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【小説】追憶のフーガ — ローマにて

Posted by 八少女 夕

50000Hit記念リクエスト掌編の第六弾です。大海彩洋さんからいただいたお題は「ローマ」でした。そして素敵な作品も書いていただきました。ありがとうございます。

 彩洋さんが書いてくださった作品:
 【いきなり最終章】ローマのセレンディピティ(前篇)
 【いきなり最終章】ローマのセレンディピティ(中篇)
 【いきなり最終章】ローマのセレンディピティ(後篇)

彩洋さんの作品は、なんとご自身のライフワークと言ってもいい、一番大切な「真シリーズ」の最終章になっています。一世紀に及ぶ大河ドラマの集大成。す、すごい。そんな大事な作品をわざわざ書き下ろしてくださいました。あ、いや、もちろん私のためにではないでしょうけれど、でも、企画に合わせていま書いてくださったというのは、とても嬉しいです。

で、「ローマ」です。どうしようか悩んだのですよ。「大道芸人たち」は使い過ぎて新鮮みがいまいち。「夜のサーカス」でマッダレーナを主役にして「セレンディピティ」を書こうかなと思ったけれど、団長ロマーノが悪ふざけしちゃってふさわしくない。それとも若干ご縁がないとも言い切れない「ルドヴィコ+ロメオ」のイタリア人コンビも考えたのですが、彩洋さんがここまで大事な作品で書いてくださっているからには、あの二人じゃ役不足過ぎる。

で、こうなりました。人物は二人とも小者ですが、舞台だけは立派。サン・ピエトロ大聖堂です。彩洋さん家のヴォルテラ家に敬意をはらって。(あ、ニアミスはしているかもしれませんが、どなたともお逢いしていません)彩洋さんと同じ「まだ完結していないシリーズ物の全部終わった後の話」ただし、バリバリの主人公のお話であるあちらと違って、でてくるのは本編には入れられなかった枝葉エピソード+補足。シリーズは現在連載中の「Infante 323 黄金の枷」とその続編三部作で、出てくる女性は脇役の一人です。この作品を読んでいらっしゃらない方には「?」な部分がたくさんあると思います。読んでいらっしゃる方でもわからない部分があると思いますが、読み切りストーリーとしてはほとんど意味がないのであえてほとんどの説明を省きました。「そういうことらしい」と割り切ってお読みください。


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「Infante 323 黄金の枷」をご存じない方のために
この作品は現在「月刊・Stella」用に連載している長編小説です。読みたい方はこちらからどうぞ


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あらすじと登場人物



追憶のフーガ — ローマにて

 タラップを降りて周りを見回した。そこはイタリア、ローマだった。生まれ育った街、出て行くことを生涯禁じられていたはずの街を飛び立ち、何の問題もなくこうして異国に降り立ったことが信じられなかった。ここでも同じように呼吸ができて、黒服の男たちに止められることもなかった。後ろの乗客が控えめに咳をした。それで通行の邪魔をしていたことに氣がついた彼女は小声で謝ると、抱えて持つには多少重いが、海外旅行にしては少なすぎる荷物を持ち直した。

 強い陽射しを遮るために左手を額にかざした。そこには、あるはずだったものがなくなっていた。本来だったら生涯外されることのなかったはずの黄金の腕輪の代わりに、彼女は日焼けに取り残された白い痕を見た。違和感が消えない。あれは、氣がついていなかったけれど、とても重かったのだ。当然だろう、黄金だったのだから。どこへ行くのも何をするのも完全な自由を手にした今、彼女を苛んでいるのは心細さだった。

 ローマ市内に行くために交通機関を検討しようと、案内板を見上げた。タクシーは即座に却下した。エクスプレスも、彼女の金銭感覚には合わないように思った。彼女は財布の中に入っている黒いクレジットカードのことを思いだした。ローマ市内どころか、シチリアまでタクシーで行っても一向に困らないはずだった。けれど、彼女は微笑んでそのアイデアを打ち消した。

 ふと視線を感じて横を見ると、先ほど彼女がタラップを降りる時にちょうど後ろにいた、若い青年がいた。どちらかと言えば貧相なタイプで、茶色い髪は少し伸び過ぎで、黒いシャツに灰色のジャケットはフランス資本のスーパーマーケットで揃えたような安物だった。

 彼女と目が合ったので、青年は照れ隠しに笑った。少しの躊躇の後、彼は口を開いた。
「星、一つだったんですね」

 彼女は反射的に青年の左手首を見た。この発言で、彼女には彼が「知っている人間」だということがわかった。黄金の腕輪はしておらず海外にいるということは、《監視人たち》の一人なのだろう。しかし、禁じられてはいないとは言え、《監視人たち》も街の外に出ることはほとんどないはずだ。この人はなぜローマにいるのだろう。

「すみません、唐突でしたね。僕は、マヌエル・ロドリゲス。神学生です」
差し出された手を握りながら、彼女はなるほどと思った。それならば、街を離れてローマに学びに行くこともあるだろう。彼らの家業でもある監視、それさえしていれば汗水たらして働かなくても生活できる結構な仕事を、あえてしたくない人間もいるのかもしれない。それとも、彼らは教会の中でも《星のある子供たち》を監視するのだろうか。

