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Posted by 八少女 夕

【小説】絶滅危惧種

scriviamo!


「scriviamo! 2017」の第十一弾です。

大海彩洋さんは、『ピアニスト慎一』シリーズの番外編で参加してくださいました。ありがとうございます!


彩洋さんの書いてくださった短編 『サバンナのバラード』

大海彩洋さんは、ライフワークである「真シリーズ」をはじめとして、精密かつ重厚な小説を書かれるブロガーさんです。年代が近い、物語を書いてきた長さが近い、ブランクがあったことも似ているなどなど「またシンクロしている!」と驚かされることの多い一方で、えらい違いもあり「ううむ、ちゃんと精進するとこれほどすごいものが書けるようになるのか」と唸らされてしまうことがとても多いのです。

今回書いていただいた作品とその本編に当たる「死と乙女」でも、私のよく書く「好きなクラッシック音楽をモチーフに」に挑戦されていらっしゃるのですが、「なんちゃってクラッシック好き」の私とまさに「えらい違い」な「これぞクラッシック音楽をモチーフにした小説!」が展開されています。

で、今回書いてくださったのは、またまた「偶然」同じモチーフ「女流写真家アフリカヘ行く」が重なった記念(?)に、彩洋さんのところの女流写真家ご一行と、うちの「郷愁の丘」チームとのコラボです。というわけで、こちらはその続きを……。

しかし! 大人の事情で「ジョルジア in アフリカ with グレッグ」は出せませんでした。出すとしたら「郷愁の丘」が終わったタイミングしかなくて、それはあまりにもネタバレなので却下。そして、せっかくゲスト(奈海、ネイサン、ソマリア人看護師の三名)に来ていただいているというのに、某おっさんは、これまた大人の事情で取りつく島もない態度……orz。彩洋さん、ごめんなさい。ここで簡単にネイサンたちと仲良しになれるようなキャラに変更すると、本編のプロット大崩壊なんです。

ということで、おそらく彩洋さんの予想と大きく違い、別のもっとフレンドリーなホストで歓待させていただきました。こっちは、たぶん五分で意氣投合すると思います。


郷愁の丘「郷愁の丘」を読む(第1回のみ公開済み)
あらすじと登場人物


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郷愁の丘・外伝
絶滅危惧種 
——Special thanks to Oomi Sayo san


 普段はあまり意見を言わない看護師がぼそっと言った。
「どうしてわざわざシマウマを観に行くの」

 運転席で、それは当然な問いかけだなと彼は思った。アフリカのゲーム・サファリをする時に、シマウマを観るためだけに車を走らせたりする者はない。ライオンやチーターを探すついでに見たくなくても見えてしまうのが普通だからだ。

「見せてもらうのはただのシマウマじゃないんだよ。ね、スコット博士」
フランスから来た医師が彼に話しかけた。

「はい。これからお目にかけるのは、グレービー・シマウマです」
彼は後を振り返って答えた。彼の運転するランドクルーザーには、三人の客と一匹の犬が同乗している。助手席にはソマリア出身の看護師が座り、フランス人の医師と日本人の女性カメラマンは後部座席に座っている。そして、その後に踞るのは彼の愛犬であるローデシアン・リッジバック、ルーシーだ。

 ネイサン・マレ医師は、撮影をしたがるに違いない奈海が助手席に座った方がいいと主張したのだが、ルーシーがソマリア人を執拗に威嚇するので、距離を開けるためにしかたなくその配置にしたのだ。

「よくあることなんだよ」
スコット博士がソマリア人に謝っているとき、ネイサンは奈海に耳打ちした。

「なにが?」
「アフリカの番犬は、黒人にひどく吠えることが多いんだ。別にそういう教育をしているわけじゃなくても。そして、多くの黒人は番犬が苦手になる。そうすると、それを感じとる犬はもっと吠えるんだ」
「でも、ルーシー、最初は私やあなたにもずいぶん吠えていたわよ」
「まあね。番犬として優秀ってことかな」

