scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

スイスで見かけるポルトガル

「黄金の枷とポルトの世界」カテゴリーの記事です。(シリーズ全体で使えるようにカテゴリー名を変更しました)オリジナル小説「Infante 323 黄金の枷」にはモデルとなったポルトの街が時々登場しますが、フィクションの部分と現実との混同を避けるためにあくまでも「Pの街」として書いています。そういうわけで、本文中には挿入できなかったポルトの写真をこのカテゴリーにてお見せしています。

今回の更新で、ヒロイン、マイアの幼なじみジョゼの話題が出ました。彼には、産まれてから小学校に入るくらいまでの時期を、出稼ぎに行っていた両親とともにスイスで過ごしたという設定があります。

実際に、スイスに出稼ぎに来ているポルトガル人、とても多いのです。ポルトに通うようになってから、スイスで出会うポルトガルの人たちに対しても、特別に好意的な想いを持つようになった私です。

どういうわけか、私が出会うポルトガル人は、ポルトや北ポルトガル出身の人たちがとても多いのです。そして、彼らはとても感じがよくて勤勉です。ポルトはとても美しくて素敵だけれど、若い人たちにとっては、ユーロ危機の影響なども厳しくて、食べていけるだけの仕事を見つけるのはとても難しいと聞きます。だから、彼らは外国に行って一生懸命働いている模様。でも、ドイツ語圏スイス人の社会は、ラテン系の彼らの社会とは違うので、馴染むのが難しいという話をよく聞きます。

もともとスイスは外国人がとても多い国です。住民の七人に一人の割合です。その中には帰化した外国人は含まれていませんから、本当はもっと多いと思います。

日本で見る欧米人や有色人種のように、ネイティブと外見がものすごく違っている訳ではないので、普段はそんなに感じないのですが、例えば、サッカーのワールドカップの時期など、ああ、ここの家はポルトガル人だったんだと意識することが増えます。みな自分が応援する国の国旗を掲げるからです。

ポルトガル国旗

外国人のなかでも、とくに人口の多いイタリアやユーゴスラビアの国々の典型的な食べ物や調味料などは、Coopなどの普通のスーパーに常備されていたりするんですが、ポルトガルの調味料などはさすがにそんなにありません。ワインもスイスのものの他、イタリアやスペイン、フランスなどがメインで、さすがにポートワインはどこでも買えますが、ドウロワインやヴィーノ・ヴェルデのようなマニアックなワインとなると、田舎のスーパーで簡単に買える訳ではありません。

ポルトガル製缶詰はキュート


でも、日本食料品店が、チューリヒやジュネーヴなど大きい都市にしかないのと比較すると、ポルトガル食料品店はとても多いのです。そこそこの規模の村にはたいていあります。やはり、必要とする人が多いからだと思います。

ポルトガル専門店を覗くと、やはり目につくのはバカリャウという大きな干し鱈、タコなどの魚介類の冷凍品、それにポルトガルのワインなど。きっと、ないと普段の生活困るんだろうな、これって、日本人にとってのお米やお味噌みたいなソウルフードなんだろうな、と微笑ましく思います。

ポルトガルの塩

私は、海の塩は、できるだけポルトガルのものを使うようにしているのです。というのは、同じようなものがフランス産というだけで有り難がられて、とても高く売られていたりするので、なんとなく軽んじられがちなポルトガルを応援したくなってしまうのです。スイスで普通に売っている塩は、たいてい山で採れる岩塩で、ちょっと塩みがキツくて苦手なのです。海の塩は、いろいろとミネラルが含まれているせいか、だいぶまろやかなのですよ。素朴なポルトガル産海塩をポルトで買おうかと思ったんですが、重いのでやめて、こちらに帰って来てからポルトガル食料品店で買いました。

パスティス・デ・ナタ

また、近くのポルトガル人の経営するレストランでは、たまに本格的なパスティス・デ・ナタ(エッグタルト)が入荷するのです。これが美味しい。ポルトで食べるのも美味しいけれど、ポルトを思い出しながら地元で食べるのも美味しい。きっとスイスで働いているポルトガル人も、故郷を思い出しながら、ポルトガルの味を楽しんでいるんじゃないかなと思います。

この記事を読んで「Infante 323 黄金の枷」が読みたくなった方は……

「Infante 323 黄金の枷」「Infante 323 黄金の枷」をはじめから読む
あらすじと登場人物




【次回予告】「Infante 323 黄金の枷」 (20)船旅

 マリアは、ハガキを書き終えると、切手をとりに自分の部屋へと行き、一分もかからずにリビングに戻ってきた。そして、デスクに置いたはずのハガキを探した。
「ない……」

 窓際のソファに腰掛けて外を見ているライサに訊こうと目を移すと、彼女の手の中に切り裂かれて紙吹雪のようになったハガキが見えた。
「ライサ……?」


連絡の取れなくなっていた姉を心配していたマリア。突然帰って来たライサは多くを語ろうとはしません。

来月末に発表予定です。お楽しみに!
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Comment

says...
へ~~、スイスに出稼ぎの人は多いのですね。
そういうのもいいですよね。大陸が続いているからこその発展ですからね。
外国人がたくさんいるのは良いです。
私も言葉さえ通じれば、外国人がたくさん入って来てもいいと考えていますけど。
なかなか日本はそういう風にいかないのが現状だじぇ。。。
2015.10.31 10:09 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

そうですね。海に囲まれている日本とは、だいぶ事情が違いますね。
まあ、日本にも、アジアからの出稼ぎの方がたくさんいるようですけれど。

ポルトガル人のように出稼ぎとして働きにくる人たちは、ごく普通に受け入れて、さほど大きい問題でもないのですが、押し寄せてくる難民は、スイスでも大きな問題となっています。一日何千人、何万人という規模で、ヨーロッパを目指してきて、どこかで受け入れなくてはいけない訳ですが、生活が整うまでの費用など、すべて税金でまかなう訳で、人道と負担との狭間で、かなり苦しい選択を迫られています。

日本は、全然難民を受け入れないことで有名ですが、でも、受け入れたとしても、本人たちが行きたがらない可能性も多いですよね。あまりにも文化が違いすぎますし、人びとが社会に文化の違う人たちを受け入れようということをあまり考えない、これまではその必要すらなかった国ですから。難しい問題です。

コメントありがとうございました。
2015.10.31 18:17 | URL | #9yMhI49k [edit]

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