイス一世の王妃の名前ですから、夫婦橋なのですね。


Ponte de Arrábida

さて、作中に出てきたアラビダ橋は、大西洋との境、ドウロ河の河口にかかっている橋です。白いコンクリートでできた橋で、ここからリスボンへ向かう高速道路に続くんだそうです。

このストーリーは架空で、実際には世界を一周する巨大客船はポルトには停まらないはずですが、停まったとしても停泊できるのはポルトではなく、大西洋に面したマトジニョシュ(私の作品ではMの街として登場)の港でしょうから、ドン・ルイス一世橋が見えることはないと思います。だから、このアラビダ橋が見えたと書いたんですね。

青い空とドウロ河に映える白い橋も、コンクリートとは言え、とても優雅で美しいと思います。

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【次回予告】「Infante 323 黄金の枷」 (21)発作

 サントス医師は、誰かを待っているようだった。
「今日はどうなさったんですか?」
「ドン・アルフォンソがまた発作を起こされたんでね。先ほどの検査の結果、入院する必要はないんだが、しばらくは医師がつめているほうがいいというので、今日から私がしばらく泊ることになったんだ」


ドラガォンの館の当主ドン・アルフォンソは、心臓に問題を抱えています。彼が発作を起こしたので、館は慌ただしくなっています。

来月末に発表予定です。お楽しみに!
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Posted by 八少女 夕

スイスで見かけるポルトガル

「黄金の枷とポルトの世界」カテゴリーの記事です。(シリーズ全体で使えるようにカテゴリー名を変更しました)オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いています。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

今回の更新で、ヒロイン、マイアの幼なじみジョゼの話題が出ました。彼には、産まれてから小学校に入るくらいまでの時期を、出稼ぎに行っていた両親とともにスイスで過ごしたという設定があります。

実際に、スイスに出稼ぎに来ているポルトガル人、とても多いのです。ポルトに通うようになってから、スイスで出会うポルトガルの人たちに対しても、特別に好意的な想いを持つようになった私です。

どういうわけか、私が出会うポルトガル人は、ポルトや北ポルトガル出身の人たちがとても多いのです。そして、彼らはとても感じがよくて勤勉です。ポルトはとても美しくて素敵だけれど、若い人たちにとっては、ユーロ危機の影響なども厳しくて、食べていけるだけの仕事を見つけるのはとても難しいと聞きます。だから、彼らは外国に行って一生懸命働いている模様。でも、ドイツ語圏スイス人の社会は、ラテン系の彼らの社会とは違うので、馴染むのが難しいという話をよく聞きます。

もともとスイスは外国人がとても多い国です。住民の七人に一人の割合です。その中には帰化した外国人は含まれていませんから、本当はもっと多いと思います。

日本で見る欧米人や有色人種のように、ネイティブと外見がものすごく違っている訳ではないので、普段はそんなに感じないのですが、例えば、サッカーのワールドカップの時期など、ああ、ここの家はポルトガル人だったんだと意識することが増えます。みな自分が応援する国の国旗を掲げるからです。

ポルトガル国旗

外国人のなかでも、とくに人口の多いイタリアやユーゴスラビアの国々の典型的な食べ物や調味料などは、Coopなどの普通のスーパーに常備されていたりするんですが、ポルトガルの調味料などはさすがにそんなにありません。ワインもスイスのものの他、イタリアやスペイン、フランスなどがメインで、さすがにポートワインはどこでも買えますが、ドウロワインやヴィーノ・ヴェルデのようなマニアックなワインとなると、田舎のスーパーで簡単に買える訳ではありません。

ポルトガル製缶詰はキュート


でも、日本食料品店が、チューリヒやジュネーヴなど大きい都市にしかないのと比較すると、ポルトガル食料品店はとても多いのです。そこそこの規模の村にはたいていあります。やはり、必要とする人が多いからだと思います。

ポルトガル専門店を覗くと、やはり目につくのはバカリャウという大きな干し鱈、タコなどの魚介類の冷凍品、それにポルトガルのワインなど。きっと、ないと普段の生活困るんだろうな、これって、日本人にとってのお米やお味噌みたいなソウルフードなんだろうな、と微笑ましく思います。

ポルトガルの塩

私は、海の塩は、できるだけポルトガルのものを使うようにしているのです。というのは、同じようなものがフランス産というだけで有り難がられて、とても高く売られていたりするので、なんとなく軽んじられがちなポルトガルを応援したくなってしまうのです。スイスで普通に売っている塩は、たいてい山で採れる岩塩で、ちょっと塩みがキツくて苦手なのです。海の塩は、いろいろとミネラルが含まれているせいか、だいぶまろやかなのですよ。素朴なポルトガル産海塩をポルトで買おうかと思ったんですが、重いのでやめて、こちらに帰って来てからポルトガル食料品店で買いました。

パスティス・デ・ナタ

また、近くのポルトガル人の経営するレストランでは、たまに本格的なパスティス・デ・ナタ(エッグタルト)が入荷するのです。これが美味しい。ポルトで食べるのも美味しいけれど、ポルトを思い出しながら地元で食べるのも美味しい。きっとスイスで働いているポルトガル人も、故郷を思い出しながら、ポルトガルの味を楽しんでいるんじゃないかなと思います。

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【次回予告】「Infante 323 黄金の枷」 (20)船旅

 マリアは、ハガキを書き終えると、切手をとりに自分の部屋へと行き、一分もかからずにリビングに戻ってきた。そして、デスクに置いたはずのハガキを探した。
「ない……」

 窓際のソファに腰掛けて外を見ているライサに訊こうと目を移すと、彼女の手の中に切り裂かれて紙吹雪のようになったハガキが見えた。
「ライサ……?」


連絡の取れなくなっていた姉を心配していたマリア。突然帰って来たライサは多くを語ろうとはしません。

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サン・ジョアンの祭りとポルト

「Infante 323とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いています。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

今回の更新で、マイアと23が楽しんだサン・ジョアンの前夜祭。ポルトではとても大切なお祭りです。

サン・ジョアンというのは、洗礼者ヨハネのことで、6月24日は彼の聖誕祭に当たる祝日です。ポルトで大騒ぎする23日の夜は、だから前夜祭なのですね。

アーチや色とりどりの風船で飾られた町中に、スイートバジル、イワシの焼く匂いに満ちた通りは人びとで溢れかえり、彼らは食べたり飲んだり踊ったりして楽しい時を過ごすんだそうです。

普段は、とても勤勉でまじめなことでよく知られるポルトの人びとが、一年に一度無礼講で楽しむのです。

私は、三月にしかポルトに行ったことがないので、まだ一度もこのお祭りを見た事がないのです。だから、今回はネットで拾ってきた動画をご紹介しましょう。


São João do Porto 2015

この下のリンクからは16分にわたって、花火が楽しめます。

16 minutos de fogo de artifício no São João do Porto

このお祭りがポルトにとってとても特別だと聞いたときから、作品で最も盛り上がるシーンは、この祭りの日にしようと決めていました。だから、人びとの一年に一度の狂騒や、ピコピコ鳴るおもちゃのハンマーで、みんなを叩くかわいい伝統や、花火をストーリーのエッセンスに使ってみたのです。

このストーリーの裏テーマは「五感で恋するポルト」。食べて、飲んで、歌や踊りを見て、ピコビコして、花火見て、ハグして、ほっぺたキスして、イワシ焼く煙やバジルの香りを感じて、このお祭りは、まさに五感コンプリートですよね。これで盛り上がらなかったら恋じゃない!

