【小説】郷愁の丘(5)朝焼けの家 - 1 -
ともあれ、今回発表する部分は、本当に何度も何度も書き直しました。しかも、この作品の一番最初に着手した部分でもあります。本当はこの章のサブタイトルを「郷愁の丘」にしようかと思っていたんですが、本タイトルにしてしまったのでここは「朝焼けの家」にしました。
「郷愁の丘」を読む あらすじと登場人物 |
郷愁の丘(5)朝焼けの家 - 1 -
ここはどこだろう。目の醒めたジョルジアは、はじめニューヨークのソーホーにある地下レストランのことを考えた。それは狭くて騒がしい赤い照明が特徴の店で、壁に飾った七十年代風のオブジェも全て赤く染まってしまい、非現実的で落ち着かなかった。
あの店にいるはずはない。ニューヨークのレストランに枕や布団があるはずはない。彼女は枕に手を触れて、ゆっくりと起き上がった。騒がしい音楽も、狭くて人いきれがして領域を侵害される感覚もなかった。
ここは、《郷愁の丘》だ。昨夜到着したグレッグの家、彼に案内された客間。昨夜電灯をつけた時には普通の部屋だったのに、どうしてここはこんなに赤いのだろう。
そして彼女はすぐに納得した。その赤い光は、東に面した大きいガラス窓から入ってきているのだ。《郷愁の丘》の敷地は七十メートルほどの崖の際にあった。客間の外は広々としたテラスとほぼ自然のままの庭が崖まで続き、その先にはサバンナが地平線まで広がっていた。そして、これまで見たことのないような鮮烈な朝焼けは、そのどこまでも続く広い大地を舞台に繰り広げられていた。
火事のように燃える朝焼け。どこかで聞いたことのある言葉。それは、そんな簡単な表現や、テレビや映画の映像では決して再現することの出来ない強烈な光景だった。
ジョルジアは、立ち上がり、ガウンを羽織るとテラスに通じるガラス窓に歩み寄った。
自分の力で歩いているのか確かではなかった。息をしているのかも自信がなかった。これまでいたのと同じ惑星ではないように感じる。世界が燃え立っている。地平から上が、暖かい赤から黄色に近いオレンジへのグラデーションで彩られていた。遮るものは何もない。あったとしても、小さく意味もなかった。視界の全てはその色だけ占められた。ジョルジアの全感覚を支配したままゆっくりと変化する色の競演。陽炎のごとく揺らめいて広がっている。
いいしれぬ感情は、光を捉える虹彩で感じているのではなかった。それはもっと深く強い激流として彼女の足元から、腹部から、螺旋を描きながら狂わんばかりの激しさで湧き出ている。立っていられることが奇跡のようだった。
彼女は、あまりの強烈な色の輝きに写真を撮ることも忘れてただ眺めていた。
「一度アフリカに来たものは、いつの日か再びアフリカに帰る」
その言葉は、これまで知識や概念として彼女の中にあったが、今、彼女の中で叫んでいるのはもっと別の強い感情だった。
「いつの日か、私はここに帰る」
彼女が再びケニアを訪れたのは、一度見た光景を忘れられなかったからではなかった。なぜここに来ようと思ったのか、彼女には説明できなかったし、意味など何もないと思っていた。そうではなかったのだ。彼女は、どうしても来なくてはならなかった。まだ一度も見たことのないこの世界を自らの目で見るために。
それはナイロビでも、モンバサでも、マリンディでもなかった。雑多で混沌とした都会や、藁葺き屋根がリゾートの雰囲氣を盛り上げる海辺の別荘では決して見ることの出来ないものだった。笑い声が絶えなく快適なレイチェル・ムーア博士の家ででもなかった。文明から遠く離れ、サバンナに孤高に建つ、この《郷愁の丘》にたどり着いた者だけが見ることを許される光景だった。
少し離れた敷地内を動く二つの影があった。愛犬と朝の散歩をするグレッグ。朝焼けをみつめる彼のシルエットを彼女は見つめていた。
この人は、ずっとここに一人で立ち続けて来たのだ。億千もの朝の、グレートリフトバレーで生まれた遠い祖先の記憶を保ちながら、たった一人で。国籍や両親の居住地、受け入れてくれる社会、そんな概念では語れない強い郷愁が、彼をここに引き寄せた。
そして、彼は私にそのかけがえのない秘密を見せてくれたのだ。想いに応えることも出来ず、約束も出来ず、ただ自分の寂しさを埋める優しさにもたれかかろうとした残酷な私に、何の見返りも求めずに。
