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Posted by 八少女 夕

カーサ・ダ・ムジカと間口の狭い家

「Infante 323とポルトの世界」カテゴリーの記事です。オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いています。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

今回の章で意識的に取り上げたのは、「ポルトと建築」。ポルトには美しい光景がいっぱいあって、どこを観てというよりも街のすべてが素晴らしいのです。でも、今回ストーリーの中でわざわざ取り上げたのは以下の二点です。

カーサ・ダ・ムジカ

章の前半に出てきたのは、カーサ・ダ・ムジカ。旧市街から海へと向かうボアビスタ通りの始まる所に建っている現代建築です。一度見たら忘れられない変な形をしています。

伝統的な建物がとても美しい街に突然こういう建物があると「う〜ん」と思います。作品中でもマイアは最初はちょっと批判的でしたよね。ところがどっこい、中に入るととても素敵らしいのです。らしいというのは、私はまだ入った事がないからなんですが、下の動画をちょっとご覧ください。光と陰影が創り出す美しい空間ですよね。伝統的な美の作り方とは違いますが、「単純に音楽が聴けて、大人数を収容できればいいんだろう」という効率的な考えとは対極にある建築物になっています。



さて、ポルトの旧市街を印象的にしてるのは大聖堂や豪邸だけではありません。ごく普通の人びとが住んでいる家もとても印象的。ご覧のように一つひとつの家の間口はとても狭くて、日本でいう鰻の寝床のようになっています。日本でも同じ理由だったように記憶していますが、税金が家の幅ごとに決まっていたらしく、奥に細長く建てた伝統があったようです。

ポルトの鰻の寝床のような家並み

キューバのカストロ議長がポルトに来た時にピカピカにしたというリベイラ、世界遺産の威信をかけて作り直したアリアドス通りなどは、本当に美しくて絵になりますが、ちょっと裏手に入ると「あ、ユーロ危機もポルトガルの現実よね」と感じる、若干手入れの行き届いていない家々もたくさんあるのです。でも、その古くなったタイル、ペンキの剥がれかけたドアなどが、ここはテーマパークではなくて年季の入った本当の街だと再認識させてくれるのです。

私は、壮大で美しいポルトも好き、ファドの歌声のようにもの悲しくもたくましい庶民の息づくポルトも好きです。

この記事を読んで「Infante 323 黄金の枷」が読みたくなった方は……

「Infante 323 黄金の枷」「Infante 323 黄金の枷」をはじめから読む
あらすじと登場人物
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Comment

says...
京都の家の間口が狭いのも、確か税金の関係だと聞いたことがあります。
お写真の街並み、興味深いです。
私も貨幣がユーロになっちゃった後のナポリに行った時、何となくこれまでとは違う町の雰囲気を感じました。トイレットペーパーの値段を見た時……これはいかんなぁ、と。
その何とも得いない空気は現場でしか感じられないものですね。
街は生きている。同じ姿を何十年後も保ち続けているわけではなく、変わらないものと変わりゆくものが共存しているのですね。
ポルトの記事、次もまた楽しみに待っています(*^_^*)
2014.08.23 12:46 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
あ、やっぱり間違っていませんでしたよね。鰻の寝床、そういう理由だったと思ったんです。でも、確信がなくて……。安心しました。

ポルトでも、ユーロ危機に陥ったのは、某国を中心とするユーロ圏の口先に載せられて、必要もない投資をさせられたせいだという話をする人がけっこういました。行くとわかるんですけれど、地下鉄などのインフラが妙に整っているんですよ。それ、ほぼEUに強引に貸し付けられたお金で作ったとか。で、返済が焦げ付いたらしいんです。もっとも、他のユーロ危機の国よりも勤勉な人たちが必死に返して、そろそろ「もう貸してくれなくていい」になってきたと嬉しそうに話してくれましたよ。

マルタに行ったときも思いましたが、古くさく見えても、その土地で愛されているもの、機能しているものがあったら、一律に強引に廃止させたりしない方がいいんですよね。EUにはいい面もあるけれど、そういう意味でヨーロッパらしさを破壊している面もある、そんな風に思いました。

ポルトは、その共存に成功したいい例かも知れません。

小説の内容に合わせて、このカテゴリーの記事、少しずつ増やしていく予定です。併せて読んでいただけると幸いです。

コメントありがとうございました。
2014.08.23 20:05 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
サキは伝統的な建築物が好きですが、現代建築にも美しさを感じます。
奇抜さだけが抜きん出て自己主張が強い物には閉口しますが、そんな現代建築の中にも風景に溶け込もうとしている、或いはすでに溶け込んでしまっている物があって、そういう建物に出会うと胸のときめきを憶えます。
伝統的な物との調和、これは建物を設計する人にとってとても難しいことだと思います。
カーサ・ダ・ムジカ、動画を見たりNETを彷徨って色々と調べてみたりすると、この建物はサキにとって胸のときめきを憶えるそれに入る物だと思います。
なんとなく物語の始まりを感じます。
出来ればミクを登場させて短いストーリーで何か書いてみたい。
そんなふうに思いました。
でもここへ行って実際に体感してから書きたい、そういう思いも強いです。
ポルト、サキの頭に隅にも登ることのなかったこの街は、いつの間にかサキにとって忘れられない思い出の街になろうとしています。
不思議な感覚です。
2014.08.24 04:37 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
おはようございます。

カーサ・ダ・ムジカは位置が絶妙のところにあって、旧市街の調和はギリギリ壊さない感じになっています。それにしても奇抜な建物なので、最初は「ひえ〜」って思いました。たぶん建築中は賛否両論だったんじゃないかしら?

おお、またミクのポルト物語が読めるのですね。嬉しいなあ。
ポルトへの思い入れが強いのが一人だけだと「ひとりよがり?」って迷うんですけれど、サキさんも好きになってくれたし、嬉しいな。このまま突っ走っちゃいますので、サキさんもぜひご一緒に。

ポルトにいつか行けるといいですね。
確かに日本からだととても遠いんだけれど……。

コメントありがとうございました。
2014.08.24 10:05 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
八少女さんの作品で惹かれるのはいつも建物が多いんですよね。
日本にはない背景をイメージできるように描写してくれるので、
本当に美しいのだろうな~~
( ;∀;)
と思いながら読めるのが八少女さんの小説の美徳です。
2014.08.26 12:26 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

おおお、ありがとうございます。
地の利を生かして、わりと異国的な舞台で書く事が多いのです。
説明臭くなりすぎないように、でも、ちゃんとイメージできるように書くのって時間がかかりますが、うまく表現できたと思うときは歓びもひとしおです。
よし、これからも頑張ります!

コメントありがとうございました。
2014.08.26 18:37 | URL | #9yMhI49k [edit]

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