なお、本文でマイアが言っていますが、24日の朝の露が体にかかるまで、夜通し外にいると、一年間を無病息災で過ごせるという言い伝えがあるそうです。だから、マイアは「ふたりで夜通したいな」と思ったらしいのですが、それは23に断られてしまいましたね(笑)

私も徹夜じゃなくていいから、行きたいなあ、サン・ジョアンのお祭り。いずれは、きっと。

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【次回予告】「Infante 323 黄金の枷」 (19)幸せなマティルダ

「私がマリアと直接逢うのはダメよね」
「それはやめてくれ。監視しているやつらにすぐにわかってしまう」

「じゃあ、23がマリアに会うのは?」
「お前、頭がおかしくなったのか。マークされているマリアと逢ったりしたら、俺が外に出ていることがすぐにわかってしまうじゃないか」
当然だった。マイアは顔を赤くした。


館に戻って、再び働きだすマイア。いつもと変わらぬ日常が戻ってきますが、それでもいろいろな事情が少しずつ動いています。ライサのことを、妹のマリアに知らせるために、《監視人たち》にわからない方法を考える二人。そして、マティルダとミゲルの関係も新展開が。

来月末に発表予定です。お楽しみに!
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ドウロ川を遡って

「Infante 323とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いています。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

サン・ベント駅

今回の更新で、マイアはサン・ベント駅からスペインへと向かう電車に乗りました。実は、この電車私がはじめてポルトに行った年には走っていたのですが、今は走っていない模様。理由は、利用者が少ないから……。

ドウロ河はスペインからドウロ渓谷を通ってポルトで大西洋に流れ込みます。この渓谷の左右にぎっしりと葡萄畑があります。ここでは、ポートワインが、それからドウロワインが作られています。二千年近い歴史のある由緒正しいワイン産地で「アルト・ドウロ・ワイン生産地域」として、UNESCOの世界遺産にも登録されています。オリーブ、アーモンドなども作られており、春は白いアーモンドの花が綺麗に咲きそろいます。

ドウロ河

ポルトに行った最初の年に、ドウロ河クルーズに行きました。朝の8時にガイアの船着き場を出発した船は、河を遡っていきます。四つのダムの水門を通るのにそれぞれ40分ぐらいかかりますし、とてものんびりとした船旅です。昼食付きのツアーです。

ポルトガル国内のドウロ河には九つのダムがあるそうですが、ツアーで船が行ったのは、ビニャンまででした。ここについた時点ですでに夕方四時になっていました。

ピニャン駅

ここからは、鉄道でポルトへ帰ります。ピニャン駅は、とても小さいながら、アズレージョが美しいので人氣の高い駅だと思います。

日本だったら、こういう観光客の来る駅には、土産物が所狭しと並ぶと思うのですが、カフェも土産物もかなり控えめでした。そこが趣きがあってよかったんですけれどね。

往きは半日以上かかったのですが、同じ距離を電車で行くと二時間弱でポルトについてしまいます。ドウロ河に夕陽が反射して、とても印象的だったのですが、電車の窓が汚すぎて、酷い写真しかなかったので、まだあまり夕陽っぽくないこれだけで(笑)

ドウロ河の夕闇

夕陽は、いつもセンチメンタルな心持ちにさせます。特に理由がなくても寂しくなるものです。心もとない状態でいるマイアがこの電車に乗ったら、さぞセンチになっただろうなと思いながら、先日のシーンを書いていました。

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【次回予告】「Infante 323 黄金の枷」 (18)サン・ジョアンの前夜祭

 祭りに行くために約束をしている人たちが入ってきては次々と出て行った。マイアは次第に目の前が曇ってくるのを感じた。23が自分の想いを知っているのだと思った。そして、遠回しに拒否しているのだと。

「インファンテだなんて、そんな高望みしていないわよ」と言ったマティルダの声が甦った。わかっている。でも、苦しいよ。

 カップは空になった。もう帰らなくちゃ。一人でサン・ジョアンの祭りにはいられない。そんな虚しいことをするものは誰もいない。けれど、マイアは立ち上がれなかった。もう少し、真っ暗になってしまうまで。


一年に一度の盛大な祭り、サン・ジョアンの前夜祭の日になりました。断っているのに強引に誘った23を待ちながら、マイアは暗くなっているようです。たぶん、このストーリーで一番盛り上がるのはここかも、と作者が思っている回。(どれだけ盛り上がらない小説なんだ)

来月末に発表予定です。お楽しみに!
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Posted by 八少女 夕

ポルトとガイア

「Infante 323とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いています。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

ポルトからガイアを臨む

遠くから見ると一つの街のように見えますが、ポルトはドウロ河の東岸だけ、橋を渡った先にある街はヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア(ガイア)です。

ポルトは、リスボンに次ぐポルトガル人口の二番目に多い都市ですが、第三位は実はガイアなのです。行政上はこうやって別れていますが、観光客にとってはガイアもポルトの一部みたいなものですね。

CALEMの倉庫

ガイアにはたくさんのポートワインの倉庫兼販売所が並んでいます。ポルト観光の目玉の一つで、多くの会社がショールームを持っていて、試飲と販売をしています。同じ世界観を使っているこの街の普通の住人、よく山西左紀さんのところのミクと共演させていただいているジョゼがよくポートワインの試飲に行っている倉庫街というのは、ここのことです。

この写真は、CALEM社の倉庫で、ここは一日に何回か試飲と倉庫を案内するツアーがあります。おすすめは、私も行った夜のファドを聴かせてくれるツアーですね。以前写真をお見せした、23の外見のモデルとなったギターラ奏者は、このファドツアーで弾いていた方でした。

ガイアからポルトを臨む

ガイアの河岸からは、ポルトの美しい街並をみることが出来ます。かつてはポートワインを運んでいた小型平底帆船ラベロが観光用に浮かんでいて、とても絵になるので毎回ここで写真を撮ってしまいます。素人でも絵はがきのような写真が撮れるスポット。おすすめですよ!

ガイアの街並

河岸は、常にたくさんの観光客で賑わっていますが、ほんの一つ、小路を入っていくと、途端に誰もいない静かな空間になります。今回の作品中で、マイアが23とこの静かな一画を歩いたときのことを思い出していました。

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【次回予告】「Infante 323 黄金の枷」 (17)遠出

 マイアは不安になった。ちょうど電車は県境へとさしかかっていた。国を離れたこともないが、県の外に出たことも一度もなかった。もし、《監視人たち》が私を追っているとしたらどうなるんだろう。ううん。ミゲルは《監視人たち》は絶対に危害を加えたりはしない、ただ見ているだけだって言ってた。だから、そんなに心配しなくても……。


休暇を一人で過ごしているマイアは、出来心を起こして電車に乗ってみます。D河(ドウロ河)沿いの葡萄畑でいっぱいの渓谷。生まれてはじめて街を離れるマイアを待っていたのは……。

来月末に発表予定です。お楽しみに!
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Posted by 八少女 夕

フォスのあれこれ / O Infante

「Infante 323とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いています。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

作中で、マイアと23が出かけたドウロ河ならびに大西洋に面したフォス(河口)と呼ばれる場所は、光に満ちた美しい一画です。かつては郊外、田舎に属し追いはぎなどを怖れなければならなかった場所ですが、いつの間にかお金持ちたちがリゾートとして利用する賑やかな場所になったそうです。

路面電車

ポルト市内からは、普通のバスでも行く事ができますが、この路面電車で行くのはかなりのおすすめです。レトロで素敵ですし、周りがよく見えます。さらに、いつ降りるのかとびくびくしなくても済みます。23とマイアは《監視人たち》に見つからないように交通公共機関は避けました。「午餐の後で」で彩洋さんちの詩織が乗りたがったのはこれです。たぶん彼らは乗ったのでしょう。

漁師たちの舟

河口、大西洋の始まるところには、今でも漁師たちが小さな舟で伝統的な漁業を行っています。ポルトガルの人たちの海に対する強い想いはかなりのものです。だから、魚もとても身近。日本人がポルトガルでホッとするのはこういう所にあるのかなと思ってしまいます。

チーズのお城

これは「Castelo do Queijo(チーズのお城)」と呼ばれている城塞です。形が平ぺったくてチーズみたいに見えるからですね。フォス周辺にはこのような城塞がいくつもあり、ここが防衛上とても大切な場所だった事がわかります。

