scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

「ラ・ヴァルス」について

今日は過去に発表した小説を紹介することにします。というのは、実は続編を発表しようかな〜と、思っている割に本編読んだ事のある方が数名ってのもなあと思いまして。この小説はブログを開設してすぐに発表したのです。当時は小説の読者どころか、ブログを見てくださる方も一日一人いるかどうかでしたので。

再掲するほどのものでもないので、いちおう、こちらにリンクだけをのせておきます。

【短編小説】ラ・ヴァルス

さて、この小説はモーリス・ラヴェルの管弦曲「ラ・ヴァルス」にインスパイアされて書いた小説です。そう、視覚からではなく聴覚から物語を生み出してばかりいる私の小説の書き方は特殊だとよく言われるのですが、クラッシック音楽にインスパイアされて物語を書くという手法を使いだしたのは、この小説が最初だったと思います。リンク先にも書いた通り、この小説はおよそ20年前に書いたものです。

よく考えるとめでたい新年の一本目としてふさわしいとは思えない結末ですが、まあ、それは毎年のことで。

こうなる原因は当時の私の人生観も影響しているのですが(今よりもかなり悲観的でした)、この曲の狂騒的なトーンが影響していることも確かです。

私はラヴェルが好きです。オーケストレーションの天才だと思います。他にも好きな曲はいくつもあるのですが、この曲は別格に好きです。何故かを説明するのかは難しいです。私の中に平和としか言いようのないものがあり、それと同時に狂ったように暴れ回る衝動があります。この曲とリズムはその双方を同時にかき回すのです。

「ラ・ヴァルス」とはフランス語でワルツのことです。小説の一番最初に引用した言葉は、この曲の楽譜に書かれたラヴェルの説明です。当時の私はウィーンを訪れたこともなかったし、ヨーロッパの宮殿というものをこの目で見たこともなかったのですが、「十八世紀の宮廷でワルツを踊る人びと」の幻影をこの曲でイメージしました。聴覚で感じるべきラヴェルの音楽を色彩の魔術だと感じるのは、このせいだと思います。ヨーロッパがもっと身近になりいくつもの十八世紀の宮殿を見た現在でも、そのイメージは、ほとんど変わっていません。

そして、小説の内容の方ですが、人生において「壁の花」でいなくてはならない存在の人間や、その心の痛みに対する感覚も未だに変わっていません。二十年前に書いた小説ではありますが、個人的にはいま自分が書くものとかけ離れていないかなと思います。技術的にも、内容も。要するに二十年間、進歩していないってことかもしれません。


Ravel: La Valse / Bernstein · Orchestre National de France
関連記事 (Category: BGM / 音楽の話)
  0 trackback
Category : BGM / 音楽の話

Comment

says...
ずいぶん以前に書かれたものとのことですが、ずっと夕さんの物語の中にある本質みたいなものは変わっていないのですね……ちょっと懐かしいというのか、妙に落ち着いた気持ちで拝読いたしました。
印象的なシーンがあって、それを生かすように設定があって、そのシーンで感情が動く、という夕さんの魅力的な展開の原点みたいなものを感じました。
音楽のシーンもそうですが、ダンスのシーンも素敵ですね。さすがです。
こんなシーンが私も書きたいわと思いながら拝読しておりました。
でも……えーっと、この夫人はご結婚されているのですものね。ということは、まだ見込みが……といきなり現実に還る^^;
続きがあるということなので、楽しみです。
ハッピーエンドにしてあげようという夕さんの親心なのか、それともそんな単純に行かないよというお話なのか、楽しみにしております。個人的には天邪鬼なので、簡単にハッピーエンドじゃない方がいいけれど^m^
2014.01.12 23:53 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
うむむ……サキは単純な奴ですから東城は酷い奴だと思ってしまいます。
マリエ男爵夫人も……。
雪羽、可哀想です。
でも彼女の心の揺れはまるで自分の事のように感じられて、自分がウイーンに旅立ったように思えました。ちょっと浮き上がって期待して、そして落ちてしまいました。しょんぼりですね。
20年ほど前の夕さんに会えた気分です。今より少し生真面目で硬く構えた感じがしましたがいかがでしょうか?今のサキと同じ年ぐらいかな?
あ、失礼しました。
2014.01.13 10:59 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
奇しくもこちらの作品読んでいましたね。私。

音楽から作品のイメージ作りに繋がるってスゴイですね。
創作の方法というのは、本当に人それぞれなんだと知りました。
アイデアに行き詰ったら、違う視点に立ってみるって大事ですね。
八乙女さんの作品、まだ数えるほどしか読ませてもらっていませんが、はっきりとその情景が浮かび上がってくるようで、
スゴイなと思っています。
頭で思い描くより、感じとるようにして描かれているからなんでしょうかね?

