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【小説】午餐の後で

Posted by 八少女 夕

scriviamo!


「scriviamo! 2015」の第八弾です。大海彩洋さんは、「Infante 323 黄金の枷」とご自身の小説のコラボで参加してくださいました。ありがとうございます!

彩洋さんの書いてくださった『【scriviamo!参加作品】青の海、桜色の風 』
彩洋さんの関連する作品:
【いきなり最終章】ローマのセレンディピティ(前篇)
【いきなり最終章】ローマのセレンディピティ(中篇)
【いきなり最終章】ローマのセレンディピティ(後篇)


彩洋さんは、たくさんの小説を書いていらっしゃるブロガーさん。書いている年数では、もしかしたら私と同じくらいかなあと思うのですが、その密度や完成度には天地の違いがあって、アマチュアでも魂を込めて精進すると、これほどのものが書けるんだといつも感心しながら読ませていただいています。中でも、ライフワークともいえる大河小説「真シリーズ」は圧巻です。

今回参加していただいた作品の主役は、この大河シリーズの最終章に登場する幸せなカップル。この二人のプレ新婚旅行に、私の書いている小説の舞台P(ポルトガルのポルト)を選んでくださいました。

そして、お返しは、書いていただいた設定を引き継いで、登場する「Infante 323 黄金の枷」の世界の小さな逃走劇の顛末を書くことにしました。できるだけ自分のキャラを中心に書きたかったのですが、それでは読者と同じ「?」の視点で書ける人物がいなかったので、そのまま彩洋さんの所のお二人からの視点で書かせていただきました。彩洋さん、すみません。キャラがぶれていないことを祈るばかり……。

なお、この作品に関しては、本編を読まないと意味の分からないことが多いかもしれません。下のリンクはカテゴリー表示ですが、一番上は「あらすじと登場人物」ならびに用語の紹介になっていますので、手っ取り早く知りたい方はそちらへどうぞ。


【参考】
「Infante 323 黄金の枷」Infante 323 黄金の枷


関連する作品:
追憶のフーガ — ローマにて

「scriviamo! 2015」について
「scriviamo! 2015」の作品を全部読む
「scriviamo! 2014」の作品を全部読む
「scriviamo! 2013」の作品を全部読む



午餐の後で
——Special thanks to Oomi Sayo-san


 その街にはレトロな路面電車が走っていて、詩織は少しだけうらやましげに眺めた。ボアヴィスタ通りに向かうバスは、何の変哲もないどこにでもあるような車体だった。けれど、詩織はホテルで「タクシーをお呼びしましょうか」と言われたのを断ったロレンツォのことを誇りにすら思っていたので、そのバスに乗ること自体に文句はなかった。
「明日にでもあれに乗ってみるか」
彼は詩織の想いを見透かしたかのように訊いたので、彼女は嬉しくなって頷いた。

 詩織はバスの中で、既に観光して回ったこの街のことをロレンツォに語った。その話はやがて、詩織に街を見せてくれた天使のような優しい少女のことに移っていった。
「逢ったばかりなのに、もうずっと前からの友達みたいに感じていたの。それに、あの書店で見てしまった二人の姿、とても他人事に思えなくて……」
ロレンツォは、黙って頷いただけだったが、詩織の瞳をじっと見つめる優しさに、彼女は理解してもらっていることを感じた。

 バスを降りた二人は、道沿いに五分ほど歩いた。春の光が柔らかい。通りに車が絶えることはなかったが、その騒音の合間に空を飛ぶカモメの鳴き声が聞こえてきて、それがここはローマではない、二人で異国にいるのだと浮き浮きした氣持ちにさせてくれた。

 ホテルや豪邸の建ち並ぶボアヴィスタ通りはPの街でもっとも長い通りだ。その半ばほどに、ほかの屋敷よりもひときわ大きい建物があった。水色の壁、白い窓やバルコニー、そして広い庭、きれいに手入れされた庭、そしてどこからかヴァイオリンの旋律が聴こえてくる。

 ロレンツォは開け放たれたひとつの窓を見上げて、その旋律に耳を傾けた。
「知っている曲?」
詩織が訊くと彼は頷いた。
「ベートーヴェンの『スプリング・ソナタ』だな」
春にぴったりな曲なのね。詩織は嬉しくなった。そのまま通り過ぎるのかと思ったが、彼は門に向かい呼び鈴を押した。それで彼女はこここそが目的地なのだとわかった。謎のドンナ・アントニアの住むお屋敷。

「ドンナ・アントニアってどんな方?」
詩織がロレンツォに訊くと、彼はちらっと彼女を見て何かを言いかけた。けれど氣が変わったのか、少し間をとってから答えた。
「すぐに逢うから自分で確かめるといい」

 詩織は、大金持ちの貴婦人、銀髪の老婦人かなと思った。このような豪邸に住み、たくさんの使用人を自由に使い、ヴォルテラ家とも対等に付き合っているのだから、かなりの大物に違いないと思ったのだ。

 インターフォンに答える声がして、ロレンツォが来訪を告げると「お待ちしておりました」という声がした。すぐに出てきた黒服の男が門を開け、二人を中に迎え入れた。
「ご連絡をいただけましたら、ホテルまでお迎えに伺いましたものを」
そういう男にロレンツォは首を振った。
「いえ、観光もしたかったので」

 広い応接室は、光に満ちていた。白い絹で覆われたソファは柔らかかったが沈み込むほどではなく、座り心地は抜群だった。「少々お待ちくださいませ」と言って男は出て行った。物珍しそうに室内を見回す詩織をロレンツォは優しく見つめていた。ヴァイオリンの響きはまだ続いている。ずいぶん熱心に練習する人だなと詩織は思った。同じ小節を何度も何度も繰り返している。彼女にはとても上手にしか聴こえないのに、どこかが氣になるのか、その繰り返しをやめなかった。

