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Posted by 八少女 夕

【小説】樋水龍神縁起 東国放浪記  葩ちる道

scriviamo!


scriviamo!の第十一弾です。

TOM-Fさんは、大好評連載中の『花心一会』の最新作で参加してくださいました。ありがとうございます!


TOM-Fさんの書いてくださった小説『花心一会 第十三会 「その、花の香りに包まれて」』

TOM-Fさんは、時代物からローファンタジーまで様々なジャンルの小説を自在に書き分けられる創作ブロガーさんです。素人にもわかりやすく書いてくださいる天文の専門用語、専門家なのではないかと思うほど詳細なマシンの記述や、女の私が恥ずかしくなって逃げだすほどのファッション知識などにもいつも唸らせていただいていますが、何よりも敵わないなと思うのは完璧な女の子の描写でしょうか。あんな風に書いてもらったら、キャラの女の子たちは本望でしょう(ごめんよ、うちの子たち!)

さて、今回書いていただいたお話も、そういう素敵なヒロインのひとり、華道花心流の若き家元である彩花里が活躍するシリーズの最新作。いつもは他の相手の人生を静かに手助けしているヒロインもオブザーバーにならないでいる珍しい回ですが、うん、TOM-Fさんの書くストーリーのうち、「静の美しさ」が色濃く出ている素敵なストーリーでした。

って、のんきに感心している場合でなく、これに何を返せと……。今回のscriviamo! みなさん本当に容赦がないんですが、こちらも難問中の難問でした。

で、こうしました。TOM-Fさんが「梅」と「紀友則の和歌」書かれましたので、私は「桜」と「詠み人しらず」で。同時にTOM-Fさんのお話の中で使われていた花びら餅が「葩餅」と書かれるのに掛けて、さらに人間関係の設定を踏襲させていただきました。

そして、舞台は平安時代。この「安達春昌と桜」という組み合わせは、実は最初のscriviamo!でTOM-Fさんと競作させていただいた作品を意識して書いています。

しかし。同じモチーフでもTOM-Fさんの作品は、あんなにハートフルで暖かいのに、私が書くとオカルトみたいになってしまうのはなぜ?


【参考】
【断片小説】樋水の媛巫女
【掌編小説】樋水龍神縁起 外伝 — 桜の方違え — 競艶「妹背の桜」
【掌編小説】樋水龍神縁起 東国放浪記 - 秘め蓮

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樋水龍神縁起 東国放浪記 
はなちる道
——Special thanks to TOM-F san


 春は近いとは言えまだ肌寒く、風が通り過ぎる度に、次郎は身を震わせた。振り返り馬上の主人を見やると、風に心を乱された様子もなく前方を見つめていた。

「春昌様、いいがなされましたか」
次郎は、主人の眉がわずかに顰められたのを見て訊いた。

「この時期に花が?」
春昌は、ようやく見えてきた里の方を見ているようだった。もう少し進むと歩いている次郎にも、その里の様子が見えてきた。確かにその里は、白い花が満開に咲いているように見えた。だが、今朝後にした里ではようやく梅がほころびはじめた寒さなのだ。

「山間の谷にありますから、霜の華でございましょうか。それにしては華やかに見えますが」

 次郎は、時期外れに花が咲いていようと、実のところ構わなかった。かつて住んでいた出雲の国では、仕えていた御覡である瑠璃媛の類いまれな霊力により、禍々しいものなどは近くに寄ることもできなかったし、故あって現在仕えている安達春昌もかつては右大臣の覚えもめでたかった陰陽師で、旅の間に現れた奇妙な邪神はことごとく跳ね返していた。

 侍者としての次郎の心配の種は、もっと他のところにあった。今夜の宿は確保できるのか、食べるものを得ることはできるのか。心細い旅だった。

 安達春昌は、慢心から樋水の媛巫女を盗み出して死なせた。その贖罪のために、陰陽頭の後継者とも囁かれた未来を捨てて、東国を彷徨っていた。媛巫女の遺言により、次郎はその春昌に付き添い、一度も出たことのない出雲の国を離れて、寂れた山道を共に歩いているのだった。

