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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

「好きな野菜は何ですか?」

ほうれん草と茄子ですね。

ほうれん草は、バター炒めにするのが大好き。体に悪いんじゃないかと思う位たくさんバターを入れて、塩とこしょうだけで味付けするんです。

茄子は少し甘辛のみそ炒めにするか、それとも油で炒めてから出汁醤油と砂糖と鷹の爪で煮たものがお氣に入りです。美味しいですよ。

こんにちは!トラックバックテーマ担当の新村です今日のテーマは「好きな野菜は何ですか?」です私はずばり、ほうれん草が大好きです!!ほうれん草ってクリームソースにも合うし、炒めても美味しいですおひたしとかも大好きですね(*´∇`)昔嫌いだったピーマンも今は大好きです!!あの苦味がたまらないです嫌いな野菜もいろいろあると思いますが、今回は皆さんの好きな野菜を教えてくださいまた変わった美味しい野菜などもあ...
トラックバックテーマ 第1403回「好きな野菜は何ですか?」

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Posted by 八少女 夕

『SEASONS-plus-』2012 春号 予約開始!

『SEASONS-plus-』2012 春号の予約が開始されました。
Seasons plus 2012 Spring

2008年夏に創刊された、詩・短編小説・イラスト・フォトで綴る季刊誌『SEASONS-plus-』。
詩/短編小説/イラスト/フォトで綴る参加無料の商業誌です。
私も今回から参加させていただき、短編小説と写真を投稿しています。

詳しくはこちらをご覧ください。

予約・購入は、こちらからどうぞ。
ポエトリーカフェ武甲書店
太陽書房
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Posted by 八少女 夕

さよならポルト



一週間はあっという間でした。
ポルトにお別れして明日からまた普通の小説のブログに戻ります。
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Posted by 八少女 夕

女子供のドリンク



スペインのティント・デ・ベラーノに匹敵する軽くて美味しいドリンク発見。

白いポートワインとトニックのカクテルです。ポルトの街にいらした方は是非お試し下さい。
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Posted by 八少女 夕

ランキングが壊れた?

サブジャンルで一位ってまさか。
どう考えてもあり得ないアクセス数だから、何かの間違いでしょう。
でも面白いから写真撮っておいた。
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Posted by 八少女 夕

【小説】大道芸人たち (5)ミラノ、鳩の集まる広場

イタリア人って、本当にドイツ人が嫌いでぼったくりをします。イタリア語ができると感じよくなるのも本当です。イタリアに旅行に行く予定のある方は、ちょっとでいいのでイタリア語で挨拶して微笑みかけられるようにするといいですよ。



大道芸人たち Artistas callejeros
(5)ミラノ、鳩の集まる広場


「Artistas callejerosって、いい響きの言葉じゃない?」
蝶子が言った。三人はミラノに向かう列車の中にいた。

蝶子は昨夜リストランテでカルロスにもらった名刺をながめていた。カルロスはスペインに来たら必ず連絡しろと、この名刺をくれたのだ。バルセロナの自宅の住所と携帯の番号まで手書きで加えた。
「私が悪い女で、これを利用したらどうするの?」
そう訊く蝶子にカルロスは首を振っていった。

「これだけ長く事業を続けていると、信用していい人間といけない人間くらいはわかります。それに悪い女に利用されるなら、それも一興です。私も多くのスペイン人同様に悪い女に目がないんでね。マリポーサ。私は教授に負けないくらいあなたに夢中ですよ」

「教授って何だよ」
あとで稔がぼそっとつぶやいた。自分たちにはいわないことを、蝶子があのスペイン人には打ち明けたらしいのが多少腹立たしかった。

蝶子はにやりと笑って稔の言葉を無視し、カルロスの名刺をいじり始めたのだ。

「アルティスタス…?」
レネが面食らって続けた。

「…カリェヘーロス。スペイン語で大道芸人たちっていう意味なんですって」
「Artistas callejerosね。たしかにStreet Artistsより味があるよな」
稔も頷いた。

そして突然言った。
「よし。俺たちのチーム名はそれにしようぜ」
「悪くないですね」
レネも同意した。蝶子はもとよりそのつもりだった。



ドゥオモの近くの安宿にとりあえず入る。ドミトリーの同室には既にひとりのドイツ人がいるということだったが、もう出かけた後らしく姿は見えなかった。

荷物を置くと三人は、簡単な食事をしに外に出かけた。昨夜、カルロスのおごりで心ゆくまで美味しいものを食べたので、しばらくは立ち食いピザでも何でもよかった。

「ねえ、市場があるわよ。あそこで何か新鮮なものを買わない?」
安く済めばなんでもいい稔はもちろん賛成した。レネも市場の賑わいは好きだった。

「値段の交渉はパピヨンがするといいでしょうね」
「どうして?」
「第一にイタリア語ができる。イタリア人は言葉で外国人を階級づけるんですよ。第二にパピヨンの笑顔を前に高い値段で売りつける男はいませんよ」
「なるほどねぇ」

生野菜、チーズ、ハム、パンなど、三人はレネの戦法で上手な買い物を繰り返した。最後は果物屋の屋台だった。先客がオレンジを買っていた。

蝶子は屋台の親父に最高の笑顔をみせて頼んだ。
「私のために一番おいしいオレンジを一キロ選んでくださらないかしら?」
「もちろんです、シニョリーナ。甘くて大きいのをね」

そのオレンジはどう考えても一キロ半以上はあったが、親父はイタリア人用の一キロの値段で売ってくれた。
「まあ、なんてご親切に」
蝶子は親父の頬にキスをしてやった。やり過ぎだよ。稔は思ったが、氣をよくした親父はさらに五つのオレンジとバナナや杏まで袋に押し込んでくれた。

隣の先客がムッとして「Scheiße(くそっ)」と言った。あら、ドイツ人だわ。蝶子は横目でちらっと見た。若い金髪の男だ。彼がオレンジを買ったときの値段を見ていたレネが首を傾げていると、親父はイタリア語でレネにそっと耳打ちした。
「いいんだよ。あれはテデスコだから」
レネはぷっと吹き出した。

あとで、稔がなんで笑ったのか訊いた。
「テデスコってのはイタリア語でドイツ人ってことです。イタリア人は基本的にドイツ人が嫌いなんですよ。親父はあの男はドイツ人だからぼったくってもいいって言ったんですよ」
稔と蝶子は同時に吹き出した。



ドゥオモの近くで食事を済ませた後、蝶子の希望で三人はミラノスカラ座を観に行った。もう縁がなくなったとはいえ、一度来てみたかった所だ。ここで吹く事もなければ、ここに聴きにくる事もないだろう。だが、囚われの身ではなくて自分自身の意志と足でここに来る事が出来た。それがとても重要だった。一緒にいるのは、蝶子を支配する絶対権力者ではなく、自由意志で集まるArtistas callejerosの仲間たち。蝶子はカルロスの言葉を思い出していた。
「記憶の抹消は進んでいるんですか?」

ええ、とても。教授の存在は、少しずつ痛みではなくなってきた。それは遠くなる。稔やレネといるのは、教授を忘れるためではなくなってきている。Artistas callejerosそのものが、蝶子の人生と変わりつつあった。

二階のスカラ座博物館に行くと、先客が一人だけいた。先ほどのドイツ人だった。へえ、意外。スカラ座の歴史なんかに興味があるんだ。実際、稔はともかくレネの方は早くも退屈そうだった。プリマドンナの胸像や舞台衣装などには興味が持てなくてもしかたないかと思う。でも1920年代の「トスカ」のポスターなら興味持てるんじゃないかしら。古楽器のコーナーで蝶子はベーム式のフルートを発見した。そして、小さく笑った。



それから三人は少し働いた。鳩の集まるドゥオモ前の広場にはたくさん観光客がいた。同業者もそれなりにいたが、Artistas callejerosはいつも通りたくさん客を集めた。近くでは全身金色の衣装を着て顔も金色に塗った男が彫像のパントマイムで稼いでいたが、Artistas callejerosのおこぼれでずいぶん得をしていたようだった。三人は面白がってこのパントマイマーにもちょっかいを出した。レネが近寄っていって、派手な身振りでカードを差し出した。

パントマイマーは大げさな身振りで一枚引いた。レネはそのカードを観客たちに見せて、それから華麗にカードを操ってから観客に近づいていき、少女のポケットから同じカードを取り出してみせた。蝶子はフルートを吹きながら、パントマイマーを見た。カードは「恋人」だった。かわいいカードを引くじゃない。私やヤスのと較べて。あら?蝶子は金ぴかに塗られたその顔をよく見た。さっきのテデスコじゃない。同業者だったのね。

日が暮れて観客たちがいなくなったので、稔は撤収を宣言した。ドイツ人も同時に仕事を終えて三人に英語で礼をいった。
「こんなに実入りがよかったことはない。助かったよ」
「事前に申し合わせている場合は、折半するんだけどさ。今日は、俺たちがちょっかい出しただけだから」

「ねぇ、ブラン・ベック。あなた、わざとあのカードを引かせたの?」
「いや、そのテデスコが自分で引いたんですよ」
「あれって、どういう意味なの?」
「たいていはそのまんまです。愛の始まりとか、恋愛とか。でも、直感による選択をすべしって解釈もありますけどね」

「ただのカードじゃないか」
ドイツ人は無表情に言った。蝶子はドイツ語で訊いた。
「その手の事は絶対信じないってタイプ?」
「信じる必要がどこにある」
絵に描いたような理詰めドイツ人だわ、と蝶子は思った。くわばらくわばら。

「あんた、以前バイエルンにいたのか?」
ドイツ人は訊いた。蝶子はびっくりした。
「私の言葉、バイエルンなまりがあるのかしら?」
「ああ。東洋人がイタリアで俺の地元みたいな言葉を遣うのは妙だな」

「どこから来たの?」
「俺はアウグスブルグの出身なんだ」
「これからどうするの?」
「宿に帰るよ。すぐそこの安宿だ」
「あら、私たちと一緒じゃない。もしかして、同室のドイツ人って…」

その通りだった。それで、部屋に戻って四人は改めて自己紹介をした。
「俺は稔だけれど、ヤスって呼ばれている」
「僕はレネだ」
「よろしく。俺はヴィルフリード。長いからヴィルでいい」
「私は蝶子」

ヴィルは不思議そうに蝶子を見た。稔が付け加えた。
「マダム・バタフライだよ」
「日本には多い名前なのか?」
「まさか。あんたが一ヶ月以内にもうひとりの蝶子をみつけられたら、一年分のビールをおごってやるよ」
蝶子は笑った。金の亡者が大きく出たわね。
「そうか」

稔は、水を買い忘れたといって再び外に行った。蝶子は、シャワーに行ってくると言って立ち上がった。ヴィルは少し迷ってから部屋から出て行こうとする蝶子に言った。
「あんた、左手、怪我しているのか?」

蝶子は驚いた。レネはヴィルが何を言っているのかまったくわからなかった。
「よくわかったわね。いいえ、怪我はしていないわ。でも、先日からフルートの調子がいまいちなの。ほんのちょっとだから、ヤス以外にわかるとは思わなかったわ」

