scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

六甲山にいます

母と日本国内旅行に出ました。最初の目的地は兵庫県の六甲です。子供の頃祖父母が六甲に住んでいて、母は私や姉を連れて来ていました。母は両親がここに住んでいた年齢を越え、ここに来るのも最後かもしれないと言っていて、せっかくなのでノスタルジー旅行をする事に。

阪急は、もちろん当時とは違う車両なのですが、色が同じで「懐かしい」と心が暖かくなりました。街も同じで、当時を知る母が言うにも当時馴染んだものはほとんど何も残っていないようですが、それでも来られてよかったようです。


六甲山 に泊まったのですが、夜景だけは当時のように綺麗で、大満足でした。明日は神戸。とても大切な約束があります。



その報告は少し後で(^^)
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Posted by 八少女 夕

日本を満喫中

うなぎ

一ヶ月も来ているというと、ものすごく長いように思えますが、あっという間に半分が終わってしまいました。

今回の帰国は、いつもの三週間の休暇の間に一週間の労働が挟まっていました。今週がその週だったのですが、スイスの会社のPCにネット接続して働いたのです。

時差がありますし、機器が手元にないので全く同じではないですが、とにかく時間の上ではきちんと勤務しました。

またこれをやりたいかと訊かれると微妙なところですが、少なくともその間は日本にいるので、日本でしかできないことをいろいろと楽しみました。

水曜日の朝は、渋谷に行って、映画をみました。TOM-Fさんに薦められた「君の名は。」を。素直に楽しくて美しくて心の動くいい映画でしたね。日本のアニメと一口に言っても、いろいろあるんでしょうけれど、これは本当に子供が見ても大人が見てもそれぞれが楽しめて、感動して、好きになれるいい意味で日本らしい映画でした。レビューを書くほど映画を見ているわけではないので、ここではこれ以上は語りません。TOM-Fさんの記事は色々と納得でしたから、気になる方はそちらをどうぞ。あ、東映の映画館、設備よすぎです。

月曜日は年金をどうするか相談に行きました。火曜日は母親と買い物。先週の日曜日は姪の、今週は甥の文化祭。その合間に大学やアフリカで知り合った友人にも会い、かなりのハードスケジュールですね。

カステラ

月曜日から、国内旅行に出かけます。日本の秋を堪能するつもりです。
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Posted by 八少女 夕

【小説】大道芸人たち 2 (6)ミュンヘン、鍵盤 -1-

「大道芸人たち Artistas callejeros 第2部」のチャプター1だけを先行公開することにしましたが、これがその最後の部分になります。残りの部分については、おそらく来年以降の公開になります。ひとまず落ち着くところに落ち着いて、四人は新たな環境の中で彼ららしさを模索して行くことになります。

今回も二つに分けました。今回はヴィルの子供時代のことですね。


「大道芸人たち 第二部」をはじめから読むこのブログではじめからまとめて読む
あらすじと登場人物




大道芸人たち Artistas callejeros 第二部
(6)ミュンヘン、鍵盤 -1-


 グランド・ピアノのふたを開けて、ヴィルは軽く鍵盤に触れた。いまやそれは彼のピアノだった。はじめてこのピアノに触れた時の事をヴィルは憶えていた。まだ十歳になっていなかった。

 母親の小さなアパートメントにまったく不似合いないかめしい髭の男がやってきたのは、その一週間前の事だった。

 男がやってきた時に、母親はヴィルにフルートを吹かせ、それから居間の小さなアップライト・ピアノで数曲弾かせた。それまですぐにでも立ち去りそうにしていた男は、演奏を聴くと態度を改めた。

「フルートを吹くのは好きか」
男は、威厳ある様子で訊いた。ヴィルは小さく頷いた。
「はい」
「毎日どのくらい練習しているのか」

「二時間ずつ、レッスンさせていますが、それ以外にも暇さえあれば、自分で勝手に練習していますわ」
母親が横から口を出した。髭の男は母親を冷たく一瞥したが、特に何も言わずに、再びヴィルに話しかけた。
「ピアノを弾くのも好きか」

「はい。ピアノでいろいろな音が出せるのが面白いです」
ヴィルは素直に言った。

 髭の男はじろりと見たが口元の厳しさはなくなっていた。子供っぽい甘えた様子をまったく見せないヴィルを教授は好ましく思ったようだった。
「来週から、土曜日には私の館でレッスンをさせよう。朝の九時にトーマスに車で迎えに来させる」

 母親は勝ち誇ったような顔になり、頬を紅潮させた。
「私も一緒に……」

 髭の男はじろりと母親を見て冷たく答えた。
「トーマスは信頼できる運転手だ。お前がついてくる必要はない」

 その夜、母親はシュナップスで酔いながら言った。
「あれが、お前のお父さんよ。十年も会っていないのよ。少しは私を見てくれてもいいのに」

 ヴィルはあれが父親だと言われてもぴんとこなかった。マルクスのお父さんはいつも楽しそうに笑っている。グイドーはお父さんと毎週山歩きに出かける。あんな立派な洋服は着ていないけれど、ずっと親しみがある。

 お母さんは音楽のことと、どれだけお父さんが立派ですごい人だったかしか話さない。学校の皆のいくサッカークラブにも参加させてくれないし、だから友達もなかなか出来ない。暇さえあれば勝手にフルートを練習しているというけれど、他に何をすればいいんだ。学校の勉強?

 土曜日に立派な黒塗りの車が貧相なアパートメントの入り口に横付けされた。マルクスやグイドーが遠巻きに見ている中、ヴィルはスーツを着た運転手のトーマスに連れられて、車でミュンヘンに向かった。連れて行かれたのはおとぎ話のお城かと思うような大きな家で、貧しいアパートメントでは見た事もない豪華な調度と広い空間に半ば怯えながら、迎えでた召使いのミュラーに連れられてサロンへと向かった。そこでヴィルは新しいピカピカのフルートをもらい、それから大きなベーゼンドルファーのグランド・ピアノにはじめて触れたのだ。

 普段弾いている家のピアノはもちろん、母親に連れて行かれるピアノ教室のグランド・ピアノともまったく違う音がした。深くて複雑な響きだった。父親と言われた髭の男にはまったく会いたくなかったが、このピアノを毎週弾けるのは嬉しかった。

 もらったフルートも、それまでのフルートとはまったく違った。髭の男の指導は厳しかったが、言う通りに吹くように努力すると、楽器はいままでヴィルの出せた音とはまったく違う音を約束してくれた。

 父親が二時間のレッスンし、それから大きな食堂でヴィルがいままでほとんど食べた事のないおいしい食事を食べた。父親は眉をしかめてヴィルのテーブルマナーをたしなめた。ヴィルの喜びは半減した。

 午後は、フロリナ先生がサロンにやってきてピアノを二時間指導した。いままでの先生よりも厳しかったが、明らかに上手で指導もわかりやすかった。一週間分のフルートとピアノの課題をもらうと、ひとりで二時間ほどサロンで練習し、それからトーマスに連れられてアウグスブルグに戻った。