 里へ降りて近づいてみたところ、二人とも見えていた満開の花が、現実うつつのものではないことを知った。道の両脇に二十本ほどの桜の樹が立ち並んでいるのだが、その枝には固く閉じた花芽があるばかりで、春はまだ遠いと訴えかけているようだった。

 だが、その枝の至る所から、満開に咲き誇る桜の氣が満ちあふれ、存在していない白いはなびら の吹雪が終わることもなく降り注いでいる。尽きることなく降り注ぐその氣で、道は馬の足の半ばが埋まるほどに霞んでいた。

 次郎には生まれながらにして巷の人びとには見えないものを見る力があった。とはいえ、主ほどはっきりと見る能力がある訳ではない。さらに、その見えているものが何であるかを知るための知識も欠いていた。

「春昌様。これはどういうことなのでございましょう」
「わからぬ。だが、おそらくは……」

 馬上の主が答えかけたその時、後からやってきた馬の足踏みと、男の声が聞こえて二人は振り返った。

「なんということだ。黒や、なぜ進まぬ」
立派な狩衣を身に着けたその男を乗せた馬は、桜の並木の異様な様子に怯えてか、どうしてもその道を進もうとはしない。それどころか暴れるので、男は馬から落ちないように必至につかまらなくてはならなかった。

「あ、危のうございます」
次郎が脇にどいている間に、春昌は手印を組み、ほとんど聞こえないほどの小ささで何かを呟いた。公達の馬は、耳をぴくりと振るわせると暴れるのをやめて、春昌の馬の近くに寄って来た。

 春昌は、馬から下りて頭を下げた。頭上の男は、訝しげに二人を見て、それから口を開いた。
「もしや、お助けくださったのでしょうか。ここは何事もない普通の道に思えますが、何か禍々しきものがいるのでしょうか」

 春昌は頭を上げて、しっかりと男を見据えると口を開いた。
「禍々しいという訳ではございませぬ。けれども、馬の目にはまっすぐ歩けるようには見えぬのでございましょう。この道をお通りにならねばならぬ訳がおありでしょうか」

 男は、しばし口をつぐんだが、やがて頷いた。
「古き約束を果たしに参ったのです。危険があるとお考えですか。見れば、陰陽の心得があるようにお見受けいたす。それに賎しからぬご身分のようですが……」
春昌の色褪せてくたびれた狩衣に、首を傾げた。それから顔を見て何かを考えていたがはっとした。

「あなた様は、たしか陰陽寮にいらした……」
その言葉に、次郎は驚いて春昌の顔を見た。主人は特に慌てた様子でもなければ、懐かしそうな様子も見せなかった。

「ご明察の通り、陰陽寮におりました安達春昌でございます。二年前は兵衛少志でいらっしゃったお方ですね」
「やはりそうであられたか。私は土岐頼義と申し、今は兵衛尉従七位となりました。しばらくお見かけしないと思っておりましたが、いかがなさいましたか」

「二年前にお役目を辞し、このように彷徨の身と相成りました。訳はお尋ねくださいますな」
頼義は仔細が氣になってしかたないようだったが、春昌は口を閉ざすとしきりにもと来た道を振り返る公達の黒駒に手をやって落ち着かせた。

「春昌殿。あなたもこの馬と同じように、この先に進まぬ方がいいとお考えですか。ここは、父が郡司を務めている村、特に鬼神が出るとの話も聞きませぬし、かつて来た時には何の問題もなかったのですが」

 春昌は、じっと頼義の足元を見ていた。次郎ははっとした。桜の並木道から溢れ出てきている幻のはなびら が少しずつ頼義の黒駒の足元に集まりだしている。自分や春昌のところにはほとんど何も起こっていない。

 春昌は、頼義に言った。
「然り。この桜の怪異は、あなた様とご縁のあることのようですな。私がお守りしつつ、この道をご同行いたしましょう。もしお差し支えなければ、あなた様のおっしゃったお約束についてお話しいただけませんか」

「それはありがたい。ぜひお願いいたします。仔細は、喜んでお話ししましょう」
頼義が頷くと、春昌は道に向けて手印を組んだ。次郎には道にうずたかく積んでいた幻のはなびらが風に吹かれるように左右にわかれ、細い道ができたのが見えた。そのまま進む春昌に続き、左右に二頭の馬の手綱を持ち、次郎も続いた。