握りしめている手のひらに、昨日作った擦り傷が痛みとも熱ともつかぬ熱い感覚で脈打っていた。彼がレイチェルの家で、この傷の手当をしてくれた時の優しい感触が甦った。彼が彼女に触れたのは、本当にその時だけだった。紳士的でとても優しい態度の内側に、隠していた心を暴露された居たたまれなさと、愛する人の心を得る事のできない絶望が押し込められている。そんな立場に彼を追いやってしまったのが、自分なのだと思うと苦しくて悲しかった。
彼とルーシーの姿がゆっくりと視界から消えてもしばらくジョルジアはその窓辺に立っていた。やがて朝焼けはごく普通の朝の空に変わり、昨日のように何でもない日常が戻ってきた。彼女は我に返ってガウンに手をかけると、部屋に隣接している浴室に行き、シャワーを浴びてから着替えた。
客間を出て廊下を歩いた。玄関の近くにある居間兼ダイニングルームを覗くと、ルーシーは、尻尾を振って寄ってきた。グレッグが氣づいて笑いかけた。
「おはよう。よく眠れたかい」
「ええ。ぐっすりと」
昨日あった事も、先ほどのジョルジアの人生を変えるほどの光景も、まるで何もなかったかのような穏やかな朝の挨拶だった。
ジョルジアが思いもしなかった、彼の想いについて知った午後、転んで怪我をしたジョルジアを連れてグレッグが戻ると、レイチェルは困惑した顔をして二人を見ていた。彼がアカシアのトゲをひとつ一つ丁寧に抜いてくれ、それから消毒をしてくれている間、ジョルジアは《郷愁の丘》にある彼の家の事を質問した。どんな建物か、屋根の形や近くにどんな動物が来るのか、井戸から水を汲んでいるのか、など。
その会話から、レイチェルもこれからジョルジアが彼の家に行こうとしている事を知り、納得して嬉しそうに送り出した。おそらく彼女はまた誤解したのだろう。彼女は知らないのだ。ジョルジアはニューヨークに住む著名ニュースキャスターに恋をしているとグレッグに告白してしまった。そして、その事実は簡単には動かせない。
それでも、彼女はここに来た。何かが起こる事よりも、このままグレッグという彼女にとって特別な人間との交流が断ち切られる事がつらかった。だから、彼が求めてきたら拒否するような事はしまいと思っていた。
けれども、昨夜は何も起こらなかった。彼は、男性の同僚や親族を家に泊めるのと変わらないように家の中を案内し、パンとチーズとワインだけの簡素な夕食を普通にした後、「今日は疲れただろう。また明日」と礼儀正しく挨拶をして寝室に向かった。
ドアの閉まった客間の中から、彼女は彼の去っていく足音を聞いた。彼は、ルーシーに話しかけていた。
「そこにいろ。そして彼女を守るんだ」
ジョルジアは、彼の事を考えながら穏やかに眠りについた。今、目の前にいるのは、その彼女が眠る前に思い浮かべたのよりはわずかに明るい笑顔を浮かべているグレッグだった。
追記
この作品にはいろいろな曲がインスピレーションをもたらしてくれていますが、このシーンを構想しているときはずっとこの曲を聴いていました。Eraはフランスのエリック・レヴィを中心とした音楽プロジェクトで、中世のラテン語風の歌詞で一世風靡した「Ameno」などで知られています。中世ヨーロッパ風の小説のBGMにいいかなと思っていましたが、どういうわけかこの「郷愁の丘」BGM用プレイリストに入ってしまいました。なぜかアフリカにも合うんですよ。
Era - I Believe
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Comment
更新、お疲れ様です。
力を入れられたというだけあって、とても印象的なシーンに仕上がっていますね。
雄大で鮮烈な朝焼けの描写、読み応えがありました。日本でも朝焼けはありますけど、ここまで強烈なものではないですね。なんだろう、空気が違うのかな?
その中を歩くグレッグとルーシー、映画のワンシーンみたいですね。
グレッグとジョルジア、傍目にはすごくいい感じですよね。
お互い、思う人には思われず、という状況なのが残念ですけど……もっとも、だからこそ面白い、とも言えますけどね(笑)
ジョルジアは、なかなか気持ちが切り替わらないみたいですね。憧れるだけで届かない恋というのは、どこまでも引きずってしまうのでいけませんね。
グレッグは辛いところですけど、もうひと頑張り、かな。
力を入れられたというだけあって、とても印象的なシーンに仕上がっていますね。
雄大で鮮烈な朝焼けの描写、読み応えがありました。日本でも朝焼けはありますけど、ここまで強烈なものではないですね。なんだろう、空気が違うのかな?