 トーマスの送迎はそれから三年ほど続いた。その後は、自分で電車に乗ってミュンヘンに通った。黒塗りの車の運転手や、取り澄ましたテーブルマナー、父親の用意したまともな洋服などが、ヴィルの無口な様子と相まってお高くとまっている嫌な子供とやっかまれ、大人たちがヴィルを避けるようになった。

 それに影響されて、マルクスやグイドーもほとんど口もきかなくなった。学校でも行事を欠席させられる事が多かったため、孤立していった。大人とも子供とも話す事がなくなり、家でも音楽のことしか話せなくなり、さらにミュンヘンから渡される膨大な課題に取り組むために、ヴィルはひたすら音楽に没頭するしかなくなっていった。

 フルートを奏でるとき、ミュンヘンのベーゼンドルファーの音色を生み出すとき、ヴィルは数少ない歓びを感じた。それは孤独の中の慰めだった。それが孤独である事にもその時のヴィルは氣づいていなかった。

 はじめてピアノに触れる時に、ヴィルはいつも息をのむ。期待と恐れの混じった感情。それは、大人になってからも同じだった。大学のレッスン室で、生活のために働きだしたアウグスブルグの小さなバーで、稔の聴くに堪えない演奏に代わって弾くことになったヴェローナのバーで、コモのロッコ氏のレストランで、コルタドの館で、真耶の家で、奥出雲の神社の中で、ヴィルははじめて女の子の手を握るティーンエイジャーのように、ためらいながらはじめての音を出した。レネの両親の調律のよく出来ていないアップライト・ピアノに触れた時もそうだった。

 初めの音が出ると、ようやく口をきいた女のように、そのピアノの性格がわかる。強引に弾くべきピアノか、繊細に歌わせるべきピアノか、どう扱っても大差ない粗野なピアノかがわかる。

 それでも、このエッシェンドルフの館のベーゼンドルファーは、初恋の女のようにヴィルを惹き付けた。このピアノは、いま彼のものだった。ヴィルは椅子に腰掛けると、ゆっくりとツェルニーの練習曲を弾きだした。

「懐かしいものを弾くのね」
いつの間にか入ってきていた蝶子が静かに言った。

「あんたもこれで練習したのか」
弾きながらヴィルは蝶子に話しかけた。

「こんなすごいピアノじゃなかったけれどね」
「俺も最初はしょうもないアップライトだった」

「ピエールの所みたいな?」
「あれよりはマシだったな。出雲くらいのだった」

「ああ、瑠水さんのピアノね。私のもあのぐらいだったわ。もっともピアノの違いなんか、あの頃は知らなかった。あの時は親も反対していなかったし、ただ弾けるのが嬉しくてしかたなかったわ」

「これで弾くか?」
「私は、フルートを合わせるわ。そのまま弾いていて」

 蝶子は即興で優しいメロディをつけた。

 稔とレネもサロンに入ってきた。
「へえ。ツェルニーでこんな変奏曲ができるとはね」

 邦楽の稔にとっては、ツェルニーの練習曲は音大受験のためのつらい義務のはじまりだった。ヴィルと蝶子が自由に奏でている変奏曲はそんな思い出を吹き飛ばすような楽しげな演奏だった。

 ヴィルにとっても、この部屋はもはや窮屈で冷たい父親のレッスン室ではなく、四人で楽しげに話しながら音楽を奏でられる場になっていたのだった。
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Tag : 小説 連載小説

Posted by 八少女 夕

渋谷で石垣牛食べた

さて。日本滞在も一週間が経ちました。眼鏡を作ったり、免許証の書き換えをしたり、日本でないとできないことを少しづつこなしています。

そして、渋谷に行ったんですが。歩いているうちに見つけて入ったのが「ま〜さんの家」という沖縄石垣島の石垣牛を食べさせてくれる専門店でした。
ま〜さんのお店

石垣島は若い頃に一度行ったことがあるのです。海が綺麗で家並みが美しく、素敵な島でした。

黒毛の牛の印象はあるのですが、牛車を引く姿だけの印象で、食べた記憶はありません。あの頃は時間はあってもお金はなく、和牛の店は視界に入らなかったのかもしれません。

ともかく、普通のハンバーグとは違うみたいでとにかく入ってみました。

ま〜さんのお店

私が頼んだのは、小さめのハンバーグにサラダとスープ、それにご飯のついたレディースセット。

サラダのドレッシングとスープが美味しかったので、期待して待っていると、すぐにジュージューいう鉄板にのったハンバーグが出てきました。

ナイフがなくて大きいスプーンが置かれていました。それに、フォークで少し崩してみると、中が生焼けに見えるんです。訊いてみると、それでいいんですって。確かに生焼けと違ってちゃんと中まで熱いのです。そしてとっても柔らかくて肉汁たっぷりで、口の中に幸がじゅわ〜って広がっていくんです。

ハンバーグにはちょっとうるさい私ですが、このハンバーグは感動ものでした。付け合わせもどれも美味しかったので、きっとここの店主は、美味しいものが本当に好きなんだなと思いました。お値段もお手頃です。

東京渋谷あたりで、とにかく美味しい特別なものを食べたい方には、オススメです。
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Posted by 八少女 夕

ブログのお友だちとお会いしました

日本についてすぐ、今帰国のハイライトのひとつがありました。けいさんにお会いしたんです。

ご存知の方も多いですが、けいさんも私も海外移住組。オリジナルの小説を書き、かつ海外に永住という二つのファクターが揃った知り合いは実はけいさんお一人なんです。もちろんそれがどうというわけではないのですが、やはり格別の親しみがあります。

そしてあっさりお会いできたことも嬉しかったです。

けいさんのライフスタイルと帰国なさるタイミング、そして私のそれらを考えると、私たちが同じ場所にいるのって奇跡のようなことなのです。だから、「会えるものなら会っていただこう」って真剣さが違ったのですよね。

日本にいた頃は、「これが最後のチャンスかも」と思うことはまれでした。まだ若かったし、時間は永遠にあると思っていましたから。

けいさんのお土産

けいさんは、書かれる文章そのままのステキな方でした。個人的なことも含まれるので、詳細は書きませんが、しゃべりまくることなんと6時間以上! その上別れ際の駅でもまだ話のタネは尽きず。創作の話も、人生のお話も面白くて、こういう引き出しから、あのハートフルな作品が生まれてくるんだと納得です。

日本に着いたばかりでまだ新しいステキな店などのリサーチが済んでいなくて、ここぞといういいお店にご案内できなかったのが心残りですが、私はとっても楽しい1日を過ごさせていただきました。けいさん、ありがとうございました。お土産もありがとうございました。あ、チョコは独り占めしませんのでご安心を!