 ドアが開き、女性が入ってきた。詩織は目をみはった。長い絹のような黒髪、水色の瞳、細い三日月型の眉、そして赤く形のいい唇、女優かモデルみたいな人だと思った。歳の頃は二十代後半か、三十代のはじめ、ヴァイオレットの絹に黒い唐草の刺繍のしてある大胆なボレロとタイトスカートを優美に着こなしていて、ひと目で貴婦人だとわかった。背が高い。ロレンツォが立ち上がったので、詩織もあわてて立った。

 その麗人はロレンツォと詩織に親しげに微笑みかけ、流暢なイタリア語で挨拶をした。
「ようこそ、スィニョーレ・ヴォルテラ、スィニョーラ・アイカワ。お呼び立ていたしました」
ロレンツォはさすがはヴォルテラ家の跡継ぎだった人だと感心するような完璧なマナーで女性に挨拶をした。
「お招きいただきまして光栄です、ドンナ・アントニア。ついに私の婚約者を紹介できて嬉しく思います」
では、この方がドンナ・アントニア! 詩織は驚きの色を隠せないまま、アントニアに頭を下げた。

「ヴォルテラ家の方にわざわざ足をお運びいただいたのですから、本来でしたら、当主のアルフォンソこそが今日の午餐でおもてなしすべきなのですが、あなたの弟様がご依頼された件の後処理がまだございまして、間に合いませんでしたの。失礼を心からお詫びするようにと伝言を申しつかっています」
「とんでもない。弟がお願いした件で、ご迷惑をおかけしたのではないでしょうか」

「いいえ。もともとは私どもの問題ですから。ただ、スィニョーレ、あなたにはおわかりいただけるかと思いますが、システムを統べるものが、ルールを曲げることはとても難しいのです。あの娘にはルールに則り、自身の義務を果たさせるために抑制力が動いていました。けれど、他のことならともかく、ヴォルテラ家が関わったので、私どもは例外を作らねばなりませんでした。スィニョーレ・ヴォルテラ、どうか弟様にお伝えくださいませ。システムの例外を作るために、誰かがその義務を引き受けねばならなかったと。ご自身の身を以てご存知のはずの、同じことがここでも起きたのだと」

 詩織は不安になって、アントニアとロレンツォの顔を見た。ロレンツォも眉をひそめ訊き返した。
「それは、誰か他の方が望まぬことを押し付けられて、不幸になったのだということですか」

 アントニアは、微笑んだ。
「ご心配なく。午餐に同席しますので、そうではないことをご自身で確認なさるといいですわ。私が申し上げたかったのは、こういうことです。あなた方がお持ちの権力は多くのことを可能にするでしょう。けれども、システムは思っておられる以上に複雑なのです。安易に発生させた例外が、時に重篤な問題の引き金となることを、知っていただきたいのです」

 そういうと、アントニアは二人を食堂へと案内した。大きいシャンデリアの輝く部屋だった。琥珀色と白の入り交じった大理石の床の上に、どっしりとしたマホガニーの大きなテーブルがあり、そこに一組の男女が座っていたが、三人の姿を見ると立ち上がった。詩織にとっては一度も見たことのない人たちだったが、ロレンツォは驚いた様子で声を上げた。
「マヌエル、マヌエル・ロドリゲス、君か! それに、あなたは、確か、クリスティーナ・アルヴェスさん……」

 ロレンツォに親しげに握手をするその青年は、キリスト教司祭の黒地に白い四角のついたカラーの服装をしていた。そして、詩織はクリスティーナと呼ばれた女性の左手首に、コンスタンサと同じ金の腕輪があるのを見て取った。館の美しき女主人の手首にも同じ腕輪があるのを彼女は既に発見していた。

 アントニアははっきりとした声で言った。
「マヌエル・ロドリゲスは既にご存知のようですね。ご紹介しますわ。こちらにいる女性は、コンスタンサ・ヴィエイラです。スィニョーラ・アイカワはもうよくご存知ですよね。何度かご案内をさせていただきましたから……」

 詩織には、先ほどからアントニアが口にしてきた内容が、ようやく形をとって見えてきたような氣がした。この女性は、詩織が知っている、彼女がPの街に到着してからずっと案内してくれて、かけがえのない友達になっていたコンスタンサとは似ても似つかない別人だった。あのヘーゼルナッツのような色合いの髪の、天使のように儚い美少女はいっても17、8歳だったはずだ。けれど、その場にいるのは、アントニアと変わらぬほどのしっかりとした成人で、黒髪に濃い焦げ茶の瞳を持った意志の強そうな女性だった。

「はじめまして、スィニョーレ・ヴォルテラ。こんにちは、シオリ」
女性は平然と口にした。ローマでロレンツォにクリスティーナ・アルヴェスを紹介したマヌエル・ロドリゲスも、それについて何の訂正もしなかった。ロレンツォと詩織は、さきほどアントニアが口にしていた「開いた穴」とはコンスタンサという存在で、それを「塞いだ」のが、ここにいるもとクリスティーナと呼ばれていた女性なのだと理解した。

* * *


 二人が、席につくと、午餐がはじまった。詩織は、給仕をする召使いたちも、黄金の腕輪をしていることに目を留めた。継ぎ目のない黄金の腕輪。手首の内側に、男性には青い、女性には紅い透き通る石がついている。詩織はどちらもコランダムではないかと思った。色と輝きからすると24金に見えるし、ルビーやサファイアを使っているとすると、召使いとして生計を立てる人間が簡単に買えるような値段のはずはない。しかも、それぞれの違う太さの手首にぴったりと嵌まっている。それは一つひとつがオーダーメードだということを示している。詩織が腕輪に職業的興味を示しているのを見て、ロレンツォは微かに笑った。

