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Posted by 八少女 夕

【小説】Infante 323 黄金の枷(25)雪の朝

永きにわたって連載してきた「Infante 323 黄金の枷」、ついに最終回です。

宣告という形で愛する23と一緒に暮らすことになったマイア。自分に触れようともしない彼の態度に傷ついて一夜を過ごしました。彼の真意はどこにあるのでしょうか。

最終シーンのイメージBGMは前回の記事で歌詞とともにご紹介しましたが、サブタイトルとなっている雪の朝のイメージBGMがあります。後書きとともに追記でご紹介しています。


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「Infante 323 黄金の枷」「Infante 323 黄金の枷」をはじめから読む
あらすじと登場人物





Infante 323 黄金の枷(25)雪の朝

 パチパチと何かが爆ぜる音で目が醒めた。隣に23はいなかった。起き上がって最初に目に入ったのは、暖炉の中で赤く燃えている焔だった。火をおこしたんだ。今朝はそんなに寒いのかな。

 彼女は23の姿を探した。広い部屋のずっと先にいた。いつもの服を着て髪をきちんと結った彼は窓の向こうを見ていた。はらはらと舞い落ちる雪が静かに鉄格子の上に積もっている。

 この街を彩る赤茶色の屋根はすべて雪に覆われて、静かに眠っているようだった。いつもは騒がしく朝を告げるカモメたちも、震えて羽の間に頭を埋めているだろう。楽しいこと、つらいこと、歓び、悲しみ、そのすべてを紡ぐ活氣ある街を覆うように、雪は静かに降り積もっていた。

 23は黙って窓の外を見ていた。その姿がはじめて彼に逢ったあの日の記憶に繋がった。彼はあの日も格子の向こうの世界を見ていた。彼には出て行けない世界の輝かしい美しさと、そこを自由に飛び回るカモメたちの羽ばたきを眺めていた。生け垣の向こうから入ってきて言いたいことをいいながら帰って行くマイアを、鍵を開けて鉄格子の中へと入ってくる召使いたちが用事を終えて出て行くのを、この館から離れて街の中を自由に動く姉の姿を見ていた。その心持ちがどんなものだか、マイアは今はじめて思い至った。

 マイアにとって、ドラガォンの館に入ってくることも、23の居住区に入ることもつらいことではなかった。ここ鉄格子に区切られた空間は、彼女にとって一度たりとも牢獄ではなかった。昨日まで自由に出入りできた職場の一区画だったからではない。自分が鍵をかけられて閉じこめられる存在となってもつらくはなかった。その理由を突然彼女は悟った。

 それは、ここにいつも23がいたからだ。ここは彼の空間、マイアがもっと近づきたかった愛しい男の住まいだった。

 けれど、23にとって、そんな甘い意味はどこにもなかったのだ。彼はいつも牢獄の中で一人で孤独と戦ってきたのだ。マイアが仕事を選び、買い物を楽しみ、自由に散策しながら、パスポートがもらえない、船に乗れないと文句を言っていた間、彼はそれよりもずっと強い悲しみと戦ってきたのだ。存在することを否定され、名前ももらえず、心を込めて働いても認められることもなく。

 彼はいつもこうやって窓の外を眺めてきたのだろう。そして、その後に、誰かが自由に動き回り、世界を快適に旅して回ることのできる、あの素晴らしい靴を作るために暗い地下の工房へと降りて行くのだろう。今すぐ駆け寄って抱きしめたいと思うと同時に、そんなことをしてはいけないと思った。彼が雪と、全てを包む込む大いなる存在、父なる神と対峙しているこの神聖な時間を邪魔してはならないのだと思った。

 頬に熱いものが伝う。23、23、23……。痛いよ、心が痛い。あなたのために何をしてあげたらいいんだろう。

「起きたのか」
振り向いた23はマイアが泣いていることに氣がついた。

「どうした」
「……」
「閉じこめられたのがつらいのか?」
マイアは激しく頭を振った。

 彼は大きくため息をついてベッドに戻ってきた。それから彼女の頬に手を当てて、その瞳を覗き込んだ。瞳には初めて会った時と同じ暗い光が浮かんでいた。

「泣かれるとこたえる。嫌なのはわかっているが一年だけ我慢してくれ」
「何を?」
「俺と一緒にいることを。心配するな、何もしないから」
「イヤだなんて……。どうして何もしないの? 私じゃ全くその氣にならない?」