いろいろ勉強になりました。ありがとうございました。
2014.01.13 14:20 | URL | #- [edit]
says...
わわっ、ウィーン、シェーンブルン宮殿、しかも舞踏会。
行ってみたいです……って、また悪い癖が出た(笑)

一箇所だけ、「雪羽」のお名前が「雪」になっていました。東城が彼女をダンスに誘ったところです。すみません、重箱の隅ですね(笑)

現在の作品と比べると、表現にも文章にもすこし硬さを感じますが、20年も前にこれをお書きになっていたというのが凄いですね。八少女夕さんらしさが、もう完成していたんですね。
雪羽のような人って、その舞台では主役になれないけれど、でも当然に人生を送っているわけで、その重みは主役たちと同じなんですよね。
このお話、続きがあるんですか? う~ん、気になります。
2014.01.13 16:46 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんばんは。

初期の頃にも現在の原形がある、というよりも、本人にとっては去年書いた作品とあまり変わらない感覚なんですよね〜。子供の身長が伸びるようには、文章も内容もそう簡単には伸びません。

ただ、今の私から見ると「ここはもっと推敲したほうがいいな」というところはあるんです。でも、この文章で外にデビューした(始めて不特定多数の人間の目に触れた)ので、氣になる所もそのままにしています。ま、出版でもするなら直しますけれど(そんなことはないでしょうし)。

音楽やダンスに関しては、自分の感覚の再生なので、毎回のことですけれど、どう表現するかは一番悩みます。目に見えているものを記述するのも難しいですが、見えないものを表現するのって本当に難しいです。ましてや、クラッシック音楽にしろ、ダンスにしろ、たぶん不特定多数の日本人にはさほど馴染みのないものって説明臭くならないように、でも、読者を置いてきぼりにしないようにというその匙加減がものすごく微妙で、これでいいのか、「なんか納得いかないままだけどこれでいくか」なんて妥協したり、最後まで弄くり回していますね。でも、多くの方には読み飛ばされているかも(笑)だから、注目していただけると嬉しいですね。

マリエ男爵夫人ですか。そうですねぇ。この手の女性は結婚していようがいまいが、あまり関係ないので……。実は、既に書けている四話くらいの続編と、まだ書く予定の立っていないさらなる妄想もありまして。どうだろうなあ。妄想の方まで含めるとあまりハッピーではないですねぇ。まあ、この歳になって書くとなると「めでたしめでたし」はあまりないかな。いけても「夜想曲」ぐらいのハッピーエンドが最高です、もっとも、アンハッピーエンドになるかもしれません。まだ、結末が決まっていません(orz)

実は、「scriviamo! 2014」が何も来なかったときの暇つぶしに発表しようとしているのです。「貴婦人の十字架」は「scriviamo! 2014」が終わってから連載を開始しようと思っていまして。一応、来週の水曜日の分までは出来ているので、このストーリーの続編をすぐに発表するかどうかは今後の「scriviamo! 2014」参加者のみなさんによりけりなんです。

そういうわけで、いつ出てくるかは、自分にもわからないのですが、もし出したらまた読んでいただけると嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2014.01.13 20:17 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
今日はサキさんに無理矢理たくさん読ませちゃいましたね。

うん、まあ、酷いヤツかも(笑)人生って、こういうことよくありますけれどね。ダンスパーティはしょっちゅうないにしても。

「努力すれば誰でも幸せになれる」みたいなことを否定したような話になっていますが、この手の話の運びは私のデフォルトかもしれません。その一方で「まあ、それでも悪いことばかりじゃないよね」の思想もあるので、このどちらかに落ち着くことが多いかなあ。これは昔も今も変わらないですが、最近は後者に落とすことが多くなったかもしれません。まるくなったか、自らの人生でそっちに近くなったからそうなったのか……。

とても真面目でした。いまはいい加減になったかも(笑)この話の原形を考えついたのが今のサキさんぐらいじゃないかな。書いたのはもう少し後だったんじゃないかしら。イメージですけれど。

コメントありがとうございました。
2014.01.13 20:50 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

そうなんです。ヒロハルさんが二人目くらいの読者かも……。

人生の大半、隠れて自己流でやってきてしまったので、私の創作はものすごく自己流でして、日本の多くの方のように大量の本も読まないし(いまは物理的に日本語の本をそんなに読めませんし)、あまり文章の勉強もしないし、ヒロハルさんのように多くの方に読んでいただいて批評をもらって精進することも少なく……。
それを個性ととるか、困ったクセととるかは人それぞれなんでしょうけれど。

情景の描写、自分ではあまり得意ではないと思っているのですよ。もっといい表現ないかなと悩む割に、いつも同じ表現になってしまっているように思えまして。また工夫してみたいと思っています。

コメントありがとうございました。
2014.01.13 21:14 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

うわあ、いつもありがとうございます。本当に助かります。これからもぜひぜひ重箱の隅をつついていただけると……。そう言えばこの話、1993年以来校正していなかった……orz

そ・し・て。これを書いた時には、見たこともなかったんですが、それから二回行きまして、いやあ、いいですね。ウィーン。
またいつか行きますよ。表向きはこの作品の取材として。うふふふふ。

20年前と言ってもですね。本人にしてみれば去年書いたものとあまり変わりませんで。その間努力を重ねてきたわけでもないので、かなり一緒です。その間に十年くらい全く書いていない時期もありましたし。この二十年で技術はまったく向上していませんが、人生観が変わったのと、アングルもひろがった可能性はあります。あと、当時は男性が何を考えているのか本音レベルで訊ける人がいなかったのですが、いまはそっち方面からも書くことがあります。続編は、だから雪羽視点と東城視点と両方が入ります。まだ妄想中の続々編では日本人視点とガイジン視点を混ぜようと思っています。いつ発表するかは、今のところ五里霧中なのですが、出てきたらまた読んでいただけると嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2014.01.13 21:25 | URL | #9yMhI49k [edit]

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://yaotomeyu.blog.fc2.com/tb.php/746-c0bb6705