scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

愛の話

つい先日、私の書く小説に興味のある(でも、自分は一切書かない)唯一のリアル友のメールにこんな記述が。(実名だけ○に変換)
こうやって、まとめていくつかの短編を読んでみると、
○ちゃんは「ラブストーリー」を書く人なんだなあとしみじみ。
長編を読んでいると、つい他の意匠
(ファンタジーだったり比較文化論だったり)に気をとられて
つい「ラブストーリー」ってことを忘れちゃうんだけどさ。
でも、根本はあくまで「ラブストーリー」だなあ、と。

これはある意味であたっているけれど、本質的にはそうではないんですよね。

あたっているというのは、私にはバトルファンタジーは絶対に書けないし、社会の暗部をえぐり出す問題作もたぶん書けない。私は私の日常の側にあるものからストーリーを作るヒトだから。身近な題材に恋愛ものが多いのは当然で、かなりの数のものが一対一の人間の関係、多くがラブストーリーに落ち着くわけです。

本質的にはそうでないというのは、私の小説のすべてで追い続けている根幹テーマは「愛」ではないから。様々なラブストーリーの皮をまとっているストーリーの中で描き出そうとしているのはもっと別なもの。それが何かはここでは書きません。一つの読み方を押し付けるような事はしたくないので。

で、数だけはやたらと書いてきた作品の中で、唯一本当に「愛」をテーマにしたのが「樋水龍神縁起」です。ただ、この場合の「愛」とは「ラブストーリー」ではありません。この作品は、2010年から2011年にかけて一氣に書き上げたのですが、書き上がった途端に東日本大震災が起こって一度公開を断念しました。

私が書いた小説の中では、唯一ガチガチに構成を組み、「愛」の四段階を一つずつ、四季にあてはめて書きました。そのために避けて通れない描写があり成人向けの小説になっています。ま、今どきのジュニア小説やマンガと較べても、大した描写ではないんですが。そのためブログでは公開せず、FC2小説の方にだけアップする事にしました。

突然、公開しだしたのは、まあ、いろいろ理由はあるのですが、2012年10月30日がこの小説でものすごく大切な日で、それまでに公開したかったから。それと、訪問させていただいているブログのおともだちのところのメッセージ欄で「愛の本質」について語る事が時々あって、これを公開しない事には私の言いたい事は伝わらないかなと思った事があります。

私はかなり特殊な宗教観も持っていて、表向き(スイスで宗教税を払う先)はローマ・カトリックなのですが、お世辞にもまともな信者ではなく、一番近いのはたぶんサンスクリット語で語られる「般若心経」の思想だと思います。「樋水龍神縁起」では神道の世界が出てきますが、大半の記述は正統の神道からは外れたものになっていると思います。ただ、どの宗教思想も侮蔑愚弄するつもりはまったくありません。もし不愉快な記述があったとしたら私の不徳のいたす所ですので、そうご理解いただきご容赦ください。

十年近いインターバルの後の復帰作として書き出した長編でした。とても長い上に、「大道芸人たち」ほどのオリジナリティのある設定ではありません。それでも、書き終えた時に、「これですべて書いた。このまま死んじゃってもいいや」とまで思った、言いたい事のつまった小説です。これ以上言いたい事はないし、もう小説は書けないだろうとまで思いましたが、その後にスピンオフというかその後のストーリー「樋水龍神縁起 DUM SPIRO, SPERO」が勝手に出てきたのを皮切りに、「大道芸人たち」やその他の現在皆様にお見せしている小説がわさわさ出てくる事になりました。

多分この小説を書かなければ、私は自分の小説を生涯一般に公開しなかったでしょうし、ここにブログを開設する事もなかったと思います。
関連記事 (Category: 樋水龍神縁起の世界)
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Category : 樋水龍神縁起の世界

Comment

says...
八少女さんこんばんは。

構成を組み、「愛」の四段階を一つずつ、四季にあてはめて

読まずにはいられないじゃぁないですかっ!!
アップしてくれて感謝です。
2012.07.24 12:07 | URL | #mmBY2wkg [edit]
says...
おおっ、凄いディープなようで
作品は再び帰って来れるときに拝読しますね^^
今は、一寸訳アリなもんで

>「これですべて書いた。このまま死んじゃってもいいや」とまで思った
この感覚、少し分かります
僕もとある作品(ミステリ)のトリックを考え付いた時は、「このトリックを見付ける為に文字を書いて、文字を読んできたんだ」とついつい思ってしまいましたww
恐らく、本当の意味でオリジナルを考案できたのは此の時が初めてだったかもしれません。ヒトツメ小僧や混浴温泉も一応オリジナルだと自負していますがww


2012.07.24 13:42 | URL | #- [edit]
says...
作者にとって、集大成のような作品って、たしかにあるのでしょうね。

その一篇に、その作者のすべてがこめられた作品。
そういう作品を書けたなんて、同じモノ書きとして、うらやましい限りです。

これはぜひ読ませていただかないと、です。
2012.07.24 16:42 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

本人は頑張ったんですけれどね。文豪たちの名文の数々と比較すると、「ううう」ですね。
お時間の余った時にでも、読んでくだされば僥倖でございます。
これから十月まで新月にアップする予定です。でも、これはこの作品に対する私のこだわりなので、読むのは本当にいつでもお好きな時に。

コメントありがとうございました!
2012.07.24 17:46 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

晩冬さん、試験は……。
こんな忙しい時に訪問とコメをいただき、感謝です!