 23は首を振った。
「無理矢理に俺の自由にして苦しめたくない。お前の意志も訊かずに決めたことは悪かった。でも、信じてくれ。お前のためにこうしたんだ」

 マイアは自分も手を伸ばして23の頬にかかる髪に触れた。
「私のためって?」

 彼はマイアの手の上に自らの手を重ねた。彼女の心臓はまた強く速く動いた。23の声がすぐ近くで響く。

「一年経っても子供ができなければ、お前は用無しとみなされて、ここを出て行くことができる。そうなったらライサと同じように腕輪も外してもらえる。パスポートももらえるし、どこにでも好きな所に行って、どの星のある男にも邪魔されずに愛する男と結婚することもできる。お前が夢みていた自由を手に出来るんだ」

「どうして? どうして自由にしてくれるの?」
マイアがそう訊くと、23は泣きそうな顔をした。

「わからないのか。誰よりも大切だから。もう一度逢いたいとずっと願っていた。このままずっと側に居られたらと思っていた。だが、俺の望みと好きな男がいて自由を夢みているお前の幸せとは相容れないだろう。だから、俺がお前のためにしてやれることは、これしかないんだ」

 マイアは震えた。この人は、何を言っているんだろう。
「一年経ったら、あなたも一緒にここを出て行けるの?」

 23は黙って首を振った。口元は微笑んでいたが、その瞳は十二年前のあの日と同じように泣いていた。

「だったら、そんなの、私の夢でも幸せでもないよ……そんな自由なんかいらない。あなたのいない所には、どこにも行きたくないよ」

「マイア」
「一年だけなんてイヤだよ。あなたがここに居続けるなら、ずっとここに、あなたの側にいたい」

 23はようやくマイアの言っていることが理解できたようだった。震えながら両手をマイアの頬に当てた。

「俺でも、いいのか」
「『でもいい』じゃないよ。あなたがいいの。好きな人ってあなたのことだもの。他の人じゃだめなの」

 彼は泣きそうな顔のまま笑った。

「生まれてくる子供たちも孫たちもみな《星のある子供たち》になるぞ」
「星があっても、悪いことだけじゃなかったもの。腕輪をしていたから、私は23の側に来られたんだよ。生まれてきたから、私たち出会えたんだよ。そう思わない?」

 答える代りに23はマイアを強く抱きしめた。彼女はそのぬくもりに酔った。

* * *


 春が来た。風に散らされたアーモンドの花びらが緩やかに舞う河沿いを、古い自転車が走って行く。

 黒い巻き毛を後ろで束ねた少し猫背の青年が、風を起こしながらペダルを漕いでいる。

 その後ろに、茶色の髪をなびかせた若い娘が乗っている。青年の腰に腕をまわし、しっかりと抱きついて、D河の煌めく波紋を眺めている。

 カモメを追い越し、路面電車のベルと車輪のきしみを耳にして、自転車は大西洋をのぞむフォスへとさしかかる。

 波が岩場に打ちつけて、白いレースのように花ひらいて砕け散る。繰り返す波。海のそよ風。カモメの鳴き声。クリーム色のプロムナードに辿りつくと、青年は自転車を止めた。

 二人は自転車から降りて海を眺めた。どちらからともなく差し出した手を繋ぎ、波のシンフォニーに耳を傾けた。

 言葉はいらなかった。パスポートや船も必要なかった。お互いが切望していた約束の土地は重ねた手のひらの中にあった。枷だった金の腕輪は、いつの間にか絆の徴に変わっていた。

(初出:2016年5月 書き下ろし)

追記



この小説を書くことになったシーンのイメージの元になったのはこのベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」の第2楽章です。あ、動画は第3楽章まで一緒になっていますけれど。


Excerpt from Piano Concerto No. 5 in E-flat Major, Op.73 ("Emperor Concerto")

【後書き】

「黄金の枷」三部作の第一作である「Infante 323 黄金の枷」、これで完結です。2年以上の永きにわたりご愛読いただいた皆様に心から御礼申し上げます。

この作品は、2014年の春のポルト旅行中に突然頭の中に浮かんできた、本来はどこにもない世界を舞台にしたストーリーです。おそらく読んでくださった方はあちこちで明らかになる妙な設定に言葉を失って、もしくは失笑したことと思います。

この作品は、私の小説には珍しく完全なるフィクションの上に成り立っています。《星のある子供たち》や《監視人たち》と呼ばれる特別な血筋の人たち、現代としてはありえない強烈な伝統、その無茶苦茶と現実のポルトという美しくも素晴らしい街の観光案内(サブテーマは「五感で恋するポルト」でした)をミックスしてしまう強引な構成。勢いで2ヶ月ほどで書き終えたものの「これ、発表して大丈夫か?」とギリギリまで迷っていました。