 並木道が終わって里に入る時に、次郎は後ろを振り返ったが、道は再びはなびらでおおわれ、さらに激しく花吹雪が舞っているのだった。彼は、この里から出ることはできるのだろうかと訝った。

 里の中は、特に変わったこともなく、幾人かの人びとが貴人である一行に軽く挨拶をした。頼義は、二人が今夜の宿を探していると聞き、「では、私がこれから行こうとしている家ヘ行きましょう」と誘った。それは里の一番奥にあり、他の民家からは少し離れていた。

「私がまだ元服したての頃でございます。この辺りに鷹狩りに参りまして、突然の嵐に襲われ里長の家で雨宿りをしたことがあるのです。年頃の娘が食事を運んできてくれたのですが、髪は長く色は白い、賎しい者の娘とはとうてい思えぬ美しさで、私はひと目で氣にいってしまったのですよ。衣を乾かしているうちに夜も更けたので泊る事になり、どうしてもその娘が思い出されてしかたないので呼び、秋の夜長に契りを結び交わしたのです」

 春昌は、ちらりと頼義を見た。都ですでに兵衛尉従七位となった前途ある若者が、若き頃に契った里の娘を今さら訪ねるのは少し珍しかった。

「見目麗しいだけではなく、優しき心映えの娘で、それから足繁く通うこととなりました。後のちまでもと誓い、いずれは屋敷に迎えようと思っていたのです。私は嫡子ですし、小さな里長の家に婿に入るという訳にはいきませんからね」
そういうと、頼義は少しだけ言葉を切った。春昌は黙って頷き、先を促した。

「けれど、まだその話がきちんとする前に、私は二十一歳になって、兵衛として京に上ることになったのです。今から六年ほど前のことです。いずれは父の後をついで大領になる身としては、断ることのできない大切なお役目でした。それを娘に告げたところ、一度も何かを願ったことのなかった娘が行かないでくれと泣いたのです。そこで私は、戻ってきたら必ず迎えにくるからと固く約束をしたのです。賎しい身分の娘とのことを反対していた父は、引き離せば忘れると思っていたようですが、京でも、思い出すのはあの娘のことばかり、想いの消えることはありませんでした。そして、私は都で思わぬ出世をしました。おそらく郡司の大領は弟が継ぐことになり、私は宮仕えを続けることになる。ですから、京の屋敷に愛しい娘を迎えようと思ってこうして訪ねてきたという訳です」

 目の前に少し大きい館が見えてきた。里長の家とはこれのことであろう。だが、次郎は眉をひそめた。屋根は破れ、草木が茂り、狐狸の住処のように荒れ果てた風情だったからだ。

「はて、どうしたことだろう」
そう言って奥に進もうとする頼義を、春昌は止めた。
「お待ちください」

 次郎は主人の視線の先を見た。そこには完全に立ち枯れた桜の老木があった。だが、その枝からは白く透き通った存在しないはなびら がわき出して、狂ったように舞い落ちているのだった。

 その葩の嵐は、一行を目指しものすごい勢いで舞い襲ってきた。春昌が次郎に「馬を!」と叫んだ。次郎は必死に手綱を握り、馬が怖がって逃げだしたり頼義を振り落とそうとするのを防いだ。

 春昌は、手印を組むと梵文で何かを呟いた。途端に、花吹雪は勢いを止め、それから緩やかに一行の上に降り注いだ。次郎は、女のすすり泣きが聞こえたように思った。

 春昌は一人で人けのない家の中に入っていった。次郎は不安に思いながら、何も見えていないらしい頼義に、彼らの見ている事情を説明しながら待っていた。しばらくすると、狂ったように降っていた花吹雪が止んだ。ほとんど同時に出てきた春昌が二人の元に来た時には、次郎にもあれほどあった白いはなびらが見えなくなっていた。