 その説明を聞きながら彼は申しわけなさそうに言った。
「彼女は、ほぼ全ての初対面の人間にひどく吠えるんです」

「ってことは、例外的に吠えなかった人もいるってことかい?」
ネイサンが訊くと、彼は短く「ええ」とだけ答えた。

 彼自身の父親であるジェームス・スコット博士でも、その恋人であるレイチェル・ムーア博士でもなく、そして二人の娘のマディでもない。初対面の人間にひどく吠え立てるルーシーがはじめからひどく尻尾を振って懐いたのは、半年ほど前に滞在したアメリカ人女性だった。

 それは、やはり今日のようにマリンディの父親の別荘に滞在した時だった。彼の意思とは関係なく別荘に行くことになったのは今回と同じだったが、その女性は自分で招待したのだ。彼が誰かを招待したのはここ十年では彼女一人だけだった。そもそも、断られると思いながら誘ったのだが、彼女が意外にも簡単に招待に応じてくれたのだ。

 その時たまたまその場にいた旅行エージェントを営む友人リチャード・アシュレイは、彼のことを誤解したようだった。しばらく逢わないうちにすっかり社交的になったのだと。実際には、あいかわらず人間との交流を可能な限り避けている。リチャードは、半年前に彼の人生の沙漠に突然訪れた夢のような一週間のことは知らないだろう。それとも、不器用なために何の成果も手にしなかった話がすでに面白おかしく伝わっているのかもしれない。

 そもそもリチャードは、今回この三人の客を彼に紹介したわけではなかった。ホスピタリティにあふれ、時おりビジネスの範囲を大きく超えて客を歓待するリチャードは、彼に三人の客を見事に接待する能力があると思うほど楽天的ではなかった。

 そうではなくて、この別荘を実質的にいつも使っている人懐こい夫婦に、三人のもてなしを依頼したのだった。つまり、マディとその夫であるイタリア人アウレリオ・ブラスだ。

 アウレリオはオックスフォード時代から付き合いのあるリチャード・アシュレイの親友だ。彼が、リチャードを通じて性格の全く違う無口で人付き合いの下手なケニア出身の学生スコットに近づいたのは、大いなる下心があってのことだった。すなわち、一目惚れした彼の腹違いの妹と親しくなるための布石だ。

 その甲斐あって、マデリン・ムーアと首尾よく結婚したアウレリオは、今では彼の義理の弟となってケニアに移住している。そして、イタリア系住民のコミュニティのあるマリンディの別荘でバカンスを楽しむことも多かったし、親友リチャードの依頼を愛想良く受けてその友人を歓待することも好んだ。だが、愛すべきアウレリオには、大きな欠点があった。肝心な時に決してその場にいないのだ。

 今回もリチャードから紹介され、三人の客の受け入れを快諾したものの、ミラノでの商談の時間がずれ込み約束の日にケニアに戻って来ることが出来なかった。だが、別荘の本来の持ち主である義父ジェームス・スコット博士に代わりに接待をしろとは言えない。妻のマディは二人の子供を抱えていて簡単に250キロも移動できない。そこで急遽、鍵を持っているジェームスの息子であるヘンリーが呼びつけられたのだ。

「グレービー・シマウマって、普通のシマウマとどう違うの?」
日本人カメラマン奈海の声で彼は我に返った。シマウマの研究者である彼は、説明を始めた。

「グレービー・シマウマは、アフリカ全土でよく見られるサバンナシマウマ種よりも大型です。縞模様がよりはっきりしていますが、腹面には模様がありません。ケニア北部とエチオピア南部のみに生息しています」

「ずいぶん減っているんだろう?」
「はい。ワシントン条約のレッドデータでEN絶滅危惧種に指定されています。1970年代には15000頭ほどいたのですが、現在およそ2300頭ほどしか残っていません」

 奈海は驚いた声を出した。
「そんなに減ってしまったの? どうして?」
「縞模様が格別にきれいで、毛皮のために乱獲されたんです。そして、家畜と水飲み場が重なったためにたくさん殺されました」

「今は保護されているんだろう?」
「ええ、捕獲や殺戮は禁止されていますしワシントン条約で保護されたためにここ数年の生息数は安定しています。でも、エチオピアが建設を予定している大型ダムが完成するとトゥルカナ湖の水位が大きく下がると予想されています。それで再び危機的な状況になると今から危惧されています」

