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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

【小説】そばにはいられない人のために

当ブログの77777Hit記念掌編のひとつめです。最初のリクエストはTOM-Fさんにいただきました。

ご希望の選択はこちらでした。

*現代日本
*園芸用花
*一般的な酒類もしくは嗜好飲料
*家
*雨や雪など風流な悪天候
*「大道芸人たち」関係
*コラボ、『花心一会』の水無瀬彩花里(敬称略)


『花心一会』は、WEB誌Stellaでもおなじみ、若き華道の家元水無瀬彩花里とその客人たちとの交流を描くスイート系ヒーリングノベル。優しくも美しいヒロインと花によって毎回いろいろな方が癒されています。今回コラボをご希望ということで勝手に書かせていただいていますが、本当の彩花里の魅力を知りたい方は、急いでTOM-Fさん家へGo!

今回の企画では、リクエストしてくださった方には抽象的な選択だけをしていただき、具体的なキャラやモチーフの選択は私がしています。どうしようかなと思ったんですけれど、せっかくお家元にいらしていただくのだから、日本の伝統芸能に絡めた方がいいかなと。花は季節から芍薬を、嗜好飲料はとある特別な煎茶を選ばせていただきました。そして「家」ですけれど、「方丈」にしました。お坊さんの住居だから、いいですよね。ダメといわれてもいいことにしてしまいます。(強引)

TOM-Fさん、『花一会』の流儀、いまいちわからないまま書いてしまいました。もし違っていたら直しますのでおっしゃってくださいね。


【大道芸人たちを知らない方のために】
「大道芸人たち Artistas callejeros」は2012年に当ブログで連載していた長編小説で、現在その第二部を連載しています。興味のある方は下のリンクからどうぞ

「大道芸人たち Artistas callejeros」を読む このブログで読む
「大道芸人たち 第二部」をはじめから読むこのブログではじめからまとめて読む
あらすじと登場人物




大道芸人たち Artistas callejeros 番外編
そばにはいられない人のために Featuring『花心一会』



 瞳を閉じてバチを動かすと、なつかしい畳の香りがした。湿った日本の空氣、夏が近づく予感。震える弦の響きに合わせて、放たれた波動は古い寺の堂内をめぐり、やがて方丈に戻り、懐かしいひとの上に優しく降り注いだ。

 浄土真宗のその寺は、千葉県の人里から少し離れた緑豊かな所にあった。『新堂のじいちゃん』こと新堂沢永和尚は四捨五入すると百の大台に乗る高齢にも関わらず、未だにひとりでこの寺を守っていた。日本に来る度に稔はこの寺を訪れる。これが最後になるのかもしれないと思いながら。

 彼の求めに応じて三味線を弾く。または、なんてことのない話をしながら盃を傾ける。死ぬまで現役だと豪語していた般若湯(酒)と女だが、女の方は昨年彼より二世代も若い馴染みの後家が亡くなってから途絶えたらしい。
「これもいつまで飲めるかわからん。心して飲まねばな」
カラカラと笑って大吟醸生『不動』を傾ける和尚を稔は労りながらゆっくりと飲んだ。

「何か弾いてくれ」
「何を? じょんがら節?」
「いや、お前がヨーロッパで弾くような曲を」

 それで稔は上妻宏光のオリジナル曲を選んだ。その調べは白い盃に満たされた透明な液体に波紋を起こすのにふさわしい。懐かしくもの哀しいこの時にも。Artistas callejerosはこの曲を街中ではあまり演奏しなかった。コモ湖やバルセロナのレストランでの演奏の時に弾くと受けが良かった。頭の中ではヴィルがいつものようにピアノで伴奏してくれている。

 まだ弾き始めだったのだが、和尚は小さく「稔」と言った。バチを持つ手を止めて、彼の意識のそれた方に目を向けると開け放たれた障子引き戸の向こうに蛇の目傘をかざし佇む和装の女性が見えた。

