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Posted by 八少女 夕

【エッセイ】好きな作家はと問わるれば……

scriviamo!


「scriviamo!」の第六弾です。
hedgehogさんは、fc2の外からはじめて、エッセイでこの企画に参加してくださいました。本当にありがとうございます。


hedgehogさんが書いてくださったエッセイ 好きな作家は?

返事はエッセイでというご希望だったので、直球でこのテーマに取り組ませいたただきました。創作系の方の参加ばかりで躊躇なさっていらっしゃる方、こういうのもありですので、どうぞお氣軽にご参加ください。二月いっぱい、受け付けております。(しつこい!)

ここでhedgehogさんについて。この方、私、八少女 夕の(狭義でいう)友です。「(狭義でいう)友」という訳は、メールアドレスの交換をした人や、知り合いや、同僚や、クラスメートなどではなく(かつては確かにクラスメートではありましたが)、お互いにどんなことでも話し合うことの出来る特別な存在ということです。私には「(狭義でいう)友」はさほどいません。かろうじて両手の指から溢れる程度です。性格も興味の対象も、文化的バックグラウンド(私は関東人)もまったく違うにもかかわらず、私の人生の半分以上を「(狭義でいう)友」ポジションに位置し続けている、そういう方です。

似ているのは、お互いに興味のないことはしない、つまり、「こういう企画で参加してくれる人がいないと寂しいからお願い〜」と言っても、本当に興味がなければスルーするhedgehogさんです。そのかわり、興味のあることに対するのめり込み方は、半端ではありません。リンク先のエッセイに出てくる、hedgehogさんの人生を捧げている作家ダグラス・アダムスの『銀河ヒッチハイク・ガイド』シリーズに関するホームページの充実ぶりは、英語版の伝記作成者のサイトにリンクされているわ、日本語版新訳の翻訳者が後書きでサイトに言及してしまうなど、個人の趣味の範囲をとうに超えて、100億光年の彼方にいっちゃっています。(リンク先のブログは、この有名なサイトとは別です。こちらは主にエコのことと、本や映画の紹介をする個人ブログです)で、この方がまた、本を読むんだな。映画も観ますけれどね。こういう方に「好きな作家は?」と振られると、ドキドキしますよ。


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好きな作家はと問わるれば……
——Special thanks to hedgehog-SAN

友のエッセイに、「好きな作家は?」と問われて、まだ一冊も完読したことのないドストエフスキーの名前を挙げてしまったお方の多少痛いエピソードがでてきた。まあ、どれだけご本人がいたたまれなかったかは別として、こういう話を辛いと思ってしまう私も「好きな作家」の名前を挙げるのが苦手だ。

それは、実をいうと、そのエッセイを書いた当の友のせいでもある。その人はイギリスのユーモア作家、ダグラス・アダムスの熱烈なファンだ。単に「好き」などと言う範疇はとっくに越えていて、うっかり「面白そうかも」などと言ってしまった日には、貸し出し用と本人が決めた文庫本を持ってきて熱心に読むことを薦める。それは『銀河ヒッチハイク・ガイド』という五冊からなるシリーズで、本当に面白い。ただし、カルトなファンの多い欧米と違って、この友を除いてここまで強烈にこの作品を愛している日本人に、私はまだ会った事がない。どうしてなんだろう。それはさておき。

もし、友人がその作家の本しか読んでいなければ、私も「好きな作家は?」の問いに躊躇することはなかっただろう。人の好みはそれぞれだし、私が他の作家に夢中になっていても、それはそれでいいはず。けれど、友人はそれ以外のあらゆる本を読んでいる。そして「好き!」と思った作家と作品に対する思い入れが強く、一度語らせると半日はこちらが無言でも何の支障もなくなる。おわかりだろうか、私にはそこまで語れるほど好きな作家はいないのだ。

もともと日本人は、本をよく読む民族だ。これはヨーロッパの普通の家庭に行けばすぐにわかる。本棚の数が違うのだ。個室ごとに本棚なんかない。それどころか本棚のない家庭も多い。「本がないと生きていけない」というセリフを日本人以外から聞いたこともない。そういう環境にいると、ますます本を読まなくなり、(日本語の本も売っていないし)私の読書量は、日本にいた時の十分の一以下である。

もちろん、どっかのアイドルではないので、「これまでに読了した本ってはじめてですぅ」なんてことはない。夢中になり、長く語れるほど惚れ込んだ作家は何人もいる。たとえば、ヘルマン・ヘッセ、ライアル・ワトソン、ガルシア・マルケス、カルロス・フエンテス、マイクル・クライトン。これらの作家の書いた本のうち何冊かは、ボロボロになるくらい読んだ。寝食を忘れるほど、夢中になって読んだ。しかし、「どの巻のどのあたりに、どんなセリフが出てきて」まで暗記している本と言えば、結局『銀河ヒッチハイク・ガイド』にはおよばない。私がのめり込んでいる本と作者ではないのに、かの友人と付き合い、話しているうちに全部脳に刻まれてしまっているのだ。こんな恐ろしい勢いで、他人に影響を与えられるほど好きな作家……。この人に「好きな作家は?」とお題を振られる私の苦悩がおわかりいただけるだろうか。

