パンのお供(8)ピーナッツバター

ちょっと古い話題で恐縮ですが、昨年のクリスマスに義母と義兄を招待しました。その時の前菜の写真です。いや、探したらほかに写真を撮っていなかったのですもの……。一番手前のベージュのクリームが、今回のテーマであるピーナッツバターです。
これ、自家製なんですよ。私が作った、最初で最後のピーナッツバターです。
ジャムは基本的に自分で作るのですけれど、ピーナッツバターというのは買うものだと思っていました。なのに作ったのは、ピーナッツが大量に余っていたからです。
スイスでは十二月の待降節になると、ピーナッツやみかん、それにチョコレートなどを常備することが多いんですね。そういう風物詩的な存在なんです。で、連れ合いが喜んで食べるので、深く考えずに買ってきたんですけれど、それを食べ終わる前にヤツはアフリカ旅行に出かけてしまったわけです。私はピーナッツのように面倒くさい食べ物を、大量に食べる習慣がないので、全く手をつけないまま一ヶ月くらい放置されていたんですよ。
で、こんなものを春まで放置してもまずくなるだけだと思い、何か使うレシピはないかと探したんです。そして見つけたのが自家製ピーナッツバターだったというわけです。
レシピといっても、から焼きしたピーナッツをバター、砂糖、塩と一緒にフードプロセッサーで粉砕するだけです。で、完全になめらかになっていない状態が、素人っぽい感じですが、これが美味しいんですね。お店で買うのよりも、香りが高くて劇的に美味しくていくらでも食べられてしまうのです。その証拠に、食べきってしまい、年越しできませんでした(笑)
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パンのお供(7)トマト

パン食がメインなのでほぼ日常食ばかり、「インスタ映え」するような小洒落たものは、正直言ってあまり食べていません。パン切って、冷蔵庫から出してきたバターとチーズやハムを載せて、もしくはジャム塗って、というようなことが多いです。
トマトを食べる時も、本当はダイスに切って、オリーブオイルと塩こしょうで和え、ニンニクをこすりつけたトーストバゲットに載せるブルスケッタを作った方が素敵なのはわかっていますが、え〜、お客様が来ない限りやらないな。
こうして、切って、バター塗ったトーストバゲットに載せておしまいです。美味しいんだこれが。日本の超美味しいマトでなくても、トーストと有塩バターのマジックでとても美味しいトマト載せパンになります。あ、有塩バターの代わりに、オリーブオイルでも美味しいですが、その時は塩をお忘れなく。

ちょっと小洒落た感を出したいなら、こうしてハーブでも載せればOK。これはいつかご紹介したポルトガル・バジル。普通のスイート・バジルよりも葉が小さくて苦みがなく優しい味ですが、香りはしっかりバジルです。
我が家には、窓辺にハーブのプランターがあって、今年はこんなラインナップです。外にあるのがルッコラとサラダ野菜、そしてポルトガル・バジル。窓の内側には、オレガノ、ミント、ポルトガル・バジルが一つずつ鉢植えになって置いてあります。ローズマリー、ローレルは、連れ合いのところにデカい鉢で植えてあるので、一定量採ってきて冷凍してあります。パセリはどうしてもうまく育たないので、これだけは買ってきて、冷凍で常備です。あ、あと、フェンネルも野菜として買ってきた時に葉をとって冷凍しておきますね。
さて、私が書く小説は、やはり私が普段食べて「美味しいな」と思ったモノが反映されることが多いです。時々「食事の描写が美味しそう」というありがたい感想をいただくことがあるのですが、美味しさが伝わったら食いしん坊の作者としては嬉しいです。
今回のトマト載せパンに関しては、同じではないですが「大道芸人たち Artistas callejeros」第一部でも登場させています。かなり緊迫した状況の直後に使ったので、このメニューについてツッコまれた方は一人もいらっしゃいませんでしたが。
「おはよう」
「おはよう」
代わり映えのしないいつもの朝だった。稔はパンを割ると、軽くトーストをして、オリーブオイルと塩と完熟生トマトをつぶしたものを載せた。ヴィルの方に、つぶしトマトの入ったポットを差し出すと黙って受け取り、同じようにトーストパンに載せて食べた。
「美味いな」
「ああ、美味い」「大道芸人たち Artistas callejeros (27)バレンシア、 太陽熱」より
スペインでは、こうした「パン・コン・トマテ」を朝食に食べる人が結構いるらしく、カルモナで休暇を過ごした時はバルでほぼ毎朝食べていました。よく考えると、同じイベリア半島でも、ポルトガルのバルでは見たことありませんね。あちらは黄色いお菓子ばかり見たな……。
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パンのお供(6)カレー

