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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012

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Posted by 八少女 夕

公現祭

三王のパン(ミニ)

1月6日は公現祭エピファニー (ラテン語ではEpiphania Domini、ドイツ語ではHeilige Drei Könige)。キリスト教世界では神の子イエズスが異邦人にも顕現された祝日として祝われます。「東方の三博士(ドイツ語では3人の王)が星を頼りに幼子イエズスを訪問して礼拝した」というエピソードが中心になっていて、同時にこの祝日を以てクリスマスが終わるというわけです。(クリスマスツリーを片付ける日ですね)

三博士には(西欧の場合)「メルキオール Melchior」「バルタザール Balthasar」「カスパール Casper」という名前がついていて、それぞれが乳香、没薬、黄金という当時はとても貴重な贈り物を捧げたとか。

この日には、中に小さな人形を入れて焼いた菓子パンを食べる習慣があって、人形を当てた人がその日の「王様」になる習慣があります。なので、パンには小さな王冠も付属しているというわけです。

わたしの連れ合いは子供っぽい人で、裏返してどこに人形があるかを探すチートをしたりします。わたしは王様になることには興味が無いからどうでもいいのですが。

たまたまいつも行くレストランに行ったら、地域の子供たちが王様のコスチュームで歌を唱っていました。小さな村だとこういう習慣があってすてきです。

子供たち合唱

顔を隠すためにアプリで加工してあります。
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Posted by 八少女 夕

スイス連邦議会総選挙

政治の話……というほどの大袈裟なことでもありませんが。

スイス国会

今週末は、スイス連邦議会総選挙です。

スイスという国は、日本と比較すると国民の政治に対する関心が平均的に強いと思います。これは直接民主制で、重要課題に自分で1票を投じることができることも大きいですし、普段のものの考え方に「みんなと同じ」「上のいうことにしたがっておけばいい」という他人任せが少ないこともあるかなと思っています。

さて、そんなわけで、政策などに関する投票の前には、それぞれの利点欠点や争点を書いたチラシが入ったり、スーパーや新聞でその話題が書かれて真剣に考える題材がたくさんあるのですけれど、国会議員にあたる連邦議会の議員選挙に関しては、ちょっとわかりにくいのです。

国民議会(下院)の方は、政党の主張を元に判断すればいいのでまだいいんですけれど、全州議会(上院)の方は支持する政党から出ていないどころか、候補者の一覧も手元になかったりして、どうすればいいのか途方に暮れる感じです。

ネットで調べてみたら、候補者とそれぞれの主要な政策に関する主張などがまとめてあったので、これを見ればいいのかと理解しましたが、これってよほど政治に興味がないとたどり着けないよな……と思ってしまいました。

ちなみに候補者の顔写真のポスターはあちこちにありますし、ド田舎のこのあたりだと、候補者の何人かが顔見知りだったりするので、コミュニケーションがしっかりとしている人たちは、候補者たちそれぞれの主張などをわかっているのかもしれません。

日本と違って街宣の車が候補者の名前を連呼するというような選挙活動はありません。集会で主張を説明する会などはあるようですが、ぼーっと歩いていてそうした演説を聴く機会はなさそうです。これって、自分で関心を持って考えるのが当然って事なのかなと考えてしまいます。

ちなみに、どの党が数の上で第一党となっても、その党が政治を自由にできるということはありません。閣僚は主要な党からバランスよく選ばれますし、大事なことは国民投票になります。
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中秋の名月 2023

過ぎたばかりの中秋の名月のお話。

中秋の名月のお供え

今年もスイスでお月見をしました。日本にいたときは、日々の忙しさに紛れていたのか、それとも世間が盛り上げてくれていたので、それでよしとしていたのか、自宅でお供えして盛り上げるようなことは全くしていなかったのですが、スイスに来てからは、わりとコンスタントにお月見をしています。あ、インスタ映えのためではありませんよ。この程度の写真ではね……。

これって「海外在住あるある」だと思うのですが、七夕やお月見、お正月迎えなどを「なんちゃって」でもそれっぽくしないと、なぜか落ち着かないんですよ。そして、頑張ってお萩やお月見団子を作るなんてこともひと通りやったのですが、最近のお月見では無理せずにホワイトチョコのボールでお供えをしています。

そして、今年は自分で育てた野菜類もお供えしました。本当は、立派に育ったサツマイモをお供えしたかったのですが、まだできていなかったので、ミニのジャガイモやプチトマトがメインに(笑)

中秋の名月

そして、この夜はしっかりと晴れたので、このようにきれいな満月が空に輝いていました。OLYMPUSのコンデジですが、きれいに撮れたので満足です。

そういえば、中秋の名月って必ずしも満月ではないのですよね。10年も前にこんな小説を発表しました。そこに「次の満月の中秋の名月は……」って記述を入れたことを思い出しました。当時は、その次もまだブログをやっているかなと考えながらこの記述を書いたんですが、余裕でやっていましたね(笑)
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ハッピーイースター!

今日はキリスト教でとても大切な祝日、復活祭です。

イースターエッグ

まあ、私にとって何よりも嬉しいのは、4連休だということなんですけれど……。

イースターは、毎年「春分の後、最初の満月の次の日曜日」と決まっているので、日にちは移動するのですが、曜日は常に日曜日です。そして、スイスのプロテスタントの市町村ではその直前の聖金曜日と翌日のイースター・マンデーも祝日なので、私には4連休になるというわけです。

日本のようにたくさん祝日はないし、祝日が土日と重なった場合の振替休日なんてものもない国なので、場合によっては土日でない祝日が10か月ぶりなんてことにもなってしまったりするのですけれど、曜日が確定している4連休はものすごく嬉しい。

実は先週が休暇だった私は、「また休みだ〜」なのですが。とにかく嬉しいのです。

とはいえ、1週間前に納骨を済ませたばかりの義母を悼むカードをくださったみなさんへのお礼状を用意したりと、わりと忙しく過ごしていました。

昨年までは、義母を招いてイースターの御祝いをしたり、直後の彼女の誕生日の御祝いを考えたりする時期でしたが、今年からはそれがなくなりました。

でも、来週は連れ合いの誕生日があります。さて、何をすべきか考え中です。実は、この日を以て彼は一応の定年なのです。特にいろいろと変わるわけではないのですが。

今日の写真は、2018年に亡くなった母の残してくれたイースターエッグです。
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もう1匹、ネコを飼いだしました

この記事は2023年のエイプリルフール記事です。

今日は、ちょっとしたニュースをお知らせします。

lynx

実は、10日ほど前から、新しいネコがうちに住みついてしまったのです。しばらくしたらいなくなるかなと思っていたので、お知らせしなかったのですが、どうやら我が家と決めたらしくて、常に我が家で寝泊まりするようになったので、正式に飼い猫として迎えることにしました。

仔猫みたいですけれど、けっこう身体が大きめで、さらには先住ネコのゴーニィよりもずっと木登りが得意な子です。名前はリンクスに決めました。

これからちょくちょく記事にも登場するかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

この記事には追記があります。下のRead moreボタンで開閉します。

read more


もちろん飼いません。っていうか、リンクス(ユーラシアオオヤマネコ)は野生動物でネコじゃないし、その辺にはいないので安心してください。
今日はエイプリルフールです。
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Tag : エイプリルフール

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空見 2023

春の空

ギリギリになっちゃったけれど、今日中にアップしておきます。

今日は、もぐらさん主催の「空見の日」。スイスで青い空を眺めました。
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変わった新年の始まり

東方の三王の祝日も終わり、クリスマス&正月シーズンも終わりました。

夕暮れ

このお正月は、スイスに来てからも初めてというくらい暖かかいものでした。午後2時の車の外温計は17度を指していました。秋用のコートを洗ってしまったので、再びおろしたくなくて冬用コートで出かけたのですが、暑かったです。

例年だと、年明けの花火のせいか雲が多くなってそのまま雪が降り出すというパターンが多かったのです。2022年の夏、建国記念日は干ばつ寸前で花火が禁止され、まったく販売されなかったのですが、どういうわけか大晦日用にも花火がまったく販売されていなくて、それで今回も水不足なのかと思っていましたが、市町村が上げる花火は普通にあったのでどうなっているのか、わかりません。

そんなあれこれはあったものの、その前の年末年始と違って不安や暗さはなくて、冬至が過ぎてまた日が長くなっていく希望に満ちた冬休みの感情を抱くことができました。世界情勢的には、希望に満ちているというわけでもないんですけれどね。

土曜日は七草粥がわりの7ハーブリゾットを食べて今年の無病息災を願いましたよ! 今年は、夏の間に見つけて乾燥させておいたホトケノザとコハコベを利用したパワーアップ版です。
7ハーブリゾット 2023

さあ、春になるまでもう少し頑張りましょう。
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夜の虹

きれいな光景を見ました。月暈(つきがさ/げつうん)と呼ばれる現象のようです。

夜の虹

先日、日本語教室の仕事を終えて22時半頃に自宅に戻ってきました。普段は真っ暗なのにやけに明るいので、見上げると満月が輝いていたのですが、周りに虹のような暈と光の輪がくっきりと見えています。あら、きれい。

たいていこういう現象は、肉眼では見られても、写真にはうまく映らないのですが、それでもiPhoneを向けてみました。でも、今回はほぼ見たままが撮れたのです。これがその時の写真です。

この微かな曇と相まって暈ができる現象は、太陽ではなんどか見たことがありますが、月の場合は光量が少ないことと満月に近いときに見えるらしいので、見られるチャンスが比較的少ないらしいです。しかも、これって『幸運の前兆』と言われているんですって。

もっと現実的な兆しとしては、「天氣が下り坂」ってことらしいですけれど、少なくともそれは正しくて、ここから雪が降って寒くなりました。

いろいろある年の待降節ですけれど、この夜の虹が私だけのではなく、世界にとっての『幸福の前兆』となってくれることを切に願います。

闇の中を歩む民は、大いなる光を見
死の陰の地に住む者の上に、光が輝いた。

イザヤ書 9: 2(新共同訳)


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1匹足りない?