 料理は、格別手が込んでいるように見えないのに、味わい深かった。白いジャガイモのヴィシソワーズに渦巻き型に流し込まれた緑色のピュレ。コンスタンサと一緒に街の食堂で食べたカルド・ヴェルデという青菜のスープだろうと思った。それはずっと滑らかで青臭さはまるでないのに、しっかりとした味を感じた。

 サラダには薄くスライスしたゆでだこがカルパッチオのようにのっていたが、ひと口食べてみてその柔らかさに驚いた。ソースは実にシンプルで、たこの味が浮き上がるように計算されていた。

 マデイラワインを贅沢に使ったローストポークも、とても柔らかくてジューシーだった。それに、日本人の詩織にとってはどこかなつかしい、舌に馴染む味だった。海外旅行から日本に戻って、母親のみそ汁を口にした時に旅の疲れがほどけていくような、安心する懐かしさがある。

 ロレンツォは、ワインにも驚嘆しつつ、マヌエルに話しかけていた。
「枢機卿は、アルゼンチンへ行かれたのだろう。君も同行するものだとばかり思っていたが」
「いいえ。私は役目を辞して、ここへ戻ることになったのです」
「なんだって? それはまた急じゃないか」
「ええ。わかっています。家業に従事することにしたのです。猊下にもお許しをいただきました」

 ロレンツォは、この青年が特別の家系に生まれ、親と同じ仕事をして生きるのを嫌がって、この街から離れるために神学生になったことを知っていた。この急な帰国がコンスタンサの件と無関係とは考えられなかった。だが、マヌエルは迷いのない表情をしていた。

* * *


 別れの時間が来た。玄関でロレンツォの頬に軽く親愛の口づけをし、それから詩織を優しく抱きしめると、アントニアは首に掛けていたハート形の黄金の針金細工を外し、詩織の首に掛けた。

「これは……?」
「この国の伝統工芸でフィリグラーナといいます。女の子が生まれると、両親はその子の幸せを祈り、これを少しずつ買い集めて、婚礼に備えるのです。これは、私の父と母から贈られたもの。幸せな花嫁になるあなたへの私からの小さな贈り物です」
「そのように大切なものを……」
「どうぞ受け取ってください。花嫁になることのない私には宝の持ち腐れなのですから」

 車で送らせるというアントニアの言葉を断り、先程と同じバスに乗って、さらにボアヴィスタ通りが終わる所、大西洋に面したフォスまで行った。カステロ・ド・ケージョというクリーム色の要塞が建っている。
「ほら、さっき食べたチーズみたいな形だろう。だから、チーズのお城って言うんだ」
ロレンツォは、その説明をしながらも、どこか心は遠くにあるようだった。

「美味しい食事だったわね」
詩織はわざと関係のなさそうなことを言ってみた。彼は詩織の方を見て、頷いた。

「ねえ。訊いてもいい?」
「何を?」
「食事の最中に、ヴァイオリンの弾き手のことで、奇妙な会話をしていなかった?」

 デザートが運ばれてくる前に、ロレンツォがずっと聴こえているヴァイオリンの演奏について口にしたのだ。
「先日お伺いした時にも申し上げたかったのですが、見事な演奏ですね。もし可能でしたらお近づきになって、素晴らしい演奏に対してのお礼を申し上げたいのですが」

 するとアントニアは、にっこりと微笑みながら答えたのだ。
「そのお言葉を伝えたら、大層喜ぶと思いますわ。あれは、前当主のカルルシュが弾いているのです」

 ロレンツォは、押し黙って、アントニアの顔を見つめた。彼女は少し間をとってから続けた。
「ですから、ご紹介はできないんですの。ご理解いただけますでしょうか」
「それは、もちろん、わかります」

 詩織は、大西洋の優しい潮風を感じながら、ロレンツォの顔を見た。
「前の当主が引退してあそこに住んでいるってことでしょう? でも、どうして紹介できないの?」
「ドン・カルルシュが五年近く前に亡くなったからだ。父はその葬儀に出たんだ」
「え?」
「そう。あのヴァイオリンを弾いていたのは、幽霊ということになる。それに……」

 ロレンツォは、詩織と自分の履いている靴を眺めた。詩織が履いている靴を見て、アントニアは微笑みこう言ったのだ。
「その靴、お氣に召しました?」
「はい。こんなに履き心地のいい靴ははじめてです。大切にします」
「そうアルフォンソに伝えましょう。彼からの伝言です。もし合わない所があったら遠慮なく言ってほしいと、納得がいくまで作り直すからと。この靴は、彼が作ったのです」

 二人は目を丸くした。謎の靴職人が当主その人だなんて、誰が信じるだろうか。
「あれも、同じ意味だったのかもしれない。ドラガォンには、たくさんの幽霊がいると聞いたことがある」

「ドラガォン?」
首を傾げる詩織をロレンツォはおかしそうに見た。
「まさか、あの人たちを靴制作の集団だとは思っていないだろう」
「そりゃ、思っていないけれど……でも、ドンナ・アントニアとあなたが話していた内容、ほとんど何もわからなかったわ。そういうことに首を突っ込んだりしちゃ、いけないのかと思っていたし」

「私が知っていることを全て話すわけにはいかない。でも……」
「でも……?」

「お前の友達と、あの女性が入れ替わったことはわかっただろう?」
「ええ、なんとなく」
「トトが、どうやってヴィエイラ嬢と書店員の青年のことを知り、首を突っ込んだのかはわからない。彼らしい優しさに満ちた手助けだったんだろうな。だが、それはヴォルテラ次期当主のとった行動としては大失態だった」
「失態?」

 アントニアが、食堂へ移動する前に口にした言葉を思いだした。
「スィニョーレ、弟様にくれぐれもお伝えください。これは我々からの意趣返しでも報復でもないのです。私たちには他に使えるカードがなかったのです」