パーゴラ

そして、ここがクリーム色のパーゴラ。「恋人たちのデートスポット」ときいて「絶対に本編に登場させるぞ!」と誓った場所です(笑)実際にも、幸せそうな恋人たちが楽しく歩いているのも見ましたが、普通にジョギングしたり、散歩している人たちも。あたりまえですね。

海は、ポルトガル第二の都会であるポルトから数キロなのに、とても綺麗です。魚釣りをする人もいました。私が行ったのは四回とも三月でさすがに泳いでいる人はいませんでしたが、夏は賑わうのでしょうね。

ドウロ河岸のレストラン

なお、このドウロ河沿い並びに大西洋に面したフォス地区には、対岸を眺められる素敵なレストランがたくさんあります。夜もなかなか素敵。ポルトにいらしたら、一度はこういう所でお食事もいいですよ。

* * *


最後に、ここで一曲ご紹介しましょう。「マイアと大西洋」に関するイメージソングは、ボサ・ノヴァの「Brisa do mar (海のそよ風)」で、これが章のタイトルにもなっているのですが、その曲は最終回に取っておくとして、今回は、「23たちインファンテと大西洋」に関するイメージソングにしている曲で、私の大好きなファド歌手ドゥルス・ポンテスが、ポルトガルを代表する詩人フェルナンド・ペソアの「Mar Português, (ポルトガルの海)」から「I. O INFANTE」に作曲して歌った「O Infante」です。

ポルトガル語の「O」とは定冠詞、つまりこの題名は英語でいうと「the prince」つまりエンリケ航海王子の事を示していると思われます。世界が一つになるという事は、彼と彼を支える人たちには「大ポルトガル帝国の完成」を意味していたと思われますが、もはや大ポルトガル帝国はなくなってしまいました。けれど、神が彼らを欺いたのではなく、たった一つの大きな青い惑星がひとつ存在している、その意味を彼らがわかっていなかったのではないでしょうか。ペソアの詩、ドゥルス・ポンテスの哀愁ある歌声が訴えかけてくる世界と、「誰かが始めて、もはや意味を失ってしまったのに、誰にも止められないシステムがあり、その中に生きる人びとの悲哀がある」という小説の設定がどこか重なるのです。だから、この曲は、この「黄金の枷」シリーズの裏テーマとしてBGMにしているのです。



歌・作曲:ドゥルス ポンテス Dulce Pontes
詩:フェルナンド・ペソア Fernando Pessoa

この下に、ペソアによる詩と、拙いながら私の調べて訳した和訳を置いておきます。

O infante

Deus quer, o homem sonha, a obra nasce
Deus quis que a Terra fosse toda uma
Que o mar unisse, já não separasse
Sagrou-te e foste desvendando a espuma
E a orla branca foi
De ilha em continente
Clareou correndo até ao fim do mundo
E viu-se a terra inteira, de repente
Surgir redonda do azul profundo
Quem te sagrou, criou-te português
Do mar e nós em ti nos deu sinal
Cumpriu-se o mar e o império se desfez
Senhor, falta cumprir-se Portugal
E a orla branca foi
De ilha em continente
Clareou correndo até ao fim do mundo
E viu-se a terra inteira, de repente
Surgir redonda do azul profundo

神は望み、男は夢み、その事業は生まれた
神はこの地球が一つになることを望んでいた
そして海は繋がり、もはや隔てられなくなった
お前は祝福されて、そして泡を取り除くために出かけて行った

白い海岸線は
島から大陸へと消えながら
世界の果てまで走っていった
そして、お前がこの全ての地を見ると
突如として、深く青い球体が現れた

誰がお前を祝福し、ポルトガル人にするのか
海と私たちは、お前に神の徴を与えた
その海は満たされ、そして帝国は崩壊した
わが主よ、まだポルトガルは完成していません

白い海岸線は
島から大陸へと消えながら
世界の果てまで走っていった
そして、お前がこの全ての地を見ると
突如として、深く青い球体が現れた




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【次回予告】「Infante 323 黄金の枷」 (16)休暇

「休暇中はたぶんお前の家の近くの《監視人たち》が観察をするだろう。怪しまれるような行動は避けた方がいい」

 言われてみればその通りだった。マイアはひどくガッカリした。23は失望しているようには見えなかった。それまで作っていた靴を脇にどけると、作業台の引き出しから型紙を探し出した。忙しそうだなとマイアは思った。洗濯物の籠を持って退散することになった。落ち込んだように去っていくマイアの後ろ姿を、23はじっと見つめていた。


マイアは、二ヶ月に一度の一週間の休暇を貰える事になりました。せっかくの休みなのに、23に逢えなくなる事にがっかりするマイア。誓約に縛られながら過ごす長い一週間が始まります。

来月末に発表予定です。お楽しみに!
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カフェに行こう

「Infante 323とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いています。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

ポルトガルと切っても切り離せないのが、カフェの文化でしょう。もちろんヨーロッパ中でそうなんですが、ポルトガルのカフェ文化は、私の琴線に触れまくりです。

理由の一つが、この人たち「黄色いお菓子が好きすぎる!」というところにあります。日本でもおなじみのエッグタルト(パスティス・デ・ナタといいます)に代表される卵黄と砂糖を多用したお菓子のオンパレード。それが、カフェに山積みになっているので、やはり「黄色いお菓子」が大好きな私の目は釘付けになってしまうというわけです。
カフェにて

カフェは至る所にあります。小さい鰻の寝床のようなお店もたくさんあって、エスプレッソカップ一杯だと1ユーロぐらいのお店が多いです。パスティス・デ・ナタもつけて2ユーロなんてところもあります。そんな看板を見てしまうと素通りできません。

そして、ポルト滞在中にカフェに入りたくなってしまう理由のもう一つが、素敵なカフェがとにかく多いということなのですよ。代表されるのは、スピンオフで活躍しているジョゼというオリキャラが働いていることにしている「マジェスティック・カフェ」ですが、ここは別格です。それだけで観光名所みたいになってしまっていますからね。

Majestic Café

そこまで行かなくても、以前にご紹介したマクドナルドをはじめ、ポルトにはインテリアが素晴らしくて、そこにいるだけで満足してしまう空間がとても多いのです。

さて作中で、23とマイアが待ち合わせした喫茶店は、できるだけ目立たない所でということでしたので、「マジェスティック・カフェ」のような有名な所は使えません。名前は一切出しませんでしたが、私がモデルにしたのは、「Armazém do Caffé」というコーヒーチェーンのお店の一つです。こんな外観の所ですね。

Armazém do Caffé

中に入ると、こういう黄色いインテリア。チェーン店ですが、インテリアとしては23好みだろうなと。他ではあまり出てこないラッテマッキャートのような飲み物もある専門店で、値段は他の店とマジェスティック・カフェのような有名店の間ぐらいでしたね。ケーキも充実していました。もっとも作中の二人はケーキは食べていませんでしたが。

Armazém do Caffé

ちなみに、私のイメージの《監視人たち》は、ここにいるおじさんたちみたいな人たち。朝っぱらからカフェに入り浸って何しているんだろうと思う人が沢山いたのです。


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【次回予告】「Infante 323 黄金の枷」 (15)海のそよ風

「23はインファンテなのに、誰の子孫か教えてもらっていないの?」
「もちろん、いない。俺はスペアであると同時に危険分子だからな。トップシークレットを明かしてもらえるような立場にはない。知っているとしたら、アルフォンソか、《監視人たち》の中枢組織だけだろう。それに誰だろうと、それは名目に過ぎない。本人の遺体でもない限り、本当に直系なのかは誰にも証明できないのだから」


マイアは、自転車を二人乗りして23を海へと連れて行きます。生まれて始めて海を見る23。はしゃぐマイア。そして、彼は彼女の質問に答え、この国とテンプル騎士団との関わりについて語りだします。