「何か挟まっているのかもしれないな」
ヴィルが乏しい表情で言った。レネは親切心を喚起されていった。
「シャワーに行っている間に、僕が見ておいてあげましょうか?」

蝶子は、少し考えてから、フルートをレネに渡して、こういいながら出て行った。
「ありがとう。わからなかったら、あとで自分で見るから、そのままでいいわよ」

フルートというのは、ずいぶんたくさんボタンがある楽器だな。レネはひっくり返してあちこち覗いた。上のベッドの上に転がって、しばらく黙って見ていたヴィルは、身を乗り出してきてたった一つのキーを指差した。

「ここ?」
レネはヴィルを見て不思議そうな顔をした。ヴィルは黙って頷いた。レネがそのキーの下を丁寧に見ると、確かにうっすらと白くなっている。ああ、塩だ。レネは納得が入った。コルシカフェリーの上で吹いた時に付いた海水が乾いて結晶化したに違いない。レネが丁寧に柔らかい布でその部分を拭いているところに、蝶子が戻って来た。

「パピヨン。ここに塩の結晶が挟まっていたよ」
蝶子は少し驚いた。自分でも左手の薬指のところだと思っていたが、まさかレネがこんなに早く場所を特定できるとは夢にも思っていなかったのだ。

「ブラン・ベックなんて呼ぶのは失礼な有能ぶりじゃないか」
ヴィルがそういったので蝶子は素直に頷いた。フルートを構え、少し吹いてみる。本当に直っていた。

「本当にそうね。見直したわ。ありがとう」
そう誉められてしまい、レネはそれはヴィルに教えてもらったのだとは言えなくなってしまった。もし、その場で言っていたら、蝶子にはすぐにわかったはずだった。ヴィルがフルートに精通しているという事が。しかし、レネはフルートにまったく精通していなかったので、ヴィルのしたことが特別だとわからなかったのだ。

「パピヨンか」
ヴィルが小さな声で言った。レネは笑って言った。

「コルタドさんはスペイン語でマリポーサって呼んでいましたよね。ドイツ語では蝶はなんていうんでしたっけ」

「シュメッタリング」
ヴィルは蝶子を青い目で見据えてそういった。蝶子は戦慄した。教授はいつも蝶子をそう呼んだ。息苦しくなるほどの痛みが走る。ヴィルは蝶子の反応を見て取った。
「あんたが嫌なら、俺はそんな風には呼ばない」

蝶子は、目を閉じて、少し冷静になるまで間を置き、それから言った。
「いいえ、是非そう呼んでちょうだい。私が慣れるまで何度も。それもハードディスクの上書きになるでしょうから」
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Posted by 八少女 夕

イラストのこと

実は、小・中学生の頃はマンガの創作をしていました。もちろんスクリーントーンをつかうようなちゃんとしたマンガではなくて。ノートに適当にコマを割って描くようなお遊び以下の状態で。

で、その内に氣がついたんです。マンガでは背景やポーズもキチンと書けないとまともな作品には見えないけれど、文字だけならいくらでも好きに書けると。それで、マンガはやめました。で、自分じゃなくて誰かマンガの上手な人にイラストをつけてもらいたい。かなり他力本願な事を考えている私なのです。

ブログをはじめて氣のついたこととして、この世には両方をやってるすごい人たちがいるってことです。そっか〜。私の夢は「マンガはいくらでも描けるけれど、あなたの小説のような世界は考えつかないから原作にさせて」といわれるような小説を書く事なんですが、いや〜、需要ないかもしれませんね、これじゃ。

二人ほど現在も交流のある、今でもマンガを続けている友人がいて、その二人は私が小説を書いている事を知っています。この秋にはその内の一人が投稿する小説に挿絵を描いてくれる事が決まっていて、嬉しいコラボ・デビューなのです。原作小説家への野望の第一歩になるといいのですが。
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Posted by 八少女 夕

ドウロ川を遡って


船に乗って内陸へと川を遡りました。日中は28度にもなる暖かさでも早朝は寒くコーヒーで両手を温める事に。ポルトガルで一番のワインができるドウロ沿岸の葡萄畑の間をゆっくりと進む内に風が心地良いと感じられるまでになりました。特別なものは何もないけれどゆったりした時間を楽しむ旅。世界中からの人たちと話せば、それぞれの人生が次の作品のヒントになります。
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Posted by 八少女 夕

小説の舞台

私が書く小説の舞台は大きく分けて二つあります。

一つは、実際に行った事のある所。ディテイルを思い浮かべてすらすら書けるというのがその理由です。小説は本当の事ではないけれど、それらしさがないといけない。で、実際にそこに行った事のある人に「ありえません」と言われてしまうような描写はよろしくないと思うので、感覚のつかめる所を舞台にします。

例えば、スイスにある事になっている架空の村、カンポ・ルドゥンツとその周辺は私の住む地域がモデルになっています。具体的な地名の出てくる「大道芸人たち」も、行った事のある所がメインになっています。

もう一つの舞台としては、ファンタジーの世界。要するに、誰も行ったことのない所を舞台にしてしまいます。中世の存在しなかったヨーロッパの大国とか。突っ込まれても「ファンタジーですから」で済むし、自由に世界の設定ができますよね。

それでも、リアリティを出すために、細かく設定を決めて、地図を作ったり年代記をつくったり、いろいろと考えます。本文を書く前の、その時間もなかなか楽しいものです。
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Posted by 八少女 夕

ヨーロッパの醍醐味



ポルトの街でも、特に美しいマジェスティカフェ。
優雅な時間を過ごしながら、勝手にキャラクターを動かす妄想癖が止まりません。
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Posted by 八少女 夕

海外生活者のバトン

海外生活者のバトンに答えてみました

海外生活者バトン

Q1 どちらの国にお住まいですか?
A1 スイス
Q2 その国の困った国民性は有りますか?
A2 地方分権が好き過ぎ!祝日くらい隣の村と同じにして
Q3 その国に一番惹かれたところは何処ですか?
A3 清潔で機能的なところ
Q4 お気に入りのお店や場所は有りますか?具体的にどちらですか?
A4 あります。イタリア語圏によくあるグロットが好きです
Q5 もしお友達が日本から遊びに来たら、具体的に何処に案内しますか?
A5 ベルニナ急行の旅
Q6 その国で一番驚いた文化は何ですか?
A6 一般のおばちゃんが三か国語くらい平氣でしゃべります
Q7 最寄り駅まで歩くと何分かかりますか?
A7 30分
Q8 その国の言葉は話せますか?(100点満点で何点ぐらい?)
A8 公式の言葉、正規ドイツ語なら70点くらい。方言は聴き取るだけ、話せません。
Q9 日本よりも良いな~としみじみ感じるのは何ですか?
A9 スペースが広いこと
Q10 その国に足りないものを3つ挙げて下さい
A10 グルメ・お客様は神様の精神・電車の本数
Q11 現地人のお友達はいますか?何人ぐらいいますか?
A11 日本人の友達より多いです。
Q12 「どこでもドア」が買えるとしたら、いくらまで払いますか?
A12 いらない。
Q13 どれぐらいの頻度で一時帰国していますか?
A13 三年に一度くらいかな
Q14 一時帰国時のオススメのお土産を教えて下さい!
A14 ミルクチョコレート。クリスマスやイースター前には特に可愛いものが。
Q15 次は何処の国に住んでみたいですか?
A15 南スペイン
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Posted by 八少女 夕

夏のよう

いい音楽に出会った時のようにいい景色を見た時も、これを活かせないかしらと目論むのが、物書きの性ですよね。
ポルトの街は絵心ならぬもの書きゴコロをそそる場所です。

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Posted by 八少女 夕

【小説】大道芸人たち (4)ローマ、噴水に願いを

ようやく主要登場人物が出そろいました。蝶子たちはイタリアにいますが、今回はドイツのミュンヘンで話が始まります。



大道芸人たち Artistas callejeros
(4)ローマ、噴水に願いを


いつもより早く起きたのは、出て行くのを父親に悟られないためだった。ひと月前に突然母親が他界するまで一度も一緒に暮らしたことのない父親には、二度と会えなくなるとしても特別な感慨があるとは思えなかった。その男は厳しい教師でしかなかった。彼から受け継いだのは名前と、それからフルートを操る能力、そして音楽を愛する心だった。だが、フルートを持っていくつもりはなかった。八年前にこの家の楽器置き場に置き去ってから、そのフルートには一度も触れていない。父親は怒り、なだめ、すかし、たった一人の跡継ぎ息子にフルートを再開させようとした。だが、彼は領地もこのミュンヘンのエッシェンドルフの館も、フルート奏者としての栄誉も父親から受け継ぐつもりはなかった。やがて、父親のフルート教師としての関心は、他の生徒に移った。そのことが彼をもっと意固地にした。母親が死んだことも、それに対する父親の態度も、彼の心をさらに冷えさせた。

父親の書斎にある金庫を開ける。ここに着いた日に父親が暗証番号を教えた。少なくとも息子に対する信頼はあるらしい。その信頼を裏切るつもりはない。だが、どうしても開けなくてはならなかった。中には彼自身のパスポートが入っている。現金や金塊、それに先祖代々の宝石類に冷たい一瞥をくれて、彼は金庫を閉めた。彼自身の金は銀行にある。大した金額ではないが、十年前にコンクールで優勝したときの賞金もまだそのままそっくり残っている。緊急のときの足しにはなるだろう。

彼はパスポートを胸の内ポケットに収め、静かに廊下を歩いた。

「アーデルベルトか。もう起きているなら、郵便を持ってきてくれないか」
父親の部屋の前を通った時に、よく通る声がした。
「はい、お父さん。いつものように食堂に置いておきます」

彼は、郵便受けに向かい、新聞や何通かの封書などを持って食堂に入った。新聞、広告、重要な手紙などを簡単に分けて、きっちりとテーブルに置いた。一枚の葉書が目に留まった。わずかなドイツ語の他は読めないアジアの文字で書かれている。宛名を見ると
Frau Chouko Shijyou
c/o Prof. Dr. Heinrich Reinhard Freiherr von Eschendorff
となっている。

本文のドイツ語部分に目を通すと
「尊敬する先生、
あなたの婚約者からフィレンツェからのとても謎めいた葉書をいただきました。残念ながら彼女のミュンヘンの住所を知りませんので、こちらに送らせていただきます。お手数ですが彼女にお渡しいただけると幸いです。Maya Enjyou」
とあった。

彼は無表情に葉書を眺めていた。その婚約者はもうここにはいないのだ。父親は彼女にこの葉書を渡すことは出来ない。狂ったようにその女を捜し、絶望し、ようやく彼女のいない日常に慣れて来たばかりだ。彼自身はその女に会ったことはなかった。何人もいた父親の他の愛人たちと同じく興味もなかった。父親に近いうちに会うよういわれていた。お前の義理の母親になるのだからと。だが、その機会が来る前に女は姿を消した。

この葉書が父親にどのような影響を与えるのか、すこし考えた。そのまま、封書の束の上に置こうか迷ったが、躊躇の末パスポートの入った内ポケットに入れた。それから、荷物を肩にかけると振り向きもせずにエッシェンドルフの館を後にした。あの女を捜したように、自分の事も捜すのだろうかと考えた。そんな事はないだろう。



