ご挨拶
さて、ということで、2017年のことと2018年の抱負(?)をお伝えしようと思います。
【ブログの活動】
2017年は、少しだけ創作活動が減りましたが、下記のような作品を発表しました。
長編・郷愁の丘 (連載中)
短編集・十二ヶ月のアクセサリー (完結)
不定期連載・バッカスからの招待状
企画もの・scriviamo! 2017の作品群
その他、外伝やエイプリルフール作品など
「郷愁の丘」はさすがに書き終わっていますが、それ以外はかなりの作品がほぼ書き下ろしという、かなり自転車操業的創作活動でした。
また、「Stella」用の作品と、「十二ヶ月のアクセサリー」を別に企画したため、「郷愁の丘」の連載が妙にぶつぶつ切れた他、次の長編の執筆時間が取れないという事態になりましたので、2018年はその反省から「Stella」用の作品と「十二ヶ月の〇〇」はおなじものでいくことにしました。
2018年は「十二ヶ月の情景」という抽象的な題で、作っていきたいと思います。これはおよそあと一ヶ月ほどで到達すると予想している100,000Hit記念リクエストも兼ねる予定だからです。
既に始まっている「scriviamo! 2018」、その後に「郷愁の丘」の連載、それが終わったら少しずつ「黄金の枷」シリーズの続編または「森の詩 Cantum Silvae - トリネアの真珠」の方を開示していけたらいいなと思っています。またしても「発表するする詐欺」になりそうな氣がしないでもありませんが。
【実生活】
・ポルトとイタリア、そしてフランス語圏スイス旅行
2017年もしつこくポルトに行きました。おそらく2018年も行きます。
北イタリアは連れ合いと一週間のバイク旅行でした。実は、昨年から私の年齢がとある大台に載ったために法律で定められた最低有給休暇が五週間になったのです。それで、「ほかに取れる時季ないじゃない」という理由でスイスで働き出して初めて六月に休みをとりました。まだそこまで暑くないと思っていたら猛暑でした(笑)
行ったところは、既に何回も行っているおなじみの地域で、「夜のサーカス」をはじめいくつかの作品の舞台にしています。だから、何度訪れても意味不明にニヤニヤしてしまう私なのです。
夏休みはいつも地域の学校の夏休みが終わった頃、つまり道路があまり混んでない時期を狙って有休を取るのですが、2017年は義母が重病ではないのですが入退院を繰り返していたので二週間もいなくなるのは不安で、何かあったらすぐ戻れるように国内旅行をするのにとどめました。向かった先は、ずっと行っていなかった連れ合いの生まれ故郷です。ジュネーヴ近くのレマン湖畔にあるのですが、山間の私の住む地域とまったく違う環境なのです。そもそもフランス語圏ですし。
2018年は、春のポルト旅行までは決まっていますが、それ以外はまだ未定です。もしかするといつもより早いですが日本に一時帰国するかもしれません。東京の母も結構高齢になってきましたし……。
・仕事と家庭
これは現状維持でしたね。
物質的なことで言えば、このブログを更新したり、皆様のところを訪問したりするこのMacを買い換えたり、ちょっとお高いハンディクリーナーDyson V8をついに買ったりと生活に変化のある年ではありました。もちろん見違えるように便利になりましたが、生活パターンそのものはほぼ同じですから、要するにこれまで我慢していたストレスは減ったものの、自分の生活様式をそのまま守っているということになりそうです。私は残業もほとんどしませんし、家庭でも必要以上には頑張らず、自分が心地良いという日常をキープしています。その分お城が買える日は永久に来ないでしょうが、それでいいと思っています。(あたりまえ)
何よりも大切なのは、健康と平穏な日常だなと思います。
同年代の知り合いに重篤な病が見つかったり、久しぶりに知り合いのニュースを聞いたと思ったら訃報だったなんてことも増えてきたこの頃、健康の現状維持というのがどれほどありがたいのか、しみじみと思います。
世界は激変していて、そのせいで職を失ったという話も耳にします。大きな変化はなく働くところもあるというのはありがたいことです。日本の様に「正社員は犯罪以外では滅多にクビにならない」というような楽な雇用環境ではないので先のことはわかりませんが、2018年も真面目に普通に勤めていこうと思います。二年に一度の試験も無事に受かったので2018年はそれに怯えなくて済みますし。
そういうわけで、特に目新しい目標もありませんが、ゆるゆるとやっていこうと思うます。
このブログを訪れてくださるみなさま、おつき合いくださるブログのお友だちの2018年の健康とご多幸を心からお祈りして、新年のご挨拶に代えさせていただきます。
2018年もどうぞよろしくお願いいたします。
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レネ&ヤスミンのイラスト、いただきました
ご自身のブログの記事

このイラストの著作権はユズキさんにあります。無断転用は固くお断りします。
描いていただいたのは、当方の作品「大道芸人たち Artistas callejeros」のメインキャラ、レネとその恋人のヤスミンです。
既に完結している第一部ではヤスミンはそんなに重要な役割ではないのですが、第二部ではかなり重要なサブキャラです。そして、これが初イラストなのですよ!
