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Posted by 八少女 夕

大人になったら

久しぶりにつれづれと思ったことなどを。

七草リゾットの素材

子供の頃、毎日があまり楽しくありませんでした。端的に言うと、勉強はそこそこ以下、運動の方は音痴どころではなくいちいち級友に迷惑をかけるレベル。そして、面白いことも言えないので人望もなくて、なにをやっても空回り。そして、家庭でもさほど居心地がよくありませんでした。つまり朝起きてから夜寝るまで、ずっとイヤなことばかりで、唯一の楽しみは空想世界で遊ぶことだけでした。それすらも「氣味の悪い子」と言われるのが怖くてずっとひた隠しにしていました。

そんな子供の頃の私の夢は「大人になって自分の好きなことだけして暮らすこと」でした。当時の私には大人というのは学校にも行かなくてもいいし、誰かと球技やグループ活動を強制されることもなく、自分で何でも決められて、「カール チーズ味」や「いちごミルク」を好きなだけ買える幸せな人種に見えていたのですね。

当時の私には、貧困の連鎖に苦しむ人びとや、本人の努力とは関係なくされる差別、わずかな賃金を稼ぐために必要な労働、それから生活に付いて回る家事全般など、全く見えていませんでした。

たぶん、人生の半分以上を生きたと思われる今振り返ってみれば、多くの面で私の人生は恵まれていました。子供の頃のように、「自分でない自分になりたい」という願いは持っていませんし、「まだ会っていない(私を救い上げてくれる)誰かにめぐりあいたい」とも思っていません。

とはいえ、今の私にも「好きなことだけをして生きる」自由はありません。私の望む好きなことが、かなり単純であっさり適いそうに見えるにも関わらずです。「のんびり小説を書いて暮らしたい」「ギターでも弾いてゆっくりしたい」「自然の中でくつろぎたい」そのくらいです。「世界を旅して周りたい」というのもありますが、まあ、無理ならいいや程度です。

実際の私は月曜日から金曜日までは仕事に行かなくてはなりません。贅沢はしなくとも生活はいろいろと物入りです。それから、家に戻ってきたら家事があります。料理をして、洗濯をして、掃除をして、足りないものがあれば買い物をして、不要なものは廃棄する手続きもあって。それに、一緒に暮らしている人がいれば、話をしたり、一緒に出かけたり、頼まれたことを手伝ったりします。

家事というのは、手を抜こうとすればいくらでも抜けるのです。でも、それをやるといろいろとひずみが出てきます。出来合いの食品を温めるだけだと、身体が「これはおかしい」と反応します。掃除の行き届かない住まいはイライラが積もります。時間を短縮するための工夫は有効ですが、それでもある程度は心を入れて丁寧に向かわないと健康な家庭でいられないのです。心身ともに。そして、それは連れ合いと向き合う時間に関しても同じです。理論的なものだけでは上手くいきません。心がちゃんと向いていないと人間関係はひずむのです。だから、自分だけのことは優先順位を下げなくてはいけないことが多いのです。

そうやっていると、自分のための時間はあまりたくさん残りません。

ギターの練習に少し時間をとり、それから小説を書いたり、リアルの友達やブログの友達と交流する時間は本当に限られています。実際には子供の頃に持っていた自由な時間よりずっと少ないのです。

「二十歳になったら好きなことだけして生きられる」と思っていたのは幻想でした。そして、いま秘かに思っている「定年退職したら」も、きっと同じ幻想なんだろうなと思います。

十歳だった私が二十歳になるまでは永遠と思われるほどの長い時間でした。でも、いまの私にとっては十年が当時の一年くらいあっという間に過ぎてしまう。この感覚はもっと加速していくのだと思います。そして、誰かより秀でるのでもなく、誰かに認められるためでもなく、単純に「人生が終わってしまう時に後悔しないように」、いまの私は、自分に残されたわずかな自由時間をフルに使って、いま書けるものを書き、いま練習できるだけギターを爪弾いておこうと思っています。