今日は、会社の近くで見かけるウサギについての話です。

ウサギ

週に5日、IT会社で仕事をしていますが、出社するのは月曜から水曜までです。木金は在宅勤務だからです。さらにいうと、水曜日と金曜日は午前中のみという勤務形態なので、昼休みを会社でとるのは月曜日と火曜日だけです。

30分くらいでお弁当を食べた後、やはり30分くらいを散歩しています。で、そのルートに農家があり、もちろん牛なども飼っているのですが、加えてウサギと雌鶏がいつも通るところにいるというわけです。

で、このルートを通るようになってから、そろそろ1年半になるのですが、ずっと5匹だったウサギが、ここしばらく4匹しか見かけなくなってしまいました。

上述したように、毎日通るわけではないですし、さらにいうと、もしかすると小屋の中にいるのかもと思っていましたが、どうも本当に4匹しかいないようです。

老衰かもしれないですし、病にかかったのかもしれません。それとも、食べられてしまったのかなあ……と思ったり。

かわいそうと思う私ですが、ついこの間ウサギ肉を食べたばかりです。牛と見つめ合ったりしていますけれど、普通に牛肉も食べますしね。「かわいそう」は自己矛盾たっぷりの偽善でしかないですよね。

とはいえ、こんなつぶらな瞳で見つめられると、ちょっと心も痛みます。でも、また食べると思いますが……。
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羊の話

今日は、長いこと勘違いしていた話を。

Walliser Schwarznasenschaf

この羊、我が家の近くの農家の誰かが、20年近く飼っている品種なのです。で、私はなんとなく英国またはスコットランド辺りの品種だと思い込んでいました。

昔、ひとり旅をして車窓から眺めた英国の湖水地方で、印象的な顔の黒い羊を見た記憶が強烈でした。後にアニメ『ひつじのショーン』で有名になったので、顔の黒い羊はどれも英国原産だと思い込んでいたのです。

実際には顔の黒い羊は有名なものでも何種類もあって、スコットランドには『Scottish Blackface』という品種で、顔だけでなく四肢も黒い『ひつじのショーン』のモデルは『Suffolk サフォーク』という種類でした。

そしてですね。今回、写真でお見せしている私に馴染みの深いこの羊は、スイス原産でした。『Walliser Schwarznasenschaf』または『Nez noir du Valais』といい、日本では英語読みの『Valais Blacknose ヴァレー・ブラックノーズ』と呼ばれています。なぜ原語が2種類あるのかというと、原産のヴァリス/ヴァレー州というのは公用語がドイツ語とフランス語の2つあるからです。

で、このシュヴルツナーゼ(私はドイツ語圏に住んでいるのでドイツ語で語りますね)は、少なくとも16世紀には文献に記録されているらしいですが、いつどのように誕生したかについてはよくわかっていないようです。

顔が真っ黒で、寒いスイスの氣候に対応すべく豊かな毛皮で覆われています。羊毛のためだけでなく、食用にも適しているそうですよ。寒い地域に適応するために皮下脂肪が増えるんだろうか。

Walliser Schwarznasenschaf

ただ、『世界一かわいい羊』とも言われるように、とても愛らしいので、みていて「美味しいかも」という感想は全く浮かんできません。好奇心に満ちてあまり人間を怖れないので、カメラを向けるとゾロゾロと寄ってきます。

マイナス15℃になるこの地域の冬でも、外で放牧していることからもわかるように、寒さにはとても強い品種のようです。反対に夏は、大変でしょうね。

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ハイジ展と中島順三さんのこと

先週、日本から浜松市美術館の「ハイジ展-あの子の足音がきこえる-」展の関係者の皆さんが渡瑞され、牧下りなどを一緒に楽しんだのですが、関連する話を何回かに分けて記事にしようと思います。

ハイジ展パンフレット

2022年7月9日(土)から9月11日(日)まで、静岡県浜松市、浜松市美術館にて「ハイジ展-あの子の足音がきこえる-」が開催されました。テレビアニメーション『アルプスの少女ハイジ』とヨハンナ・シュピーリによる原作『ハイジの修業時代と遍歴時代』の双方からアプローチした魅力あふれる、それにめったに見ることのできない貴重な資料を集めた展覧会でした。

今回渡瑞なさったチームは、作者シュピーリ自筆書簡や原作の挿絵をはじめとする日本初公開の貴重な資料を返還するためと、スイスやドイツで開催される『ハイジ』の展示に関する打ち合わせなど、超ハードスケジュールの日程でいらしたのです。

私は、部外者ながらもグラウビュンデン州においての(ほんのちょっぴりですが)協力者という立ち位置で、こうしたアニメ『アルプスの少女 ハイジ』関係の方がいらっしゃるときにはお目にかかる機会が多いのです。今回は、我が家ではなくて、プレッティガウの牧下り祭と、マイエンフェルトでの打ち合わせに参加させていただき、軽くご案内と通訳まがいのことをしてきました。って、一緒に遊んだというだけですけれど……。

ハイジの九谷焼

いらっしゃるとわかって、わがままと知りつつ以前から欲しかった九谷焼の小皿とレンゲを購入して持ってきていただきました。これ、とっても可愛いですよね。展覧会の会場でも販売したそうです。

今回の「ハイジ展-あの子の足音がきこえる-」展は、上記にあるように日本初公開の貴重な資料、小田部羊一さんの描かれたお下げだった構想当時のハイジの絵や、48年前のロケハンの写真やメモ、アイデアスケッチ、本物のセルなどめったに見ることのできない貴重な資料が一堂に会したすごい展覧会だったのですが、関わった面子もすごくて今回ならびに以前スイスでお目にかかった日本のハイジ研究者がほとんど関わっておられる他、アニメ『アルプスの少女ハイジ』のプロデューサーだった中島順三さんと、キャラクターデザインを手がけた小田部羊一さんが企画段階から全面協力し、オープニングでも対談をなさっていました。

このお2人、我が家にもお見えになっていて、一緒にバーベキューをさせていただいています。

その中島順三さんが、8月14日に急逝されました。展覧会に水を差すことを氣になされたご家族のご意向で、このことは展覧会が終わるまで伏せられていました。ショックでしばらくなにもする氣がおきませんでした。

お目にかかったのは数回ですが、そのお人柄には毎回感服していました。『アルプスの少女ハイジ』以外にも『母をたずねて三千里』『あらいぐまラスカル』『フランダースの犬』などの誰でも知っているアニメ制作に関わられ、日本だけでなく世界に知られたアニメをたくさん送り出した大人物にも関わらず、いつも謙虚で周りの人のことを立てられる全く偉ぶらない素敵な方でした。

お目にかかる時に、どれほど偉大な方なのかをうちの連れ合いに説明はしましたが、日本的な敬意の示し方を全くわかっていない連れ合いが、友達のように氣易く話しかけてもニコニコなさって、連れ合いの家業であるオールドタイマー二輪車をいろいろと眺めながら楽しく話をなさっていたことも印象的でした。

お目にかかって感じたのは、「表現者としての哲学が作品を作る」ということでした。『アルプスの少女ハイジ』をメインとなって作ったのは、プロデューサーとしての中島順三さん、総監督の故高畑勲さん、キャラクターデザインの小田部羊一さんと、画面構成の宮崎駿さんでした。この4人は日本のアニメ界を長らく牽引してきた功労者であると同時に、みなさん強い哲学を持って作品に関わってこられた方だというのは、私がここで書かずともみなさんご存じだと思います。

子供たちにいい作品を届けたい、その想いが数々の名作を生み出してきましたが、実際に中島さんや小田部さんとお目にかかり創作当時のあれこれを伺って思うことは、創り手の心の中が作品にきちんと表れているのだということです。

現在の世にあふれた作品を見るとき、全てが好ましい作品であるとは思えません。少なくとも日曜日の夜に、小さな子供たちが楽しみにして見るような作品というのは、あまり多くないと思います。アマチュアの表現者ならば、「何を表現しようが勝手だろう」という意見もあると思います。プロとしても「表現の自由がある」「売れることも大切だ」という意見もあるかもしれません。

中島さんは、もちろんおひとりではありませんが、プロデューサーとしてあの作品を作られました。お目にかかって直接感じたあの方のまっすぐで優しい、そして心の中にしっかりと哲学をもたれた姿勢が、あの作品を作ったのだと感じました。

私自身も、完璧なアマチュアですが、自分は表現者の端くれだと思っています。そして、私の作品の中には、何をどう弁解しようとも、私という人間そのものが表れるものだと思うようになりました。作品と作者は全くの別物ではなく、それを送り出すことは、ある種の覚悟と世界に対する責任が必要なのだということを中島さんから学んだと思っています。

最後にお目にかかったのは2019年にスイスにいらした時に、小田部羊一さんと一緒に我が家にお越しいただきバーベキューをしたときです。80歳を超えているとはとても思えないお元氣さでした。仲良しの小田部さんと久しぶりのスイスを楽しまれているご様子が頼もしく、なんとなくこのまま100歳まででもこうしていらっしゃるんだろうなと思っていました。

コロナ禍が始まってからも、幸いお元氣だということを人づてに伺い安心していましたし、展覧会のオープニングにも小田部さんと登壇なさったと伺っていたので、まさかたったの1か月で急逝なさるとは夢にも思っていませんでした。

またお目にかかってお話がしたかったと思います。それから、もの知らずで失礼な私たち夫婦のことを笑って受け入れてくださったことに対してのお礼も言いたかったです。スイスにこんなに日本人がやって来て、その人たちがスイス人たちからも好意的に受け取られる大きな橋を架けたのは、間違いなくアニメ『アルプスの少女ハイジ』です。

数回お目にかかっただけの私でもこれだけショックなのですから、ご家族はもちろんのこと、半世紀にわたって親しくしてきた小田部さんや宮崎駿さん、そしてずっと『ハイジ』の研究に関わって親しくされてきた皆さんは、大きな喪失感と悲しみを抱えていらっしゃると想像します。

中島さんのご冥福をお祈りすると同時に、ご家族や関係者各位の悲しみが1日も早く癒やされることを遠くスイスからお祈りします。
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「ハイジ」研究本の増補改訂版

静岡県で開催中の「ハイジ展」のあわせて、関連本のご紹介と、ちょっと個人的な思いとを綴ります。

『図説 アルプスの少女ハイジ『ハイジ』でよみとく19世紀スイス』

2022年7月9日(土)から9月11日(日)まで、静岡県浜松市、浜松市美術館にて「ハイジ展-あの子の足音がきこえる-」が開催されています。テレビアニメーション『アルプスの少女ハイジ』とヨハンナ・シュピーリによる原作『ハイジの修業時代と遍歴時代』の双方からアプローチした魅力あふれる、それにめったに見ることのできない貴重な資料を集めた展覧会になっています。

日本の皆さんが私の住むスイスという国を思い浮かべるとき、おそらく90%は『ハイジ』のイメージと結びついているかと思います。そして、それがスイスという国に対する好印象を作り上げるのに大いに貢献したことは、多くの皆さんが同意してくださることと思います。

