scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

あれから二年

月日だけは飛ぶように過ぎていく。あの日から二年。それまでは、なんだかんだ言って私にとって日本は「大丈夫な国」だった。

あの日の事を昨日のように思い出す。最初に会社で「日本で地震があったんだって」と聞いた時、「よくあることなので」と反射的に答えていた。それは、午前八時ぐらいだったので、日本時間では午後四時。それが全然「よくあることではない」とわかったのは三十分後ぐらいだった。普段、仕事中に他のことをすることを許さない社長が、わざわざ呼び出してニュースの動画を見せてくれた。一番早い津波のニュースだったと思う。

日本の実家に電話しても誰もでなかった。姉のところも。携帯電話はもちろん通じなくて、それが一日中続いた。夕方になってやっと、全員無事だったことがわかった。全員が外にいて、帰れなくなり歩いていたために真夜中まで自宅に戻れなかったのだ、だが、東京の私の家族は皆無事だった。

翌日、ずっと自宅でテレビを観ていた。次々と新しい映像が映し出される。「こんなばかな」とショックで他に何もできなかった。それから、数日して地震や津波を吹き飛ばすほどのひどいことが起った。

その後におきたことは、私には信じられないことだった。原発事故が起ったことではなくて、その起ったことに対する日本の動きだ。嘘としか言いようのない報道隠蔽、人びとの無関心、諦観。

私は、恥ずかしいことに、日本にあれほど原発があることを知らなかった。日本がまともに放射能性廃棄物を処理する能力がないことも、直下型地震にまともに対応できない程度の安全性を「絶対に安全です」という事で金儲けが優先される仕組みも知らなかった。一度事故が起れば、二年経っても沈静化すらできないことも知らなかった。

それは起ってしまったことですべて明らかになったから、いまや小学生でも知っている。それなのに、日本でも有数の大学を卒業した私の友人たちが「電気は必要だし、経済が停滞するのも困る」などと言って原発擁護をしている。その感覚が信じられなかった。数世代後に地球に人が住めなくなるかもしれない瀬戸際にいるのに、まだ経済ですか。

二年経ち、いまだに被災地の方々にはごく普通の日常が戻ってきていない。大切な人や、住む場所や、貴重なものを失った悲しみが癒されていないだけでなく、先の見えない不安に苦しんでおられる方も多いと思う。何か力になってあげたいが、金銭的な援助の他にはほぼ何もできない自分がはがゆい。

具体的な支援に積極的に関わっていらっしゃる方には頭が下がる。被災者の方々は、生きていくのに必死で、それ以外のことは考えられないのは当然だと思う。昨日の官邸前のデモはスイスでも報道されて、日本では七割の人が原発再稼働に反対だという調査結果も報告されていた。

その一方で、私の周りの多くの人は、その話をしない。関心もない。自分たちの生活とは無縁のことだと思っているようだ。もしそうだとしたら、とても残念だ。今、日本が「大丈夫ではない」国であることを自覚してほしいと願っている。

日本は三つのプレートの上に立っている、自然災害からは逃れられない国だ。だからこそ、それ以外の災害は起きないように心を配るべきだと思う。地震は起こる。火山も噴火する。水力発電ならば、その災害で電力供給が止まることはあっても何十年も続く二次災害は起こさない。だが、原発はそれを起こしている。何万もの人を現に苦しめている。見ないふりをする問題ではない。核分裂や核融合は人類が触れてはならない域に属する世界だと認めるべきではないのか。経済大国であること、不必要なまでに便利であることなどに固執するよりも大切なことがあると思う。

どうか国民に主権がある民主主義の国であることを、思い出してほしいと思う。この状況が普通であるのか、選挙権のある人全員によく考えてほしいと思う。自分たちの子供の世代に国があるかどうかもあやしいほどの瀬戸際の危機的状況で行われた総選挙で投票率が過去最低になった無関心な有権者の跋扈する国であることを考えてほしいと思う。

