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Posted by 八少女 夕

カンポ・ルドゥンツ村のひみつ

なんだよ、このタイトルは……。やる氣がなさ過ぎるんじゃないの?
本日は、私の小説の中で時々出てくる架空の村についてちょっと説明を。


うちの村

先日発表した「君を知ろう、日本を知ろう」「リゼロッテと村の四季」をはじめ、私の短編・中編小説ににしつこいくらい出てくるのがカンポ・ルドゥンツ村。リナ姉ちゃんも、実はここに住んでいることになっています。

この村は、スイス、グラウビュンデン州の州都から車で20分程度のところにある村、という設定ですが、なんのことはない私が住んでいる村がモデルです。現代(リナ姉ちゃんのいるぐらいの今)の人口は900人程度、スーパーなどのない小さい村です。

山をもう少し登った先には日当りがいいために金持ちが家を建てたがるほぼ同じ規模のラシェンナという村、川をはさんだ向かいに人口3000人弱、いくつかのスーパーや急行の停まる駅もある村、サリスブリュッケがあります。この二つも、もちろん名前は変えてありますがほぼそのまんまのモデルの村が存在しています。

カンポ・ルドゥンツ村(ということはウチの村)は、18世紀くらいまではロマンシュ語圏だったのですが、今ではドイツ語圏になっています。プロテスタントの村で、村の中心に教会が一つあります。ライン河と支流のアルブラ川が合流する地点にあり、かつて(ナポレオンより前の時代まで)は「神の家同盟」という小さな同盟国に含まれていました。サリスブリュッケ(のモデルの村)は「灰色同盟」に属していたので、扱いとしては「よその国」だったのですね。

この辺りには、ドイツ語を話す人びと、ロマンシュ語を話す人びと(ドイツ語とのバイリンガル)、言葉はドイツ語だけれどちょっとよそ者的な「ヴァルサー」と言われる人たち、半分ジプシーみたいな「イェーニッシュ」などの、様々な人びとの他に、ドイツ人、オーストリア人、イタリア人のような外国人も住んでいます。これは、「リゼロッテと村の四季」の舞台である20世紀初頭もそうでしたし、今はもっと別の国の人間(例えば日本人とか・笑)もいて、入り乱れています。

この中でいろいろなドラマが生まれ、ついでに私の小説の題材もゴロゴロと落っこちていてくれるというわけです。

まだ日本に住んでいた大学生ぐらいの私は、一時イギリスに夢中になりました。当時、誰にも見せずにひとりで書いていた小説には、イギリスの田舎を舞台にしたものがいくつもあります。でも、地理も歴史もわかっていない(でも、調べるほど真剣ではなかったらしい)ので、ものすごく適当なんですね。好きだったエピソードやキャラもいたのですが、なかなか現在リライトしてまで表に出せるような厚みが出ないのです。で、「イギリスではなくてむしろカンポ・ルドゥンツ村の話にしてしまえばいいんじゃない」というところに行きついたのですよ。

「リゼロッテと村の四季」は、limeさんのイラストを出発点にした夢みがちな少女の成長と、かつてイギリスの架空の田舎で展開していたストーリーのリライト、そして、私の現在住んでいる地域の様々なファクターと歴史を三つ巴にして作っていこうとしている物語です。

まだ、生まれたばかりで行き先も定まっていませんが、大事に書いていこうと思っています。

カンポ・ルドゥンツ村とその住人たちの出て来る話
「歓喜の円舞曲(ロンド)」
「落葉松の交響曲(シンフォニー)」
「狩人たちの田園曲(パストラル)」
「夢から醒めるための子守唄」
「夜想曲」
「リナ姉ちゃんのいた頃」
「さよならなんて言えない」
「マメな食卓を」
「冷たいソフィー」
「パリ、イス、ウィーン、ニライカナイ、北海道、そして 」
「リゼロッテと村の四季」
「君を知ろう、日本を知ろう」

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Comment

says...
夕さんの村の写真が・・・素敵だ~。
そうか、カンポ・ルドゥンツ村というのは、夕さんのいるあたりがモデルなんですね。
そしてその周辺も、ちゃんと設定を決めておられるのが、夕さんらしいです。
ヨーロッパには実にいろんな言葉が存在するのですね。
陸続きなのに、そこに国境や戦いの歴史なんかが絡んでいるんでしょうね。
ロマンシュ語というのは聞きなれないのですが、たとえばドイツ語圏の人にはまるで通じない言葉なのでしょうか。(沖縄言葉が分からない~、とかのレベルではなくて?)
文法からして違う言葉なのかな? 
日本から出たことのない私には、その辺の間隔が本当に未知です。