来月末に発表予定です。お楽しみに!
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ポルト旅行の戦利品

春の休暇を終えて、土曜日にまたスイスに戻ってきました。四度目のポルト旅行でしたが、今回は「Infante 323 黄金の枷」を書き終えて初めての旅行だったので、頭の中は完全に「そっちの世界」ばかりを追っていました。そして、買ってきたものも、「関連グッズ」ばかりに。といっても、作品そのものが「裏ポルト案内」になっているので、ここにあるものはどれも典型的なポルトガル土産ばかりです。

ポルト旅行戦利品

前回は大きなポートワインを二瓶も買ってきて重かったので、今回はそれは諦める代わりにいろいろと楽しいものを買い込んできました。

さて、右手の方にはCDが三枚。ファド歌手ドゥルス・ポンテスのベストアルバム、ドゥルス・ポンテスとエンリオ・モリコーネのコラボアルバム「focus」、そしてギターラの名手カルロス・ペレーデスのもっともよく売れているアルバム「Uma Guitarra com Gente Dentro」ですね。

現在は、カルロス・ペレーデスのCDを聴きながらこの記事を書いているのですが、ええ、買ってきてよかったと浸っております。もともとは19ユーロしていたものですが、最後の一枚で5ユーロのセールになっていました。もちろん「青い年」(「Infante 323 黄金の枷」で23が弾いていた曲です)も入っています。

今回買ってきた三枚のCDには、すでにiTuneストアで購入済みの作品がかなり入っているのですが、アレンジが違ったり、他の知らなかったけれど欲しかった作品が入っていたりして、現地で店員のおすすめに従って買ってよかったと幸せをかみしめています。

それと同時に、音楽の話だけではないのですが、スイスで調べながら書いたことが現地の人びと感覚とほとんど違っていなかったことがいろいろと確かめられて、ホッとしたロケハンでもありました。

ポルト旅行戦利品

さて、ポルトガル土産と言ったら「ポルトガロ」です。この黒い雄鶏は、「ポルトガル」と「ガロ(雄鶏)」の駄洒落ですが、わかりやすい土産物として、あちこちで使われています。私の小説ではまだ執筆中の「Filigrana 金細工の心」の主人公であるInfante 322(例のヴァイオリンを弾く23の感じの悪い叔父さんですね)の職業が、これを彩色することでして、その関連で欲しくなって買ってきました。ランチョンマットとそれからオリーブを出すときなどに使えるピック(楊枝)。

奥にはさりげなく石鹸が置かれています。そう、「Infante 323 黄金の枷」で、主人公が愛用している柑橘系の爽やかな石鹸。これですよ。無事に入手できました。一人で浮かれていて、傍目にはかなり怪しい私でしたが、いいんです。

雄鶏の後ろに見えているのはミニサイズのポートワインが二瓶。奥のはグラハムの2004年ものヴィンテージです。ちょっとお高かったので、これは私の誕生日用。手前は銘柄が「ドンナ・アントニア」だったので買ってきました。いいんです、独りよがりでも何でも。このドンナ・アントニアは、このメーカーの創始者で且つポートワインビジネスを始めた最初の女性。ちなみに私の小説の一キャラがこの名前になったのは単なる偶然です。

ポルト旅行戦利品

手前の金色のアクセサリーがフィリグラーナです。ハート形のペンダントは「ヴィアナのハート」といって、美人が多いことで有名なヴィアナで裕福な親が子供の婚礼道具として作成してきた金細工がポルトガル土産になったもの。金色ですが銀です。外伝の「午餐の後で」で彩洋さんのところの詩織にアントニアがプレゼントしたもの。もっと大きくて金で出来ているという設定ですが、イメージはこんな感じです。ついでにお揃いの指輪も買ってきました。

奥に見えているエスプレッソ・カップは「ハリポタ」でも有名なレロ書店(彩洋さんの『青の海、桜色の風 』にも登場)で買ったもの。

ちなみにスペインのサンティアゴ・デ・コンポステラへ行ったときのお土産もありまして、小さいスーツケースはパンパンだったのです。サンティアゴではクッキーとチョコレートを買いました。これは試食をして美味しかったからですね。ポルトでは生菓子の方が美味しかったのですが、サンティアゴでは焼き菓子。これは義母の所へ行くのでしょう。



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ドゥルス・ポンテスの歌の中から、ポルトガル讃歌になっているこの曲を。
Dulce Pontes "Fado Português"

Videoclip "Fado Português" (José Régio/Alain Oulman) in album "Caminhos"- Movieplay Portugal.
Directed by: David Productions (England)
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Posted by 八少女 夕

「私のサウダージ」

「Infante 323とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」を書くにあたってイメージの構築に使った題材をこのカテゴリーに置いています。

今日は大好きなボサ・ノヴァの「Minha saudade」とその歌詞(ならびにその和訳)をご紹介しようと思います。


Walter Wanderley - Minha saudade

「Infante 323 黄金の枷」の作中にはファドも出てきませんが、ボサ・ノヴァの具体的な曲名なども全く出てきません。なんですが、ポルトガル語で歌われる代表的な大衆音楽として、どちらも書く時に大きな支えとなってくれているのです。

ファドは、ポルトガル本国で発達した大衆音楽ですが、ボサ・ノヴァはブラジルで発達した音楽で、使われる言葉も、それにトーンも全く違います。日本の音楽でも、演歌とJ-POPが全く違うテイストを持っているように。

通常は「郷愁」「望郷」などと訳されることの多い「サウダージ」という言葉は、ファドでも、ボサ・ノヴァでもよく使われます。今回の小説で使ったように「叶わない願い」「手に入らぬものへの憧れ」というような感情を表す時にも使われます。今回の場合は、ヒロイン、マイアの感情ですから、ファドよりもボサ・ノヴァ、それも伸びやかな小野リサの声がとてもよく合うなあと思って書いていました。残念ながら小野リサの動画は貼付けられないみたい(あってもロシアか中国のものばかりなので無理に貼るのはめておきます・笑)なので、テンポが好みのものを探してきました。

歌っている内容は切ない失恋なのですが、でも、演歌ではなく、怨歌でもなく、いい意味での軽やかさがある歌です。

Minha saudade
 
Minha saudade
É a saudade de você
Que não quis levar de mim
A saudade de você
E foi por isso
Que tão cedo me esqueceu
Mas eu tenho até hoje
A saudade de você
Eu já me acostumei
A viver sem teu amor
Mas só não consegui
Foi viver sem ter saudade
Minha saudade
É a saudade de você
Que não quis levar de mim
A saudade de você

Composição: João Donato / João Gilberto


私のサウダージ

私のサウダージ、あなたを想う心の痛み。
受けとめてもらえなかった、あなたへの想い。

あなたは私のことを簡単に忘れてしまった。
でも、私は今でもあなたのことを想い続けている。

もう慣れっこになってしまったの。
あなたに愛されることなく生きることに。
でも、想わずに生きることはどうしてもできなかった。

私のサウダージ、あなたを想う心の痛み。
受けとめてもらえなかった、あなたへの想い。





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【次回予告】「Infante 323 黄金の枷」 (14)喫茶店

 自分だけ街に行けるのは申し訳ないなと思った。彼は出て行けないのに。突然あの嵐の日の事を思い出した。彼は出て行けるんだ。私以外誰も知らないけれど! マイアは囁いた。

「ねえ。23、抜け出せるんだよね。抜け出しておいでよ。街で休憩していいって言われたの。喫茶店に一緒に行かない?」


用事で街へ出かけることになったマイアは、23に一緒に街へ行こうと持ちかけます。そして、23から驚くべきことを教えてもらうことになります。四月更新予定です。お楽しみに。
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Posted by 八少女 夕

ポルトに来ています



今年で四回目になった春のポルト旅行中です。

これだけ来ていると、知り合いも多いし、地理感もできて、周るのが楽しいです(^^)