そして。実はlimeさんともお電話でお話ししちゃいました。「おおお、生limeさんだ〜」と妙に感動してしまった私です。どんなステキな方だったかもここで語りたいところですが、内緒。
お仕事から戻られてお忙しいお時間に、すみませんでした。
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Posted by 八少女 夕

【小説】約束の花火

今日の小説は、「黄金の枷」の外伝。本当はかじぺたさんのリクエストの小説がまだなのですが、落ち着いて書ける環境ではないので、もう少しお待ちいただくことにして、全く関係のないものを。

今回の話は、かつて「carat!」に出そうとしてやめたものです。なんせこの話は本編を知らないと話がほとんど通じないから。でも、お蔵入りにするのはもったいないので、ここで発表させてください。



「Infante 323 黄金の枷」「Infante 323 黄金の枷」をはじめから読む
あらすじと登場人物




約束の花火

 彼はいつもよりも騒がしいボアヴィスタ通りを窓から見下ろした。次第に夕闇が迫って来ていて、人びとはますます陽氣になっていく。

「メウ・セニョール、他に何かご用がございますでしょうか」
黒服を着たディニス・モラエスが恭しく部屋の戸口から訊いた。

「いや。何もない。お前も約束があるのだろう。アントニアがよければ、いつも通り鍵をかけて退出するがいい」
モラエスは、わずかにホッとした顔をして頷いた。ここで本音が出るようでは、まだまだだな。彼は若い《監視人たち》のエリートから眼を逸らした。

 今夜は、サン・ジョアン祭の前夜で、この街は狂騒に湧く。鰯のグリルと、バジルの香りが街に溢れ、人びとはプラスティックのハンマーで見知らぬ人たちを叩きながら無礼講を楽しむ。パレード、ダンス、紙風船、そしてD河の花火。

 街の老若男女、世界中からの観光客たちが祭を楽しむ。この日ばかりは、普段監視されている《星のある子供たち》や、監視を生業とする《監視人たち》も、全てを忘れて楽しむのだろう。

 だが、その日すらも闇夜に紛れて祭を楽しむことを許されていない人びとがいる。街の中心にある『ドラガォンの館』で暮らす家族と、そこに勤める者たちの一部。とくに鉄格子の中から騒がしい外の様子を漏れ聞きながら、外へ行くことに憧れ自由になることを夢見ているインファンテと呼ばれる男たち。

「叔父さま。下でお茶はいかが?」
彼は、その声に振り向いた。アントニアは、今夜は髪を下ろしていた。優しい水色の瞳がものいいたげに輝いている。

「やはり、今晩の花火をご覧になりたいんじゃなくて? 今から誰か、派遣してもらいましょうか?」
彼はその姪の言葉に眉を一つあげた。

 彼もまた、インファンテと呼ばれる特別な存在だったが、少なくとも望めば外出することが許されていた。14年前に当主のスペアとしての役割は終えた彼は、長年過ごした『ドラガォンの館』からこのボアヴィスタ通りの館へと移された。格子の中に閉じこめられることはなくなったが、館の内外には常時《監視人たち》が配置されていた。

 現在は完全監視体制にはない。もちろん最後の《監視人たち》の一人が館を退出するときには、特別のセキュリティシステムを作動させるので、外から誰かが敷地に入っても、反対に中から外へ出て行くことを試みても、1分以内に特別包囲体制が整って大捕物になる。が、大人しくお茶を飲んでベッドに向かう分には何の問題もなかった。

 ここに移されるとき、「この街の中で、外出なさりたい所がございましたら、遠慮なくお申し付けくださいませ」と言われた。生まれてから一度も外に出ることを許されていなかった彼は、突然ずっと多くの自由を手にしたことを知った。だが、彼は自らの意志で外出をしようとしたことは一度もなかった。

 あれほど懇願しても願いを聞き入れてもらえなかった。どうしても欲しかったものを「掟」の名のもとに諦めなくてはならなかった。今さら差し出された貢ぎ物を、嬉々として受け取ることなど、彼には出来なかった。

 そんな彼が今夜に限ってその手の氣まぐれで《監視人たち》の組織を振り回したら、黒服の奴らは何事かと色めき立つことだろう。彼は、先ほどのモラエスの表情を思い出して笑った。

「そうして、一人の黒服と一人の運転手とが、あわてて約束を反古にしてここに駆けつけるというわけか。花火など、火薬を使ったただの化学反応だ。騒がしいだけで興味はない。お前こそ、なぜ今夜もここに残った。モラエスが施錠して退出したから、明日の朝までは出られないぞ」

「いいのよ。どの道、明日の五時にはドラガォンから迎えが来るの。叔父さまは、今年も早朝ミサにはいらっしゃらないのよね」
「ふふん。ごめんだね。お前たちの信仰深さには呆れるな。私はいつも通りゆっくりするが、お前はお前の好きにしなさい。もっとも、今これからお茶を飲むという提案は悪くない」

* * *


 『ドラガォンの館』にも、たくさんの使用人は残っていなかった。執事であり《監視人たち》中枢組織の最高幹部であるメネゼスと、召使い頭であるジョアナ・ダ・シルヴァ、それにクリスティーナ、料理人のクラウディオと運転手のカヴァコだけが残り、あとの使用人たちは翌朝までに戻ってくる条件で祭に出かけていた。

 女主人であるマヌエラと当主アルフォンソならびにその妻は、望めば《監視人たち》と一緒に外出し、祭を見ることができるのだが、彼らは一度もそれを試さなかった。どれほど望んでも館の外に出ることの出来ないインファンテの氣持ちを考えると、浮き足立って祭に繰り出すことなど到底出来なかった。

 彼女は、ひとり居室に隠ると、書棚から一冊のスクラップブックを取り出した。黒い台紙を繰ると、三ページ目に探していた絵があった。今は亡き夫が大切にしていたものだ。子供らしい稚拙なイラストで、右側と左側は別の人物によって描かれていた。

 二人の小さい人物が、河辺に立っている。河の向こう側には大きい花火がいくつも上がっていた。この絵を仲良く描いた二人の少年たちの幸せな時間を想って、彼女の胸は熱くなった。

「大きくなったら、一緒にサン・ジョアンの前夜祭の花火を観にいこうね」
「うん。約束だよ」

 その約束は、果たされることはなかった。カルルシュはドイスことインファンテ322の憎しみを受け、その死まで決して許してもらうことはなかった。だから、彼もまたついに花火を観にいくことはなかった。ドイスと一緒でなければ絶対にいかないと毎年のように言っていた。

 二人の少年の憧れた、大輪の花火は、今宵も館を振るわせるような大きな音をさせている。

* * *


「このお菓子、どう? 例のスペインの実業家が持ってきてくださったのよ。あの方と叔父さまとは合うに違いないわ。甘いものを本当に美味しそうに召し上がるのよ」

 アントニアは、アールグレイの紅茶に添えて、海辺の街アヴェイロの銘菓オヴォシュ・モレーシュをボウルに盛ってテーブルに置いた。こうした甘いものに目のない彼は、だが、大して興味のないような様子のまま、一つ手にとった。

 それをあっという間に食べてしまい、「悪くない」程度の顔をしたまま、黙って紅茶を飲んだ後、さりげなく二つ目に手を出している彼の姿を見て、アントニアは満足して微笑んだ。