その中を歩くグレッグとルーシー、映画のワンシーンみたいですね。
グレッグとジョルジア、傍目にはすごくいい感じですよね。
お互い、思う人には思われず、という状況なのが残念ですけど……もっとも、だからこそ面白い、とも言えますけどね(笑)
ジョルジアは、なかなか気持ちが切り替わらないみたいですね。憧れるだけで届かない恋というのは、どこまでも引きずってしまうのでいけませんね。
グレッグは辛いところですけど、もうひと頑張り、かな。
こんばんは。
「黄金の枷」もそうですが、特定の場所と感情を絡ませてストーリーを作っていく試みで、この章と次の章は、タイトルロールの《郷愁の丘》が舞台でなので、こねくりまわしました。
これ、日本やスイスやニューヨークを舞台にしたらおそらく成立しない話なんです。
そういう国だったら、きっとこの二人のトロさでは周りの騒がしさにかき消されて、育つ関係も育たずに自然消滅してしまうでしょう。
この後もこれまで以上に「この状況はありえん」が続くんですが、「でも、ここならあり得るかもしれない」という環境であることを読者にもわかるように書く、というのがこの小説の最大の難関だったかもしれません。上手くいっているかどうかは、この後の記述にかかっているんですが、う〜ん。サバンナのあの感覚は、文字で表すのが難しいですね。
ジョルジアの心の動きですが、まあ、バスを乗り換えるみたいに簡単にはいきませんよね。
書く方と読む方には、そして多くの登場人物にとっては「まったくいつまでも、なにやっとんねん」なのですけれどね。
なにげにジョルジアがひどいヤツです。けっこうすぐにグレッグに想われていた事を半分忘れていたりしますし、そのままずっと生殺しです(笑)
グレッグは、ええ、頑張ってもらいたいと想います。(おいっ!)
コメントありがとうございました。
「黄金の枷」もそうですが、特定の場所と感情を絡ませてストーリーを作っていく試みで、この章と次の章は、タイトルロールの《郷愁の丘》が舞台でなので、こねくりまわしました。
これ、日本やスイスやニューヨークを舞台にしたらおそらく成立しない話なんです。
そういう国だったら、きっとこの二人のトロさでは周りの騒がしさにかき消されて、育つ関係も育たずに自然消滅してしまうでしょう。
この後もこれまで以上に「この状況はありえん」が続くんですが、「でも、ここならあり得るかもしれない」という環境であることを読者にもわかるように書く、というのがこの小説の最大の難関だったかもしれません。上手くいっているかどうかは、この後の記述にかかっているんですが、う〜ん。サバンナのあの感覚は、文字で表すのが難しいですね。
ジョルジアの心の動きですが、まあ、バスを乗り換えるみたいに簡単にはいきませんよね。
書く方と読む方には、そして多くの登場人物にとっては「まったくいつまでも、なにやっとんねん」なのですけれどね。
なにげにジョルジアがひどいヤツです。けっこうすぐにグレッグに想われていた事を半分忘れていたりしますし、そのままずっと生殺しです(笑)
グレッグは、ええ、頑張ってもらいたいと想います。(おいっ!)
コメントありがとうございました。
朝焼けの描写が素晴らしいです。
実際に夕さんが経験なさったのかなぁ・・・そう思えるぐらいリアルに感じられました。
目覚めて全く違う場所に居るような気がしたり、起き上がってガラス窓に近づいたり、そこから赤い風景を眺めたりするシーンは、登場人物に入り込んで読み進めることの多いサキにとってはすごく空想をかき立てられるシーンでした。
「いつの日か、私はここに帰る」
この地は彼女にとって忘れられない場所になったんですね。
夕さんにとってもかもしれませんが。
さすがは夕さんが何度も書き直されたシーンだなぁと思いました。
あ、やっぱりレイチェルは困惑した顔をして、戻ってきた二人を見ていたんだ。
そりゃそうですよね。
でも、ジョルジアとグレッグの態度を見て、またまた誤解を進めたんですね。
まぁ、普通そう思いますよ。そこで止まっちゃうなんて有り得ませんから。
そうかぁ。ジョルジアはやっぱり呪縛から抜け出せないんですね。
そしてそんなことを聞かされたグレッグは生殺しかぁ。彼は本当に律儀で紳士的ですものね。
そりゃ、なにも起こりませんよ。
もし情熱的に求めていたら、どうなったんだろう?