なぜこの作品がこういう設定になったのか、今から考えると、全ては、メインテーマ「運命との和解」を端的に表すたった一つのシーン「抵抗し続けた運命を受け入れて静かに鉄格子から外を眺めている主人公の姿」「その姿を眺めながら彼のために何かをしたいと願うヒロインの心」を効果的に描きたかったから、それに尽きるのです。

主人公が望んでも出て行くことのできないこの格子は、おそらく誰の人生にもある普遍的なものだと思っています。奇妙奇天烈な「ドラガォンの伝統」やヒロインたちのしている「黄金の腕輪」もまた、普段意識していないながら、例えば「国民性」「伝統」「常識」という別の形で、私たちを強く縛っているものと変わらないと思っています。

でも、そういう「誰でも同じだよね」という共感部分に、主人公とヒロインの魂の結びつきが薄められないようにしたいと思いました。ごくあたり前の設定のもとでは、私の描写力では、強調したかったことを表現できないと感じたのです。

「なぜ彼は鉄格子の中にいるのか」「ヒロインを自由にするとなぜ永遠の別れになるのか」その疑問に帳尻を合わせるために無理矢理作った設定がこの「黄金の枷」ワールドなのです。が、2年間もそれにつき合っていると、私の中ではその世界も、あって当然になってしまいました。

そして、その強烈な違和感を乗り越えて「あのブログにはああいう世界があるんだ」と、ともかく受け入れてくださった読者の皆様の心の広さと、拍手やコメントによる応援が連載の支えとなってきました。「ひとつくらい、こういう世界があってもいいよね」と最後まで公開しようと思えたのは、ひとえに最後まで読んでくださった皆様のお陰です。

最初は、この「Infante 323 黄金の枷」だけだったこの世界、あれからどんどん設定と物語が進み、現在残りの二つの作品を用意しています。

といっても、実際には重要なのは三作目の「Filigrana 金細工の心」で、二作目の「Usurpador 簒奪者」はその背景を説明するための外伝的位置づけになります。発表までまだしばらくかかりますが、忘れられてしまわないように出来るだけ早く執筆を終わらせたいと思っています。他の作品同様、今後とも「黄金の枷」の世界に親しんでいただけることを願って後書きに代えさせていただきます。
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Comment

says...
更新、お疲れ様でした。
そして、完結、おめでとうございます。

お膳立てがしっかりできて、しかも逃げ場のない状況に追い込まれて(囲い込まれて?)、ついに23がゴールを決めましたね。
もっと早くボールを蹴っておけよ、なんてヤボなことは申しません。このじれじれ感こそが、小説を読む楽しみですからねぇ(笑)
マイアが23の境遇について実感するくだりと、ラストの開放的な描写の対比が素敵でした。思えば、あんなささやかな楽しみすら、この二人はできなかったんですよね。うんうん、ほんとうに良かったね、23&マイア。

ポルトの印象からインスパイアされた物語ということですが、世界観などの作り込みが見事で、ほんとうにあるんじゃないのこれ、って思ってしまうほどリアルでした。込められたテーマも納得できるものでしたし、いろんな意味でさすがだなぁと感心しています。
発表していただいて、良かったです。
今回もまた良いお話を読ませていただきました。ありがとうございました。
続編も楽しみにしています。
2016.05.25 09:54 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
夕さん、Infante323の完結、おめでとうございます。
二年間、楽しませていただきました。

読み始めの頃を思い出しますねえ。
なぬこのお話・・・脳の理解力を鍛えていただいたように思います。

ベッドの端からぬくもりまで長かったあ~(T^T)
お互いを思いやるって、こうなんだよねえとしみじみ。
最後、どうしてこんなものがついているのか、から、これがあったから、への移動。
一つのアイテムが本当に重要な役割を持っていて、人の心を象徴しているなあと。感動しました。

最後の最後、自転車で行けるくらいの距離は出て行っても良くなったのかな?
次回作にもまだまだ世界が広がっていくとのことで、楽しみにしています。

マイア、23、お幸せにぃ~~^^
2016.05.25 09:59 | URL | #- [edit]
says...
放って置いたらこの2人は永遠にすれ違っていそうですね。