 春昌は家の中から扇を持ち出してきた。それを渡された頼義が訝りながら広げると、中にはきれいな筆蹟で和歌がしたためてあった。

「しひて行く人をとどめむ桜花……」
その先を声に出して読むことができずに頼義は泣き出した。

 一行は里に戻り、一番大きい家で里長の消息を訊いた。新しい里長であるその家の持ち主が語った事によると、五年前に里長一家は遠くへ行き、その行方は彼らにはわからないということだった。

「娘は、若様が京に行かれてから一年もせずにあの家で亡くなりました。産後の肥立ちが悪かったそうでございます」
「産後? 子どもが生まれたのか?」
「はい。珠のような女の子でございました。今どちらにいらっしゃるかは、手前どもはぞんじあげません」

 頼義は、思いもよらぬ成り行きにさめざめと泣いた。娘の形見であろう扇は、先ほどのはなびらのようにぼんやりと白く輝いていた。春昌は頼義に言った。

「あの家の中で、あなた様の想われるお方の残思とお話をいたしました。あなた様が忘れずに戻って来てくれたことを知り、ことのほかお喜びでした。その扇は肌身離さずお持ちくださいませ。忘れ形見の姫君へと導いてくださることでしょう」

 頼義は、泣きながら何度も頷いた。

 次郎は、ほとんど表情を見せずに語る主が右手を胸元に置いているのを見た。色褪せてくたびれた狩衣の内側に、濃い瑠璃色の勾玉がかかっていることを次郎は知っていた。許されることもなく、希望もなく、彷徨い歩く己の運命を思っているに違いなかった。

 頼義は、これから向かう父親の屋敷に逗留するように奨めたが、春昌は断った。頼義は里長に二人の数日の宿と世話を頼んだ。久方ぶりの心づくしのもてなしと、頼義から届けられた新しい狩衣や馬などに心から感謝して、二人は、かつて春昌も夢みた出世の道を進む頼義と反対の東へと旅立った。

 かつての里長の家に立っていた、枯れた桜の大木は、それからほどなくして倒れてしまったと言うことだ。

しひて行く人をとどめむ桜花いづれを道とまどふまで散れ

(古今403 詠み人しらず)


意訳:無理をおして出発する人を留めましょう。桜の花よ、どこが道かと迷うほど激しく散っておくれ



(2016年2月書き下ろし)
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Tag : 小説 読み切り小説

Comment

says...
春昌様だ、お懐かしい……!
何でしょう、うまく言えないんですけれど……
「樋水龍神縁起」の世界観って、いつも一気に違う境地に
導かれてしまいます。
それを改めて感じ……
綺麗……ちょっとぼーっとしています……
2016.02.12 09:46 | URL | #- [edit]
says...
やっぱり夕さんはすごいなぁ。本当に、感服いたしました。
いや、でもこの世界はやっぱり好きかも。私の中の夕さんとの出逢いはこの世界だものなぁ。うん、そしてひとつの歌から、まさに幽玄の世界が生まれましたね。うん、陰陽師だわぁ~(頭は勝手に野村萬斎さんを描いている^^;)
全然ホラーじゃありませんよ。いや、陰陽師が絡むような話はそもそもホラーと言えばホラーですけれど、幽玄なり、ですよ。上手く言葉が見つけられませんが、堪能させていただきました。
しかし、この畳みかける攻撃を見事に打ち返してこのクオリティ。すごいなぁ~
2016.02.12 14:15 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
執筆、お疲れ様でした。

今回もまた、とんでもない暴投をしてしまいましたが、さすがにクリーンヒットで打ち返してこられますね。まだまだ八少女夕さんには、敵わないなぁ。でも、チャレンジしてみて良かったです。

久しぶりに春昌ご一行の消息が知れましたが、彼も大人になったというか、ひとかどの人物になりましたよね。このまま野に埋もれさせるのは、ほんとうに勿体ない。いや、だからこそ、彼らの旅は実りが多いのか……。

