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Posted by 八少女 夕

【小説】バッカスからの招待状 -11- ラグリマ

WEB月刊誌「Stella」参加作品「バッカスからの招待状」です。東京・大手町にある隠れ家のようなバー『Bacchus』。バーテンダー兼店主の田中佑二が迎える客たちのなんて事はない話をほぼ読み切りのような形でお届けしてます。

今回は、Stellaの主催者であるスカイさんから「モンスター」というお題もいただいていたので、ものすごく強引にですが、モンスターの話題も混ぜてみました。


月刊・Stella ステルラ 8、9月号参加 連載小説 stella white12
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バッカスからの招待状 -11- 
ラグリマ


「スクォンクって知っている?」
連れの女性が、独り言のようにつぶやいた。それは、ここに着いた時から泣いてばかりいるもう一人の女性に話しかけたかのようであり、その一方で、斜め前に立っている田中に話しかけたようでもあった。

 田中は泣いている女性の方を可能な限り見ないようにしていたので、この問いかけにどう反応しようか迷った。もちろん彼はスクォンクが何であるか、見当もつかなかった。スカンクの言い間違いとは思えなかったし、このいたたまれない状況にスカンクという単語は場違いでもあった。

 大手町のビル街の中にあるバー『Bacchus』は、週の初めはさほど混んでいない。まだ、時間も早い。店主でありバーテンダーでもある田中は、この小さな店をほとんど一人で切り盛りしている。彼は、常連の客の名前をほとんど憶えているが、この女性はかつてある男性客に連れられて一度来ただけの客で名前は知らなかった。泣いている方は、初めてだ。

「なに……それ」
頭を上げた女性の顔が見えた。意外な事に化粧はほとんど崩れていない。田中は、おや、本当に号泣していたわけではないのかと思った。

 連れの女性はそんな友人に慣れているのだろうか、特に表情も変えずに言った。
「架空のモンスター。イボや痣に覆われていて、いつも泣いているんだって」

 すると泣いていた女性は真っ赤になって怒り出した。
「私がこんなに悲しんでいるのに、イボと痣のあるモンスター呼ばわりするなんて、どういうこと? 本当に冷たいわね! もういい。私帰る!」

 バックと上着を掴むと、そんなハイヒールでどうやって飛ぶように歩けるのかわからないが、とにかくものすごいスピードでドアから出て行ってしまった。田中が呆然として見送ってから、もう一人の女性の方を見ると、彼女は小さく笑った。

「大丈夫よ。彼女の分もちゃんと払うから心配しないで」
「いえ、その心配をしているわけではありません。差し出がましいですが、追わなくてよろしいのですか」

 女性は、首を振った。それから手元のレモン入りペリエのグラスを傾けた。
「いつものことよ。二週間もしたら、また新しい恋の話を聴かされるに決まっているの。失恋の悲しみなんて彼女にとってはルーティンみたいなもので、次の『運命の相手』に出会ったら、すぐに消滅してしまうのよ」

 田中はその話題は避けたほうがいいと思ったので、グラスを片付けながら訊いた。
「先程のスクォンクという生き物について、もう少し教えていただけませんか」

「あら、興味がある? アメリカのどこかの森にいるんですって、異常なまでに内氣で常に涙を流しているんですって」
「ネッシーのように目撃譚があるのですか」

「さあ。でも、あるから、そういう具体的な話が伝わるんじゃないのかしら。学名までついているそうよ。Lacrimacorpus dissolvensって言って、涙に溶けてしまう体って意味なんですって。怖がらせたりすると大泣きしてその涙で体が溶けてしまうから」

「ラクリマコルプス……ですか」
「悲しいことがあった時に、その話を思い出すの。涙で体が溶けてしまったら、辛いことから解放されていいなあなんて。そう望む人間が作り出した話なのかもしれないわね」

 彼女は、伏し目がちにほとんど表情を変えずにペリエを飲んだ。先程の女性は、あまりにも大げさに泣き声をあげていたが、特に辛そうとは感じなかった。けれどこちらの女性は、どこか心配になるような心の重さが感じられた。