完結、おめでとうございます。
緻密すぎるぐらい細密に決められた設定は、理解するのにも手間取りましたが(未だにわかっていない部分が・・・)、でも回を重ねるにつれてこういうものだと納得し、頑として崩れないシステムにリアリティーすら感じていました。もしポルトに行けたら腕輪を探してキョロキョロしてしまいそう。
でも23は考え得る限り最善の策をとっさに選択したのですね。しかも自らををかえりみず。しかも一晩、2人がそれぞれにお互いのことを思い合って、相手がどう思っているか気がついていない。なかなかここまでは書けないなぁ。
それも23は、マイアの思い人がジョゼだと思っている。思わずニヤリとしてしまいます。そんなはずないじゃないですか~。恋は盲目とはよく言ったものです。
誤解が解けるまでの2人の会話は、2人の心が徐々に接近する様子がわかって、とても素敵でした。

「俺でも、いいのか」
「『でもいい』じゃないよ。あなたがいいの。好きな人ってあなたのことだもの。他の人じゃだめなの」

最後は結局マイアが告白するような形になっていますが、マイアらしいや。そしてやっぱり前向きです。23は強く抱きしめる以外に答えようがないですよね。良かった。心から思いました。
運命に抵抗し振り回された2人ですが、お互いの思いと願いがかなって嬉しかったです。

エンディングパート、2人が春の川沿いを自転車で走っているのは、23が当主になっているからでしょうか?このシーンの映像を頭の中に浮かべながら、幸せな気持ちでこの作品を読み終えました。
若干エンディングパートを物足りなく感じるのは、この物語がサキを第2部、第3部へ誘っているのでしょうか?
素敵な物語を読ませていただいてありがとうございました。続編を待っています。

2016.05.25 11:53 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
最終回……感慨深いです。
二年に渡る連載、本当にお疲れさまでした。

「Pの街」のリアリティ。
質感、手触り、息遣いまでもが文章の向こうから
伝わってくるようでした。

そして胸を打たれたのは、「枷」の意味が最初と
最後で真逆のものになっていること。
少なくともマイアと23の間では……

「ドラガォンの館」の慣習はきっとこれからも続いていくだろうし
問題も禍根も残されているのかもしれないけれど、
そうした大きな流れ(運命)の中で、こんな絆を育む
ことができた二人もいたんだ、ということに深い感動を
覚えます。
まさに「運命との和解」なのですね。

この街の磁力があったからこそ、「運命との和解」というテーマが
より一層胸に迫ってきたのだろうし、「運命との和解」という
コンセプトが夕さんの中にあったからこそこの魅力ある
街も生まれたのですね。
どちらが欠けてもこの物語は成りたたなかったのだろうし、
街とテーマの関係も「和解」を孕んでいるというか、
表裏一体の関係にあったのかな……とか思ってしまいました。

更なる広がりを見せる次回作にも新たにテーマが盛り込まれていくのでしょうか。
いつまででもお待ち申し上げております。
素敵な物語をまた一つ、ありがとうございました。

2016.05.25 12:12 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

いや〜、いつまでも終わらない話だと思ったら、終わっちゃいましたね。あっさりと。
ひとまず無事に畳めたということでほっとしています。
本当にねぇ、彼がさっさと蹴っていたらおそらく3話くらいで終わった話なんですが(笑)

ラストシーン、実際には二人の環境は、ほとんど変わっていないんですけれど(どうせこっそり抜け出しだし)、この街をでていけないことも、腕輪を外せないことも、悲しいことや辛いことではなくて、あたり前の幸せなことの一部になったってことでしょうかね。かなり二人とものんきですが、まあ、ラストシーンくらいは(笑)

この話を創る前と今では、ポルトに対する私の目もいろいろと変わってしまっています。
実際にはないけれど、毎回ドラガォンの館の場所に行ったりして、傍目にはアブナいやつになっている私です。
だから、この謎の世界に、私だけでなくTOM-Fさんをはじめとする読者の方々も馴染んでくださったとしたら、とても嬉しいですね。

「運命との和解」をテーマに据えたこの「黄金の枷」シリーズですけれど、まずは脱力もののハッピーエンドでした。
残りの二本は、ここまでお花畑脳(なヒロインは一人で十分)ではないんですけれど、23を含めたおなじみメンバーも出てきますし、続きも読んでいただけたらとても嬉しいです。

お祝いとコメントありがとうございました。
2016.05.25 18:43 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

月一にするには向かない話だと氣がついたけれど時遅しでした。
永らくおつき合いくださって、本当にありがとうございました。
日本の話と違って、現実の部分も馴染みが少ないし、さらにファンタジーな設定も多かったので戸惑われたことと思います。
でも、けいさんをはじめとするみなさんにたくさん応援していただけて、二人とも幸せ者でした。