そんなことグレッグにできるわけないけど・・・。
実際に夕さんが経験なさったのかなぁ・・・そう思えるぐらいリアルに感じられました。
目覚めて全く違う場所に居るような気がしたり、起き上がってガラス窓に近づいたり、そこから赤い風景を眺めたりするシーンは、登場人物に入り込んで読み進めることの多いサキにとってはすごく空想をかき立てられるシーンでした。
「いつの日か、私はここに帰る」
この地は彼女にとって忘れられない場所になったんですね。
夕さんにとってもかもしれませんが。
さすがは夕さんが何度も書き直されたシーンだなぁと思いました。
あ、やっぱりレイチェルは困惑した顔をして、戻ってきた二人を見ていたんだ。
そりゃそうですよね。
でも、ジョルジアとグレッグの態度を見て、またまた誤解を進めたんですね。
まぁ、普通そう思いますよ。そこで止まっちゃうなんて有り得ませんから。
そうかぁ。ジョルジアはやっぱり呪縛から抜け出せないんですね。
そしてそんなことを聞かされたグレッグは生殺しかぁ。彼は本当に律儀で紳士的ですものね。
そりゃ、なにも起こりませんよ。
もし情熱的に求めていたら、どうなったんだろう?
そんなことグレッグにできるわけないけど・・・。
こんばんは。
ケニアのマサイマラ国立公園での朝焼けや夕焼け、それに南アフリカ共和国のカルーという荒野での経験など、強烈な光景の記憶がこの小説を書くきっかけになっている事は確かですね。
ただ、実際に見た光景をそのまま記述してもピンと来ないと思ったんです。つまり、客観的に見えている物を詳細に書いても、あの強烈な感覚はつたわらないかなと。色でいうと、たとえば神戸港で見る朝焼けと変わらないと思うんですよ。海の代わりにサバンナがあるだけで。でも、それとは全く違うあの感覚は、もっと別の表現方法を使わないとと、あれこれ試行錯誤して最終的にこうなりました。
私にとってアフリカは「またいけたらいいなあ」という所ですが、ジョルジアはもっと強い印象を受けたようです。
これは、おそらく彼女の視覚に関する感受性が鋭いのと、それと人生経験が違って、彼女が探していたものが《郷愁の丘》にあったからなんでしょうね。
レイチェルは前向きでパワーにあふれた女性ですから、ごにょごにょと回り道をしているこの二人の事はおそらくさっぱりわからないかと(笑)
ジョルジアの逡巡も困ったものですが、グレッグのフリーズにも困っちゃいますよね。
どちらも過去にあったトラウマや引きずっている問題が根っこにあって、ごくあたりまえの「そうなったら普通はさ」が通用しません。おそらく何度も「一体何やっているんだ、この二人は!」と思われる事かと思います。
人里離れた一人暮らしの自宅に好きな女性が連泊しているんですけれどねぇ。
普通に手を出していたら、ええと、次回最終回かも(笑)
実際には、ようやくここからが長いお話の始まりです。
コメントありがとうございました。
ケニアのマサイマラ国立公園での朝焼けや夕焼け、それに南アフリカ共和国のカルーという荒野での経験など、強烈な光景の記憶がこの小説を書くきっかけになっている事は確かですね。
ただ、実際に見た光景をそのまま記述してもピンと来ないと思ったんです。つまり、客観的に見えている物を詳細に書いても、あの強烈な感覚はつたわらないかなと。色でいうと、たとえば神戸港で見る朝焼けと変わらないと思うんですよ。海の代わりにサバンナがあるだけで。でも、それとは全く違うあの感覚は、もっと別の表現方法を使わないとと、あれこれ試行錯誤して最終的にこうなりました。
私にとってアフリカは「またいけたらいいなあ」という所ですが、ジョルジアはもっと強い印象を受けたようです。
これは、おそらく彼女の視覚に関する感受性が鋭いのと、それと人生経験が違って、彼女が探していたものが《郷愁の丘》にあったからなんでしょうね。
レイチェルは前向きでパワーにあふれた女性ですから、ごにょごにょと回り道をしているこの二人の事はおそらくさっぱりわからないかと(笑)
ジョルジアの逡巡も困ったものですが、グレッグのフリーズにも困っちゃいますよね。
どちらも過去にあったトラウマや引きずっている問題が根っこにあって、ごくあたりまえの「そうなったら普通はさ」が通用しません。おそらく何度も「一体何やっているんだ、この二人は!」と思われる事かと思います。
人里離れた一人暮らしの自宅に好きな女性が連泊しているんですけれどねぇ。
普通に手を出していたら、ええと、次回最終回かも(笑)
実際には、ようやくここからが長いお話の始まりです。
コメントありがとうございました。
とても印象的な回でした。
言葉を失くすような光景と色に、読んでるこちらまで息を飲むような。
そしてその描写がジョルジアの心の底にあったものを沸き立たせているのが、とてもすんなり伝わってきます。やっぱり夕さんは洗練された物書きだなあと、改めて思いました。
ジョルジアの目と心を通したグレッグが、ここではさらに素晴らしく、崇高にすら見えてしまうから不思議です。きっとジョルジア以外には、グレッグの本当に素晴らしさに気づくものはいないんでしょうね。(きっとグレッグ自身がちっとも思ってないと思うから^^;)