「おい。お前、また園城真耶に書いてんのかよ」
チボリの噴水の前で、どんどん溶けていくジェラートと格闘しつつ、稔は呆れた声を出した。

フィレンツェを後にしてから三人が目指したのはローマだった。
「全ての道はローマに続くっていうからね」
そういうレネのわけのわからない理由付けに特に反対する理由も見当たらなかったのだ。日本ならもう台風シーズンだが、ローマはまだジェラートを食べたくなる程度には暑かった。

テーブルには一枚の葉書。ベルニーニのトリトンの噴水のものだ。蝶子は髪をかき分けながら、まず園城真耶の住所を書いた。

「これで三枚目じゃないか。中身のない葉書をなんでそんなにたくさんあの女に送りつけるんだ?」
「なんとなく。あ、そうよ。ヤスとブラン・ベックもひと言書いてよ」
そういって蝶子は葉書を二人の前に置いた。

レネは訊いた。
「どんな方ですか?」
「超美人。お蝶並みの氣の強さ。究極のお嬢さま。ヴィオラの天才」
稔の言葉に、蝶子は口の端で笑って同意を示した。

レネは勇んでフランス語で書いた。
「日本の宝石へ、愛を込めて、レネ」
知らない人によく愛なんか込められるな。稔は思った。

稔は日本語で書いた。
「よう、元氣か。ひょんなことからお蝶と楽しく旅をしているぜ。安田稔」

蝶子は微笑んで受け取ると、その下に書き添えた。
「日本に行ったら一度連絡するわね。いつになるか約束はできないけれど。蝶子」

日本に行く事なんか、実際にあるのだろうか。真耶に自分の事を知らせたくて書いているのではない。蝶子は思った。これを書いていると、まだ自分は生きているのだと感じる事が出来る。葉書が日本に届く。どうでもいい存在の人間からのどうでもいい内容の葉書。それでも、消印が証明している。私とヤスとブラン・ベックは、この時間にこの地で生きていた。流れ流れながら、生命を謳歌していた。たとえ、この葉書がやがて真耶の屋敷のシャレたくずかごに落ちていくとしても。

さぞかし真耶は面食らって首を傾げるでしょうね。ヨーロッパ各地からの変な葉書。クラスメイトだった三味線奏者や謎のフランス人と一緒にいる事くらいしかわからない。

真耶と仲がよかった事はない。学生時代はほとんど口を利かなかった。別に嫌いだったわけではないが、あまりにも接点がなかった。それでも蝶子がクラスメイトの中で唯一認めていたのが真耶だった。音楽に対する姿勢、技術を追求する態度、それに公正なものの見方。真耶にとって蝶子がどんな存在であったか、蝶子にはわからなかった。

ザルツブルグで偶然会ったときに声をかけてきたのは真耶の方だった。つまり真耶は私を憶えていたのだ。蝶子は考えた。真耶は高名な指揮者である父親と来ていた。偶然の再会が縁となり、音楽祭の合間にエッシェンドルフ教授と四人で昼食をした。あの時、私はまだ教授の手のうちにあったのだ。真耶は私の未来に対して温かい祝福の言葉をくれた。私にはふさわしくなかった未来。実現しなかった慶事。真耶は知る由もない。

ああ、また教授の事を思い出しちゃったじゃない。今夜は『外泊』しよう。



「パピヨン。やめてください」
ついにレネが我慢できなくなった。お互いの事に口ははさまない、そのルールを破るのは勇氣が要った。しかし、数日に一度の蝶子の『外泊』はたまらなかった。蝶子が好きだからだけではなく、あまりにも危険だったからだ。

「声をかけてきた人に、どうしてそんなに簡単についていくんです?」
「誰にでも付いていっているわけじゃないわ。それに、何をそんなに怖れているの?」
「パピヨン。この世の中には変な人やよくない人もたくさんいるんですよ。何かあったらどうするんですか?」

蝶子は口の先で微笑んだ。何があろうとどうでもいいという表情だった。

「だいたい、お前、何しているんだ?『外泊』で」
「何って、おいしいご飯食べて、暖かいお風呂に浸かって、それから眠るんじゃない」
「眠るだけかよ」
「馬鹿ね。もちろん、やる事やってから就寝するのよ」

「金のためか?」
「あんたとは違うのよ。『外泊』では一銭もいただいていません。売春じゃないの」
「じゃあ、何か。メシと風呂がまともなら、もう『外泊』しなくていいのか?俺たち、週に一度ならまともな所に泊まってもいいんだぜ」

蝶子は黙って首を振った。それから不意に言った。
「なんか違う話をしない?」
「パピヨン!僕たちはあなたを心配しているんですよ」

いきり立つレネを稔は止めた。
「まあ、いい。それじゃ他の話をしようぜ、お蝶。例えば?」
意味ありげに稔が見ると、蝶子も少し意味ありげに間を置いて言った。

「たとえば、コンピュータの話とか」
「コンピュータ?」
「知ってる?ハードディスクから抹消したデータってね。ゴミ箱に入れて、ゴミ箱を空にしただけだと、本当は消えていないんだって。しようと思うと再生できちゃうんだって」

「ふ~ん、それで?」
「一番確実にデータを抹消するためにいいのは、その記憶領域にあたらしいデータをどんどん上書きしていく事なんだって」

「ははあ。それを実践してるヤツもいるってことか?」
「そういうこと」

稔はわかっているようだが、レネはよくわかっていなかった。稔はもう一歩突っ込んでみた。
「だけどさ。上書きするのに、よく知らない外部データを次々と持ってくるヤツもいるよな?ウィルスの心配とかもあるだろう?俺としてはどうしてそういう奴らは内部の安全なデータを使わないんだろうって思うわけさ」
「内部のデータって?」
「例えば、ブラン・ベック.txtとかさ。そういう書類の事だよ」

蝶子は高らかに笑った。
「わかっているようで、まったくわかっていないのね。抹消したいのは残して置くと心配になるような重要データ。重要データを重要データで上書きするような馬鹿はいないのよ」
「あ、そっか」
「じゃ、そういうわけで、私行ってくるから。また明日ね」
蝶子はそういって出かけていってしまった。

「パピヨンとあなたが何の話をしていたのか、全然付いていっていないんですけれど」
レネは悲しそうに言った。稔はレネの肩をポンと叩いて笑って言った。
「喜べ。お前は、お蝶にとってもう一介のフランス人でも、ただの青二才でもないってことだ。大事な友だちなんだ」
「?」

「お蝶は、ドイツで何か辛い事があったんだ。たぶん男関係で。あいつはその記憶を抹消するために『外泊』をくりかえしている。どうでもいい相手とな。ただ、それでも危険な事には変わりないんだがなあ。なんとかならないものか」



奇しくもその日に、レネと稔の不安は的中してしまった。知り合った男は最初に名乗ったのと違う名前で店を予約していた。リストランテはあまり清潔ではなかったが地元の客でにぎわい、とてもおいしかった。男の会話はつまらなくてうんざりしたが、どうせ再び会う事はないのだからと割り切った。だが、蝶子が洗面所に行くために席を立った時に、男は後から付いてきて襲いかかってきた。

「ちょっと、何をするのよ!こんなところで」
「いいだろう。どうせお前はそのつもりで付いてきたんだろうから。事が終わったら金はここで払うよ」
「ふざけないで。私は売春婦じゃないのよ。離しなさいよ」

抵抗する蝶子の口を手で塞ぎ、噛み付かれると怒りに任せて殴りつけてきた。

だが、男の勝手もそれまでだった。突然後ろから襟首をつかまれると、激しく殴られて、トイレの床に崩れ落ちた。蝶子が見ると、もうひとりの男は隣のテーブルに一人で座っていた男だった。蝶子の連れの行動に疑問を感じて付いてきてくれたのだろう。騒ぎを聞きつけて店員たちも集まってきた。蝶子の連れは形勢不利を悟ったのか、立ち上がると勘定も払わずにさっさと逃げ出した。

ショックで茫然とする蝶子を、隣のテーブルの男は手を差し伸べて立たせ、
「大丈夫ですか」
と英語で聞いた。

「ええ、どうもありがとうございました」
蝶子はそういってから鏡を見た。頬が赤く腫れている。なんてみっともない。ヤスとブラン・ベックにこっぴどく罵られるわね。

「地元の方ではないですよね。差し支えなければ、宿までお送りしますよ」
その男は親切に言った。リストランテの親切な店員たちも大きく頷いている。

蝶子は改めて男をよく見た。食事をしていた時の第一印象もそうだったが、やけに目が大きい。黒々とした眉がやたらと太く、その下に巨大な目が二つ。その目は東大寺の南大門の金剛力士像にそっくりだ。黒い豊かな髪、上質な仕立てのシャレたデザインの濃茶の背広、白地に紫のストライプの入ったワイシャツにどうしてあわせたくなるのか理解できないが、しかし、その組み合わせなのにとてもよくマッチしていた。歳の頃は四十~五十前後だろうか。巨大な目の輝きと、優しくて親しみのある口元が蝶子をまず安心させた。先ほどの男に較べたら、誰でもマシだった。

蝶子はハンカチを濡らして絞り、打撲痕にあてた。

「いいえ、ご親切はありがたいけれど、この顔で今すぐは帰れないわ。友人にどれだけ罵倒されるか。ものすごく反対されたのに、私がいう事を聞かなかったんですもの」
「いいご友人をお持ちのようだ。では、よろしかったら、どこかのバーでしばらく飲みませんか」

蝶子は少し考えてから頷いた。店員たちもほっとしたようで仕事に戻っていった。男は、当然のごとく自分と蝶子のテーブルの両方の勘定を済ませた。

「それはいけませんわ。私、こちらのテーブルの分は払います。あんな男でも私の連れでしたし」
蝶子の抗議をやんわりと押さえて、リストランテの店主が言った。
「ご心配なく、あの男の分は勘定に入っていません。だから安心して払ってもらいなさい。この方は私どもの古くからの大切なお客様でしてね。信頼できる方ですよ。シニョリーナはひどい目に遭われましたが、この方とお知り合いになれてラッキーでした」

男は逃げた男の分にも相当するほどのチップも渡して、蝶子を連れて店を出た。そしてリストランテのはす向かいにある古いが格式のあるホテルのバーに連れて行った。

「ローマに来るときはいつもここに泊まるんですよ。で、夕食は決まってあそこでとるんです」

そのバーは、黒を基調にした落ち着いたインテリアで、アールヌーボーのランプが柔らかい間接照明で照らす以外はとても暗かったので、蝶子は顔のことを氣にせずに済んだ。

「助けていただいて、本当にありがとうございました」
「お友だちが心配するのも無理ないと思いますよ」
「私が馬鹿だったんです。これまで何ともなかったので、思い上がっていたんでしょうね」
「これまでも?あなたのような人がなぜ?」
男の目は更に大きくなった。

なぜだかわからないが、蝶子はこの男に事情を話していた。コンピュータのたとえ話などではなく、あからさまに。ドイツにフルートの留学をした事、念願かなって最高の教授に師事できることになったこと。その教授と師弟以上の関係になった事。結婚を申し込まれていたのに逃げ出してきた事。現在は大道芸をする二人の友人と一緒にあてのない旅をしている事。心と体に刻まれた記憶を抹消するために時おり『外泊』をしていること…。

