ギーを作った

ギーのことは、名前ぐらいしか知りませんでした。「インドのバターみたいなもん?」的な適当な理解をしていました。正確には、牛や水牛、またはヤギの乳を沸騰させて濾過し、油分だけを抽出したものです。
アーユルヴェーダでは、腸内環境の改善や美肌効果をはじめとする1000の使い道と1000の効果があるがあるとされ、最近の研究ではがん予防、アレルギーの改善や免疫機能の向上などの効果もあるとされるスーパーフードらしいです。
もっとも私は、だから作ったわけではなく、実はバターから作られるのに常温で保存できるというところに惹かれて作ってみたんですけれどね。
本場のインドでは、ミルクを煮沸殺菌し、それを乳酸発酵させ、できた無塩バター(マカーン)を再び加熱してろ過し、たんぱく質、水分、不純物を取り除きます。
私が作ったのは、無塩バターを加熱するところからですので、本物というわけではないのですけれど、ともかく、作ってみました。やることは難しくなくて、ネットで作り方を拾ってきて、30分もすれば出来上がります。
途中で、アクのように出てくるタンパク質などを取り除くんですけれど、貧乏性な上に、バターの大好きな私は、これを捨てるのももったいないと思ってしまい、取っておきました。写真の真ん中にある白いのがそれです。これは、もちろん冷蔵保存して、チキンバターカレーを作るときにバター代わりに投入するととても美味しいのですよ。
そして、香ばしく黄金色に見えるこの油がギーです。一晩たつと、プリンとマーガリンの中間のような感じに固まるのですけれど、常温で保存できるので、バターのように固まらず、パンに塗るのも簡単なんですよ。また、炒め物などにも向いている上にヘルシーだそうで、食べるときに「アーユルヴェーダの最高のオイルを使っている」という心理的効果をもたらします。まあ、普通のバターも大好きなんで、どちらにしても食べますけれど。
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【小説】樋水龍神縁起 東国放浪記 端午の宴
今回の選んだ楽器は、琵琶です。『樋水龍神縁起 東国放浪記』のサブキャラ、夏姫が弾いています。琵琶というのはこの当時は、あまり女性らしい楽器とは思われていなかったようです。
今回の話、外伝にした方がいいかなとも思ったのですけれど、あとから探しにくくなるので、東国放浪記本編に組み込んでしまうことにします。


樋水龍神縁起 東国放浪記
端午の宴
弥栄丸は、高い空を見上げた。緑萌え、空高く、心地よい皐月であるが、忙しく氣の抜けない時季でもある。
丹後国の大領である渡辺家にて、弥栄丸は西の対の郎党として働いている。丹後守藤原殿は、まるで殿上人のような年中行事を行うことを好む。端午の節句の競馬も数年前から必ず行われるようになった。都では六衛府の武芸に優れた官人らが草原に馬を駆り、薬草や落ちた鹿の骨など、薬となる品を拾い集める行事だ。丹後守は、領地と音が重なるこの催しが縁起がよいと真似ぶことに決められたらしい。
いつもは西の対の姫君の警護ならびに用事のみを言いつけられている弥栄丸だが、この日だけは森を駆け回り騎馬の若君の代わりに落ちている角や薬草を拾いまくらねばならぬ。
西の対は、大領渡辺家の中で微妙な立ち位置にある。夏という姫君は、二年ほど前にこの屋敷に引き取られてきたお方だ。かつて殿様が見初めた湯女を北の方に隠れて大切にしていたのだが、数年前に流行病で亡くなってしまったのだ。そのまま観音寺に預けられていた姫君は、位の低い女の娘とは到底思えぬほど美しく成長し、殿様はこの美しさなら丹後守藤原様のご子息に差し上げられるのではないかと算盤をはじき、北の方を説得して屋敷に迎え入れたのだ。
そういう事情で、夏姫は後ろ盾もなくひとりで西の対に住んでいる。弥栄丸はその日から西の対で姫の世話をするように命じられたのだ。
この夏姫、まことに美しい姿形であることは違いないのだが、止ん事無い姫方とは異なった振る舞いをすることで、西の対で働く者たちの度肝を抜いてきた。御簾や几帳の後ろでしとやかに座っていることができず、すぐに庭に降りてきてしまう。侍女のサトや童女たちだけでなく、弥栄丸や老庭師にも臆することなく話しかけてきてしまう。
北の方や、義理の妹にあたる絢子姫のことも、身寄りのいない身によくしてくださる親切な方々と慕い、せっせと作った歌などを届けさせるが、あまれにあけすけで趣の感じられない歌風に面食らうのか、返事の熱意はあまり感じられない。サトや弥栄丸は、こうした夏姫の空回りを感じてはいるが、その無邪氣な心持ちを傷つけたくなく、できる限りの後押しをすべく心を砕いていた。