朝焼けがこんなに鮮やかに視界を染めるなんて、想像していませんでした。
きっとこんな光りに包まれたら、世界観が変わってしまうんだろうなあ。
ジョルジアの気持ちの揺らぎと戸惑いが、とても鮮やかに伝わる回でもありました^^
言葉を失くすような光景と色に、読んでるこちらまで息を飲むような。
そしてその描写がジョルジアの心の底にあったものを沸き立たせているのが、とてもすんなり伝わってきます。やっぱり夕さんは洗練された物書きだなあと、改めて思いました。
ジョルジアの目と心を通したグレッグが、ここではさらに素晴らしく、崇高にすら見えてしまうから不思議です。きっとジョルジア以外には、グレッグの本当に素晴らしさに気づくものはいないんでしょうね。(きっとグレッグ自身がちっとも思ってないと思うから^^;)
朝焼けがこんなに鮮やかに視界を染めるなんて、想像していませんでした。
きっとこんな光りに包まれたら、世界観が変わってしまうんだろうなあ。
ジョルジアの気持ちの揺らぎと戸惑いが、とても鮮やかに伝わる回でもありました^^
見たことないはずの広大な朝焼けが脳裏に焼き付いた気がします^^
そうか…郷愁の丘に辿り着いたんですね。
これ、ジョルジアにとってはほとんど目的の無い旅でしたよね?
先々の展開が一切読めないのでドキドキしています^^
グレッグは紳士過ぎますね……そこが良い所なんですが、これまでの人生で散々「いい人」で終わってしまっていたんじゃないでしょうか?w
それが今回はジョルジアということで、さて、どうなるんでしょう…
そうか…郷愁の丘に辿り着いたんですね。
これ、ジョルジアにとってはほとんど目的の無い旅でしたよね?
先々の展開が一切読めないのでドキドキしています^^
グレッグは紳士過ぎますね……そこが良い所なんですが、これまでの人生で散々「いい人」で終わってしまっていたんじゃないでしょうか?w
それが今回はジョルジアということで、さて、どうなるんでしょう…
こんばんは。
お褒めいただいて嬉しいです。ちょっと力みすぎた感はありますけれど、普通の静かな描写だと伝わらないかなと思ったので……。この光景は、私の実際に観たものを思い出して書きましたが、あのサバンナの色で私の世界観は変わりましたね。まあ、すぐにもとの世界の生活に戻っちゃいましたが(笑)
この話、究極に端折っていえば、ジョルジアが片想いから脱却して彼女にとって本当に大切なものを見つけるまでの、(例によって)ひねりのない話ですが、普通の人生と同じように、そういう過程ってたった一つの要因だけで進むものではないだろうなあと思ったんですね。例えば、「イケメンAから別のイケメンBへ」みたいな単純な構図ではなく。
グレッグは、悪い人ではないですが、どちらかというと弱者の立場の人間なので、その個人だけの存在感のみでジョルジアの心が動くのではなくて、別の要因も大事かなあと。その一つが、彼の住んでいる場所が与える強烈な印象だったりします。
この朝焼けも、おそらくジョルジア(やグレッグや私)でない人が見たら、ここまで感動しなかったかもしれないです。「確かに綺麗な色だけれど、まあ、朝焼けだし。それよりまだ眠いよ」みたいな。たぶん朝焼けのサバンナに強烈な郷愁を感じるジョルジアは、この土地と相性がいいのだと思います。後からもう少し描写が出てきますが、普通の文明人は「もういやだ、こんなところ」的な地の果てです。それに、たぶん彼女の人生経験、トラウマも含めてぐるぐる悩んでもがいてきたところが、おそらくこの光景の印象を強めているようにも思います。
という舞台の中で、たった一人の登場人物として彼女の視界に存在しているグレッグは、(ジョルジアだけにとってですが)特別で、素晴らしく見えると思います。なんというか、借景のもたらす効果は抜群かも。そして、limeさんがご指摘くださったように、グレッグ本人は、そういう効果でジョルジアにとっての自分の存在感がパワーアップしている事は、たぶんわかっていないかも。だから自信は持てないままで、進まないんだ……。
発表済みの二つを含めて、三つグレッグサイドからの外伝があり、本編でも彼視点で語られる章が二つあるのですが、彼がジョルジアサイドの感情の移り変わりと比較して、妙に諦めモードで後ろ向きなのが書いていてもじれったいです。
コメントありがとうございました。
お褒めいただいて嬉しいです。ちょっと力みすぎた感はありますけれど、普通の静かな描写だと伝わらないかなと思ったので……。この光景は、私の実際に観たものを思い出して書きましたが、あのサバンナの色で私の世界観は変わりましたね。まあ、すぐにもとの世界の生活に戻っちゃいましたが(笑)
この話、究極に端折っていえば、ジョルジアが片想いから脱却して彼女にとって本当に大切なものを見つけるまでの、(例によって)ひねりのない話ですが、普通の人生と同じように、そういう過程ってたった一つの要因だけで進むものではないだろうなあと思ったんですね。例えば、「イケメンAから別のイケメンBへ」みたいな単純な構図ではなく。
