scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

ムパタ塾のこと - 2 -

ムパタ塾の話は続きます。といっても、まだアフリカそのものには辿り着きませんけれど。前の話を読みたい方は、カテゴリーのリンクからどうぞ。

キリン

当時は、バブルはもう弾けていました。けれど、その当時の浮かれた感じ、「仕事でバリバリ儲けようぜ」という人たちがまだたくさんいたと同時に、「人間って仕事やお金だけじゃなくて、もっと大切な物があるわよねぇ」という、ふわふわしたロマンも十分残っていました。現在でもそういう考え方はもちろんあるのですが、当時は今よりももっと楽観的でした。端的に言うと「数年間充電してもいいよね」「戻りたかったらまた戻ればいいんだし」と思えたということです。私が就職をする時は、今よりもずっと簡単でしたし、実際に、アフリカから帰ってきて派遣社員として再び働き出した後も、派遣先で何回も「ところで正社員にならない?」と持ちかけられたものです。今の若い人たちが感じているような悲壮感とは本当に無縁でした。

さて、ムパタ塾に行くことを決めた時、私はとある大きな会社に勤めていました。そして、入社五年目としてはもったいないくらいの重要な職務を負かされていました。ある意味で会社が向かう先に関わるような内部組織にいたのです。しかも、女性としてははじめてその職に抜擢された、ちょっと特殊な立場にいたのです。本質的には、私の存在は会社の命運を決定はしないけれど、その組織のイメージとしては「女でも、こんなに若くても、こういう立場に立てる」という一種の広告塔的な立場を担いつつ、個人的にもやりがいのある仕事をさせてもらっていました。

それでありながら、その会社が、もしくは資本主義国の大半の会社が目指している目標について、私の中では違和感が大きくなりすぎてしまっていたのです。「前年比+の営業目標を達成すること」「モノを売ること」それがその会社の、多くの企業の目指しているものでした。なぜ、毎年新しい服や家電を買い替える必要があるのだろう、なぜ物質的な豊かさだけが目標となっているのだろう。そんな疑問を持ってしまったら、営業をメインとする仕事を続けられません。単なる腰掛けならよかったのです。でも、私の任されている仕事は、どちらかというと社員に「もっと売れ」「もっとがんばれ」とハッパをかける方の仕事だったのです。自分が疑問を持っているのに。

それで、プライヴェートのときには、ますますエコロジーやもっと精神的な満足を求めるような本ばかりを読むようになっていました。

そして、ある時、その広告が目に入ってきてしまったのです。「ライアル・ワトソン監修。アフリカに長期滞在して、環境とエコロジーについて学ぼう」

サファリをしながら野生動物の写真を撮り、大自然の中での動物たちの姿を見る。スワヒリ語を学ぶ。キクユ族の小学校を訪れて、教育を受けるだけでも大変な子供たちと交流する。自分で庭をデザインする。原始的な楽器を演奏し、シャーマン的なダンスをする。陶器を作る。マサイ族の村を訪ねるて、乳搾りや家作りを見学する。世界的に有名な動物写真家と会う。世界的な象の権威である博士と一緒に象の生態について学ぶ。

魅力的なカリキュラムに、これにどうしても行きたいと思うようになってしまったのです。そして、もともとは三ヶ月コースに参加するつもりでした。もちろんそんなに休むなんて無理なので、会社を辞めるつもりでした。参加費は300万円。もちろん誰からも支援がなかったので、参加を決めてから一年半でこの金額を貯めたのです。
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Comment

says...
 こんばんは。
一年半で 三百万円をためる 八少女さんの 其の当時の心境が 透けて見えるようです。
記事に載せられている キリンの写真は 其のカリキュラムの時に 撮られたものでしょうか????
自分で庭をデザインするが どのような内容で 其れがエコロジーに結び付くのか 見当がつかない。
スワヒリ語は 確かアラビア文字だった???? あの グネグネっとした… 難しすぎます あれは…
2012.12.04 10:32 | URL | #- [edit]
says...
決して皮肉ではないですが、いい時代~
今では考えられないですねww新聞の紙面を飾る『就職率』、『就職氷河期』ばかりですから、今の日本は。学生さんには厳しい時代のようです(達観気味w)


それにしても300万円!!ムぱタ塾恐るべし……
遂に次回こそ、そのヴェールが明らかになるのか!?
2012.12.04 12:27 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

このキリンは、その時に撮ったのですよ。ムパタ塾に参加するために生まれてはじめて一眼レフのCanon EOSを買ったのです。

ええとですね。カリキュラムということになっていますが、高価な旅行についている催し物と思った方がいいですね。もちろん、全く何も学べない訳ではないのですが、それっぽっちの期間で環境学が身に付く訳はありません。そこが壮大な中二病と自分で判断する所以でもあります。庭の話は、そのうちにもう少し書きますか。

スワヒリ語は会話だけでしたので、アルファベットで習いましたよ。でも、半分はアラビア語なので、大学でちょっとかじったアラビア語の知識が役に立ちました。

コメントありがとうございました。
2012.12.04 18:21 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

そうですね。いい時代でした。ただし、海外に出てから氣がついてしまったのですが、その時代は海外ではずっと続いている(笑)失業率26%のスペインですら、日本ほどの若者の絶望感が見られないのは何でなんだろう……。

次回こそ、少なくともアフリカにたどり着く予定です。たぶん……。小説と違って、行き当たりばったりで書いているもので。

コメントありがとうございました。

2012.12.04 18:25 | URL | #9yMhI49k [edit]

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