 ランドクルーザーは、アラワレ国立自然保護区に入ってから、ゆっくりと進んでいた。マリンディから130キロしか離れていないと聞いていたので、すぐに到着して簡単にシマウマが見られると思っていたが、すでに三時間が経っていて、いまだにヌーやトムソン・ガゼルなどしか目にしていなかった。

「ほら、いました」
彼は、言った。
「あ、本当ね」
ソマリア人が答えた。

「え? どこに?」
奈海は後部座席から目を凝らした。彼女にはシマウマの姿は見えていない。ネイサンが笑った。
「都会の人間には、まだ見えないよ」
「え?」
「サバンナに暮らす人間は視力が6.0なんてこともあるらしいよ。遠くを見慣れているからだろうな。十分くらいしたら君や僕にも見えてくるさ」

 本当に十分以上してから、奈海にもシマウマが見えてきた。彼は生態や特徴などについて丁寧に説明してくれるが、奈海が満足する写真を撮れるほどには近づいてくれない。窓を開けてカメラを構えるがこの距離では満足のいくアングルにならない。

「もう少し車を近づけていただけませんか」
「これが限界です。これ以上近づくことは許可されていません。向こうから近づいてくればいいのですが」

「でも、周りには誰もいないし、僕たちはシマウマにとって危険じゃないから、いいだろう」
ネイサンは、奈海のために頼んだ。
「車で近づくのがダメなら、私、降りて歩いてもいいわ」

「近づくのも降りるのも不可です。彼らをストレスに晒すことになりますから。この規則は、あなたたちに問題が降り掛かるのを避けるためでもありますが、それ以上に生態系を守るためにあるんです」

 警戒心の強いシマウマたちは、どれだけ待っていても近づいてこなかった。やがて彼は時計を見て言った。
「申しわけありませんが、時間切れです。もう帰らないと」

「まだ陽も高いし、少しスピードあげて戻ればいいんだし、あと一時間くらいはいいだろう? まだ彼女が撮りたいような写真は撮れていないんだ」
ネイサンがまた奈海のために頼んだが、彼は首を振った。

「この保護区内では時速40キロ以上を出すことは禁じられているんです。そして、夕方六時までに保護区の外に出ないと」

 これまでのサファリで、こんなに融通の利かない事を言われたことはなかったので、ネイサンと奈海は顔を見合わせた。頼んでも無理だということは彼の口調からわかったので、大人しく引き下がった。

 出かける前にパリに電話をかけていて出発が遅くなったことが悔やまれた。そう言ってくれれば、電話は帰ってからにしたのに。奈海は名残惜しい想いで遠ざかるグレービー・シマウマの群れを振り返った。

* * *


「ヘンリー!」
マリンディに戻ると、アウレリオと二人の子供たちと一緒に到着したマディが待ち構えていた。夫が三人の客たちに無礼を詫びつつ、リビングで賑やかに歓待している間、彼女は彼を台所に連れて行った。

「私たちの到着が遅くなって、三人の世話をあなたにさせたのは悪かったわ。でも、ヘンリー、あなた、まさかお客様にあれを食べさせたわけ?!」
彼女は、流しの側に置いてあるコンビーフの空き缶を指差した。

 彼は肩をすくめた。
「僕にフルコースが作れると思っていたのかい」
「思っていないけれど、いくらなんでも!」

 彼は首を振った。
「心配しなくても、焼きコンビーフを食べさせたわけじゃないよ。そうしようかと思っていたら、見かねたマレ先生があれとジャガイモでちゃんとした料理を作ってくれた」
「あきれた。マレ先生に料理させちゃったのね」

「だから、今夜は、まともに歓待してやってくれ。僕は、帰るから」
「食べていかないの?」
「今から帰れば、明日の朝の調査が出来る。それに、僕がここにいても場は盛り上がらないから」

 マディは、居間にいる四人と子供たちがすっかり打ち解けて楽しい笑い声を上げているのを耳にした。そして、打ち解けにくい腹違いの兄との時間で三人が居たたまれない思いをしたのではないかと考えた。ヘンリーは決して悪い人ではない。ないんだけど……。

「そんなことないわ。それにあの日本女性、写真家だし、弾む話もあるんじゃないの?」
マディは、含みのあるいい方をしたが、彼は乗ってこなかった。

 彼女は続けた。
「彼女と連絡取り続けているんでしょう? 行くって聞いたわよ、来月ニューヨークに」
「どういう意味だ」
「ママがあなたも行くって。あなたが海外の学会に行くなんて、珍しいことだもの。ミズ・カペッリに会うんでしょう?」