レトルトパックを開封する時は別として、カレーって大抵お鍋に残りますよね。二日目のカレーは美味しいって言いますけれど、三日目になったりすることも。それも、一食分にもならない変な量が残ることがあります。
そんな時によくやるのが、バターたっぷりのトーストと一緒に食べることなんですけれど、これって皆さんもやるのでしょうかね。ジワッと染みた塩入バターとカレーがとても合うんです。
ちなみに、写真に映っているのは、我が家の普通のカレーです。こちら、いわゆるカレールウというものがないので、カレー粉を炒めるところから全部自分で作るんですけれど、どういうわけか日本のカレーのような濃いめの茶色にはならないんですよね。あれって何の色なんだろう?
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パンのお供(5)パトルジャン・サラタス

ナスは地中海沿岸ではよく食べられている食材。多分スペインやギリシャ料理にも同じ様なレシピがあると思うんですが、作り方を知ったのがトルコ料理の本だったので、その名称でご紹介しています。
作り方はとても簡単で、まず焼きナスを作ります。レシピの分量だと日本のナス五個でした。別にもっと少なくてもいいと思います。そして、柔らかくなった中身をすくう様にして皮を取り除き、ヨーグルト大匙三、レモン汁大匙一、塩小さじ一、にんにくのみじん切り一かけ分、胡椒と混ぜ合わせてペーストにします。以上。なんですけれど、我が家にはプレーンヨーグルトがなかったので、マスカルポーネで作りました。結果的に、こちらの方が酸味が和らぎしかもこってりして美味しくなった様に思います。個人的にですけれど。

なぜプレーンヨーグルトもないのに作ったかというと、こういうナスを買ってきて、悪くなる前に使いたかったんですよ。
ヨーロッパで売られているナスは、日本のナスの三倍くらいある大きなものです。皮はかなり黒に近い感じで、味も大振り。で、写真のナスはそれよりもひとまわり小さくて鮮やかな紫のふ模様が綺麗なものでした。最近通いだした有機食料品店では、こちらでは見たこともなかった新しい野菜を色々と売っているので、試してみる事にしているのです。お店の女性は「普通のナスより繊細で美味しい味よ」というので、買ってきました。
一つはいつもの様に和風の味付けにしましたが、もう一つを使って、ずっと作ってみたかった「ナスのペースト」に挑戦したわけです。これは、美味しいです。日本の秋ナスでもいけると思いますので、大量に買ったら是非作ってみてくださいませ。
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パンのお供(4)トマトペースト