うん、『桜の方違え』を思い出しますね。桜には、女性の思念が似合います。
和歌と春の花、そして人間関係まで、拙作のモチーフをとりこんでいただいて、しかも父親側からの物語を書いていただけるとは。今回もまた、読んでいてゾクゾクきました。オカルトなどではなく、とても優しくて美しい物語だと思います。
頼義という名が見えて、一瞬、源頼義かと思ってしまいました。だってほら、東国だとか左衛門尉だとか、ね。あ、土岐氏だと、武家出身の高家の方でしょうか。いずれにせよ、男性が武人(軍人)で出世(仕事)のために恋人を、という設定まで合わせていただいて、すごく嬉しいです。
頼義と村娘のようなお話は、平安時代のみならず昔はよくあったんだろうなと思います。たいてい、男性は仕事とか出世とか、そっちに行ってしまいますからね。イマドキの女性ならともかく、昔はね、こんなものですよね。ちゃんと約束を果たしにもどって来ただけでも、頼義はいい人だと思います。
形見の扇とか、小道具も心憎いです。したためられた和歌、込められた思いが切ないなぁ。
そして、桜が女性の思念を吸い込んではなびらを散らせる、というシーンも幻想的でいいですね。なんかまた、そちらの世界に行きたくなってきました。

今回もまた素晴らしいお返し作品を書いていただき、ありがとうございました。
ほんとうに楽しかったので、来年もまた、よろしくお願いしますね(厚かましく念押し)
2016.02.12 16:14 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんばんは。

時代物って、ずっと昔から憧れていたジャンルのひとつで、「私には難しいや」と長いこと手を付けていなかったのですが、この程度の読み切りで忘れた頃に書くくらいならば、と始めたシリーズでもあります。

普段の現代物とあまり変わらないような文章なんですが、実は下調べにものすごく時間がかかるので、執筆の手間が三倍くらいはあるのです。だから、お氣に召すと嬉しい(笑)

綺麗……おお、そんなに褒めていただくとじ〜んと、きます。嬉しや。

コメントありがとうございました。
2016.02.13 00:18 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こちらにもありがとうございます。

そうそう、所作はあの方をイメージしていただくと(笑)

私も、この世界は結構好きだったします。
福永武彦の「風のかたみ」が死ぬほど好きで、高校生の時からこういう世界に夢中になっていましたけれど、やはり知識が足りなくて長編は難しいのですよ。この一本書くだけで、他の掌編の三四本分の時間と下調べが必要でしたし。

この作品、とても難産だったのですが、何が大変だったかって、まずは使えそうな歌を探すところが。この詠み人しらずの和歌を見つけるまでは、本当にもうだめかと思いました。何かあっちの世界系のことが起こらないと、春昌はやることないし。

そういえば、彩洋さんが最初に読んでくださった長編は、「樋水龍神縁起」の本編でしたっけ。石のことや、「結婚してめでたしめでたし」でないところとか、もしくは根底に流れる宗教観などで、彩洋さんの「真シリーズ」と共感部分の多い作品でしたよね。

今年の皆さんの作品、本当にどれひとつとして簡単なのがないんです。頑張っているんですけれど、「なんだこりゃ」な部分もあって、でも、今の自分に書けるものしか書けませんよね。彩洋さんも、例年のことを考えるときっと難問に違いない。心してお待ちしています。

コメントありがとうございました。
2016.02.13 00:40 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

そして、なんか、すみません……。

今年の傾向なんですけれど、皆さんの下さる作品、手の届かぬ高みで完結している作品ばかりで、「下手に続編とか書けないよ。壊しちゃうもの」ばかりですよね。そして、TOM-Fさんの作品は、その最たるもので……。
最初は無理に例の軍人様のアフリカの話でもかこうかなと思ったんですが、ほら、私、軍隊や兵器のこと、さっぱりわかっていないし。でも、「花心一会」の設定もわかっていないことが多すぎて危険だから、そっちでも書けないし。こうなったら、全く関係のない話を書くしかない、ということでこうなりました。

兵衛府の話もよくわかっていないけれど、こちらは突っ込む方も少ないだろうし(笑)

春昌はこの旅の終わりにのたれ死にでございます。
それがわかっているので、こちらも書きやすいです。新しく成り上がっていく過程とか新恋人とか考えなくていいし。

そして使ったモチーフですが、本当は梅にしたかったんです。でも、梅ってあまり陰陽師が絡みそうな感じしないんですよ。それっぽい和歌もみつけられませんでしたし。
この詠み人しらずの歌を見つけて、これなら話になりそうと思ったので、ようやく執筆に取りかかれました。