 花火の音が遠くから聞こえて来た。彼は黙って耳を傾け、何かを考えているようだった。それから「興味がない」という風情で再びティーカップを口に運んだ。

 彼は、これからも決してサン・ジョアンの花火を観にいきたいとは言わないだろう。でも、いつか、おそらく来年にでも、私がどうしても観たいからとでも口実を作って、彼に花火を見せてあげよう。アントニアは、彼の素直でない態度に水色の瞳の奥で微笑んだ。


(初出:2016年10月 書き下ろし)

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Tag : 小説 読み切り小説

Posted by 八少女 夕

日本にいます

成田空港

久しぶりの日本、別に大したことはしていないんですが、楽しんでいます。

買い物をして、ご飯を食べて、親や姉や姪や甥といっぱい話して。

あ、ちょっとはポケモンGOもやったっけ。うちの実家の近く、恐ろしいほどポケストップはあるんですが、出るポケモン自体は大したことなくて、バッグは常にいっぱいです。(知らない方、すみません。大した話題ではないです)

若鶏の和風ソース

昨日は買い物が長引いたので母と外食しました。なんてことのない洋食を食べたんですが、日本のお肉が美味しいので堪能しましたよ。

買い物は、靴と靴の中敷、それに念願の眼鏡。眼鏡は結局二つ買いました。JINSというお店で。遠近両用と中近両用です。前者が外や休日用で、後者は仕事用。ブルーライトカットの割合も変えてもらいました。一週間後にできるそうです。氣になっていた件を二つ終えたのでホッとしました。
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Posted by 八少女 夕

【小説】バッカスからの招待状 -6- ナイト・スカイ・フィズ

WEB月刊誌「Stella」参加作品「バッカスからの招待状」です。東京・大手町にある隠れ家のようなバー『Bacchus』。バーテンダー兼店主の田中佑二が迎える客たちのなんて事はない話をほぼ読み切りのような形でお届けしてます。

そして、前の記事でもお伝えしたように、今回は記念すべき「Stella」の創刊5周年記念号です。主催者のスカイさんは、このお祝いにみんなで同じテーマで書く企画を用意してくださいました。お題は「夜空」です。というわけで、急遽「夜空」をイメージした話を書いてみました。


月刊・Stella ステルラ 10、11月号参加 連載小説 stella white12
「月刊Stella」は小説、イラスト、詩等で参加するWEB月刊誌です。上のタグをクリックすると最新号に飛びます。


「バッカスからの招待状」をはじめから読む「バッカスからの招待状」をはじめからまとめて読む
「いつかは寄ってね」をはじめから読む「いつかは寄ってね」をはじめからまとめて読む




バッカスからの招待状 -6- 
ナイト・スカイ・フィズ


「こんばんは、夏木さん」
今日は少し早いな、そう思いながら田中は微笑んだ。

 夏木敏也は片手をあげて、最近いつも座るカウンターの一番奥に座った。

 大手町にあるバー『Bacchus』は、氣をつけていないと見過ごしてしまうような小さな看板しかだしていない。来る客の多くは常連で、しかも一人で来る客が多い。夏木もその一人だ。全くアルコールの飲めない彼は、バーに来る必要などないのだが、この店の居心地はよくて、バーテンダーで店主の田中佑二にノンアルコールのカクテルをあれこれ作ってもらっている。

 彼は最近、火曜日に来ることが多い。理由は、その隣の席にあるのだろう。田中は思ったが余計なことはいわなかった。

 夏木は空いている隣の席に鞄を置いた。
「今日は、久保さん、来ないんだものね」

 火曜日には、たいてい久保すみれがこの店にやってくる。先日サマー・デライトをごちそうして以来、すみれは夏木を見かけると隣にやってきて、一緒にノンアルコールか、アルコール度数の低いカクテルを一杯だけ楽しんで、少し喋って帰っていく。特に約束をしているわけではないし、色っぽい展開にもなりそうもないが、夏木は火曜日を楽しみにしていた。

「お友だちと一緒に『シャトー・マルゴー』のスカイラウンジでのディナーに行くっておっしゃっていましたね」
田中は、夏木の前にハムとリコッタチーズのペーストを載せたクラッカーを出しながら言った。

「誕生日の前祝いだったっけ。最近の女の子たちは、羽振りがいいよね。『シャトー・マルゴー』のフランス料理なんて、僕は一生縁がないんじゃないかな」
夏木はメニューのノンアルコールカクテルを検討しながら言った。

「お友だちが抽選で当てたとおっしゃっていましたよ」
「そうか。だから、あの店で食事ができるのはきっと最初で最後のチャンスだって喜んでいたんだな。まあ、そうだろうな。あんなに高い店なのに、予約が一年後までいっぱいだなんて、不況なんて嘘だ」

 カランと音がして、扉が開いた。田中と夏木は同時に驚いた顔をした。
「久保さん!」

 すみれは、少し下唇を突き出しながら、肩をすくめて入ってきた。
「聞いてよ。本当にひどいんだから」

「『シャトー・マルゴー』は今夜じゃなかったっけ?」
夏木は、鞄をどかしてすみれの席を作った。彼女は、まっすぐにそこに向かって座り、田中からおしぼりを受け取った。

「間違いなく今夜だったわよ。それが、今日になって急に残業だからいけなくなった、ごめんなさいって言われたの」
「それは氣の毒だったな。でも、一人でフランス料理はキツいだろう?」

「本当に残業だったら別に怒らないわ。でも、さっきたまたま彼女がずっと憧れていた外商の彼とその同僚が話しているのを聞いてしまったの。彼女ったら、一緒に予約していた子が残業でいけなくなったから一緒に『シャトー・マルゴー』のディナーに行ってほしいって頼んだらしいの。私は、ダシに使われただけでなく、嘘で約束を反古にされたのよ。もう、女の友情は本当にハムより薄いんだから!」

 田中と夏木は思わず顔を見合わせた。すみれは半分泣きそうな顔をして田中に言った。
「これは飲まずにいられないわ。そうでしょう?」

「お誕生日の前祝いなんですよね。お氣の毒に」
田中が言うと、すみれは大きく頷いた。

「そうなの。あの満天の星空みたいな素敵な部屋で、ディナーができると思ったのに。この歳だし誕生日を祝ってもらわないと嫌だってわけじゃないけれど、ここまで期待した後だと、本当にがっかり」

 夏木は肩を落とすすみれを見て言った。
「そんなに氣落ちするなって。代わりに今日は僕がおごるから、田中さんに美味しいお酒と肴でお腹いっぱいにしてもらえよ」

 すみれは心底驚いて夏木を見た。
「そんなつもりで騒いだんじゃないのよ!」
「でも、誕生日の前祝いだろう? 『シャトー・マルゴー』でごちそうするのは僕には無理だけれど、ここならたぶん大丈夫だよ。田中さん、そうだよね」

