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Posted by 八少女 夕

【小説】春、いのち芽吹くとき



今日発表するのは、読み切り短編集「四季のまつり」の第一回、春の話です。一昨年まで「十二ヶ月の○○」というシリーズで月に一回掌編を発表してました。今年それを復活するつもりだったのですが、いろいろと事情が重なって1月と2月を発表できそうになかったので、年4回シリーズにしてみました。今年のテーマは「まつり」にしました。オムニバスでそれぞれの季節の祭やイベントに絡めたストーリーを書いていく予定です。第一回目は「復活祭」です。春は眠っていた大地が目覚め、死んでいた世界が復活するとき。そのイメージにひっかけて、十九世紀の終わりのカンポ・ルドゥンツ村での小さなストーリーを書いてみました。そして、この作品で、canariaさんの主催するwebアンソロジー季刊誌「carat!(カラット)」に参加することにします。



春、いのち芽吹くとき

 どこからか硬い規則的な音が響いてくる。ああ、もうキツツキが。彼女は、立ち止まって見上げたが、どこにいるのかは確認できなかった。結局、厳しい冬は来ないまま春がくるんだろうか。

 数日前からフェーンが吹き荒れ、雪はすっかりなくなってしまった。家の近くの池に張っていた氷もなくなり、鴨たちが再び戻ってきていた。ベアトリスは、ぬかるんだ小径を急いで歩いていた。大地は雪解け水を全て受け入れられるほどには目覚めておらず、表面にたまった水分が不快なぬかるみを作る。彼女の古ぼけた靴には冷たい泥がしみ込みだしていた。

 彼女は、丘の向こうの牧場ヘ行く途中だった。カドゥフ家は、この村では一番大きな牧畜農家だ。30頭近くの牛、それよりも多い山羊、それにたくさんの鶏を飼っていて、放牧やチーズづくりの傍ら、三圃式農業で小麦や燕麦、トウモロコシ、それにジャガイモなども作っている。

 来客でバターが必要になったから行ってきてくれと母親に言いつけられたとき、彼女の顔は曇った。

「どうしたのさ。秋には、別に用事もないのにあそこに入り浸っていたじゃないか」
母親は、仔細ありげな物言いをした。

 夏から晩秋にかけて、夕方にカドゥフ家の長男マティアスと小径のベンチで逢い、焼き菓子を二人で食べた。散歩が長すぎると母親に嫌味を言われても、どこからか湧いてくる笑顔を隠すことはできなかった。それが今、もしかしたらマティアスに逢ってしまうかと思うと、それだけでこの道を登っていくのが嫌になるのだ。

 学校は、復活祭の前に終わる。そうしたら彼女は、サリスブリュッケのホテルに奉公に行くことになっている。

「行儀作法を身につけて、料理がうまくなれば、村の若い衆の誰かがもらってくれるだろう」
去年の夏に父親にそう言われて、ベアトリスは嬉しそうに頷いたものだ。その時は、もらってくれる若い衆を頭の中に思い浮かべていたから。でも、今のベアトリスにはそんな未来予想図は何もない。

 あれはクリスマスの少し前のことだった。サリスブリュッケに住むディーノ・ファジオーリが大きいパネトーネを持ってベアトリスの家にやってきた。ディーノの母親とベアトリスの母親は、子どもの頃に隣に住んでいたので仲が良かった。

 パネトーネはイタリア語圏のクリスマスに欠かせないお菓子だが、アルプス北側のドイツ語圏ではまだ珍しい。イタリア出身のファジオーリ家は、毎年クリスマスの前にはパネトーネを焼く。そして、ベアトリスの家庭へと届けてくれるのだ。

 ディーノは、綺麗な包み紙で覆ったもうひとつ小さいパネトーネを持っていて、それを村一番の器量よしのミリアム・スッターにプレゼントするつもりだった。そり祭りの時に見かけて以来、彼はベアトリスに逢う度に、ミリアムはどんな物が好きか、偶然出会うにはどの辺りに行ったらいいのかなどのアドバイスを乞うのだった。

「それをさっさと持っていけばいいじゃない」
ベアトリスが言うと、ディーノは項垂れた。
「もう行ったよ。でも、受け取ってもらえなかったんだ。村の青年会に怒られるからって」