春昌は出雲から、京都にはよらずに東を目指し、最終的には伊勢で亡くなる設定なので、今回は美濃のあたりかなと適当に考えまして、村娘とロマンスができそうくらいの身分なら国司ではなくて郡司の子という設定にしました。(兵衛は郡司の嫡子を集めていたというご都合主義の事実を発見して小躍りしました)で、美濃にいそうということで土岐を名乗らせました。辿れば清和天皇ですが、まあ分家の……。

後の設定は、全てTOM-Fさんのところからいただいてきたので、簡単にまとまりました。
娘に引き合わせようかとも思ったのですが、TOM-Fさんのところも行方不明のままだったので、不明のままにしてみました。

考えたらTOM-Fさんの時代物、ずいぶん長いこと読んでいないような。これで火がついてまた書いてくださるなら、それはそれでとても嬉しいです。楽しみだな〜。

素晴らしい作品でのご参加とコメント、ありがとうございました。
2016.02.13 01:00 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
私は(例のごとく)本編を拝読させていただいていないので、背景も前後関係もわからないのですが、そういう読者にも伝わるのです。

旅の途中の出会いと別れ、エピソードはドラマになりますよね~(*u_u)
扇ちゃん、導いてやって! と応援したい・・・
TOM-Fさんのお話の方は存じておりますので、そちらとの兼ね合いもとても気持ちが良かったです。

お花が絡む話は物語から香ってくるのですよね。
素敵なお話でした^^
2016.02.13 02:14 | URL | #- [edit]
says...
う~ん、サキも花びらを散らす桜を題材に書いたことがあったんですが、古代日本の方がずっと雰囲気があって素晴らしいですね。
こういう世界感の物語、サキは書くことは出来ませんから、ただただ感心して読ませていただくだけです。
梅の和歌には桜の和歌で返す、本当に返歌という感じでとても素敵でした。
馬の上にいる春昌には見えている景色が、地面を歩いている次郎にはまだ見えない。なるほどなるほど、サキは細かいところにこだわります。
頼義と娘、そして2人の間に生まれた子供の関係なども、なるほどなるほど、と楽しませていただきました。娘さん可哀想、でも生まれた子供のところには頼義はたどり着けそうな予感。どんな娘に育っているんでしょうね。
そしてこのコンビの不思議旅、この先どうなるんだろう?・・・って、のたれ死にですか~?
夕さん酷~い。
2016.02.13 11:23 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
こんばんは。

ああ、いいのです。
この二人は、本編でもちらっとは出てきますが、リンクでくっつけた断片小説の部分だけで、残りの長い記述は全部、その千年後の話なのです。
で、「東国放浪記」は書く度に読み切りとして読めるようにしようとしているシリーズなので、読んだままでいいのです。春昌は放浪している陰陽師で、次郎は従者、以上です(笑)

TOM-Fさんのお話の中では、行方不明の娘さんは意外と近いところにいるんじゃないの〜的に読めるところもあったので、童女でもそこら辺をうろちょろさせようかとも思いましたが、どう考えても蛇足な感じがしたので取っちゃいました。扇がきっと導いてくれますよね。

「東国放浪記」二つ続けて花の話になってしまいました。綺麗だし、書きやすいので、また花を絡めて書いてしまうかも。
香ってくるとおっしゃっていただき、本当に嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2016.02.13 17:38 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

うぉう、もう春ですか!
こちらもまともな冬が来る前に春になっちゃうかなあ。

サキさんのクウと桜のお話、印象的でとてもよく覚えています。
こんな桜の使い方もあるんだなあと、心から感心しましたっけ。

こちらは、ひねりも何もない平安時代の話ですが、これも非実在の桜でしたね。
現代物の方が、書くのはずっと簡単ですが、時々書きたくなるのです、平安時代の話は。

そして、あ、サキさんは氣づいてくださいましたね。
春昌に見えている風景が、次郎には遅れて見えてくるという件。
二人の立場の違い(主従で、乗馬と徒歩)がはっきりすると同時に、読者にも風景がイメージできるかなあと、こんな風に書いてみました。