今年は作品のロケハンも兼ねているので、観ているモノがちょっと違うような。

詳しくは戻ってから記事にしますね。
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Posted by 八少女 夕

栄光の残照

「Infante 323とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いています。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

今回、23とマイアの会話に出てくるサン・フランシスコ教会は、市庁舎のあるアリアドスから河岸のリベイラへと向かう途中にあります。大きくて目立つことは確かですが、外から見ると灰色のゴシック建築で特に豪華な聖堂のようには見えません。

でも、中に入るとびっくり。キンキラキンなのです。それも「秀吉の金の茶室か!」と突っ込みたくなる、なんというのか「やりすぎ」の金なのです。十三世紀に建築された当初は、そうではなかったらしいのですが、十五、六世紀にここを菩提寺(って変ないい方ですが)とした貴族たちが、競って自分たちの墓を金で装飾しだしてから、それがどんどんエスカレートしていき、ついにはこうなってしまったようです。

San Francisco Porto.JPG
"San Francisco Porto" by Asmodaeus - Own work. Licensed under Public Domain via Wikimedia Commons.
この教会は内部の撮影が禁止されているので、私の撮った写真はありません。



これだけの金は、ほとんどブラジルから運び込まれたものだそうです。向こうで友達になった日系ブラジル女性がそう教えてくれました。

大航海時代、植民地にしたブラジルから運び込まれた富が、当時のポルトガルを富ませました。やがて、一度はポルトガル王国そのものの一部となったブラジルは今や独立し、ポルトガルにとっての大航海時代の繁栄は、過去のものとなりました。

大航海時代は遅れを取っていたイギリスやフランスにいつの間にか追い抜かれて、言語も、国際社会での立ち位置も、どちらかというとマイナーになり、ユーロ圏でも主導的な役割を担う国ではありません。だから、ポルトに通いだすまでは私もあまり興味がなく、地理的にも言語的にも馴染みがありませんでした。

どちらかというと「ぱっとしない国」のイメージを持ったまま訪れて、最初のショックはポルトの街そのもの。美しくて、食べ物が美味しくて、人びとが柔らかくてつき合いやすいことへのいい意味での驚きでした。そして次のショックは、このサン・フランシスコ教会のような、大航海時代のとんでもない富の遺構が街のあちこち、中に入らないと目にすることの出来ない場所に隠れていることです。

この教会のすぐ横にあるボルサ宮殿にも、とても豪華なアラブ風大広間があります。

Porto - Palau de la borsa - Sala àrab.JPG
"Porto - Palau de la borsa - Sala àrab" by Josep Renalias - Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.



これらは美しく、観光資源として現在のポルトを潤してくれますが、どこかに物悲しさが漂います。平家物語の一節が口をついてくるような、そんな存在です。

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【次回予告】「Infante 323 黄金の枷」 (13)秘密

 外は激しいにわか雨で稲妻が工房を青白く浮かび上がらせた。突然後ろから小さな声がした。
「マイア……」
 彼女が振り向くと、そこにはずぶ濡れになった23がいて、人差し指を口に当てた。マイアはそっと彼に近づくと「どうしたの」と訊いた。


掃除のために居住区に入ったマイアは、23が見当たらないことを不思議に思います。そして、偶然知ることになった彼の秘密。某Tさんや、某Lさんや、某Kさんお待ちかね(?)の、問題の入浴シーンも、どうぞお楽しみに。
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Posted by 八少女 夕

花とポルト

「Infante 323とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いています。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

マグノリア
私は三月にしかポルトに行った事がありません。だから、作品中に出てきた初夏のポルトは知らないのです。いつかは行きたいなと思っているのですが。

三月のポルトは、桜やマグノリアなど私の住むスイスにもおなじみの花が咲いていました。ただし、確実に一ヶ月は早く咲くようです。それに、大きなヤシやキョウチクトウが地植えされていて、オリーブや葡萄が穫れるところから、同じような植生で夏に行った事のある地域をイメージして23の庭のシーンを書きました。

閉じこめられているという設定のインファンテたちには、広い居住空間と物質的に可能な限りの贅沢が許されているという事にしてあります。それと同時にかなり広い庭(ただし壁で閉じられた空間)が与えられていてその閉塞感をやらわげる役割を担っているということにしました。

どんな庭を好むかというのも一緒の個性だと思うのですよ。日本庭園のような様式美、もしくはフランス式庭園のような幾何学的な美しさ、それからかなりワイルドで自然に近い形を好むなど。私個人としては、閉じられた空間でもやはり自然に近い方が好み。そして私は樹の花が好きなのです。ですから23の庭は、実は私の理想の庭園です。

フォスの自生マーガレット
こちらは、大西洋を背景に咲くマーガレット。キラキラと輝く海の光のもと、休暇の開放感を楽しみました。スイスにはこういう光景はなく(海はないし)、また、スイスはとても寒い時期だったのでこの光景がとても嬉しかったですね。

ジャスミン
最後の写真はジャスミンの一種。この写真はポルトで撮ったものではありません。イタリア語圏のスイスで撮ったものです。でも、作品中にわざわざ出したので、ご紹介。アルプス以南にはこの花が植えられている生け垣が時々あって、夏にはとても濃厚な香りを放ちます。

夏の到来を思わせる、しかも南の香りのする花。花というと、普通は華やかな姿が主役ですが、ある種の花は香りが主役。ジャスミンは見かけはとてもシンプルでこうして写真にするとどうってことはないのですが、その場にいると全く違う印象を受けます。惹き寄せられるのです。人間の私もそうなんですから、虫はイチコロだろうなと思います。

さて、このカテゴリーではポルトの観光案内を兼ねているので、ポルトの庭園を二つほど動画でご案内します。どちらも私はまだ行ったことがないんですが。次回は、行ってみようかな(まだポルトに通うつもり……)


Jardins do Palácio de Cristal, Porto


PARQUE MUNICIPAL DAS VIRTUDES, Porto



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【次回予告】「Infante 323 黄金の枷」 (12)礼拝

「言っただろう。俺たちは存在していないんだ。教会のいうところの天国にはそんな奴らの椅子はない」

 考え込んでしまったマイアを見て、23は笑った。
「そんなに深刻になるな。お前が思うほど絶望的な思想を持ってはいないし、無神論者でもない」
彼女はよくわからないという顔をした。


ドラガォンの館の中に設けられた礼拝所。日曜日ごとのミサで不真面目な態度のインファンテたち。2月の更新予定です。お楽しみに。
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Posted by 八少女 夕

ポルトは働き、ブラガは祈る

「Infante 323とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いています。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

ブラガの大聖堂

今回、三兄弟の母親であるマヌエラが神に祈るモノローグがありました。

ポルトガルの国教はキリスト教(カトリック)です。日本だと政教分離の原則は当然のことと思われていますが、世界には政教が全く分離していない国の方が多いかもしれませんね。ドイツ系スイスやドイツなどゲルマン系の国々では、それでも「今どき宗教ね」という人も多いのですが、カトリックを信仰する国々では、かなり熱心な信者が多いのです。ポルトガル大統領に選ばれると自動的に「キリスト騎士団」のグランド・マスターとなるという面白い事実もあります。

そのポルトガルの中でももっともホーリーなのがポルトから車で一時間ほどの場所にあるブラガという街です。「リスボンは楽しみ、コインブラは学び、ポルトは働き、ブラガは祈る」という風に、街の人びとの氣質を表す言葉があるぐらいなのです。実際にさほど大きい街ではないのですがやけに教会が多いのです。案内してくれた運転手のお兄さんが「ここは、ポルトガルにローマを再現しようとしていたんだってさ」と説明してくれました。

外を眺めて

この写真は、どこかの教会で撮ったのですが、どこだか忘れてしまいました。なんとなく暗闇の中から明るい外に憧れる23をはじめとするインファンテたちのイメージが浮かんで撮った写真です。