ベッドの端から中央まで歩み寄るのに、一晩かけました(笑)
どうしてもこの朝のシーンが書きたかったので、昨夜は誤解したままにしておきました。

そして、そうなんです。おなじ黄金の腕輪、手錠もどきだったものが、結婚指輪みたいなものになったと思っていただくと、二人にとってこの運命に対する想いがどう変わったのかが伝わるかなあと思いました。システムも街も何も変わってはいないのですけれど。

このラストシーンは、実はまだ「こっそり抜け出し」です。
でも、ご存知の通り、直に「こっそり」の必要はなくなります。
でも、そうなったら自転車でフラフラする時間はなくなっちゃいます。

二人の幸せを祈っていただけてとても嬉しいです。
続編、もうちょっとお待ちくださいね。

コメントとお祝い、どうもありがとうございました。
2016.05.25 18:51 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

そうなんですよ。
最終回までこんなですからね。

このシステムの設定は、すべてこの「雪の朝」のシーンのために創ったんです。頑固なほどに厳格なのは、そうじゃないと23の決定が悲愴にならないからです(笑)
私もポルトで金の腕輪を見かけたりするとドキッとする口ですよ。(それは普通の腕輪ですよね)

23は、もう随分前から「いずれはマイアが望むなら、こういう方法で自由にしてあげよう」と思っていました。でも、そうなったらもう生涯マイアに逢えなくなるから、言わずに引き延ばしていたんですよね。でも、マイアが24にライサみたいな目に遭わされる危険があって、一刻の猶予もなくなってしまったのでそうせざるを得なくて、昨晩は「一年でさよならだ」と落ち込んでいたんですね。しかもマイアが昨夜から泣いているし、「そんなに嫌なのか」とよけい辛くなっていたのですね。

マイアとジョゼが一緒にいるのを23は目撃していないのでわかっていませんが、もしその場にいたら「(好きな人っていうのは)こいつじゃないな」とはおもったかと(笑)

マイアの「『でもいい』じゃないよ」は、マティルダの受け売りです。マティルダに結婚式の証人になってと頼まれたときに「私なんかでいいの」と訊いて「そんな自分を卑下する事を言っちゃダメ」と諭されています。「○○でいい」と「○○がいい」は全く違う意味なんですよね。。

23は、子供の頃からありとあらゆる抵抗をしてきました。大人になっても血脈を繋がないことで、同じ運命になるインファンテたちを作り出すまいとしてきました。でも、自分が抵抗しているとまた24の犠牲が出るからとアルフォンソに諭されて、その抵抗も諦めなくてはならないと思い出しています。だったらその相手はマイアがいいけれど、彼女の幸せのためにそれも諦めようと決心しました。この雪の朝のシーンは、窓の外を眺めながら彼が運命に完全敗北を認めているところで、その直後にマイアが自由よりも自分を選んでくれたことがとても嬉しかったはずです。

このラストシーンではまだ23はインファンテです。こんどは二人で抜け出しているのですね。
ほとんどこの直後くらいに、23は当主になり、靴を作ったりマイアと遊んでいる時間はほとんどなくなります。
当主になった後は、髪の毛も切るので見かけがちょっと変わります。

エンディングが物足りないのは、本来それだけの物語だからですよ(笑)
ハッピーエンドなので出来るだけあっさりとで。
そうでないと暑苦しいですから。

残り二つは、この物語とはテイストが違っていますが、全部揃ってこの世界観が完成すると思っています。
楽しみにしていただけて嬉しいです。

お祝いとコメント、ありがとうございました。
2016.05.25 19:14 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

本当に「この小説永久に終わらないぞ」と思ったんですが、あっさりと終わりましたね。
発表方法失敗したなと思いました。月一回向きではなかった!

とにかくポルトが大好きすぎて、どうしても書きたかったのですが、この作品を通してみなさんにポルトの布教が出来たらそれだけで嬉しいです。

そして、黄金の腕輪もPの街も、前とは何も変わっていませんが、かつては手錠であり牢獄であったものが、二人の想いが通じただけで結婚指輪もどきと、愛の街に変わってしまいましたね。「運命は敵ではない」とアルフォンソが言っていた通りになった象徴として最後に書き込みました。

人間って禁じられると抵抗しようとするんですけれど、よく考えてみたらそれが心地よいなんて事はいっぱいあるんですよね。
ポルトには、私はずっと閉じこめられたいです(笑)