 彼は首を振った。
「ニューヨーク学会に行くのは、レイチェルがスポンサーに紹介してくれるからだ。もしかしたら援助してもらえるかもしれないから。ミズ・カペッリは忙しいだろうし、押し掛けたら迷惑だから連絡していない」

「どうして?! せっかく再会できるチャンスなのに、この間、ずいぶん仲良くなったじゃないの」
マディは、よけいなおせっかいとわかっていながら言い募った。

 彼は、答えずに彼女の瞳を見つめ返した。暗い後ろ向きな光だった。彼女は、よけいな事を言ったことを後悔した。上手くいっていたと思っていたのに……。

 彼は、「じゃあ、これで」と言うと表で待つルーシーを連れて車に乗り込み去っていった。

 人付き合いが下手な上、父親ともほとんど没交渉の彼のことを、マディと母親のレイチェルはいつも氣にかけていた。クリスマスや復活祭の食卓に招んだり、別荘での休暇に呼び出したり、学会でも声を掛けたり、彼が《郷愁の丘》に引きこもり続けないように心を砕いてきた。彼は、それを感謝し嫌がらずに出かけてくるが、自ら打ち解けることはまだ出来ない。

 逢ってまだ三十分も立っていないのに、もう昔からの親友のように楽しそうに語り合うアウレリオとマレ医師たちの声を聴きながら、彼女はこの世と上手くやっていけない腹違いの兄と比較してため息をついた。

 夫は彼女に近づくのに躊躇したり、迷惑だろうからと遠慮したりはしなかった。そして、それが彼女自身の幸せにつながった。だが、それをヘンリーに言っても助けにはならないだろう。彼はそういう人間ではないのだから。

 彼女は両親や兄のように動物学者ではないから、学術的なことはわからない。でも、進化論で「絶滅した種は環境に適応できなかったから」と言われているのくらいは知っている。他の生物と同じく環境に適応できないために種を保存できない人間もいるのかもしれない。

 彼女は頭を振ると、去っていった兄の愛するアメリカ人ではなく、パリから来た女流写真家と会話を楽しむべく居間へと向かった。

(初出:2017年2月 書き下ろし)
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Tag : 小説 読み切り小説 コラボ

Comment

says...
ま、仕方ない部分もありますよね。
自然が変われば絶滅していく種族もある。
恐竜だって絶滅したんてすからね。
なるべく自然体のままにっていうサファリのやり方もごもっともだと思います。
2017.02.16 13:25 | URL | #- [edit]
says...
執筆、お疲れ様でした。

タイトルを見て、へ? って思いましたが……
読み終えてなるほどと感心しました。
まあ、なんといいますか、その、アレですね。グレッグのダメダメぶりが、がっつりと伝わってきましたよ。たしかにこれじゃあ、人間版レッドブック確定ですね(笑)
真面目だからこそ、融通が利かないんでしょうね。いや、彼の言動は、完全に正しいとは思いますけどねぇ。

それにしても、こんなカタブツが、よくジョルジアに声を掛けられたなぁ……。
というか、この二人、そもそも上手くいく可能性が低すぎません?
でも、こういうお話を読ませてもらうと、ますます「郷愁の丘」本編が楽しみになってきますねぇ。
2017.02.16 16:32 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんばんは。

絶滅危惧種をどう保護するかは、とても難しい問題ですよね。
恐竜の絶滅に関しては人類の責任は皆無ですが、現在ものすごい勢いで失われていく生物の多くは人災によって絶滅していきます。
ただ、保護のあり方についても異論があって、お金の集まりやすい動物(パンダなど)は保護されるのに、そうでない動物もいるなど、そこにも人間のエゴとお金の問題が影響しているようです。その一方で、人間が餓死している時に動物の保護かという異論もあって、何にどう優先順位をつけるかはその時々の状況やトレンドに左右されてしまうようです。

アフリカに限らず、ゲーム・サファリを観光化することによってその地域が経済的に潤ったり、環境保全に必要なお金が捻出されるということはあるのですが、そうやって踏み荒らされることによる環境破壊もあるんですよね。これまた難しい問題です。