「報復がどうとか、おっしゃっていたこと?」
詩織が訊くと、ロレンツォは頷いた。
「報復ではなくとも、警告なのかもしれないな。火傷をしたくなければ二度とこんなことはするなと」
「どういうこと?」
「ヴォルテラ家の当主、大きな組織の長として、大きな問題を把握し事態を打開していく時に頼りになるものは何だと思う?」

  詩織は考えた。
「財力……いいえ、違うでしょうね。判断力や頭の良さ、それとも人間関係?」

「そうだ。一番大切なのは人脈だ。億単位の金を何も訊かずにすぐに動かしてくれる人物、何かあった時に必要な情報をすぐに集めてくれる人間、自分の危険すらも省みずにこちらのために働いてくれる人びと。そうした人びとは、親の代からのつながりでも知り合うが、結局は本人が心から信頼できる人間をどれだけ増やせるかにかかっている。トトにはドラガォンとのつながりも不可欠だ。ドン・アルフォンソの統べているドラガォンは、秘密結社的な巨大システムだ。とくにヴァチカンを快く思わない特定のキリスト教徒たちに対して、ある種の絶対的な影響力を持っているんだ。偶然知り合ったクリスティーナ・アルヴェスという存在は、トトにとって神からの恩寵も同然だった。ドン・アルフォンソやドンナ・アントニアが家族も同然に思っている特別な女性だ。ヴォルテラがドラガォンの協力を必要とする時にパイプ役としてこれ以上の人物はまずいない。しかも、ローマにいたんだ」

「あの女性が……?」
「そう。それなのに、あいつは意図せずに、そのクリスティーナ・アルヴェスと、お前の友達、ヴォルテラにとっては何の意味もない恋する少女を交換してしまったんだ。父がこのことを知ったら、なんて言うか。今から頭が痛いよ」

 詩織には、あまりにも大きな話でピンと来なかった。金の腕輪をしている奇妙な人たち。何人もいるらしい幽霊。聞いた事もない組織。現実のものとは思えない。ロレンツォは、首を傾げている詩織に笑いかけた。
「もっともお前にとっては、朗報だな。あの二人は、新しいクリスティーナ・アルヴェスとその恋人として、ローマに住むことになる。新しい友だちといつでも逢えるぞ」

 それは確かに朗報だった。乗りたかったレトロな路面電車は、二人を迎えにきたかのようにそこにきて停まった。海からの心地よい風が吹いている。ロレンツォと二人でここにいる。素敵なことばかり。詩織は胸元のフィリグラーナをぎゅっと握りしめた。

(初出:2015年2月 書き下ろし)

追記

レトロな路面電車

既に彩洋さんの小説をお読みになった方の疑問に答えてみようかなと思って、こういうストーリーになりました。逃げようとした《星のある子供たち》たちを組織はどうするのだろうか。意外と優しく許してくれるのかな。そんな声もずいぶんありましたが、許してくれません(笑)

この組織の本分は、血脈をつなぐことですから、全てのルールはその原則に照らしながら決められます。そして、例外としてルールを破ることを許すのも、より重要なケースを優先させるためか、もしくは血脈をつながせる過程で何かの犠牲になったか、そのくらいです。一般人と恋に落ちたからなんて理由は認められません。

今回のケースも論外で、普通ならば黒服の怖いおじさんたち出動で、書店勤務の青年ごときは即つかまっておしまいです。

最初は、その普通のパターン(本編のヒロインの両親のような顛末)で書こうかと思ったんですが、それじゃ全然面白くないし、そもそもサルヴァトーレ(トト)・ヴォルテラ氏の面目丸つぶれじゃないですか。ドラガォンもそんな彼の要請を無視はできないし。で、せっかくそんな大物が口を挟むなら、話を大きくしなくちゃ、とこうなりました。(要するに、そういう組織がらみの話を書いてみたかっただけかも)

システムにとって部外者のヴォルテラ家にちょっかいを出されたと、《監視人たち》中枢部は激怒。そもそも、キリスト教騎士団を奉じる人たちは、かつてその前身であるテンプル騎士団を見捨てたヴァチカンに対して腹に一物持つ、プチ反逆者な所がありますから、過激派が騒いでいるはずです。それを「まあまあ」となだめつつ、何かアクションを起こさないと内部が収まらないし、かといって中世じゃあるまいしヴァチカンに喧嘩を売るわけにもいかないし板挟みになって「よけいなことをしてくれた」と頭を抱える「ドン・アルフォンソ」。アントニアは、ドラガォンのスポークスマンみたいな立場ですので、アルフォンソの全権を受けてロレンツォと話をすることになっているわけです。それが結婚祝いを名目にした今回の午餐で、代理人同士お互いに礼儀正しさの極地を装いながらのプチ対決。考えているだけでおかしくなってきたのは私だけかしら。

題名に悩んでどうでもいいものになりましたが、書いている間は「狐と狸の化かしあい」と仮題をつけておりました。

クリスティーナは、またしても腕輪をつけることになりましたが、《監視人たち》中枢部も彼女がそもそも何者かは百も承知の特別な存在なので、Pの街でドラガォンと緩く繋がり守られながら暮らすことになります。つまりアントニアの言っていることは詭弁で、この件はドラガォンからサルヴァトーレ・ヴォルテラ氏へのプチ嫌がらせです。ヴォルテラ家のもと跡継ぎロレンツォはそれを200%わかっていながら、アントニアの言い訳を信じた振りをしています。大人だな〜ってことで。

もっとも、彩洋さんのお話のヒロインからしてみると、いいことオンリーのはず。新婚旅行を楽しみ、プレゼントももらって、名前はどうあれ、友達がいつも側にいてくれることになりますし。