 サリスブリュッケはカンポ・ルドゥンツ村の河を挟んで向かい側にあるが、18世紀まで灰色同盟と神家同盟という別の国に属していた。そのため、百年経って同じ国の同じ州になった今でも住人同士の交際や結婚を好まない風潮がある。河を超えて結婚する場合には、それぞれの青年会の賛同を必要とするのだ。

 村一番の美女をよそ者に渡してなるものかと、村の若者たちはディーノがミリアムの周りをうろちょろするのを躍起になって阻止した。

「それに、それにカドゥフの奴に誤解されるのは嫌だって言うんだ。それって俺は失恋したってことだろ?」
ベアトリスはどきっとした。ミリアムが、そんな事を言うなんて。

 マティアスは、二年前に学校を卒業して以来、カドゥフ家で一番の働き手となった。今は両親たちが経営している牧場は、いずれは彼が引き継ぐことになる。子どもの頃から親を手伝って働いていたから、日に焼け、がっちりとした体格で力も強い。重い干し草の包みを荷車に載せる時などには、力強い筋肉の盛り上がりがシャツに隠れていてもわかる。ベアトリスはそんな彼の姿を見るとドキドキしてしまう。

 牧畜農家というのは、一年中、朝から晩までやることがあって、彼は村の同じ歳の青年たちのように夕方にレストランに集まって面白おかしい時間を過ごしたり、高等学校に進んだ学生たちのように韻を踏んだ詩を添えて花束を贈るようなことをする暇が全くなかった。

 夕方のわずかな時間に、牧場の近くの坂道で絞りたての牛乳を飲みながら休憩するのが彼の余暇で、それを知っているベアトリスがクッキーやマドレーヌを焼いて持っていく。広がる牧草地を見下ろし、河を越えた向こうに見える連峰がオレンジに染まるのを見ながら、なんという事のない話をした。

 彼との会話には、ロマンティックなところはまるでなくて、主に日々の仕事と生活のことだけだった。ベアトリスはカドゥフ家の牛や山羊のうち目立つ特徴があるものは言われなくてもわかるくらい詳しくなってしまっていた。そんな無骨な男のことを、自分以外の女性が、しかも常に村の青年たちに言いよられている綺麗なミリアムが好きになるなんて、考えたこともなかった。でも、もしそうなら、自分には全く勝ち目がないと思った。これだけ長く一緒にいても、彼の方からまた逢いたいとか、逢えて嬉しいという言葉をもらったこともなかったから。

 その残念な情報をもたらしたディーノは、ベアトリスのがっかりした様子には全く氣づくこともなくパネトーネの包みを持て余していたが、やがて彼女にポンと押し付けた。

「持って帰るのも馬鹿みたいだから、お前にやるよ。じゃあな」
失礼ね。ついでみたいに。でも、美味しいからいいか。

 帰っていくディーノに手を振っているところに、マティアスがやってきた。というよりも、いつも彼がここに来るから、この時間になるとベアトリスがこの場所で待つのが日課になっているのだ。彼は、彼女の持っているきれいな包みを見て、何か言いたそうにしたが、言わなかった。ベアトリスは、その奇妙な沈黙に堪えられなかった。

「ほら、見て。クリスマスプレゼントにパネトーネをもらったの。私にだってくれる人がいるのよ」
「そうか。よかったな」
「あなたは、ミリアムに何かプレゼントするの?」

 すると、マティアスは露骨に不機嫌な顔をした。
「なんだよ、それは」
「噂を聞いたのよ。氣分いいでしょ。あのミリアムに好かれているなんて。大晦日のダンスパーティのパートナーになってもらったら。みんなが羨ましがるわ」

 マティアスは、いらついた様子で言った。
「くだらないことを言うな」

 そうじゃない、君にパートナーになってほしいんだ。ベアトリスが期待したその言葉をマティアスは言わなかった。そのまま踵を返して帰ってしまった。彼女は、どうしたらいいのかわからなかった。

 数日経っても、いつもの散歩道に彼が来ることはなく、不安になったベアトリスは、マティアスの妹モニカに相談した。彼女はそれを聞いて頭を抱えた。
「馬鹿ね。マティアスは、そういう風に試されるのが大嫌いなのよ。あ~あ、彼を怒らせちゃったのね」