「記憶の抹消は進んでいるんですか?」
「ええ。かなりの部分は。少なくとも体がエッシェンドルフ教授を恋しいと思う事は、ほとんどなくなりましたわ。あれは、ただの生体反応に過ぎなかったのだと、そう納得できるようになってきました。でも、まだ情緒の部分は厳しいですね」

「教授のもとに戻りたいとは、その可能性は考えないのですか」
「絶対に戻りません。戻るわけにはいきません」
「なぜですか。あなたは教授を愛していらっしゃるのに?」
「愛していないからです」
蝶子は死刑宣告のように言い放った。

一度も教授に言えなかった言葉。囚われていく恐怖。恐ろしいまでの支配。キャリアも名声も、そして肉体ですら彼の手のうちにあった。フルートを続けていくためには教授のものになるしかなかった。拒む事は出来なかった。これが運命なのだと自分を納得させようとした。教授にも誤算があったのだろう。彼は軽い氣持ちで手を出した若い東洋からの生徒に溺れたのだ。周囲の反対を押し切って、教授は蝶子と結婚しようとした。法でも彼女を縛り付けようとしたのだ。

だが、そのことによってそれまで蝶子の知らなかった教授の過去が明らかになった。教授には三十年以上前に同じようにはじまった関係があり、その女性は教授の妻になる日をひたすら待ちながら生きてきたのだ。二人の間には正式に認知された息子がいて、共に暮らしてはいないが息子の母親は妻としていずれは息子とともにミュンヘンのエッシェンドルフの館に迎えられる事を願っていたのだ。教授はその女性の心を無視して、息子だけを蝶子に会わせようとした。未来の義理の母親として。女性が亡くなったのは蝶子と教授がザルツブルグ音楽祭に行っていた時だった。大量のアルコールと過剰に摂取した薬物。事故と片付けられたが蝶子は自殺だと思った。きっと教授とその息子もそう感じただろう。

蝶子はその女性の死を聞いた翌日に、ミュンヘンから逃げ出した。その女性のためではなく、その息子のためでもなく、教授のためですらなく、ただ、自分の自由のために。蝶子は閉じ込められピンで刺されたくなかった。
「では、あなたは、いまの暮らしに満足しておられるんですね」

「ええ。こんな事が可能とは思っても見ませんでしたが、私、今ほど自分らしく幸せに生きた事がないように思います。大道芸人になるなんて」
「Artistas callejeros」
男は微笑んだ。蝶子は首を傾げた。
「私の国の言葉で大道芸人たちという意味ですよ」

「素敵な響きですね。どちらの国ですか?」
「スペインです。自己紹介がまだでしたね。私はカルロス・マリア・ガブリエル・コルタドといいます。バルセロナの近くで生まれました」
「私は日本人です。四条蝶子といいます。助けていただいて、こちらこそ自己紹介が遅れてすみません」

「セニョリータ・チョウコとお呼びしていいのかな?」
「お好きに。フランス人の友人はパピヨンと呼びますわ。蝶という意味なので」
教授は「シュメッタリング」と呼んだ。蝶子の心に再び痛みが走った。

「では、私はセニョリータ・マリポーサとお呼びしましょう」
「セニョリータをやめていただけますか?」
「もしあなたが私をカルロスと呼んでくださるなら」

蝶子は微笑んだ。今夜限りでもう会わないかもしれない人間の呼び方にこんなにこだわってどうするのだろう。しかし、蝶子はその事を口に出したりはしなかった。カルロスは本当にいい人だった。このまま誘われたら、喜んで付いていっちゃう。ほらね、ヤス。私は面食いじゃないでしょう?

やがて二人は、どちらがいいだしたともなく、当然のように彼の部屋に移り、その晩を一緒に過ごした。



トレヴィの泉の前で一稼ぎして、休憩していると、聞き覚えのある声がした。
「マリポーサ!ローマ中を探しましたよ」

「あら、カルロスじゃない。先日はどうもありがとう。どうして私を探したの?」
蝶子は嬉しそうに言った。

「あんまりですよ。黙って消えるなんて」
カルロスは恨めしそうに言って、稔とレネに軽く会釈した。あの翌朝、カルロスが眠っている間に蝶子は黙って彼の部屋を後にした。後で極上のアマローネ・ワインのラベルに蝶の絵を描き、彼の部屋に届けてもらった。蝶子にとって、この話はこれで終わりのつもりだった。けれどカルロスにはそのつもりはないらしい。

「紹介するわ。私の仲間たち。稔とレネよ。こちらはセニョール・カルロス・コルタド。私の恩人よ。危ない所を助けてくださったの」
「危ない所って何だよ」
稔が突っ込んだ。蝶子は天を仰いだ。しまった、せっかくバレていなかったのに。

「え~と。『外泊』で…」
レネは蒼白になり、稔は激怒した。
「ほら見ろ!俺たちが言った通りだったろ。いい加減にしろ」
「マリポーサ。いいご友人と一緒でよかった」
カルロスは笑った。

「よかったらお三方とも今晩、あのリストランテでご一緒しませんか。私は明日国に帰るんですよ。だからその前に何としてでももう一度会いたくてね」
三人は顔を見合わせた。

「私は喜んで伺うわ。とってもおいしいリストランテよ」
「僕も行きます!」
蝶子と二人きりにさせてなるものかとレネが叫んだ。稔もおいしいレストランには異存がなかったので行く事にした。

カルロスはにやりと笑って、コインを後ろ向きに泉に投げ込んだ。
「すっぽかされるとは思っていませんが、念のため」
蝶子もにやりと笑うとやはりコインを投げ込んだ。
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Category : 小説・大道芸人たち
Tag : 小説 連載小説

Posted by 八少女 夕

「あなたのよく訪れる場所は?」

通勤路からちょっと離れた並木道があって、晴れた陽気のいい時には和みに行ってます。
あと、普段田舎にいるので都会に行くとお店に吸い寄せられます。

こんにちは!FC2ブログトラックバックテーマ担当藤本です今日のテーマは「あなたのよく訪れる場所は?」です。まだ少し肌寒い日が続いてますね皆さん風邪はひいてないですか?お体に気を付けてください!はい。本日のテー�...
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Posted by 八少女 夕

ポルトにて



休暇でポルトに来ています。
今ブログに連載している「大道芸人たち」のキャラは呑んでばっかりなのだけれど、また呑ませたいお酒が出来ました。
20年物の極上ポートワインと羊のチーズ。美味しいです。
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Posted by 八少女 夕

匿名性について

ツイッターやブログで、本名が出ていないからといって他人をひどく攻撃したり、嘘を書いたりするのは嫌い。とはいえ、ここはもちろん本名では書いていない。本名がわかるホームページやFacebookではこの趣味の事は触れないようにしている。この趣味自体をずっとひた隠しにしてきたから。

本当は本名で公表しちゃってもいいかなと思う事もある。本質的には人にいえない悪い事をしているとは思っていないし、書いている事は全て自己責任を持つ内容で書いている。小説は虚構だけれど、真実の含まれた虚構で、そこで言いたい事は、私の言いたい事そのものであるから。

とはいえ、いまの所このブログではペンネームのままで行くつもりではいる。ひとつには、リアル友達じゃない人に読んでもらう事をメインにしたいから。一人だけ、面識のある人が訪問してくれて読んでくれているけれど、彼女も創作する同志。「へえ、小説を書くんだ、意外〜」という微妙な言い回しで、しかたなく褒めておこうか、というあやふやさは全くなくて、むしろ来てもらっていろいろとコメントしてもらいたいと思っている。

このブログを通して私を知った人には、年齢や背景などの予備知識のない状態で作品を評価してもらいたいと思っている。まあ、よく読んでいれば、年齢も背景も、それどころか、小説から推理すれば住んでいる所やそもそも私が誰かも特定できちゃうと思うけれど、あえて、それをしないで読み続けてもらえたらいいなと思う。

もうひとつ、私が小説に関してはペンネームで発表するのは、以前、ちょっとストーカーみたいな人に追い回された事があったから。その人を「小説書いているんだ〜、こんな事考えているんだ〜」と喜ばせる事もないかと思いまして。実際には、WEBに公開した時点で、そんなことをいうのは馬鹿げているってわかっているんですけれどね。
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Posted by 八少女 夕

狩人たちの市場

なんかすごいもの見ちゃいました。

隣村の郵便局に行ったら、メインストリートで狩人たちの市場をやっていたんです。
山積みになった狐とか、はじめて見た。こんなに殺しまくったんだって…。


こういうのもよく見ておくと、その内に作品の中に生かせるかな、そう思って眺めてきました。写真は、背中に狐をたくさん背負ったおじさん。こういう人がわんさかいました。
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Posted by 八少女 夕

最近【予約】した物は

旅行のフライトとホテルですね〜。ネットのおかげでとても便利になりましたよ。飛行機のチェックインもネットでできるから、連れ合いがどうしてもとこだわる通路側の席も確保できるし。
あ、ホテルの予約した紙を持っていかないと。どこに予約したんだかわからなくなっちゃう。予約しただけで安心しちゃダメですね。

こんにちは!FC2ブログトラックバックテーマ担当加瀬です(^v^)/今日のテーマは「最近【予約】した物は何ですか?」です。加瀬は最近、ネットショッピングを利用する事が多くなりました。発売後に購入する事がほとんどなの�...
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Posted by 八少女 夕

【小説】大道芸人たち (3)フィレンツェ、椅子の聖母

私はラファエロが大好きなので、ヨーロッパの主要都市では美術館で多くの時間をラファエロの前で過ごします。フィレンツェのパラティーナ美術館のサトゥルヌスの間はあっちもこっちもラファエロの名作ばかりで、どこから観ていいのかわからなくてウロウロしてしまいます。フィレンツェは何度訪れてもいい所です。



大道芸人たち Artistas callejeros
(3)フィレンツェ、椅子の聖母


その日は定休日だった。三人がチームを組んで稼ぎだしてから、そろそろ二週間になる。定休日を設けようと言い出したのはレネだった。稔はずっと一人で稼いでいたので、定休日のことなど考えたこともなかった。蝶子は大道芸そのものが目新しかった。キリスト教徒のレネにとっては日曜日が定休日だったのだが、一番人通りの多い曜日に休む馬鹿がいるかと稔に指摘されてその案はひっこめた。基本的に雨が降れば、その日を定休日にする。でも、晴れている日が一週間続いたら、月曜日が定休日になった。そういうわけで、この月曜日に三人はゆっくりとフィレンツェを楽しんでいた。

蝶子はポンテ・ベッキオで銀の指輪を買った。唐草模様の細工がきれいなもので、人差し指につけて太陽にかざして楽しんでいた。

レネはウフィツィ美術館でボッティチェリの金箔押しのタロットカードを買った。そして嬉しそうにカードを切っていた。その鮮やかな手さばきに、稔と蝶子の目は惹き付けられた。隣のテーブルの人まで、身を乗り出して見ている。