今日私が取りあげている書籍「図説 アルプスの少女ハイジ『ハイジ』でよみとく19世紀スイス」の著者の1人であるちばかおりさんが、最初にスイスとハイジに対する興味を持たれたのもおそらくアニメ『アルプスの少女ハイジ』でしょう。でも、かおりさんが他の多くの方と違うのは、それを単なる「好き」「憧れ」に終わらせず、研究や文化財の保護に至るまで能動的に進められていることです。スイスや日本で開催されたいくつものハイジに関する展覧会や書籍を通して、翻訳化された原作やアニメ『アルプスの少女ハイジ』を風化させずに、その魅力を次世代にバトンタッチさせる大きな役割を果たしていらっしゃるのです。

ちばかおりさんは、実は我が家に何度もいらっしゃっています。しかもアニメ『アルプスの少女ハイジ』のプロデューサーであった中島順三さんや作画監督をつとめられた小田部羊一さん、それに今回のハイジ展で大きな役割を果たされている研究者のみなさんとの橋渡しをしてくださり、単なる一般人の私がそのそうそうたるメンバーと我が家でバーベキューをするという僥倖に与らせてくださいました。

今回、静岡の「ハイジ展」のあわせて増補改訂版として出版されたこの本は、2013年9月に初版が出ていて、そのときにも1冊頂戴しました。というのは、私、いちおう「協力者」の1人なんですよ、この本の。

この本は、今回の「ハイジ展」とも繋がる姿勢ですが、単なる「ハイジ大好き」ではなく、スイスという国、モデルとなった地域の地理や歴史、時代背景、思想などをわかりやすくまとめて提示した、とても興味深い比較文化の研究書です。

私の住む地域は、まさにその「ハイジの舞台」に重なるのですけれど(そして、もちろんそれが私とちばかおりさんの出会いに繋がるファクターだったわけですが)、住んでいて言葉がわかるからといって、研究レベルのことをすべて理解できるわけではないのです。私は、知らなかった多くのことをこの本から学びました。

その一方で、じっくり読んでいくと、研究の一端に私の協力も小さな助けになっているのがわかります。それは、たとえるなら1枚の織物の中でほんの数カ所の刺繍部分、ルーペで探さないとわからない部位くらいの記述なのですけれど、そこに私が話したり書いたことや、かおりさんに紹介した20世紀初頭のスイスを知っていた現地の方の証言が読み取れるのです。

私の書いた文章や、スイスに住む一般人としての知識は、いつかは埋もれて消えていってしまうような小さな存在ですけれど、それがこうして、本当に興味を持つ人の手に届く形になって残ることは、とても嬉しいです。

ともあれこの本も、「ハイジ展」も、ちばかおりさんをはじめ、スタッフや研究者の皆さんの情熱が詰まっています。「ハイジ展」は、7月9日に始まったばかりですが、コロナ禍で何度も延期を余儀なくされ、開会式の報道すらも異例の事態で延期になるという苦節、そのすべてを乗り越えて開催中です。

この夏、爽やかなアルムの山の風を感じに、浜松市美術館にお出かけになってはいかがですか? ついでに、このご本もぜひ手に取ってみてくださいね!
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休暇でした

実は、この1週間は休暇でした。

モンテ・シュプリューガにて

以前は、休暇といったら1日でも長く旅行を……と、計画していたものですが、全く旅行をしなくなってしまいましたね。コロナが怖いとかではありませんよ。もう、みな普通に旅行していますし、ハグもキスも普通にする世界ですし。

単純に、猫を放置できないからです。もちろん、交互に1人ずつ出かければいいんですけれど。以前は、連れ合いがひとりでアフリカに行き、私がひとりで日本に行く、ということもありましたし、ひとりで旅ができないわけでもないんですけれど、なんとなくそんなつもりにもなれず。特に私は、マスクをしないと見ず知らずの人に睨まれるような国には行きたくないので、とうぶん一時帰国はしないでしょうね。ま、もともと1週間で日本に行くことはありませんが。

さて、日帰りで行ける範囲でということで、州をぐるっと回り、エンガディン地方からブレガリア谷を通って、帰り道に(近道なので)イタリアを通過して帰ってきました。上の写真は、我が家から一番近い国境の間際で、イタリアのモンテ・シュプリューガです。

冷やしうどん

そんなドライブの他は、基本的に家にいました。

夏日になったので、冷やし中華でも食べたいなと思ったのですけれど、都合よく中華麺も、素麺もなかったので、冷やしうどんを作ってみました。久しぶりに薄焼き卵を作り、キュウリはなかったけれど、ニンジン、ハム、椎茸、プチトマト、そして、窓辺で育てた水菜でそれっぽくなりました。

手作りの梅ペースト、紫蘇の醤油漬けなどを薬味にさっぱり食べられました。そして、日本の夏と違うのは、暑くても爽やかなので外で食べられること。

そんな風に夏を楽しみました。次の休暇は8月末に2週間あるのですけれど、これもずっと家にいるのかなあ?
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Posted by 八少女 夕

散歩と、花で答えあわせ

猫と散歩中

私は、1日に30分以上の散歩をするようにしています。歩くところはだいたい同じですので、春の初めから少しずつ芽吹いてきた草花の変化も確認することになります。

植物の中には、葉の形を見ただけで瞬時にどの草か判別できる野草もありますが、それはかなり限られています。タンポポ、野イチゴ、イラクサ、柏、楓などですね。

ここしばらく野草にもっと興味を持ってきたので、よく知らない草木についても注目するようになりました。前回記事にしたクサノオウなども、開花して、「ああ、間違いなくこの草はクサノオウだったね」と確認したりしています。

最近たくさん見るのはScharfe Hahnenfuss(Ranunculus acris ミヤマキンポウゲ)です。
キンポウゲ
この花は、よく母親の写真に供えるんですよね。

そして、いま注目しているのがRuprechtskraut(Geranium robertianum ヒメフウロ)という野草です。
ヒメフウロ
これ、他の野草ほどはたくさん見かけないのですけれど、それでも雑草のようにさりげなく生えています。

学名がゼラニウムのようなのですけれど、実は、一般に私たちがゼラニウムと呼んでいる植物は、フクロソウ科テンジクアオイ属(Pelargonium)なんだそうです。

で、上の写真のヒメフウロはフウロソウ科フウロソウ属(Geranium)の植物です。

とても優秀な薬草で、伝統的な民間療法では、婦人病、歯痛、打撲、発熱、痛風、腎臓や肺の病気、ヘルペス、鼻血の治療薬として使用されていたそうです。煎じ薬は強壮剤として使われ、下痢にも効果があるとか。傷口に塗ると、化膿を防ぐともいわれています。また、葉をつぶしたときの独特のにおいから、蚊を寄せ付けない植物とされています。日本では「医者泣かせ」と言われたこともあるそうなので、東西問わず有用植物として認められてきたのでしょうね。

花が咲くのを待って、その草だと確信したいなと、最近は見かけた場所を日々確認するようにしています。

知らなかったけれど、役に立つ薬草がたくさん生えている草原や小径。優雅に草を食む動物たちも、昔の人びともこうやって健康を維持してきたのかなあなどと考えつつ、中世風の物語の妄想を続けています。
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Posted by 八少女 夕

ちょっと早いけれど

リラ

見てください。今年はまだ4月だというのに、もうリラが満開なんです。林檎の花や、八重桜も見事に咲き誇っている、花のきれいな年です。

他の国や地域では、4月の頭に果樹の花が咲いてしまい、折しもやって来た記録的な寒波でかなりの被害を受けたようですが、このあたりは花が咲き出すのが遅かったおかげで、今のところ大丈夫のようです。

そして、私も見切り発車で野菜の苗をあれこれ植えてしまいました。

野菜の苗たち

写真は植える前。買ってきた苗です。パプリカ、ブロッコリー、キャベツ、コールラビですね。これに加えて、サラダ系の種は直まきしました。それと、まだ屋内に置いてありますが、ニンジンとズッキーニの種を植えて、ちょうど芽が出てきたところです。トマトは、去年収穫したトマトから勝手に芽が出てきたのをいくつか植えてある程度の大きさになっていたので、これまたもう植えてしまいました。このトマトの苗は結実するかちょっと怪しいので、もう少ししたら市販の苗を2つほど買ってこようと思っています。

5月半ばに「氷の聖人たち」と呼ばれる特異日があります。この時期には例年寒波が来るので、苗はその後に植え付けた方がいいという人もいるんですけれど。でもねぇ。それをやっていると短いスイスの夏はすぐに終わってしまうんですよ。まあ、さすがにもう氷点下10℃というような寒波は来ないでしょうから、ちょっと博打ですけれども、もう植え付けて野菜がたくさん収穫できるように育てたいんですよね。

さてさて、どうなることやら。
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春が来た

ハッピーイースター! 1年ぶりの4連休。復活祭の時期です。

梨の花

今年は、3月に暖かい日があったものの、4月になってから冬に逆戻りしたので、このまま寒いイースターになるのかなと思っていたら、急に暖かくなりました。

イースターの時期には、お店にはたくさんのお花が並ぶんですけれど、それに負けないくらいに地植えの草や木が1度に花開きました。スイセン、タンポポ、レンギョウ、梨、アーモンド、木蓮、桜、そして、ついにはリラの花まで開きだしましたよ。

この金曜日に、私はけっこうな庭仕事をしました。

これまではトマトぐらいしか家庭菜園はしていなかったのですが、今年はもっとたくさんの野菜を植えることにしました。といっても大きめのプランター2つなので、庭を持っている人ほどではないですけれど。

金曜日に何をしたかというと、そのプランターの土を掘り起こして、根っこを取り除き、黒いビニール袋に入れて消毒を始めました。これを数日日光に当てて、それから去年トマトを作った土は、もう1つのプランターに戻して連作を避けるのです。そこにはキャベツやニンジン、玉ねぎなどを植える予定です。

そして、もう1つの土でトマトとコンパニオンプランツを育てる予定です。うまくいくかわかりませんが、最終的には夫婦で食べるくらいの野菜は自分で作れる方向に持って行きたいです。
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誤食に注意!