だから、競馬における若君助勢の折は、西の対の代表として力の限り走らねばならぬ。
北の対からは箏の琴の音が聞こえてくる。絢子姫が、端午の競馬の宴で披露する曲を練じているのであろう。夏姫は嬉々として割り当てられた琵琶を練じている。
「あたくしは、楽器などずっと手を抜いてきたから、箏の琴などはずっと弾けはしないでしょうね」
琵琶を奏じることになったのは、皆の思いやりからであると心から感謝している。
「見てごらんなさいよ。絢子からの返し文に、十三弦もある箏を練じるのだから、四弦の琵琶ほど速く上達せずとも怒らないでくださいねとあるわ。本当にそうね、あたくしには到底弾けぬ大変な楽器を練じている絢子は、とても才能があるんでしょうね」
北の方は、決して底意地のお悪い方ではないが……。弥栄丸は考える。だが、丹後守藤原様やご子息も耳にするこんな晴れ舞台で、箏の琴を絢子姫のみが弾かれるということは、殿様のお氣持ちとは異なり、北の方は絢子姫こそを藤原様のご子息に娶せたいとお考えなのではないかと。和琴ですらなく、女子らしさの感じられぬ琵琶を夏姫に勧めるところに、その想いを感じてしまうのだ。
「きっと今ごろは、文殊さまでもお囃子を練じているのでしょうね」
夏姫は、琵琶を弾く手を休めて、ぽつりと言った。弥栄丸ははっとした。
姫の母親は、若狭国小浜の濱醤醢醸造の娘だった。離縁された母親に連れられて丹後国に来たものの、生まれ育った若狭の海を懐かしみ夏姫を産んでから殿様に頼み、与謝の海の見える小さな家に住んでいた。渡辺の殿様にしても、北の方に悟られぬ遠さにあり、籠神社や文殊堂の参詣なる口実が得られるこの小さな家は真に便益にかなっていた。
「あたくし、よくお母様や観音寺の尼さまにお願いして、海に連れて行っていただいたのよ」
姫の声音は、どこか悲しげだ。
夏姫にとって、文殊堂や籠神社の歳時記を感じることのできない渡辺の屋敷での暮らしは、弥栄丸をはじめ誰もが思っているような目出度く有難き果報ではなく、心許なく取る方なき日々なのやもしれぬ。
宴は
この角を拾ったのは、偶然ではあったが弥栄丸だった。渡辺の殿様は、姫君が藤原様ご子息の目に留まることを願っているので、この成り行きに大いに喜んだ。
「でかしたぞ、弥栄丸。屋敷に戻ったら、そなたやサトにも酒を振る舞うからな」
弥栄丸は、頭を下げて、元の仕事に戻った。宴が終わるまで酒どころかご馳走を食べることもなく、夏姫の退出を待つのだ。姫を無事に屋敷の西の対に連れ帰らなくてはならない。
その夏姫もまた、食べるものも食べずに控えているのだろう。注目を浴びる宴の演奏に心騒いでいるに違いない。
「ああ。できることなら、誰も聴いていない宴の始まりに演じて、さっさと帰りたいわ」
昨夜の姫のつぶやきが蘇る。申し訳ないことになったな。だが、藤原様のご子息に娶せることが殿様の悲願なのだから、晴れやかな場で演じることは姫様のためなのだ。弥栄丸は自分に言い聞かせた。
弥栄丸は、懐から小さな護符を取りだした。紙包みの中には梵字で書かれた護符が入っている。昨夏、弥栄丸の家に滞在した子細ありげな陰陽師が、弥栄丸の頼みにこたえて書いてくれたものだ。
西の対の庭にある柘植の木に人型のようなものが浮かび上がり、夏姫が霍乱のような病に苦しんでいたのだが、その陰陽師が人型を見事に消し去り、姫の病もそれを境にすっかりよくなった。主はもちろんのこと、姫もその陰陽師の神通力に驚き感謝した。
その陰陽師は、大きな報酬も望まず、やがてまた旅立った。それに先んじて、滞在させてくれた礼をしたいという陰陽師に弥栄丸は願ったのだ。夏姫を守る護符をいただけないかと。彼は、いくつかの違う文字を書き、呪を掛けた。弥栄丸には意味はわからないが、曼荼羅を表した悉曇文字だ。
弥栄丸は、夏姫の待つ母屋の裏口にまわり、侍女のサトを呼んでもらった。
「弥栄丸。お疲れ様でした。もう、こちらで待機できるようになったのかい」
サトは、ほっとしたような顔をした。藤原様のお屋敷は、サトにも氣が張るのだろう。いつもののんびりした仲間だけでなく、北の方や絢子姫の侍女たちの間で肩身の狭い想いをしているので、弥栄丸が戻ってきてくれたことで少しは心強く思うのかもしれない。
「こちらに控えているので、何かあったらすぐにいってくれ。あと、昨夜渡し忘れたので、これを姫様に……」