「涙にして流してしまうと楽になるのかもしれませんね。そうでなければ、話してしまえば忘れることができるのかもしれません。もしくは、ドリンクに溶かして飲み干してしまうのもいいかもしれませんよ」

 女性は口の端だけで笑うと、ペリエのグラスを飲み干した。
「商売上手ね。せっかくだからこの会話にぴったりのお酒をいただきたいわ。溶けてしまわないように、外で泣き出してしまわないように、想いを溶かして飲み干してしまえるようなお酒を」

 少し考えて、田中は緑色の瓶を取り出した。
「涙を意味するラクリマ、ラグリマという言葉を戴いたお酒は幾つかありますが、このポートワインはいかがでしょうか。白ワインよりもずっと甘いですが、デザートワインほどは甘くないので飲みやすいです」

 グラスにそっと注ぐと、琥珀に近い白い液体の中を、わずかにゆらぐ模様が見えた。彼女は、それをゆっくりと口にして、しばらく何も言わずに味わっていたが、ゆっくりと頷いた。

「美味しい。不思議ね。辛すぎるのも、甘すぎるのも苦手だって、一言も言わなかったのに、どうしてわかったのかしら」

 もちろん田中にそこまで見通す能力があるわけではない。ただこの女性の佇まいとこのラグリマの味のイメージが重なっただけだ。
「お氣に召して嬉しいです。どれほど素晴らしい評価の酒でも、お客様のお好みに合わなければ喜んではいただけませんから」

 彼女は、グラスの縁を指先でそっとなぞった。
「そうね。人一倍努力したからといって、必ず報われるわけではないのよね。相手の好み次第で結果なんて簡単に変わる……。あ、ごめんなさいね。私、今日、少し落ち込んでいたので」

「そうではないかと思っていました」
「このお仕事も、大変なんでしょうね。人々の愚痴や不満ばかり聞かされてうんざりなんじゃない?」

 田中は首を振った。
「積極的にお話しになる方もありますが、何もおっしゃらずに飲み込んでしまわれる方も多いのです。その分、グラスの中に溶かしてしまわれるのでしょうね」

 彼女は、顔を上げて田中を見た。
「そう。言いたくても言えない人もたくさんいるのね。さっきの子のこと、私はちょっと羨ましく思っているの。泣いて騒いで、翌日にはアルコールが抜けるみたいに、悲しみも問題も消えてしまっている。そんな風に発散できたら、素敵ね。私はいつも一人でメソメソするだけ。スクォンクみたいにね」

 それからしばらく黙っていたが思い切ったように訊いた。
「私をこの店に連れて来た人、憶えている?」

 田中は頷いた。
「はい。お名前は存じあげませんが」

「よくこのお店に来るの?」
「いえ。あの時で三回めでしたが、あれからお見えになっていらっしゃいません」

 彼女は、ほっと溜息をもらした。
「そう。だったら、安心してまたここに来られるわね」

 カランと音がして、入り口のドアが開いた。田中は挨拶をした。
「夏木さん、こんばんは。今日はお早いですね」

「こんばんは、田中さん。今日は一番乗りを目指してきたのに、先をこされていたみたいだね」
夏木は肩をすくめて、女性に会釈をすると、カウンターの奥の自分の席と決めている位置に座った。

「名前を憶えてもらっているって、羨ましいわ」
彼女はそう言うと、グラスを持ち上げて夏木に笑いかけた。

「田中さんは、こっちが名乗ったら忘れずに、そう呼んでくれるんですよ。僕も、こんな風に馴染んでいるお店はここしかないんです。あ、僕は夏木敏也といいます」

「はじめまして、夏木さん。私は柴田雅美です。田中さんもどうぞよろしく」
田中は雅美に会釈した。
「こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします、柴田さん」

 やがて、すみれや近藤も来店して、いつものようにカウンターに座った。程よい距離感を保ちつつ集う常連たちと会話を交わしているうちに、雅美を覆っていた重い憂いのヴェールが少しだけとれたように田中は感じた。