今回の二人にとっては、まさにこれ以上ないいい形での「和解」となりましたが、実は残りの二作はこんなにハッピーな和解にはなりません。それでも登場人物たち一人一人が苦しんだ後に見つけていく和解の形を読んでいただけたら嬉しく思います。
もう少々お待ちくださいね。

労いとコメントありがとうございました。
2016.05.25 19:23 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
2年にわたる更新、お疲れ様でした!
でも、そんなに経った気がしない!!なぜだろう。
間を開けて更新するというのも、いいですよね。その間に何か、熟成されていくような感じがあって。


さあ、マイア! ようやくその言葉を口に出来ましたね。
更新中はじりじりしましたが、今思えばここで言うのが一番のグッドタイミングだったのかもしれませんよね。
マイアが言ったからそうした、というよりも、絶対この方が素敵なラストです。
檻の中なのに、どんなカップルよりも幸せそうに見えるのが、夕さんのこれまでの筆さばきとマジックですよね。

後書きを読みながら、あらためて思いました。
物語の最初はやはり、最後には自由を・・・という願いを誰もが持ってしまうのですが、そこを「運命を受け入れる」というテーマで貫いたのは、とても素敵だな、と。

どうしても逃れることのできない運命って、多かれ少なかれみんな持っていますもんね。
そこから脱却することだけがハッピーエンドなら、やっぱり寂しい。

余談ですが、私の処女作の「白昼夢」も、今思えばそう言うコンセプトだったと、思い出しました。
受け入れるって、難しいけどすごい事ですよね。

そして、「何を食べるかより、誰と食べるか」、なんて言葉もうかんできました。
私はどんなコース料理よりも、気の置けない人と食べるおにぎり一個の方がご馳走だと思うので、なんかしみじみしちゃいました。
マイアと23、きっとこのあと幸せな日々を重ねていきますよね♪

まだ続編がある様なので、それもまた楽しみに待っています^^
2016.05.26 00:57 | URL | #GCA3nAmE [edit]
says...
素敵なラストでした~~~o(^^*)o
泣けちゃった~~~!!!
みなさんのコメントが素晴らしすぎて
もう、なんも言えねーーーー!!状態ですけど
感動しました!!!!!
良かったあ~~~o(;▽;)o
何より、枷だった金の腕輪が二人を繋ぐ絆に・・・
っていうのが本当に素敵!!!
きっと最初から二人にとっては絆の腕輪だったんですね(^v^*)v-238

完結、本当にお疲れ様でしたm(^^*)m
素敵な物語をつむいでくださって本当にありがとう!!!

終わってしまったのは寂しいけれど
まだまだ、この世界には拡がりがあるようですから
今後も楽しみです~~~!!!!!
二人の幸せな姿も絶対
時々は見せてくださいね(^^*)v-238
お願いします~~~!!!!!
2016.05.26 16:47 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

終わってみたら、そんなに経っていないようですけれど、途中のscriviamo!では、いろいろとこの小説に絡んでいただいて「でも、いま、ここではそれは書けない!」的なことが多くて悶絶しました。
二年もかける小説じゃなかった……orz

そして、マイアがあっさり言っちゃったら「雪の朝のシーン」は幻になってしまうので、お互いにいろいろと誤解させたりと苦労しました(笑)

そして、そうなんです。檻の中のハッピーエンド、という逆説なのですね。
一般的な構成の小説では、主人公たちの努力で檻から出てこそのハッピーエンドでしょうけれど、現実の世界ではむしろ檻の中にいるままで幸せを見つけることの方が多いと思うんですよ。そして、檻から出てしまったら、自由に喜んでいるのか手にしたものに喜んでいるのか今ひとつわかりにくいなあと思うんですよね。

「白昼夢」はそういうコンセプトなんですね。
これはまだ未読作品の一つなので、近いうちに読破しようっと。

「何を食べるかより、誰と食べるか」も本当におっしゃる通りですね。途中に23がマイアとサンドイッチを食べるシーンや、Gの街の安食堂に行くシーンを入れましたけれど、召使いに給仕されてフルコースを食べているよりも、マイアと笑いながら簡易なものを食べている時間を23はとても大切に思っていたのですよね。これからは朝食も昼食も一緒に工房の小さなテーブルで食べることになりますが、かなり幸せな新婚状態になると思います(笑)

というラブラブな二人には、もう読者の皆さんの関心はなくなることかと思いますが、別の人物たちに焦点を移して続きを書いています。そう遠からず発表できるといいんですが。その時にはまた読んでいただけると嬉しいです。

お祝いとコメント、どうもありがとうございました。
2016.05.26 18:28 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