「これは?」
「例の安達様にもらった護符の一つだよ。弁財天のお守りだ」
弁財天は、楽の才を授ける女神、もらった時は、この護符を夏姫が必要とするときがあるのかと思ったが、いまほどこれが必要になるときもないであろう。サトも大きく頷き、急いで姫のもとに向かった。
控えているほかの郎等たちが噂をしている。
「麗しいと評判の姫は、箏の琴かな」
「いや。どうも琵琶らしいぞ」
「なんでまた。琵琶なんて、
「じゃあ、箏を弾くのは誰なんだ」
「北の方の姫君のようだ。そちらのほうがもののあはれを解する姫なのやもしれぬな」
「北の方が、どちらかというと、そちらの姫を売り込みたいんだろう」
「いや、噂の姫に楽の才がないのではないか」
「止ん事無き方々は、うるさいことをいうが、俺はどちらかというときれいな姫の方がいいな」
「いずれにしても、俺らはおよびじゃないさ」
弥栄丸は、男たちから離れて庭を見た。野蒜の花が風に揺れている。宴の喧噪が、風に運ばれてきた。
勝手なことを言いたいものには言わせておけばいい。私は、姫様の日々のお幸せために尽くすのみだ。
弁財天が手にしているのも琵琶だ。姫様は、心安らかに立派に演じられるだろう。弥栄丸は、深く頷いた。
(初出:2022年5月 書き下ろし)
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オランジェット狂騒曲

私はオランジェットが好きです。オランジェットというのは、オレンジピールを溶かしたチョコレートに浸してある、あのオシャレなお菓子です。スイスの高級チョコ専門店Läderachに行くと、自分用ご褒美としてつい買ってしまうのも、「オレンジの小枝」というオレンジピールのチョコレートがけなのです。でも、リンクの通り、これめっちゃ高いんですよ。
さて、先日からいろいろな野菜を常温保存するために乾燥させてはパウチ、というようなことをやっているのですけれど、乾燥野菜を調べているうちに「アレもコレも自作できる」ということに氣づきました。そのうちの1つがオレンジピールです。ワックスを取り、苦みも取るところが大変だと思っていたのですけれど、やってみるとさほど難しくなくて、3回くらいトライして、まあまあのオレンジピールを作れるようになりました。
そうなったら、オランジェットも作ってみたくなるじゃないですか。
で、やったのですけれど。オシャレで料理上手な巷の皆さんと違い、私はきれいに揃った素敵なオランジェットが作れません。それに、トライすればするほど、チョコが無駄になるのが納得いきませんでした。
それで、いろいろと考えた末に行き着いたのが、シリコンの製氷皿でプラリネを作る要領でチョコを流し込み、その中にオレンジピールを入れたらチョコは無駄にならないし、見かけもそこそこきれいになるのでは? というプランです。

で、さっそく実践しました。普通の方は、ここでチョコを刻むのでしょうが、私はズボラなのでこのままです。湯煎で溶けたらスプーンで押し込みます。

そして、自作のオレンジピールを適宜埋め込み、冷蔵庫で冷やせばできあがりです。シリコンの型なので、きれいに外れます。これこれ、こういう味が食べたかったんだよ〜、というチョコが出来上がりました。なんて安上がりなのかしら。これはリピートしそうです。
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【小説】森の詩 Cantum Silvae - トリネアの真珠(2)ペレイラ嬢 -2-
これが終われば、(少なくともラウラは)、フルーヴルーウー辺境伯領での3か月の滞在に向けて旅立つことになります。そして、主人公も、もちろん来ることになりますが、第1作に続き、こちらも主人公と(一応の)ヒロインが当分会わない作品になっていますね。あはははは。
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【参考】
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森の詩 Cantum Silvae - トリネアの真珠
(2)ペレイラ嬢 -2-
「とにかく、報酬の引き上げはこのヘルマン大尉率いる親衛隊たちの方も必要でな。なんせ去年は据え置きだったし……」
レオポルドが、その書類を終わったつもりで横に動かすと、ハイデルベル夫人はきっとなって羊皮紙を再びレオポルドの前に戻した。