そして、この二人の力関係が「どうしてわかったの」というくらいよく現れていますね! そうなんですよ。朝ごはんをせっせと用意するレネ(笑)
そして、このワンちゃんがもう! 私、柴犬大好きなんです。こちらではあまり見かけませんが(あたりまえ)もし飼うとしたら柴犬がいいなあと思うくらい好きです。現在scriviamo!が始まってしまって、他の作品書いている余裕ないんですが、それでもなんか書きたくなってしまいましたよ。う〜、なんとか近い内に。
ユズキさん、本当にありがとうございます! 大切にします。
【大道芸人たちを知らない方のために】
「大道芸人たち Artistas callejeros」は当ブログで連載している長編小説です。第一部は完結済みで、第二部のチャプター1を公開しています。興味のある方は下のリンクからどうぞ
![]() | 「大道芸人たち 第一部」をはじめから読む あらすじと登場人物 |
![]() | 「大道芸人たち 第二部」をはじめから読む あらすじと登場人物 |
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【小説】帰りを待っているよ
十二月のテーマは「リボン」です。リボンが重要な役割を果たす小説は一度書いたことがありますけれど、今回はちょっと趣を変えて包装についていたリボンです。
あらかじめ大金を払っておいて、子供たちが好きなものを手にできるようにするという篤志は、今年見たニュースからヒントを得ました。で、さりげなく書いていますが篤志しているのは、社名から分かるかもしれませんが、最近やたらと登場するあのヒトです。この話にはまったく関係ないですけれど。
このシリーズ、今年も結構な綱渡り&自転車操業でしたが、無事に全部書いて発表できました。ああ、よかった。来年のこのシリーズは、大半をみなさまからのリクエストに基づいて書いていく予定です。詳細はもう少し先に発表しますのでお待ちくださいね。

帰りを待っているよ
メイは額をぴったりと窓ガラスにくっつけて、ウィルソン家の居間兼食堂を覗き込んでいた。昨日の朝、お祖母さんの家庭訪問ナースがいつものように綺麗に片付けたはずなのに、ジミーがパンやお菓子を散らかしながら歩いたあとが残っていて、それに帰って来たばかりのジミーのダディが脱いだ服やさっき使ったのであろうバスタオルを置きっ放していた。
夕焼けの西陽が差し込むテーブルの上には、食べ終えて後片付けのしていない朝食が残っていた。失敗したような目玉焼きと油の多すぎるベーコン、焦げてしまったトーストなどはメイの食欲をそそらないし、興味もなかった。
視線を移すと、急いで着替えたらしいジミーのTシャツと短パンがソファに無造作に置かれていた。おとといメイと一緒に遊んだ時に着ていたものだ。二日も替えていなかったのかと思うと、少しジミーがかわいそうになった。メイのママは、ご飯が終わると三分でテーブルを片付ける。メイが外から帰ってきて服が汚れているとすぐに着替えさせてくれる。
そして言うのだ。
「ジミーは、どうしているの。お祖母さんとご飯?」
「うん。ご飯の用意して、ジミーが寝るまでいてくれるんだって。でも、補聴器を外して睡眠薬のんで寝ちゃうので、夜中に目が覚めても起きてくれないんだって。ジミーは、目が覚めたら必死で目を瞑って、朝になるように願いながらお布団に潜り込むんだって」
「まあ。なんて可哀想に。でも、お祖母さんがいるのにわが家に来た方がいいとは言えないしねぇ。とにかく、ジミーには優しくしてあげなさいね。あんなに小さいのにお母さんを亡くして氣の毒なんだから」
ジミーのママは去年お星様になった。
「いい子にするのよ。愛しているわ」
その最後の言葉を守って、ジミーはわりといい子にしている。少なくともメイの知っている六歳児の中では一番のいい子だ。
お祖母さんが遠くまでいけないせいで、他の子供たちと簡単に遊べないから、いつも隣のメイの所に遊びに来る。自分のママが死んじゃって、ダディも遠くに出かせぎに行ったままなんて状況に自分が耐えられそうもないと思うので、メイはジミーに優しくしてあげなくちゃと思う。私はもう八歳だし。
汚れた窓ガラスから覗き込む居間の奥に古い大きな肘掛椅子があって、そこに大きなテディベアが座っている。首には大きな派手なリボンが蝶結びにしてあった。
そのリボンは、メイの一番のお氣に入りだった。
この州で一番大きいデパートメントストアに、毎年「サンタクロースの贈り物」が届く。ニューヨーク在住の若い大富豪が慈善として子供達へとあらかじめ料金を払ってくれているので、クリスマスの前の一週間におもちゃ売場に行くとタダで欲しいおもちゃをもらえるのだ。
メイは、去年はじめてそのデパートメントストアに行った。そして、筆箱をもらった。パッケージについていた虹模様のオーガンジーのリボンは、半年間、メイの一番好きなリボンとしてそのポニーテールを彩った。ジミーがそれを欲しがるまでは。
それはジミーのダディがまた出稼ぎ先に帰ってしまった週で、寂しがってわがままになってしまったジミーがテディベアの首に欲しいと泣いたのだ。ジミーのためにおもちゃを譲るのも、出かけるのを諦めるのも、メイはあまり残念だとは思わなかったけれど、このリボンだけはとても残念だった。
あのクリスマスプレゼントをもらいに、ママは二時間もかけてわざわざあのデパートメントストアにはもう行かないだろうし、似たようなリボンはどこにでもあるわけではなかったから。
ダディやママを失うことに較べたら、リボンをあげることが何でもないことぐらいわかっている。その事でジミーに腹をたてているわけでもない。
でも、今日のテディベアは、とても寂しそうだ。ジミーは、クリスマス休暇で帰ってきたダディに抱きついて離れなかった。そして、今日は早くから二人でどこかへと出かけて行ったのだ。
半年ぶりだものね。二人でゆっくりしてくるんだろうな。
ジミーのいない週末は、本当に久しぶりだ。あの子のことを心配せずに楽しめる滅多にないチャンス。そう思ってもメイはなんとなく落ち着かなかった。夕焼けの光に赤く染まった誰も居ない部屋に、座ったテディの黒いボタンの瞳が寂しそうにこちらをみている。メイがこの部屋にいる時は、ほとんどいつもジミーが抱きしめていたので、ぽつんとこんな風に座っている姿は初めて見た。ジミー、何しているのかな。
「メイ! どこにいるの、メイ!」
ママだ。どうしたんだろう。
「いま行く!」
メイは急いで自分の家に戻った。
「あなたにサンタクロースからの使者が来たのよ」
玄関でママはニコニコ笑っていた。メイは不思議に思い靴を見ようと玄関を覗き込んだ。くたびれた大きい靴と、それからよく知っている少し汚れた小さい靴。なあんだ!