レネはカードを扱うときだけは、青二才ではなく大人の顔つきになる。謎めいてもののわかった様相だ。手品は職業だが、カード占いは趣味だった。自分でも当たるとは思っていない。しかし、不思議なことに、迷う人間はいつもレネの差し出すカードの中から的確なカードを一枚引いてしまうのだった。

レネは黙ってカードを広げて、稔に差し出した。稔はおそるおそる一枚引いた。なんだかわからないままそれを表に返す。

「愚者。逆位置。何か軽率なことをしたか、どこかに心残りがある」
稔は少しだけ顔色を変えた。蝶子はちらりとその顔を見て、当たっているのね、と思った。

「私も引く」
レネはもう一度カードを切り直して、今度は蝶子に差し出した。蝶子はそっと一枚引いて表に返した。

「また逆位置だな。塔か。全てを一からやり直す。必要な破壊」
「ふ~ん」
蝶子は口の端で笑った。いいカードを引いたじゃない、私。

「見直したわ。大したものね」
「僕に能力があるんじゃありませんよ。あなた方が選んで引いたんです。僕は、一般に言われている解釈を口にしただけ。でも、誰でも心残りややり直しの希望があるもんじゃありませんか?」
レネはそう言った。

「俺たちのカードが入れ替わっていても、大したものだと思うか?お蝶よ」
「ううん。私はドンピシャなのを引いたと思うわ」
「俺もだ」
稔はその後しばらく口数が少なかった。

稔は二人と違って、余分なものを何も買わなかった。レストランで食べるときも、カフェでも最小限の値段のものばかり頼んだ。一緒に稼ぎ、収入を折半し、同じ所に寝泊まりしているので、蝶子には稔の収支のことがだいたいわかった。蝶子には新しいワンピースを買ったり、比較的高い料理を頼んだりしても問題ない金額が手元にあった。もちろん高級ホテルに泊まったり、最高級レストランに行くような余裕はない。けれど、ここまで稔が切り詰めている理由が今ひとつわからなかった。

稔は金の亡者といってもよかった。レストランで食べた分はきっちりしか払わない。レネがワインやチップや蝶子の分を進んで負担したがるのと対照的だった。仕事のときも、儲かる時間帯や場所にこだわった。

だが、チームを組んでから三人には暗黙の了解ができていた。お互いのことは詮索しない。蝶子がフェリーで泣いていた理由を稔が訊かない以上、蝶子も稔の事情に踏み込む氣にならなかった。レネの方は問題なかった。誰も訊いていないのに、勝手にぺらぺらしゃべるのだ。

「パリで、僕はムーラン・ルージュの近くのナイトクラブで手品のショーをして生計を立てていたんです。アシスタントのジョセフィーヌは、こぎれいなパリジェンヌで、長いことアタックしてようやく同棲にこぎ着けたんですよ。でも、ある日買い物から帰ってくると、同じクラブで働いていたラウールがジョセフィーヌとベッドの上にいましてね。仕事もアシスタントもいつの間にかラウールだけのものになってしまっていて。それで何もかもイヤになってコルシカの叔母の所に行こうと思ったんです」

レネがメガネをずり上げながら、淡々とそんな話をするので、蝶子と稔は顔を見合わせた。
「じゃあ、なんでコルシカでのんびりしなかったんだ?」
「叔母のところにラウールそっくりのいけ好かない男がいました。叔母に邪険にされたんですよ」

蝶子はクスッと笑った。
「うちの家系なんですよ。手に負えない相手に惚れちゃうんです」
そして、切なそうに蝶子を見つめた。

「俺は手に負えない女なんかごめんだ」
蝶子は面白そうに先を促した。
「どんな女性が好みなの?」

「可憐で優しくてかわいい子」
「ふ~ん。そういうのは見た目よりしたたかなのよ」
「それでも、そういう子じゃないとその氣にならないんだよっ」
三人は爆笑した。



蝶子はその後ひとりでパラティーナ美術館に行った。ラファエロのコレクションが充実しているので、一度足を運んでみたかったのだ。二人は「絵はもういい」と言ってボーボリ庭園に行った。蝶子は他の絵には目もくれず、サトゥルヌスの間に直行した。『大公の聖母』『椅子の聖母』『フェドラ』『マッダレーナ・ドーニの肖像』などのラファエロの名作が並んでいるのだ。

その部屋に佇んだ時、蝶子はようやく「ああ、これでよかったんだ」と思った。七年間もヨーロッパにいて、一度もここに来ていなかった。蝶子の七年間はすべてミュンヘンにあった。ゼロから積み立てた巨大なバベルの塔。それが崩壊した。必要な破壊。どうしてもあそこから逃れなくてはならなかった。それはわかっている。けれど、ここまで社会から離脱した逃避行が必要だったのだろうか、それが蝶子の疑問だった。日本に帰ってもよかった。親のもとに、私が間違っていましたと言って。

けれど蝶子が選んだのは、稔とレネとの奇妙な旅だった。愚者の旅立ちだ。

『椅子の聖母』は横目でこちらを見ながら、微笑んでいる。聖母というよりは悪戯をしたがる若い女性。宗教画ではなくて人生の楽しみを奨めるしなやかな表情。それが蝶子の心を肯定した。私は自由になっていいのだ。苦しむのはもう終わりにしよう。

蝶子は『椅子の聖母』の絵はがきを買った。



待ち合わせのカフェに行くと、ちょうど稔も着いた所だった。
「レネはもう中にいるはずだ。俺は、まず郵便局に寄ってくる」
「近くなら、私も行こうかしら」
「そこだよ」
それで蝶子は稔に付いて郵便局に入っていった。

もともと誰かにハガキを書こうと思っていたわけではない。けれど、郵便局で不意に誰かに送ってみたくなった。実家に書く。すぐに却下した。ミュンヘン。論外。日本の数の少ない友人の住所はどこにもない。その時ふいに思い出した。千代田区に住む園城真耶。お嬢様ぶりが住所にも現れていた。一丁目一番地一号。その住所はクラスで一時話題になったものだ。蝶子は真耶の住所を『椅子の聖母』のハガキに書いた。「元氣?蝶子」それだけ書いた。

「おい。お蝶、助けてくれよ」
稔の声で我に返った。稔は窓口で蝶子を呼んでいた。

「英語が通じないんだ」
蝶子は、窓口に行って稔の手元にある札束を見て片眉を上げた。

「この金を日本に送りたいんだ」
それは結構な金額だった。一ヶ月分の稼ぎに当たるくらいの金額だった。送金先は安田家ではなく女性の名前だった。エンドウヨウコ、ふ~ん?

送金を無事終えた時に、蝶子がついでに差し出したハガキを見て稔も「おや」という顔をした。園城真耶に?仲悪かったんじゃないのか?

「お前が園城真耶と仲良しだったとは意外だな」
「仲良くないわ。なぜか急に思い出して送ってみたくなったのよ。住所も知っていたし」
「それだけ?」

「ええ。もっとも、実は一ヶ月くらい前にたまたま遇ったのよ」
「どこで?」
「ザルツブルグ音楽祭」
「へえ?」
「短い間だったけれど話をしたの。あの時はまだ同業者だったからね」
今は、ずいぶん違う世界にいるけれど…。
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Tag : 小説 連載小説

Posted by 八少女 夕

書いたらアップしてる?

ブログをはじめてよかった事の一つは、他のオリジナル小説を書いている人たちの作品や一人ごとに触れる機会が増えた事ですね。それで氣がついたんですが、もしかしてみなさん、書いたら即アップしています?

私はですね。そんなにすぐはアップしません。ここにアップした小説は、きっと読みにきてくれた方が「私まだ生まれていないよ!」って年に書いたものも含めて、そうとう時間が経っています。

小説書きにブレイクがあって2010年の12月まで十年近く寡作だった時がありまして、復活してからはものすごい量を書いているのです。

でも、書いてからしばらく置いて、もしくはそうとう先を書いて、「もう、これはこれ以上動かない」と決定するまでは発表する氣にならないんですよね。「夢から醒めるための子守唄」も、完成してから二ヶ月は置きましたしね。これは早い方です。

書いちゃったものを直したくなる事って、他の方はないんでしょうかね?
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Posted by 八少女 夕

「この春、始めてみたいことは?」

ギター。本当は年の初めの目標だったのだけれど氣がついたら三月も終わり…。自分で奏でる音楽をはじめてみたいと思ったんです。もっともこの春、すでに「ブログ」を始めちゃっているなあ。

こんにちは!FC2ブログトラックバックテーマ担当ほうじょうです。今日のテーマは「この春、始めてみたいことは?」です。春になると、新しいことが始めたくなりますね!年始にも目標を立てたりしますが、春は春でまた新た��...
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Posted by 八少女 夕