ドライトマトを手作りするというと、あまりこの言い方好きではないのですが「女子力が高い」みたいに思われるかもしれませんが、そんなことはありません。もともとは買いすぎたプチトマトがこのままでは腐ると思ったので、何とかしようと思って始めたものです。あ、今でも作るきっかけはそれかも。
それと、甘いかと思って買ってみたけれど、いまいちだったプチトマト、細かく切ってトマトソース代わりに料理に入れてもいいんですが、そもそもそういう時期は普通のトマトがあるので、やはり乾燥させてドライトマトにしてしまうのが一番です。
ドライトマトの作り方は天日干しとオーブンと二種類あるのですが、私は手っ取り早くオーブンで作る事の方が多いです。半分に切って天板に並べてオーブンに突っ込むのですね。あまり温度を高くすると焦げてしまうので注意が必要です。トマトは熱で糖度が増すらしく、半乾きの状態になった頃にはすでに美味しくなっています。
完全にドライトマトにして長期保存したい場合はちゃんと乾かさないとまずいのですが、私は全部トマトペーストにしてしまうので半乾きで十分です。あとは塩をしてオリーブオイルをひたひたに注ぎ、フードカッターなどで細かくするだけです。フードカッターがない場合はみじん切りかな……。私は面倒臭がり屋なので愛用のブラウン マルチクイックでガーっとやります。
ドライトマトなんか作るのは嫌だと思われる方も、市販のドライトマトを戻してでもいいから、是非一度試していただきたい味です。これがまた、美味しいんだ。私はバターに煩悩しているので、バターつけていますが、バターなしでも美味しいはずです。あと、フランスパンを薄くスライスしてガーリックをこすりつけてトーストした後にこれをのせたら、速攻でおしゃれなオードブルになります。騙されたと思って試してみてください。
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パンのお供(3)赤スグリのジェリー

今年の「scriviamo!」で題材にした赤スグリのジェリーを今年も作りました。英語で言うとレッドカラント、ドイツ語ではヨハネスベーレンと呼ぶ真っ赤な実は、毎年六月末から七月の頭に実ります。
この実は本当に宝石のように綺麗なんですけれど、かなり酸味が強くて、そのまま食べてもあまり美味しくありません。というわけで、ほぼ同量の砂糖と一緒に煮詰めてジェリーにします。
子供の頃、家の近くにアメリカ資本のスーパーマーケットがありました。そこには、今でいう明治屋にあるような舶来の高級食材が揃っていて、中を歩くとちょっと海外のスーパーに行ったような独特の洒落た雰囲氣を楽しむ事ができました。
で、スイスのHeroのジャムもありました。Heroのジャムは今の東京ならたいして珍しくないかもしれませんが、当時は滅多に見なかったように記憶しています。その一つがレッドカラントのジェリーでした。真っ赤なジェリーにナイフを入れてパンに載せると断面がキラキラして宝石みたいに見えましたっけ。
こちらに移住してからHeroのジャムは「どこにでもある普通のジャム」に格下げされてしまいましたが、ホテルの朝食などで赤スグリのジェリーをみるとやはり嬉々として手にしてしまいます。

自分で作るのもかなり簡単です。
同量の砂糖と一緒に混ぜながら加熱します。煮立ってからは絶対に混ぜないようにする事とレシピに書いてありました。八分沸騰させたら、ざるで濾します。この時に実を潰すと苦みが出て、さらに色が濁ってしまうそうです。あとは煮沸した瓶に詰めるだけ。簡単でしょう?
赤スグリは大量のペクチンを含むので砂糖だけで固まるというのですが、私が作ると大抵ゆるくなりすぎるのです。ペクチンを混ぜて固めるという方法もありますが、このゆるい状態だと、デザートソースなどにも使えるので、わざとこのままにしています。
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パンのお供(2)ハムペースト
日本では「ご飯のお供」は、どの家庭でもそれぞれにあって、むしろ「そんなもん、わざわざ意識していないよ」というものであったりもします。同様に、何がなくともとりあえずパンなので、そのパンのお供も大事です。
買ってくるパンにしろ、自分で作るパンにしろ、とにかくパンは常に自宅にあるものなのです。で、我が家でもパンとバターはとりあえず切らさないようにします。そして、そのパンをどう食べるかは、日々違うのですね。しかも、スイスは夕食が軽い事が多いので、パンプラスαがそのまま夕食のメニューになります。スープ+パンとか、パンとハムとチーズとか。
で、いつも同じだと飽きるので、いろいろと工夫をするようになると。
というわけで、今回は「ハムペースト」です。