 田中は『Bacchus』を、人々の心の交流の場にしたいと願ってきた。メニューに載っている飲食を提供するだけではなく、足を運ぶ人たちが悲しみを忘れ、喜びを増すような場にすることが理想だった。そのために知識を得、研鑽を重ねることで、素晴らしいバーテンダーになるのだと勢い込んでいたこともあった。

 だが、月日が経ち、人生経験を重ね経営を続けるうちに、どんな人をも笑顔にするような魔法はないことがわかってきた。その一方で、通ってくれる常連たちが、彼の代わりに魔法を使ってくれることも知った。だから、誠実に働くこと、大切な客の一人一人をもてなすこと、彼らの居心地のいい場を提供することこそが、この店を彼の理想に近づける近道だと思うようになった。

 柴田雅美も、この店の新しい仲間になるかもしれない。彼女がこの店に集う暖かい客たちに馴染むことで、件の怪物のように涙で溶けてしまう悲しみから解放されることを、田中は心から願った。

(初出:2017年9月 書き下ろし)
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Tag : 小説 連載小説

Comment

says...
更新、お疲れさまでした。

え、バッカスでモンスターってどうなるの、って思いましたが、うまくまとめられましたねぇ。さすがです。

スクォンクと聞いて、私もスカンクかと思いました。想像上とはいえ、えらくひ弱なモンスターですね。でもそれに学名までつけてしまうとか、しゃれっ気があっていいなあ。

同じ泣くにしても、思い切り泣いてそれですっきりと前に進める人もいれば、人知れず泣き続けながらいつまでも引きずってしまう人もいる。どちらがいいとは言えないですけど、ほんとうに人それぞれです。
バッカスなら、どちらの人でも受け入れてくれそうですね。
2017.09.06 13:03 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

お題、どうしようかなと思ったのですが、無理矢理こじつけてしまいました。

スクォンクを使って掌編を書く案は前もあったのですが単体だと少し押しが弱いので放置していました。

飲み物ラグリマと組み合わせるのを思いついて、ようやく使うつもりになりました。
弱いモンスターですよね。泣くだけ。なぜ学名までついているんでしょうね。

悲しみの発散方法は本当に人それぞれで、どれがいいということでもないのですよね。どういう方法でも、発散できればいいし、うまくできない人の為にこういう店があると救いになるのかも。よくわかっていない夏木あたりは、実は大事な役割なのかもしれません。

コメントありがとうございました。
2017.09.06 16:22 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
今回はお題もついていたということで、それでモンスターなのですね。
姿はそれこそモンスターっぽいのに、性質は愛らしいというか頼りなげな感じですね。

なんだろう、何か辛いことがあったとして、それで泣いてしまえる人は
楽なんですよね。
問題は、辛いことを耐えられてしまう人というか、なんとかなってしまう人で、
本人的にはしんどくてたまらないのに、「やってしまえる」から、周りも
安心してしまって、本人増々泣けなくなるというような。
頭が良くて理性的な女性にこういうタイプが多い気がするのですが、柴田女史も
そういう女性なんじゃないかなーと思いました。
今回は、いい意味で「わかっていない」タイプの夏木をトップバッターに、
そうした人知れず抱えてていた重さを預けることができたのかなって思います。

どんな人をも笑顔にするような魔法はない、との田中氏のお言葉ですが、
この言葉も含蓄が深いですよね。一歩引く、というのは、時に自分が何かをしてあげるより難しいんじゃないかしら。
田中氏もお客さんと一緒に日々成長していってるんですね。
2017.09.07 00:56 | URL | #- [edit]
says...
こんにちは。