本当は、亡くなった方のご冥福を祈り、喪失感に苦しむ方のことを想う、そういう日でありたいのに、私にとっての311は、「大丈夫でない」日本を思う日になってしまっている。
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Comment

says...
原発の時には、あぁ、終わっちまった。
と、思いました。

農作物も売れない。魚も売れない。
これから、どう生きていけば良いんだと、思い悩み自殺した方も大勢います。
知り合いのおじいさんも本当に苦しんでいました。

私は、絶対に東電は許さないし、甘い蜜を吸うために原発を押した奴らも絶対に許さないです。
2013.03.11 12:18 | URL | #K3VsDgnM [edit]
says...
こんばんは

本当に、今の事しか考えていない人達が多いですね。
解毒剤の無い毒みたいなもので
触れてはいけないものなのだと思います。
私の周りでも、無いと困ると言っている人は多いです。
私は、子供達の未来の為にも、全廃するべきだと思います。
2013.03.11 18:22 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

福島に生きられるFランナーさんには、つらい二年間でしたよね。そして、まだ続いていくのかと思うと、ほんとうにやりきれない思いです。
いますぐに、解決はみつかりませんが、少なくとも、こうなってもまだ甘い汁を吸おうとする人のいいなりになることだけは阻止しなくてはいけないと思います。

Fランナーさんや知り合いのおじいさんの苦しみや苦労が無駄になりませんように。

コメントありがとうございました。
2013.03.11 20:31 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

三つのプレートの上に立っていないヨーロッパでも、全廃が決まっています。もちろん人びとの負担が大きくなることも承知の上です。二年前から、ただでさえ節電しているヨーロッパで、もっと節電しています。日本では夏の冷房が必要とは言え、明るすぎるネオン、営業時間の長すぎる小売店など、まだまだ節電できるところは十分にあるはずですが、「不便だもん」のひとことで済まされすぎていると感じます。

もっと現状を真剣に考えてほしいと思います。もちろん真剣に考えていらっしゃる方は多いのですが、政治を変えるほどにはなっていないのが現状だと思います。子供たちのために、地球の未来のために日本が正しい選択をすることを願っています。

コメントありがとうございました。
2013.03.11 20:52 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
おはようございます。

夕さんの仰るとおりだと思います。
しかし、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」とは良く言ったもので、当事者である被災地以外の私たち日本人は、あの日に感じた気持ちを失っています。
あの時、誰しもが今までの日本のあり方は間違っていたと認識し、それを変えようとしたはず・・・
そんな気持ちで私は、自分のブログにあの記事を書きました。

自分が無事でも家族と連絡が取れないのは本当に不安ですよね。
ましてや遠い異国の地にあれば、なおさらだと思います。
私も、母と妹とは連絡がずっと取れずに不安な一日を過ごしました。

亡くなった多くの方々に心よりご冥福を祈ると共に、被災した人たちが、そして未来の人たちが安心して住める国を作っていかねばならないと、強く思います。
2013.03.11 23:11 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

連れ合いがようやくテレビを消して寝室に消えてくれたので、ようやく「聞こえる」を聴きにいくことができました。素晴らしい曲ですね。

阪神大震災の時は、あんなに力強く復興したので、最初は一年もすればかなり復興できるものと楽観的に思っていました。それが、いまだに復興どころではない状態なんですよね。
日本のマスコミは、政府や利権を持つ人のいいなりですね。報道されている内容のヨーロッパと日本との温度差にいつも驚かされています。だから、せめて、こうしてインターネットを通してでも、都合のいい「見ざる聞かざる言わざる」の民衆にならないように、みんなで声を掛けあっていければいいと思います。

朝一で、コメント、ありがとうございました。私は、寝なきゃ。おやすみなさい。
2013.03.12 00:11 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
被災地の方々にとっては決して過去の出来事なんかではなく、今も尚続く現在進行形の問題。



建物の復興もそうですが、人々の心の復興にも時間がかかるでしょう。

一刻も早い復興を願わずにはいられません。
2013.03.15 12:59 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

本当におっしゃる通りだと思います。
被災者の方々の心が癒されて、ごく普通に生活ができる日がくるまで、震災は収束などしないのだと思います。

コメントありがとうございました。
2013.03.15 19:11 | URL | #9yMhI49k [edit]

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