グレッグは、悪い人ではないですが、どちらかというと弱者の立場の人間なので、その個人だけの存在感のみでジョルジアの心が動くのではなくて、別の要因も大事かなあと。その一つが、彼の住んでいる場所が与える強烈な印象だったりします。
この朝焼けも、おそらくジョルジア(やグレッグや私)でない人が見たら、ここまで感動しなかったかもしれないです。「確かに綺麗な色だけれど、まあ、朝焼けだし。それよりまだ眠いよ」みたいな。たぶん朝焼けのサバンナに強烈な郷愁を感じるジョルジアは、この土地と相性がいいのだと思います。後からもう少し描写が出てきますが、普通の文明人は「もういやだ、こんなところ」的な地の果てです。それに、たぶん彼女の人生経験、トラウマも含めてぐるぐる悩んでもがいてきたところが、おそらくこの光景の印象を強めているようにも思います。
という舞台の中で、たった一人の登場人物として彼女の視界に存在しているグレッグは、(ジョルジアだけにとってですが)特別で、素晴らしく見えると思います。なんというか、借景のもたらす効果は抜群かも。そして、limeさんがご指摘くださったように、グレッグ本人は、そういう効果でジョルジアにとっての自分の存在感がパワーアップしている事は、たぶんわかっていないかも。だから自信は持てないままで、進まないんだ……。
発表済みの二つを含めて、三つグレッグサイドからの外伝があり、本編でも彼視点で語られる章が二つあるのですが、彼がジョルジアサイドの感情の移り変わりと比較して、妙に諦めモードで後ろ向きなのが書いていてもじれったいです。
コメントありがとうございました。
こんばんは。
おお、印象強い描写になっていたでしょうか。
こねくり回した甲斐があったかな。
ジョルジアは、実はこの後に緩く予定は立てていて、そのホテルの予約などはしていたのです。
ただし、前の記事でも書きましたけれど、仕事から離れるための休暇ですからわりとのんびりと旅をしていますし(設定では四週間の休暇で、現在二週目が終わるくらいです)、日本人的な「予定ぎっちり」という旅のし方はしないので、残りの滞在先の予定は二、三か所くらい? でも、キャンセルしちゃいます(笑)
グレッグは、お察しの通り、これまで非モテ道一直線です。男性は少しワルい方がモテますよね。女性もそうかな。
でも、どの世界にも蓼喰ふ虫はいるんじゃないかなと思っていたりします。
この話(も)あまりひねりはありませんので、予想外のどんでん返しはないです。
なのになぜこんな長さになってしまったのだろう。
のんびりとおつきあいいただけると嬉しいです。
コメントありがとうございました。
おお、印象強い描写になっていたでしょうか。
こねくり回した甲斐があったかな。
ジョルジアは、実はこの後に緩く予定は立てていて、そのホテルの予約などはしていたのです。
ただし、前の記事でも書きましたけれど、仕事から離れるための休暇ですからわりとのんびりと旅をしていますし(設定では四週間の休暇で、現在二週目が終わるくらいです)、日本人的な「予定ぎっちり」という旅のし方はしないので、残りの滞在先の予定は二、三か所くらい? でも、キャンセルしちゃいます(笑)
グレッグは、お察しの通り、これまで非モテ道一直線です。男性は少しワルい方がモテますよね。女性もそうかな。
でも、どの世界にも蓼喰ふ虫はいるんじゃないかなと思っていたりします。
この話(も)あまりひねりはありませんので、予想外のどんでん返しはないです。
なのになぜこんな長さになってしまったのだろう。
のんびりとおつきあいいただけると嬉しいです。
コメントありがとうございました。
いつも感心しますが、夕さんの物語は映像になるシーンが本当に上手く表現されていて、しかもくどくなくて、ほう~と思わせるものがいっぱい溢れています。しかも、物語も(ぐるぐるはするけれど)小気味いいテンポで話が進んでいて(いや、内容はぐるぐるだけど)、読ませるなぁと感動します。こういうのが書けたらなぁとしみじみ思う回でした。
でもこれはやっぱり体感した人でないと書けない世界なんだろうな。なんというのか、奥行きですよね。写真とか絵を見ても分からないのは、この奥行き。その空気の感じとか、においとか、感情の奥行きも。
みてきた景色が人を作ると思っている私には、このジョルジアの感情はとても素敵に思えました。その景色を見たのが、一生の間のほんのわずかな時間でも、それが自分を支えているような何か。
夕さんならではの世界を楽しめる素敵な回でした。
その景色を背景に、ぐるぐるとはいえ、気持ちはちゃんと前に向いていますよね。でもこれまでのぐるぐるって、若かったけど(ん?)、今回のぐるぐるは大人のぐるぐるだなぁ。なんてのか、ちゃんと分かってるぐるぐる。年齢のこともあるけれど、これまでのぐるぐるカップルはおばちゃんが遠くから見守る感だったけれど(読者の立ち位置)、今回は共感しやすいぐるぐる感です。
ゆっくりでいいね。うん。どうせ周りに邪魔者はいないし(え?そこ? いや、決して誰かさんがお邪魔虫だったとかは思っていないよ←誰のこと?プレイボーイのピアニスト?)