「畏れながら、ヘルマン大尉は一昨年には報酬が上がったのですよね」
その剣幕に、大尉ははっきりと頷いた。
ハイデルベル夫人は、リストの中程にある名前を指して続けた。
「ご覧ください。こちらにおりますアナマリア・ペレイラはもう3年も報酬を据え置かれているのでございますよ。お願いする度に陛下はこの件は母后さまと話し合ってなどとおっしゃって相手にしてくださいませんし」
「余は少なくとも一昨年は母上にその話をしたぞ」
「ええ、ええ。ですが、王太后さまの身の回りのお世話をする女官だけの報酬を上げてしまわれました」
「なんだって? 余は、もし上げるならリストにある全員一律にと言ったのに」
「ですから、私どもは直接陛下に署名をいただきたいのです!」
ブツブツ言いながら署名をしてから、ふとレオポルドはペレイラ嬢を見た。
「なぜそなたの報酬は据え置かれたのだ。そなたも表向きは母上付き女官ではなかったか」
「私は、今はこちらの補佐の仕事しかしておりませんので……」
アナマリアは伏し目がちに答えた。
実際のところ、彼女は王太后の取り巻きであるカンタリア派の女官たちからは、グランドロン派に寝返ったと冷たい仕打ちを受けていた。一方で、グランドロン派の女官たちからももともとカンタリア王国が派遣してきた女として音楽会や詩の催しなどで仲間から外されることが多かった。
ハイデルベル夫人は、彼女の有能さと表裏のない実直な人柄を高く評価していたので、彼女が関わる催し物にはアナマリアを招待するように差し向けたが、若い者たちの私的な集まりまでには口を出せず、アナマリアが孤立することに心を痛めていた。
新しく副官となったフルーヴルーウー伯爵夫人ラウラは、その位の高さとハイデルベル夫人だけでなく国王その人の信頼も厚い事実が宮廷の女性陣に別の効果をもたらした。同じく外国出身であるにも関わらず、ラウラはむしろ好意的すぎるほどの態度で受け入れられていた。そして、ハイデルベル夫人からの陰ながらの依頼を受けて、ラウラは自分が私的な集まりに誘われて参加する時は、必ずアナマリアにも声を掛けて彼女が孤立しないように心を配るようになっていた。
そのような女の園の事情は何も知らないレオポルドとヘルマン大尉は、特に氣を向けていなかったペレイラ嬢のことに初めて注目したようだった。
「あの女は、確かまだ独身だったのだな」
ハイデルベル夫人の執務室を退出した後、彼自身の執務室に戻る途中でレオポルドはヘルマン大尉に話しかけた。
「ええ。あの年頃で、浮いた話ひとつない娘というのも、少々珍しいことですね」
「あの堅そうな振舞いでは、男を掴まえるのは難しいだろう。だが、有能そうだし、そのうちにラウラの副官にでもなるんじゃないのか? それを見越して言い寄る先見の目のある男は、いないのか?」
ヘルマン大尉は、若干軽蔑したような目つきをした。
「陛下、フリッチュ中尉やウッカーマン子爵の件があって、それでもカンタリアの娘に言いよる家臣がいるとでも?」
かつてヘルマン大尉のライバルと言われたヨーゼフ・フォン・フリッチュは、カンタリア派のイサベル・アストリアと結婚した途端に親衛隊から外されて辺境勤務になり、ウッカーマン子爵もファナ・アルバレスと婚約した1ヶ月後に宮廷財務の仕事から外された。レオポルドが母后の影響を徹底的に避けようとしているのがこれで明らかとなった。
「だが、あの娘は母上からも煙たがられているみたいじゃないか。どうだ、そなたは。そろそろ後添えが欲しいんじゃないのか。あの娘なら芯は強そうだし、悪くないと思わぬか?」
「陛下。お言葉ですが、私はまだ結婚している身です」
ヘルマン大尉は憮然として言った。
「まだ離縁していないのか。インゲはドライス伯爵と派手につき合っているじゃないか」
「……。だからといって、私が愛人を囲う必要はないでしょう。それにあのお堅い娘が結婚している男についてくると思っているんですか」
「まあ……無理だろうなあ」
「陛下は、私ごときや、女官の結婚相手のことなど心配する必要はないのですよ。それより、本当にご自身のことを……」
「わかった、わかった。いいではないか。トリネア侯爵殿があれだけ縁談を断っている所を見ると、もしかしたら例の候女は、ラウラに勝る掘り出し物かもしれんぞ。それで決まれば万事めでたしだろう」
本当に都合のいいことばかり、次から次へと……。ヘルマン大尉は腹の底で思ったが、さすがに口に出すような無礼は思いとどまった。