「ジミー!」
バタバタと音がして、奥からジミーが走ってきた。
「メイ! どこにいたの?」
ジミーの家を覗き込んでいたんだよ、というのも妙だったので「その辺」とだけ言った。奥からジミーのお父さんも出て来た。手に赤い包み紙の箱を持っていた。
「メイ。久しぶりだね。僕のいない間、ジミーの面倒をとても良く看てくれたそうだね」
そう言って、赤い包みを差し出した。その包み紙とリボンを良く知っていてドキドキした。
ニューヨークの健康食品会社ヘルサンジェルのロゴが金色で散りばめてある真っ赤な包装紙は、あのデパートメントストアで渡される「サンタクロースの贈り物」にだけ使われる。そして、ジミーのテディベアが首にしているのと同じ七色で針金入りのオーガンジーリボン。二人は今日、あそこに行ったんだ。
「これ、あたしに?」
メイはどきどきしてジミーのダディとジミー、そしてメイのママの顔を代わる代わる眺めた。「サンタクロースの贈り物」は、連れていった子供の数しかもらえない。メイがもらえるということは、つまりジミーはもらえないということではないのか。
「いいんだよ。メイ。ジミーもほら」
ジミーのダディは、ジミーが手にしている飛行機のおもちゃを視線で示した。
「ジミーの欲しいものは、ウィルソンさんが支払って、その分あなたの好きそうなものをジミーが選んでもらって来てくれたんですって。二人にお礼を言ってね」
「ジミー、ジミー。ありがとう!」
メイは、ジミーに抱きついた。メイのママとジミーのダディは一緒に笑った。
「まだ包みを開けてもいないのに」
メイは、そのリボンがまた自分のものになったことがとても嬉しかった。ジミーが、それを贈ってくれたのが何よりのプレゼントだと思った。ジミーがメイの好きそうなものを選ぶと、いつも警察の車とか、ティラノサウルスのフィギュアとか、全然メイの好みとは違うものになるけれど、そんなことはどうでもよかった。
今年のクリスマスはとても素敵だ。こんなにみんなが幸せに思えるプレゼントを用意できるなんて、サンタさんってすごいなと、メイは思った。
(初出:2017年12月 書き下ろし)
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「scriviamo!」というのはイタリア語で「一緒に書きましょう」という意味です。
私、八少女 夕もしくはこのブログに親近感を持ってくださるみなさま、ずっと飽きずにここを訪れてくださったたくさんの皆様と、作品または記事を通して交流しようという企画です。創作関係ではないブログの方、コメントがはじめての普段は読み専門の方の参加も大歓迎です。過去5回の「scriviamo!」でも参加いただいたことがきっかけで親しくなってくださった方が何人もいらっしゃいます。特別にこの企画のために新しく何かを用意しなくても構いませんので、軽いお氣持ちでどうぞ。
では、参加要項でございます。(例年とほぼ一緒です)
ご自身のブログ又はサイトに下記のいずれかを記事にしてください。(もしくは既存の記事または作品のURLをご用意ください)
- - 短編まはた掌編小説(当ブログの既発表作品のキャラとのコラボも歓迎)
- - 定型詩(英語・ドイツ語・または日本語 / 短歌・俳句をふくむ)
- - 自由詩(英語・ドイツ語または日本語)
- - イラスト
- - 写真
- - エッセイ
- - Youtubeによる音楽と記事
- - 普通のテキストによる記事
このブログや、私八少女 夕、またはその作品に関係のある内容である必要はありません。テーマにばらつきがある方が好都合なので、それぞれのお得意なフィールドでどうぞ。そちらのブログ又はサイトの記事の方には、この企画への参加だと特に書く必要はありません。普段の記事と同じで結構です。書きたい方は書いてくださってもいいです。ここで使っているタグをお使いになっても構いません。
記事がアップされましたら、この記事へのコメント欄にURLと一緒に参加を表明してください。鍵コメでも構いません。「鍵コメ+詩(短歌・俳句)」の組み合わせに限り、コメント欄に直接作品を書いていただいても結構です。その場合は作品だけ、こちらのブログで公開することになりますのでご了承ください。(私に著作権は発生しません。そのことは明記します)
参加者の方の作品または記事に対して、私が「返歌」「返掌編」「返画像(絵は描けないので、フォトレタッチの画像です。念のため)」「返事」などを書き、当ブログで順次発表させていただきます。Youtubeの記事につきましては、イメージされる短編小説という形で返させていただきます。(参考:「十二ヶ月の歌シリーズ」)鍵コメで参加なさった方のお名前は出しませんが、作品は引用させていただくことがあります。
過去に発表済みの記事又は作品でも大丈夫です。(過去の「scriviamo!」参加作品は除きます)
また、「プランB」を選ぶこともできます。
「scriviamo! プランB」は、私が先に書いて、参加者の方がお返事(の作品。または記事など)を書く方式のことです。
「プランB」で参加したい方は、この記事のコメント欄に「プランBで参加希望」という旨と、お題やキャラクターやコラボなどご希望があればリクエストも明記してお申し込みください。
「プランB」でも、参加者の方の締め切り日は変わりませんので、お氣をつけ下さい。(つまり遅くなってから申し込むと、ご自分が書くことになる作品や記事の締切までの期間が短くなります)
期間:作品のアップ(コメント欄への報告)は本日以降2018年2月28日までにお願いします。こちらで記事にする最終日は3月10日頃を予定しています。また、「プランB」でのご参加希望の方は、遅くとも2月4日(日)までに、その旨をこの記事のコメント欄にお知らせください。
皆様のご参加を心よりお待ちしています。
【注意事項】
小説には可能なかぎり掌編小説でお返ししますので、お寄せいただいてから一週間ほどお時間をいただきます。
小説以外のものをお寄せいただく場合で、返事の形態にご希望がある場合は、ご連絡いただければ幸いです。(小説を書いてほしい、エッセイで返してくれ、定型詩がいい、写真と文章がいい、イメージ画像がいいなど)。
ホメロスのような長大な詩、もしくは長編小説などを書いていただいた場合でも、こちらからは詩ではソネット(十四行定型詩)、小説の場合はおよそ3,000字〜10,000字で返させていただきますのでご了承ください。
当ブログには未成年の方も多くいらっしゃっています。こちらから返します作品に関しましては、過度の性的描写や暴力は控えさせていただきます。