そんなことを考えている2014年の始まり……のはずだったのが、もう二月でしたね。
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Comment

says...
こんばんは、TOM-Fです。

ほんとうに、そうですね。
自分のために使える時間は多くないから、仕事や生活やその他もろもろの事情に逃げず、せめて自分が納得できるように使いたいものですね。
自分に対する言い訳だけは、したくないですからね。

と言いつつ、コタツにもぐりこんでミカンを食べながら、だら~っと過ごすという誘惑に、勝てないんですよね(笑)
2014.02.07 12:10 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんばんは。

時間はあっという間ですよね。
もう2月。
私もそんなことを思っていました。
夕さんと同じように大きくなったらケーキ丸い一個を全部一人で食べたいとか、メロンを一個食べたいなんて思ってました。
で、いざ大人になるとそれは簡単に出来るけど食べられないとか、つまんない子供の夢だったなんて思うのです。
好きな事だけをして過ごしたいけど、それにはやっぱりお金がいるんですよね。
だから働いてお金をもらう。
でも時間がない・・・。
時間があるとお金がない(笑)
こんなことを思いながら残りの時間が過ぎるのかと思うと、自分が嫌になります(^^)
2014.02.07 14:17 | URL | #- [edit]
says...
 こんばんは。
本当に もう一月は終わり 二月なのですよね…
学生って 自由になるお金はたかが知れていますが 自由になる時間は腐るほどあって
時間に任せて 無謀な事ができるのも学生の時だけ…
特に 日本では社会にでると長期休暇は望めないですからね…

僕 もっとピアノを弾く時間取りたいが 中々難しい状態が続いています…
2014.02.07 14:19 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは

私も大人は自由でいいな・・といつも思っていました。
お金もあるし、タバコも吸えるし、お酒も飲めるし
勉強もやらなくてもいいし・・なんて
全く八少女さんとおんなじ事を考えていましたよ。
本当に時間は駆け足で過ぎていってしまいますね。
今話題の、STAP細胞の研究が進んで・・
永遠に若く、長生きできる時代が来るのでしょうか・・
そしたら、また違う悩みが出てくるのでしょうけどね(笑
2014.02.07 20:17 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

そうなんですよ。
十年くらい仕事と生活だけでがーっと過ごして、何も自分のためにしなかった時期がありまして、確かにそのときに人生経験や仕事の経験はぐわっと積んだのですが……。その十年があっという間だったんですが、それでも今の一年の過ぎ方はさらに尋常じゃないことになっていて、このまま何もしなかったら人生終わっちゃう! そんな感じなんですよね。

でも、今のこの時期、コタツみかんも大事です。あれは真夏の日本ではできないことですし(笑)

コメントありがとうございました。

P.S. アルファポリスの件、本当にごめんなさい! 次回は必ず入れますのでまた教えてくださいね。
2014.02.07 22:30 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

あ、チビmomoさんも、大人買いの夢をみていらっしゃったのですね。私、一万円あったらどれだけカールが買えるだろうって思っていました。でも、今から思うと、二袋食べたら胸焼けして二度と食べたくなくなりそうです。メロンも憧れでしたね。今なら買おうと思えば買えるけれど、買いませんよね、やっぱり……。

一時は定年退職したらって思っていましたが、いつまで健康で体力があるかもわかりませんし、その頃になったらなったで遊んでばっかりいられない事情がありそうです。やれやれですよね。やっぱり今できる範囲で楽しんでいるのが一番みたいです。

コメントありがとうございました。
2014.02.07 22:38 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは
今年の一月が過ぎ去るのは、異様に速かったです。

そうなんですよね。時間とお金と健康と全部揃っている時期って、なかなかないのですよ。

ピアノっていうか、ウゾさんは、入試のまったただ中なのでは?
頑張ってくださいね!