「ごめんください」
曲が止まったのを感じて、彼女は若く張りのある声で言った。和尚は「いらしたか」と言うと、稔に出迎えに行けと目で合図した。客が来るとは知らなかった稔は驚いたが、素直に立ち上がって方丈の玄関へと回った。

 その女性は、朱色の蛇の目傘を優雅に畳んで入ってくると玄関の脇に置いた。長い黒髪は濡れたように輝き、蒸し栗色の雨コートの絹目と同じように艶やかだった。そして、左腕には見事な芍薬の花束を抱えていて、香しい華やかな薫りがあたりに満ちていた。

「どうぞお上がりください」
稔はそれだけようやく言うと、置き場所に困っている女性から芍薬を受け取った。彼女ははにかんだように微笑むと、流れるような美しい所作で雨コートを脱ぎ畳んだ。コートの下からは芍薬の一つのような淡い珊瑚色の着物が表れた。

 色無地かと思ったが、よく見たら単衣の江戸小紋だった。帯は新緑色に品のいい金糸が織り込まれた涼やかな絽の名古屋、モダンながらも品のいい色の組紐の帯締めに、白い大理石のような艶やかな石で作られた帯留め。この若さで和装をここまで粋に、けれども商売女のようではなくあくまでも清楚に着こなせるとは、いったい何者なのだろう。

「おう、遠い所よくお越しくだされた。何年ぶりでしょう。実に立派になられましたな、彩花里さん。いや、お家元」
居室に案内すると、和尚は相好を崩して女性を歓迎した。

「ご無沙汰して申しわけありません。お元氣なご様子を拝見して嬉しく思います」
きっちりと両手をつき挨拶する作法も流れるように美しく稔は感心して「お家元」と呼ばれた可憐にも美しい女性を見つめた。

「あ~、このお花、花瓶に入れてきましょうか」
稔が訊くと、和尚は大笑いした。

「いかん、いかん。お前なぞに活けられたら芍薬ががっかりしてしぼむわい。わしもこの方に活けていただく生涯最後のチャンスを逃してしまうではないか」

 それから女性に話しかけた。
「ご紹介しましょうかの。ここにいるのは、わしの遠縁の者で安田稔と言います」

「安田さん……ということは……」
「その通りです。安田流家元の安田周子の長男です。稔、こちらは華道花心流のお家元水無瀬彩花里みなせあかり さんだ」

 稔は、畳に正座してきちんと挨拶した。
「はじめまして。大変失礼しました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします」

「こやつは三味線とギターのこと以外はさっぱりわからぬ無骨者で、しかも今はヨーロッパをフラフラとしている根無し草でしてな。華道のことも、あなたが本日わざわざお越しくださっている有難さも全くわかっておりません」

 彩花里は、微笑んだ。
「いいえ。私たちが一輪の花を活けるのも、一曲に全ての想いを込めて奏でるのも同じ。先ほどの曲を聴いてわかりました。安田さんは、私と同じ想いでここにいらしたのですね」

 それから稔の方に向き直った。
「花心流の『花一会』はひとりのお客さまのために一度きりの花を活けます。本日は、和尚さまへのこれまでの感謝とこれからの永きご健康をお祈りして活けさせていただくお約束で参りました。安田さん、私からひとつお願いをしてもかまわないでしょうか」

「なんでしょうか」
「私が活けるあいだ、先ほどの曲をもう一度弾いていただきたいのです。私が来たせいで途中になってしまいましたから」
「わかりました。よろこんで」

 それから和尚の前の一升瓶を見て、彩花里はわずかに非難めいた目つきを見せた。般若湯などと詭弁をろうしても、住職が不飲酒戒を破っていることには変わりない。ましてや陽もまだ高い。堂々と一升瓶を傾けるのはどうかと思う。
「お届けしたお茶はお氣に召しませんでしたか?」