外で普通に育ったマヌエラは熱心なキリスト教徒という設定です。一方で、23は全然敬虔ではないということになっています。この件に関しては、後に特別に一章を割いていますので、ここでは割愛します。敬虔ではないけれど、音楽として「アヴェ・マリア」を弾いたりしている23なのでした。


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【次回予告】「Infante 323 黄金の枷」 (11)作業

 夕方までやったが、靴型の山は三分の二くらいになっただけだった。23はメネゼスに翌日もマイアを借りていいかと訊いた。その晩マイアはあまり嬉しそうで、マティルダに「どうしたの」と訊かれてしまった。


マイアは、メネゼスに言われて23の作業を手伝うことになりました。彼と長時間一緒にいられることに舞い上がります。いつだったか話していたサンドイッチの話や、外伝で出てきた「四角い石」の話も出てきます。2015年1月初旬の更新予定です。お楽しみに。
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ギターラ(ポルトガルギター)

「Infante 323とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いています。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

ギターラを弾く男性

今回、主人公23(インファンテ323)はギターラを弾いていました。ギターとは成り立ちも違うこの楽器、日本では一般にポルトガルギターと呼びますが、ポルトガル人はこの楽器をギターラと呼び、普通のクラッシクギターのことはヴィオラと呼ぶそうです。じゃ、ヴィオラのことは何と呼ぶのだろう? 

で、このギターラなのですが、いわゆるギターと較べて華やかな音がするのですよ。形が違うから共鳴がちがうのかなと思っていましたが、それだけでなくて、弦が同じ音が二本ずつの6セット、合計12本あるらしいのです。で、同じ音を出す時に、わずかにずれるので、それが共鳴してあの華やかな音になるんですね。

ファドの演奏でもおなじみですが、ソロの楽器としても活躍しています。

で、上の写真ですが、ギターラの形だけでなく、主人公の外見のモデルになった人なのでここでご紹介。と言っても、ごく普通のギターラ奏者の方ですので、若干加工してぼやかしました。書いている本人としてはこんなイメージです。

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【次回予告】「Infante 323 黄金の枷」 (10)アヴェ・マリア

「しかし二ヶ月経ったら、休暇を与えなくてはなりません。この屋敷に留めることは不可能です。それとも、それまでに宣告を受けるとお考えですか?」
「まさか」
「それでは、いかがなさいますか」


超ド素人探偵、マイアの行動が、ドンナ・マヌエラの耳に入ります。彼女は何を想うのか。そして、某Tさんや某Lさんお待ちの(?)沐浴シーンその1が……。2014年12月末の更新予定です。お楽しみに。
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職人たちへのオマージュ

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小物屋のおじさん

主人公23(インファンテ323)を靴職人にしたのには理由があります。ポルトガルは手工業が盛んで、その質が高いことでも有名です。(あ、日本もそうですよね)

ヨーロッパの中で、ポルトガルという国は物価や人びとの平均賃金が比較的低めです。それに加えて真面目な人びとの氣質と出来上がってくる製品が良質であることが好まれて、ヨーロッパの他の国で販売する高級品をポルトガルで生産して輸入するということが、よくあるのです。

某国の有名百貨店で、その百貨店のロゴの入った高級品を買ったとして、その箱の裏をよく見てみると「Made in Portugal」と書いてあったりするのです。

ポルトガルの無名の靴職人が作った靴が、イタリアに運ばれて有名デザイナーの工房でロゴだけが刻印され、「Made in Italy」となり、その後三倍くらいの値段で売られているという話をポルトで聞きました。作中でアマリアがマイアに語っている話の元ネタです。最終加工をした国を「Made in XX」とする、というルールに基づいてそうなるらしいのですが、刻印以外は全てポルトガル製でもそうなるんですって。刻印がないだけで全く同じ靴が、ポルトガルに来ればとてもお買い得に手に入るというわけです。

靴修理のおじいさん

このおじいさんは、連れ合いの靴の修理をしてくれた方。言葉がほとんど通じなかったけれど、ちゃんとやってくれました。頑固一徹という感じで、最初は無愛想でしたが、最後ににっこり笑ってくれました。そして、仕事は完璧。ものすごい誇りを持ってやってくれます。お値段は、スイスでの四分の一くらいでしょうか。

作中で23がマイアに飲ませるコーヒーも、どこかの工場でロポットによって大量生産されているものではなくて、市内の店で豆のブレンドから焙煎まで自分たちでやっているという昔ながらのコーヒー豆専門店のことをテレビで見たのがヒント。テレビで紹介していたお店はポルトではなくてリスボンにありました。

23のいつも着ている洋服、使っている石鹸、その他どんなものでも、可能な限り地元の手工業をサポートする形で最高品質のものを用意させているという設定です。

名前のない靴職人を主人公にしたこの作品は、有名ではないけれど良質の製品を黙々と作り続けている世界中の職人たちへのオマージュでもあります。

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カーサ・ダ・ムジカと間口の狭い家

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今回の章で意識的に取り上げたのは、「ポルトと建築」。ポルトには美しい光景がいっぱいあって、どこを観てというよりも街のすべてが素晴らしいのです。でも、今回ストーリーの中でわざわざ取り上げたのは以下の二点です。

カーサ・ダ・ムジカ

章の前半に出てきたのは、カーサ・ダ・ムジカ。旧市街から海へと向かうボアビスタ通りの始まる所に建っている現代建築です。一度見たら忘れられない変な形をしています。

伝統的な建物がとても美しい街に突然こういう建物があると「う〜ん」と思います。作品中でもマイアは最初はちょっと批判的でしたよね。ところがどっこい、中に入るととても素敵らしいのです。らしいというのは、私はまだ入った事がないからなんですが、下の動画をちょっとご覧ください。光と陰影が創り出す美しい空間ですよね。伝統的な美の作り方とは違いますが、「単純に音楽が聴けて、大人数を収容できればいいんだろう」という効率的な考えとは対極にある建築物になっています。



さて、ポルトの旧市街を印象的にしてるのは大聖堂や豪邸だけではありません。ごく普通の人びとが住んでいる家もとても印象的。ご覧のように一つひとつの家の間口はとても狭くて、日本でいう鰻の寝床のようになっています。日本でも同じ理由だったように記憶していますが、税金が家の幅ごとに決まっていたらしく、奥に細長く建てた伝統があったようです。

ポルトの鰻の寝床のような家並み

キューバのカストロ議長がポルトに来た時にピカピカにしたというリベイラ、世界遺産の威信をかけて作り直したアリアドス通りなどは、本当に美しくて絵になりますが、ちょっと裏手に入ると「あ、ユーロ危機もポルトガルの現実よね」と感じる、若干手入れの行き届いていない家々もたくさんあるのです。でも、その古くなったタイル、ペンキの剥がれかけたドアなどが、ここはテーマパークではなくて年季の入った本当の街だと再認識させてくれるのです。

私は、壮大で美しいポルトも好き、ファドの歌声のようにもの悲しくもたくましい庶民の息づくポルトも好きです。

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インテリアのイメージ

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Hotel Infante De Sagres

「Infante 323 黄金の枷」は今年の三月のポルト旅行中に生まれた話です。中でも一番大きな影響を及ぼしたのがこの二枚の写真を撮影した場所です。二枚目はすでに「靴職人の王子様」という記事でご紹介済みですが、とある博物館。でも、もともとは監獄だったそうです。

Portoにて

一番上の写真は「Hotel Infante De Sagres」のロビー。王侯貴族も泊る格式あるホテルで、二晩だけ泊ってしまいました。エンリケ航海王子にちなんだホテルなのです。興味のある方はリンク先のオフィシャルサイトでご覧ください。町中が美しいポルトですが、このホテルの中に入るとさらに別世界。私はじつはかなりの贅沢好きです。普段はできませんが、年に二晩くらいなら、いいですよね。