 大晦日のダンスパーティには行けなかった。誰からも誘ってもらえなかったし、マティアスとミリアムが一緒にいたりしたら、つらくて死んでしまうと思ったから。年が明けてから、ミリアムはトマス・エグリと一緒に来ていたと耳にした。マティアスはパーティには来なくて、年末からしばらく留守にしていると聞いたきりだ。

 他の牧場もそうだが、カドゥフ家も、夏の間に一日も休まずにせっせと働くだけでは経営が多少苦しいので、冬の間子どもたちはチャンスがあれば金持ちの殺到するリゾートで現金を稼ぐ。モニカも直にエンガディンに行ってしまったので、マティアスが出稼ぎから帰って来たかどうかもわからなかった。

 一ヶ月以上、彼がいつもの散歩道に来ず、連絡もなかったので、ようやくベアトリスは自分がマティアスとの上手くいきかけていた仲をめちゃくちゃにしてしまったのだと認めた。試すだなんて、そんなつもりじゃなかった。でも、そうだったのかもしれない。時間が経ちすぎて謝るチャンスすら逃してしまった。

 バターを買いに、ぬかるんだ道を歩くベアトリスの足取りは重かった。このまま、嫌われたのだと、はっきり思い知らされることもなく、痛みを忘れたいと思っていた。でも、もし今彼が家にいて顔を合わせたら……。

 門を通り過ぎて、鶏小屋の脇を通り、母屋で声を掛けた。ジャガイモの皮を剥いていたマティアスの母親が笑顔で「いらっしゃい、ベアトリス」と言った。それから、奥のチーズを作る小屋を指して言った。
「バターのことは聞いているわ。さっきマティアスに言っておいたから、もう用意してあると思うわ」

 彼女は、困ったなと思ったけれど、悟られたくないと思ったので「わかりました」と言って、重い足取りで作業小屋へ向かった。

 扉をノックして開けると、彼は大きな鉄鍋の下に薪をくべているところだった。ベアトリスを見ると「きたか」という顔をして立ち上がった。

「こんにちは」
上目遣いで見上げる彼女に構わずに、彼は冷えた石造りの別室から包みを持ってきた。口をきくのも嫌なのかしら。包みを受け取ってポケットから出した料金を渡そうとした時に、彼は「あ。これも」と言ってまた離れた。

 彼が持ってきたのは、茶色い紙に包まれたもう少し大きな包みだった。
「これは?」

「ルガーノで買ってきた。コロンバだ」
コロンバはイタリア語圏で復活祭に食べる鳩の形をした菓子だ。ベアトリスは一度だけ食べたことがあって、とても好きだった。
「私に?」

 マティアスは目を逸らして口を尖らせた。
「パネトーネをもらって喜ぶなら、これも好きだろうと思ったんだ」

 ベアトリスは、胸が詰まってしまった。彼は、彼女の紅潮した頬と、笑顔と、それから半ば潤んだような瞳を見て、口角をあげた。
「あんまりがっつくと復活祭がくる前に食べ終わっちまうぞ。あれ、その小さな袋じゃ両方は入らないな。待ってろ、いま何か袋を……」

 彼女は、そのマティアスを引き止めた。
「ううん。このお菓子、今日は持って帰らないわ」

「なぜ?」
「今日はこのバターが溶けないうちに帰らなくちゃいけないもの。コロンバは、あの散歩道であなたと一緒に食べたいの。だから、その時に」

 彼は、それを聞くと目を細めて頷いた。
「あの散歩道のベンチ、さっき行って残りの雪を取り除いておいたんだ。きっと明日には乾いているだろうから、また座れるな。夕方じゃなくて、まだ陽の高い三時頃はどうだ?」

 ベアトリスは、頷いた。
「ええ。ありがとう。それに……ごめんね」
「何に対して?」
「氣に障る事を言って」

 彼は、また眼を逸らした。
「俺、あの時は無性に腹が立った。お前まで、酒を飲んで深夜まで騒ぐような連中に混じりたいのかって。これまでダンスパーティに行きたいなんて思ったことはないし、毎朝早く起きなくちゃいけないから、これからも行くことはないだろう。でも……」

「でも?」
「ルガーノのホテルで浮かれて騒ぐ客たちを見ていたら、確かに楽しそうだなと思ったよ。みんなが行きたがるわけだ。お前だって、年に一度くらい楽しみたくて当然だ。俺のとやかくいうことじゃない」