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梅干しを作る

先日から、家庭菜園のことや、干し野菜のことなどを調べていて、これまでお店で買うという選択肢しかなかったものが、実は家庭でもできるのだとわかりました。その1つが梅干しです。昔は、みな家庭で作っていたのですよね。
とはいえ、日本の梅(Prunus mume)の果実は、こちらでは購入できません。我が家は、ほとんど和食を食べない家庭なので、さほど梅干しを必要としたことはないのですけれど、和食がメインのお宅の場合、梅干しをどうにかして入手したり、代用したりと、海外ならではの方法があるようです。今ごろ知ったのですけれど。
まず一番簡単なのが、アジアンショップや自然食料品店で購入すること。でも、これは高すぎます。それから、日本から入手すること。つまり、一時帰国の際に持ち帰ったり、誰かに持ってきてもらったり、もしくは購入した荷物と一緒に送りつける方法があります。私の場合、これまではその必要はほとんど感じなかったので、やったことはありませんが、一時帰国で買う物リストに必ず入れている方もいます。
そして、「なければ作れ」タイプ。これには2種類あって、1つが先日の記事でご紹介したセロリや蕗のように見える野菜ルバーブを使って作る「味だけめっちゃ梅干し」です。もちろん丸くはないので、練り梅の代用品ですね。そして、もう1つがウメ科の果実を作って作るタイプの梅干しです。アプリコットやミラベルといった、こちらにあるウメの仲間で代用するわけです。
私が唐突に梅干し作りをしようと思い立ったのは、実は「煎り酒」を作ってみたくなったからです。煎り酒は室町時代から使われ、お醤油の普及とともに一般的に使用されなくなった万能調味料です。梅干しと日本酒もそして昆布から作ります。作るとはいっても、私の手元には日本酒もないので代用の白ワインで作るなんちゃって煎り酒になる予定です。なので、自然食品店のめちゃくちゃ高い梅干しを買うのは氣が進みません。それにルバーブの代用練り梅ではたぶん別物になってしまうでしょう。というわけで、まずはウメに近い赤プラムで梅干しを作ることにしたわけです。
普通のウメと比較すると、クエン酸含有度が低いということなので、海外在住者のレシピに従い、クエン酸をまぜて仕込みを始めました。あ、あと、半分にして種を取り除いています。
ちゃんとしたウメで作ると、1週間以上経ってから梅酢が上まで上がってくるということですが、赤プラムでやったところ2日でしっかり上まで上がってきたので、重しはとりました。あとは3週間ほど待ってから3日ほど干すそうです。どうなるかわかりませんが、やってみましょう。
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【小説】森の詩 Cantum Silvae - トリネアの真珠(2)ペレイラ嬢 -1-
今回出てくるペレイラ嬢は、実は前作でもでてきているのですけれど、たぶん誰も憶えていないほどのチョイ役でした。今回の「トリネアの真珠」では、今後は全く出てきません。彼女が出てくるのは、(書くとしたら、ですが)第3作の『森の詩 Cantum Silvae - 柘榴の影』(仮題)ですね。
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森の詩 Cantum Silvae - トリネアの真珠
(2)ペレイラ嬢 -1-
その日、ラウラが退出前に宮廷奥総取締ハイデルベル男爵夫人ならびに補佐のペレイラ嬢と最後の打ち合わせをしていると、突如として国王レオポルドの来訪が告げられた。
「いったい、何が起こったのかしら。陛下との次の打ち合わせは明後日を予定していたのだけれど」
そう訝るハイデルベル夫人の言葉に、ラウラも一緒に首を傾げた。
レオポルドは、ヘルマン大尉と2人でやってきて、立って待っている3人に「いいから座れ」と言って自分も椅子に腰掛けた。
「誠に済まぬが、明後日の打ち合わせをしている時間がなくなったのでな。署名をしなくてはならない書類があったら今すぐ全部出してほしいのだ。この場ですべて済ませたいからな」
ラウラは、それだったら先ほどあんな恥ずかしい場面を見なくても済んだのにと心の中で呟いたが、そもそもなぜ明後日の打ち合わせが出来なくなったかについては、想像もつかなかった。