「クリスティーナ・アルヴェスです。名前もご存知かもしれないわね。あなたのこと、全く記憶にないから、《監視人たち》としてとてもいい仕事をしていたのね」
そういうと、マヌエルは鼻の所で黒ぶちの眼鏡を押し上げながら、参ったなというように笑った。
「僕、神学校の休みの時に数回だけ兄の代わりをしただけですから」

 それから首を傾げて訊いた。
「ローマははじめてのようですね。よかったら市内までご一緒しましょうか」
クリスティーナは、少し考えてから頷いた。
「ええ、お願いするわ。アウレーリア通りってご存知かしら」
「なんですって。バチカンの真ん前じゃないですか。もちろん知っています。目的地までお届けしますよ」

 クリスティーナはテルミニ駅からもたくさん歩くことになるのかなと思った。それともバスで。結局、タクシーとは縁がなさそうだ。

 黄金の腕輪についていた赤い宝石の数が、一つではなくて二つだったと言ったら、どうなるのだろうかと思った。星一つでない限りは生涯外されることのない《星のある子供たち》の黄金の枷。《星のある子供たち》を生んだからではなく、一年経っても子供ができなかったからでもなく、特別な事情で腕輪を外されたことは、職務に忠実なごく普通の《監視人たち》には知られない方がいいに違いない。そう、私を自由にしてくれた彼のために。

「私をどこで監視したの?」
彼女は訊いてみた。答えないかもしれないと思いながら。
「二度はアリアドスの側で、それから先月、あの婚礼で……」

 クリスティーナははっとした。それはドラガォンの館のすぐ側にあるサン・ジョゼ・ダス・タイパス教会で行われた結婚式に違いなかった。花嫁の家族は、ドラガォンの館の中に入ることが許されていないので、例外的にあそこで挙げたのだ。この青年がいたかどうかクリスティーナが氣に留めていなかったのも当然だった。彼女は婚礼も出席者も司祭や助祭も見ていなかった。彼女は、座った席の正に横の位置の床に、新しく設置された四角い石を見ていた。《Et in Arcadia ego》石にはただそれだけ刻まれていた。

 その位置にその石が設置されたのは、おそらくクリスティーナのことを慮ってだったろう。もし、ドラガォンの館の敷地内にあれば、腕輪を外されたクリスティーナは二度と訪れることはできないだろうから。

 名前はない。墓標だと氣づく者もない。始めから存在しなかった者が再び幻影に戻った、その記念。

「何かつらいことを思いださせてしまいましたか?」
声にはっとして、マヌエルの存在を思いだした。バスは高速道路に入った所だった。高速道路そのものは彼女の故郷にあるものとあまり変わらないのだなと思った。と言っても彼女が高速道路というものを通ったのは、今日が初めてだったのだが。

「ごめんなさい。初めて飛行機に乗って、少し疲れたみたい」
「そうですか。一時間近くかかりますので、少しお休みになっても構いませんよ。近くなったら起こしますから」

 そう言ったマヌエルの方が、先にウトウトとしだした。頼りない人ね、笑ってクリスティーナは窓の外を眺めた。彼に逢ったのは偶然なのだろうか。それとも《監視人たち》は今でも私を監視しようとしているのだろうか。それから肩をすくめた。もし、そうだとしても、こんな抜けた人を選ぶわけはないわよね。

 それから彼女は、幾年も前のことを思いだした。あの館でゆっくりと刻んだ時間、いつでも彼がいた。それは海辺の波のようだった。ゆっくりと押し寄せて、それから静かに帰っていく。フーガのように、追いかけては追い越していく。仕事のことを話すだけだった長い期間、それから、その外見と堂々とした態度からは想像もできない傷つきやすい魂を知ったこと。ゆっくりとその手が伸ばされて、戸惑い、諦め、潤んだ瞳だけが語る長い時が過ぎていった。

 熱にうなされ、一人で消えていく恐怖に怯えていた彼を、この世につなぎ止めたくて必死でその手を握った。弱々しい力が、わずかな歓びにうち震えた。彼女にとって深く哀しくも歓びに満ちた日々の始まりだった。尊敬と親しみが、愛に変わった瞬間だった。

「愛されるというのは、幸せなものだな……」
彼の大きい手のひらを自分の頬に引き寄せて、頷いた。それもまたゆっくりと記憶の彼方に帰っていった。

「あれ。いつの間に……」
目の覚めたマヌエルを見て、クリスティーナは笑った。
「そろそろ着くんじゃないかしら」

 マヌエルは眼鏡をかけ直して車窓を眺めた。
「ええ。もうすぐです。ホテルの近くまで行くバスにご案内しますね」

 クリスティーナは、ふと思いついて訊いた。
「ねえ、サン・ピエトロ大聖堂を案内してくれない? 見所や歴史についてあなたはとても詳しいのでしょう」

 マヌエルはすぐに首を縦に振った。
「喜んでご案内しますよ。実のところとても詳しいとは言えませんけれど、行き慣れていますし、母国語で説明を聞くのはあなたにとっても楽でしょうから」