二本書けばいいのでしょうが、今回、その余裕もなかったので、無理にこじつけました。

モンスターなのは外見だけでメソメソしているだけっていうのが、ちょっぴり琴線に触れました。なんだそりゃ、ですが。

さらっと泣けない人っていますよね。我慢がデフォルトになってしまったタイプ。
「あの人は強い」という周りの期待に頑張って応えすぎて引っ込みがつかなくなって。

別に泣けなくてもいいけれど、わかってくれる人たちがいたらきっと救われるのかなと思いました。


「わかっていない」タイプの夏木だけれど、雅美が必要とする理解は提供できる、というのがいいかも。

田中はわりとできた人ですが、スーパーマンではなく、普通のおっさんで、痛みはわかるけど、解決までは提供できないのです。店の魅力は田中そのものではない事を本人がわかっているのは大事だよなと、今回明記してみました。

そうそう、本人もまだまだ成長続けています。

コメントありがとうございました。
2017.09.07 09:07 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
ま、恋愛は努力したからといって報われるわけではないですからね。
そこが悲しいかな、現実でもあるのですが。
あまり熱意があり過ぎるとストーカーにもなりますし。
こうやって、付き合って、別れてのルーティンを繰り返している分には大丈夫なように見えますけどね。
2017.09.07 09:18 | URL | #- [edit]
says...
2人の女性の対比が面白いですね。
2人は仲の良い友人なんだとは思いますが、アプローチはスクォンクの彼女からの一方通行なのかもしれませんね。
パーッと発散してお終い、そういうことのできる人のようです。
こういう人、キャラとしても面白いのですが、今回は悪役を買って出てくれているようです。
まぁ腐れ縁というやつでしょうか、雅美も放っておけないんだろうなぁ。
今日は相当虫の居所が悪かったみたいで、放置していますけれど・・・。
一方雅美は真逆の感じ。何を飲み込んでしまっているのか、詳しいことは開示されていませんが、田中さんに聞いてもらえて少しは楽になったかも・・・。
そして、もう田中さんに名前を明かしましたから、そのまま常連になりそうですね。
少しずつでしょうが、彼女が飲み込んでいる物が溶けていくことを予感しています。
『Bacchus』ってそういう店(場所)ですものね。
2017.09.07 13:32 | URL | #- [edit]
says...
そんなモンスターもいる(?)んですね
私も柴田さんと同じように
悲しいとき涙で体が溶けてしまったらいいかもなあ
とちょっと思いました
そしてバーにはそんなしっとりした方が
似合うような気がしました
行ったことないけど…
2017.09.07 14:21 | URL | #- [edit]
says...
こちらにもありがとうございます。

努力や熱意だけではどうにもならないことは、結構あるんですよね、恋愛に限らず。

自分の感情との付き合い方、簡単に発散できればいいのですが、それができないとキツいでしょうね。

騒いで発散できればラッキーかもしれませんね。

コメントありがとうございました。
2017.09.07 16:34 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

泣いて簡単に発散している方の女性は、おそらく雅美が何かを抱えていることにも氣づいていないと思います。

自己中心的と言ったらそれまでですが、こういう精神構造は、生きやすいしスクォンク扱いしても根に持ったりしないので、付き合い安いかもしれません。

雅美は、本当に正反対のタイプですね。具体的な事も話したくないのかも。

でも、全く誰の暖かさも必要としないわけではなく、やはり、わかってほしいとどこかで思う複雑さを持っているようです。

まあ、その内に出てくるかもしれません。
(適当な……)

どのくらい常連になるか未知数ですが、また登場したら、注目してください。

コメントありがとうございました。
2017.09.07 17:07 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...

こんばんは。

ナゾのモンスターですが、あまりカッコよくないので、有名にはなりそうもないですね。

涙で溶けてしまったら、明日から学校に行かずに済むからいいかも。

バーは、まだダメ子さんには早いので、お姉さんたちにつきあってもらってくださいね。

コメントありがとうございました。
2017.09.07 17:33 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
日本でいうと妖怪……妖怪って、何だかユーモラスで、怖いよりも笑えるようなのが沢山いるし、そう言えば、九州の博物館では「人間の身体の中に棲んでいる蟲」という当時の学術書みたいなものが置いてあって(多分江戸時代)、「疳の虫」「腹の虫」を始め100は下らないほどの数の蟲の解説がしてありました。大まじめだったんだろうな。ちなみに私の三味線ケースにはその腹の虫の1匹がくっついています^^;
どの国でも、人の心や身体の動きに対して解決できないようなことを託す相手が求められているのかもしれませんね~学名も付けたくなるくらいに。