そもそもレオポルドがたまっている書類に全て署名をしてくれることなどまずなかったので、ハイデルベル夫人はペレイラ嬢に目配せをした。ペレイラ嬢は機敏に立ち上がると、しとやかな動作ではあるが流れるように書棚を動き、一度たりとも迷わずに30近い書類を見つけ出して次々とハイデルベル夫人とラウラに手渡した。それがあまりに鮮やかだったので、レオポルドとヘルマン大尉は顔を見合わせた。
ハイデルベル夫人は、渡された書類を1つ1つ開きながら、国王の前に置いた。
「こちらが、秋から宮廷の女官見習いとして出仕したいと申し出ている子女たちの名簿でございます。ヴァリエラ公のご親戚などは検討するまでもございませんが、中には例のゴーシュさまの遠縁の娘など、政治状況を把握して申請しているのか疑いたくなるようなものもございまして……」
はじめから煩雑な書類を見せられてうんざりしたレオポルドは首を振った。
「その手の問題外は、そなたたちがはじめから弾けばいいではないか。そもそも、そなたたちの仕事を見学する少女たちが誰であろうと、余の知ったことか」
ハイデルベル夫人は、眉を上げて反論した。
「そもそも宮廷奥取締の最終決定は、王妃さまか王太后さまがなさることでございます。まだ存在しない王妃さまはともかく、王太后さまのご負担が氣の毒だからと、陛下ご自身がご自分の管轄になさったのではないですか」
王太后の負担に配慮したというのは口実で、レオポルドが母后とその後ろ盾のカンタリア王国にグランドロンの実権を渡すのが嫌で、宮廷奥取締にまで口を出しているのを十分承知しているハイデルベル夫人だ。そのこと自体は、彼女にとっても好ましいのだが、国王の多忙故に決定が次々と先送りになるのには困り果てていた。それでも、フルーヴルーウー伯爵夫人ラウラが副官となって以来、どうしてもすぐに欲しい署名に関しては、彼女を使者にすればたいていすぐにもらえるようになっただけでもマシだと思っていた。
レオポルドは、痛い所を突かれて文句も言えず、黙って書類に目を通しては驚くべきスピードで決定を下していった。
「それからこれでございますが」
そう言ってハイデルベル夫人がレオポルドに渡したのは、女官たちの報酬の引き上げ要求書だった。
「これは、余が帰るまで待ってくれぬか」
それを聞いて、3人の女は目を丸くした。
「どちらに行かれるのですか。そして、お帰りはいつでございますか?」
レオポルドは天井を見上げて言った。
「なに、直轄領や金山の視察などがあってな。収穫祭までには……」
「なんとおっしゃいましたか?」
ハイデルベル夫人は叫んだ。
ラウラは、レオポルドが何を考えているのかすぐにわかって、こめかみに手を当てた。屋敷に戻ったらすぐに夫のフルーヴルーウー伯に、国王がフルーヴルーウー辺境伯爵領を訪問するはずだから準備をしなくてはならないとを告げなくてはならない。
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散歩と、花で答えあわせ

私は、1日に30分以上の散歩をするようにしています。歩くところはだいたい同じですので、春の初めから少しずつ芽吹いてきた草花の変化も確認することになります。
植物の中には、葉の形を見ただけで瞬時にどの草か判別できる野草もありますが、それはかなり限られています。タンポポ、野イチゴ、イラクサ、柏、楓などですね。
ここしばらく野草にもっと興味を持ってきたので、よく知らない草木についても注目するようになりました。前回記事にしたクサノオウなども、開花して、「ああ、間違いなくこの草はクサノオウだったね」と確認したりしています。
最近たくさん見るのはScharfe Hahnenfuss(Ranunculus acris ミヤマキンポウゲ)です。

この花は、よく母親の写真に供えるんですよね。
そして、いま注目しているのがRuprechtskraut(Geranium robertianum ヒメフウロ)という野草です。

これ、他の野草ほどはたくさん見かけないのですけれど、それでも雑草のようにさりげなく生えています。
学名がゼラニウムのようなのですけれど、実は、一般に私たちがゼラニウムと呼んでいる植物は、フクロソウ科テンジクアオイ属(Pelargonium)なんだそうです。
で、上の写真のヒメフウロはフウロソウ科フウロソウ属(Geranium)の植物です。