 クリスティーナのチェックインしたホテルを見て、マヌエルは目を丸くした。僕の記憶が確かならば、この女性はドラガォンの館の使用人だったはずだ。ここはかなり格の高い四つ星ホテルだ。クリスティーナは彼の考えを見透かしたように言った。
「ドラガォンからのボーナスみたいなものよ。でも、これからずっとこんな暮らしをしていくわけじゃないのよ」

 あのクレジットカードをくれたということは、たぶん彼らは私にそうしてもいいと言っているのだろう。おあいにくさま。私がそんなに怠惰だと思ってくれては困るわ。クリスティーナは心の中でつぶやいた。

 荷物を置きに部屋に入ると、花瓶にピンクと黄色のグラデーションになった薔薇の花束が生けてあるのが目に入った。私がこの色の薔薇が好きだと、彼はわざわざセニョールに伝えておいてくれたんだろうか。強い香りを吸い込み一本手にとろうとした。「いたっ」棘が指に刺さった。ドラガォンでは、使用人たちが丁寧に棘を取り除いて生けていた。そう、もう、ここはドラガォンではない。イタリアのローマにいるのだ。

 血が流れる。痛みとその真紅が、クリスティーナに「まだ生きているのだ」と告げる。

 ロビーに降りて行くと、マヌエルが所在なげに座っていた。クリスティーナが手を振ると、嬉しそうに立ち上がった。
「お待ちどうさま。部屋からサン・ピエトロ大聖堂のドームが見えたわ。本当にローマにいるのね」
彼女が言うと、マヌエルは微笑んだ。彼の荷物をフロントに預けて、二人はサン・ピエトロ大聖堂に向かった。

 テレビで遠景をみたことがあったが、カトリックの総本山だけあってその壮大さはただ事ではなかった。彼女の街の「セ」という呼び名で親しまれている大聖堂や黄金の装飾で有名なサン・フランシスコ教会も壮大だと思っていたが、スケールが違った。そもそも四柱のドリス式列柱に囲まれた楕円形の広場からしてずっと広い。
「この列柱廊は、信者を優しく抱擁するように広げた腕のようになっているんです。あ、ここに立って見てください。四列の柱がぴったり重なって一柱のように見えるでしょう?」

 マヌエルはゆっくりと歩きながら説明していった。13の聖人像の見えるファサード、教皇が祝福を与えるバルコニー、玄関廊の五つの扉、観光客たちが押し寄せていく中を、ゆっくりと大聖堂の中に向かって歩んでいく。

 身廊に入ってすぐ右側に人だかりがしていた。クリスティーナはすぐにそれがなんだかわかった。ミケランジェロの「ピエタ像」だ。亡くなったキリストを腕に抱く聖母マリア像。若々しく穏やかで美しい嘆きの母は、クリスティーナを再び記憶の海に引き戻した。

 彼が眠りについたあの夜、報せを訊いて駆けつけると、枕元で泣いていた彼の母親は立ち上がって彼女を抱きしめた。
「かわいそうな、クリスティーナ」

 かわいそうなのは、あなたでしょう。息子を失っても、嫁でもない女の心を慮らなくてはならない。自由になることは許されず、願った人生を生きることも叶わない。それでも、優しく、強く、思いやりを失わない人。あなたが私の前を歩いてくれたから、私は不幸に溺れることがありませんでした。私のことを心配なさらないでください。私も泣くだけの人生を送ったりしません。彼の思い出を掘り返すだけに、残りの人生を費やすこともしないでしょう。

 身廊を進みながら、マヌエルがいくつもの絵画やモザイク画を説明してくれた。参拝者が接吻していくために右足のすり減ってしまっているブロンズのペテロ像、そして、大きな天蓋に覆われた教皇の祭壇。

 祭壇の真上のクーポラからは光が溢れていた。ルネサンスの最高傑作とはよく聞くものの、実際に立ってみるまではその意味がはっきりとはわからなかった。なんて美しいのだろう。人は、どれほどの時間をかけ、技量と知恵を振り絞って、天上の美というものを表現しようと試みたのだろう。そして、今、私はここに立ってそれを見ているのだ。

「すごいわね」
彼女のため息に、マヌエルは頷いた。
「とてつもない時間と労力。この豪華絢爛な建造物を作る費用を貧しい人に向ける方がずっと神の意に適うという人もいます。確かにそれにも一理あるんですが、それだけで片付けられない何かがあるんです。僕はこの驚異をこの目で見ることができてよかったと思うんですよ」

 クリスティーナは黙って頷き、光を見ていた。マヌエルは横で続けた。
「ここは、僕には特別な所なんです。ずっとドラガォンと《監視人たち》のシステムについて悩み続けてきました」
彼女ははっとして、青年の横顔を見つめた。彼はペテロ像の方を見た。

「ローマ教皇は主イエス・キリストの精神的後継者として代々受け継がれてきた。そして、あなたたちが受け継いでいるのは同じ主の血だと聞いたことがあります」
「それはただの噂でしょう」
「ええ、その通り噂です。信憑性を確かめることもできないものを守るために、時代遅れで人権無視のシステムが動き続けている。僕は、システムの一部である《監視人たち》の家系に生まれて、不都合を押し付けられたあなたたちに苦痛を強いることの意味をずっと考えていました。そして結論はシステムから逃げだすことだったのです」