でもこれはやっぱり体感した人でないと書けない世界なんだろうな。なんというのか、奥行きですよね。写真とか絵を見ても分からないのは、この奥行き。その空気の感じとか、においとか、感情の奥行きも。
みてきた景色が人を作ると思っている私には、このジョルジアの感情はとても素敵に思えました。その景色を見たのが、一生の間のほんのわずかな時間でも、それが自分を支えているような何か。
夕さんならではの世界を楽しめる素敵な回でした。
その景色を背景に、ぐるぐるとはいえ、気持ちはちゃんと前に向いていますよね。でもこれまでのぐるぐるって、若かったけど(ん?)、今回のぐるぐるは大人のぐるぐるだなぁ。なんてのか、ちゃんと分かってるぐるぐる。年齢のこともあるけれど、これまでのぐるぐるカップルはおばちゃんが遠くから見守る感だったけれど(読者の立ち位置)、今回は共感しやすいぐるぐる感です。
ゆっくりでいいね。うん。どうせ周りに邪魔者はいないし(え?そこ? いや、決して誰かさんがお邪魔虫だったとかは思っていないよ←誰のこと?プレイボーイのピアニスト?)
燃える大地・・・・ってわけじゃないですけど。
そういう印象。
アフリカの光景が浮かびますね。。。
日本だとほとんど水平線でしか太陽の日の出、日の入りは見れないですけど。
アフリカは違いますもんね。
大地の日の入り、日の出を見たいですね。。。
そういう印象。
アフリカの光景が浮かびますね。。。
日本だとほとんど水平線でしか太陽の日の出、日の入りは見れないですけど。
アフリカは違いますもんね。
大地の日の入り、日の出を見たいですね。。。
こんにちは。
わ〜い。彩洋さんに褒めていただいた。嬉しいなあ。
映画などの映像だと、ハイビジョンで撮って「どうだ!」と見せて、あとは観客が感じるままにお任せ、なんでしょうけれど、文字の場合はそういう表現はできませんし、さらにジョルジアの心が動いたところまで読み手を強引に連れて行かなくてはいけないので、悩みまくりです。日本での生活にごく普通にあるシチュエーションだと、淡々と書けばそれで伝わるかもしれませんが、このアフリカの光景というのは、伝わりにくいなあと思いました。「テレビで見たことがある」光景との違いを文字で伝えるのがとても難しい。それであれこれとひねくり回したんですけれど、そうなると反対にくどくなるので、もう客観的な描写は最小限にして(朝焼けのそのもの色は東京湾でもアフリカでもあまり変わらないし)、それを受け取っているジョルジアの方に集約する事にしました。伝えるって、難しいです。
そして、そうなんですよ。この話、主人公たちがぐるぐるしている割に、状況や感情の方はかなり唐突に進んで行くんです。というか、そうしないと永久に終わらなくて。これでもまだとっかかり状態ですから。
彩洋さんの鋭さにドキッとした「奥行き」の話は、実は後ほど出てきます。二人が語り合うトピックの中に。
小説の難しさに、散りばめている詳細の書き方があると思うんです。本質的なストーリーとは関係ないけれど、ちゃんと全篇を貫いている具体的な何か。このストーリーでは、「普段は人付き合いをしたがらない、どちらかというと寡黙な二人が、ずっとコミュニケートし続ける」という、一行で済む内容を、具体的に散りばめて書く必要があり、それに手こずりました。「私ゃ、そんな話さないし、考えた事もないわ」な事を調べては書き、調べては書き。
邪魔者……くすくす。それがねぇ。いないと言っちゃいないんですけれど(笑)特に、拓人みたいに具体的にちょっかい出してくる邪魔者はいないんですけれどね。(そういや瑠水は意味不明にモテたなあ)
どっかの腕輪をしている二人も、まわりは皆「なにやってんだ、あいつら?」でしたが、こちらもほぼ同じ展開に。
幼さでいうと、ジョルジアは瑠水やマイアほどではないと思いますが、やっていることもなにげにヒドい……。
グレッグも23並にはこじれていますので、子どもじゃなくて紳士な分一筋縄では行きません。