他の企画との同時参加も可能です。例えば、Stella参加作品にしていただいても構いません。その場合は、それぞれの規定と締切をお守りいただくようにお願いいたします。私の締め切っていない別の企画(神話系お題シリーズなど)に同時参加するのも可能です。もちろん、私の参加していない他の企画に提出するのもOKです。(もちろん、過去に何かの企画に提出した既存作品でも問題ありません)
なお、可能なかぎり、ご連絡をいただいた順に返させていただいていますが、準備の都合で若干の前後することがありますので、ご了承くださいませ。
嫌がらせまたは広告収入目当の書き込みはご遠慮ください。
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【小説】クリスマスの贈り物 (後編)
前編で彼の寄宿学校時代の悲しい思い出と、現在のうら寂しい待降節の過ごし方を描写しました。後半は、彼が大学の講義の帰りに街に立ち寄るところから始まります。都会だとインフラも郵便も買い物ですらも自宅にいるまま楽に受け取ることができますが、彼の住んでいるところは水道もガスも通っていませんし、郵便すらも配達してくれません。だから自分で週に一度調達に行くのです。
なお、待降節というのはクリスマスの前の四週間のことです。四週間かけてクリスマスの準備をして行く時期で、クリスマスカードを送ったり大掃除をしたり、もしくは仕事納めに向けてラストスパートをかけたりするのですね。このストーリーも今年はここまでです。来年の再開を待っていただけると嬉しいです。
![]() | 「郷愁の丘」を読む あらすじと登場人物 |
クリスマスの贈り物 (後編)
彼が大学に講義にいくと、帰り道にイクサの街に立ち寄る。スーパーマーケットで買い物をし、預金を下ろしたり、支払いをしたり、ガスボンベを交換したり、給油をするなど何かと用事があった。
彼はATMに向かった。この時期はいつもよりも出費が多い。父やレイチェル、それにマディたちに何かプレゼントを買わなくてはいけない。それに、絶対に遅れてはならない支払いも多い。家事の手伝いをしてくれているアマンダや、調査を依頼しているレンジャーたち、それに頼み事をしたマサイの長老たちにも遅滞なく払わなくてはならない。税金や家や車の維持のためにもまとまった現金が必要になる。現在の残高で足りるだろうか。
彼はニューヨーク行きで思った以上の出費があった事を考えて、不安になった。現金を引き出す前に、残高照会のボタンを押した。
表示された金額に、彼は眉をひそめた。何かの間違いだと思った。別の人の口座なのかと。そんなはずがない事を冷静に思い返し、もう一度金額を見た。思っていたよりもゼロが二つ多い。こんな残高を目にしたのは何年ぶりだろう。
彼は、入出金明細をプリントアウトした。そして、理解した。ニューヨークから戻ってから一度も口座を確認していなかったので氣がついていなかったのだが、既に三回もニューヨークのダンジェロ氏からの援助金が振り込まれていたのだ。二回分は、契約通りの毎月振り込まれるべき金額だったが、最初に振り込まれていた金額の意味がわからない。早急にお礼と確認の手紙を書かなくては、彼は思った。
家に戻る前に、郵便局に向かった。その小さい郵便局に、彼の私書箱がある。《郷愁の丘》はあまりにも人里離れているので、郵便配達など望むべくもない。彼は大学からの手紙や広告などを取り出した。
「窓口に寄ってください」
手紙の下には、メモが入っていた。彼は訝りながら窓口に向かった。
「こんなメモが入っていました」
そう伝えると、局員は奥に入っていき、やがて少し大きめの箱を二つ持って戻ってきた。
「こちらが届いていました」
彼は差出人を見た。重い一つはダンジェロ氏からで、それから、かなり大きいもう一つを見て笑顔になった。ジョルジアからだ。
彼女からの手紙を受け取ると、彼はいつも待てずに車に戻るとすぐに開けて読むのだが、今日は小包なので、《郷愁の丘》に戻るまで我慢した。一緒にいるルーシーもジョルジアからだとわかるのだろうか、小包に前足を掛けてやたらと尻尾を振っていた。
入金の事があったので、先にダンジェロ氏の小包を開けた。二本のボトルが目に入った。一本はプロセッコだった。アダミのヴィンテージだ。数年前のクリスマスに、父親の家で飲んだイタリアのスパークリングワインは、ダンジェロ氏が送ってきたものだったのかと思った。シャンパンはもとよりスパークリングワインの価値や値段などわからない。でも、レイチェルとマディが「いつも滅多に手に入らない最高級のスプマンテを贈ってくれる大富豪」と言っていたのを思い出した。
もう一本は赤ワインのようだった。ボルゲリ・サッシカイア テヌータ・サン・グイドー。イタリア産ワインという事しかわからないが、これもいいワインなんだろう。
カードが目に入ったので開いた。
親愛なるスコット博士。クリスマスおめでとう。
あなたがパーティで飲み損ねたスーペル・トスカーナは、本当に素晴らしい出来でした。全く同じではないですが、このサッシカイアを飲んでみてください。僕やジョルジアが祖先の土地であるイタリアに感じている誇りに納得していただけるはずです。
契約通りに援助金の振込を開始しました。それに、失礼かとは思いましたが、前回の学会の旅費ならびに滞在費についても、少しお手伝いさせてください。妹は、そちらで二週間もお世話になったとのこと、よほど楽しく、幸福で、身になる滞在だったとみえて、その事を訊くと珍しく熱弁を振るってくれます。これほど生き生きとした妹を見るのはここ十年でなかったことです。神が彼女をあなたと逢わせてくださった事に心から感謝しています。
来る年のあなたの健康と、研究の更なる発展をお祈りします。来年、契約通りニューヨークに報告にいらしてくださる時にお逢いするのを楽しみにしています。次回は、ジョルジアとあなたをニューヨークで最高のレストランにご案内しますよ。よい年をお迎えください。マッテオ・ダンジェロ
彼は呆然として、そのカードを眺めた。ジョルジアが「兄さん、あなたのことをとても氣にいっているみたいよ」と言ってくれた時に、彼はその言葉をまったく信じなかった。彼女が、援助を懇願してくれ、彼は嫌々ながら同意したのだと思っていた。ダンジェロ氏からの好意にあふれる文面は、彼を戸惑わせた。
幸運の女神の寵児のようなその大富豪は、内向的で人付き合いの苦手なジョルジアとは全く違うタイプだったが、どういうわけか彼女の手紙から感じられるものと非常に似通った空氣が漂っていた。明快であるが、押し付けがましさは感じず、まるでイギリスの初夏の太陽のようにとても心地よくて、彼を緊張させなかった。
どんな風にお礼の手紙を書くべきか、途方にくれた。添えるプレゼントを買いに行った方がいいのだろうか。先にジョルジアの小包を開けて、それから考えよう。