コメントありがとうございました。
2017.02.16 21:13 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

あはははは。「だめだこりゃ」な感じが伝わりましたか。それはガッツポーズ!
そうなんですよ。
なんというのか「ロシア人並のアル中」「手癖が悪い」「女にだらしない」「借金して返さない」などなどのマイナスポイントは何もないんですけれど。ええ。「本当にいい人なんだけれどねぇ」っていう、アレです。

そうなんですよ。「言っていることは正しいんだけどさ、え〜と」なんですよ。角が立たないようにユーモアで包む高等技術もなくてねぇ。

そして、ジョルジアに声を掛けたのは、ええ、「こんなチャンスは二度とない」と勇氣を振り絞って、でも「きっとダメだろうな」と思っていたらあっさりOKされてあらびっくり、みたいな話でした。まあ、その辺は、本編で(笑)
上手くいかなそうでしょう? そりゃ、私の書く話ですからねぇ。そんな簡単に上手くいくわけが(以下自粛)

興味を持っていただけて嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2017.02.16 21:29 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
わ~いい。シマウマのお話、待っておりました。
あ、シマウマで来るかどうかはまだ分かっていなかったのですけれど……夕さんのscriviamo!のパターンとして、続き場面になっているパターン、同じ場面を別方向から見るパターン、同じシチュエーションを使って別のシーンを書くパターン、などがあるのですが、うちはいつも続き場面を強要しているような気がしてきました。これってけっこう面倒くさいのかもなぁと反省。
でもさすが、シマウマの情勢とかを織り交ぜて、そしてスコット博士とジョルジアの物語のプロローグ的側面もあって、うちのもちゃんと絡めていただいて、ほんとに短い中にあれこれぎゅっと詰まったお話をありがとうございました。

ヘンリー・スコット博士のような人は確かにいますよね。でも、この手の人が恋愛において成功(が何かは難しいけれど)をつかむには、相手がとても難しい。積極的で頑張り屋の押しかけ女房タイプが、たまたま彼を見初めてくれたらいいけれど、だいたいそんな女性はもっとはっきりとした男のところに行くだろうし、自分のことを残念だと思っている(ジョルジアのような)女性だったらタイプ的に近くてどちらからも前に進まない、ってな話になってしまうし。後者パターンでどう展開していくのかを楽しみに待つことにします。ぐるぐるに、今回はシマウマが加勢してくれるんでしょうか。まさか、シマウマもいっしょにぐるぐる? あ、ストライプはまっすぐだし、白黒はっきりしているから大丈夫か(でも、単純な白黒じゃないって言ってましたね、予告編で)。

それにしても、夕さんのところに出してもらうと、うちのキャラ(っても、即席のキャラも多いけど)、なんか得している感じです。
実は奈海については、「テオドールの姉の親友という絡みで知り合った慎一との間に子どもができたものの、音楽に対しては気むずかしいパートナーに疲れちゃって、都会にも疲れちゃって、アフリカに行っちゃうカメラマン」というかなりざっぱな設定しかなくて(家系的には大事なのに)、今回むりくり肉付けをしたのです。
でもけっこう粗い肉付けだったので、こちらを拝読しながら、ほ~、そんな一面が、とか、人ごとのように感心していたりして^^; パリにいるときはクールで親しい人以外とは深入りもしない人見知りタイプだったのですが(何せ3人娘と言っても、彼女にはスポットライトは当たっていませんから)、ネイサンといっしょにいると本来の自分らしくやっていられるんだろうなと、夕さんちに出させてもらって、新たに発見している次第です。慎一との生活はまぁ、大変でしたから。何せ、相手は音楽のことで頭がいっぱいで、当時は奈海のヒモ状態…
これって、なんかscriviamo!の面白さなんだろな、と思いました。ニューヨークのシリーズってそういう側面大きかったですものね。どんどん夕さんと相手の人の間で(ポールさんとTOM-Fさん?)肉付けがされていって……あ、エムもか。
私も今度は、まるきりの別のワールドでチャレンジしよっかな。