今日の話題は、田舎暮らしに潜むちょっぴり危険な話です。

猫と猫草

この写真は、安全とわかっていて植えている植物(手前は私の栽培した猫草で、後ろは西洋ヨモギ)ですけれども、そこら辺に生えている草の全てが安全というわけではありません。猫のゴーニィは私と違って野生の勘が発達しているのか、むやみにそこら辺の草を食べているようで危険な草には手も出しません。

心配なのは、むしろ私です。なんせ東京育ち、無知の塊です。東京にいたときも、オオバコ、ブタクサなどは見分けがつきましたが、基本的に野の草の名前には疎かった方です。

こちらに来て、まず物理的に危険な草はすぐに覚えました。たとえばイラクサ(Brennessel)です。ぱっと見は紫蘇のような葉っぱなのですけれど、とにかく痛い。茎や葉に小さな棘があって、触れるとそこから毒が入ってくるという仕組みです。「痛っ!」とすぐに手を離してもそこが被れてしばらくヒリヒリします。なのに、このイラクサときたら本当にどこにでもある雑草なのです。

じつは、このイラクサ、それなのに有用植物としての側面もあり、駆除されることはあまりありません。生では(痛くて)食べられませんが、血行促進や関節炎の改善にいいので乾燥させてハーブティーにしたり、栄養素としてはほぼ満点らしくほうれん草のように野菜として食べることこもあるそうです。私も、ときどき自作します。

一方で、氣をつけた方がいい危険な草もあちこちに自生しています。知っているので全く触らなかったものとしては、イヌサフラン(Herbstzeitlose)がありますけれど、実は最近、ちょっと危険なものに触ってしまったようです。

クサノオウ?

一見どこにでもある普通の草みたいなんですけれど、念のため調べてみたら、これ、クサノオウ(Schöllkraut)らしいのです。私は、iPhoneに植物の名前を調べるアプリを入れていまして、写真を撮って同定するんですね。そしたら「Chelidonium majus」だってでたのですよ。ウィキペディアによると「全草に約21種のアルカロイド成分を含み、その多くが人にとって有毒である」だそうです。えー、ちょっとかじってしまった! めっちゃ苦かった以外は別状ありませんでしたが、危なかった……。

野草もそんな感じですけれど、スイスの家庭が植えている庭の植物は毒草がいっぱいです。キョウチクトウ、スズラン、スイセン、チョウセンアサガオ、ジギタリス、トリカブト。そんな自慢の庭で、子供たちも普通に遊んでいますし、とくに見張っている様子もありません。事故が起きたという話もまず聞きませんし、まあ、そういうものなのかなと思います。むしろ実物を見せて、「これは危険なんだ」と教える方がいいのかもしれませんね。私には子供がいないので、本当のところはわかりませんけれど。少なくとも猫は、自分で判断しているようです。

むしろ危険なのは、子供じゃなくて私ですよ。本当に今後は氣をつけなくては。
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Posted by 八少女 夕

サハラの砂塵

今日の話題は、季節的におこる事象「サハラ砂塵到来」の話です。

Saharastaub

今週、スイスはサハラ砂塵(Saharastaub)に見舞われました。

アフリカのサハラ砂漠で地表温度が高くなると、その細かい塵が高度5000mあたりまで巻き上げられるそうです。そして風に乗ってヨーロッパの他、場合によってはアメリカ大陸まで到達することすらあるそう。

スイスでもサハラ砂塵がやってくるのは珍しいことではないのですが、じつはこの現象は春から夏にかけでが多いので、「もうそんな時期か」と感じることが多いのです。

砂塵といっても砂粒があたって痛いというようなものではありません。0.001㎜から0.07㎜という細かい粒子です。写真のように空はオレンジ色になってしまい、なんだかとても不穏な感じですし、アレルギーのある人にはつらいらしいです。

私自身にはあまり害はなくて、たんに車が黄色っぽい埃にまみれるくらいですが、私はあまり車をピカピカにするようなタイプではないので「まあ、いつも通り汚い」という感じでしょうか。

このサハラ砂塵、決して悪いことだけではありません。砂漠というので不毛の地と思われがちですが、実はサハラ砂漠はもともと氷河期の終わりまでは巨大な淡水湖のあった場所でとても肥沃な土壌なのです。たんに乾燥しているので砂漠になっているのですが、その細かい粒子はカルシウムやマグネシウムを他とする栄養素がたっぷりと含まれていて、それがスペインやフランスをはじめとする農業地帯の大地にたっぷりと降り注ぎ、肥沃な土地にしてくれているというわけです。

現在の世界の農業は人工的な肥料に頼ることが多いのですけれど、その肥料の供給に赤信号が灯っているこの頃、もしかするとヨーロッパは大きな苦難に立ち向かわざるを得なくなるかもしれません。そんな春先には、いつもは「サハラ砂塵か」と舌うちをしたくなるような光景すら、ありがたく思えてしまうのです。わりと身勝手な自分を認識する瞬間なのでした。
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Posted by 八少女 夕

師走の日々

冬景色

あっという間に12月も半ば、本来やらなくてはならないことが、まだいくつも終わっていないのですけれど、「まあ、いいか」という投げやりな心持ちでいるこの頃です。

本来の心象風景は、どちらかというと下の写真に近いのですけれど、それがいきなり表示されるのもアレなので、とりあえず青空の写真を上に掲げました。

冬景色

いずれにしても今年はクリスマス前に雪がとても多くて参ります。雪そのものはきれいですけれど、自動車通勤している身としては、かなり厄介なのですよ。とくに夜はつらい。先日の大雪は、たまたまオンライン業務の日にあたり助かりましたが。現在、仕事の引き継ぎ中なので無理してでも出勤しなくてはいけない日が多く雪には困ります。

若干、滅入っているのは、もちろん冬のせいだけではありません。世界(ではなくて人間社会ですかね)が、かなり終焉に近づいてきている感じがして、最初に吹き飛ばされるモブキャラ系小市民としては、ため息しか出ないのです。

数年前までは「また流しているよ」と思っていた、この時期限定で流れるヒット曲も、まるで映画『猿の惑星』でながめた自由の女神像みたいな場違いさを感じながら耳にしています。クリスマスにお祖父ちゃん、お祖母ちゃんを訪ねる娘息子夫婦と孫たちが、ワクチン接種証明を提示してマスクをして語り合うって、どんなディストピアだよとクラクラします。

世界はもう元通りにならない、電子監視社会に組み込まれる、言論の自由もなくなる、反対する者は否応なく罰される、そんな恐れの中で、「春になれば楽しい日々がまた来る」「このパンデミックが収まればまた普通の日々が戻ってくる」とは思えずに寒さと暗さに耐えるのは、なかなか厳しいものがあるのです。このあたりの感覚は、感染も少ないし、特に行動制限もされていない日本の方たちにはなかなか理解してもらえないと思います。あえて言うなら、1937年くらいにドイツ国内に住んでいた貧乏なユダヤ人の不穏な思いは、こんな感じだったのかなと思うのです。

とはいえ、今日の私は食べるものもあるし、スーパーマーケットには入れるし、雪道でスリップ事故を起こさないように氣をつけながら、ごく普通の毎日を過ごす他はないのかなと思います。

心の癒やしのために猫の毛繕いをし、来年発表しようと思っている作品を書き、今年いっぱいの週休3日制を満喫(ダラダラしつつ)して過ごしています。
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Posted by 八少女 夕

収穫のとき

日本はまだ残暑が厳しいとのことですが、こちらはすっかり涼しくなりました。まだ夏だと無理やり自分を納得させていますが、体感的には秋です。というか、今年は夏が来なかったみたいだなあ……。

さて、我が家の家庭菜園というと大袈裟ですが、窓辺のプランターも収穫の時を迎えています。たとえば、もうペストロ・ジェノベーゼ(バジルソース)を1度作りましたし(その後カットしなかった下半分を増やして2度目の収穫を待機中)、大家の梨の木からいくつか梨をもらってきて、サラダに使うこともできるようになりました。

そして、玉ねぎ。じつは、写真の玉ねぎは、またしても芽を出してしまったものを植えて育てたものです。かなり立派に育ち、花も咲きました。花は母の遺影に供え(使える花は何でも使うあたり……)、それから掘り出した新玉ねぎがこちらです。

新玉ねぎ

立派な茎というのか、葉というのか、とにかく緑の部分もそのままコンポスト行きにするのはもったいないので、玉ねぎオイルを作ります。細かく刻んでオリーブオイルに浸し弱火で茶色くなるまでじっくりと火を通すだけ。

玉ねぎペーストとオイル

出来上がったオイルは、とてもいい香りがするので、そのままネギ油として料理に使います。そして、本来なら捨てるのであろう残った茶色い玉ねぎ葉も、もったいないのでハンドブレンダーでペースト上にすると飴色玉ねぎの代わりになるのです。というわけで、すべてうまく使い切ったという話。

トマトがなった

さて、トマトの方も、今年は早く始めた甲斐があり8月中に最初の収穫がありました。写真にあるように、いくつかの別の種類を植えています。すべて日本のトマトで、種から育てたものです。甘くて味がしっかりとしていて美味しい! 今年は雨が多くて駄目になってしまった玉もいくつかあるのですが、これから次々と赤くなるトマトを楽しむ予定です。
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Posted by 八少女 夕

ラジオに出演

カテゴリー「ニュース」ってほどでもないので、とりあえず「写真」にしましたけれど、それも違うなあ。でも、「生活のあれこれ」ではないし。要するに、「写真」カテゴリーをもう少し汎用できるタイトルにすればいいのか。うん、そうしよう。

ラジオ局

オリンピックの是非は別として、開催されるというのでここスイスでもいろいろなメディアが日本を特集しています。そのうちの1つであるとある国営系のラジオ局からの依頼で日本語についてインタビューを受けてきました。

もちろん私よりもずっとふさわしい日本からいらした方がいるのは百も承知なんですが、このラジオ局、若干準備がギリギリというのか、人材を探し始めるのがとても遅かったのだと思います。そして、たまたま私に依頼が回ってきたのですね。

開会式の1週間前に打診が来て、こちらも仕事をしているし、準備もあるので収録は開会式前日の木曜日でした。

で、間に合うようにちゃんと家は出たのですが、なんと高速道路で交通事故が発生して、塩漬けになってしまいました。先方に電話して事情を話したら、さすがラジオ局でどこでどうなっているかまでもう把握していました。幸い、30分ほどの遅刻でなんとか到着。すぐに収録が始まりました。

ラジオ局って日本も含めて初めて足を踏み入れたので、とても面白くてお上りさん状態になってしまいました。

事前準備の甲斐あって普段よりはまともに話したと思うのですが、それでもかなりひどいドイツ語で、後ほど少し落ち込みました。でも、しかたないよね、能力がここまでなんだもの。

先方はとても親切で、収録はとても楽しかったです。
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アガベの花が咲きだした