ちなみに本編のネタバレに繋がると困るので、「ところでアントニアと当主の関係は?」みたいなことは間違っても訊かないでくださいね。訊かないでくれたいい子の所のキャラには、23が無料で靴を作ってくれるそうです。(「そっちの都合の尻ぬぐいを俺がするのか?!」 23談)
.08 2015 scriviamo! 2015 trackback0
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comment

says... "お帰りなさい。"
エエ~ッと、ロレンツォと詩織は甘~い婚前旅行をたっぷりと楽しんでいるのではなくて、なにやら誰かさんのやらかした事の後始末に奔走している模様、「組織は以外と寛容」・・・では無かったということなのですね?
夕さんの頭の中に設定されたドラガォンのシステムや人間関係、そしてストーリーの展開はとても複雑です。その上このお話、現在の黄金の枷の展開から時間が未来に進んでいる関係で、誰がどうなのかを読むことは難しいのですけれど、バイオリンの方や靴職人の方の立ち位置などの手がかりからそっと推測しています。
でも微かな情報からそっと推し量るだけです。とても本当のところをちゃんと理解できているとは思えません。本編が進んで、だんだん分ってくるのを楽しみにしています。
それにしてもトトのきまぐれはどういう事態を引き起こしたのだろう?等価交換とはとても言えないようだし。
そしてクリスティーナ自身は納得してここに帰ってきたの?今幸せなの?マヌエル・ロドリゲスはなぜここに居るの?2人の関係は?巻き込まれ事故みたいな感じになってすごく迷惑だったんじゃないの?
いえ、幸せだったら別にいいんですけど、余計なお節介だったかも・・・。
2人は路面電車でまた婚前旅行の続きを始めるみたいだし。いいなぁ~、詩織の幸せそうなこと。

彩洋さんとのコラボで始まった新たなる展開!これはこれでとても面白かったです。
夕さん、結構冷静で厳しい!そういう感想を持ちました。
でもポルト陣営の1人としてこっちの展開も応援します。
2015.02.08 06:32[edit]
says... "わわわわ……"
「わぁ、もう、どうしましょう!」が最初の感想です。
思った以上に夕さんの設定の大元に食い込んでしまったのですね……何となく書いてしまったものの、かなりの爆弾を投下していたという(私じゃなくてトトが!と言い訳をする^^;)……いや、もうただただ申し訳ない……やっぱり組織はそんなに甘くなかったんですね。いや、実は私も心の中ではそう思っていたのですけれど(いちいち例外を認めていたら破綻しますものね。そもそも竹流がヴォルテラに戻らざるを得なかったのも、真の死も関係するけれど、組織の力を覆すことはできなかったからで)、でも、ちょっとだけ、夕さんに聞いてみたかったのです。あの設定はとても詳細で素晴らしいだけに、「こういうケースはどうなるの?」的好奇心と興味がふつふつ湧いてきて……いや、それだけ私が夕さんの物語に魅せられているということなのですけれど。
でもでもでも、その一方で、思ったよりは寛容だったのですね……いや、きっとどこかに愛が……(うるうる(;_:))厳しいけれど、救いの手もどこかで持っている。これだけ長続きするには飴と鞭が必要で。あ、でも、せっかくローマで楽しく暮らすはずのクリスティーナに何て申し訳ないことを……いや、でもあの『追憶のフーガ』の中で、クリスティーナは自由がどこか心許ない、って感じているイメージもあったので、夕さんの中では不自然な解決方法ではなかったのかと、その懐の大きさに感動しておりました。

実は、コンスタンサの詩織への手紙の事情が、ホテルで逃走寸前を見つかっちゃって、「いうことを聞くから、最後に詩織に手紙を渡したい」ってことで、その後は「コンスタンサは監視人たちに連れ戻され矯正施設(?)へ送り込まれました。本屋の兄ちゃんは本当ならどこかへ追放されて危うく…・・なところをトトに助けられました。いつかはまた会わせてやるからと説得され、10年後《星のある子供たち》の誰かとの子供を産んだ後、コンスタンサが本屋の兄ちゃんに会いに行ったら、もう他の女と結婚していて……」なんてのもありか、って思ったりもしていたのです。←私も意外に酷い奴^^;

そして、本当にうちのトトが大迷惑をおかけして……そうそう、夕さんはトトを見抜いておられます! こいつ、やっぱりもともと跡継ぎとして育てられていないので、どちらかというと権力を持った危ない子ども状態。組織を考えるよりも個人を考えちゃう、友達は大事、みんな幸せでいて欲しい、って気持ちが暴走するタイプ。危うく、アニキのために空港を封鎖する気でしたからね。ほんと、大丈夫かいな……って感じで、まだまだロレンツォの苦労は続きそうです。
でも、ロレンツォも、キツネとタヌキの化かし合いとはよく言ってくださったように、どこまで分かっていたのか、分かっていないふりをしてどこかでトトに賛同していたのか……そもそも自分こそが「敵に思い切り背中を見せたままの堂々の逃走劇」の真っ最中です。「分かってないですよ、私は。トトが何をしたかったのか……いや、それは知りませんでした、弟が迷惑かけちゃいましたね。本当にあいつめ」って言っておく方が、ここは角が立たないですものね。で、アントニアも何となくその気配を察している……アントニアとの会話、本当にもうニタニタしながら拝読しました。この女性、さすがに肝が据わっている、と思いました。
そして、こんなややこしいことをしたトトの野郎、にもかかわらず、詩織に本当に素敵なプレゼントを贈ってくださって……うるうる(;_:)

いや、本当はトトの顔なんて潰してもいいんですけれど(でなきゃ、つけ上がるかも)、まさに次期当主交代劇の最中ですからヴォルテラとしてはそうもいかない、こんな大事な時にあいつは何を考えてるんだ、ヴォルテラがドラガォンに借りを作っちまってどうする気だ、って話なんですね~。考えれば考えるほどに面白い……^^;
何より、詩織の「?? でも、幸せ!」って脳天気さが救いになって、読者さん目線で有難い。最近、詩織って真の血脈というよりマコトの血脈じゃないかと思っていたのですが(おバカだし……)、まさに「わかんないけど、まあいいか!」って感じが私の頭の中のイメージにちゃっかり嵌っていました。そのくらいでなきゃ、こんなややこしい男と結婚できないですもの。いや、もう夕さんが詩織とロレンツォの作者さんだったのね、と思いながら、拝読しちゃいました。本当に、ありがとうございます!
いや、この先の物語、もうあれ以上書くつもりはなかったのに、もっと書きたくなってきました。よく考えたら、まだまだフェルメールの絵のエピソードも残っていたし……

