scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

今も残る中世の面影

今日は「 Cantum Silvaeの世界」カテゴリーの記事です。まもなくチャプター2も終わりですしね。

「森の詩 Cantum Silvae - 貴婦人の十字架」は既に何度もカミングアウトしていますが、高校生の時に私が妄想していたお話のリライトです。その頃の私は、将来ヨーロッパに住むことになるとは夢にも思わず、さらにいうとヨーロッパの事は「どこか遠くの国」以上の認識はなかったと思います。

ブログ用に何か長編を用意しようと考えていた時に、新しいものではなくてこの昔の作品を思いだしたのは、私が生きているこの場所に、スイスとそれから旅をして出会う先々で、「あれ、この風景は昔、一時狂っていたものに似ている」と感じる風景がなんでもなく残っていたからなのです。

ドイツ、ラインランドにて

上の写真は、連れ合いとバイクでドイツに行ったときのもの。ローレライで有名なラインランドのどこか。作品中では、マックスが旅をしながら見てあるいた、「サレア河」の辺りの街のイメージです。

13世紀の天井画

我が家から15分くらいのところにある少し有名な教会には、13世紀の木版天井画が残っています。これはヨーロッパでも珍しい素晴らしい状態で、なぜ残ったのかというと宗教改革でカトリックからプロテスタントに変わった時に「こういうのはいらん」と塗り籠めてしまったので、劣化せずに残ったのですね。また、ド田舎だったので火事などで失われる事もなかったのです。今では貴重な文化遺産という事で、プロテスタントだカトリックだと四の五の言わずに公開して(拝観料をとって)います。

まだ聖書が手書きのラテン語しかなくて、一般人は読む事が出来なかった時代、こうやって絵で人びとに聖書の物語を語っていたのですね。同時に彼らには例えば「聖書には、免罪符の事なんか書いていない。あんたら聖職者や為政者が俺たちを支配するために言っている事はでたらめだ」と確認する機会は与えられていなかったのですね。知識の独占は不公平を生んでいました。被支配者は「生かさぬように、殺さぬように」存在するしかなかったのです。人類皆平等なんて思想もありませんでした。

「森の詩 Cantum Silvae - 貴婦人の十字架」では、城の中で贅沢な暮らしをする貴族たちと、市井で生きる貧しい人たちの両方の姿を対比的に書き出そうとしていますが、この二つの世界も実際に残っているこれらの遺構からたくさんのイメージをもらってきました。

Soglioの家

最後は、日本の方にも人気のあるソーリオという村。やはり私の住むグラウビュンデン州にあります。もちろん、今ではどの家にも電氣や水道が通っていますが、それでもパッと見には昔のヨーロッパの姿を彷彿とさせる光景ですよね。

ヨーロッパには、地域ごとに違う建築があると言っていいくらい、違ったタイプの家並みがあります。これはどちらかというとイタリア側の山村の家並みですね。やはり山の中に行けば行くほど、閉鎖的だったゆえに昔のものが残っています。それは言葉も同じ。ベルリンでは面影もない中世ドイツ語の発音規則が、辺鄙なスイスの山村で残っているという具合に。

こうした古くから変わらない世界に日々触れ、すっかり開けてしまったとは言えやはりヨーロッパの植生の自然に触れ、天候に馴染む間に、忘れていたはずの「森の詩 Cantum Silvae」の世界がいつの間にか私の中で再び息づきだしたのです。

物語は元のストーリーの骨格の部分まで来ました。ヒロインは自由に自分の足で森を越えるのではなく、運命に連れられてグランドロンに向かう事になります。



この記事を読んで「森の詩 Cantum Silvae - 貴婦人の十字架」を読みたくなった方へ

「森の詩 Cantum Silvae - 貴婦人の十字架」を読むこのブログではじめからまとめて読む
あらすじと登場人物
関連記事 (Category: Cantum Silvaeの世界)
  0 trackback
Category : Cantum Silvaeの世界

Comment

says...
 三枚目、いい感じの裏路地ですね。こういうのには憧れます。何となく訪れた町に迷ってこんな所に出たら感動もんです。私も出来ることなら住み着きたい。・・・言葉が出来ないorz
 自慢じゃないがわたくし語学がサッパリでして、英語は常にアヒルさん。(国語も並以下。それが何を間違ったか国文学なんぞ専攻orzorz)つまり、海外は天敵であります。個人的に好みはドイツとかスイス、オーストリア、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、イギリスにアイルランド。・・・ああ、行きたいけど行かれない永遠の別天地。そういう所に住んでいる方がうらやましい!
2014.12.20 10:30 | URL | #eRuZ.D2c [edit]
says...
こんばんは。

おお、miss.keyさんもヨーロッパお好きなんですね。
親近感が湧きます。

そう、ソーリオは、本文にも書きましたが日本の個人旅行の方にもわりとポピュラーな村なのです。

言葉ですが、実は私も学生時代は外国語がとても苦手だったのですよ。
英語やフランス語の成績も、上よりも下から数えた方がいつも早かったですし。
連れ合いと暮らす事になった時には、ドイツ語は「Ja」と「Nein」くらいしか知らなかったのです。
それが最近はドイツ語で夢まで見るように(笑)

スイスはヨーロッパの中央にあるので、電車で比較的あちこち行けますし、少し遠い国でも日本でいうと沖縄や台湾に行く感覚で飛べます。そういう意味ではとてもラッキーな所に住んでいると言えるでしょうね。

miss.keyさん、国文学専攻でいらしたのですね。ツチノコシリーズにも、さりげなく国文的教養がにじみ出ていると思っていましたが、そういうわけでしたか。納得です。

コメントありがとうございました。
2014.12.20 16:21 | URL | #9yMhI49k [edit]

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://yaotomeyu.blog.fc2.com/tb.php/953-d424e9c8