箱の中で最初に目についたのはビーフジャーキーだった。「ルーシー用よ」と付箋がついているのを見て彼は微笑んだ。何か小さいものが、薄紙に包まれてたくさん入っている。その間にいくつものカードが顔を出していた。手にとると、全くタイプの違うデザインのカードだった。
コミックのキャラクターがサンタクロースの扮装をしておどけているカードは、キャシーからだった。十七世紀のシノワーズのティーポットがデザインされたカードはクライヴから。クレアのカードはロックフェラーセンターのクリスマスツリーの写真。そして、彼がもらえたら嬉しいと待っていたジョルジアからのクリスマスカードは、彼女がここで撮ったシマウマを使ったものだった。
クリスマスおめでとう、グレッグ。
赤道直下では、どんな風に祝うのかわからないけれど、あなたが、ルーシーやシマウマたちと平和で幸せな時間を過ごしていることを祈るわ。
ちょっとしたプレゼントを贈るわね。
先日、姪とデパートメントストアに行って、とても素敵なオーナメントを見つけたの。色鮮やかな鳥のオーナメントはこれまでも見たことがあるけれど、今年のテーマは「アフリカン・サファリ!」なんですって。ライオンやゾウだけだったらどうしようかと思ったけれど、ちゃんとシマウマもあったからホッとしたの。在庫を全部買い占めてきたのよ。よく考えたら、アフリカにクリスマスツリーがあるわけはないんだけれど、買ったときは夢中になってその事には氣がつかなかったの。よかったらあのガーデニアの樹にでも吊るしてね。
私の所にも少し残したの。我が家ではこれまでクリスマスツリーを飾ったりした事はなかったのだけれど、小さいプラスチック製のクリスマスツリーを買ってきて、動物たちのオーナメントを吊るすことにしたの。これからのクリスマスシーズン、これを見る度に《郷愁の丘》のあなたのところにも同じオーナメントがあるって思うだけで嬉しくなるでしょう。
箱の底を見るのも忘れないでね。来年の一月に発売になる写真集『陰影』よ。あなたの写真が五枚入っているわ。あなたが撮らせてくれたから完成した作品集なの。これまでで一番私らしい写真集だと思っている。あなたにも氣にいってもらえるといいんだけれど。
新しい年のあなたの健康と幸福を心から祈っているわ。そして、来年もあなたとの実り豊かな文通が続く事を願っている。よいお年を!あなたの友達、ジョルジア
薄紙の中から現れた発泡スチロール製のシマウマは口角をあげて笑っていた。キリン、ライオン、ゾウ、ワニ。次々現れるオーナメントは虹色のラメできらきらと輝いていた。
そのオーナメントの上に、涙が落ちた。
ジョルジア。ちょっとした贈り物じゃないよ。君はなんて大きな贈り物をしてくれたことだろう。僕がずっと欲しかった、でも、どうしても手に入らなかったものを、君はくれたんだ。誰からも省みられない、ひとりで寒いクリスマス。僕はずっと一緒に祝う人が欲しかったんだ。義務ではなくて、ただ同じ空間にいるというだけでもなく。
彼は、ダンジェロ氏からもらったボトルとさまざまな絵柄のクリスマスカードをチェストの上に並べた。それから、オーナメントの動物たちも、箱から出して一つずつその間に置いた。外のガーデニアの樹に吊るすというのは悪いアイデアではなかったが、時おりやってくるバブーンたちに持って行かれてしまうのではないかと心配だから。チェストの上は華やかで楽しげになった。
箱の底に入っていたモノクロームの写真集を手にとると、ゆっくりと手のひらで表紙をなぞった。表紙には、多くの人びとの写真がモザイク上にレイアウトしてあった。真ん中は少し大きめのダンジェロ氏。そして、その右下に彼の写真があった。彼のよく知っている彼女の友達の姿も見えた。
ダンジェロ氏の好意も、キャシーたちが友情を示してくれるのも、そして、こんなに幸せな氣持ちで待降節を過ごすことができるのも、全て君のおかげなんだ。
彼は、明日ヴォイの街へ行って、プラスチックのクリスマスツリーを買ってこようと思った。
(初出:2017年12月 書き下ろし)
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スイスで運転 -3- ナンバーの話
走っている車がどこから来たのかナンバーを見ればわかるのは日本と同じです。まあ、日本だと日本以外国のナンバーが走っていることはものすごく少ないと思いますが、陸続きの国なのでこちらは国際色豊かです。
私の住んでいる地域、つまり私がよく運転する道のあるところは、アルプス山脈を突っ切ってイタリアへ行くルートにあたります。州のナンバーの車も多いですが、外から来るナンバーもたくさん見かけます。スイスは四国よりも少し大きいぐらいの小さい国ですから、隣国から、もしくは隣国へのルートとして通る車両も多いのです。
こちらはスイスの車のナンバーの一例です。画像はWikimedia Commonsのものです。左のマークからこれはスイスの車で「GR」とあるのが州の略称です。これは私の住んでいるグラウビュンデン州の車。「3」なんて一桁のナンバーは、州の公用車ですね。

By upload by Adrian Michael (Own work) via Wikimedia Commons
ナンバーは、日本と違って車に所属しているのではなく所有者に所属しています。つまり自動車運転免許の保持車で且つ自家用車を運転する私に専用のナンバーがあり、それは車を買い換えてもずっと自分のものです。そして、ナンバーは相続もできるのです。たとえば「12345」のようなレアな番号だと高いお金を払っても相続する人が多いと思います。四桁ナンバーはちょっとしたステータスです。三桁になるともっとレアですね。

By LuisCosta (Own work) via Wikimedia Commons
こちらはヨーロッパ連合のナンバー。左のブルーと星のマークが共通で、その下に国の印がついています。「D」はドイツの車両です。ドイツ、イタリアの車はよく見かけます。オーストリアやフランスもそこそこいます。オランダや英国ナンバーとなるとぐっと少なくなりますが、夏休みシーズンにはたまに「これはどこだっけ。あ、リトアニアだ!」なんてのも走っています。
まだナンバーを見る前に「これは〇〇の車だ」と予想もします。それぞれ特徴があるんですよ。スイスの車でもやたらと急いでいるのはチューリヒのナンバーが多いです。
危険な追い越しをするくせに、うまくカーブを曲がれないので山道で追いつかれてしまうのはドイツの車に多かったりします。イタリアの車は追い越しに命をかけているタイプと、なぜかウルトラ遅い車にきっかりと別れています。後ろから観察していると同乗者と身振り手振りを交えながら喋りまくっているのが遅いようです。イタリア人らしいでしょう?