 彼が「逃げだすフーガ 」と口にした途端、オルガンが鳴り響いた。二人はびっくりして顔を見合わせた。オルガニストがちょうど演奏を始めた所だった。その音色はクーポラに響いてますます荘厳な心地にした。
「参ったな。バッハの『パッサカリアとフーガ ハ短調』ですね」

 フーガ。イタリア語でもポルトガル語でも音楽用語の遁走曲以外に、逃走や脱出、脱落やこぼれ落ちることを意味する。クリスティーナは左手を見た。ここにいる二人はドラガォンのシステムから抜けだしている。特例によって、もしくは、意志によって。システムを離れたものは部外者だ。血脈が本当は何を意味するかわかったとしても、もはやその保存に対して何かをすることはできない。クリスティーナの左手首はとても軽くなった。その彼女を自由にしてくれた人は、自分自身は自由になることができないまま、システムに身を任せ、あの四角い石の下に眠っている。豪華な墓標もなく、功績を知られることもなく、存在を打ち消された。

 石の上に書かれた銘文のアナグラムを思いだす。《I tego arcana dei》。『神の秘密を埋めた』

 華やかなフーガの流れる、世界が驚嘆の目を向ける大聖堂。主イエス・キリストの後継者たちの偉大なる聖座。それはどれほど彼女の愛した男やその先祖または後に続く者たちの人生と異なっていることだろう。

 《星のある子供たち》の存在に意味があるかはわからない。それは栄誉であるとも悲運であるとも言いきれない。世間の目から隠し通し、複雑怪奇で厳格なシステムを使ってまで残そうとした人たちの強い意志は今も働いている。そして、その厳格な網の間を通って、システムを動かす人たちの精一杯の優しさが、このクーポラから射し込む光のように暖かく人を包み込む。

「自由になって、幸せになってほしい。これは、彼の願いだった」
昨日、ドラガォンの当主が、書斎でそう言った。黒檀の机の上に、クリスティーナのパスポートと黒いクレジットカード、それから頼んであったローマへの航空券とホテルのバウチャーを静かに置いた。
「ありがとうございます。メウ・セニョール。そうするよう努力します。お世話になりました」
クリスティーナは、最後に微笑むことすらできた。

 たくさんの思い出の詰まった館を、親しんだ仲間たちのもとを、振り返りもせずに出てきた。もう二度と足を踏み入れることはできない。けれど、それがなんだというのだろう。もう、彼はいないのだ。この世のどこにも存在しない。記憶は波のように寄せては帰っていく。そうして私は生き続けていく。この地球に住む他の全ての人びとと同じように。

 ホテルに戻り、彼の荷物を受け取って、ロビーで別れを告げる時に彼女はもう一度右手を差し出した。
「一緒に来てもらってよかったわ。詳しくないなんて謙遜しすぎよ。トラベル・ガイドになればいいのに」
クリスティーナが言うと、マヌエルはあっさりと頷いた。
「ええ、実をいうと、それも考えているんです」

 彼女はびっくりした。
「司祭になるんじゃないの?」
彼は首を振った。
「とんでもない。神学校に入ったのは《監視人たち》の仕事から離れるための単なる方便ですよ。それに……」
それから声を顰めた。
「妻帯も許されないような集団に興味はないんです」
クリスティーナは呆れた。かわいそうなご家族ね。

「あなたは、この旅の後、どうなさるのですか?」
マヌエルはためらいがちに訊いた。クリスティーナは微笑んだ。
「国に帰るわ。そして、仕事を探さなきゃ。血脈のためなんかじゃなくて、私自身の人生を探していくんだわ。あなたもそうでしょう?」

 彼も微笑んだ。
「そうですね。でも、ドラガォンと全く関係のない、ここ、イタリアで暮らしていくのも悪くないと思っているんです。初日じゃわからないと思いますけれど、数日いてみたら、きっと僕のいう意味がわかるかもしれませんよ。もし、そうしたいと思ったら連絡をください。僕、力になれると思いますよ」

 クリスティーナは明るく笑った。とんだ神学生ね。イタリアに馴染みすぎよ。強い陽射しが輝いていた。彼女の新しい人生は始まったばかりだった。

(初出:2014年11月 書き下ろし)

追記


出てきたバッハの「パッサカリアとフーガ」です。

J.S. Bach - Passacaglia and Fugue in C minor BWV 582


それから、このストーリーのイメージとなったのがこの二人のデュエットです。私の大好きなファド歌手のドゥルス・ポンテスとアンドレア・ボチェッリのデュエット。ポルトガル語と、ナポリ方言での掛け合いが、このストーリーのポルトの世界とローマの世界を繋げています。
O Mare e Tu
Andrea Bocelli & Dulce Pontes



Sentir em nós
Sentir em nós
Uma razão
Para não ficarmos sós
E nesse abraço forte
Sentir o mar,
Na nossa voz,
Chorar como quem sonha
Sempre navegar
Nas velas rubras deste amor
Ao longe a barca louca perde o norte.