 懇願するような顔をしたのがおかしくて、田中とすみれは同時に笑い出した。

「じゃあ、夏木さんのお誕生日には私が同じようにご馳走するって条件で、遠慮なく。田中さん、いいですか?」

「わかりました。では、可能な限り久保さんと夏木さんのお氣に召しそうなものをご用意しましょう。まずはお飲物をお作りしましょう。これは私にごちそうさせてください。何がよろしいですか。本当に強いお酒ですか?」

 すみれは笑って首を振った。
「本当に? 嬉しい。ううん、強いのはダメ。酔っぱらったら、せっかくのコースの味がわからなくなってしまうもの。私でも大丈夫ぐらいので、何か特別なカクテルはあるかしら」

「そうですね。では、せっかくですから夜空をイメージしたカクテルをお作りしましょう。ヴァイオレット・フィズはご存知ですか?」

 すみれは首を振った。田中は、一本の瓶を二人の前に置いた。
「これは柑橘系の果実で作り、ニオイスミレの花などで香りを付けたリキュールでパルフェ・タムールと言います。フランス語で完全なる愛という意味があるんですよ。ヴァイオレット・フィズはこのボルス・パルフェ・タムールにレモンジュースと炭酸水などを合わせたカクテルです。スミレを思わせる紫色のカクテルなんです」

 すみれの名前にかけての選択か。なるほどなと夏木は感心した。けれど、田中はその瓶を棚に戻し、別の瓶を取り出した。
「でも、今日はちょっと趣向を変えてみましょう」

「それを使わないの?」
「こちらもパルフェ・タムールです。でも、先ほどのボルス・パルフェ・タムールと違って、このマリー・ブリザール・パルフェ・タムールは色が青いのです」

 青いリキュールにシロップとレモンジュースをシェイクしてよく冷えたグラスに注いだ。そして、炭酸水を静かに注ぐと、その泡が青い液体の中でまるで星空のように煌めきだした。
「久保さんのための満天の星空をイメージして作りました。夜空をグラスの中に。ナイト・スカイ・フィズをどうぞ」

「そして、これもパルフェ・タムールだからスミレの香りなのね! 田中さん、ありがとう。それに、夏木さんも!」
すみれは嬉しそうにナイト・スカイ・フィズを覗き込んだ。

 夏木はその美しい夜空を模したカクテルを羨ましそうに眺めた。自分も一緒に飲めたらどんなにいいだろう。でも、リキュールが入っているなら無理だよな。

 そう思っていると、そっくりの飲み物が彼の目の前に置かれた。
「あれ?」

 田中は笑って言った。
「こちらはパルフェ・タムールの代わりにブルーキュラソー・シロップと巨峰ジュースで作りました。スミレの香りはしませんが、やはり柑橘系のカクテルです。いかがですか」

 完璧な愛パルフェ・タムール ではないけれど、それに、有名レストランのスカイラウンジでもないけれど、満天の星空は一緒。そしてずっと居心地がいい。二人は大手町のお酒の神様の祝福する夜空のカクテルで楽しく乾杯をした。

 田中はそんな二人を微笑ましく眺めながら、コースに匹敵するどんな肴を組み合わせようかと頭の中をフル回転させた。

ヴァイオレット・フィズ(Violet Fizz)

パルフェ・タムール - 45ml
シロップ - 1tsp
レモンジュース 20ml
炭酸水

作成方法: 炭酸水以外をシェイクしてグラスに注ぎ、炭酸水で満たす。



(初出:2016年10月 書き下ろし)
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Tag : 小説 読み切り小説 月刊・Stella

Posted by 八少女 夕

日本へ行きます /  「Stella」5周年記念企画について

まだ少し早いんですが、次回の更新は小説ですので、ここでお知らせしておきます。

今週末に日本に向けて出発します。一応、今回はMacBook Airを持っていきますし、実家のネット接続状況が激変していない限りこちらとあまり変わらない状況でいられると思います。

が、なんといってもほぼ丸一日の長旅&時差ボケ、さらに生活リズムがこちらと全く違ってきますので、ブログの訪問やコメントのお返事などがいつものようにはいかない期間がほぼ一か月くらい続くと思います。

小説の更新は、その間も同じように水曜日にする予定ですが、それ以外の記事の更新は少し不定期になることもご了承ください。

3年ぶりの日本。秋の日本を存分に楽しもうと思っています。

* * *


そして、今回は、もうひとつお知らせがあります。

いつもお世話になっているスカイさん主催のWEB月間誌「Stella」が、5周年を迎えました!

stella white12
「月刊Stella」は小説、イラスト、詩等で参加するWEB月刊誌です。上のタグをクリックすると最新号に飛びます。


この「Stella」、ご縁あって私は創刊号から参加させていただいているのですが、もう5年も経ったのですね。「夜のサーカス Circus Notte」「Infante 323 黄金の枷」と2つの作品が完結して、現在は「バッカスからの招待状」を発表させていただいています。

5年も不特定多数の創作者をまとめるって、本当に大変なことだと思うんですよ。参加者は勝手で、希望は言いっぱなしで、でも責任はあまり持たない。次の号で、誰が作品を発表してくれるのかも定かでないけれど、文句も言わずにひたすらまとめてくれる。本当に頭が下がります。

創刊時は高校生だったスカイさんはその間に受験のためブログをお休みされた時期もありましたが、めでたく大学生となられて復帰、今も「Stella」で交流の場を用意してくださっています。ありがとうございます。そして、今後ともどうぞよろしくお願いします。

そして、現在「Stella」では、5周年の特別お祝い企画で参加者を募集中です。

せっかくのお祝い記念号です。前に参加したことのあるという方も、今までは様子を見ていたという方も、それにこの月刊誌をことを初めて知ったという方も、ぜひ奮ってご参加ください。

企画にはテーマがあります。それは「夜空」。夜空がテーマの小説か、夜空に関するイラストや写真などをご自身のブログに発表して報告するだけ。

詳しくは、スカイさんのブログのこの記事でご確認ください。

私も、もちろん参加しますよ。みなさん、ぜひ一緒に盛り上げてくださいね!
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Posted by 八少女 夕

【もの書きブログテーマ】描写と得意分野の話

今日は自作小説について語るんですが、どこに分類していいのか微妙なので、いちおう「もの書きブログテーマ」に入れてみました。

「もの書きブログテーマ(limeさん発案)」にしたので、よかったら皆さんもこのテーマで何か書いてみてくださいね。


ある日曜日の外食……

二次創作や漫画は別なんですけれど、オリジナル小説は、作者の関心の多い所に描写が偏るように思うんですよ。それはいい悪いではなく、そのままその人の味になるのだと、私は勝手に思っています。

例えば、私がよくお邪魔させていただくお友だちのブログでは、メカ系の描写がすごいところもあるし、女の子のファッションに目をみはるものの所もあります。音楽の専門知識が全体を見事に彩っているところもあるし、魔法の呪文の設定やそれをかけられた結果の描写が細かい所もありますし、きれいな男の子の繊細な美しさに描写が集中している所もあります。