ありますよね。「なに一人で盛り上がっているんだ」状態に自己満足する時。「誰かに言いたい! でも、言うと引かれる」と一年半思っておりました。ま、私の小説は読者の側からしたらそれほどのものじゃないでしょうが。

読むのはずっと先でも構いませんよ。単に自己満足でアップしたかっただけなので。いつか、暇を持て余したら、お願いします。

晩冬さんのヒトツメにはやられました。落語みたいによく出来たお話でしたよね。

テスト頑張ってくださいね!
2012.07.24 17:51 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんぱんは。

十年のブランクがあって、さらに人生についても色々考えていた時期で、憑かれたみたいに書いたんですが、終わったらすっきりしました。夏休みの宿題を八月の初めに終わらせた感じで、あとはのんびり好きなもの書いて遊ぶぞ〜、ってなってます。だから、かえって「大道芸人たち」とか今書いている作品とか、肩の力が抜けて好き勝手書いています。その方がいいのかも。

どうしても10月までに発表したかっただけですので、読む方はお時間のある時に、そして他に何も読むものがなくてヒマな時にでもよろしくお願いします。

コメントありがとうございました。
2012.07.24 17:57 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
 おはよう御座います。
ディープな話のようで 酔ってしまいそうな クラクラとしてしまうような…
僕は 年齢的に 手を出していいのか如何か 微妙に迷いますね。

これで全て書いたという 感覚 此れは僕もあります。
偶に 僕が別の処で 三年掛かったと言っている小説ですね。
自分の 書きたいものを全て詰め込んだ 技術も知識も注ぎ込んだ
今 見ると 拙いと思える所もあるのですが もう 色々な意味で 再び書くことが出来ない小説です。

おそらく 僕が 一番書きたいものは 群像劇なのかな…

 
2012.07.24 23:32 | URL | #- [edit]
says...
俺は小説を書くときには何かと
強大&凶悪な敵に立ち向かうぞ!
的なストーリー展開が主なんですよね。

その中で過去を抱えたようなヒロイン、主人公が
戦いや事件を通して打ち解けあう……
そんな内容が好きなんでプロットも自然とそうなります。

あと、三島由紀夫のオマージュではないんすけど、
「滅びの美」というものも少し取り入れたりしてますね。

健全だったキャラがあることがキッカケで
全てを失って、性格も壊れ、自然淘汰されるという流れも
俺の小説では内容によって盛り込んでますね。

小説って、書いているときはそうとも感じないんすけど、
いざ、書き終わってみると、こんなに書いたんだって
実感することが多いですね。

あ、何か長ったらしくスンマセン。
2012.07.25 14:05 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

ウゾさんは、あと五年お待ちください。(と、一応書いておこう)

でも、思うんですよ。この規制に意味あるのかなって。
十八歳やら二十歳なら読んでもいい規制って意味不明だなと思っちゃうんです。
精神的成熟ってことなら、四十越していても、ウゾさんより精神的に幼い人もいるし、でも、その人が「大人の経験」がないわけではない。タバコは二十歳になるまで禁止だけれど、タバコを吸う記述のある小説が小学生に禁止されているわけでもない。

よくわかりません。記述そのものは本当に大した事がないです。でも、小説の根底に流れる思想の方がもしかすると「純な少年少女」の夢をぶちこわしにするものかもしれないと、そっちの心配もありますね。
ほんわかした恋愛の中編小説を書いている一方で、根本的につきつめると「愛」はこんなところにいっちゃった、そういう小説です。そういう意味でだけ、大人(になってしまった人)の読むものなのかもしれないと、ちょっと思っています。

ウゾさんの三年かかった小説、いつか読みたいですね。もしくは、群像劇の完成。人生長いから書いていく時間はたっぷりありますものね。それまでに私がお墓に入っちゃわない事を祈りつつ。

コメントありがとうございました。
2012.07.25 17:24 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

シュナイダーさんの小説は、本当にブレがないですよね。
「こういうものを書きたい」「こういう子がいい」ってのがストレートに伝わってきて、そういう意味で安心して読んでいられるし、読んでいてわくわくします。

私の書いているものには「はっきりとした敵」や「究極の勝利」みたいなものがないのが多いですね。どっちかというと大岡越前の「三方一両損」みたいな結末が多い。現実の社会とリンクさせた感情が書く動機となっているからかもしれませんね。

「氣がついたらこんなに書いていた」は驚きますよね。私も、「樋水龍神縁起」の最初のPDFを作った時に、ページ数に驚愕しました。「大道芸人たち」はもっと長いし(笑)

コメントありがとうございました。
2012.07.25 17:33 | URL | #9yMhI49k [edit]

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