 ベアトリスは、そんなんじゃないのにと思いながら彼を見た。彼は、彼女の目を見た。
「俺はお前に詩を贈ったりダンスに誘ったりはできない。それどころかいつも家畜の匂いがとれない作業服を着ている。……こんな俺はお前にとって失格か」

 マティアスの瞳には、わずかに臆病な光が灯っていた。私の中にあるのと同じだ、ベアトリスは思った。
「ううん。私はダンスや花やロマンティックなセリフなんていらない。背広じゃなくて作業服でも全く構わない。あなたに逢って話をするだけでとても幸せなんだもの。本当よ」

 彼は、ようやくいつもの屈託のない笑いをみせた。
「シャンパンじゃなくて、牛乳でも」
「絞りたての牛乳の美味しさを知ったら、シャンパンを飲みたがる人なんかいなくなると思うわ」

 彼は、コロンバの包みを高く持ち上げると、言った。
「明日、三時だ。一分でも遅れたら、俺がひとりで食っちまうからな」

 バターの包みを抱えての帰り道、両脇の木に淡い翠の芽が顔を出しているのを見つけた。たくさんの鳥たちが合唱をはじめた。春の光が大地の新たな息吹を呼び起こす。世界は、復活の準備に余念がなかった。命の甦り。歓びの祭典。すぐそこまで来ている。ぬかるみも、靴に沁みる冷たい水もなんでもなかった。

 ベアトリスは、幸福に満ちて坂道を下っていった。
 
(初出:2016年3月 書き下ろし)



 

追記


全くの蛇足ですし、あえて読む必要も全くないのですが、この二人「リゼロッテと村の四季」のジオンの両親です。まだ彼らが若いころの話です。

【不定期連載】リゼロッテと村の四季
「リゼロッテと村の四季」
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Tag : 小説 読み切り小説 webアンソロジー季刊誌・carat!

Comment

says...
冬の厳しさも伝わってくる文章でしたね。
勿論、春への期待にもつながっているところが、農家の大変さや期待感がしみじみと伝わっております。
私は町暮らしで引きこもりですから、こうさた作物の感謝の気持ちとかが伝わってくるのもグッときますね。
2016.03.03 14:33 | URL | #- [edit]
says...
こちらにもどうもありがとうございます。

そうなんです。春の歓びって、冬の厳しさに比例して大きくなるように思うんです。
今と違って、トラクターとか奨励金とか(今のスイスの農家のデフォルトです)ない時代の農家の皆さんは本当に大変だったでしょうし頭が下がります。今でも大変ですけれどね。

私も東京育ちでしたから、こちらに来てから農家ってどんな仕事をしているのかようやくわかって「へえ〜」と驚いています。
「リゼロッテと村の四季」シリーズにはそんなことも書いていけたらなと思っています。

コメントありがとうございました。
2016.03.03 22:44 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんにちは!
読ませていただきました。
むむ…村の青年会の了承が必要とは……なかなか難儀な話ですねぇ…
そんな状況ですから、ベアトリスの想いが奉公に行く前に伝わってホッとしました。

今の時期にピッタリの掌編で素敵です♪
2016.03.03 23:50 | URL | #- [edit]
says...
周りを見渡せば、いくらでも都会的な楽しみはいっぱい
あるのかも。
でも、この二人は、自分達二人の「幸せの形」をもう
見つけているような気がしました。

マティアスはどうやら違う方向でベアトリスの話を
受け取って拗ねていたようですね(笑)

それから、「おや」と思ったのは、地方特有の慣習と
それに伴うある種の拘束感。
日本だけかと思っていたのですが、スイスの地方でも
あるものなのですね。青年会にまつわるエピソードが
隠し味となって印象的でした。

二人の関係も春の訪れとともに氷解したのですね。
冬の厳しさと、それに伴う春への期待がとても印象的な
お話でした。
2016.03.04 00:44 | URL | #- [edit]
says...
執筆、お疲れ様でした。
今年は「まつり」シリーズなんですね。楽しみです。