コメントありがとうございました。
2014.02.07 22:42 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

子供の頃、大人をただの暇人だと思っていましたよ。
学校にも行かないし、宿題もやらないし、おやつも自分の好きなだけ買えるし、天国にいるみたいなものだと思っていました。違いましたけれど(笑)

長生きも悪くないですが、それで定年退職が100歳なんかになったらイヤだなあ。
定年、65歳なんですよ。50歳くらいにならないかなあ……。

コメントありがとうございました。

2014.02.07 22:51 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
私も早く大人になって、自分の好きな事をやりたいなと思っていました。
私の母は、お店を経営しながら寝たきりの祖父母の介護をずっとやっていた人で、尊敬もしつつ、大人って大変だ・・・と思いながら過ごしました。
でも同時に、私は自分の人生をもう少し有意義に過ごしたいな・・・なんて贅沢な願いも持っていました。

でもやっぱり大人って、時間が無いものですね^^;
私も土日以外は、祝日も関係なくフルで仕事をしていますし、帰ったら家族のための家事がどっさり待っています。子供がいると、なかなか家が片付きませんし、学校行事、地域の行事、親戚づきあいの行事で、休みの日もゆっくりできず。

だから一分一秒も無駄には出来ません。
最近、お金と時間を払って読む書籍や映画が面白くないと、ムッとしてしまうのはそのせいでしょうか(笑)
でも私にとってはこうやって小説を書く時間、そしてブログ仲間とこうやって交流する時間は、私が私であるためにとても大事で、有意義な時間だと思っています。

私など、平凡な日々を送っていますので、夕さんのように日本をでて、まったく私には想像もできない日々に籍を置いている方の日常は、どんな感じなのだろう…などと思っていましたが、やはり悩みは同じなのですね^^
大切な時間、一分一秒を惜しみながら、大切に使って生きていきたい、そう思いますね。
また、そんなふうに思えるのはまだ、幸せなんだろう・・・とも^^
2014.02.08 01:08 | URL | #GCA3nAmE [edit]
says...
こんばんは。

うわ。お母様もすごいけれど、limeさんにも頭が下がります。
フルタイムで働いて、家事もこなしていらっしゃるのは存じ上げていたのですが、お子さんもいらしたのですね。それであの作品の数々を書けるのは本当にすごいです。全然平凡じゃないじゃないですか!

そこへいくと私などまだ時間がある方ですよ。子供いないし、会社は五時きっかりにあがれるし、通勤は自転車で20分ですし。「地域のことを知らないガイジン」「親戚付き合いの苦手な外国人のヨメ」のイメージをわざと作っているので、「本当は自分のことをしたいのに」と思いつつお付き合いに参加することもさほどありませんし。

でも、やっぱり足りないので、なんとか捻出するしかないかなと。limeさんをはじめ、せっかく出会えた皆さんとの時間は、本当に大切にしたいと思っています。これからもどうぞよろしく。

そして、そう、確かにこんなことを言っていられるのは、他に困ったこともなく幸せだからなんですよね。

コメントありがとうございました。
2014.02.08 01:26 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
私も、自分の仕事だけでも120%くらいのパワーを使っていて(たまに手を抜くけど、職業柄、手を抜けない)、あまりにもしんどくて何度も中くらいの病気で倒れたりもしましたが、何とか生きている^^;
本当に、大人になっても、仕事をしても、ある程度のお給料をもらっても、何も楽になりませんね。
家族のことも、沢山面倒を見なければならないし。いつかは放っておいても大丈夫になると思っていたけれど……
私も子供はいないのですが、仕事では数百人の子どもがいるのと同じ(しかも赤ちゃんから40代(もっと?)まで)、彼らのことがいつも気になるし、しかもこの歳になってから、あれこれあって、中学生の姪をひきとって育てることになったりして。

年を取ると、実は縛りはどんどん増える一方なんですよね。仕事ひとつとっても、自分の思うようになりませんし。
うちの両親を見ていても、「安心な老後」はないなぁと思います。あの年になって、持っているものをみんなうっぱらって好きにしたらいいのに、と言ったのに、(私以外の)子どものことが心配だとか言って、夜も寝れないでいる……ほんと、煩悩って尽きない、と思います。
でも、それもまた、人生なのかなぁ。