Ammore mio
Si nun ce stess’o mare e tu
Nun ce stesse manch’io
Ammore mio
L’ammore esiste quanno nuje
Stamme vicino a Dio
Ammore

No teu olhar
Um espelho de água
A vida a navegar
Por entre sonho e a mágoa
Sem um adeus sequer.
E mamsamente,
Talvez no mar,
Eu feita em espuma encontre
o sol do teu olhar,
Voga ao de leve, meu amor
Ao longe a barca nua
a todo o pano.

Ammore mio
Si nun ce stess’o mare e tu
Nun ce stesse manch’io
Ammore mio
L’ammore esiste quanno nuje
Stamme vicino a Dio
Ammore

「海と君」

私たちの内側を感じて
私たちの内側を感じて
理由はひとつ
私たちは一人ではいられないから。
そしてこの強い抱擁で
海を感じて。
私たちの声で、
夢みるように泣いて。

いつも舵を取っている。
愛の薔薇色の帆を立てて
羅針盤なしで遠くへ行く狂った小舟。

わが愛
もし海とお前がここにいないのならば
俺もまたここにはいたくない
わが愛
愛が存在するのは
我らが神に近い時


あなたの瞳に
潤った鏡がある。
夢と悲しみをのあいだを
さようならを告げることすらなく
人生を渡ってゆく。

そしてやさしく
おそらく海の中で、
泡で作られた
あなたの瞳の中の太陽を見つける。

私は光に、私の愛に向かって
遠い海を走る裸の小舟を
完全に帆を広げて
優しく漕いでいく。

わが愛
もし海とお前がここにいないのならば
俺もまたここにはいたくない
わが愛
愛が存在するのは
我らが神に近い時

.09 2014 小説・黄金の枷 外伝 trackback0
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⇐ 【小説】再会

comment

says... ""
しまった、「ローマ」が来るまで待つんだった(゜゜☆\(^^;)コラ

次回のキリ番も楽しみに待ってますね~。

しかしそれにしても、ライフワークの最終回をキリ番のお題に採用されて、その精神的プレッシャーたるやかなり重かったのではないかと思います。

そんな中でこれを書かれたとは、うーむ、大海さんも八少女さんもすごいであります……。

これはわたしも新しい危険球を編み出さなければ……(゜゜☆\(^^;)コリテナイ
2014.11.09 06:50[edit]
says... ""
うーむ、流石は八少女さん。
教会の世界観がとても良く出ています。
そちらでは宗教は文化ですからね。それがありありと出ていて、
そちらの国にいるような気持ちになりました。
ありがとうございます。
(*^-^*)
2014.11.09 11:46[edit]
says... ">>ポール・ブリッツさん"
こんばんは。

いや、この企画終わりがないんで、いつ次のがくるのかわかりませんよ〜。

次のキリ番……たぶん、scriviamo! 2015に押しつぶされて流れると思います。
というわけで、scriviamo!のほうにご参加いただけると(笑)

あはは、はじめっから対抗できるほどの重みのあるモノは書けないことがわかっているから、おちゃらけに逃げてもよかったんですけれど、なんとなく……。でも、褒めていただいたと、勝手に解釈して喜びます。ありがとうございます。

あ、でも、危険球はわざわざ生み出さなくていいですから(笑)ポールさんの場合はジョークじゃないからな〜。

コメントありがとうございました。

2014.11.09 17:12[edit]
says... ">>LandMさん"
こんばんは。

うわ。褒めていただきありがとうございます。
教会に対する温度差も、ヨーロッパの各国や年代で少しずつ違うのですが、やはり日本人のあり方とは少し違うと思うのですよ。
正面から語るのではなくて、所々でそういうのが感じられるのがベストだと思って書いています。

コメントありがとうございました。
2014.11.09 17:19[edit]
says... ""
更新、お疲れ様です。

お、腕輪の子が、Pの街を出たんですね。なんか、すごく思わせぶりな状況ですが……。
クリスティーナは、システムの例外ですよね? 番号の人のパートナーで、番号の人が亡くなったから、二つ星なのに腕輪を外してもらえた、ということでしょうか。番号の人の遺言でもありそうですけど。
え、なにげに、すごいことが書いてありますけど……もしや、ダヴィンチ・コード? あの御方の末裔とかですか? それなら、あれだけのシステムを作ってでも、守り続けようと考えるでしょうね。それが総本山サン・ピエトロ大聖堂を舞台にして開示されるとは。あ、大海彩洋さんの作品に連係してるのか(とか勝手に想像)
碑文の言葉が、重くて、かっこよくて。パソコンの前で悶えてしまいました(笑)
作中の登場人物、もしかしてちょい役のこの人って……とか、いろいろ想像して楽しませてもらいました。