おお〜、「泣けちゃった」とは、最高のご褒美のお言葉、嬉しいです。
かじぺたさんには、ほぼ徹夜の勢いで一氣読みしていただいたり、本当に頭が上がりません!
書いている時には、自分のことなので主人公大好きで、「なんとかしてあげたい」必死モードで書いていましたけれど、発表するとなると「こ、こんな話、みんなドン引きだよなあ……」と躊躇していました。
こうして最後まで読んでいただいて、二人を最後まで応援していただけたのは本当に嬉しいです。

黄金の腕輪も、そう、見方を変えれば嫌ことだけではなかったのです。
街から出て行けないつらさも、一人ぼっちであることも、全部お互いを理解するために必要なことだったと思えれば、はじめからそれが絆であり運命だったのだと受け入れられるのかなと思って書いていました。

この話の続きは、ラブラブな二人のことではなく、別の人物たちに移っていきますが、ええ、この二人も時々出てきます。特にマイアは相変わらず考えなしで、幸せなヤツです。

今後ともこの二人と「黄金の枷」の世界を応援してくださると嬉しいです。

労いのお言葉と、コメント、どうもありがとうございました!
2016.05.26 18:36 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
連載お疲れ様でした。

私は個人的には物語やキャラクターというよりかは。
設定の方を重点的に見て勉強させていただいておりました。

やはり夕さんらしいというか。

私は見識が狭いので、というか、旅行経験があまりない出不精なので。
なかなか広い世界観を構築するのが難しいのですが。
夕さんの海外にいる、海外にいさせる気分になる小説、という文体を深く読ませていただきました。
私に新しいものを与えてくれるというか、
私にはないものを与えてくれる小説をしてはとても勉強になりました。

2年間お疲れ様でした。
<m(__)m>
2016.05.27 13:05 | URL | #- [edit]
says...
こちらにもありがとうございます。

おかげさまで無事に完結しました!

せっかく通うほど行っているのだから、その雰囲氣だけでもお届けできたらいいなあなどと思って書いていました。
設定にも、ポルトガルと、かの国の概念、それに何を食べているのかまで含めての世界を散りばめましたので
そこに着目していただけたのは嬉しいですね。

ちょっと特殊な世界ですが、独自ワールドとして楽しんでいただけると嬉しいですね。

労いとコメント、どうもありがとうございました。

2016.05.27 22:03 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
遂に完結。おめでとうございます。
落ち着く先は分かっていたつもりでも、ちゃんとエンドマークを見るとほっとしますね。それに、最後の最後まで23の方の気持ちの揺れとか苦しさが目一杯出ていて、そこにマイアのストレートな言葉。
前半のマイアが見た23の描写、素敵ですね。ここには23がこう思った、ああ思ったってのは書かれていませんが、情景だけで色んなものが伝わってきます。こういうシーン、素敵だな。これって、夕さんが以前言っておられた、この物語を思いついた景色に繋がるのでしょうか。だからこの23のシーンがキュン、となるのかな。

そして、最終回に相応しい急転直下。これはもう最終回の醍醐味ですよね。今、久しぶりに恋愛ドラマを見ているのですけれど、向き合っていない二人(正確には向き合っているはずなのに、状況的に相手にそれを見せない、見せられない不器用な2人)が向き合う瞬間って、いいですよね。恋愛ものの醍醐味だと分かりました。夕さんはいつも物語には恋愛要素が無いとね、って言っておられましたが、うん、気持ちが重なる瞬間は、どう抗っても感動させられちゃうシーンです。

「星があっても、悪いことだけじゃなかったもの。腕輪をしていたから、私は23の側に来られたんだよ。生まれてきたから、私たち出会えたんだよ。そう思わない?」
この言葉はこの物語で夕さんが伝えたかったことなんですよね。そしてこのドラマの背景にある逆らいきれない運命=システムは消えちゃったわけじゃないんだよ、ってことを思い出させる言葉でした。
でもさすがお花畑脳のマイア! 私、いつも思うんですよね。知らないってことは(あるいは知っててもそれに拘らない)ってことは強い!って。そして、うじうじ悩むと進まないけれど、こういうのを打破していく人は、ひょいひょいって針の山を飛んで行っちゃうんですよ。でも、それはマイアだから、かもなぁ。
きっとそうは問屋が卸さない、って話も背後にごろごろしているんでしょうけれど、少なくとも今回は良かった!って思いました。
このマイアの言葉、ある亡くなった若い女性から聞かされた言葉を思い出して、ため息をつき、大きくうなずいていました。彼女は子どものときに発症した病気とずっと闘っていて、でも病気があったからこそ、出会えたたくさんの人たちがいて、その人たちのことが大好きだと言っていました。私が男だったらプロポーズしてたと思う人で、実際に彼女は小児科医と結婚したのですが、その後すぐに亡くなられました(小児科医の方は彼女が死にゆく病だと分かっていたのですが、それでも彼女が大好きだったんだ、と)。運命には逆らえない。でもそれをどう捉えるかは別の話だと、彼女から学びました。
マイアもまた、23を見ながら、(持ち前のお花畑脳を駆使して!)全てを前向きに捉えていたのですね。そんなに簡単なことじゃないってこともちゃんと分かってたと思うけれど、女のど根性みたいなものも感じました。
マイアにはこのテーマソング。「浪花~節だよ、女の、女の~、人生は」って、違うか。でもファドと演歌とブルースは、根底に流れるものが一緒ですから!