これらはすべて私自身は苦手としている内容ばかりなので、よけい「すごいわ〜」と感心して印象に残るんですけれどね。

で、私は何が得意なのかなと見回してみると、目をみはるようなすごい描写って全く書けていないぞと愕然。こればかりは「今日からこれを得意にしてやっていきます」と宣言しても書けないのでしかたないんですけれどね。

アマチュアにしろプロにしろ、私小説に近い題材で華々しくデビューした方が、二作目でぱたりと書けなくなってしまうという話を聞きますけれど、それは「書きたいこと」はあっても、それに伴うリアルな肉付けが現実のことを書いた第一作に較べて書きにくくなるからじゃないかなと思うのです。

私は、レベルの話は棚上げにして、ずいぶんとたくさんの作品を書き散らしていますけれど、どれにも共通するディテールの書き方があるように思います。それはとても単純な法則で「知っていることは細かく書き、知らないことはあっさりと触れる」ということです。

という法則に照らすと、例えば上で出てきたような「女の子のファッションについて」などは、悲しくなるくらい描写が少なくなるのです。これは現代ものでもそうですし、中世ヨーロッパをモデルにした世界でも同じです。

とはいえ、全く触れないわけにはいかないこともあります。例えば「大道芸人たち Artistas callejeros」のヒロイン蝶子は「大道芸人のくせにおしゃれにうるさい面倒くさい女」という設定なので、洋服のことを書かないわけにはいかず、たま〜に触れています。でも、それほど必要でもない「夜のサーカス Circus Notte」のヒロインステラなどは、ファッションの描写がほとんどない、というような状態になります。だって、そんなのあの話では必要じゃないもの。(なんて開き直り)

さて、小説を書くからには細かい描写がないのはつまらなくなるので、何かしら普段自分の関心のあることでそこを埋めていくわけです。それが私の場合は、旅で目にする景色と、音楽と、それから食事のシーンということになるわけです。

普段の生活でも、自分のために買うものといったら、洋服や化粧品よりもキッチングッズの方がずっと多い私です。海外旅行に行っても、食べることばかり考えているように思います。きっと私はものすごい食いしん坊。(「きっと」じゃないよ、何を今さら……)

「十二ヶ月の野菜」シリーズは、もともとテーマが野菜だからいいとして、それ以外の小説でも本当に食べてばっかりです。「大道芸人たち」も、「樋水龍神縁起 Dum Spiro Spero」も、「夜のサーカス」も、「ニューヨークの異邦人たち」シリーズも、「バッカスからの招待状」シリーズも、「Infante 323 黄金の枷」も、それどころか、美味しいものなんかそんなになかったはずの「森の詩 Cantum Silvae - 貴婦人の十字架」まで、何かあると食べるシーンばかりになってしまいます。

「ヒルシュベルガー教授」の出てくるシリーズなんて、食べる以外何があるのか……。

今、メインで書いている「郷愁の丘」にも食べるシーンが何回か出てきます。ジョルジアの手料理もでてくるんですよ。

たぶん、私が書いているものをたくさん読めば読むほど、私が普段何を食べているか全部バレてしまうような氣がします。

ちなみに「あのシーン、お腹が空きました」とおっしゃっていただくのは、飛び上がるほど嬉しい讃辞です。実際には視覚でも嗅覚でも、味覚でも訴えられないものを、文字だけで伝えられたら、作者冥利に尽きますものね。
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Posted by 八少女 夕

【小説】雪降る谷の三十分

しばらく間が空きましたが、リクエスト掌編、当ブログの77777Hit記念、77777Hit記念掌編の7つ目。リクエストはポール・ブリッツさんにいただきました。ポールさん、大変お待たせしました。

ご希望の選択はこちらでした。

*古代ヨーロッパ
*植物その他(苔類・菌類・海藻など)
*アペリティフまたは前菜
*乗用家畜
*ひどい悪天候
*カンポ・ルドゥンツ村在住キャラ
*コラボ (範子と文子の驚異の高校生活 より 宇奈月範子)


今回のリクエスト、どの方も全く容赦のない難しい選択でいただきましたが、ポールさんも例に漏れず。これだけ長く空いてしまったのも、書かせていただくからには原作を読まなくてはいけないと思ったからですが、「範子と文子の驚異の高校生活」さりげなくものすごい量があるんですよ。

誠に申し訳ないのですが、一つひとつが読み切りになっているのをいいことに、半分くらいまで読ませていただいた上で今回の作品を書かせいていただきました。ポールさん、もし「なんだよ、原作と違うこと書くなよ」ということがありましたらご指摘いただけるとありがたいです。

今回のストーリーは、その中でこの二本を元ネタに書かせていただきました。(と言っても、大して絡んではいませんが)

範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・6
範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・92

今回もまた、盛り上がりもなければオチもない妙な作品になっていますが、カンポ・ルドゥンツ村って、そうそうめくるめく話のあるような場所じゃないんですよ。大昔も今も(笑)

なお、77777Hitの記念掌編はこれでお終いですが、「タッチの差残念賞+お嬢様のご結婚祝い」のかじぺたさんと「80000Hitぴったり踏んだで賞」の彩洋さんのリクエスト、これも近いうちに発表させていただきます。




雪降る谷の三十分
- Featuring 「範子と文子の驚異の高校生活」


 その谷は豊かな森林に覆われて、射し込む陽の光は神々しいほどだった。澄んだ空氣はぴんと張りつめて、「祝福された聖なる土地」に降り立ったのではないかと、二人はほんの一瞬思った。そして、こういう光景はテレビや映画で映像としてみる方がずっと好ましいと同時に結論づけた。

「ここ、寒いわね、範ちゃん」
「文子。そういう事実は、わざわざ口にしなくてもいいのよ」
「でも、私たち、冬用の衣装着ていないよ」

 レザーアーマーにショートソードという格好の範子は、なぜかショートパンツ姿で太ももが露出している。本来は戦闘するなら全身を覆うべきで、そんな妙なところの装備を弱くするはずはないのだが、この衣装は日本国のゲーマーたちの目を楽しませるためのデザインなので、実用とは関係ないし、ましてや防寒は考慮されていない。

 ローブに杖という格好の文子の方は、少しはマシだったが、このローブはコスプレ用に売られているチープな作りで、残念ながらやはり防寒を目的として制作されたものではないようだった。

 宇奈月財閥の後継者であるお嬢様範子と、その友人である下川文子は、私立の紅恵高校および作者の都合でどこかの謎の学校または学校ですらない場所に神出鬼没に登場する女子学生である。氣の毒なことに、二人は予告なしで、台本すら渡されずに、どこかに放り出されるだけでなく、その事態に30分でオチをつけることを要求されていた。

 だが、その小説『範子と文子の驚異の高校生活』は、既に完結した。ようやく安穏の生活を手に入れたはずの二人は、またしてもこんな出立ちで、高校生活とはあきらかに縁のなさそうな森林に出没したことに、明らかに不満を持っているようだった。