現代よりすこし前の、スイス=牧畜農家というイメージどおりのお話で、生活と労働と、それに恋愛がしっかりと結びついた力強さを感じます。
現代でも、農業や畜産業は重労働ですが、機械のない時代はほんとうにたいへんだったろうなと思います。
ベアトリスは自分の魅力に自信がなくて迷っていたようですが、マティアスは自分と同じ厳しい生活をベアトリスが受け入れてくれるか、そこを悩んでいたんでしょうね。自分にそれだけの魅力があるのか、という面も含めて。
バターとお菓子が取り持った二人、なるほどジオン少年のご両親でしたか。
冒頭のベアトリスの足取りの重さと、春の到来に合わせた弾むようなラストの対比が、鮮やかでした。
2016.03.04 12:05 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんばんは。

この青年会云々は、史実なんです。
このカンポ・ルドゥンツ村というのは現在私が住んでいる村がモデルです。
そして、川向こうは、かつて別の国だったのです。
と言っても、日本と中国のようにではなく美濃国と播磨国のような。
スイスは日本よりも自治に対する思い入れが強く、もちろん今はだいぶグローバル化していますけれど、この話の頃はまだ他国の人間との結婚には青年会の承諾が必要だったらしいです。

五十年くらい前には、この慣習はもうなくなっていたらしいですが、その頃でも例えばブロテスタント出身だと「カトリックの娘との結婚なんか許しません!」なんてのは普通だったそうですよ。

今月の終わりがイースターですから、今スーパーにはコロンバや卵形やウサギ型のチョコレートが山積みになっています。
それで思い立った話です。
読んでいただけて感謝です。

コメントありがとうございました。
2016.03.04 21:53 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

この時代は、今のように車でひとっ走りチューリヒまで、ということは不可能な時代でした。なんせ車の乗り入れが長いこと禁止されていましたからねぇ。そもそも今ほど誰も彼もが車を持っていた時代ではないのですけれど。
だから、楽しみは村の中で完結している、という感じだったようです。
でも、それなりにいろいろと楽しんでいたのでしょうね。日曜日は安息日でしたから、週末と平日の違いもはっきりしていたのですけれど、農家は何もかも別。四時起きで、日曜日もへったくれもありませんでした。

マティアス、かっこよくいえばワイルドタイプ、ありていにいうと粗野なんですけれど、ベアトリスには違って見えている模様。
でも、それでも懐いてくれるオナゴだ〜と思っていたら、「何がダンスパーティだよ」と瞬間沸騰しちゃったみたいで……。その後は落ち込んでいたのかも。うん、拗ねちゃっていましたね。

上のコメ返でも書いたんですけれど、この青年会云々は本当にそうだったことで、「へえ〜」と印象が強かったことなのです。
「リゼロッテと村の四季」では、こういう「へえ〜」をいろいろと埋め込む予定でいます。

私たちの時代と、それに日本という「神さんでも仏さんでも、フランスでもアメリカでも、何でもいいじゃん」的な懐の広さに慣れていると、このあたりって今でも「ひえ〜」なことがたくさんあって面白いのですよ。

一応復活祭がテーマ(コロンバがテーマになっちゃいましたが)なので、冬にダメになりかけた何かが、また復活する歓びを感じていただけたら嬉しいです。

carat! 今年はこの読み切りシリーズで参加させていただきます。どうぞよろしくお願いします。

コメントありがとうございました。
2016.03.04 22:28 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

去年メモっておいた「十二ヶ月のアクセサリー」。どっかに消えてしまってまた一から練り直すのが大変なので、今年はこの「祭」4本でいくことにしました。メモが再発見されたら、来年は「アクセサリー」書けるかなあ。

スイスって、もちろん都市もあるんですけれど、農村の部分がとても大きくて、特にこの時代は牧畜農家は仕事が大変だったにも関わらずこの仕事に従事している人たちがとても多かったのです。今も日本に較べると多いだろうなあ。マティアスはロマンティックの欠片もない無骨な男ですが、ベアトリスが彼の仕事や人生に寄り添ってくれるか、彼なりにぐるぐるしていたみたいです。

「リゼロッテと村の四季」の子供たちではなくて、大人たちの人間関係も考えていて、どんな若者時代かなとシミュレートしている間に出てきました。やっぱり食いしん坊なうちのキャラたちです。