とても優秀な薬草で、伝統的な民間療法では、婦人病、歯痛、打撲、発熱、痛風、腎臓や肺の病気、ヘルペス、鼻血の治療薬として使用されていたそうです。煎じ薬は強壮剤として使われ、下痢にも効果があるとか。傷口に塗ると、化膿を防ぐともいわれています。また、葉をつぶしたときの独特のにおいから、蚊を寄せ付けない植物とされています。日本では「医者泣かせ」と言われたこともあるそうなので、東西問わず有用植物として認められてきたのでしょうね。
花が咲くのを待って、その草だと確信したいなと、最近は見かけた場所を日々確認するようにしています。
知らなかったけれど、役に立つ薬草がたくさん生えている草原や小径。優雅に草を食む動物たちも、昔の人びともこうやって健康を維持してきたのかなあなどと考えつつ、中世風の物語の妄想を続けています。
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【創作 語ろう】義理で読ませるのは苦手
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義理で読ませるのは苦手

もう何度か書いたように、私はこのブログを開設するまで、基本的に小説を書いていることを秘密にしてきました。それまでは「素人の書いた小説なんて読みたがる物好きはまずいないだろう」と思っていました。今は、(私ではないですが)素人の書いた小説がものすごい読者を獲得することを知っていますし、創作は趣味の中でさほどマイナーなジャンルではないという認識にも変わってきています。
とはいえ、今でも家族や友人、学校や職場など創作とは関係のない場で知り合った人たちには、あまり創作の話題はしないようにしています。
「絶対に読んで欲しくない」から隠しているわけではありません。自分の作品に絶対の自信があるわけではないのですけれど、それでも「こんなへっぽこを読ませるのは氣の毒だから」という殊勝な考え方からでもないです。
実は、「知りあいだし、関係を壊したくないからしかたなく読んで、当たり障りのない感想を言わなくちゃ」という戸惑いを読み取る瞬間が嫌いなのです。そんな忖度をするくらいならば、「私は、素人小説なんぞに興味はございません」と言ってくれて構わないのですけれど、それを言う方はまずいません。
ブログのお友だちの方は、そういうことがないので心置きなく「こんなの書きました!」「こんな企画しました!」と騒ぐことができます。だって、本当に興味のない方は、私のブログを訪問することもないでしょうし、ましてやコメントをくださるなんてこともないでしょうから。
あ、そういえば、スイス人には創作が趣味だとよく公言しています。「へえ、そうなの?」「どんな話?」くらいまではみな訊きますけれど「ぜひ読ませて」と言われることはありません。まず日本語が読めませんから。日本語を勉強している生徒たちもあと10年くらいは無理でしょう。
世の中にはいろいろな趣味を持つ方がいます。クラフトをなさる方も、DIYが好きな方も、音楽を演奏する方もいます。アイドルの追っ掛けもいますし、商業作品の二次創作に夢中な方もいます。どの方も、ご自分の夢中なものに情熱を傾けていて、語りたいことも山のようにありますよね。それを、世間の「その方面には興味のない人」にあまりプッシュしないように適度な距離を持ちながら、興味のある人とは濃く語り合いつつそれぞれの沼にズブズブと邁進しているのだと思います。
一次創作という趣味が、それらの他のたくさんの趣味と違うのは、たぶん趣味と自分自身が完全には分離できない部分があることだと思っています。私の作品は、私の思考そのものですから。そして、それに興味は無くとも、私との付き合いをシャットダウンできない人間関係を持つ人たちは、なんとかして(私を否定し傷つけないように)褒めようと努力をなさるんですよね。その努力を感じ取り、私は反対に「無理させている」と居たたまれなくなってしまうんです。
それぞれの人にとって、世界は各々の面白く興味深いものであふれていて、義理で興味の無いものに費やす時間はもったいなさ過ぎます。なので、私の小説も(もちろん読んでいただける方がひとりでも増えれば嬉しいですけれど)、「読みたいと思わない」のに、無理して時間をとっていただく必要はないと思っています。
そんな理由で、私は長編だけでなく、読み切りの短編、エッセイ、それに全然関係ない日常の話題の記事などをまんべんなくブログに載せています。たまたまその作品や話題が氣になった方や、関連するけれど外れたことが語りたくなった方が、氣軽にコメントしてくださったら嬉しいというスタンスでブログを運営しています。