「まず状況を把握しなくちゃいけないわ。この植生から推測すると、かなり北の方だと思う」
「それはこの寒さからも予想がつくわよ、範ちゃん」

 文子の指摘を無視して、範子はショートソードで当たりの草を掻き分けた。そして、どうやら丘の上のようなところにいることと、とてもそうは見えないけれど、そこが道であることを確認した。
「う~ん。まずいわね」

「なにがまずいの。範ちゃん」
「みてご覧なさいよ、文子。あの先にある集落」
「あれは、なんだったけ、えっと」

「竪穴式住居。今どき北半球にあんな文明未発達の集落があるわけないし、これって……」
「タイムスリップ?」

「もしくはパラレルワールドよね。そのこと自体はどうでもいいけれど、あんな家にセントラルヒーティングがあると思う?」
「……。ないと思う」

 とはいえ、寒空に立っていれば自動的に暖かくなるわけでもない上、どうも雲行きが怪しくてこのままでは更に震える羽目に陥りそうだったので、二人はその道を下り始めた。

「範ちゃん、待ってよ」
「今度は何?」
「このローブがあちこちの枝に引っかかってそんなに早く歩けないのよ。なんなの、ここは」
「しょうがないわね」

 範子は、ショートソードを振って、枝や草を切りひらきながら歩き始めた。そうやっているとわずかでも暖かくなるように思った。

「○×△※◆」
野太い男の声がしたので、二人は動きを止めた。後にいつの間にかロバを連れた男が立っていた。何種類かの獣の皮を繋ぎ合わせたような外套を身につけていて、濃いヒゲのある浅黒い男だった。

「範ちゃん! ガイジンさんだよ。なんか言ってる」
「文子。その情報は、わたしには必要ないわ。この場にいるんだから」
「でも、範ちゃんならなんて言っているかわかるんじゃないかなって」

「全然わかんないわよ。英語でも、イタリア語でも、フランス語でも、スペイン語でもないし、ラテン語ですらないわ。一応、ラテン語で訊いてみようかな - 《ラテン語、話せます?》」

 男は、厳しい顔をして答えた。
「《なんだ、お前ら、ローマ市民か!》

「つ、通じた……。でも」
「でも、何、範ちゃん?」
「どうやら怒っているみたい。ラテン語は使わない方がよかったのかしら」
「え。でも、その人も使っているんでしょう」

「言われてみれば、そうよね。ローマ市民がどうのこうのってことは、ここはローマ帝国時代なのかしら。その前提で話を進めてみようかしら」

 範子は日本人特有の意味のない微笑を浮かべながら、まったく好意を感じられないヒゲ男に語りかけた。

「《ローマ市民じゃないわ。あなたの言葉がわからないから、これなら通じるんじゃないかと思っただけ。私は範子、こちらは文子。旅の間に迷子になったみたいなの。あそこの集落はあなたの村なのかしら》」
「《その通りだ。俺はジヴァン。そのルドゥンツに住んでいる行商人だ》」
「行商人? 狩人かと思った。《何を商っているの?》」
「《いろいろ扱うが、メインは火打石や金属、それに塩だな。お前の持っている剣はなんだ?》」

「剣のこと訊かれちゃった。これってコスプレ用だからずいぶん軽いけれどプラスチック?」
「範ちゃん、この時代にプラスチックとか言わない方がいいんじゃないの?」
「言わないわよ。《よくわからないの。どっちにしても戦いには向かないチャチな剣よ》」

 ジヴァンは、ますます難しい顔をして、二人を眺めた。見れば見るほど、話せば話すほど怪しくなるのだろう。でも、高校の制服で登場しなかっただけでもマシな方だ。
「《本当にローマからの回し者じゃないんだろうな。俺たちは、コソコソ嗅ぎ回られるような悪いことはやっていないぞ。それに何度言われてもびた一文払わんからな》」

「《あ~、政治状況がわからないんだけれど、ここはローマの属州なのかしら》」
ジヴァンは、ムッとして手に持っている棒で殴ろうとしたが、範子がそれをショートソードで防ごうともせずに、単に逃げ腰になったので拍子抜けしたらしかった。

「《本当に何もわかっていないようだな。ここはラエティアだ。ローマの奴らはどんどん自分たちの陣地を増やして、ラエティア州などと自分たちのものにしたつもりかもしれんが、寒いのが苦手らしく、このあたりにはまだ来ないのさ。俺たちの先祖であるティレニア海の輝ける民はもともとローマの奴らに追い出されてここに来たんだ。ようやく見つけた安住の地をまた奪われてなるものか》」

 文子は範子をつついた。通訳しろという意味だ。
「おそらくここはドイツ南部からスイス東部のどこかね。この地形だとアルプスの麓、グラウビュンデン州あたりじゃないかしら。ローマ人に追い出されたエトルリア人かなんかの子孫の集落なんじゃないかな。ルドゥンツ村の行商人ジヴァンさんだって」

「ふ~ん。セントラル・ヒーティングの件は、やっぱり無理そうよね」
「無理無理。火打石とか言っているし。《すみませんが、すぐに嵐が来そうな感じだし、更にいわせてもらうと、とっても寒いんだけど》」
「《今日は、この季節にしたら暖かいじゃないか。見ろよ、これから雪がくるんだぞ》」
「《雪が降るのに何で暖かいのよ》」
「《わからないヤツだな。晴れていたらもっとずっと寒いだろ。そもそも、お前がそんな恰好をしているから寒いんだろう》」

 現代のスイスでも、真冬の晴天には-10℃を下回ることが多く、雪が降りそうな天候では摂氏0℃くらいまで氣温が上昇するのだが、日本の首都圏に住んでいる範子たちにとっては「雪=とっても寒い」なのだった。

 男が指摘した通り、範子は地球温暖化が進む前の、いや小氷河期と言っても構わない古代アルプス地方にふさわしい服装をしていない。が、ゲーマー好みのコスプレなどと言っても理解は得られないので、こほんと咳をして誤摩化すと畳み掛けた。
「《とにかく、あなたの村で暖をとらせてくれないかしら。お礼に、これをあげるから》」

 そういって、文子のマントを留めているプラスチック製のブローチを示した。ちょっと見には宝石のように見えなくもないし、そもそもプラスチック製のブローチが宝石よりも価値がないことはバレっこない。

 ジヴァンはちらっとブローチを眺めて、素早く何かを計算したようだった。そして、ついて来いと顔で示して、ルドゥンツの集落に入っていった。

 一番手前の家に入ると、ロバを杭に繋ぎながら大きな声を出した。
「○×△※◆」
おそらく、今戻ったぞとか、客を連れてきたなどと言ったのであろう。竪穴式住居の中からすぐに女性が顔を出して、何かを言った。

「《これが妻のミーナだ。ようこそと言っている。悪いが、その物騒な武器はこの入口に立てかけて中に入ってくれ》」

 範子にとっては、このショートソードは杖以上の役割は果たせないので、大人しく言う通りにして中に入った。中は、思っていたよりもずっと暖かくて、二人はホッとした。建物の真ん中に炉があって火が赤々と燃えている。火には串刺しになった肉類がくべられていて、バーベキューのようないい香りがしている。そして、その側にある平らな石にはピタパンかナンのようなパンが並べられていた。