そこまで、何もかも一体化するほど、誰よりもよくわかり、何度も読んでいる作品、それは、あれである。「大道芸人たち Artistas callejeros」「樋水龍神縁起」「夜のサーカス」。そう、自分の作品に他ならない。これなら間違いなく数日間ぶっ通しで語れる。誰にどう突っ込まれても、「いや、それはあそこの○○の章に、別の記述があるよ」と言えるだけ、すべて頭に入っている。

反対に言えば、自分の創作の世界で自由に遊ぶことを憶えてしまったために、私には「好きな作家」と胸を張って言えるほどのめり込める作家がいなくなってしまったのかもしれない。
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Comment

says...
 こんにちは。
確かに 好きな作家はと 問われると答える事 難しいですね。
文章として好きな作家 作品として好きな作家 生きざまが好きな作家 死にざまが好きな作家…
中々 胸を張って この人物が好きと 一人に絞り込めない。

自分の作品かぁー 好きなのか 嫌いなのか… 自分でも解らないなぁーーー  
2013.02.04 06:48 | URL | #- [edit]
says...
ああ、私も好きな作家とか言われると困ります
私はいつもどことなく醒めてるので
そこまで大好きになれないというか…

私も悪霊読んでないのでドキッとしました
今度ダグラス・アダムス読んでみよう
2013.02.04 10:01 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは、TOM-Fです。

好きな作家はいますが、どの作品のどこになにが……までは、いきませんね。
文体が好きとか、話が好きとか、まあ、その程度です。
外国文学にはほんとうに疎いので、アガサ・クリスティくらいです。日本人なら、北杜夫は好きでしたね。最近の作家なら福井晴敏が面白かったです。マイナーなところで、紀行文作家の宮脇俊三、それと誰にも読んで欲しくないけど、佐々木丸美ですね。
当然、自分の作品はいちばん好きです。なんたって、自分が書きたいことを、楽しみながら書いているわけですからね。

さてさて、夕さんの「scriviamo!」企画参加用の作品が、なんとかカタチになりました。
また例の場所を用意しましたので、後ほどメッセージでご連絡します。
気に入っていただけると、うれしいのですが……。

2013.02.04 12:13 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
好きな作家と言われたら、万城目学とかですかねぇ・・・
友達に本好きが多いから本の話とかを結構しますね。
といっても、一ヶ月に1つぐらいしか本を読みませんけど(笑

海外の人ならコナン・ドイルかな
シャーロックから本がすげぇ読むようになりましたし・・・
でも、今持っているシャーロックの本は翻訳が雑だから、翻訳が良い奴を纏め買いしようかな
2013.02.04 12:51 | URL | #DNM/eCMo [edit]
says...
好きな作家と問われれば…過去には色々おったけど、たまには未来に目を向けて!やっぱり八乙女様でござんしょか?
夕さまの短編。スイスにいながら明るさと暗さが同居した舞台裏のアンニュイを表現できる筆力は目を見張るものが!!
@o@ あと、男のふりして特攻隊に入った女飛行士が結局敗戦で戻ってきたけど、自らのふがいなさを責め続けていくうちに政治の世界でドンと呼ばれるまでを振り返った「ひんぬぅ・お馬鹿一代」とか…あれは泣けた。

ではでは、怒られる前にこの辺で~HIZAKI
2013.02.04 15:39 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

日本には、ものすごい量を読んでいる方が多いじゃないですか。
私はそんなに読んでいないのですよ。
本が嫌いな方だとは思わないのだけれど、日本にいた時も「本の虫」とはとてもいえないので、なおさら「好きな作家」なんて語れないのですよね。

自分はね。好きというには語弊がありますが、ひいきにしています。えこひいきです(笑)

コメントありがとうございました。
2013.02.04 20:00 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
おおっ。

「銀河ヒッチハイク・ガイド」は、ドタバタSFです。イギリス風のウィットに富んだ書き方が本当に面白いので、是非読んでみてください。

本来ならもっと騒ぐ、「ガイド」の宣教師を自認している本人は、今日はインフルエンザの疑いがなんとかといって、寝てしまったようです。

コメントありがとうございました。
2013.02.04 20:14 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

クリスティも好きな作品は「どの辺にどのセリフが」くらい読んでいるのですが、でも、超有名な作品に手をつけていなかったりもするので「好きな作家」には入れられない……。

あげてくださった日本のお三方は、なんとお名前も存じ上げませんでした! うわぁ、本当に浦島太郎だ。しくしく。

自分の作品は、せめて自分くらいファンでいてやっても、いいですよね〜。

さて、「scriviamo!」ご参加ありがとうございます。もう、嬉しくて嬉しくて。
こちらも頑張ります。どうぞ、よろしくお願いします。
2013.02.04 20:23 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。
万城目学さんも知りません(号泣)
やっぱり、本当の浦島太郎なんだ……。

ホームズは、いわれてみれば、中学生の頃に読みまくった後、ずっと読んでいませんね。好きな翻訳家のものに買いなおすというのは、本当の意味での大人買いの醍醐味ですよね。

コメントありがとうございました。
2013.02.04 20:29 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは〜。

も、もうHIZAKIさんったら……。
そのうちに、そういうギャグな話を書いちゃいますよ!