同じぬかるみでも、心のあり方ひとつで足取り、だいぶ違ってきますよね。冬から春に変わる一瞬を感じていただけると嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2016.03.04 22:45 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
以前は色々な制約があったんですね。
みんなその範囲内でなんとかやりくりをしていて、制約をはみ出すにはかなりの覚悟と努力が必要だったんでしょう。
でも、ベアトリスとマティアスが結ばれたんだったら、ミリアムとディーノはどうなったんでしょう?こんな風だったら振られちゃったのかな?なんだかそんな予感。
俯瞰で読んでいるとマティアスの気持ちは何となく伝わってきて、ベアトリスの揺れまくる心を楽しむことが出来るのですが、当の本人はたまったもんじゃないでしょう。
でも、基本マティアスは寡黙ですが優しい。親同士が決めたとか、無理やりでは無くて、一応の自由恋愛みたいだし、素直に良かったなと思います。それにモニカがいい味出してますねぇ。
与えられた範囲内ですが、つかみ取った幸せに満足するベアトリス、読んでいる方も満足感に浸ってホノボノしてしまいました。
2016.03.06 03:04 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
マティアスは俺様のくせにどこか臆病な筋肉タイプ、あ、違うか……ジオンのお父ちゃんという感じが漂っていて、なかなか素敵です。夕さんの書くメインの男性たちはみんな、ちょっとどこかに恋に臆病なところがあって(自覚はともかく)、でもみんな個性的で、並べてみたら面白い。あ、主役級ががしがし行くタイプだったらお話にならないか……多少ぐるぐるしてもらわないと。脇は脇でまたバラエティに富んでいて面白い。
昔の村の風習、なるほど、あるある、って思いました。結婚って、そもそもは家や村という社会組織を存続させるためのシステムですものね。青年会にとっても、村のハッピーな存続のためには大事な確認作業だったのかも。とかく自由が叫ばれる昨今ですが、どこかこういう縛りも必要なのかな……もちろん加減は難しいですけれど。
思えば、大奥ってすごいシステムだったのですよね。何が何でも子種を残す……
あ、話が逸れちゃった。でもほんとに、このシリーズ、夕さんの淡々とした筆運びの中に、村人たちの暮らし向き、人生、自然などがさらりと暖かく語られていて、素敵ですね。
ジオンの両親の何かがあの屈託ない彼を産み育てたわけなんですね。季節ごとの連載、お待ちしています(^^)
2016.03.06 15:13 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
こんばんは。

そうですね。
制約はありました。が、当時はその制約そのものが「あたりまえ」だったので私たちが思うほど窮屈と思っていたかどうかはわかりませんが。

ディーノは振られっぱなしで終わりです。
ミリアムは、パーティに一緒に行ったトマス・エグリと結婚してしまいますから(笑)

マティアスもベアトリスも大したことのないことで悩んだり、すれ違ったりしていますね。
きっと本人たちは真剣なんでしょうけれど。

マティアスは無骨で、氣のきいたことのひとつも言えないタイプ。ベアトリスは、でも、そういうことは求めてもいなくて、まあ、お似合いっていうか、破れ鍋に綴じ蓋なんでしょうね。

モニカは勝手なことを言って、さっさといなくなってしまいましたね。いずれ「リゼロッテと村の四季」にも出すかも。

ほのぼのしていただけて嬉しかったです。

コメントありがとうございました。
2016.03.06 18:12 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こちらにもどうもありがとうございます。

そうそう、違わないです。マティアスは脳みそまでほとんど筋肉です(笑)
最初にジオンの父ちゃんとしてのキャラが頭の中にあって、そこから若いころを想像して作っているので、この頃からもう意味不明に俺様だったりして。でも、さすがにモテるとは思っていません。女の口説き方もかなりわかっていない。でも、実は女って歯の浮くようなセリフを羅列されるよりも、無骨な男が一生懸命という方にきゅんと来ますよね。

日本も戦前くらいまでは社会の縛りがとても強かったと思うんですよ。いや、それどころか、私たちが子供の頃くらいまでと今って全然違いますよね。でも、たぶん当時の人間は「私は人権侵害の被害者だ」とか思っていなかったと思うんですよね。「そういうものでしょ」と自分でも思っていたというか。

この話は十九世紀ですけれど、「リゼロッテと村の四季」の二十世紀前半にしろ、「森の詩 Cantum Silvae」の中世にしろ、当時の風習民俗を取り入れて書くと同時に、現代人の感覚をできるだけ取り去って書かなくちゃなと思ったりしています。