あぁ、そして、私が書きたくても書けなかったご飯シーン! 有難うございます! 実はこれを一番期待していたのです! 私ってどんなけご飯シーンが好きなんだってことですが、今回はあまりにも不案内で書けなかったので、嬉しいです。
いや、よく考えてみたら、「私も23の作った靴が欲しい!」から始まった物語だった。それを夕さんの設定の中へ手を突っ込んじゃって、ほんと、済みません(@_@) でも、こんな素晴らしい答えを頂き、感無量です。
靴……本当に有難う! 23! えっと、尻拭い、またよろしくお願いします!?
(長文、失礼いたしました!! 感動のあまり……)
2015.02.08 09:32[edit]
says... ">>サキさん"
おはようございます。

ロレンツォはまだしも、詩織は「甘~い婚前旅行をたっぷりと楽しんで」いると思います。
詩織にとってみれば「関係ない」し。
コンスタンサともこれで終わりじゃなくて、ご近所さんになるとわかったわけですしね。

組織が寛容じゃないのもそうなんですが、こういう閉鎖的な組織の場合、よその権力者に手出しをされるということが一番の問題なんですよ。内部には確固たるルールがあるけれど、例えば、ヴァチカンの有力者に頼めば何とかなる、とか世界人権機構を仲間につければ何とかなるというような、変な前例になると困るわけです。ほかの権力者(ヴォルテラ家の組織でも元跡継ぎのロレンツォまでの全員)は、そういうよその事情に安易に首を突っ込んではならないということはわかっているんですが、トトはまだよくわかっていないようで(笑)

同じ《星のある子供たち》でも、クリスティーナの価値を100としたら、コンスタンサの価値は0.2くらいです。氣まぐれの代償は大きかった、そうトトが実感してくれることが、今回のドラガォンの行動の最大の目的です。一方で、当のクリスティーナは、アントニアにとってはほぼ身内で、ドラガォンのことはよくわかっているので進んで協力したのです。もともとどうしても腕輪を外してもらいたかったわけでもなく、そのうちにPに戻ろうと思っていたぐらいですから、大した問題ではないです。絶対にどこにも行けないと思うと、いつかは海外旅行に行ってみたいと思うものですが、行けたら行けたで、「ふ〜ん。見るだけ見たから、もういいや、帰ろっかな」なんですよね。マヌエルは、クリスティーナの帰国の話を聴いて、引っ付いてきたみたいです。この人、クリスティーナの犬っころになっちゃった模様。でも、ドラガォンはヴァチカンには「マヌエル・ロドリゲスも引き取らせていただきます」みたいに通告して、それを知った教皇や枢機卿がトトに「お前、いったい何をやった!」と問いつめることになり、トトは「げっ」と大事になっていることを焦る仕組みです。

今回は23とマイアを出せなかったのですが、このお話が「Filigrana 金細工の心」の後半か終わった後に当たる時期を想定しているからなのです。23とマイアが出てくると、ものすごいネタバレが……(ごほっ、ごほっ)
というわけで中に、いくつかのトリック的記述を紛れ込ませることで私一人で楽しんでいました。

せっかくこういうコラボが実現したので、またいつか再びヴォルテラ家やローマとの関わりが書けそうで、これまたこちらも楽しいです。

コメントありがとうございました。
2015.02.08 11:07[edit]
says... ">>彩洋さん"
こちらこそ、お氣に障らないかちょっと心配しながら書いていました。

でも、一応、この場にいるのはトトじゃなくて、わかっているロレンツォだし……って、全然言い訳になっていないけど。

ヴォルテラ家のシステムそのものはよくわかっていないんですが、ドラガォンの方は、当主の胸三寸でできることってとても限られているのです。その中でも基本原則に関することはとても厳しくて、だからこそ当主である父親が息子の心が壊れていくのすらも救えない、というような事態になるわけなのですよ。雑魚レベルの自由恋愛は許せるのにそっちは救えないではストーリーが破綻しますし、一方でそんな緩いルールでは千年以上もこんな異常なシステムは継続できませんよね。

その一方で、このルールに抵触しない限り、一切干渉しないし危害も加えないというもう一つのルールもありまして、「《星のある子供たち》を産む前のコンスタンサとどうにかなる」という一点だけを諦めれば、書店員の青年にもコンスタンサにもなんの問題もない生活が待っているわけなのです。

このケースの一番の問題は、トトなのですね。なんだろう、権力者である徳川将軍家が天皇家の有職故事か出雲大社の伝統行事のしきたりに口を出したみたいな感じでしょうか。相手が大物過ぎてドラガォンは「関係ないヤツはすっこんでろ」とは返答できないし、一方で「ヴァチカンが絡めば例外にしてもらえる」との通例になるのは絶対的に困る。だから、表向きだけドラガォンの報復でトトが大損害をこうむったというポーズをとっておくことが大事だったわけです。でも、実際には、トトにしてみれば「痛くも痒くもない」程度の損害です。クリスティーナやマヌエルがどうというよりは、「その急な動きをパパ・ヴォルテラや猊下に知られて、軽率な手出しについて大目玉を食らう」ということこそが、ドラガォンの狙いなのかも。

クリスティーナは、海外で暮らしたいとは全く思っていなかったし、この人はほぼ「ドラガォンの身内」なので進んで協力したのです。マヌエルは、クリスティーナに関わったことで、ただの《監視人たち》の一人からもっと重要な立場になることになり、さらにクリスティーナの犬っころになっているので、やはり進んで帰って来たようです。