優雅さと格式のあるポルトの建物をじっと見ているうちに、このような豪奢な場所に閉じこめられた主人公たちのキャラクターが少しずつ固まりだし、ホテルの便箋の後ろに最初のメモが書き出されていきました。話の骨格は旅行中に完成していました。もっともこんなに早く全部書いてしまうとは、考えてもいませんでしたけれど。

ちなみにこのホテルで使っていた石鹸。「おおっ、いい香り」と感動していたら、連れ合いも同じ事を言っていました。男性にも女性にも好まれる香りの石鹸。しかも、Made in Portugal. 少し調べたら100%植物性の原材料にこだわって作っているReal Saboariaという会社の製品でした。23が愛用しているのはFiligrana(ポルトガルの伝統工芸品であるフィリグラーナという装飾品をモチーフにした石鹸)で、VerbenaやVerveineを配合した爽やかな香り。

そうなんです。この作品はあまり知られていないけれど良質な製品をたくさん生み出しているポルトガルへのオマージュなんです。うるさすぎるので本文には出てこないけれど、そのつもりで書いています。

ポートワイン

本日はブログをはじめてから三回めの(ブログではなくて私の)誕生日。今年は特に自分へのプレゼントはないんですが、(というか、こちらの習慣で職場でおやつを振る舞うことになっています)せっかくなので一年間頑張った自分のためにポートワインで乾杯しようと思います。

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食べて飲んで、旅を楽しむ

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ドウロの赤

この小説にはかなりの飲食シーンが組み込まれています。(この小説だけでなくて私の小説はいつもそうですが)

この小説の随所に私の大好きな街ポルトの紹介を組み込んでいるのですが、ポルト旅行の楽しみの一つがグルメなので、飲食シーンも勢い増えるというわけです。

それと同時に、何を食べて飲んでいるか、それもどんな風に、というのを観察すると、キャラクターの背景や性格も表現できると思うのです。どんなキャラなのかというのは小説を読んでいただきご自分で判断していただくとして(結局それか)、今回は出てくる「ドウロの赤」などというあっさりした表現の解説を。

「ボルドーの赤」と言えば、多くの方がフランスのボルドー地方で穫れた葡萄で作った赤ワインだとおわかりになると思います。この場合の「ドウロ」はポルトガル北部、スペインから流れてきてポルトで大西洋に流れ込むドウロ河流域で生産されたワインを意味します。

ちなみにポートワインも同じドウロ河流域で穫れた葡萄から生産されますが、普通のワインと違って酒精強化ワインでアルコール度数が高く甘味が強いのが特徴です。

食事の時に飲むのは普通のワインなので、「ドウロの赤」なのですね。これがまた美味しい。しかもポルトガル価格なのでとってもリーズナブルです。スイスでもドウロワインを見つけると喜んで買います。あまり見かけないんですけれど。

鴨のポートワインソースがけ

そして、作中の食事シーン、メインで食べていたのは「鴨のポートワインソース添え」

鴨にはオレンジなど少し甘い味付けが合うので、マデイラワインやポートワインのような酒精強化ワインを使ったソースがよく使われます。これまた美味しい。私もポルトに行くと二回か三回このメニューを頼んでしまいます。普段、鴨のお池で「かわいい」とか言っているくせに、これですよ。

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夕暮れのドウロ河

「Infante 323とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いていきます。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

porto

作品の中でドラガォンの館が建っているということになっている場所は、現実には空き地です。連れ合いの友達がかつて住んでいたという場所で、三年前にはじめてポルトに行った時に連れて行ってもらいました。写真はどうやってもあの光景を映し出せなくて、「ふ〜ん」という出来になってしまっていますが、実際には声もでないような絶景でした。

連れ合いがはじめてこの場所に立ったのは二十年も前でした。彼の人生でもあまり幸福とは言えない時期でした。それから時間が経ち、道連れも出来て、世界遺産となってきれいになったポルトを歩き、全く違う光景に見えると言っていました。

風景は同じようにそれぞれの視界に入りますが、それを見てどう感じるかはその時の心のあり方によって違います。小説の中で、登場人物たちが同じ光景を見つめるシーンを何度も書いています。季節と心のあり方と状況とが少しずつ動いていく様子を、風景を眺めるという記述で描き出そうと決めたその原点が、連れ合いと眺めたこの光景にあります。

porto


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【進捗状況】
まだ若干残っているところがあるのですが、八割五分くらい書き終えました。この話、今年の三月まで存在してもいなかったなんて、自分でも信じられないですね。ここ数ヶ月、こればっかり書いていたから、なんか一年くらいつき合っているような印象あり。

書き出した頃と比較すると、脇役のエピソードがいっぱい出来ているのだけれど、本編ではそれを全部隠して、時々数行くらいチラッと書くぐらいにしています。そうしないと、話がぶれる。

でも、そのエピソードが後ろにあることが、主人公たちの行動のもとになっているので、もうちょっと開示した方がいいかなあと、若干調整中。
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「Meu Fado Meu」

「Infante 323とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」を書くにあたってイメージの構築に使った題材をこのカテゴリーに置いています。

今日は、Marizaというファドの歌い手の「 Meu Fado Meu」とその歌詞(ならびにその和訳)をご紹介しようと思います。



「Infante 323 黄金の枷」の作中にはファドを歌ったり聴いたりするシーンは全く出てきません。書こうとしている世界といわゆるファドの色調が少し違うので、あえて避けているのです。それでいて、この作品の裏テーマ曲にしているのがこの曲です。いわゆるファドよりも少し大衆歌謡の薫りが少なく、それでいて、ファドで歌われている代表的なモチーフが含まれており、さらに、歌詞の中に、私の作品で扱っているモチーフがバンバン入っているのです。この歌に合わせて書いたわけではないし、見つけたのも偶然です。こういう奇跡みたいなめぐり合わせは大好きです。ポルトガル語の歌詞の下に、私による和訳を載せました。ポルトガル語は出来ませんので、英語、ドイツ語に訳されたものの助けを得て、なんとか訳しました。ですから、大体の意味がこういうものだという理解でお願いします。

ポルトガル語と和訳を対比していくとわかるように、ポルトガルの国民的歌謡の名称である「ファド」とは「運命」のことを意味します。つまり、歌のことと運命のこと、両方を表すのです。「サウダージ」は通常は「郷愁」というように訳されることが多いのですが、「懐かしみ、想いを馳せる」と訳しました。この言葉は「望郷」だけではなく「叶わない願い」「手に入らぬものへの憧れ」「もうなくなってしまったものを懐かしむ」というような感情を表す時にも使われます。作品中でも、サウダージが何度か現れるのです。ひと言で説明するのが難しい、ポルトガル語の概念を、ぜひMarizaの素晴らしい歌声で感じていただければと想います。

Meu Fado, Meu
 
Trago um fado no meu canto

Canto a noite até ser dia

Do meu povo trago pranto

No meu canto a Mouraria

Tenho saudades de mim

Do meu amor, mais amado

Eu canto um país sem fim

O mar, a terra, o meu fado


Meu fado, meu fado, meu fado, meu fado

De mim só me falto eu

Senhora da minha vida

Do sonho, digo que é meu

E dou por mim já nascida

Trago um fado no meu canto

Na minh'alma vem guardado

Vem por dentro do meu espanto

A procura do meu fado


Meu fado, meu fado, meu fado, meu fado

Copyright: Writer: Paulo Carvalho
Copyright: S.p.a.(Sociedade Portuguesa De Autores)


わがファド

私の歌には宿命がある
宵に歌う、夜が明けるまで
聴く人びとから涙を絞る
ムーア人の地を歌って

私自身を懐かしみ
何よりも大切な愛へ想いを馳せる
国境のない国を歌い
海を、大地を、そして、わが宿命を歌う

わが運命、わが定め、わが宿命、わがファド

私に欠けているのは私自身
わが人生の女神
夢は、それは私のもののはずだと言う
そして、もう私のために生まれているのだと

私の歌には宿命がある
魂で抱きしめている
私の怖れの中から生まれてくる
運命を探しもとめながら

わが運命、わが定め、わが宿命、わがファド



全く関係ないことですが、このブログの検索キーワードのトップ2が、二年前に記事にした「アレグリア」の歌詞和訳です。この和訳はどのくらいの方が興味を持ってくださるのか、ちょっと今から楽しみです。