正直言って、長編だけを黙々と書いて、できたときにポンとアップして、それをたくさんの方が「待っていました!」と飛びついてくださったら、嬉しいしブログ運営も楽だと思うんですよ。まあ、一握りの才能のある方しか無理なことですよね。その一方で、その長編には全く興味の無い、リアルでは知りあいではない方、もしくはリアルで知りあいでもあまり個人的なことを話さない方と、新しい話題で話が弾むこともなくなると思うんですよね。
だから、私という偏った切り口という制限はあるものの、少しでも門戸を広げて雑多ものを置いておきたい。それがこのブログの運営方針になっています。
そういえば。
長らく会っていなかった友人に、話のついでにブログのことを話すと、たいていはURLを知りたがります。で、教えるのですけれど、たいていは二度とその話題になりません。きっとドン引きしているんだろうなあと思います。自分では慣れているんですけれど、このブログ、作品多すぎですよね? 10年とはいえ、なぜこんなことになったんだろう……。
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フルーツケーキ焼いた

ここのところ、せっせと台所に立っています。といっても、料理にいそしんでいる時間はいつもより多いわけではありません。乾燥野菜などを作っているのです。カラカラに乾燥させた野菜を真空パウチにするだけですけれど。
食糧危機に備えて、です。世界中で肥料の輸出禁止、穀物の輸出禁止、オイルの輸出禁止などが相次いでいる上に、大規模な自然災害が多発しているので、食糧危機は単なるデマだとは思えなくなってきました。
先日の記事で、野菜を作りはじめたと書きましたけれど、これまでまともに家庭菜園をやっていなかったのに、いきなり自給自足ができるほど、ガーデニングは甘くないと思います。それに、スイスの冬は屋外のガーデニングはできないのです。で、いざというときにも乾燥野菜があれば、ミネストローネのようなものが作れるだろうし、万が一電源消失したとしても冷凍品と違って数日以内に食べきる必要はありません。本人の心の安寧のために作っているようなものです。
食べきれなくてコンポスト行きになってしまうこともあった果物や野菜なども、現在は買ってきてすぐに2/3は乾燥させてしまっているので、無駄はないです。食べきれなくて硬くなってしまったパンも、以前は動物の餌に寄付していたのですが、とりあえずパン粉にしてパウチしたり。小さいことだけれど少しずつ備えています。食糧危機と言われても、どのくらいの量を用意すべきなのかもよくわからないですし、様子見しながらです。別にお店から食料品が消えているわけでもありません。なので、少しずつやっています。
とはいえ、そんなことばかりやっていると滅入るので、先週の日曜日はフルーツケーキを作りました。たっぷりのナッツや果物、それに各種スパイスとラム酒を効かせた大人の味です。
そこら辺のスーパーで、パウンドケーキはいくらでも買えますが、フルーツケーキはあまり見ませんし、あっても、やはり手作りした方が美味しいと思います。連れ合いがあっという間に完食してしまうのですけれど、本当は翌日以降まで待つとさらに美味しくなるように思います。
日本にいたら、フルーツケーキのようなお菓子は、ちょっと敷居が高いように思います。材料がどこにでもあるものではないですし、オーブンで焼くということも特別なことのように感じてしまいますよね。そんなことをしなくても近くのスーパーやコンビニにいくらでも美味しいお菓子がありますから、日本にいた頃は、わざわざ自分で焼くようなことはまずしませんでした。
でも、このあたりにいると、自分で作るほうがずっと簡単だと思うようになりました。オーブンはほぼ毎日使っていますし、材料がほとんど全て自宅にあるんです。普段の食事やおやつやおつまみでよく使っている食材なんですよね。お店は遠いし、東京のように美味しいお菓子があふれているわけではありません。
「オレンジピールもレモンピールもないや」と思いながらごそごそ探したら、代わりに梨のシロップ漬けとサクランボのシロップ漬けを発見したので、それを投入。それで、充分美味しいのです。フルーツケーキって、「オシャレなお菓子」ではなくて「素朴なおやつ」に近い食べ物なんだろうなあと思いながら、ちょっと和んだ日曜日でした。
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