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Posted by 八少女 夕

グラストンベリー、アーサー王伝説の聖地

先日、少し長めの週末旅行で英国に行ったときの話です。

ファンタジー好きの方ならアーサー王伝説はよくご存知だと思いますが、グラストンベリーのことも常識でしょうか?

少なくとも、私が日本にいた二十世紀のときは、そこまで知られた場所ではありませんでした。ここは、アーサー王が瀕死の状態で運ばれて行った、アヴァロンではないかと言われている場所です。そしてアーサー王の墓が発見された場所としても有名です。

グラストンベリーはロンドンの西、およそ200kmのところにあります。車だとおよそ三時間でしょうか。電車を乗り継いでも行けるんですが、さほど便も良くなく、短い旅行の間に荷物を持って移動するのも大変なので、私は日帰りツアーを利用して行ってきました。ストーンヘンジ、エイヴベリーという二つの巨石遺構と一緒にグラストンベリーまで見てしまおうという欲張りなツアーですね。

Glastonbury Tor

グラストンベリーと言ったら、まず忘れてはならないのが、このグラストンベリー・トールという塔です。聖ミカエル教会というのが正式な名称のようです。この小高い丘は、干拓される前は湿地であったこの土地で、湖に浮かぶ島のようであったということです。瀕死のアーサー王は船でアヴァロンに運ばれたということになっていますが、ここがそのアヴァロンではないかという説の根拠となっているのが、この教会からアーサー王の遺体が発掘されて、グラストンベリーの街にある修道院に埋葬されたという修道院縁起からなのですね。

アーサー王の実在や、その遺体の真偽は別として、ラテン語で書かれた十字架や発掘された遺体を収めた教会は、アリマタヤのヨセフがキリストの血を受けたと言う聖杯や茨の冠を持ってきてここに埋めたと言う伝説と相まって、英国でも有数の巡礼地となりました。が、1539年に自身の離婚をめぐる争いからカトリック教会との決別を望んだヘンリー八世に打ち壊されて以来、完全な廃墟になってしまっています。

現在では、アーサー王伝説に惹かれてくる巡礼者だけでなく、セント・マイケルズ・レイラインと呼ばれるヨーロッパでも最も強いと言われるパワースポットにある場所として、多くの人びとが訪れているようです。

実際に、霊感にあたるようなものが全くない私でも、クリアで澄み渡った空氣を感じました。こういう感覚は、出雲大社や伊勢神宮を訪れた時にも感じたものに近いので、おそらくパワースポットというものはあるのではないかなと思います。そこにアーサー王が眠っているかどうかではなく、もともとこういう特別な場所に神社仏閣や教会などが建てられる傾向があり、そこから長い歴史の間でいろいろな伝説を集めるのではないかと思うのです。

The Chalice Well

この丘の麓にはチャリス・ウェルという庭園があります。アリマタヤのヨセフが聖杯をトールに埋めたという伝説から、ここで湧き出る水は聖なる力を持っているといわれていますが、この庭園では、その水を汲むことが出来るのです。私も飲んできましたが、鉄分のある、温泉水のような味でした。

子供の頃に較べると、アーサー王伝説や聖杯伝説などに対して、「キリストの血を受けた聖杯や茨の冠があったとしても、イスラエルから、わざわざここに持ってくるかな」などと考えてしまうかわいげのない大人になってしまいました。伝説もかつてはいろいろと暗記していたのにずいぶん忘れてしまっていたことも、少しショックでした。ツアーに同行した日本からの青年が泣き出さんばかりに感激をしているのを見て、二十五年前には、私も彼と同じような想いでここに来たがっていたっけと思い出しました。

今は、ちょっとお金を払えば簡単に行ける場所で、まるで普通の観光の一環のように感じていた自分に氣がついて、純粋だった自分はどこに行ってしまったのかなと、思いながら風に吹かれていました。

グラストンベリーのお土産

とはいえ、子供の頃に夢中になったケルトやアーサー王伝説の聖地にいるのですから、やっぱりそれにふさわしいお土産を買わなくっちゃ! そう、大人買いです。

イギリスのお土産の定番と言ったらティータオルですが、今回は三枚買いました。一枚は義母へのプレゼント用ですが、残りの二枚は私用。そのうちの一枚が、この写真の下に敷いてあるもの。たくさんの紋章がついていて素敵だなと思って、グラストンベリーで買ったのですが、よく見たらこの黄色い丸は円卓で、アーサー王と円卓の騎士の紋章でした。「湖のランスロット」とか「ギャラハット」とか書いてあるのは、妙に嬉しいです。やっぱりミーハーな私。

そして、プラスティックの瓶は、チャリス・ウェルで汲んできた聖水。隣は修道院時代からの製法を守り続けている蜂蜜酒「グラストンベリー・アベイ・ミード」です。瓶もなかなかお洒落でサイズもお土産にぴったりでした。

Chalice Wellデザインのペンダント

さて、こちらの写真は、ロンドンの大英博物館で買ってきた銀のネックレス。ケルト文様の物を買いたいなと思って見ていたのですが、ふと見つけてしまったのがこれ。チャリス・ウェルの泉の蓋の模様のものなんです。この旅の思い出としては、こっちのほうがいい! そう思って買ってきました。
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Comment

says...
 瓶の聖水より銀のアミュレット。ケルトならアリアンロッドの紋様とかもなかなか。古代ケルトや北欧の文化はキリスト教の進出によってかなり歪められていてよく判らない。神話などは何時も最後はキリスト教に蹂躙されて終わる。悲しいかな。
2015.11.06 14:21 | URL | #eRuZ.D2c [edit]
says...
こんばんは。

ああ、そうでした。miss.keyさんは、このあたり、お強いのですよね。
このペンダント、なかなかいいでしょう?
普通のケルト十字のものもあったんですけれど、今回はちょうど行ったところにちなんだ、チャリス・ウェルの泉の蓋文様にしてみました。無地のプルオーバーの上にしたりすると、映えるのですよね。

ヨーロッパの先住民の信仰は、日本の八百万の神のように仲良くは共存できなくて、大抵キリスト教の文化で上書きされてしまっていますが、そのキリスト教の信仰や祭りもかなり地域ごとに違っていて、その違いが実はかき消されてしまったはずの、先住民の信仰が形を替えて現れていたりするのですよね。私はそういうものが大好きで、隙間からのぞいている神話などを想像して満足しています。

コメントありがとうございました。
2015.11.06 22:01 | URL | #9yMhI49k [edit]

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