この夏のトピック。田舎なので、あまり事件もそんなにないんです。

アガベの花

我が家は日本でいう所の二階に部屋を借りているんですけれど、階下の住人のアガベに異変が起きたのはこの春の終わりのことでした。 

アガベというのは、リュウゼツランとも言われる中南米原産の植物で、アロエに似た多肉質の葉と、その先に尖った棘がある特徴的な単子葉植物です。

もともと沙漠のようなところに生えるので、水やりもほとんどいらない手のかからない植物なのですけれど、この五月末に突然大きな茎が伸び始めたのです。

三十年から五十年に一度と言われる開花の時期が来たのですね。

アガベ

毎日茎はぐんぐん伸びて、二週間ほどでこんなに高くなってしまいました。そして、一ヶ月半ほどしてついに花が咲き出したのです。

花が咲くのはとても珍しいことなので、見ることが出来るのは本当に僥倖。おそらく生涯で一度の経験だと思います。それが毎日自宅で見られるってすごいなあ。
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まるで夏のよう

これは2019年のエイプリルフール記事です。

夏の湖

つい一週間ほど前には雪が降っていたというのに、突然暖かくなってここ数日はまるで真夏のようです。

真夏のようといっても日本のように入道雲や、蚊や、熱帯夜などはなくて、ひたすら爽やかなのです。

35℃くらいあるのでは。この数字は例年だと七月の夏休みくらいでしょうか。

夏の花壇

というわけで、本来なら七月から八月に咲く花がこんな風に満開になっています。これも氣候変動の一環なのかなあ。

この記事には追記があります。下のRead moreボタンで開閉します。

read more


そんなわけはありませんよ。まだまだ寒いんです。朝は五℃で日中は20℃くらいかな。でも、こんな常夏も悪くないかなーって。
本日はエイプリルフールだし。

あ、でも、昨日から本当に「サマータイム(時間を1時間ずらす夏時間)」は実施されていますけれど。
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皆既月食を見た

去る2018年7月27日、今世紀で最も長く観察できる皆既月食がありました。私は肉眼で皆既月食を観察したのは初めて。ちょっと嬉しくなってしまいました。下の写真は、私が撮ったものではありません。インターネットでLIVE配信していたものをキャプチャーしたものです。

皆既月食

私は科学系ニュースの類いは基本的に日本語でインターネット経由で読むことが多いので、珍しい天文ショーなどは時間や状況が合わなくて指をくわえていることが多いのです。

しかし。今回の皆既月食は、スイスの方がずっと条件がよかったので、アラームをセットして待っていました。金曜日の夜、22時20分。しかも、夏なので観察していても凍死しません(笑)

時間になって外に出ても月は全く見えません。月食で見えないのか、場所が悪いのか首を傾げながら探していると、大家の奥さんが車で帰ってきて「月を見ているの?」と。「そうだ」と答えると「ここじゃダメよ。さっき見えたところに行きましょう」と連れて行ってくれたのです。

そう、我が家からだと山に隠れて見えない位置に出ていたのです。で、見に行くと本当に真っ赤なすごい月が。これが皆既月食かと感動しました。ひとしきり見て、満足して家に戻ると、連れ合いが「どうだった」と言うので「すごい。真っ赤だった」と興奮して話しました。で、連れ合いも見たくなったらしく出て行こうとするので、「そこじゃ見えないよ。車で行こう」とまた外に出て、今度は車の鍵をもって、二人でダッシュ。同じ所にまた行って二人で観察しました。

よく考えたら二人で満月を観たのは本当に久しぶりです。しかもスイスではこのレベルの皆既月食は数百年に一度とか。晴天で、星もいっぱいでていました。すぐ近くにあると言われた火星は、肉眼ではよくわかりませんでしたけれど。

皆既月食

この小さいのが、私がiPhone 5Sでなんとか撮った写真。最大にズームしてもこれでした。もっといいカメラの方は暗くて全く写らず。その分、肉眼で沢山見ましたから、いいですよね。実際は、もっとくつきり綺麗な赤い月でしたよ。
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スイスにも春が来た

お花見 2017

我が家は賃貸なのですけれど、結構大きい前庭があって、その一部に桜の樹があります。日本のソメイヨシノなどと違って、花見のための木ではなくて果樹なんですけれど、やはり桜が咲くのは嬉しい。

今年は、新しいカメラで撮ってみました。ボケ具合にちょっとドヤ顔な私は、やはり素人だよなあ。でも、思った通りに必要なところにフォーカスが当たって、背景のボケた写真が撮れると、ちょっと嬉しくありません?

お花見 2017

もう一枚。こちらは土曜日にアルプスを越えたイタリア側スイスで撮った一枚。この日はイタリア側は27℃にもなるちょっとした夏日でした。

ああ、いい季節になったなあ。冬が終わると本当に嬉しいです。これから数ヶ月、ヨーロッパはいいですよ。
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空見の日 2017

普段は水曜日に更新する小説を月曜日にしたのには理由があります。基本的に小説は「読んでくださる方が増えるといいなあ」という理由で三日くらい最新記事にしておくのです。でも、本日3月16日は、もぐらさんの主催する「空見の日」でどうしてもこの日に最新記事がアップされるので、小説は二日ほど前倒ししたというわけです。というわけで、来週からは普通に水曜日に小説をアップしますよ。

さて、というわけで「空見の日」です。え〜と、そもそもの由来が今ひとつわかっていないまま、今年で二度目の参加なのですが、要するに「決めた日にみんなで空を見ようね」だと思うんです。

動物も、人間も、妖怪も(?)、みんなで空を見上げて、生きていることに感謝したり、大切な人たちのために祈ったり、そういう時間を持とうということだと思います。

遠方ゆえ普段は皆さんの企画に上手く乗っかれないこともある私ですが、この企画は世界のどこにいても参加できるのが嬉しいですね。

空見の日 2017

スイスの空っぽさを出したくて、あえて白い山と一緒に撮ってみました。ぽかぽかの小春日和ですけれど、まだ山の上の方には雪があります。

空見の日 2017

こちらは、芽吹いてきた木を写し込んで、「春が近いよ」感を出してみました。新しいカメラではピントがかなり意図通りに合わせられるのですよ。もう少し練習が必要かなあ。

空見の日 2017

田舎なので、空の範囲はとても広いのですが、カメラのファインダーに納めるのは難しいですね。こちらは空の面積を増やしたものなんですが、なんか謎の写真になっているなあ。

ともあれ、今年の空見も楽しく参加させていただきました。皆さんはどんな空を見ているのかなあ。
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Posted by 八少女 夕

新しいオモチャ買った

事情があって、またしてもカメラを買いました。

最初は一眼レフかミラーレス一眼にしようかと思っていたんですが、何かを撮ろうとする度にレンズを取り替えなくてはならないのは煩雑すぎますし、そもそも私の腕でまともな写真が撮れるようになるには相当な時間がかかるので、あきらめました。

それに、シャッターチャンスがあったらすぐに撮れるように常に持ち歩いていないといけないので、カメラと複数のレンズを持ち歩くのはどう考えても実用的ではありません。

とはいえ、これまで愛用していたOLYMPUSのSZ-31MRは、遠くを撮る分にはさほど違いがでないのですが、近くを撮るとどうもいまいち。これはセンサーの違いでどうしようもないようです。SZ-31MRは光学24倍ズームが撮れるという売りがあるのですが、そうなると反対にセンサーはたくさん搭載できないんだそうです。

で、高級コンデジに限定して、いろいろと検討した結果、SONYのDSC-RX100M3というカメラを購入しました。このシリーズでは2017年1月現在、最新モデルM5がでているんですが、値段と良くなった点を比較した結果、私には最新である必要はないと判断して2モデル前のものを買いました。

で、現在は、まだ慣れていないながらいろいろと撮る練習中。

雪山

遠景は、普通に見えますね。「おおっ。このカメラすごい!」という感動はあまりないかも。

オーソブッコ

でも、近くを撮ると全然違う! 練習し甲斐があります。
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Posted by 八少女 夕

あら、おしどりがいる

おしどり

例の通勤路にある「カモのお池」にニューフェースが登場しました。ご覧の通り、おしどりなんですよ。この辺には野生では、いません。当然ながら。どこかから逃げだしてきたのか、それとも近くの農家(カモをクリスマス前後に売っていると疑惑のある……)が新たに購入したんじゃないかと思うんですが。

田舎で他に事件もないのか、地域紙に「珍しい中国鴨がどこからやってきたのか」という取材記事まで……。

いや、偶然飛んでくることはないと思うよ。それに仲良く旅すると言ってもオス二匹じゃおしどりとしては不自然では。

あ、いや、もしかしてそういう「おしどりカップル」なのかしら?
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イタリアから帰ってまいりました

土曜日の夕方、無事にスイスの我が家に戻ってまいりました。

旅行中も変わらずに訪問くださったみなさま、また再び訪問して下っているみなさま、ありがとうございます。通常モードに戻りましたので、またどうぞよろしくお願いします。


今回の旅行は、北イタリアをバイクで廻ってきました。写真もずいぶんと撮ったのですが、どのくらいみなさん興味があるかわからないし、とりあえずこの三点だけ。

Bobbioの大聖堂

特にテーマを決めていったわけではないのですが、宿泊場所を探しているうちにどうもどこへ行っても中世と関連のある場所に泊る事になりました。最初の写真はBobbioというはじめて行った街の大聖堂です。全然知らなかったのですがウンベルト・エーコが「薔薇の名前」を書く時にモデルにしたといわれている街だそうです。1000年以上の伝統のある修道院があります。あ、とくにおどろおどろしくはありませんでしたよ。

Vigolenoのお城

こちらはもう少しピアチェンツァに近いヴィゴレーノという城下町で、ここだけは宿泊予約をしていきました。古城に泊れるのです。しかも、そこら辺の宿と変わらぬお値段、一泊二人の朝食付きで一部屋80ユーロって激安だと思います。

Vigolenoのお城(ホテル)

北イタリアのこのあたりには、石を投げればあたるといいたくなるくらいお城がたくさんあります。でも、見学できるのが週末に限られていたり、車がないと行けなかったり、若干の不便さがあって、だからこそ当時をイメージしやすい雰囲氣が残っているのです。今回は、その中世っぽさを楽しんできました。

この夏はイタリアでも天候がひどかったらしいのですが、たまたま私たちが旅した二週間だけはどこでもいいお天氣でした。曇りの日もありましたが、雨に降られてずぶ濡れということは皆無のラッキーな日々でした。

また、もう少ししたら、別の写真をご紹介しますね。
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Posted by 八少女 夕

お願いしてみた

明日から来週の水曜日まで二日ごとに小説の連続更新になります。明日が「森の詩 Cantum Silvae - 貴婦人の十字架」、そして44444Hit記念が二本続き、来週の水曜日はStella用の「Infante 323 黄金の枷」です。小説に興味のない訪問者の方には恐縮ですが、次の小説以外の記事は来週の土曜日になります。ご了承くださいませ。