かつて「サンドイッチ談義」という記事でご紹介しましたが、日本にいた頃から愛読していた本、パトリス・ジュリアン著「フレンチスタイルのサンドイッチ」に、「こういうムースや味付けバターがあると、カスクルート(フランス式サンドイッチ)は簡単に豊かになるよ」と、いろいろな基本ムースや味付けバターを紹介したページがあるのです。
で、それ自体さほど難しくないのですが、怠惰な私は更に簡単にアレンジしてしまうのでした。
パトリス・ジュリアン氏の「ハムのムース」はハムの他にバター、サワークリーム、プレーンヨーグルト、サラダ油なども入っていて、細かく切ったハムをすりこぎですってという工程があります。
私のは、材料はハムとマスカルポーネチーズ(リコッタでもOK)だけ。

ハムは適当にちぎってハンドブレンダーで細かくします。それとマスカルポーネチーズを混ぜて、必要なら塩こしょうで味を整えるだけです。マスカルポーネやリコッタを使う理由は、カッテージチーズなどと違って、柔らかくするために他の材料と混ぜたり、しばらく常温で置いてといった面倒が何もないからです。つまり冷蔵庫から出して速攻で作って五分後には食べられるというわけです。
これだけで十分濃厚なので、バターは塗らずにそのまま厚めにパンに塗り、窓辺に栽培している(というか毎年勝手に生えてくる)ルッコラを挟むと、それだけでOK。パンだけでなく、クラッカーに塗っても美味しいですよ。
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パンのお供(1)フムス
今日ご紹介するのは、フムスというヒヨコ豆をベースにしたペーストです。

もともとは中近東で食べられている伝統的なペーストなんですけれど、ベジタリアンの間では世界中どこでもよく食べられていると思います。
なぜかというと、ベジタリアンでもタンパク質を摂らなくてはいけなくて、そうなると豆類を食卓に取り入れるのは必至なのですね。日本のベジタリアンには豆腐製品がありますので、そこまで有名じゃないかもしれませんが。
私はベジタリアンではないのですが、健康のため野菜料理を多く取り入れるようにしています。フムスの材料は、茹でたヒヨコ豆、タヒン(白ごまペースト)、オリーブオイル、レモン汁、にんにく、塩こしょう、クミンです。これをフードプロセッサーでペースト状にすればおしまい。私はレモン汁と塩の代わりに、自家製塩レモンを使います。

ヒヨコ豆は、こちらではかなり普通によく見る豆です。スペイン語のガルバンゾーという名前でも知られています。形は東京銘菓「ひ○こ」に似ているのでわかりやすいと思いますが、もちろんそこからつけられた名前ではないです。英語の「Chickpea」の訳ですが、そもそもこの言葉はフランス語「Pois chiche」の音訳で、その元はラテン語の「Cicer arietinum」。「山羊の顔のような豆」という意味だそうです。全然ヒヨコじゃない。でも、某東京銘菓に(以下略)
タンパク質の他、ビタミンB1、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄分、葉酸、イソフラボン、食物繊維と栄養がぎっしりでとっても健康にいい豆。積極的に取り入れたい食材です。
私はカレーに入れたり、サラダに混ぜたり、ほうれん草と一緒に煮てタパスを作ったりいろいろと使います。そもそも豆類は、腸内健康にも大事な食材だし、それに私たちぐらいの年齢の女性はイソフラボンを摂った方がいいので、意識的に買うようにしています。調理は、一晩水に漬けてから圧力鍋で。
で、フムスですが、とても美味しいのですよ。もちろんフムスそのものの市販品も売っていますけれど、やはり自分で茹でたヒヨコ豆で作る方が断然美味しいと思います。変なものも入っていませんしね。
こちらでは夕ご飯は軽くて冷たいもの(パンとハムやチーズなど)で済ませることが多いんですが、そこにこのフムスを含めたパンのお供をいろいろと出しています。
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