で、このシリーズは「十二ヶ月の○○」シリーズと同じオムニバスです。次回は「リゼロッテと村の四季」関係ではなくて何か現代的なものを書こうかなと思っています。(すみません何も考えていません)

「リゼロッテと村の四季」は今年はもうちょっと真面目に本数書いていこうかなと思っています。こちらも読んでいただけたら嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2016.03.06 19:45 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
うっ…青春ハッピーエンドだ…うらやまし…
でも色々なしきたりがあるのはうらやましくないかな…
私は田舎には絶対に住めません><
(と言いながら、割と田舎に住んでますが、戦後の新興住宅地なので…)

でも、現代も別のしきたりがあるので、ベンチでイチャイチャしていると
近所の人から学校にクレームがいきますですよw
2016.03.07 14:09 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

あはは。読み切りで、春のものですから、いきなりバッドエンドは(笑)

田舎は……今でもうるさいところあるでしょうね。
でも、昔に較べたらずいぶん生きやすいらしいです。
私の住んでいるところ、五十年くらい前までは日曜日に洗濯するだけで隣人が警察呼んだそうです。
今は、問題なし!

最近はベンチでイチャイチャしていると「爆発しろ」とか言われるんでしたっけ。
外野には言わせておけ〜。大丈夫、ダメ子さんも心置きなくベンチでイチャイチャしてください。

コメントありがとうございました。
2016.03.07 22:15 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
この季節感がたまらなく良いですね。
イースターまでには学校が終わる。まさにこちらもそうなのです。
そして春を迎える、ではなく、そして秋を迎える、なところが萌えポイントで(何の話だあ><)

昔から変えられない風習・習慣、ありますよね。良い物だけ残してほしいなんてわがまま。
田舎の農業はホントいろんな作業があって、その合間に楽しむことをいくらでも考え出していたんですよね。
恋の駆け引きも今ときゅん具合が違って良い感じです^^
2016.03.12 07:32 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

おお、そちらもイースターで学年が終わるんですね。
この当時は、学校というのは冬の間だけだったんだそうです。その後は九月まで(主に農作業して)働いていたそうです。

そして、オーストララリアは、イースターが来ると秋なんですね!
サーフィンするサンタもそうですけれど、やっぱり南半球だあ。

この話は19世紀の終わり頃だから、車もないし人びとの移動も今ほどない、村の生活というのはある程度閉じられたものだったようでその制限の中で日々の楽しみや生活やら恋の駆け引きを紡ぎだしていたのでしょうね。

いろいろな歳時記は、どの国でも退屈な暮らしにちょっと色を付けてくれるのですよね。

きゅんとしていただけて嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2016.03.12 21:24 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こちら読ませてもらいましたー!
季節感も伝わってくるし、知らない外国の生活が感じられて新鮮な気分になりました(^^)

村同士のいがみ合いで恋愛も阻止されるですね……。
ベアトリスが相手を試すようなことする気持ち分かります(^_^;)私もついついやってしまう(-_-;)
そのせいで疎遠になってしまって、読んでてしょんぼりしたんですが、最後はちゃんと仲直りしてこっちまで嬉しくなりました(≧▽≦)やっぱり好きな人との間の誤解は早く解きたいですよね!

ほっこりするお話でした♪
2016.04.20 13:58 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

ありがとうございます!
去年はお休みしているんですが、それまでは月に一回、季節に合わせた掌編をオムニバスで書く「十二ヶ月の○○」というシリーズを続けていて、今回はその簡易版「四季のまつり」で四つの掌編を書く予定でいます。

この(私の小説にはよく出てくる)カンポ・ルドゥンツ村は、現在私が住んでいる村がモデルで、可能な限り実際にここであったことを書くようにしています。空想で書くよりも、「今ここにいる私にしか書けないこと」を。意外とそういう方が日本の方には新鮮だろうなと思います。

実際に、かつては私の住む村と、川向こうでは通貨や切手まで違ったのですよ。

好きな人をちょっと試してみたいって、ありますよね。相手があまり表現の上手ないタイプだと余計に(笑)
最後はマティアスもちゃんと自分を表現したから美味くまとまりましたが。これ、長編ならずっと誤解させておくのですが、これは掌編なのでさっさと幸せにしてみました。

読んでいただけてとても嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2016.04.20 21:21 | URL | #9yMhI49k [edit]

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