この歳になると、頑張ってもどうにもならないことがある、ということだけが分かってきて。
でも、一方で、それはそれだけのこと、ととも思んですよね。楽ちんな人生はきっと飽きるんでしょう(*^_^*)
「笑う門には福来る」とか、「生きているだけで丸儲け」とか、あれこ前向きになる言葉を唱えています。

あら、ぐちぐちと自分のことばかり書いちゃいました。
ブログの時間は、本当にいい気分転換です。そして、支えにもなる。有難いです。

2014.02.08 03:57 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
大人になったらもっと立派になるものかと思ってたのに…
自分の時間はたくさんあるけど…
ってお姉ちゃんが言ってました
2014.02.08 11:46 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

彩洋さんのお仕事、やけに出張も多いし、詳しくはわからないけれど大変そうだなあと思っていたのですが。そして、さらに三味線の演奏会なども多くて、本当に時間がなさそうと思っていたのですが、えええええ、いきなり中学生の姪御さんを?! そ、それは大変。
いやあ、連れ合いだったら多少放置して「いま、それどころじゃないの!」が通用しますが、子供は難しいですからね。それにその年齢の方だとこっちにそのつもりがなくても簡単に傷ついちゃうから「今、テンパっているから、そのくらい自分でなんとかして!」と叫べるようになるまではしばらく大変そうです。

そう、「頑張ってもどうにもならないことがある」って割り切ることも大切ですよね。それに「今は我慢して、いつかは」の「いつか」は永遠に来ないってこともわかってきます。親も相当な歳ですが、鬼籍にはいった祖母たちの人生をみて、「その一瞬一瞬を楽しまなかったら、そのままになってしまう」と理解しました。

ブログ社会のいいところは、具体的でなくてもいろいろな方の人生が垣間見えて「ああ、こんな人生をおくっていらっしゃるんだ」「うわ、こんな苦労を!」「う〜む、青いな」「やば、私も……」みたいに客観的に俯瞰できるようになること、それに、「私だけじゃないんだ」「こんな愚痴にみなさんが優しく……」と力づけられることですよね。だから、思っていたよりも時間をとられるにもかかわらず、二年間一度もやめようと思わなかったのかもしれません。彩洋さんも吐き出したいことがあったらいつでもどうぞ! ご無理だけはなさらずに。

コメントありがとうございました。
2014.02.08 17:35 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

でも、お姉ちゃんは「ぐさっ」とくる事を言う方の泥酔介抱なんかもさせられていらっしゃるみたいだし……。
ええと、大人になっても立派にはなりませんね。っていうか、現在私の知っている立派な大人は、高校生の時から立派だった人だけです。後から立派になった人は一人も会った事がありません。ご参考までに(笑)

コメントありがとうございました。
2014.02.08 18:07 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
私も月曜から土曜まで朝から晩まで会社にいるような人間で、休日はほぼ家族サービスで終了です。
自分のやりたいことをやれるのは、数時間です。

例えば、いくらでもやりたいことがあったとして、必ずしも満たされるわけでもない気がします。
あれもしたい、これもしたいと思いながら、ようやく手に入れた僅かな時間でそれをやるからこそ価値があるのかなと思います。

忙しい大人だけが味わえる愛しいスキマ時間を存分に楽しんで下さい。
2014.02.10 17:46 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

そうですよね。現在のヒロハルさんの連載でも語られていらっしゃるように、時間があれば満たされるというわけではないですよね。もっともそういう状況になるまでは「もっと時間さえあれば」と考えてしまいがちなのも人間なのかもしれませんね。

創作を中断していた十年間くらい、今よりも時間がなかったわけでもないんですよね。そして、満たされていたわけでもないのです。むしろ「私の人生ってこれでいいんだろうか」とイライラし続けていたように思います。今はとっても忙しいんですが「少なくともこれだけはやった」と言えるものが(自己満足に過ぎないにせよ)どんどんと増えていっている歓びはありますよね。

スキマ時間、有効に使おうと思います。

コメントありがとうございました。
2014.02.10 22:44 | URL | #9yMhI49k [edit]

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