考えてみたら、私たちみんな、Pの街よりは広い範囲だけれど、地球という箱に閉じ込められていて、やがて死にゆく運命からは逃れられない、でもそこでどう受け止めて生きていくか、そういう話なんだな、と思いました。

改めて完結、おめでとうございます。そして楽しませてくださってありがとうございました。最初に、設定を読んだ段階で、うん、すごい話だと思いましたが、まだまだこの物語の続きがあるということも楽しみのひとつです。
2016.05.29 00:06 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
おはようございます。

ここの所「エンドマーク・ラッシュ」ですよね。こういうのが重なるとちょっと嬉しい。

この話では、23の視点だけは書かないようにしていました。
読者サービス(いや、本編だけじゃ伝わらないのでインチキ?)で、外伝には何回か23の視点が出てくるんですけれど、本編の方はあくまでマイアを中心とした他の人の視点を通して、タイトルロールである23の人間のあり方と想いがにじみ出るようにしたいなと思っていました。だからこのラストシーンも、本人が窓の外を見て何を考えていたのかは敢えて書いていません。書かなくてもわかるようにしつこいくらく長い前の話を書いたわけなんですが、キュンとなったとおっしゃっていただけて本当に嬉しいです。

一般の物語に、恋愛要素がないとダメとは思いませんけれど、でも、私の所はそうなりますねぇ、どうしても。まあ、とくに謎などもないし、何もないとストーリーが成立しないってことかしら? で、前もどこかで書いたと思いますけれど、恋愛ものは二人の想いが通じたら、そこまでって部分は大きいと思うんですよ。もちろん、実際の人生は惚れたはれたじゃ済まないので、そこから先が大切なんですけれど、物語の読者としては障害もなくなった二人がイチャイチャしているだけは別に読みたくないかと。だから、恋愛ものの盛り上がりはどうしても最後にもってこなくてはならないというジレンマがあります。ミステリーの謎解きを真ん中に持って来れないのと似ているかな、と。

そして、ご指摘の通り、二人をとりまく状況=システムは全く変わっていません。むしろ23に対する包囲網は厳しくなっていて、ついでに自由よりも23を選んだマイアの方もずっと不自由になるのですが、このストーリーで伝えたかったのは「愛の力で現状を変える!」ではなくて「現状を受け入れた中で幸せを育む」なので、こういうマイアのセリフに集結しています。

彩洋さんの亡くなられたお友だちやその周りの方が感じられたような深い苦悩の中から出た言葉ではありませんけれど、おそらく私たち誰もがなんらかの形で日々ぶつかっている壊せない枠組みの中で、手にすることの出来る幸福を表した象徴にしたいと思って書きました。

マイアは、思慮の浅い子なんですけれど、それが考えすぎて行き詰まっている23にとっての救いになっています。考える前にもう蓋を開けているタイプですね。彼女の中にはおそらく根性すらありません(笑)
23やその他のこのストーリーの主要人物にはファドもそれなりに似合うんですが、彼女(とマヌエルとジョゼ)にはそれが全く似合わない。だからマイアのイメージソングは常にボサノヴァだったりします。
考えも覚悟もないから飛び越えられるというのは、タロットカードで言うと「愚者」のイメージかな? そういうの、時には必要な存在なんですよね。

ともあれ、この物語に深く親しんでくださり、共感してくださったことに心から感謝します。彩洋さんの所の大河ドラマの深さとく較べると笑ってしまうような世界ですけれど、せっかく共演していただいたご縁もありますし、もう少々おつき合いいただけるととても嬉しいです。

お祝いと、コメント、どうもありがとうございました。
2016.05.29 10:11 | URL | #9yMhI49k [edit]

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