そして、大騒ぎして恋や悩みを乗り越えていくタイプの人、いるいる。こっちが忙しいときや眠いときはあんまり話を聞きたくないけれど、後から思うと、結構面白かったりして。人ってそれぞれのスタイルがあるんですよね。酒に流すのも溶かすのも何でもありなんだなぁ。そう言えば、昔、通っていた店で、山田くんによく話を聞いてもらったなぁ(山田くん=山田錦、確か750mlで1000円の酒)。
このお話を読んでいると、近くに行きつけの飲み屋があって常連になってた時代を懐かしく思い出します。う~ん、ここは街から遠すぎて、しかも車でないと動けないし、行きつけの飲み屋をつくったら帰れなくなる(バスは早々になくなるし、タクシー代がバカにならない)。やっぱり年取ったら街の中に棲むべきよと言っていた人がいたけど、確かに一理ある。でもこの物語の登場人物はみんな若いんだなぁ……新しい出会いが沢山ありますように!
2017.09.09 08:30 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
「腹の虫」、博物館の土産物屋で売ってるんですよ! マスコット的にでかいストラップ状態になっています。
次回は出雲のついでに(って、全然ついでじゃない)福岡にも寄ってみてください。太宰府天満宮の横に九州博物館があったはず。
あ、そうか、言われて今更思い出したけど、新堂朗の行きつけだったんでしたね~
2017.09.09 17:31 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
こちらにもありがとうございます。

モンスターにもいろいろいるんですけれど、よりにもよってこういう情けないのを選んでみました(笑)

実をいうと、日本の妖怪の方が、人間の暮らしに近くて、親しみやすいものが多いですよね。
動物を元にしたモンスターでも、西欧の狼男などは怖いけれど、日本のタヌキやキツネに化かされる話は、どこか愛嬌があって笑いが溢れる感じがあります。

「疳の虫」「腹の虫」かあ。「腹の虫」は、私も飼っていますよ。って、そういう問題じゃない?
三味線ケースについているのは、売店で買えるお土産? なんかいいなあ、そういうの。

さて、スクォンクは、ユニコーンみたいなメジャーな化け物ではないみたいですが、私が好きなボルヘスの「幻獣事典」に載っていて、これだけやけに情けなかったので、ものすごく印象に残っていたのです。学名、本当なんですかね。笑えます。

そして、楽しくて仕方ない時に飲まなくちゃやって居られないという人はあまりいないでしょうが、泣きたかったり怒ったりするときには、お酒のお店との相性ってあると思うんです。それが、だれか連れて行った人に聴いてもらうことである人もいれば、一人でグラスに溶かして飲んじゃう人もいる、どちらも大いにありですよね。

自分のことを振り返ると、私はあまり誰かに聞いてもらいたいという人ではなかったので、もっぱら聴き役だったような。
そして、「う〜ん。早く帰って寝たい」ということもありましたが「お。これはネタになる」なんてロクでもないことを考えつつも聴いていたことも。

彩洋さんは「山田くん」のお世話になっていたのでしたか。かっこいいなあ。日本酒で飲み込む人って、個人的に憧れてしまうのですよ。ワインやウイスキーもかっこいいのですが、そのかっこよさが仇になって「ふ〜ん」と思っている冷めた自分がいるんですけれど、日本酒だとそういう部分なしに純粋に憧れてしまうんです。(なんの話をしているんだ私は)

確かに、車でないと帰れないとなると、帰り道に一杯というわけにいかなくなるんですよね。こっちではありですけれど、その場合も酔うほど飲んでしまうのはアウトなので、日本人体質の私は、いくら許されていても運転する時はソフトドリンクオンリー。