創作者バトンだそうです

はじめてバトンというものに挑戦してみました。

創作者バトン

Q1 小説、漫画などの創作媒体は何ですか、またそれを選んだ理由はありますか。
A1 小説です。文字だけで全部表現できるので。
Q2 主に行っているのは一次創作ですか二次創作ですか。
A2 一次創作って、オリジナルってことですよね?オリジナルです。
Q3 得意なジャンルは何ですか、また苦手なジャンルは何ですか。
A3 恋愛ものばかりかいているかも。苦手は戦争ものとか、書けませんね。
Q4 作品を作る際にプロットや設定資料のような物を作りますか。
A4 作ります。短いのは数行ですが。
Q5 創作中に設定の練り直しや、文章の推敲等は行いますか。
A5 します。もちろん。
Q6 Q5を答えた方でその際に修正に気がとられて創作が先に進まなくなることはありますか。
A6 なりません。創作の方は勝手に進んでいくので、精神分裂的になります。
Q7 ジャンル、メディアを問わず、自分に大きな影響を与えていると思う作品はありますか。
A7 影響はあちこちから受けますよ。
Q8 スランプ等は経験したことがありますか、その原因は何だと思いますか。
A8 スランプってことではないけれど、実生活が忙しいと、進みませんよね。
Q9 自分が創作を行う際の目的や原動力はなんだと思いますか。
A9 生まれてきたものを形にしたいってことかな。
Q10 作った作品は公開していますか、またその方法は何ですか。
A10 自己のホームページ、投稿、それにブログ、FC2小説。あれ、いろいろだ。
Q11 こういった作品は好きになれない、苦手だというようなものはありますか。
A11 エログロ系かな。描写はあってもいいんだけれど、それが目的になっているようなのはちょっと。
Q12 あなたの作品を色にたとえると何色だと思いますか。
A12 難しい質問ですね。緑かな。理由はないけれど。
Q13 あなたの作品を風景にたとえるとどのような風景だと思いますか。
A13 自然の中の…
Q14 自分的には良い出来だと思う作品、真剣に作った作品が、他人からは評価を受けなかった場合はありますか。
A14 まだないです。っていうか、自分で代表作だと思う作品、まだ一般に公開してません。
Q15 Q14とは逆に自分では失敗作だと思った、手を抜いていた作品が、他人から評価された場合はありますか。
A15 同上。ブログ公開したてだからかもしれないけれど、まだ悲しくなるような批判をもらっていません。
Q16 自分の作品はどういった人に評価してほしいですか、またどのような人に見てもらいたいですか。
A16 いい作品を書く人や、たくさん本を読んでいる人に。
Q17 科学的な根拠や、現実性の追求等、リアリティにこだわりますか。
A17 そうですね。ある程度は。実際には「あり得ない」を書いちゃっているのではと心配になりますが。
Q18 創作を始めたきっかけは何ですか、またそれはいつ頃ですか。
A18 三歳くらいの頃からずっとやっているので、きっかけは思い出せませんね。
Q19 ストーリーを前半、中半、後半に分けた場合、それぞれの場面でどういったことに注意しますか。
A19 前半は読者を置いてきぼりにしないように。真ん中は飽きがこないように、そして後半は話がまとまるように。
Q20 創作をしていてよかったことはありますか、また苦労したことや悩みはありますか。
A20 褒めてもらったりするとやっていてよかったと思いますね。悩みはないかも。
Q21 自分の作品に共通するようなテーマやキーワードはありますか。
A21 あるけれど、秘密。
Q22 自分の作品の気に入らないところ、改善したいところはありますか。
A22 自分の作品大好きなんで、独りよがりにならないようにはしたいですね。
Q23 過去の創作で一番気に入っている作品は何ですか、またその作品のどのような点が気に入っていますか。
A23 「樋水龍神縁起」。構成が考え抜かれているので。まだ未公開です。そのうちに。
Q24 その作品のキャッチコピーを考えてみてください。
A24 千年の愛、神と人と。
Q25 主要登場人物の年齢や性別に傾向はありますか、また作中の人物の男女比などを気にしますか。
A25 まんべんなく書くようにしていますが、どうしても自分の実年齢に近いものがおおくなります。
Q26 未完成で投げてしまった作品はありますか、またその作品を完成できなかったのはなぜだと思いますか。
A26 あります。あまりに陳腐だったので。
Q27 その時の流行等を意識して作品を作りますか、またそういった作品に対してどういった考えを持っていますか。
A27 流行よりも自分の言いたい事を優先します。
Q28 その時自分が熱中している物事の影響が作品に出やすいですか。
A28 はい。
Q29 自分の作品が販売されることになったとします、表紙等はどのようにしたいですか。
A29 好きなイラストレーターに描いていただきたいですねぇ。
Q30 登場人物を作る際、どのようにして人柄やイメージを作りますか、また人物で重要視することは何ですか。
A30 どちらかというと、勝手に浮かんできます。
Q31 自分は登場人物を殺す方だと思いますか。登場人物を殺すことに対してどのような考えを持っていますか。
A31 必要があれば。ばたばた殺すのは趣味ではありません。
Q32 暴力やグロテスクな表現、性描写に対してどのようなスタンスを持っていますか、また自分は使用しますか。
A32 必要であれば。あまり書きませんが。
Q33 日常的(食事風景等)な描写に対してどのような価値観を持っていますか、また自分は使用しますか。
A33 書きます。とても重要だと思っています。
Q34 作品の評価ポイントはどこにあると思いますか、他人の作品を見る際はどのような点に注目して見ていますか。
A34 まずは意味が分かる事。あとは言いたい事が伝わるかですよね。
Q35 意図的であるなしにかかわらず作中で多用する表現、台詞、描写などはありますか。
A35 あると思います。
Q36 登場人物と自分とを切り離して考えていますか、性格や思考などが登場人物に出やすいことはありますか。
A36 わりと投影されやすい方です。
Q37 他の創作を行っている人に対して聞いてみたいことはありますか。
A37 言いたい事が伝わっているかどうか、訊いてみたいです。
Q38 今後はどのように創作と関わっていきたいと思いますか、あなたにとって創作とは何ですか。
A38 生き甲斐だと思っています。
Q39 おつきあいくださり有り難うございました。バトンを回したい方がいましたらあげてください。
A39 特にいません。まだ孤独でして。
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Posted by 八少女 夕

トラックバックテーマ 第1398回「あなたはドラマ派?バラエティー派?」

どっちでもないですね。テレビってほとんど観ません。観るとしたらドキュメンタリーとかニュースとか歴史物とか。海外に移住してから、さらに観なくなりました。最近はぼーっとしていても言葉がわかるようになってきましたが、以前はそうとう集中しないと理解できなかったので、疲れちゃうという理由で更にテレビ嫌いになっちゃいました。


こんにちは!トラックバックテーマ担当の新村です今日のテーマは「あなたはドラマ派?バラエティー派?」です!もちろんテレビ番組の話なんですが、新村はどちらかというとバラエティー派ですいや、最近はバラエティーしか...
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Posted by 八少女 夕

iPhoneのプレイリストで

基本的にiPhoneのプレイリストには、現在集中して書いている作品にあった音楽を入れておいて、シーンなどを組み立てるのに使っている。

長い作品になると、BGMも多岐にわたり、まるでサントラのようになっている。

一つの作品が終わって「次どうしようかな」という時には、こういうサントラ系プレイリストは意識的に聴かないようにしている。いつまでも、前の作品の音楽に浸っていると、次の作品が書けないから。音楽がその切り替えのスイッチになっている。

現在、入れているプレイリストは、まだどの作品用と固まっていないもので、いくつかの氣にいった曲が適当に入っているんだけれど、そのうちの三曲が、別々の作品に合ってきだしている。で、曲が替わる度に別の作品の世界にスイッチが入るようになりつつある。とても忙しい。

そろそろプレイリストを分けないとダメかも。音楽聴く度にこんな事しているのって、私だけかなあ。
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Posted by 八少女 夕

おお?

あれれ?

ほんの少しずつだけれど、アクセスが伸びている。FC2小説の方も閲覧が増えている。どうやってみんな後からわかるんだろう。数時間経てば、更新情報も新着情報もどんどん埋もれてしまうから、更新したらすぐにたくさん告知しないとダメだと思っていた。

どうやら、増えているのはコミュニティからのアクセスじゃないみたい。どうして?

ブログの仕組みってよくわかりません。でも、こんなにたくさんの人に読んでもらえるなんて、考えてもいなかったので嬉しいです。

コメントやご指摘などもお待ちしています。怖いけれど。
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Posted by 八少女 夕

プロフィール写真

プロフィール写真を変えてみました。あまり変わらないと思うけれど。

FC2小説の方にも、ここで発表している小説を置いていて、表紙をオリジナルに変えたんですよね。その写真がわりと氣にいったので、あわせてみたんです。変える前も、後も、どっちもひまわりですが。

プロフィール写真、最初はアバターにしたんですが、自分らしくないような氣がして、ひまわりにしました。大好きな花。撮ったのは我が家の近く。この花は、日本でもスイスでも変わりない。太陽にいつも向かっている所が好きです。
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Posted by 八少女 夕

【小説】大道芸人たち (2)ピサ、大道芸人入門

連載の第二回です。海外旅行をする日本人とヨーロッパ人はちょっと違います。今回は、それが少しだけモチーフになっています。




大道芸人たち Artistas callejeros
(2)ピサ、大道芸人入門


「斜塔に登る!」
蝶子が言った。三人はピサの斜塔の真ん前にいた。

「そんな簡単に登れませんよ」
レネが困ったように答えた。
「登れないの?せっかくピサまで来たのに?」

「制限があるんだってさ。ツアーを予約しておかないと無理みたいだ」
稔が掲げてある説明書きを苦労して読んでいる。

蝶子は振り返って訊いた。
「イタリア語できるんだ?」
「出来ないよ。読んでいるのは英語だ。お前は?」
「イタリア語は簡単な会話だけね。フランス語は皆無」
「それはレネに任せとけばいいだろう。英語は達者みたいだな。ドイツ語も出来るんだろう?」
「そうね」
「ってことは。イタリア、フランス、英国、ドイツ、スイス、オーストリアは問題なく行けるな」

「ドイツに行くの?」
蝶子は眉をしかめた。稔は「お」と思ったが何でもないように聞き返した。
「なんだよ、イヤか?」

「私、ミュンヘンには行きませんから」
「へ?いいよ。じゃ、ミュンヘンはやめよう。他に行きたくない所は?レネ?」
「パリ」
「わかった、わかった」
どいつもこいつも、スネに傷持っているんだな。

「ヤスは?」
レネが訊いた。
「俺?どこでもOK。日本以外」
今度は蝶子が「ふ~ん」という顔をした。



「斜塔が無理なら、とにかく、他のものを観に行きましょう。ドゥオモとか」
「そうだな」

「なぜ、とにかく観に行くんですか?」
レネが訊いた。蝶子は聞き返した。
「わざわざピサまで来たのに観光しないの?」

「観たいものがあるから行くならわかるけれど、とにかくっていうのは新鮮ですね」
蝶子と稔は不思議そうにレネを見た。レネはニコニコと笑った。
「僕、そこのカフェで待っています。よかったら荷物を見ていますよ」

「前にピサに来たことがあるの?」
「いや、初めてです」
蝶子と稔は顔を見合わせたが、好意に甘えることにした。

「おい。あいつが荷物持って消えたらどうする?」
「信用した私たちが馬鹿だったってことでしょ?三味線は?」
「持ってるよ。フルートは?」
「ここよ。貴重品と楽器だけは絶対に離さないわ」
「結構。じゃ、安心して、ガリレオの振り子を観に行こうぜ」

二人はドゥオモの中に入って行った。ロマネスク様式、イスラム様式、それにビザンチン様式などが入り交じった白い建物は、大きくて荘厳だった。「ガリレオのランプ」も内陣に下がっていたが、どこかで観た他のブロンズのランプと違わないようだった。
「これを見て、振り子の特性を発見した?」
「教会にいる間、長いこと上の空だったってことよね?」

アーチにシマウマのような黒と白の模様がある。こっちのほうが珍しい感じで「観光した」という氣分にさせてくれた。しかし、レネに言われた「とりあえずってのは新鮮」という言葉が二人の心に引っ掛かっていた。考えたこともなかったが、日本人の二人にとって有名観光地に来たら「とりあえず」観光するのは当然のことだった。けれど、それは本当に必要なのだろうか?