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【小説】クリスマスの贈り物 (前編)
本編では例外を除きほとんどの視点がジョルジアなのですが、この外伝は徹頭徹尾グレッグ視点です。
ストーリーはまず、四半世紀以上前、彼が寄宿学校の生徒だった十二歳の頃に戻っています。そして、本編で読者の皆さんを嘆息させた後ろ向き姿勢を持つに至った事情が少し明らかになります。前後編に分けたので、今回は相変わらずの様子のままなのですが、来週にご期待ください。
![]() | 「郷愁の丘」を読む あらすじと登場人物 |
クリスマスの贈り物 (前編)
彼は部屋の扉を閉めると茶色い紙袋を机の上に置いた。中にはターキーとトマトの三角サンドイッチが一つと、テイクアウト用のカップに入った紅茶が入っている。とても急いで歩いたけれど、十分近く経ってしまったので、もはや熱いとは言えなくなっていた。
部屋の中は冷えていた。ラジエーターに触れると、ぬるいぐらいの温度だった。管理事務所には連絡が行かなかったのだろうか。クリスマスの時期に寮に残っている生徒がいるとは誰も考えなかったのだろう。氷点下になっても破裂しないように完全には止めなかったが、暖房としての役割は果たさなくなっていた。
彼は、以前この部屋に居た生徒の置き土産である古いラジオのスイッチを入れた。クリスマス・ソングが流れた。ご馳走と家族の待つ故郷への家路を急ぐ甘い歌。彼は紙袋に手を伸ばした。三角サンドを取り出してプラスチックのホイルを剥がした。もそもそとして反っているパンに乾いてほとんど味のないターキー。温かくもなければ十分な量もない。冷めた紅茶で流し込んだ。
「無理に来なくてもいいのよ」
母親のホッとした声を聴いて、彼はここに残ることを決めた。
昨年のクリスマスの事を考えた。温かいご馳走はあったが、暖かい家族はいなかった。マッケンジー家の一員になったのは、新しい妻となった彼の母親だけで、連れ子である彼もが家族の一員として受け入れられたわけではなかった。
兄弟姉妹どころか身近に友達すらいなかった彼は、ようやく歳の近い兄妹ができるのかと心弾ませて行ったのだ。けれど、彼を迎えたのはジョンとナンシー兄妹の馬鹿にして嗤う視線だった。
母親は、彼を隅に引っ張って行き、なじった。
「なぜそんな服を着てきたのよ」
上着の袖もズボンの丈も短すぎた。彼女は息子がそんな服装で電車に乗ってきた事が信じられないようだった。
「でも、半年前に電話で言ったじゃないか。背が伸びて合わなくなったって」
彼はやっとの思いで、母親に反論した。まだ十二歳の彼には新しい服を買うような金はなかった。
「それならケニアのお父さんに背広代を送ってもらうように手紙を書きなさいって言ったでしょう。何もしなかった、お前が悪いのよ」
母親はめったに物を買ってほしいと頼まない息子の願いを無視した後ろめたさに苛つき、彼の事を厳しくなじると、乱暴にその手を引き、急いで洋服屋へと連れて行った。そして、しばらく着られるように彼の寸法よりも大きすぎる服を買い与えた。
ジョンとナンシーは、新しいが、やはり身体に合っていない服を着させられた彼をあからさまに嗤った。彼は、悲しい想いを堪えて、クリスマス祝いの席に座った。
マッケンジー家に滞在した一週間は、彼にはとても辛かった。彼は母親にとって自慢の息子ではなく、恥ずべき過去の汚点、もしくはなかった事にしたい間違いの申し子であるように感じた。
彼女が選んだ新しく正しい伴侶であるマッケンジー氏は、打ち解けない彼にあまり関心を示さなかった。彼の二人の子どもたちは、彼を馬鹿にして一緒に遊んでくれようともしなかったし、話の輪に加えてくれようともしなかった。
だから、今年のクリスマス休暇が近づいてきて、母親からいつ帰省する予定かと訊かれた時に、彼は口ごもった。
「その……帰らないといけないのかな」
母親が「もちろんよ。私はお前を待っているのよ」そう言ってくれるのを期待していたように思う。もしくは、彼女がどこか他の場所で彼と二人でクリスマスを過ごしてくれるのを。けれど、母親の答えは「無理に来なくてもいい」だった。
彼は、クリスマス・ソングを聴きながら、乾いたサンドイッチを冷めた紅茶で流し込んだ。寒くて、やりきれなかった。
窓の向こうの生徒の部屋には、たくさんのクリスマスカードが吊るされている。彼の手元には一枚のカードもなかった。父親は、彼が書いてもカードを送ってくれた事はない。アルコール中毒の祖父はクリスマスカードの事はいつも忘れていて、二月ぐらいに返事を書いてきた。
それでもその祖父だけは、血の通った文章で手紙を書いてくれる。彼の手紙に返事をくれる。生まれ育ったケニアとは全く違うイギリスの景観、風物、文化、人びと、寄宿学校の生活、感じる事、内氣な性格と友達のいない環境で育ったために未だに周りの生徒たちに馴染めない寂しさや悲しみ、ケニアへの強い望郷。それを受け止めてくれるのは、祖父だけだった。アルコール漬けになっていたせいで、返事は遅く、筆蹟は震え、あまり意味をなさない事も書いてあったが、彼はそれでも祖父の手紙を心待ちにしていた。
その祖父に電話をする事すらできない。彼には、冷たいサンドイッチと紅茶を買うだけの小遣いしかなかった。今日の彼は本当に一人だった。ケニアは遠く、どれほど寂しくて悲しくても、突発的に戻る事はできない。
早く大人になりたい。彼は手の甲で涙をぬぐった。空港ヘ行き飛行機に乗りたい。逢いたい時に自由に祖父の所に行けるようになりたい。洋服も自分で買えて、暖房のある家に住んで、それにできる事なら一緒に暮らす家族のいる、そんな大人になりたい。毎年のクリスマスにこんな惨めな想いをしなくて済むように。
彼は赤いカードをチェストの上に立てた。一度は開いたが、その必要はない。差出人も文面も毎年同じだ。そのことに傷つく事もない。彼はもうティーンエイジャーではなく、寄宿舎で震えている生徒でもなかった。
「親愛なるヘンリー。
クリスマスおめでとう。あなたの健康と幸福を、ここバースより祈ります。母より」
彼は、今年送られてきたカードの絵柄が、去年と同じである事に氣がついていた。廉価なセットを購入して余ったのだろう。
彼自身が、母親に対してクリスマスカード以外の通信をやめてから、どのくらいになるだろう。それまでは、時おり手紙を送っていたが、何回かに一度送られてくる返事には、形式的な文章か感情的になる事をやめるようにという諌言しか書かれていなかった。日常の喜びや悲しみを書く事をやめ、学業の成果と天候のことなどを書くようになった。それから、もしかしたら封すら切らずに屑籠に捨てられているのではないかと虚しくなり、通信においてだけでも関係を保とうとする努力を諦めてしまった。
父親からはクリスマスカードをもらった事はない。父は少なくとも正直なのだろう。必要以上の関わりを持ちたくない人間に、クリスマスだからといって祝福を与えるのを偽善と感じるのかもしれない。
祖父が亡くなり、彼にわずかな遺産を残してくれたので、彼は十三年前にケニアに戻ってきた。この地で研究をして博士号をとった。小さい私立大学の講師をしながら、《郷愁の丘》と呼ばれる地の果てに住んでいる。それは夢にまで見たサバンナでの暮らしだった。ここは少なくとも彼の家で、決して贅沢はできないが彼自身の収入をやりくりして、生活が出来ている。