また連載を通して、夕さんが昔描いていたキャラや設定が、ふっと生きかえるとうれしいですね。
何処までも独創的に広がる夕さんの想像力と豊かな知識、また楽しませてくださいね。
2015.07.25 14:46 | URL | #GCA3nAmE [edit]
says...
スイスって本当に、まさに十字の通り、交錯する文化の中にある国なんですね。ヨーロッパの国々には、今も歴史の流れの結果生まれてきたものが(言葉にしても文化にしても)色濃く残っている。その重みはずしんと来ますね。
(あ、日本も、実はそうなんですけれどね。日本人も気が付いていないようなことがいっぱいあるし)
でも、そんな深くて重い歴史の一番上の層にいるのは、今ここに住んでいる人たち。その部分が、夕さんの手で語られていくのはとても素敵。日本にいる私たちに、今この時の異国の小さな世界を届けてくれるのですから。

大学生の夕さんがイギリスに憧れて、の下りでは思わずにやっとしてしまいました。私が中高生の頃、ものすごくイタリアに憧れて、そのせいで竹流は無理矢理イタリア人になりました^^; 私がヨーロッパの他の国にはほとんど行ったことがないのに、イタリアだけは何回も行ったのは、彼の国だと決めたからです。
夕さんも私も、憧れに色んな思いをくっ付けて物語を書いてきたんだなぁと思うと、ますます同類感があって、勝手に嬉しくなっています。そして今、夕さんにとっては憧れではなく現実の世界になっているのでしょうけれど、そこでまた物語が語られていく。それを読ませていただく。とってもラッキーだなと思っています(^^)
2015.07.25 16:24 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
こんばんは。

この記事のために、写真を探したんですが、意外とない……。
どっかにもう少しそれっぽい写真がなかったかなあ。

そうなんです。うちの村です(笑)
私の住んでいる村は、似ても似つかない名前の村ですが、実は、その中のバス停のあるあたりの地区の名称をほんの少しアレンジしたのがカンポ・ルドゥンツなんです。で、設定は、現実とほとんど一緒にしてあるので、次に出てきた時にあまり考えずに済むのですね。

ロマンシュ語(もしくはレトロロマンシュ語)というのは、ラテン語から派生した言葉です。紀元一世紀ぐらいにこの辺りはローマの属州となり、ローマ帝国の版図すべての地域では公用語ラテン語を話すようになりました。でも、その後にゲルマン人がやってきて、現在のドイツ、オーストリア、スイスの一部はゲルマン化されたのです。でも、山の中で支配の及ばなかったところはラテン語が残ってしまって、それが方言化して独自の言語になったのです。ちなみに同じようにラテン語から独自の言語になった言葉が、フランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ルーマニア語などですよね。

ロマンシュ語はスイス人口の0.5%ぐらいが話します。イタリア語に似ていると言えば似ていますが、それこそ日本語と琉球語ぐらいの「似ている」かな。ドイツ語圏の人には全くわからない言葉ですが、イタリア語ができれば「なんとなくこんなこと言っているかな」と推測はできる感じですね。

昔のキャラや設定のお色直しばっかりやっているような氣がしないでもありませんが、こうすることでみっともなくてお蔵入りするしかなくて残念だった子たちも日の目を浴びられるなら、悪くないかな〜と思ったりしています。「リゼロッテと村の四季」第二回はいつになるかまだわかりませんが、近いうちに書けるといいな。その時には、読んでくださると嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2015.07.25 19:32 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

そうなんですよね。なんかね、日本に居ると想像を絶するような交錯っぷりですよ。
「民族の境=言語の境=政治の境」である日本から来ると、そのウルトラ複雑な混じり合いを説明するのは少し難しいです。
だって、四国よりちょっと大きい程度の国なのに、公用語が四つあるんですよ。もっともうちの州だけです、三つも公用語があるのは(笑)

現代は均質化が急速に進んでいるんですよね。これはどこでもですけれど。
だから、わざと100年前に舞台を移して、もう少しそのおもしろい独自性を伝えたいなと思っているんです。
読みたい読者が居るかどうかは別として、たぶん「私にしか書けない事」でいったら、これ以上の事はないかもしれませんよね。

そして、そうか、彩洋さんがイタリアに憧れていたので、竹流はイタリア人になったのですね。
たしかに、そうでなかったら竹流がガイジンでなくてはならない理由は、あまりなかったのかも。
「なんだかわからないけれど逃げられない伝統」は設定しようとすれば日本人でも可能ですものね。
私は先にヴァチカンが来るからあの設定、なのかと思っていました。そうか〜。なるほどなるほど。
ますます彩洋さんに親しみを持ってしまいます。

私が書いた日本人と外国人の交流する最初の話は、やっぱり男はイギリス人だったな。
今は、そういえばあまりイギリス人の話は書きませんね。
やっぱり身近にモデルがいる方が書きやすいのかな。

というわけで、最も書きやすいのはカンポ・ルドゥンツ村ものなのですね。
少しでも興味深くなるように書けたらいいなと思っています。まだ全然書いていませんが、発表したらまた読んでいただけたら嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2015.07.25 19:56 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
町のお話、良いですね。
夕さんのお話をうかがうとやはり自分のことと重なるところがあって、感慨深いです。
私も人口800人の田舎の小さな町に住んでいるんですよ。州都からは車で4時間離れていますが(^^;)