ネイサンなんて、まるっきりこのためだけに登場したので、ほ~、けっこう色々面倒見がいいんだな~、ってまさに夕さんちのキャラを読むような……アフリカで活動して生きて行くには人脈は大事って感じで、この人もここで暮らしている内に変わってきてるんだろうな。だって、そもそも都会での仕事を捨てて出てきたって事は、もともと偏屈な人だったと思うのですよね。
だからネイサンは、ヘンリーの人となりは、けっこう納得して見ているのかも。それで自分がコンビーフでご飯を作ったんだな、うん(でも、なぜ奈海じゃなくて? いや、確かに奈海は料理しなさそうなんだよな~。慎一も、食うより音楽をやっていたい人……仕方なくレイナは一人でご飯も作れる娘になってる^^; いまんとこ、猫まんまだけど)

奈海もネイサンも、そしてほとんどしゃべらない看護師も、ヘンリーとの一晩は、意外に気まずくもなく、4人でコンビーフ・ジャガイモ料理と少しの酒を前にして、まぁ何となくそれなりに過ごしていたんじゃないかな。最初はあれこれ話しかけたかもしれないけれど、そもそも三人とも決して社交的ではないので、ヘンリーの様子を見ているうちにその性質は分かるだろうから、あ、この人はこのペースでいいのかって、無言の世界に入っちゃって、それはそれで奈海もネイサンも気楽で良かったりして。

この先掘り下げて書く予定はなく、これがなかったら名前だけで日の目を見ないキャラたちだったけれど、scriviamo!のおかげで披露することができました。
袖すり合うも……なことになったので、ヘンリーの仕事と恋の行方、彼らと共に応援したいと思います。もちろん、ぐるぐるぐるを(あ、一つ、増えてる)大いに期待!
連載、楽しみに待っておりますね!
あ、長くなっちゃった。
2017.02.18 01:19 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
こんばんは。

いやあ、がっつりシマウマだけはちゃんと出しました(威張っ)

そして、なんか今回も薄氷を踏みつつのお返しだったんだけれど、まだ絶交されていないみたいで、ああ、よかったという感じでございます。キャラを貸していただき、勝手なことを書き散らしましたがお許しくださいませ。

今回悩んだことがいくつかあって、その一つが「え? シマウマを見せてくれるって……それは東京でハトとカラスのバードウォッチングに招待したみたいな……」でございました。それに地理的な問題もあって、そちらのコメでちょっと書いたように、マリンディのものすごく近くにひとつ国立公園があるんですが、そっちはサバンナではなくて森林なんです。で、バードウォッチングなどがメイン。あ、海洋公園もすぐ側にあるんですけれど、そっちは話の流れから言うと論外。で、上手くシマウマを特別に見せてさらに話の流れからおかしくないのは……と悩んで「おお、北に走ればグレービー・シマウマがいる!」と氣づいたのはラッキーでした。でも、そうなるとけっこう時間がなくなりそうなのに「奈海が悠長に電話しているぞ。時間が〜」という件で、こうなったらそのままこれを使ってしまえ、というプロットにしました。

それと、彩洋さんの作品が上手に慎一シリーズの人物紹介になっているので、「だったらこっちも上手くアフリカチームの紹介にならないかなあ」と。少なくとも本編でもあまりはっきりとは出てこない、グレッグとリチャードとアウレリオの関係を少し書けて、さらにマディまで上手く出せたので自己満足していました。ちなみに二人の子供のうち下の方はまだ生後三ヶ月なので、マディがグレッグと話している間、おそらく奈海かソマリア人が、「よ〜ちよち」とだっこしていると思われます。もう一人は5歳のおしゃまなメグ。もしかすると奈海はレイナを思い出してぐっと来ているかも?
本当はもう一人リチャードのところにいる中国人女性の話も出そうかと思ったんですが、あまりにも無意味に長くなるので涙をのみました。

彩洋さんが指摘していらっしゃるように、「なんでネイサンが飯作る」なんですけれど、実はこれも悩みどころでした。最初に除外したのはソマリア人です。彼女はこの場でたった一人の有色人種(日本人も有色だけれどアフリカではたいてい除外される)で、ここで彼女が料理を作るとまるで白人が黒人をメイド扱いしているみたいな絵柄になるんですよ。それで却下。そして奈海は、地雷を踏む危険があったのでやめました。彩洋さんのところのキャラって、一人一人本が一冊以上書けそうなちゃんとした設定があるじゃないですか。ましてや慎一の最初のパートナーってことは、超細かい性格設定がありそうで、料理作るにしてもシェフ並のフルコースをちゃっちゃと作る人か、それとも「みそ汁ってどうやって作るんだろう」系の女性か、わからないじゃないですか。そして、料理が好きだとしても基本的に日本の女性は他人の台所を我が物顔に使い「あんたの料理は食べられそうもないからどいていて」とは言わないだろうなというのもあって、「う〜ん、これは手を出さない方がいいぞ」と思ったんです。