サン・ピエトロ大聖堂は、ツアーで立ち寄ったことがあります。作中に書かれているマヌエルの言葉とほとんど同じ感慨を抱きました。あれはほんとうに凄いものです。
ただ、システィーナ礼拝堂からずっとすごい観光客の数で、ラッシュ時の電車みたいで……。感動したのはしたんですけど、なんか、ねぇ。
2014.11.10 01:28[edit]
says... "こんばんは"
このシステムを100%理解できていないかもしれませんが、星を持つ子であるクリスティーナが、初めて触れる外の世界の新鮮さは伝わってきました。
立場は違えど、マヌエルもまたシステムから抜け出そうとしている同志なのですね。
相方を亡くしたばかりのクリスティーナですが、なんかちょっといい感じの出会いかも・・・。
それにしても、大海さんといい、夕さんといい、歴史的背景を感じさせる舞台を描くのが本当にうまい。重厚感にくらっと来てしまいます。
海外旅行にはたぶんもう行くことは無いと思うんですが、この場所とピエタは見てみたかったな・・・なんて思います^^(あれ、なんかもう人生終わったような・・・)
フーガという言葉の使い方も、いいですね。
そしてTOM-Fさんもおっしゃっていたけど、星の謎がちらりと。本当にそう言う事だったら、ダビンチコードも真っ青なものすごい事実。本当にあってもおかしくないな、とか。

大海さんもこの物語も、「血」が絡みますね。
血ってなんだろう。やはり人間の根本であり、最後に信頼できるものなのかなあ。
・・・ロマンというのだったら、頷けるんだけど。もっといろんな欲望が感じられて。ダビンチコードを見ながらそんなことを一時期考えていたものですから。
とりとめのない方向に感想が行ってしまいました。汗

夕さんの物語の世界観も感じられる、素敵なお話でした。
本編も楽しみにしていますね。

2014.11.10 13:49[edit]
says... ">>TOM-Fさん"
こんばんは

クリスティーナは、本編で前回大爆笑していた子です。お相手は、今は黙っておこう。本編のわりと最後の方に誰とつき合っているのか、はっきりと出てきます。でも、このお話は三部作の最後の終わったあたりの話です。

さて、「なんだよ、この設定は〜」とお思いでしょうが、実際にポルトに行くと「アリかも」と思う事実がいっぱい出てくるのですよ。「ダヴィンチ・コード」の元ネタになっているレンヌ・シャトーは南フランスの話で、「テンプル騎士団」がものすごく重要な役割を果たしているのですが、そのテンプル騎士団、フランス王に虐待されて解散させられた後は、ポルトガル王の庇護を受けて、ポルトガルで「キリスト騎士団」となり、現在まで続いているんですよ。ポルトガルの大統領は自動的にキリスト騎士団のグランド・マスターという笑い話のような事実があるんです。それと同時に、テンプル騎士団の莫大な遺産はどこへ行ってしまったのかという謎があって、それはどうやらエンリケ航海王子(キリスト騎士団の指導者だった)がゲットしたという話もあるのです。ここでポルトとテンプル騎士団の財宝が繋がるんです。

で、そこから来た連想ゲームですが、真偽のほどはどうでもいいんです。単に「そうなのかもしれない」という噂のために、システムが動き続けていて当事者たちにも止められないというところが大事。

さらに裏話を語りますと、テンプル騎士団は、フランス王に抱き込まれたローマ教皇(フランス人)に見捨てられたのです。ローマ教皇はその後マルタ騎士団をテンプル騎士団の後継と認めて、現在に至るまでマルタ騎士団は教皇が任命するのですが、キリスト騎士団はローマ教皇庁とは一線を画しているのです。変なたとえですが伊勢神宮と出雲大社のような関係なんですね。ポルトガル人のローマ教皇庁に対する感情は、そういう若干複雑なものが含まれているのです。そして、「噂」を知っている《星のある子供たち》と《監視人たち》はもっと別の想いも抱いていると。その上で、二人はサン・ピエトロ大寺院に来ているのです。そして、肯定も否定もせずに、その栄華の象徴を見上げているわけです。


> 碑文の言葉が、重くて、かっこよくて。パソコンの前で悶えてしまいました(笑)

これは、本編からの流用です。もちろん、元ネタになったラテン語はレンヌ・シャトー(笑)

> 作中の登場人物、もしかしてちょい役のこの人って……とか、いろいろ想像して楽しませてもらいました。

本編を読みながら、あたっているか楽しんでくださいませ。

TOM-Fさん、いらっしゃったのですね。
ラッシュアワーのようだったのですか? 私の時はもう少し楽でした。しかも、2000年、つまり大聖年で、普段開いていない扉もくぐれた時だったんですが。ラッキーだったな〜。
そんなに混んでいると、たしかに「なんだかな〜」ですよね。

コメントありがとうございました。
2014.11.10 20:20[edit]
says... ">>limeさん"
こんばんは。

ああ、システムは、氣になさらないでください。これは全部「どうにもならない運命」を言葉にするための方便ですから(笑)

本編の中では《監視人たち》が、自分たちの仕事をどう思っているかはほとんど出てこないのです。だから、今回そのうちの一人としてマヌエルという(かなり頼りない)人物を創ってみました。

クリスティーナは、悲劇にドロドロと酔うタイプじゃない、というキャラ設定をしています。
だから、こういう悲劇が進行している途中でも、マイアには明るいお姉さんにしか見えないんですね。
そのキャラのまま、ここでも書きました。マヌエルもまさかそんなことだとは夢にも思わずに口説こうとしているようです(笑)