犬

この間、イタリア側(スイス)に行ったんですよ。で、別に珍しくもないんですが放し飼いになっている羊たちがいて、のどかな風景だったのでカメラを向けました。

そうしたら番犬が飛んできました。そして私に吠えまくり。いや、そういう役目だから、それが正しいんですけれどね。

でも、ちょっと写真を撮りたいだけだったので「写真だけ撮らせてくれませんか」と頼んでみました。そうしたら、自分がポーズ撮ってくれました。あ、羊を……と思ったけれど、その間に羊は向こうへ行ってしまいました。

ま、いいんですけれどね。しかも、この犬、なんか「にやっ」て笑っているんですけれど。
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Posted by 八少女 夕

五月甲虫の話

今日もまたこの季節らしい写真を少し。スイスに来て大好きになった花の二番目、リラです。とてもいい香りなんですよ。

リラの花咲く頃〜

さて、今日はMaikäferの話。Maikäferというのは直訳すると「五月の甲虫」です。その名前の通り、五月(四月の終わりから五月)になるとこの虫ががぶんぶん飛ぶんです。毎年なんですが、四年に一度、大発生の年があるのです。今年はその年なんですね。

Maikäfer

この虫、三年くらいは幼虫として土の中で暮らし、それから最期の年に成虫となって外界に出てきます。そしてまた子孫を作って死んでいきます。作物を食べ荒らすので庭を持っている人には毛嫌いされていますが、春がきて暖かくなってすぐに表れるので、私は「ああ、季節になったか〜」と思うんですよね。

バイクに乗られる方はご注意。これあたるとものすごく痛いです。連れ合いは以前サングラスにあたられて、ヒビ入ったと言っていました。危険! これがまた、本当にいっぱいいるんですよ。その死にっぷりもすごい。朝、道を歩くと、主に街灯の周りに、いっぱい横たわっています。氣がつかないと一歩で数匹踏んでしまうくらいなのです。
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Posted by 八少女 夕

花づくし

みなさんのブログで、面白い題材がいっぱいあって、自由に作品を書いていいとお許しをいただいて飛びつきたい所なのですが。実は、息切れしています。今年に入ってから「scriviamo! 2014」とキリ番記念で、通常の執筆とは別に合計20作品書きましたし、「十二ヶ月の野菜」「森の詩 Cantum Silvae - 貴婦人の十字架」それに旅行中に思いついた新作と頭は分裂中。それに「大道芸人たち」が時々頭の片隅でごちゃごちゃ動いているし。でも、参加したいよう……。いつもより時間がかかるかもしれません。そんなことはさておき、ブログの方でも小説が続くので、ちょっと息抜き記事を書いてみる事にしました。

ブログでは桜が花盛りでとても綺麗ですよね。スイスでもベルンにはソメイヨシノがあるという事で、日本とほぼ同じ頃に満開になっていたようですが、私の周りにはありません。

桜

私の大家さんの桜も咲きました。葉桜で、ソメイヨシノの華やかさには欠けるのですが、ソメイヨシノにはない利点もあります。すなわちサクランボができることです。山形の宝石のように艶やかで大きくて甘いサクランボとは違いますが、なかなかの美味。ラム酒に漬けたり、シロップ漬けにしたり、タルトにしたり、夏から冬まで楽しんでいます。

下の写真はやはり同じ敷地内にある梨。洋梨がなります。もともと日本の梨の方が好きで洋梨はまったく食べなかったのですが、生で食べるのではなく、バターで炒めてクルトンと一緒にサラダに混ぜ、バルサミコ酢のドレッシングで食べるととても美味しいのです。

花としての梨は可憐で美しいですよね。
梨

ヨーロッパの樹の花の特徴は、「死体なんか埋まっているわけないだろう」という、あっけらかんとした美しさです。ええ、埋まっていませんとも。牛がその下で草を食べて、排泄ししっかりと肥やしてくれるような所に、幽玄な幽霊がぼんやりと立てるだろうか、いや立てまい、というイメージなのですよ。あ、これは私の印象ですけれどね。

「ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ」なんて風流に花を楽しむ人はほとんどいません。私の知り合いのお母さんは、流行の日本の桜を植えて数年間は花を楽しんだらしいのですが、花びらが散ってそれを掃除するのが苦痛だと言って切り倒してしまいました。そう、散った花びらとは綺麗に掃いて捨てるものらしいのです。「もののあはれ」のかけらもありません。

椿

その分、花に対するタブーもあまりないようです。これはイタリア語圏に行った時に知り合いが私のために庭木から切って贈ってくださった椿の花束。日本だと「椿は花がぽとりと落ちるから」「紫陽花は移り氣の象徴だから」といろいろと差し上げるのを考えてしまう花がありますが、こちらでは「綺麗だろう! 君にぜひ贈らせて」と満面の笑顔でくださるのです。ちょっとした幸せを感じた瞬間でした。
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Posted by 八少女 夕

神宮の話

11月に日本に行ったときの話、時系列は前後しますが、今回は新年にふさわしくお伊勢さんの話などを。

伊勢 外宮にて

実はですね。2010年に「樋水龍神縁起」本編の構想を始めるまで、私は神道や神社のことをほとんどわかっていませんでした。今でもわかっているわけではないのですが、当時よりはマシです。そして、「お勉強しながらの執筆」を通して、神社庁というものが存在し、日本の神社のヒエラルヒーのトップが伊勢にある神宮だということをようやく知ったのです。あ、「どんな教育をした親なんだ」と思われる方もおありでしょうから言い訳をさせていただきますと、我が家はカトリックなのですよ。

そして、そのヒエラルヒーがあるにも関わらず、どうもなんとなく完全には従っていない感じ、ご神体も別方向を向いているし、旧暦十月には日本中の神様を集めて会議なんかしちゃっている出雲大社に惚れ込んでしまって、出雲の話を勝手に書かせていただいたわけなのですが、それでも「トップは神宮なんだ」というのは頭の片隅にあったわけです。

で、「出雲はいずれまた行きたい」という想いはずっとあったものの、まだ一度も参拝したこともないくせに伊勢に行こうという発想は去年の夏ぐらいまで全くなかったのです。

どうして突然行く氣になったか、それはブログのお友だち、ゆささんの参拝の記事を読んだからなんですよね。

出雲の式年遷宮が終わったのは知っていましたが、伊勢の神宮も2013年だとはそれまで知りませんでした。日本にいたら知らないわけはないでしょうが、こっちにいたらそのニュースはほとんど入ってきませんから。そして、ゆささんの記事を読んで、「へえ、お伊勢さんってそうなっているんだ」と興味がムクムク。それで、母に「日本に行くときの旅行だけれど、出雲また行きたいと思っていたけれど、伊勢も式年遷宮なんだって?」と話したら「もうパンフレット集めちゃった」とすっかり乗り氣でおりました。それで、両方を参拝というかなり強引な旅行になったのです。

十月に30℃を記録したという日本、私が帰国した時にはもう涼しくなっていたとは言え、まだ十分に暖かかったのですが、この私が国内旅行を始めた日から急に氣温が下がり、しかも予想では毎日雨でした。でも、実際にひどく降られたのはこの伊勢参拝の日だけでした。

本来ならばこの日だけは晴れて欲しいと思うものでしょうが、実は私にとってはこの日雨だったのはラッキーだったようです。というのは私は人ごみが苦手。日本にいた時もそうでしたが、スイスの田舎暮らしでさらに拍車がかかって、ディズニーランドのような人ごみは耐えられないのです。でも、式年遷宮で秋の金曜日ともなるとどうやっても人が多くなるに決まっているではないですか。この日ももちろんたくさんの参拝客がいてバスもたくさんいたのですが、それでも他の日より少なかったみたいなのです。

そして、はじめての神宮参拝。

何度もこのブログで書いていますが、私には霊感のようなものはまったくありません。でも、空氣が違うんですよ。清浄という以外、適切な表現がみつからないのですが、天照大神のおわすという正宮だけでなくて、鳥居を入ったその境内そのものにぴーんと張りつめた清らかさを感じるのです。森のようになっている、たくさんの古木の一本一本から凊やかな氣が満ちてくるような。これは出雲大社の境内でも感じることですが、でも、ちょっと違うイメージもあります。伊勢の方が厳格な印象がありました。

ゆささんの記事や、母の用意しておいてくれたパンフレットでにわか勉強したので、まずは外宮、それから内宮と参拝しました。式年遷宮が終わったばかりなので、あたらしい宮とそれまでの宮が並んでいて、ああ、こうやって遷宮するんだと感心しつつ、メインのお宮を回っていきました。一日だけだったので、全部はとても無理です。125社もあるというのですから。

と、いいつつも、参拝が終わった後にはちゃっかりおはらい町とおかげ横町に行ってショッピングとグルメを楽しんでしまいました。え、いや、ここがメインだったなんてことは……決して……。

ええ、美味しかったし、楽しかったです。その話は、またいずれ。
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Posted by 八少女 夕

いつか住むなら

日本に行ったときの話をちょっと続けます。

目玉の親父?

松江で夕食を食べることになった時に、真っ先に思い浮かんだのがTOM-Fさんおすすめの「皆美館」でした。で、私にしては首尾よく、ばっちり予約もして、食べにいったのですよ。おすすめだったから味は間違いないだろうとは思ったものの、ほら、有名店で急がし過ぎてサービスがいまいちなんて事もあるので、どうかなと思っていったのです。私一人じゃなくて母も連れていたので。でも、それも杞憂でした。とっても美味しかっただけでなく、ゆったりと丁寧に接客もしていただいて、母には今回の旅で一番よかったと思ってもらえたようです。

で、この写真は、その「皆美館」に置いてあったランプなんですが。「目玉のおやじ」だあ、とへらへら喜びました。でも、あとで「ゲゲゲの鬼太郎」で有名な境港は島根じゃなくて鳥取じゃない! と心の中でつっこんでしまったのですよ。

島根県って、かの出雲大社があるにも関わらず「マイナーな県だし」の自虐ムードがあるんですよ。特に「鷹の爪団の吉田君」というキャラを起用して、その自虐をアピールに使っているので、余計そのイメージが強いんですが、「鳥取だか、島根だか、その辺に行ってきました」の土産物があったり、「砂丘はありません」と訴えたり、「鳥取じゃないもん」アピールもけっこうあるのです。で、「樋水龍神縁起」つながりで勝手に島根びいきになっているせいもあって、私自身が「鳥取じゃないもん」に敏感になってしまっているらしく、上のランプをみて「松江の有名料亭が目玉のおやじをアピールしてどうする!」と反応してしまったというわけです。