(っていうか、「状況が変わっている事にいい加減氣づけ!」と何度書きながら突っ込んだ事か……)
まだまだ先は長く、ひたすらぐるぐるが続きますが、続けて読んでいただけると嬉しいです。
コメントありがとうございました。
わ〜い。彩洋さんに褒めていただいた。嬉しいなあ。
映画などの映像だと、ハイビジョンで撮って「どうだ!」と見せて、あとは観客が感じるままにお任せ、なんでしょうけれど、文字の場合はそういう表現はできませんし、さらにジョルジアの心が動いたところまで読み手を強引に連れて行かなくてはいけないので、悩みまくりです。日本での生活にごく普通にあるシチュエーションだと、淡々と書けばそれで伝わるかもしれませんが、このアフリカの光景というのは、伝わりにくいなあと思いました。「テレビで見たことがある」光景との違いを文字で伝えるのがとても難しい。それであれこれとひねくり回したんですけれど、そうなると反対にくどくなるので、もう客観的な描写は最小限にして(朝焼けのそのもの色は東京湾でもアフリカでもあまり変わらないし)、それを受け取っているジョルジアの方に集約する事にしました。伝えるって、難しいです。
そして、そうなんですよ。この話、主人公たちがぐるぐるしている割に、状況や感情の方はかなり唐突に進んで行くんです。というか、そうしないと永久に終わらなくて。これでもまだとっかかり状態ですから。
彩洋さんの鋭さにドキッとした「奥行き」の話は、実は後ほど出てきます。二人が語り合うトピックの中に。
小説の難しさに、散りばめている詳細の書き方があると思うんです。本質的なストーリーとは関係ないけれど、ちゃんと全篇を貫いている具体的な何か。このストーリーでは、「普段は人付き合いをしたがらない、どちらかというと寡黙な二人が、ずっとコミュニケートし続ける」という、一行で済む内容を、具体的に散りばめて書く必要があり、それに手こずりました。「私ゃ、そんな話さないし、考えた事もないわ」な事を調べては書き、調べては書き。
邪魔者……くすくす。それがねぇ。いないと言っちゃいないんですけれど(笑)特に、拓人みたいに具体的にちょっかい出してくる邪魔者はいないんですけれどね。(そういや瑠水は意味不明にモテたなあ)
どっかの腕輪をしている二人も、まわりは皆「なにやってんだ、あいつら?」でしたが、こちらもほぼ同じ展開に。
幼さでいうと、ジョルジアは瑠水やマイアほどではないと思いますが、やっていることもなにげにヒドい……。
グレッグも23並にはこじれていますので、子どもじゃなくて紳士な分一筋縄では行きません。
(っていうか、「状況が変わっている事にいい加減氣づけ!」と何度書きながら突っ込んだ事か……)
まだまだ先は長く、ひたすらぐるぐるが続きますが、続けて読んでいただけると嬉しいです。
コメントありがとうございました。
こちらにもありがとうございます。
そうですね。日本は住宅が密集しているので見渡す限り建造物の何もない大地というのは見つけるのは難しいでしょうね。
ただ、アフリカに行けばどこでもそういう光景が見られるわけでもないのです。
テレビなどで見慣れているせいかそういうイメージを持たれる方が多いみたいですがアフリカも大陸なのでいろいろと違う光景があります。
どっちにしても大自然の中での日の入り、日の出は、印象ぶかいものですね。
コメントありがとうございました。
そうですね。日本は住宅が密集しているので見渡す限り建造物の何もない大地というのは見つけるのは難しいでしょうね。
ただ、アフリカに行けばどこでもそういう光景が見られるわけでもないのです。
テレビなどで見慣れているせいかそういうイメージを持たれる方が多いみたいですがアフリカも大陸なのでいろいろと違う光景があります。
どっちにしても大自然の中での日の入り、日の出は、印象ぶかいものですね。
コメントありがとうございました。