「ラッキー! 暖かいだけじゃなくて、なにか美味しいものも食べられるみたい」
文子は嬉しそうに炉の前にぺたっと座った。ミーナはニッコリと笑って、まずはその謎のパンを手渡してくれた。

「熱っ。いただきま~す」
暖かさに幸せになりながら、ぱくついた二人は、すぐに目を白黒させた。

「何これ。苦い……」
文子は少し涙目だ。範子はジヴァンに訊いた。
「《これ、何ですか》」

「《これを挽いて作ったパンだよ》」
彼が指差した先には、淡い栗色の海藻みたいな外見の苔が山積みになっていた。

「何これ」
「えっと。地衣類みたいね。なんだっけ、Cetraria islandica。アイスランドゴケともいうエイランタイが日本での名称だと思うわ。解熱や腹痛のときに使う民間薬としても有名なのよ」

「ええっ。そんなの食べてお腹大丈夫?」
「大丈夫じゃないかも。まあ、北ヨーロッパでは現代でもパンにしたりするって聞いたことがあるから、こうやって食べるのは問題ないとしても、こんなに苦いのにたくさん食べるのはちょっとね。でも、お肉もそろそろ焼けるみたいだし……」

 そう言った途端、轟音とともに突風が吹いて、木のドアがばたんと開いた。雪のつむじ風が渦巻き、二人の高校生を巻き込むと、その場から連れ去った。

「ええ~、範ちゃん、お肉まだ食べていないよ~。あのまずい前菜だけで終わりなんてひどすぎる」
「しかたないわよ、文子。もう30分経ってしまったんだもの。どうしてこのシリーズって30分限定なのかしら!」

 約束のブローチを渡すこともなく、大事なパンをただ食いしたあげくに、礼も言わずに消えてしまった二人の女に、ジヴァンは腹を立てた。が、よそ者を安易に家に連れてくるからだと妻に怒られて終わった。ブツブツ言いながら戸締まりをした時に、雪にまみれてプラスチック製の子供騙しなショートソードが残っているのを発見した。

 見かけはなかなか派手だが戦いには全く役に立たないこのコスプレ用の剣が、当時のヨーロッパ中をババ抜きのババように売り渡されて、最終的にイギリスのストーンヘンジのあたりで埋められたあげくに後日発掘され、謎のオーパーツとして大英博物館に所蔵されることになるのは、もう少し後の話である。


(初出:2016年10月 書き下ろし)
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Posted by 八少女 夕

眼鏡の話

連れ合いと出かけると三回に一度位は「あ。眼鏡を忘れた」「サングラスがない」という話になります。

私の方は、そういうことを言った事がありません。忘れないから。忘れるわけにはいかないんですよ、ないと見えないんですもの。私は中学校に入る前には裸眼で0.1もない近眼になっていたうえ、極端な乱視で眼鏡なしでは家の中でも歩けないのです。二十代でトライしたコンタクトレンズが体質に合わなかったので諦め、人生のほとんどを眼鏡をかけて過ごすことになりました。

メガネ

連れ合いは、55歳くらいになるまで「見えないので眼鏡をする」ということがありませんでした。ただし、サングラスは3種類くらい持っていて、必要に応じて掛け替えていました。彼はバイクを運転するのですが、昼の強い陽射しでは黒っぽいサングラス、夕暮れには黄色などいろいろと替えないといけないんですね。しかも、瞳の色が淡い緑茶色なので、濃い瞳の色の私よりも眩しさに弱いらしいのです。その分、夜に鳥目になる私と違って暗い所は強いようです。

さて、連れ合いが老眼になってしばらくは「大変だねぇ」と笑っていた私ですが、去年からものすごい勢いで進んで、私も完全な老眼になってしまいました。ただし、連れ合いと違うのは老眼鏡はいらないんです。老眼鏡をかけると見えないんですよ。反対に眼鏡を外すと見えるのです。

これは近眼の人の老眼だそうで、ものすごく困るんです。例えば手元の小さい文字を見ながら、コンピューターに何かを入力するとなると、外したり掛けたりをなんども繰り返さないといけなくなるのです。

で、今年の目の健康診断に行った時に、目医者さんに相談しました。「今すぐ遠近両用眼鏡を作らないといけないでしょうか。秋に日本に行くんですが、日本なら安く作れるんです」と。そうしたら「私なら秋まで待つわ。掛けたり外したりが我慢できるなら」と言われました。というわけで、ここまで我慢したんです。日本に行ったら、速攻で作ります。遠近両用眼鏡。ないと本当に困るんだ。まさか自分がこんなことで困ることになるとは、とほほ。

白髪染めを始めた時には、「歳とったなあ」とはあまり思いませんでした。というのは、私はものすごく早くに始まってしまったからです。19歳の時から白髪があったんですよ。だから、「普通の人とは違うからしかたない」とどこかで自分を慰めていたんですよね。でも、ここ数年、本当にあちこちにガタが出てきていて、「そうだよなあ。中世だったらもう墓場の中にいる年齢だものなあ」としみじみ思っています。

老化って、定年になってから突然始まるものじゃないんです。自分では「そろそろ本格的に中年かな」と思っている時に(実はとっくに中年だけど)どーんと、嘲笑うようにくるんですね。そうなんですよ。自分は関係ないと思っている方も、もうすぐですから。ええ。(学生さんはまだしばらく猶予ありますけれどね)

オーバーグラス式サングラス

さて、私はずっとサングラスをしなかったのですが、運転するときと連れ合いとバイクのタンデムで出かけるときは、白内障予防のために黄色いオーバーサングラスをするようになりました。通販生活で買ったものを愛用しています。これは眼鏡の上に掛けるタイプで、運転する時に優れものだと実感するのはサイドにもサングラスが入っているのですよ。運転する時って、時々、サイドから強い陽が入ることがあるじゃないですか。それでも大丈夫なので安心なのです。

が、いいのでもうひとつ買おうか、それともこれは運転用と割り切って度入りのサングラスを買うか、ちょっと迷っています。日本に行ったらそれも決めなきゃ。忙しくなりそうです。
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Posted by 八少女 夕

Herbstzeitlose(イヌサフラン)

イヌサフラン

この花、ご存知でしょうか。イヌサフランです。この小説にもでてくるように、実は猛毒の草で、サフランに似ているから「ラッキー」などといって食用にしたりしてはいけません。

というような話がしたかったわけではなくて、この花が意味することを。

ドイツ語では「Herbstzeitlose」と呼ぶのですが、訳すると「秋の時を開くもの」で、要するにこの花が咲くともう完全に秋だと決定的になる季節のバロメータになっている花なのです。

スイスで一番素敵な季節は、夏です。(ウインタースポーツ好きの方をのぞいて)
その美しく素晴らしい夏が終わった事を宣言するこの花は、ちょっと嫌われていたりします。
少なくとも私と連れ合いは、この花を見ると「うわぁ」と大騒ぎします。
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