そんなこんなで、私の島根びいきは、年々しょうもないことになりつつあります。実は、もしスイスライフを終了して日本に帰国することになったら、東京には帰りたくないと思っていて、ずっと「もしもの時に住みたい所」の候補が北海道だったのですが(土地が広くて、家の作りがしっかりして冬に暖かい上、ゴ○ブリがいないところがスイスに酷似して住みやすそう)、なんだか島根県に住みたいなあとまで思い出している始末。

どうでしょうかねぇ。そうなったとしたら受け入れてくれるでしょうかねぇ。
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Posted by 八少女 夕

絲原記念館のこと

日本に帰ったときの旅行の話を。「出雲と伊勢の参拝はどうしたんだ」という声が聞こえてきそうですが、こっちを放っておくと完全に季節外れになると思ったので、まずこの話題から。

絲原記念館

絲原記念館というのは、奥出雲にあります。江戸時代にたたら(「もののけ姫」でおなじみの製鉄ですね)で財を成した絲原家の邸宅を博物館として開放したものです。たたらに関する陳列の他、松江藩との関わりの深い絲原家の美術工芸品が展示されていて、それだけでも見応えがありますが、紅葉の名所でもあるのです。じつは、敷地の一部には現在も絲原家の方がお住まいになっているとのことでした。こんなところに住めるのはいいなあと思いながら素晴らしいお庭を眺めてきましたよ。

紅葉

奥出雲は「樋水龍神縁起」のモデルにした所なので、私にはものすごく重要なのです。そういう思い入れのない方でも、もし島根に行く事があったらぜひ奥出雲を訪れて見てください。美しい牧歌的な光景、意外と知られていないグルメの数々、それに温泉、さらにとても重要なのですが、観光客に荒らされていない静かな感じが素晴らしいのです。

実は、この斐伊川(樋水川のモデルですよ〜)沿いには木次線というマイナーなJR線が通っているので、車でない方でも訪れる事が出来るのです。ただし、一日四便しかないので、乗る方はよくスケジュールをお確かめくださいね。

さて、肝心の絲原記念館ですが、たたらの説明のコーナーは、体験コーナーがあったり、とてもわかりやすく興味深い説明されていました。撮影禁止だったので写真はありません。ここで長々と説明するのはなんなので、そのうちに小説に取り入れてご紹介しようと思います。(いつだ?)

そして、お庭。とても広くて、本当に美しかったです。しかも、紅葉の季節だというのに独り占めですよ。今年は霜が降りなくてあまり紅くならなかったと、地元の方が残念そうにおっしゃっていましたが、私には十分きれいな紅葉でした。四季折々に素晴らしい花の観られる庭園らしいので、春から秋まで楽しめるようです。

紅葉
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Posted by 八少女 夕

なぜカメラ目線?

お願いコーナー:ブログのお友だちの皆様へ

お知恵をお借りしたいのです。来月の帰国で、一晩だけ岡山に泊るのですよ。夜ついて翌朝発ってしまうのですが。で、岡山駅のすぐ側で晩ご飯を食べようと思っているのです。「これだけは食べておけ!」というアドバイスがありますでしょうか? もし何かおすすめがありましたら、コメント欄で教えていただけるととても嬉しいです。

この下からが、本日の本文です。


会社の昼休みに、外を散歩しているのです。そして、ここ数週間で奇妙な事が。

カメラ目線の猫1 カメラ目線の猫2 カメラ目線の猫3

猫と遭遇するのはそんなに珍しくないんですけれど、ふつう猫って知らない人が近づいたらそっと去るじゃないですか。ところが、どうもここしばらく遭う猫はわざわざポーズ作って待っているのですよ。

いや、そんなのただの思い過ごしだと思うでしょう? 私もそう思ったんですけれどね。でも、写真を撮り終わるのを待って、おもむろに去るんですよ。しかも、どいつもこいつも。

いったい何があったんだろう。これってウゾさんのいうNNN?
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Posted by 八少女 夕

中秋の名月

中秋の名月

19日は中秋の名月でした。満月で、しかもここ半月で珍しく夜に雲がかかっていない絶好のお月見日和でしたよ。スイスの人はお月見はしないし、中秋の名月だのウサギだのといっても通じません。だから何も言わずに一人でひっそりとお月見です。

で、写真にも撮ってみたのですよ。深夜と、それから翌朝西に沈む直前に。そう、愛機OLYMPUS SZ-31MRですよ。このブログでも何度か紹介して一人で感激しているんですけれど、この写真、ズームの手持ちで撮ったんです。「手持ち夜景モード」の威力を実感しました。ポケットに入るコンデジの手持ちでこんな写真が撮れるとは。あ、言っておきますがOLYMPUSからは一銭もいただいていません。検索で時々、いらっしゃる方がいるんですけれど、私はこの会社の関係者ではありません。他のカメラと比較してどうという事はできませんが、このカメラは今まで買った全てのデジカメで一番満足していますよ。

下の写真は、お供え用の月見団子ならぬ月見ホワイトチョコです。
月見ホワイトチョコ

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Posted by 八少女 夕

遅れてきた子

カモの親子

先日、大量のマガモの雛がいるという話題をこのブログに書きましたが、マガモって成長が異様に速いんですね。もう大人と同じようなサイズになってしまいました。

で、ここ数日注目しているのが、この子。

何故か一羽だけ遅れて孵ったらしく、ひとりミニ。親も心配していつも引っ付いています。その姿がかわいい。
一ヶ月もすれば、他と見分けがつかなくなるでしょうが、今はすぐにわかります。ウルトラ可愛い。
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Posted by 八少女 夕

豪華な建物の話

エジプトのピラミッドを建てる時に、奴隷をこき使っていたという絵柄は定番なのですが、最近の研究ではあれは一種の公共事業だったと、つまり農作業のない乾季にあの労働をすることで収入を得ていたと聞いたことがあります。そんな昔のことはさておき、ヨーロッパにおける豪奢な聖堂や宮殿を見る度に「貧しい人たちから搾り取った金で建てた」という人たちがいて、その時に私はいつも上のエジプトの話を思い浮かべるのです。

ドレスデンにて

ヨーロッパの宮殿や聖堂はこれでもかというくらい豪華に飾られています。大理石、漆喰、絵画、壁画、金箔、時には宝石なども使って。確かに貧しい人たちの労働から吸い上げた一部の権力者が命じて作らせたものです。そんなものは必要なかったと言われればそれまでです。

でも、共産党時代の東欧でつくられた灰色で装飾も何もなく、さらに悪戯書きされて朽ちる一方の建物を目にする時、建てた大工たち、働いた人たちは嬉々として働けたのかなと思ってしまうのですよ。

以前ロシアのエカテリーナ宮殿の琥珀の間で働く職人たちに焦点を当てたドキュメンタリーを見た事があるのですが、琥珀のエキスパートとして働く彼らの顔は誇りに満ちていたんですよね。

偉大なドームや見事な彫刻、美しい絵画、それに外側で風雨を受けるガーゴイルなども含めて、私は神や王家の偉大さにはまったく感銘を受けず、常にそれを作った一人一人の職人たちに想いを馳せます。鑿を一つひとつ当てながら自分の仕事に誇りを持って作っていった名もなき人たち。(有名な人もたくさんいますけれど)

写真はドレスデンの聖母教会です。爆撃で壊滅的被害を受けたこの教会は世界中の寄付で再び元の姿を取り戻しました。寄付した中には爆撃を命じた英女王の名前もありました。どんなに長い時間をかけて多くの人が魂を込めて作った建物も、爆弾一つで瞬時に消え失せてしまいます。世界の多くの素晴らしい作品、有名無名の人びとが一生懸命作った貴重な作品は、この瞬間にもたくさん破壊されていっています。

豪華な建物を建てることには、賛否両論があって当然だと思います。でも、有無を言わさずに破壊されてしまうのは、魂を込めた先人に対してとても失礼で悲しいことだと思うのです。
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Posted by 八少女 夕

夏の空

ウィーンにて

まだ、日本の夏が地獄のように暑くはなかった頃、私は夏の空をぼーっと眺めるのが好きでした。入道雲、どこからともなく聞こえる風鈴、うるさいくらいの蝉時雨。

夏休み、学校に行かなくていいのは嬉しかったですが、宿題が嫌いでした。案の定ちゃんと計画的にはやっていなくて、甲子園がはじまると「どうしよう」と強迫観念に駆られ、それでも八月の終わりまできちんと終わらず、絵日記も全く書いていなくて……。だから大人になってからも甲子園の高校野球が嫌いでした。(球児は悪くありません。宿題をやっていない私が悪いんです)

今でも夏は大好きで、しかも日本と較べてとても過ごしやすい素晴らしい夏ですが、光景はずいぶんと違っています。もっと穏やかな感じです。確かに陽射しは強烈だし、オゾンホールも大きいらしく紫外線も強いのですが、あの夏のやかましさがなくて、蝉の代わりに秋の虫が鳴いていたりします。甲子園とも関係ないので、夏の終わりに強迫観念に駆られることもありません。夜は涼しくてよく眠れるし。

そんな平和な夏を楽しみつつ、心のどこかでは、あの夏の日を探している私がいます。タンクトップと短パンでも蒸し暑い夏、入道雲、朝の涼しいうちに宿題をやらなかった後ろめたさ。遠い夏の日の想い出です。
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Posted by 八少女 夕

アントネッラの眺める光景

「アントネッラって誰?」な皆様、どうぞご心配なく。私の小説「夜のサーカス」の登場人物ですが、この記事を読むのにわざわざ探して読むほどのことはありませんので。

コモ湖にて

つい先日、連れ合いのバイクの後ろに座って行ってきました。コモ湖です。12時に家を出て、ぐるっと回って帰宅したのは夜八時。八時間でまわる海外旅行でございます。

途中で越えたのはアルプスと、そして国境。そしてその向こうにはイタリア語とピッツァとそれからこの夏らしい明るい世界が待っていました。

で、私は「夜のサーカス」でアントネッラとイル・ロスポが会話している光景だの、サーカスの連中がここを訪れるときのことなどをいろいろと構想しながら時間を過ごしました。
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Posted by 八少女 夕

リアルな国防

「美しいスイス」カテゴリーとはちょっと違うかな。「写真」カテゴリーにしました。

要塞博物館

これは我が家のわりと近くにある要塞博物館で撮った写真です。1995年まで現役で使われて、トップシークレットだったこの秘密要塞も役目を終えたので公開されています。山の中に設置されたこの要塞には二つの大砲があり、20km先の二つの峠を攻撃する事が可能です。実際に演習をする様子の映画も流されていたのですが、本当にぶっ放しています。誤差は20mだそうです。もし、峠で食い止められる事が出来なかったら、今度はここでマシンガンで戦闘を行うと想定して、日々訓練をしていたそうです。三交代で90人が24時間態勢で詰めていたと言います。(今も別の場所で訓練しているはずです。もちろん極秘)