カフェに戻ると、レネは菓子パンを食べていた。イタリアによくある、不必要にネトネトして甘ったるい、見ているだけでベトベトしてくるようなあれである。ニコニコと二人に笑いかけた。疑ったことを申し訳なく思うような笑顔だった。

テーブルに座ると蝶子はラッテ・マッキャートを、稔は普通のコーヒーを頼んだ。
「おいしい?」
蝶子はちよっと眉を顰めてレネに訊いた。レネは満面の笑顔で答えた。
「ええ。パピヨンも頼みますか?」
「勘弁して」
蝶子は長い髪をすきあげて冷淡に答えた。取りつく島もない女だ。稔は思った。レネがこんなに尻尾を振っているのに。

「この後、とにかく宿を探そうぜ。お蝶、お前、どこまでひどいホテルに泊まれる?」
「さあ、昨夜ぐらいが私の今まで泊まった最低ラインだけど?」
「なんだよ。やっぱりお嬢だな、お前も。あれは俺には最高クラスだ」

二人が日本語で話しているとレネが割って入った。
「すみませんが、できるだけ英語で会話してくれませんか?」

「おう。すまん。そうだな。ルールを決めよう。三人でいる時には日本語はどうしてもわからない単語以外は使わないよ。ところで、レネ。お前も高級宿じゃないとダメか?」
「とんでもない。僕は安ければ安いほどいいんです。でも、パピヨンがいやがるような所はやめましょう」

「私の心配なら無用よ。安宿だって試してみなくちゃ。別に裕福なお嬢様じゃないんだから」
「俺たちはドミトリーに泊まるだろう。そういう宿でもシングルがある場合もあるから、そうしてもいいんだぞ」
「馬鹿にしないで。私だってドミトリーに泊まるわよ」

蝶子はそういったものの、はじめての経験にドキドキしていた。

昨夜は稔とツインに泊まった。蝶子は稔が手を出してくることを覚悟していたが、稔は何もしなかった。蝶子を大切にして手を出さなかったというよりは、まったく興味がない、という風情であった。蝶子はいつものようにシャワーを浴びたが、稔にとって暖かいお湯のたっぷり出て、リキッドソープやシャンプーの揃っているようなホテルは久しぶりだったらしい。

「ひゃ~、久しぶりだときもちいいよな」
と、満悦していた。そのエロティックゼロのリラックスぶりは、蝶子を安心させた。稔のことはまったく憶えていなかったが、園城真耶と自分を憶えていたというだけで、十分だった。

この七年間、蝶子は常に氣を張っていた。日本を離れ、ミュンヘンに留学した。留学するなら縁を切るといわれて、親と連絡を絶った。背水の陣で学んだ努力が実り、ヨーロッパでもトップクラスの教授に師事できることになった。名を為して生きていくためには、誰よりも秀でなければならないと、練習に没頭した。だが、蝶子に今残っているのは一本のフルートと、自分の奏でる音楽だけだった。

稔の乾いた態度は、蝶子には救いだった。この男と旅をしていれば、昨日のように涙を流すこともないだろう。そのためにはドミトリーだってトライしなくちゃ。



「ちょっと、あのシャワー、なんなのよ!」
蝶子は激怒していた。男女混合の六人部屋には文句はなかった。知らない女だけでの六人部屋よりも稔とレネが一緒の方がずっと心強かった。しかし、チェックイン時にトイレとシャワーのある洗面所をチェックしなかったので、特殊なシャワーに氣がつかなかったのだ。そのシャワーは節水型で、ボタンを押すと数秒間だけお湯が出る。だが、すぐに止まってしまう。やたらと高い所に固定されているため水量も弱く、蝶子の長い髪を洗うにはまったく向いていなかった。蝶子は、髪を濡らしただけでその問題点を把握し、とりあえず出てきたのだ。

稔は、この手のシャワーには慣れていたので、蝶子の問題がすぐにわかった。荷物をごそごそと探ると小さなメラミンの洗面器を取り出して蝶子に投げてやった。

「これを使って、シャワーじゃなくて洗面台で洗いな。その方が早い」
蝶子は目を丸くして受け取った。蛇の道は蛇ね。
「サンキュ」

女って大変だな。あのレベルをどのくらい保ち続けられるだろう。稔は思った。ドミトリーに泊まるような女じゃないのだ。もともと。

しかし、蝶子は難しい女ではなかった。最低限の清潔さは保とうと思えばどんな所でも保てることを証明してみせた。それでいて厄介な問題は何も引き起こさなかった。荷物をまとめるのも早いし、身だしなみも素早い。ドミトリーで男と雑魚寝をしていても、堂々としていて恥ずかしげな様子は見せない。が、だからといって女を捨てているわけではなかった。むしろ逆だった。どんなところにいようと、まったく変わらない清冽な美しさを保っていた。腰まである長い髪では、大道芸人生活にはむかないと判断したので、翌日には美容室に出かけていき、肩までの長さにバッサリと切ってしまった。その思いきりのよさも稔には好ましかった。

ピサに四日ほど滞在し、ドウォモ前でやはり満足の行く稼ぎを繰り返しているうちに、稔は蝶子に対する尊敬と仲間意識を強めていった。こんなにしなやかで強い女には会ったことがないと思った。レネの方は、日に日に蝶子に惹かれていくようだった。甲斐甲斐しく蝶子の面倒を見、食事のときはパンを切ってやったり、飲み物をついでやったりした。蝶子を賞賛する言葉も、日ごとに大げさになっていく。

「おい、レネはあれでいいのか?」
レネがシャワーに行った時に稔は半ばからかうように蝶子に訊いた。
「わかっているわよ。いいんじゃないの?私は興味ないけれど」
蝶子は言い放った。

「お前、面食いか?」
「そうでもないと思うけど。でも、私、ブラン・ベックはちょっと」
「なんだ、そりゃ?」
「日本語に訳すとくちばしの白いアヒルってことよ。青二才を意味するフランス語」
稔は吹き出した。確かにあいつにぴったりな表現だ。

翌日、蝶子は外泊するといった。休憩の時に話しかけてきたイタリア人と意氣投合したというのだ。
「おい、本氣か?」
稔は言った。
「明日の朝、帰ってくるから。荷物はよろしくね」
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Posted by 八少女 夕

トラックバックテーマ 第1397回「歯は一日に何回磨きますか?」

本当は三回ですって答えたいけれど、実際には確実に磨くのは二回ですね。

こんにちは。 トラックバックテーマ担当の水谷です。今日のテーマは「歯は一日に何回磨きますか?」です。水谷は、朝と夜で、一日に二回、歯を磨きます。本当は、お昼にも磨きたいのですが、滅多に磨かないです・・・。たま��...
FC2 トラックバックテーマ:「歯は一日に何回磨きますか?」



歯医者の先生に怒られそうだけれど、絶対に磨くのは朝と夜。歯ブラシもって毎日出かけているんだけれど、お昼は忘れる事が多いですね。

歯磨きは、毎日の努力が如実に侮れないです。さぼっているとすぐに先生にバレてしまう…。
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Posted by 八少女 夕

読む国民性

日本にオリジナル小説や二次創作をする書き手の人口が多いのは知っていたけれど、ブログをはじめて、その多さが半端じゃないなと思いましたね。

もっと驚いたのは、オリジナル小説を読む人口もとても多いと言う事。SC2の方にも登録して小説を公開したんですけれど、うわっ。閲覧数がこんなに。といっても、殿堂入りしているような小説は全然桁が違うから、大した事はないんでしょうけれど、それにしても、既に人生で私の小説を読んだ事のある人数はブログ前と後ではすでに20倍近くになっていたりします。

字を読むという事に対する貪欲さが、日本とスイスではものすごく違うような氣がします。こちらの人はそんなに本を読まないんですよね。自宅に本棚がない家もあります。日本ではあり得ませんよね。

たくさん読むから、書きたくなるってことなんでしょうか。
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Posted by 八少女 夕

【小説】大道芸人たち (1)コルシカ〜リボルノ、結成

長編の連載開始です。ヨーロッパ、音楽、旅行と好きなものを詰め込んだ小説です。どうぞおつき合いください。



大道芸人たち Artistas callejeros
(1)コルシカ〜リボルノ、結成


風が舞い上がる。コルシカフェリーの甲板にはギラギラとした陽光が降り注いでいた。レネ・ロウレンヴィルは、波の上に目を走らせた。繰り返す波の満ち引きが傷ついたレネの心を癒す揺りかごのようだ。そもそも、この船の上にはレネのように傷心の人間は乗っていないはずだった。コルシカ島には通常はヴァカンスで行く。もしくは住んでいるので家に帰る。例えばレネの叔母のように。

仕事も恋人も同じいけ好かない野郎にことごとく持っていかれた間抜けなレネは、その痛手を癒してもらうために、一週間ほど前に叔母の住むコルシカ島に降り立った。サン・フロランに住む叔母は、突然の来訪とはいえレネを暖かく迎えてくれるはずだった。予定では。

「え。今は困るのよね」
彼女は容赦なかった。家の中には若い男がいた。ロウレンヴィル家の大きな問題の一つとして、到底処理しきれないような厄介な相手に惚れてしまうという特性があった。レネもそうだし、叔母のマリも同じだった。マリの26人目の厄介な男は、どうやら甥のレネとも変わらないような歳の男らしい。マリの必死さも並大抵ではないらしく、甥ごときに邪魔されている場合ではなかった。

大した金を持ってきているわけではない。傷心を癒すほど長く滞在するにはコルシカは少々高過ぎた。だれか旅の道連れでもいれば話は別だと思うが。

レネは少なくとも多少の旅賃でも稼ぐかと、サン・フロランの海岸に向かった。パリでは手品で生計を立てていたので、観光客相手に手品を見せるぐらいはどうってことはなかった。もしかしたら、自分に惚れてくれるコルシカ娘がいて、家に泊めてくれるかもしれないし。


海岸には既に先客がいた。見たこともない変な弦楽器を奏でる東洋の若者だ。その不思議な侍コスチュームのおかげで、彼の周りにはそれなりの人だかりができていた。形勢不利。レネは思ったが、物見高い連中が揃っているのなら、多少はおこぼれに与れるかもしれない。

レネはカードからはじめた。鮮やかなカードさばきに最初に歓声を上げてくれたのは一人の少女だった。それから、レネの周りには少しずつ人が集まり始めた。リング、それに布と花など大して失敗のしようのない簡単な手品を繰り返して、レネは少しずつコインの音を聞き始めた。

東洋の男の方も大したレパートリーだった。エキゾチックなメロディもあったが、「フレール・ジャック」や「アビニヨンの橋の上で」のようなフランスの民謡を彼の楽器に合わせてアレンジした曲もあり、その技術も確かだった。


夕方になり、観光客が姿を消すと、東洋の男はにやりとして儲けを数え始めた。どのくらい長く働いていたのかわからないが、相当稼いだのは確かなようだった。レネの方はたくさん稼いだとは言い難かったが、それでも今夜の食事とホテル代くらいはなんとかなりそうだった。レネはそうやって一週間ほどコルシカ島に滞在した。サン・フロラン、カルヴィ、コルテとまわった。もちろん南のアジャクシオやポルト・ヴェッキオにも行ってみたかったが、なんせ物入りすぎる。今回はこれでいいことにして、傷心はイタリアで癒すことにしようと、バスティアでリボルノ行きのフェリーのチケットを買った。

そして、レネは甲板の上で未だ傷心のまま波の揺りかごに心を洗ってもらおうとしていたのである。



おや。レネは思った。傷心なのはレネだけではないらしい。甲板の先にすらりとした一人の女の背中を見つけたのだ。腰まである真っ直ぐな黒髪。柔らかく風にそよぐ透けたブラウス、膝まであるタイトスカートのスリットから見える足は完璧な形だった。こんなに揺れる船の中でハイヒールで踏ん張っていられるというのは、実は大した脚力の持ち主なのだが、レネはロマンチストでそこらへんの実際的なことにはまったく興味がなかった。

女はその手にフルートを構えていて、切々たる響きを奏でていた。ええと、何だっけな、この曲。レネは脳内をかき回したが曲名はどうやっても出て来なかった。女のフルートは甲板にいた人びとの注目を集めた。風に散らされているとはいえ、その音色は美しく、彼女が趣味以上にこの楽器に精通していることがわかった。レネはその切ない響きにすっかり魅せられて、彼女の方に近づいた。

女は背を向けて海の方に向かって吹いていたのだが、時おりその横顔がレネの方に見えた。

東洋人だった。切れ長の神秘的な目から涙が溢れているように見えた。それとも、これは波の飛沫なのだろうか?