> 海外旅行にはたぶんもう行くことは無いと思うんですが、この場所とピエタは見てみたかったな・・・なんて思います^^(あれ、なんかもう人生終わったような・・・)

そうですね。まだわかりませんよ。チャンスがあったら、ぜひ。バチカンの底力はすごいですよ。隣のシスティーナ礼拝堂に行くと、「ああっ、天地創造!」「げっ、アテネの学堂!」という具合にとんでもないものがもっとたくさん並んでいますので。フィレンツェもすごかったですが。

「フーガ」のくだりは、一番最初の骨格でした。イタリア語とポルトガル語で同じというのがポイントで、脱落者クリスティーナと脱走者マヌエルにフーガを聴かせるぞって。

> そしてTOM-Fさんもおっしゃっていたけど、星の謎がちらりと。本当にそう言う事だったら、ダビンチコードも真っ青なものすごい事実。本当にあってもおかしくないな、とか。

「本当にあってもおかしくない」については、TOM-Fさんへのコメ返に熱く語りましたので、そちらをご参考に。あの事実を知らなかったら、さすがの私でもこんなトンデモ設定はしませんから(笑)

「血」の方は、この話の場合は、本人たちには全然重要じゃないんですよね。「どうせ誰だかわかんないじゃん」と思っている。もしかすると「こんなの嫌だ」と思っているかも。でも、それに抵抗して抜け出すマヌエルのような人物の話は「番外編」で、本編三部作のテーマはすべて「運命との和解」なんですね。平たく言うと「抵抗してもどうにもならないんだから、折り合っていこっか」という若干ヘタレなテーマです。

というわけで、本編連載は続きますが、また読んでくださると嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2014.11.10 20:39[edit]
says... "こちらのコメント"
遅くなりました! いの一に拝読したのに……
まずはお礼です。ちょっと遅れた参加だったのに、こうして素敵なお話のお返しを頂いて(いや、私のためじゃないって^^;)、感無量です。しかも、そうかぁ、考えませんでしたが、重~いお題にしてしまっていたのですね。
わたし的には、このゆうさんの企画を利用して、肩の荷をひとつ降ろそうというあくどい心だったので、なんとも申し訳ないです。
そう、これから『海に落ちる雨』がとんでもない部分に入っていくので、これを書くことは禊だったのです。本当のラストはこんなふうにあり得ないほどの大団円・ハッピーエンドなので、こっちは少々のことは目を瞑ってね!という……読者第1号だった私の友人が、「ラストが何代か先にどうなるか聞いていなかったら、この話はある意味耐え難い」と言っていましたので……
でも、こうしてご紹介までしてもらって、本当にありがとうございます。

さて、こちらを拝読して、夕さんがいつもデジャヴ感を言ってくださっているのと同じように、私もデジャヴ感を感じまくっていました。
そうそう、この星の謎はダヴィンチコードに繋がる話なんだな、というのは何となく分かっていたのですが、そのことよりも、「今となっては本人たちが何のためにこの秘密を守り通しているのかよく分からないけれど、その伝統は脈々と続いていて、しかもあまりにもしっかりとした組織になってしまっているので、今更だれにも止められない」的な部分に、一番のデジャヴを感じたのです。
そうそう、夕さんとは本当によくシンクロしますよね。しかも今度はギターラ(*^_^*)
いや、こういう題材、本当に面白いですよね。もう私、途中からニマニマしっぱなしでした。
しかも、今は旬の物語のエピソードを書いてくださって、本当に感激です。
思えば、「黄金の枷」はその血脈を守る謎の仕組み、そしてこちらのヴォルテラ家はその代理人の組織を、どんな悪に手を染めてでも守り通す仕組み、本当にシンクロしている……まるで兄弟話みたいですね~。ちょっと嬉しくなっちゃいました。しかも、最後はそこから登場人物は抜け出していくお話。綺麗な対にしていただいて……いや~堪能いたしました。

実は、ダヴィンチコードみたいな話、結構嵌ってしまうんですよね。エチオピアの某教会で失われたアークがこっそり守られていて、その番人になったら一生そこから出て来れない、みたいな、インディジョーンズも顔負けの話とか。
そして、物語のエピソードをもっと面白くしたいという気持ちも刺激してもらいました。
ありがとうございます!!
2014.11.15 06:45[edit]
says... ">>彩洋さん"
おはようございます。

いや、これは彩洋さんのために書いたのです。(きっぱり)
というか、書くつもりのなかった部分を「書かないでいいやBOX(in 脳内)」から引っ張りだしてきてみました。お題が重かったというよりも、あれですよ、「松茸をいただいたのにコンビニ菓子は返せないわ」という感じでしょうか。松茸は返せなくても、せめて包み紙は百貨店のものを……みたいな。あ、もちろん氣持ちの上でなんですけれど。