この要塞が作られたのは第二次世界大戦のはじまる頃、ドイツによるポーランドの侵攻が契機だったそうです。他の要塞はともかく、ここの仮想敵はムッソリーニのイタリアですね。攻めて来たらぶっ放す。そのための訓練を未だにやっているというのが印象強かったです。

スイスと言うと、ヨーデルを歌いながらブランコに乗っている平和な中立の国との印象が強いのですが、実際には常に外敵に独立を脅かされてきたため、国防にかける熱意と予算が半端ではありません。

もちろん、大砲や戦車、それに爆撃機など使わずに話し合いで平和に紛争を解決できればそれが一番です。私は、日本も同じように徴兵制をとって武装しろと言いたいのではありません。単純に、海のない強国に取り囲まれた小さな国、それもどの国も喉から手が出るほど欲しいいくつもの峠を持った国が、現在に至るまで独立を守っているその背景には、理想よりも現実を直視した国防が大きな役割を果たしているのだという事を実感したという話です。

これらはおもちゃではありません。スイスが国防にかけている予算は大変なものです。人材もどこかから湧いて出るわけではありません。訓練にかける時間、それに対する国民の理解、すべてが日本の感覚とは全く違います。これを自分が、もしくは自分のボーイフレンドや夫がやっているということが、国防を自分の事と受け止めて行動する国民の考え方にもつながっています。
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Posted by 八少女 夕

見た事ないのかも

「美しいスイス」カテゴリーにするのは問題があるし、かといって新しいカテゴリーは増やしたくないし。結局「写真」カテゴリーにしてしまった。

象? らしい……

木と紙で出来ている日本の家屋は、よほどの事がないと何百年も残りません。で、残るのは重要文化財や国宝になるような素晴らしい建物ですが、スイスの場合は石なのでそこらへんのどうでもいい田舎の建物でも1500年代なんてことがあるのです。

で、中には壁画が残っているものもあったりするのです。動物がなかなかすごい事になっています。今のように寝転がったままテレビで南極や深海の生きものまでも見る事の出来る時代ではありません。動物園もなかった時代。伝聞や誰かの絵画の模写で知ったのでしょうね。

優しい目をした草食獣である象が、世にも恐ろしい猛獣のごとく描かれています。でも、よく見ると鼻が縦ロールのようにねじれていて笑える……。隣はカバでしょうか。

日本でもシルクロードを通して伝わった獅子の像が、すごい事になっていますよね。狛犬ももともとは獅子だったのでしょうか。
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Posted by 八少女 夕

日本に憧れる外国人の住まい

今日は、なんとなくの雑記です。カテゴリーも困りました。「思う事」なのか「構想・テーマ」なのか。で、迷ったあげくに「写真」。いいのか、それで。

小泉八雲記念館にて

海外に住んでいる日本人という立ち位置から、私はたぶん平均的日本人よりも外国人と接する機会が多いです。そして、異文化交流という視点が自分の中で常に流れるテーマになってしまっていて、作品の中にも良く登場する事になります。

で、外国人にとっての日本なんですが。日本人にとって日本は生活の場であり、歴史は歴史、文化も文化、それと別にまず生活があるという立場に立たれる方が多いのではないでしょうか。それと比較すると日本の事を好きな(もしくは好きでもないけれど関わらざるを得ない)外国人にとっては日本は特別な場所で、だからどこでどんな風に暮らすかがとても大きなテーマになっていると思うのですよ。

わかりやすくするために逆のパターンで話をしましょう。平均的日本人であるAさんが例えばモロッコに住む事にしました。Aさんにとっては映画「カサブランカ」のイメージこそが正しいモロッコです。だからエキゾティックな迷路のごとき旧市街のなかの植民地時代から変わらないオリエンタルな住まいで、オリエンタルな調度に囲まれて暮らしたいと、自宅に車を停められないような部屋を借りるなんてこともあるでしょう。

日本好きの外国人にもいろいろなパターンがあるのですが、大別すると「日本の伝統文化大好き」と「アニメやマンガ大好き」に別れると思います。もちろんこれ以外の人たちもいますが、あまり細かく話しても意味ないし。

で、「日本の伝統文化大好き」の外国人は、頑張って伝統的家屋に住んじゃったりするわけです。日本人だったら「お風呂が自動給水できて、クーラー完備で、床暖房があって、コンビに近くて、宅配便ポストあり」な住まいの方が便利だと思うでしょうが、「檜のお風呂につかり、浴衣姿となり畳の部屋から庭を眺めて、鉄瓶で湧かしたお湯でお茶を飲む」生活を夢みたりしているわけです。

で、そういう方々は東京よりは地方を好む傾向もあります。「アニメ・マンガ・日本のサブカル大好き」外国人は都会を好むのと対照的で。地方の方が伝統的な日本の美がたくさん残っていますから。

私の書いている小説では、先日登場させた和菓子職人ルドヴィコというイタリア人がこのパターンです。どこに住んでいるのかははっきりとは書きませんでしたが、ココうささんにしっかり見破られてしまったようにイメージは松江です。松江にある小泉八雲記念館(上の写真)は、彼が住んでいた家屋をそのまま公開しているのですが、私の中ではルドヴィコはこういう家に住んでいます。プラスチックはこういうインテリアと彼の美意識に合わないので一切使わないという偏屈ものです。

別に外国人でなくても、日本の古来の建築様式や暮らし方をしっかり守られている方もいられるでしょうが、実は私の周りにはいなくてイメージがつかみにくいのです。というわけでこの手のテーマには「日本大好きガイジン」に出没してもらっています。
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Posted by 八少女 夕

虎視眈々と

「美味しい話」カテゴリーにしようか迷ったのですが、いちおう「写真」にしました。まだ食べられないし。

苺の花

一昨年だったでしょうか。元同僚が苺の苗を一つくださったのですよ。しかもスイスの平均的なまずいいちごと違って、かなりおいしい苺がなるのです。まあ、年に苺が二つ三つ食べられる、ちょっとしたお楽しみだったのです。それを去年の夏に連れ合いがかなり大きめのプランターに植えたところ、土の栄養価がよかったのか、ものすごい勢いで増えました。それが今年はほぼ全て花を付けだしたのです。

一つの苗に四つか五つの花が咲いていますので、順調に行けば50個近いいちごを食べられる事になりそうです。しかし、狙っているのは私と連れ合いだけではありません。

ここのところ雨が多くて、ものすごい勢いでカタツムリとナメクジが増えているのですが、奴らも苺を狙っています。私と連れ合いは厳しく監視の眼を光らせていますが、さてさて、この戦い、どうなることやら。
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Posted by 八少女 夕

光を撮りたい

日常の中でカメラを向けたくなるのは、光の織りなす特別な光景である場合が多いのです。でも、実際に出来上がった写真はそこまで印象的でないことも。

林檎いとしや 遠雷の光景

この二枚はどちらも愛機OLYMPUS SZ-31MRで撮影したものなんですが、本人としては70点。林檎の花の方は、実際には花にもっと明るい光が当たって透き通っているようでしたし、リラの方は、バックがもっと暗い曇り空なのにリラと木に光が当たってとても印象的だったのです。もちろん、以前のカメラだったら、もっと平坦な写真だったことでしょう。iPhoneのカメラでもここまで光は映らないので、カメラに文句を言うつもりはありません。やっぱり私の技術がいまいちなんでしょう。

写真は一瞬の美を簡単にとどめることの出来ます。偶然、自分が思っている以上の傑作が撮れることもあります。それでも、もう少し何とかならないかなあと思ってしまう私なのです。あ、一眼レフやフィルムでプロっぽく撮る選択肢は消しました。さすがにそこまで走ると大変なことになるので。コンデジの範囲で頑張ります。
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Posted by 八少女 夕

宵のひと時

三日月の宵

田舎暮らしも十数年。この静かな環境に馴染んだなあと思います。

私は東京育ちで、都会も大丈夫なタイプです。多少車がうるさくても眠れるし、たぶん東京に戻ることになっても狭い空間に簡単に馴染むだろうと思います。それでも、今いるこの村で見つける日常のふとした美しさには、毎回感動し、ここにいられることを心から喜んでいるのです。

これは、先週、台所の窓から撮った宵の光景。三日月と宵の明星、それに空の色。静かで心洗われる時間でした。ぶれないように写真が撮れてよかった。
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Posted by 八少女 夕

ストーリーを感じる瞬間

タイトルからすると、小説の構想のことかと思われるでしょうが、そうではなくて写真の話です。

飛びたいの?

カメラを構える時、その対象は人によって違うと思うのですよ。私の場合、一番最初は、スナップ写真を撮ることでした。修学旅行などで行った場所と、その名所の前でピースをしている同級生などを撮っていたわけです。

アフリカに行って、プロの写真家の方や、学生時代に写真部に属していたという友人の撮り方を知って、それからは単純にシャッターを押すだけではなくて、何をファインダーに収めたいのかを考えるようになりました。必然的に動かない植物や建築物の写真が多くなりました。停まっていてくれる親切な動物がいれば、それも撮ります。

それから、連れ合いの写真の撮り方を知ってから、また少し変わりました。彼は誰かに習ったことはないのですが、構図の決め方、どこをどう切り取ると印象的になるかについて天性的な勘を持っているんですよ。彼ならこう撮るだろうなと意識してファインダーをのぞくようにしたら、また違った写真の撮り方になってきたようです。

私自身は写真に撮られるのがあまり好きではありません。友人のスナップ写真にもあまり興味がなくて、帰ってくると写っている人物は連れ合いと知らない人ばかりになりました。

そう、知らない人の写真を撮るようになったのですよ。ふとした横顔や、恋人たちの語らいや、ウェイターの笑顔など、物語を感じる瞬間を切り取りたくなったのです。
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Posted by 八少女 夕

潮風を感じて

だんだんと二万Hitが近づいております。前後賞もありでリクエストを受け付けますので、どうぞお申し出くださいませ。



スイスには海がないので、海を見ると必要以上に騒いでしまう私です。
これは大西洋。
まあ、太平洋も地中海もあまり変わらないと思いますが。
ポルトでは、タコが美味しいです(^-^)/
今日は去年教えてもらったお店に再び行ってきました。お腹いっぱいで死にそう…
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Posted by 八少女 夕

晴れました



初日が雨で、今日も雨のはずだったのですが、晴れてくれました。
去年も行った橋の上からポートワインの工場を眺めます。
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