ちょっとは、お元氣になられたのかな〜。また、あとでお伺いしますね。

コメントありがとうございました。
2013.02.04 20:33 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
夕さんこんばんは^ ^
好きな作家さん。むー、月子も小説の虫ではないのです。新書とか実用書とか写真集とかの冊数の方が多いでしょうか。
最近の好きな作家さんは森博嗣さんと東野圭吾さんでしょうか。
この記事を読ませて頂いて、改めて思ったことは、自分の作品って思い入れがあって、自分の世界であって、自分にしか書けない(描けない)世界に一つの作品だから、一番のファンでありたいですよね。
目から鱗でした。
月子も頑張らなくてはです☆
いつも素敵な記事をありがとうございます^ ^
2013.02.05 12:27 | URL | #- [edit]
says...
きゃーーー、素敵な返信エッセイをありがとう! これで、そちらのサイトからも『銀河ヒッチハイク・ガイド』を読んでくれる人が出てくれるかしら(←結局それか、それだけなのか、私??)

しかし、私のせいで「好きな作家は?」という質問に答えづらくしていたとは。よおくご存知の通り、私にとって、ダグラス・アダムスと『銀河ヒッチハイク・ガイド』はもはや愛読書の域を越えて人生の伴侶に近いものがあるから、他の人に「好きな作家は?」と訊く時に、同じレベルの熱愛は期待していないんだけどね(当たり前だ)。でも、「好きな作家は?」と話を振られた私がぎゃあぎゃあ喋り出した途端、相手はドン引きしてるんだろうなあ。昔に比べれば、こんな私も少しは大人になって、あんまり大騒ぎしないようにしているつもりなんだけど、どこまで実践できていることやら。

そうそう、こないだの土曜日、久しぶりに本サイトも更新したのでそっちもよろしく!

追伸/インフルエンザ患者との濃密接触から30時間以上経ったけど、現時点では発症はなし。ほっ。でもまだ油断はできないので、今日もおとなしく早めに寝ることにするよ。
2013.02.05 13:28 | URL | #CdJ4jXmI [edit]
says...
こんばんは〜。

あ、実用書好きです。あと、「オンナコドモむけの」数学や科学の本や自然科学系の写真集も。
東野圭吾さんのお名前はよく聞きます。でも、一冊も読んだことないです。
読みそびれているうちに移住してしまったので。

「自分の作品大好き」は、端から見るとかなり痛いですが、反対に「こんなつまんないもん、読むヤツの氣がしれない」といいながら書くのもなんですよね。正直に自分の心に訊いて、好きでいられるものを書きたいなと思っています。

コメントありがとうございました。
2013.02.05 18:23 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
どういたしましてv-290
ダメ子さんが、どうやらそちらに読みにいってくれただけでなく、「ガイド」を読んでみようかなって……。よかったね。

ダグラス・アダムスだけなら、「私、オタクじゃないから」と片付けられるんだけど、ロシア文学やイギリス文学、はては高村薫など日本の作家でも、「そ、そういうのが好きな作家だったら、私にはそういうのはいないぞ」になっちゃうのさ。

> そうそう、こないだの土曜日、久しぶりに本サイトも更新したのでそっちもよろしく!

おお……。週に二本ペースでほぼ即興で小説書いているから、そこまで出張できるかどうか……。しかし、善処いたします。

> 追伸/インフルエンザ患者との濃密接触から30時間以上経ったけど、現時点では発症はなし。ほっ。でもまだ油断はできないので、今日もおとなしく早めに寝ることにするよ。

だね。いずれにしても、繁忙期は早く寝る方がいいよ。

コメントありがとうございました。
2013.02.05 19:35 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
 読むのより書く方が楽しいなんてことはあるかもしれないですね。

 時と場合によっては、自分で書くものが一番、鮮烈に感じられる気がすることもあります。
2014.04.25 11:14 | URL | #Aih.YSpM [edit]
says...
こんばんは。

日本の方は、みなさん、とてもよく本を読んでいらっしゃるのですが、本当に好きで読んでいらっしゃる場合と、何か面白いものを探してとにかく読んでいらっしゃる場合があると思うのですよ。自分で書いている場合は、少なくとも自分のつまらない物は書きませんよね。だから、(他の方はともかく)自分には興味の持てない誰かの書いたものを読むよりは、自分で好きなもの書いている時間の方が楽しいのは当然かもなと思います。

周りにはたくさん本を読んでいる友人が多くて、その読書量には到底適わないですが、その時間を楽しんでいるかということに限定した場合は、書いているので十分かなと思うことも多いです。とにかく自分の好みは自分が一番わかっていますからね。

コメントありがとうございました。
2014.04.25 22:23 | URL | #9yMhI49k [edit]

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