一方、ネイサンもどんな人かはわかっていませんが、少なくともウルトラメインキャラではなさそうだから、ちょっと違うことを書いても逆鱗に触れる可能性は(奈海でやるより)少なそうだし、フランスからアフリカに来て人道的な仕事に走るタイプの男って大抵のことは一人で出来る、でも、竹流みたいなこだわり料理ではなくて、ある物で適当に豪快に作るタイプの料理をするだろうと判断したんです。それに男のネイサンなら「なんだ。何も作れないんすか。なんならやるけど」とダメなホストに言ってもそんなに角が立たないし。

そして、「郷愁の丘」本編に関する彩洋さんの分析はかなり鋭いところをついていて、少なくともこの話はグレッグの側からは全然進まないんです。まあ、最初のボールを転がしたのはグレッグですけれど、あとはなんというか、偶然と、それからシマウマは全く加勢してくれませんが、アフリカは思いっきり加勢していますね、そして、どういうわけか、あのジョルジアが例の「最後の晩餐」の手紙みたいなプッシュをする羽目に陥って進んでいくんですね。で、例によってお約束のぐるぐるで、一向に進まない(笑)

彩洋さんが毎年用意してくださる作品は、どれもコラボのためのお遊びではなくて、ちゃんと彩洋さんのところの作品群の一つになっているので、もちろん下手なことをして流れに水を差さないようにと氣を遣いますし、そのテーマの重厚さにおちゃらけて返せない分とても力を入れて書きますけれど、私はこういうのいいなあと思っているんですよ。薄氷を踏みつつですけれど。scriviamo!のいいところは、それぞれの参加者の方の作品に合わせて、こちらの作品もものすごく色が変わるところで、それで私も飽きずに続けられるんだと思っています。

で、これ一年中そうだと死んじゃいますが、たったの二ヶ月だけなので、年に一度の強化合宿みたいなものだと思ってこれからも続けたいと思っていますので、どうぞ来年もぜひ彩洋さんらしさ満載の作品で遊んでくださいね。

本当にお忙しいところ、素晴らしい作品と、いっぱいのコメント、ありがとうございました。



2017.02.18 18:58 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
あれ?こんなところにもコンビーフが。前にも焼きコンビーフが旨そうだったような記憶があるんだけど・・・どのお話しだったろう?今、サキは焼きコンビーフが食べたいです。

そして相変わらず愛想の悪いのがまたここにも・・・。彼、筋金入りですねぇ。
他の生物と同じく環境に適応できないために種を保存できない人間、絶滅危惧種って・・・言い得て妙だと思うんです。でも彼、優秀な学者として喰って行けてる段階で、すでにちゃんと環境に適応してるんじゃないでしょうか?種の保存(って、身も蓋も無いけれど)という観点からはまだまだですけれど。
そして自然保護区で彼がとった言動はとても素晴らしいと思います。そしてとても彼らしいと思います。
奈海達にとってはとても残念だったとは思うのですが、動物保護という観点からすれば、僅かでも原則を曲げたり、融通をきかせたりすることは、けっしてよい効果は生み出さないと思うんです。サキは角を立てるくらいの厳しい言い方で丁度いいんじゃないと思ったり・・・。
アウレリオと二人の子供たちと一緒にマディが到着したので、これでちゃんとゲーム・サファリ?が楽しめるのかな。

でもマディとグレッグの会話を読んでいると、さすがのサキもおでこに手を当てて顔を左右に振り「ヤレヤレ・・・」と言ってしまいますね。
マディ、ちょっと早まったかな。よけいに殻が閉じてしまったような。
グレッグとジョルジア、どうやったらこの2人が接近するのか。
楽しみに待たせていただくことにします。
ふつう、こういう組み合わせは成り立ちませんから。