ロマンシュ語って、特別な言語なのですね。地域性があるとは、夕さんから教わるまで知りませんでした。へたにロジャーの名まえをつけなくてよかったです。その節はお名まえをありがとうございました。
オーストラリアも歴史はイギリス系から始まるので、苗字でどこの出身かをある程度検討をつけることができます。この苗字はアイリッシュとかスコティッシュとか、イタリアンとかネザーランドとか、ジャーマンとかグリークとか、おもしろいですね。

自分の住む町のことは、日本から来られるゲストの方々にはあーんなに熱く話せるのに、文章におこすとなると全然できなくて。
ドラマなエピソードも山のようにあるのですが、物語として書くのは自分がやると薄くなってしまいそうで、いまひとつ踏み切れないんです。
語れるのに。話すと書くが違いすぎてギャップが埋められない(><)

オーストラリア一般に関しては、エッセイなどで素敵に書かれる方々も大勢いらっしゃるし、私はそれを読んでおおとなるばかり。で、よけいに、自分がわざわざ書くことはない、と。
実はほら、ロジャーもいたあの物語のあの編で四苦八苦したのが結構トラウマで・・・(苦笑)
あの時に筆力のなさを本当に感じたので、オーストラリア物はちょっと控え気味(さらに苦笑)

でもね。いつかは書いてみたいですね。
実はそう思って書き出したお話もあるのです。無事にボツフォルダーに収まっておりますが・・・(><)
比較文化に関しては言語環境も含めて興味はあるので、書いてみたいですねえ。って、何年も思っています・・・(-"-)
2015.07.26 07:01 | URL | #- [edit]
says...
こんにちは。

おお! 人口ほぼお揃いですね!
でも、きっと街の面積が全然違うんだろうなあ(笑)
州都まで車で四時間って、そんなに走ったらもう外国だなあ、スイスでは。
オーストラリアは大陸ですものね。

ロマンシュ語の事は、実は、limeさんのコメントを読んで「そうだよ、そんな事を知っている人あまりいないんじゃない!」ってようやくわかり、明日ちょっと補足の記事をアップする事にしました。
ちょっとと言っても、長い記事になってしまった。びっくりです。

ロマンシュ語の歴史なんかも掘り下げるとツッコミどころ満載で、さらに「それよりもスイスジャーマンだよ!」ともっとツッコミどころ満載な言語にブツブツ言っている私です。
これはまたいずれ。

私のスイス関連文も、できるだけ身の回りの事にしようと思っています。ほら、マッターホルンの事とかチューリヒやジュネーヴの事なんかは、私よりもずっと詳しくて素敵な事を書いていらっしゃる方がいますし。でも、この辺りの事を小説に取り込んでいる日本人は、たぶん今のところそんなには居ないはずです(笑)需要もあまりないけど。

さて。そうそう、オーストラリアの有名人や同じように移民が目指したアメリカの人の名前が「ああ! これスイス人の子孫だ」ってわかる事かもあります。けいさんのあたりは「○○人の子孫が多い」なんてこともあるんでしょうかね。

私が最初にスイスの事を小説に組み込んだのは「歓喜の円舞曲(ロンド)」ですが、あまり詳しくは書きませんでした。
春が突然やってきて本当に歌いだしたくなるようなあの特別な感じを書きたかったんですが、感じているそのままはやはり書けないよな〜と思いました。

「夢叶」のオージー編、けいさんご自身は四苦八苦なさったのでしょうが、読んでいる私には恰好のオーストラリア入門でしたし「おお〜!」の連続でしたよ。さすが現地にいらっしゃる方は違うって思いました。けいさんご自身が思っていらっしゃるより、ずっと完成されていて魅力的で、そしてオーストラリア素人の私には新しい発見に満ちた文章です。それは、時々雑記で地域の事や身の回りの事を紹介なさる時にも感じます。自信を持ってお書きになればいいのに。きっとみなさんも待っていますよ。 カムバック from ボツフォルダー! 近く読めるようになる事を願ってます。

コメントありがとうございました。
2015.07.26 10:54 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
村が素敵ですね~~。
こういところから夕さんの小説ができているのですね~~。
それが小説にもすごい現れていて。
ヨーロッパの雰囲気がすごく出ているので。
ものすごく憧れて毎回読ませております。
(*^_^*)
2015.07.31 11:27 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

スイスの村としては、本当に何の変哲もない、観光客も来ないところなんですけれど、ネタはいっぱい転がっています。
どれほどたくさんのアイデアをこの村からもらったことか(笑)
これからもここをホームベースにいろいろと書いていく予定です。
また読んでいただけると嬉しいです。

コメントありがとうございました。

2015.07.31 21:04 | URL | #9yMhI49k [edit]

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