マドモアゼル、もう泣くことはありませんよ。私があなたのためにここに居ます。というようないくつかの台詞を噛み締めて、レネはいつこの美しい女に話しかけるべきかタイミングを計っていた。

女は長い曲を吹き終えた。レネが声をかけるのは今だと思った途端、甲板の他の客たちが拍手をした。え。そういう状況じゃないだろうと思ったのはレネだけでなくて女も同じだったようだ。薄く形のいい眉を顰めて船の方に振り向いた途端、カラフルな姿がさっと、彼女の側に行き座り、ベベベンと、彼の弦楽器を奏でだした。

この間のサムライ姿の大道芸人じゃないか!レネは目を丸くした。それはつい今しがた女が奏でていたフォーレの『シシリエンヌ』を現代風にポップにアレンジしたものだった。女は口の端で笑うと、その三味線に合わせて切ないメロディをやはりポップに奏でだした。まるで何度もリハーサルしたかのように見事なアンサンブルだった。人びとは大喜びだった。退屈な四時間のフェリーの乗船時間になんだかよくわからないがめったに聴けない音楽が聴けたのだ。

一曲ごとに、裃を着た男は帽子を差し出し、それなりのコインや紙幣を集めた。四時間で稼ぐ額としては大したものだといってよかっただろう。


フェリーがリボルノに着き、レネは女に話しかける機会を得られないまま、荷物をまとめに降りて行った。甲板に残された裃の男は、嬉々として帽子の中の金を数えて立ち去ろうとして、きつい声で呼び止められた。
「待ちなさいよ」
「なんだよ」
「そのお金、半分は私のものでしょ」
「なんだよ、あんたは大道芸で食っているわけじゃないだろ」
「うるさいわね。こっちだって打ち出の小槌で旅行しているわけじゃないのよ。もらえる収入はいただかないと。半分がだめなら、せめて今晩の食事くらいおごりなさいよ」
「しかたないな。きっちり折半にしてもいいけど、そのかわり明日の朝も稼ぎに協力してくれよ」
「なぜよ」
「せっかく明日の宿代まで稼げたと思ったのに、またゼロからやり直しだからさ。あんたとだと効率がいいから、朝だけでなんとかなりそうなんだ」

女はしばらく考えていたが、やがて笑顔を見せて言った。
「じゃあ、しばらく協力して稼がない?私に大道芸のノウハウを教えてよ」

男は目を丸くしたが、悪いアイデアではないと思った。東洋の神秘みたいな女のフルートはがぜん注目を集める。

「じゃあ、そういうことで、よろしく。俺は安田稔」
「私はタナカユウコよ」

だが、稔は女をじっと見据えて指摘した。
「違うな。あんたはタナカユウコじゃない。フルート科の四条蝶子だ」

蝶子は眉一つあげずに、稔を見返した。

「あんたは俺を憶えていないだろうが、あんたみたいに目立つ女はクラスにはあんたの他には園城真耶しかいなかったよ」
「園城真耶もいたってことは大学のソルフェージュのクラスね。大昔のことじゃない。邦楽科も確かにいたわね。津軽三味線の名取が、こんなところで何をしているの」
「見ての通り、大道芸さ」

「私を知っているなら、話は早いわ。わがままなのもわかっているでしょ?今夜はカジキマグロが食べたい氣分なの。サンドイッチ屋なんかには行きませんから」
「いいけど、それならシングル二つは無理だぜ。ドミトリーかツインルームで割り勘だ」
「ご随意に」

変な女だ。それが蝶子と稔の再会というよりは出会い、後のArtistas callejerosの結成だった。



明くる朝、リボルノ駅で、レネは目を疑った。あれは昨日の東洋のお姫様じゃないか。何で未だにサムライ男と稼いでいるんだ?レネはこのつまらない港町をさっさと発ってピサにでも行こうかと思っていたのだ。駅についたら構内でフルートと例の妙な弦楽器の音が聞こえた。それで、あわてて人手をかき分けて、間違いなく例の二人だと確かめた。

レネの目が確かなら、お姫様は大道芸人ではなかった。昨日は明らかに、そこのサムライ男に巻き込まれていたのだ。しかし、今のこのハマり様はいったいなんなんだ。二人はまるでいつもパートナーを組んでいるコンビのように見えた。今日は男が昨日の変なサムライ・コスチュームを着ていないので、二人の服装の違和感もなかった。そして、二人とも確かな腕を持っていた。大道芸でなくてもやっていけそうな技術に、豊かなレパートリー、そしてサービス精神満載の演技力。いったいなんなんだ、この二人は。

帽子とフルートの箱には、結構な量のコインとお札が入っていた。ある程度演奏すると、二人は少し休み、儲けを片付けて、それから水を飲んだり果物を食べたりしていた。

稔は蝶子にささやいた。
「見ろよ。あそこにずっといるメガネ男、昨日フェリーでお前に話しかけたがっていたヤツだぜ」
「そうなの?確かに、昨日甲板にいたわよね」
「サン・フロランで、となりで手品やっていたよ。あいつも同業者だ」
「ふ~ん。縄張り荒らしとかあるの?」
「音楽同士はダメだな。でも、音楽と手品ならむしろ相乗効果になるよ」
「じゃあ、声かけてみれば?」
蝶子がそういったので、それも一案だなと稔は思った。

「よう。お前は今日は祝日か?」
話しかけられてレネはびっくりした。

「いや、ピサに移動してからと思っていたんだけど…。僕を憶えていたんだ」
「サン・フロランで手品していただろ。昨日もフェリーにいたし」
「うん。君たちはチームなのかい?」
「そうさ。実を言うと、昨日、結成したんだ。俺たち同じ日本人同士だし、一緒だと効果的なんでね。お前もなんならここで稼ぐか?俺たち、これから交代でメシに行くつもりなんだけど、お前が手品するならかわりばんこにBGMしてやるぜ。そのかわり稼ぎは折半だけどさ」

レネの顔は輝いた。ようやくお姫様に近づける。それに心強そうな大道芸人のバックアップも。もしかしたら、しばらく旅の道連れにしてもらえるかもしれない。一人で傷心旅行を続けるのに、レネは既に飽き飽きしていたのだ。一人だと話す人もいないし、食事も寂しく、宿を探すのも難しい。

「もちろん。僕はレネ・ロウレンヴィル。パリの出身だよ。君たちは?」
「私は四条蝶子」
「シジョチョコ?」
「チョウコ。バタフライって意味だよ。俺は安田稔。ヤスでもミノルでも呼びやすいヤツで呼んでくれ」
「ヤス、ですね。カードゲームの名前と同じだ。それなら絶対に間違えないな。そう呼ばせてください」
「あら。じゃあ、私もヤスって呼んでいい?」
「好きにしな」

「マドモワゼルのことはマドモワゼル・パピヨンと呼んでもいいですか?」
「マドモワゼルはいらないわよ。じゃ、あたし、コーヒー飲んでくるから荷物よろしくね」
「おう、任せとけ。レネ、さっさと手品始めな」

稔は大満足だった。朝食前に今日の予定額を既に稼いでしまった。蝶子は大学時代から上手だったが、あの時とは較べものにならないほど腕を上げていた。こんな所で何をしているのかわからないが、本職は大した演奏家なのかもしれない。最後に聞いた噂ではドイツに留学したってことだったがもうずいぶん前のことだった。

蝶子は大学ではとても目立っていた。邦楽の稔ですらも、ソルフェージュのクラスメイトだった洋楽の連中から時々噂を聞くことがあった。清冽な美貌のせいでもあったが、その技術とそれに負けないきつい性格のせいでもあった。一匹狼で友人も少なかった。裕福な子女の多い音楽大学の中で、親に反対されて奨学金とアルバイトだけで通っている変わり種とも聞いていた。同じクラスにいた究極のお嬢様の園城真耶と常に比較されていた。

ヴィオラ専攻の園城真耶が、大学卒業後に順調にキャリアを重ね、いまやクラッシック界を代表する若手ホープとなっているのに、蝶子の噂は留学以来ぷっつりと途絶えていた。しかし、この腕からすると、もしかするとヨーロッパで活躍しているのかもしれない。

そんなことを考えつつ、稔はレネの手品に合わせて、あまり邪魔をしない適当なメロディを弾いていた。

大したものよね。朝食を終えて戻って来た蝶子は稔を見て思った。津軽三味線で伝統の曲を弾けるだけならさほど驚かなかっただろう。邦楽の連中は、普通は大学に来る頃には名取になっていて、大学は単なるハク付けのためだけでしかないことが多い。つまり、洋楽と違って技術的にはほとんど完成していることが多いのだ。しかし、稔は自由自在にこの楽器を扱っていた。日本民謡、ポップス、カンツォーネ、映画音楽。音色も微妙に変え、アレンジも自由自在だ。舞台やホールのためではなくて道行く人を短い間にどれだけ唸らせることが出来るか、そのサービス精神が凝縮している音楽だった。稔のさっぱりした性格も氣に入った。昨夜以来一緒にいるが、妙な詮索は一切しなかった。昨日甲板で私が泣いていたのを知っているだろうに。

蝶子はここ半月ほどひどい精神状態にあった。行くところも帰るところもなかった。でも、いまはその事を考えなくていい。少なくとも数日間は何も知らないこの男と大道芸に集中しようと思った。それが生きるための新しいレールになる予感があった。

「代わるわよ」
蝶子は稔に言った。レネの目が輝いた。蝶子はレネに微笑みかけた。真っ赤になっている所を見るとあまり女に慣れていないらしい。フランス人なのに。茶色い巻き毛、ひょろ長い手足。あまり知的に見えないメガネ。年下かしらね、青二才っぽいわねぇ。そう呼んじゃおうかしら?

蝶子は適当に映画音楽を吹いてやった。手品の腕は確かそうだった。とくにカードの扱いは見事だ。プロみたいね。大道芸人ってたくさんいるのね。自分がするまで、こういう人たちのこと、よく見たこともなかった。

十一時ころまで稼いで、三人は一度、撤収した。一つには本日の目標の倍近く稼いでしまったからだ。それに、いつまでもこんなつまらない港町にいないでどこかに移動したいと蝶子が言い出したからだ。それは正論だった。

「一番近い所でピサに行きますか?それともミラノかフィレンツェへ?」
「お前、予定や期限はあるのか?」
稔が蝶子に訊いた。蝶子は首を振った。
「何もないわ。どこに行ってもいいし、いつまででも構わない。ヤスは?」
「俺は風来坊だ。レネはパリに帰る予定があるのか?」
「僕は帰る予定のない旅に出てまだ一週間です。少なくとも数ヶ月は稼ぎながらあちこち見れればいいなと」

「じゃあ、多数決で行き先を決めようぜ。俺はフィレンツェに行ってみたいな」
「フィレンツェも行きたいけれど、先にピサは?近いし、いまからフィレンツェに行くと宿探しが大変そうじゃない?」
「僕もパピヨンに賛成です。ピサに行ってから、フィレンツェに行きましょう」
「OK」
三人は、窓口に切符を買いに向かった。
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