この逃走劇で一番割を食うのは、実は逃げた二人かなと思っています。よりにもよってヴォルテラ家に助けを求めた(?)ことで、《監視人たち》中枢部の怒りを買っていますし、家族をはじめとする《星のある子供たち》に余計な入れ知恵をさせないために、クリスティーナとの交換で腕輪を外されたコンスタンサ、そして彼女を連れ去った青年は、たぶん二度とPの街に入れないと思います。何度申請してもパスポートやIDカードの更新が許可されず、結局トトの力を借りてイタリア国籍を取得するしかない、みたいな事態になるかも。

ロレンツォは、全部わかっていて、もう降りているのにやっぱりトトの代わりに弟の尻拭いランチに出向いているわけで、かなりお氣の毒かも(笑)もちろん、ロレンツォもできればトトと同じことをしてあげたいと思うだろうけれど、この人はもっと先に何が起こるかをわかっていて、安易に手出しなんかしないと思うのですよ。だから、自分が降りていなければこういうことはなかったと思っているのかな〜などと考えつつ書かせていただきました。

アントニアのフィリグラーナや、23のおまけの靴は、「組織の手前、こういう嫌がらせもしないといけないんだけれど、あなたたちが憎くてやっているわけじゃないのよ、わかってね〜」というメッセージかな。

詩織は「どうせ私には誰も話してくれないし、なのに私が悩むことないわよね〜」でいいと思うんですよ。彩洋さんがおっしゃる通り、そうじゃなかったら、こんな面倒な所の坊ちゃんと結婚するなんて無理だし。そういう意味では、マイアは大変に素質があるんですが(なんの?)

うん、こんなに絡ませていただいたし、いずれもっと絡めたら面白いなあ〜と期待しています。
いや、今は、ネタバレがあるのでこれ以上は難しいんだけれど、「Infante 323 黄金の枷」さえ終われば、ここで隠している件が全てオープンにできるし! なんか、このシリーズもコラボの世界で人氣が出てきたし、さっさと終わらせようっと。

詩織とロレンツォのお話は、もっと読んでみたいですよ。結婚してもまだまだ普通じゃなさそうだし、でも、基本は幸せいっぱいだってわかっているし。続編を楽しみにしています。あ、今回出てきたようなうちの固有名詞や設定は、どうぞいつでもご自由にお使いくださいね。特に前もっての告知は不要ですから。

素晴らしい作品でのご参加と熱いコメントをありがとうございました!
2015.02.08 11:59[edit]
says... "これはすごいな"
改めて夕さんの、この物語の設定の細やかさと重厚さが見えた気がしました。
そして何よりすごいのは、大海さんの、同じく深い設定と見事に絡み合って、違和感のない同じ世界を作り出しているという事。読んでいて、これはどちらの物語だったかな? どちらのキャラだったかな? と、分からなくなるほどでした。
それ程お二人がそれぞれの物語の雰囲気や設定をちゃんと理解されていて、そしてその上でとんでもない事(トトのことね^^)を仕掛けて膨らませているのが、楽しかったです。

そうか、誰もが思う(逃げちゃえば)っていう感覚は、この世界では本当に御法度、というか迷惑な話なんですね。読者も納得です。
そしてコンスタンサとクリスティーナに、それほどの価値の差があるとは。
この世界ではシステムとしてその格差が歴然で、それもまた面白いです。
なにもかも熟知している登場人物の中で、ひとり「?」な詩織が、とてもかわいらしい気がして、妙に親近感です^^
こうやって番外を読むと、大海さんや夕さんの物語の設定を改めて知ることができて、たのしいです。
素敵なコラボ、ありがとうございました。
2015.02.08 23:47[edit]
says... "すごすぎっ"
更新、お疲れ様でした。

うわぁ、すごいコラボですね、これ。
一度動き始めた巨大なシステムというものは、当事者や関係者でもそう簡単には変えられない。関連する個々人は血が通った人間らしさはあっても、システムそのものは非情なものだと、そういうことを考えさせられました。
23の靴やアントニアのフィリグラーナ、それに詩織のキャラとロレンツォの寛容さが、まろやかな救いになっているように感じます。
本来なら相容れない組織や団体にとって、いざというときに橋渡しをしてくれる存在というのは、とても重要ですよね。そういうカードがあればこそ、そういう組織や団体が並び立っていられるわけですから……と、わかったようなことを言ってますけど、ワタシの弱いオツムでは、八少女夕さんと大海彩洋さんのコメントや解説がなければ、ほんとうの意味がわからなかったところも多くてorz
でも、ドラガォン・システムとヴォルテラ家、こういう現代社会に人知れず(?)存在し、機能しつづけるシステムって、なんかもうワクワクしますね~。ツボですわ、ほんと。
ヴァチカンとテンプル騎士団とのイワクインネンなども、いろいろ勉強させてもらいました。奥が深いなぁ。
いろいろと聞きたいことはありますが、ウチの子にも23に靴を作ってもらいたいので、ガマンします。
でもでも、「スプリング・ソナタ」のリピートの件が、どうしても気になる。気になって眠れそうもない。なにか深い意味とかあるのかなぁ。
2015.02.09 15:20[edit]
says... ">>limeさん"
こんばんは。

おお、違和感ありませんでした?
同じように「謎の組織」なんですが、私の中では彩洋さんのところの「ヴォルテラ家」はもっと王道で、ドラガォンはコソコソしているイメージなんですよね。とても立派なヴォルテラ家(とその下の組織?)のイメージがちゃんととらえられているといいんですけれど、えらく違っても優しい彩洋さんは厳しくは指摘してくださらないかも……