で、飲んで溶かしてしまいたいときには、自宅で飲むか、徒歩圏の店を見つけるしかない……。うちの村にも何件かありますが、真冬だと帰るまでに凍死寸前になってしまうので、タクシー(三キロで二千円以上)を呼ぶか、自宅飲みだなあ。ヨーロッパは、隣人などを自宅に招びあう文化が発達していると思っていましたが、物理的にそうならざるをえない、田舎暮らしだからなのかも。

『Bacchus』は、都会だから成立するストーリーですよね。
今の所出てきている常連メンバーは二十代、三十代がメインですが、もう少し幅は広げたいですね。実際にはもっとおっさんもいる予定なので。もともとは、新堂朗の馴染みの店だったので、四十代の居心地のいい店のはず……。

コメントありがとうございました。
2017.09.09 18:10 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
わあ、間違えて自分の前のコメント消しちゃった!

今、貼り直しましたので、なんか時系列がおかしなことになっていますが、すみません。

そうか、でかいストラップ、うう、見てみたい。今度の今日の一言にでも、載せてくれると嬉しいなあ〜。
(無茶なおねだり、すみません!)

大宰府、行ったことがないのですよね。
福岡は二度くらいは行っているのですが、なぜなんだろう。

出雲のついでというには、確かに遠いですが、でも、一度は行ってみたいですね。
あ、でも、次回もオフ会していただきたいから関西もいかなくちゃいけないしなあ。
九州オフ会? 出雲オフ会もいいけれど。
っていうか、関東オフ会の話はどうなったんだろう。口約束だけが増えていく……。すみません、適当で。

そうなんです。そもそも初めは店の名前もなくて、大手町のバーでバーテンダーは田中というのだけがぼんやりとあった店なのですが、なぜかいつの間にか育ちましたね。そういえば、カンポ・ルドゥンツ村の『dangerous liaison』も、神田の『でおにゅそす』も、静岡の「ウィーンの森」も勝手に育っているなあ……。

コメントありがとうございました。
2017.09.09 18:21 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
どんなに自分をしっかり持ってて、気分に流されず気丈に振る舞える人でも、やっぱり寂しいのですよね。
気分の沈んだ時、気まぐれに訪ねられて、そっと自分の名前を読んでカクテルを作ってもらえるような、そんな場所。
やっぱりいいなあ~。バッカス。

スクォンクというモンスターの使い方が生きていましたね。
SSを書く場合、なにか粋なテイストを入れたいと思うものですが、夕さんはその選択がうまい。
知識が豊富だからこそのテクニックでもありますよね。
モンスターって邪悪で恐ろしいものもいるけど、よわっちくて無害で、少し滑稽なものもいるんですね。日本の妖怪と同じかあ。
国や風土が違っても、同じようにそんな妄想を膨らますってとこが、人間の面白さだなあ。
2017.09.10 03:29 | URL | #GCA3nAmE [edit]
says...
こんにちは。

そうですね。
さっさと周りに弱さを見せて発散できる人もいますが、そういうのは嫌で、自分でなんとかできると思っている人でも、どこかに寂しくて逃げられる場所って欲しいんじゃないかなと思います。それも、必要以上に踏み込まないでくれると、そういう人にはさらに居心地がいいのかも。

『Bacchus』はそういう隠れ家的な場所ですよね。たぶん居酒屋のような値段ではないだろうけれど、常連になりたいなと自分が思うところをイメージして書いています。

モンスターを絡めるにあたって、どんなのがいいかなあと考えたんですけれど、あまりスペックが高くて、説明するのにたくさん字数を必要とするもの、話が長くなるものは向いていないし、ファンタジーに出てきそうなすごいモンスター、もしくはホラーがすぎて食欲を削ぎそうな怪物も向いていない。で、この情けないモンスターを登場させることにしました。

見つかっただけで、怖くて泣いて溶けちゃうなんて、あまりにも情けなくて可愛いですよね。見かけはグロいみたいですけれど。
日本の妖怪も情けなくて笑えるのがいますけれど、そういう身近な存在のモンスター、好きですね。

コメントありがとうございました。
2017.09.10 13:24 | URL | #9yMhI49k [edit]

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