アフリカかぁ。憧れちゃいますね。
サキにとってはジブラルタル海峡の向こうに眺めるのが精一杯です。
2017.02.19 11:55 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
こんばんは。

お、よく憶えていてくださいました。
サキさんがおっしゃるのは、「ニューヨークの異邦人たち・外伝」カテゴリーに入っている「最後の晩餐」というストーリーです。ここで、グレッグの祖父であるアル中老グレッグが、孫である小さいグレッグが来る度に出していたと説明しているのが焼きコンビーフです。ほとんど料理とは言えないこの料理、グレッグにとっては「あれなら何も見ないでも作れる」たった一つの料理なんですが、さすがに付け合せも無しでそれだけを出すのはまずいかなと思うくらいの常識は持っています(笑)

そして、マディはグレッグの異母妹なので彼女も老グレッグの孫で、老グレッグのことをアル中の困ったお祖父さんという認識でいて、「あの人と同じものを出したの?!」と仰天している……というのが、背景にあるんですけれど、こういう細かいところばかり書くと長くなるし、この作品では重要ではないので説明は全部省いてあるわけです。

そして、グレッグは博士号はとっていますが、決して特別優秀な学者ではありませんし、それだけで食っていけるというほど成功しているわけでもありません。どちらかというと窓際系な上、さらにいうと研究も地味でなかなか評価されにくい立場にいます。何で飢え死にしないかと言うと、単にニューヨークやロンドンのごとく生活費がかからない上、さらに趣味も何もないからです。

学者の世界も、研究だけ頑張っていれば出世するというものではないので、こういう人付き合いの出来ない人は、よほど天才的な脳みそでも持っていなければ突出することはないです。そして、グレッグの父親であるジェームス・スコット博士とその恋人であるレイチェル・ムーア博士はどちらもものすごく優秀な上、人間的にもそつなくちゃっちゃとこなすタイプであるため、成功した学者です。

この対比が、けっこう大事なんですよ。ご存知のように、うちの主要キャラは、ほとんどが低スペックです(笑)

奈海たちに対しても、優秀な人たちというのは、こういうモノのいい方はしないと思います。いい方は丁寧なんですけれど、こんな真面目に拒否してしまうと、相手の方に後味の悪さが残るので、上手な人はもう少しいい方を面白くしたり、バーターで出来る範囲のいい目に遭わせてあげたり、ちゃんとその辺の駆け引きができると思うんです。そこら辺が、このグレッグに恋人どころか親しい友達すらいなくて、犬と二人ぼっちでいる原因なんですよね。

で、私は、こういう「不器用だから上手くいかない」人たちに少しだけ加勢したくなってしまうんです。

奈海たちは、ここではもうこの手のサファリはしないと思います。サバンナまではやたらと遠いですし。今回は彩洋さんのお話の続きで強引に書きましたが、ナイロビからマリンディに来てまでサバンナのサファリに行くという設定って実は無理があるんです。ゲーム・サファリをしたいならナイロビのすぐ側で可能ですし。アウレリオは海洋公園に連れて行ったり、ヨットで遊んだり、特大カジキマグロを食べにいったりと、海洋リゾートらしく歓迎するはずです。

グレッグとジョルジアの物語は、実はマディやその娘のメグ、そしてレイチェルも知らずにいろいろと後押しをしてそれで進んでいくと言うかなり他力本願なストーリー展開になっています。「この組み合わせは無理っぽい」と皆さんがおっしゃる二人がどうして進んでいくのかを納得できるような作品に仕上げるのが、腕の見せ所かなと思っています。頑張らねば。

三月からぼちぼちと連載を開始していく予定ですので、読んでくださると嬉しいです。

アフリカは、うん、すごいですよ。
ただ、憧れて覚悟なしにいくには強烈すぎるところです。
とくに便利でまあまあ礼儀正しく恐ろしく清潔な日本社会に慣れている方にはカルチャーショックが……。

でも、「絶対に二度といくものか!」という方にはまだあった事がありません。口を開くと「いかにひどい目に遭ったか」ばかりの方でも。それがアフリカの引力なんだろうなと思います。

コメントありがとうございました。
2017.02.19 19:05 | URL | #9yMhI49k [edit]

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