彩洋さんの「真シリーズ」と違って、「黄金の枷」三部作(某Cさんの案を採用してこれをメインタイトルにするかと傾きつつあります)は、生まれて一年にもならない「よちよち」ストーリーですが、たぶん根底に流れる何かの重力が一番近いのかなと思っています。だから、読ませていただいた作品を意識して書くのも、書きやすかったのですよね。

でも、もしかすると彩洋さんのメソッドとは、逆なのかな。彩洋さんは前の方に苦しみがあって後に救いがあるのだけれど、私の作品は逆が多いかも……。あ、これ以上語るのは止めよう。

で、血脈の話ですが、まさに彩洋さんがおっしゃっている通りで、実は誰の血かという話は本当にどうでもいいのです。ただ、噂だけでもそうだということにしておけば「なぜ止められないのか」に納得がいくかな、程度。うちのメインの登場人物たちは、誰も抜け出せない、または抜け出さないので、今回のお話は本当に番外編です。でも、対にはなりましたよね(笑)

それと、どんな密に網を張っていても漏れちゃうというのは、けっこう好きでして。今回は漏れちゃった二人のお話でした。

というわけで、想定外にこのお話が世に出ました。彩洋さんのおかげです。ありがとうございました。
2014.11.15 12:38[edit]
says... "管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2014.11.15 15:27[edit]
says... "こんはんは~!"
このお話は彩洋さんの「ローマのセレンディピティ」の“返歌”になっているためなのでしょうか。「Infante 323 黄金の枷」のサイドストーリー的最終章になっていますね。前編謎に包まれていますが凄く面白かったです。

オープニングはサキの大好きな空港ロビーから始まっていて、生まれて初めて完全な自由を手に入れた彼女の不安と希望、そして高揚感が沸き立つようでサキは少し緊張して読み始めました。
だって、ラウラだと思ってしまったんですもの。
え!夕さん過激だなぁ。彩洋さんの最終章に合わせてここまで持って行っちゃうんだ……なんて勘違いしてしまいますよ。
すぐにヒロインはクリスティーナだということが明らかになって、ちょっと安心したのですが、でもなぜ?どうして完全な自由を手に入れることが出来たんだろう?クリスティーナは星2つみたいだし。
結婚式は誰と誰の結婚式?
《Et in Arcadia ego》石って誰の墓標?
クリスティーナの思い人なんだろうか?
ひょっとして本編の方もこのお話のサイドストーリーとして最終章を向かえているのではないだろうか。
さっき思い人と書いたけれど彼とは相思相愛だったみたいだし、その彼を失うこという大きな不幸を経験し、そして諦めの後で合理的にシステムから離脱し、自由を得、さらに彼女は幸せを手に入れるのだろうか?
いつものサキならマヌエルとのカップリングに興味を示すのです。
でも、彼女のバイタリティーを強く感じたサキは、きっとクリスティーナが自分自身で何とかするんだろうなぁ、と思ったのでした。
《I tego arcana dei》『神の秘密を埋めた』
いったい何(誰)を埋めたの?
2014.11.15 15:28[edit]
says... ">>鍵コメS様"
それはほっとしましたが、どうかご無理をなさらずに!

お体を一番に考えてくださいね。

わざわざ、ご報告ありがとうございました。
2014.11.15 15:44[edit]
says... ">>サキさん"
こんばんは。

そうなんです。これは「返歌」として書きました。
で、わざわざ名前を隠しているので、誰が誰なのかはっきりしないと思いますが、クリスティーナは、あのクリスティーナです。つまりチョイ役で出てきている人たちは本編で出てきている登場人物なのです。

推理すればわかる程度の人たちですが、本編の終わりから数えて三話目にはっきりと「これは誰と誰のことだったんだ」とわかる記述が出てきますので、それまでお預けです。

結婚式に注目していただけたのはちょっと嬉しい。ミゲルとマティルダ、じゃありません(笑)
これは三作目で出てくる予定ですが、まだ書いていないし。


> 《Et in Arcadia ego》石って誰の墓標?

ちなみに《Et in Arcadia ego》と刻まれた石は、Pの街にいっぱいあることになっていて、一つ増えただけです。この石の話は、再来月の本編で出てきます。待てずに出しちゃった(笑)

この話は、時系列で言うと本編『Infante 323 黄金の枷』は完璧に終わった後です。二作目の『Usurpador 簒奪者』は一世代前の過去の話で、『Filigrana 金細工の心』が『Infante 323 黄金の枷』の直後からの話なので、このストーリーは『Filigrana 金細工の心』の途中から終わったあとくらいの話。

例外で腕輪を外される人は二人でてくるのですが、どちらもシステムの犠牲になったことへの埋め合わせみたいな形なのです。クリスティーナの場合は「想い人」と一緒になれなかった事情を鑑みて、例外的に願いを叶えてもらえたということになっています。

マヌエルは、クリスティーナといい友達になると思いますが、カップリングはどうだろうな。あまりにも頼りないんで(笑)彼女は強い人なので、自分の足でしっかりと立つと思います。

> 《I tego arcana dei》『神の秘密を埋めた』
> いったい何(誰)を埋めたの?

埋まっているんです、あの人が……。推理してみてください(笑)

コメントありがとうございました。
2014.11.15 16:08[edit]

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