寄宿学校時代の惨めな日々に比べれば、今はずっとましだ。暖炉にくべる薪もあるし、サンドイッチよりはマシなものを食べる事もできる。ただし、一番実現したかった願いは未だに叶っていない。あいかわらず共に祝う者はいない待降節だ。
父の家族、つまり父とレイチェルと、マディとその夫のアウレリオと子どもたちは、綺麗に飾り付けられた家で、ご馳走とプレゼントと笑いに満ちた幸福の象徴のようなクリスマスを過ごす。レイチェルの好意で、彼は二十五日の昼食に招待されるので出かけていく。
もちろん今年も、あまり話は弾まないだろう。いや、彼以外の家族は和やかで笑いに満ちた楽しいクリスマスの午餐を楽しむが、彼だけが言葉を挟むタイミングを掴めないのだ。レイチェルやマディに相槌を求められた時には、わずかに何かを言うが、それ以外はまたいつものように黙っている事になるのだろう。
彼でも、たくさん話をする事もあるのだ。春にここ《郷愁の丘》にジョルジアが滞在した時は、朝から晩までずっと会話をしていた。この秋にニューヨークの学会に行ったときも、ほぼ毎晩彼女と待ち合わせて、彼女のフラットでじっくりと話し込み、大衆食堂《Sunrise Diner》で彼女の友達に囲まれて楽しく過ごした。
ケニアの《郷愁の丘》に戻り、都会の喧噪と長旅の疲れから解放されて、心からリラックスするはずだった。けれど彼は、いるはずのない人の欠如に苦しむ事になった。イギリスで夢にまで見た懐かしいサバンナは、彼にとって絶対的な約束の地であることに変わりはなかったし、愛犬ルーシーとの静かで穏やかな日常には満足していたが、誰にも必要とされない存在であることを思い知らされる待降節は、彼の表情を暗くした。
去年の待降節はこれほど憂いを感じなかった。裕福ではなくても少なくとも凍えない我が家があり、サバンナにいて、一緒に祝う家族の代わりに愛犬がいる事に満足していた。夢想する彼の女神は、二度と逢う事もない遠い存在で、彼女との未来に何も期待していなかった。
同じ家、同じ一人の待降節が寂しいのは、彼女とたくさんの思い出を作ったからだ。この家に彼女は二週間滞在し、味わい深い家庭料理を向かい合って食べた。今、目の前の椅子に彼女は座っていない。彼女の笑い声や静かで落ち着いた語り口はまったく聞こえない。その静寂は、彼に現実を思い知らせる。彼女は例外的に、氣まぐれで彼と時間を過ごしてくれただけで、人生を共に歩んでくれる家族ではないのだと。彼は、これまでと同じように独りなのだと。
彼女は、きっとこんな想いはしていないだろうと思った。
ニューヨークで知った彼女の環境。彼女を心から愛する家族がいて、きちんと支えてくれるハドソン氏のような同僚がいる。そして、いつも笑いの絶えない楽しい仲間が《Sunrise Diner》に集っている。華やかなニューヨークのネオンに加えて、クリスマスの飾り付けと、それらしい音楽が氣分を盛り上げているだろう。クリスマスカードやプレゼントが次々と送られてくるのだろう。
彼が心をこめて書いたカードと、木彫りシマウマのロウソク立ては、おそらくたくさんの贈り物の中に埋もれて、貧相な様子で佇むのだろう。
クリスマスは苦手だ。彼はひとり言をつぶやき、母親が義務にかられて書いた味氣ないカードだけの置かれたチェストから目を逸らした。
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所変われば……

この写真、商品名「Glückstea(幸せのお茶)」だそうです。なんのお茶だか、わかります?
日本だったら所持しているだけで逮捕される、アレです。この国では持っていても逮捕されないし、そこらへんで吸っている人も多いので、私はどんな匂いなのか知っています。栽培して売ったりすれば違法なんですが、吸うことそのものは合法(?)らしいんですね。
で、今年から、その成分を用いたお茶などを売ってもいいということになったのです。で、さっそく店頭に並んでいたんです。
でも、このスーパー、お酒は良くないと言うポリシーで、料理酒ですら売らないのですよ。そして煙草も販売しないのですよ。なのに、こっちはいいの? お茶になっていれば中毒性はないのかしら。だからいいのかなあ。飲んだことないので、味はわかりません。
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【小説】耳元に光る愛
私が書く小説の題材でわりと多いのが比較文化ものですけれど、今回はそれが顕著な話です。所変われば習慣も違うのですね。
そして、今回少しだけ今っぽい女の子の口調を書いてみましたが、合っているかなあ。実物、見たことないんですよね。まあ、いいや。おかしかったらどなたか指摘してくださるだろう、きっと。異国から来た方の女の子の口調は、明らかに変ですが、こちらはわざとです。

耳元に光る愛
リタは、いつもの大人しさに似合わぬ鬼のような形相で、担任の山下を睨みつけていた。未央はあちゃーと思った。山下は驚いている。ほぼ毎日、舌戦を戦わせている未央ならともかく、大人しくて言葉もたどたどしいリタが、校則違反を指摘されたのに、反抗して改めないと言い張ったのだから。
ヤマモト・リタは、ブラジルで生まれ育った日系三世だ。去年までサンパウロで暮らしていたが、不況の煽りを受けて失業した両親が親戚を頼って日本への移住を決定したのだ。彼女は、日系人街で生まれ育ったため、両親ともに日系人で、家庭では日本語が使われることも多かったという。
とはいえ、祖父母の時代の日本語がそのまま伝わっているだけなので、妙な日本語だった。例えば、転校初日に「はじめまして」と知り合ったばかりの子にいきなり「アンタ」という二人称で話しかけて驚かれた。それも、おずおずとはにかんだ表情でそれを言うものだから、言われた子はどう反応していいかわからず絶句した。
未央は、その様子を遠くから眺めていた。このクラスの子たちは、今時には珍しく陰でコソコソ言ったり、いじめの対象をババ抜きのババのごとく押し付けあっているような陰湿な空氣はない。家庭が複雑で、思ったことを黙っていられない(山下センセイ曰く「問題児」の)未央ですら、特に村八分にされることもなく、若干遠巻きにされながらも、平和が保たれてた。
リタは、その突拍子もない日本語にもかかわらず、すんなりとクラスに受け入れられた。最近ではおかしな古い日本語に、今風の「ヤバい」などの言葉も混ぜる、ドナルド・キーンあたりが耳にしたらがっかりすることこの上ない日本語を話すようになっていた。
その日は、反抗的な未央を晒し者にしてやろうという魂胆なのか、朝礼の時に山下先生がいつものどうでもいい思いつきを実行に移した。
「肩よりも長い髪はお下げにするか、後ろできちんと縛れと何度も言っているだろう。ちゃんと身だしなみを整えていない生徒は、放課後残ってもらうぞ。坂田未央。それに、近藤美恵。ああ、ヤマモト・リタももう肩にかかっているな。ヤマモト、わかるか。明日髪を切ってくるならいいが、そうじゃなかったら、後ろで縛るんだ」
そうリタに話しかけると、素直な彼女は「ハイ」と頷き、文房具を留めていた輪ゴムで髪を後ろに縛り出した。その時、彼女の耳元にキラリと光るピアスが見えたのだ。