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Posted by 八少女 夕

ポルトといえばこの光景

「Infante 323とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いていきます。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真は、このカテゴリーでご覧に入れようと思います。

Oporto リベイラ

作品の冒頭で、ヒロインであるマイアが座っていたのが、このリベイラです。ポルト観光では基本中の基本、外国人が最初に思い浮かべるポルトの景色はこれですね。この歴史地区はユネスコ世界遺産にも登録されています。

写真は、ドウロ川にかかる鉄橋「ドン・ルイス一世橋」から撮ったものです。マイアは川と対岸のガイア(ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア)を眺めながら水彩色鉛筆を走らせています。地元民であるマイアが、こんなバリバリの観光ゾーンに来るというのもなんですが、やはり小説の最初に登場させるにふさわしい風景ということで選んでみました。

写真に映っている二艘の舟がポートワインを運んでいたラベロ。この川の写真をより一層魅力的にする立役者です。たぶん現実にはもうこの舟はそんなに輸送に必要ではないのでしょうが、観光には欠かせませんよね。

この舟に乗って、ドウロ川にかかる六つの橋をめぐり、ポートワインの試飲をするという一時間程度のオプショナルツアーもあります。現地でよく客引きしています。三回行って、まだ乗っていないのもなんですが……。



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Posted by 八少女 夕

アズレージョの話

「Infante 323とポルトの世界」カテゴリーの記事です。この間の続きと言うか、補足ですね。前回の記事でちょっと触れたポルトのサン・ベント駅とアズレージョの話を掘り下げてみます。

サン・ベント駅 中国の壺

ポルトの街にくると、大理石の壮大な建物や様々な色のタイルで覆われた家々に混じって、アズレージョと言われる青タイルで覆われた歴史的建築物をたくさん目にすることとなります。普通のタイルは、同じ文様を繰り返すだけですが、アズレージョは一つひとつが違う絵つけになっていて、全体として一つの絵になるようになっています。

ポルトで見逃してはならないアズレージョ作品の傑作の一つをサン・ベント駅の構内で観ることができます。四方を全部このようにアズレージョで覆っているのです。モチーフはポルトとポルトガルの歴史です。

アズレージョは、もともとはアラビアからスペイン経由でもたらされたらしいのですが、現在では典型的なポルトガルの建築装飾です。全体として一つの作品になるので、大抵は作者の名前がはっきりしているそう。

青いものが多いし、azulというと青なので、青いタイルだけを指すのかというとそうではなくて、もともとは素焼きの細工を意味するアラビア語の音訳で、様々な色があります。そして、もっとも多い色から青を意味する単語が後からできたようです。

なぜ青いものが多くなったかというのを、ブラガに行った時のガイドはこんな風に説明してくれました。大航海時代を経て、ポルトガルに世界の美しい品々がたくさん届きました。中でも中国の藍花磁器は王侯貴族の間で大変好まれ、大きな素晴らしい壺などを飾るのが大流行しました。そして、それに合う藍色のアズレージョの発注が多くなり、それでこの色が一般化したのだと。(真偽のほどは保証できませんが)

そう言われてみると、同じような藍色です。この駅、教会などを彩る藍色は、すっかりポルトガルらしさとして定着しました。アズレージョをかたどった絵はがきもたくさんあり、それが送られてくると即「ポルトガルに行ったんだ」とわかるくらいなのです。

スイスにいると、「ポルトガルは経済危機でEUのお荷物である国の一つ」というイメージで語られることが多いのですが、ポルトで観光する限りそんな貧しいイメージは全くありません。その理由の一つが、勤勉で親しみやすいけれどまじめな人びとのあり方の他に、かつて世界有数の強国であった時代の素晴らしい遺産がたくさん残っていて、私たちの目を楽しませてくれるだけでなく、人びとの生活の場としていまだに現役で活躍しているからなのでしょう。

2014年5月末より連載開始予定の「Infante 323 黄金の枷」では、大好きなポルトの街で私が見てきたものを随所に書き込んでいくつもりです。サン・ベント駅とアズレージョも短いですが登場予定です。

「Infante 323 黄金の枷」





今週のガックリな話。
本人としては、構想はばっちり組立てたつもりで「よし、この辺で盛り上がって」「そのあと二回で終了」と、全章の短いあらすじを書き終えて、それどころか最後の二つの章はほぼ書き終えたんですよ。そしてはたと氣がついたのは。後ろから三番目の章のエピソードの季節と、残り二つの章の季節、どう考えても六ヶ月は開いてる……。

だめじゃん。

ということは、この二つの季節の間に、間を持たせるエピソードと章を無理矢理作んなくちゃいけないってこと? こんな状態で今月末から公開して大丈夫なんだろうか……。
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Posted by 八少女 夕

エンリケ航海王子(航海していないけど)

またしても新しいカテゴリーを作ってしまった……。このカテゴリーは、大好きなポルトの写真をお見せしつつ、小説「Infante 323 黄金の枷」(2014年五月末連載開始予定)の宣伝もしてしまおうという少し姑息な理由で作ってみました。「大道芸人たちの見た風景」カテゴリーと同じような位置づけですね。「その小説読む氣ないよ」な方、「小説は本文が全て、余計な解説は不要」という方も、特に氣にならない程度の話を書いていこうと思います。

エンリケ航海王子

上の写真は、私が世界でもっとも美しい鉄道駅の一つだと思う、ポルトのサン・ベント駅にある青タイル(アズレージョ)で描かれたエンリケ航海王子です。

「そもそも世界史でポルトガルに触れたっけ」とお思いの方でも、名前くらいは聞いたことがあると思います。たとえポルトガルの王様と聞いて、一人ですら名前が浮かばない人でも。(私も含む)

ポルトガル史においてもとても重要な人物ですが、なぜ王子で王様じゃないのかって思いませんか。

この方のポルトガル語で正式の呼び名は「Infante Dom Henrique」ですが「Infante de Sagres」「Infante de Navegador」と呼ばれることが多いです。最初のは「エンリケ王子(親王)」、次のが「サグレシュの王子」最後が「航海王子」です。サグレシュというのはポルトガル南部の地名です。そして、この「Infante」というのは「Príncipe(王太子)」でない国王の男子を意味します。

エンリケ王子は1394年ポルトで国王ジョアン一世の三男として生まれ、国王になることはなかったもののパトロンとして航海者たちを援助するとともに指導して大航海時代の幕を開いたことで歴史に名を残しました。こういう大事業を一王子が一存でやるには、国王以外に大きな援助が必要です。それに大きな役割を果たしたとされるのがキリスト騎士団です。かのテンプル騎士団の後継でもあり、その莫大な資産を受け継いだのではないかと言われています。

王子自身は新大陸への航海などはしていませんので、航海王子と日本語で呼ぶとあまり正しくないのですが、ロマンに溢れる称号ではあります。

私の作品の中に出てくる「Infante」は、ポルトガルの王家とは何の関係もありません。ブラガに行った時のガイドに、嫡子ではない故に「インファンテ」と呼ばれるということ、「テンプル騎士団の莫大な財宝はどこに消えたのか」という謎とエンリケ航海王子の資金源の関連性を聞きまして、フィクションとしてのアイデアと話のイメージが浮かんできたのでした。ほら、テンプル騎士団と言ったら、イメージする他のことがありますよね? 連想ゲームみたいなもんです。あ、もっとも、そっちの話(テンプル騎士団と言えばの連想)とも基本的には関係のないストーリーです。

「Infante 323 黄金の枷」

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