で、なんというのか本来なら「メジャー処に反抗すんなよ」なんですが、あの人たち(とくに《監視人たち》中枢部の人たち)にはマイナーの意地みたいなのがあって、何かあるとすぐに色めき立つんで、上の方は「まあまあ」って困っちゃう、というのが私のイメージです。というか、そういう緊迫した二組織の緊迫の会見みたいなものを書いてみたかっただけかも(笑)

そして設定の話ですけれど、「逃げちゃえばいいじゃん」「そのくらい許してあげてもいいね」とここで書いてしまうと、本編のプロットが崩壊してしまうのです(泣)
「あんたら、何でそんなことやってるの? 変えればいいじゃない」ってことになっちゃう。

コンスタンサとクリスティーナ、人間としての価値は同じでしょうけれど、ヴォルテラの組織にとっての利用価値が段違いなのです。クリスティーナは、とある重要人物と相思相愛だったため、ドラガォンの内情に精通しています。その知識はドンナ・アントニアと同じくらいです。一方、恋する少女コンスタンサは、通行人に毛が生えた程度。利用価値はゼロでしょうね。まあ、トトにしてみたら「詩織の友達の方が大事!」かも(笑)

そうそう、詩織はこの二組織の話では、やっぱり通行人状態。でも、その方が読む方からも親しみがわきますよね。全員精通しちゃうと、読者だけ置いてきぼりになっちゃうし。

本編は、枠組みとしての設定の中で、右往左往する心の話なので、こうやって設定そのものをゆっくり説明できる番外編はありがたかったりします。
読んでいただけて嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2015.02.09 19:40[edit]
says... ">>TOM-Fさん"
こんばんは。

わぁい、組織もののお得意なTOM-Fさんに褒めていただけたぞ。
組織が個人の独裁で出来ているものならいろいろと変えることができるんですが、それでは○千年も続けるなんて無理ですよね。ヴォルテラのことをどこまでちゃんと理解しているかは怪しいんですが、少なくともドラガォンは、当主の家系(苗字がない)と、《監視人たち》中枢を牛耳っている名門の家系、それにそれ以外の歩兵みたいな人たちがそれぞれに自分たちの義務を受け継いできていて、それがルールを固持する何重ものガードになっているのです。当主の家系は《監視人たち》の上司でありながら、同時に監視・抑制されている。だから当主にも変えられないことばかりという設定です。

でも、その冷たいガチガチのシステムの中で、許される最大限の人としての優しさが流れるというのが、この物語のミソでして、それを感じていただけたら嬉しいなと思っています。

ポルトとテンプル騎士団の話は、去年の春のオプショナルツアーでガイドの兄ちゃんから仕入れた話で、「こ、これは使える!」と一人でヘラヘラしていたネタです。実は、TOM-Fさんの所の「薔薇十字」みたいなのにちょっぴり憧れていて……。トンデモ設定の話をもっともらしくするのに使っちゃいました。

> でもでも、「スプリング・ソナタ」のリピートの件が、どうしても気になる。気になって眠れそうもない。なにか深い意味とかあるのかなぁ。

あ。これですか? 深い意味は全くないです(笑)誰かさんが、自分の演奏に納得がいかなかったのでしつこく練習していただけでございます。この方、「お客が来ているから、うるさくしないようにしよう」などとは考えないし、完璧主義な上、ヒマはたっぷりあって、性格は執念ぶ……(以下、自粛)「スプリング・ソナタ」は「Filigrana 金細工の心」の最終章に使う音楽で、それの練習をしていたのですね。

23に依頼する靴は、靴型をどっかでとってきてくださいね〜。出張不可なんで(笑)

コメントありがとうございました。
2015.02.09 20:22[edit]
says... ""
わっわっわっ。二つのお話がひとつになった、ではないですねえこれ。
大海さんのところでも同じ事を思ったのですが、全てを理解し巻き込む一つのお話ですよぉ。
お互いの作者様がお互いの世界観をしっかりと理解していらっしゃる。
素晴らしいぃ。感動です。

プチ対決は圧巻です。食しながらのお二人の言葉と目線が・・・
私のマインドも二人の間をテニスボールを追うように行ったりきたりしましたあ。
ロレンツォは食事を楽しめたのだろうかなんて余計な心配をしてしまうくらいです。

一番大事なのは人脈。信頼関係が築けるかどうか。
それはやはり実際に面して時間を共有することも大事なわけで、そういった点から、ここでトトはロレンツォに借りを作ってしまったのかも(?)
金が動く、物が動く、よりも、人が動く、で世の中が動いているように思います。

詩織ちゃんがマコト系でよかったー
(↑すみません、大海さん。でもこれ、自分にもつながる -_-;)
幽霊が何体もいるドラガォンのお話が今後も楽しみです。
いえ。訊きません。うちも靴、めっちゃ興味ありますから^^
2015.02.10 14:17[edit]
says... ">>けいさん"
こちらにもありがとうございます!

なんか、こういうの書いてみたかったんです(笑)
でも、私の小説の中だけだと、あんまり緊迫した状況にならない……。
彩洋さんちのところから「大物が来た!」と思ったら、止まらなくなっちゃいました。

ロレンツォ、少なくともお酒は美味しかった……かな。そう、願いたい(笑)
詩織は、きっと氣にいったと思います。ポルトガル料理、本当に日本人の口にあうのです。

うん、そうですね。
けいさんのおっしゃる通り。実際にこうやって逢って、にっこり笑いあい、狐と狸の化かしあいをしつつ、お互いの人となりを知って「けっこういいヤツじゃん」とわかりあうのが大事ですよね。
その意味では、「よくわかんないけれど、美味しいし、楽しいし、プレゼントも嬉しい〜」とニコニコの詩織は、ドラガォン勢を和ませて、何よりの大使の役割を果たしたんじゃないかなあ。

幽霊、まもなく入浴シーンを控えております。
けいさんのとこの子も、靴ご所望ですか? あ〜、靴型を送ってくだされば、きっと(笑)

コメントありがとうございました。
2015.02.10 20:38[edit]

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