「おい、ヤマモト。それはピアスじゃないか」
「ソウデス」
「そうですって澄ましているんじゃない! ピアスは禁止に決まっているだろう。外せ。そして、二度としてくるな」
皆、当然ながらリタがピアスをおとなしく外すと思っていた。ところがリタは髪型の時と違ってそれを断ったのだ。
「イヤデス」
「なんだと?」
「毎日、外シテ学校キタラ、穴、塞ガル」
「当たり前だろう。穴あけちゃいけないんだ」
さすがのあたしも耳はまずいから臍ピアスで我慢しているのに。未央は感心してリタを見た。山下も未央を吊るし上げるという元々の目標をすっかり忘れてしまったようだった。
「とにかく外せ」
そう言って、近づいて来た。リタは「イヤ!」といって後ずさった。山下の手が乱暴にリタの耳たぶに向かうのを見て、未央は思わず言った。
「センセ。下手に触ると生徒にセクハラとかニュースになるよ」
「なんだと」
山下は、ぎょっとして未央を見た。たまたま昨日、似たようなケースで不登校になった女のコの話がニュースになったばかりだったので、及び腰になったのだろう。
彼は、ことさら胸を張って未央に言った。
「じゃあ、坂田未央。お前が責任を持って外させろ。わかったな」
ええ。なんであたしが。ま、いいか。未央は思った。
その日の昼休みに、未央はリタと一緒に弁当を食べた。
「なあ、リタ。やっぱ高校でピアスはまずいんじゃね? このあたしですら、やらないよ」
するとリタは驚いたように未央の耳を見た。それから、周りを見回して他の女子の耳も見た。
「誰モ、シテイナイ」
「そりゃそうだよ。ブラジルじゃみんなしているのか」
「ウン。女ノ子ハ、生マレルトスグニ、ピアススル」
「ええ! 生まれてすぐって、赤ちゃんじゃん」
「ソウダヨ。キレイニ、幸セニ、ナルヨウニト、オッ父ト、オッ母ガ、ツケテクレタ。悪イコトシテナイ」
そ、そうなんだ。国が変わると、習慣って違うものなんだな。未央は思った。これまでは、女の子ならしているのが当たり前のことを急に禁止されても納得行かないだろうなあ。
「まあな。大人になったら、皆していいんだから、悪いことじゃないと思うけどさ。でも、日本では校則違反すると目をつけられてマズいことになるって。少なくとも山下の目の前ではしないようにしろよ。特にそのキラキラした石は大きいから目立つしさ」
リタの耳元のピアスは赤い石の周りを桃色の石が取り巻くとてもかわいいものだった。
「モット小サイノハ、ブラ下ガルヤツダカラ、目立ツ」
そりゃだめだ。髪で耳元を隠してもバレるわ。
未央は少し考えてから、スマホを取り出した。少し検索して通販サイトで目的のものを見つけた。
「放課後一緒に、これ、買いに行こう」
リタは不思議そうに首を傾げた。
放課後、未央はリタと一緒にショッピングセンターの隅にある小さなショップへと連れて行った。
「ほら、あった。これこれ」
「ナニ?」
未央は、リタに小さな箱を見せた。中には樹脂製のピアスが五組ほど入っている。
「これ、シークレットピアスって言うんだ。日本ではピアスをしちゃいけないところが結構あるから、そういう時にせっかくの穴が塞がらないようにするための商品。トウモロコシ樹脂でできているからアレルギーも起きにくいんだって」
「ヘエ。初メテ見タ」
「いいか。学校に入る前には、これも外せ。でも、登校中には、これをしておけ。これならよほどよく見ないとつけているってわからないから、チクられることもないしさ。そして、休みの日はいつものママのピアスをすればいいじゃん」
リタは大きく頷いて、そのシークレットピアスを買った。
「未央、アリガトウ。デモ、コレモ校則違反デショウ? 先生ニ、知ラレタラ未央モ怒ラレルヨ」
「いいんだよ。あたしは、もうとっくに目をつけられているし、今更ひとつくらい怒られることが増えても、どうってことないさ。それより、国際化の時代とか言っておきながら文化の違いも考慮しないで校則を押し付ける山下がムカつくんだ。あたしは、リタが卒業するまであいつの目を欺けるかトライするんだ!」
未央はくっくと笑った。リタは、不思議そうに頭を傾げた。耳元のピンクのピアスがキラキラと光った。
綺麗に、幸せになるように。お父さん、お母さんの愛情のこもったピアス。山下、あんたとあたしの頭脳戦だよ。これから卒業まで、リタのピアスの穴はあたしが守るからね。あ、それに、あたしの臍ピアスも。
(初出:2017年12月 書き下ろし)
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まだこの世界にいます

さて、今年もそろそろ終わりそうになっているのに、私は未だに同じ小説世界の作品を書き続けています。なんで「書く書く詐欺」になっている派手な作品の続きを書かないのか……。
「郷愁の丘」はとっくに書き終わっていて、現在書いているのはその後日譚にあたる作品です。本当は、妄想のまま放置して書かないつもりでいたんですけれど、ついうっかりコメント欄で口を滑らしてしまい、「書いて欲しい」というご希望をいただいたんですよ。それで、試しにシーンだけちょろっと書いてみたら、止まらなくなってしまいました。(ゴメンよ、蝶子と22とエレアノール。君たちは後回しだ)
で、思ったんですけれど、私の作品って地味だなあと。
書いている作業って、一人で黙々とするものじゃないですか。そして、発表するまで時間差があって、その作品のことは自分一人しか知らないんですけれど、同時期に他の方がブログで発表している作品の華やかだったり、ウケていたり、ドキドキしたりする展開を読んだ後に、自分の作品に戻るとことさら「地味だ」と思うんですよね。
「だったら派手な作品を書けばいいじゃない」と言われるかもしれませんが、こればっかりは自分のものしか書けないんですよ。たまにおちゃらけたものや楽しいモノも書いていますけれど、根本的な興味対象がその方向にはないので、結局腰を落ち着けて書いていく、もしくは追求していくベクトルは地味な感じになってしまうのです。
ちょうどこの記事の写真の様。
これ、通勤途中にある小さな沼なんですけれど、季節ごとに違う表情を見せてくれます。何れにしても地味なんですけれど、この時は鏡面の様になった水面に眠りに入る前の葉を落とした木々が映っていて、寂しげなのに澄み切った感じでした。しばらく停まって眺めていたのです。
この沼にはドラゴンもやってこないし、美男美女のめくるめく恋愛シーンも起こりそうにないし、ましてや殺人事件や派手なカーチェイスとも無縁な光景です。ポストカードにもなりそうになく、インスタグラム映えもしそうもない、なんでもない寂しい光景。こういうのが私が生息している小説ジャンルの色だよなあと、しみじみ考えてしまいました。
さて、現在書いている作品は、「郷愁の丘」にも増してさらに地味な感じにシフトしていますが(あれ以上地味って、ありえないと思われるかも)、でも、書かないとやはりこの世界から足を洗えない感じなので、つべこべ言わずにMacに向かっています。
ちなみにこの作品のイメージ音楽はこちらだったりします。
gregorian scarborough fair
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