娘はまだ五歳くらいだと思いますが、誰かが大切に育てているのではないでしょうか(すみません、なにも考えていなかったりして)

で、春昌ののたれ死にという設定は、最初に出てきた(リンクにつけた断片小説です)ときにそう書いちゃったので(笑)
もともと、この人たちこんなに何度も出す予定はなかったんです。春昌は、半分呪医、半分物乞いのような立場で次郎を連れて二十年くらい放浪して伊勢の近くで流行病で死にます。次郎はその後出雲の樋水龍王神社に戻ってそこで一生を終えます。瑠璃媛がすでにこの神社で祀られていたので、その背神として、のちに春昌もこの神社の神様として祀られることになります。

でも、せっかくなので、そののたれ死にまでの旅でのできごとを、オムニバス風に時折書こうかなというのが、このシリーズですね。

コメントありがとうございました。
2016.02.13 17:52 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
比べるとなんだかおもしろいです
同じテーマでもこちらはちょっと重い雰囲気
梅の香りに対して桜は倒れてしまったし…

そう言えばこのブログには美人は多いけれど
さわやかモテ系女子はあまりいませんね
今度一度見てみたいです
2016.02.14 13:19 | URL | #- [edit]
says...
こんにちは。

ね。同じモチーフを使っても、なぜかここまで離れてしまいました。
まったくどうして?

そもそも梅ではなくて桜を使った時点で、爽やかからほど遠くなる宿命でしたね。
花びら餅は大好きなんですが! (あ、訊いていませんか・笑)

さ、爽やかモテ系女子ですか?
そんなに自分から遠いものは、想像もつかなくてとても記述できないです!

なんてね。こんど頑張ってみようかな〜。

コメントありがとうございました。
2016.02.14 13:40 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
遅くなりました><

いやあもう、本当に鳥肌ものです。うっとりと、幽玄な世界と、狂ったように舞い散る白い花びらが目に浮かびます。
夕さんの才能に改めて感服。
私は時代物や陰陽師の世界にほとんど触れたことが無いので、知識も乏しいのですが、すっぽりと世界に浸らせてもらいました。
この時代背景でなければ描けない人の世の哀れとか、切なさとか理不尽とか。すべてをうまく生かして書かれる技がすごい。
いや、技ではなくて情緒ですね。

この物語もまだ読んでいなくて、春昌様は初めてのキャラだったのですが、もう完璧にかっこいいですね。しぐさ、目線、言葉。夕さんの物語にこんなにスマートで完璧な男性がいらっしゃったとは(めちゃくちゃ失礼な!)

切なくも優しい余韻を残す物語でした。グッジョブです。
2016.02.16 23:58 | URL | #GCA3nAmE [edit]
says...
こんばんは。

え。いや、その、お忙しいのにすみません!

うおお、お氣に召したのですね。嬉しいです。
この和歌を見つけたとき、桜の花吹雪が男性を引き止めようとわーっと降るイメージがありまして、それで作ってみたお話です。
同じ時代物でも、江戸時代だと、テレビの時代劇のイメージでもっと鮮明なんですけれど、なぜか平安時代はもう少しぼんやりとしたイメージですが、じつはとても好きなんです。でも、知識が足りなくて長編は書けないんです(泣)

現代物だと「知らなかったで済むか!」みたいな話も、この時代だと「そういうこともあったかも」と許されてしまう感じがあって、そこに「知らなかった必然性」みたいなものを考えずにポンと置けてしまう楽さもあるのですよね。
(だからこのお返しを平安時代にした……のです、すみません)

あ、本編は、ほとんど関係ないので、大丈夫です。
背景は、この作品で書かれているところだけぐらいしかないんです。
しかも、氣が向いた時に書くオムニバスの話なんで、ほぼ読み切りですね。

春昌は、力は強かったけれど、生まれが低くて差別されたことに反発して、しかも傲慢で野心家だったので、とんでもないことをしちゃって半ば呪医、半ば乞食同然に死ぬまで放浪することになったキャラです。贖罪の旅なんですね。
きっとそのうちにまた出てくると思います。その時はまた応援してくださると嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2016.02.17 22:08 | URL | #9yMhI49k [edit]

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