 和尚は悪びれることもなく笑った。
「いやいや、あの特別のお茶とお菓子はあなたとご一緒したくてまだ開けておりませんのじゃ。どれ、湯を沸かしてきましょうかの」

 彩花里が花の準備をしている間、稔は和尚を助けてポットに入れた熱湯と、盆に載せた茶碗、そして美しい茶筒、三つ並んだ艶やかな和菓子『水牡丹』を居室に運んだ。

 準備が整うと、彩花里は和尚の正面に、稔はその横の庭を眺められる位置に座して三味線を構えた。
「それではこれから活けさせていただきます」
彩花里は深々と礼をした。彩花里の目の合図に合わせて、稔は先ほどの曲をもう一度弾きだした。

 彩花里の腕と手先の動きは、まるで何度もリハーサルを繰り返したかのように、稔の奏でる曲にぴったりとあっていた。活けるその人のように清楚だが華やかな花の枝や葉を、たおやかな手に握られた銀の鋏が切る度に馥郁たる香りが満ちる。

 稔はかつてこの空間にいたはずの、和尚の失われた息子のことを考えた。彼のために奥出雲の神社で奉納演奏をしたのは何年前のことだったろう。妻に先立たれ、ひとり息子を失い、生涯が終わる時までこの寺で独り生きていく大切な『新堂のじいちゃん』の幸について考えた。

 この美しい女性も、たった一度の花を活けながら今の自分と同じ氣持ちでいるのだと考えた。真紅、白、薄桃色。雨に濡れて瑞々しくなった花が彼女の手によって生命を吹き込まれていく。寂しくとも、悲しくとも、それを心に秘めて人のために尽くし続ける老僧を慰めるために。

 バチは弦を叩き、大氣を振るわせる。その澄んだ音色は、もう一度、和尚の終生の家であるこの方丈の中に満ちていった。

 外は晴れたり降ったりの繰り返しだった。眩しいほどに繁った新緑がしっとりと濡れている。その生命溢れる世界に向けて三味線の響きは花の香りを載せて広がっていった。消えていく余韻の音を、屋根から落ちてきた滴が捉え抱いたまま地面に落ちていった。

 彼がバチを持った手を下ろして瞼を開くと、彼女は完成した芍薬を前にまた頭を下げていた。

 ほうっと和尚が息をつき、深く頭を下げた。
「先代もあなたがここまでの花をお活けになられると知ったらさぞお喜びでしょう」

 彩花里は、穏やかに微笑みながらゆったりとした動作で茶を煎れた。その色鮮やかな煎茶の香りを吸い込んで、稔は日本にいる歓びをかみしめた。

「八十八夜に摘んだ一番茶でございます。無病息災と不老長寿をお祈りして煎れさせていただきました」
「水牡丹」の優しい甘さが、新茶の香りを引き立てている。稔は、茶碗を持ったまま瞳を閉じている和尚に氣がついた。飲まないんだろうか。

「和尚さま、このお茶の香りに、お氣づきになられましたか」
彩花里は優しく言った。

「奥出雲の山茶……」
彼は、わずかに微笑みながら言った。

「はい。日本でもわずかしかない在来種、実生植えされ、百年も風雪に耐え、格別香りが高いこのお茶こそ、今日の『花一会』にふさわしいと思い用意いたしました」

 そうか。あの神社から流れてくる川の水で育ったお茶なんだな。それを飲んで無病息災を願う。本当にじいちゃんのために考え抜いてくれているんだ。

「お前もこの日本の味を忘れぬようにな」
彩花里が完璧に煎れてくれた一番茶を味わっている稔の様子を和尚はおかしそうに見ていた。

「安田さんは、ヨーロッパにお住まいとのことですが……どこに」
彩花里が思い切ったように口を開いた。

「はい。俺は大道芸人をしていて、あちこちに行くんです」
「では、あの、パリに行くことなども、おありになるのでしょうか」

「時々は。どうして?」
「母が、パリにいるんです」

「先代お家元の愛里紗さんは、彩花里さんに家元の座を譲られてからパリで華道家として活躍なさっていらっしゃるのじゃ」
和尚が「水牡丹」を食べながら言った。

「何か、お母様にお渡しするものがありますか?」
彩花里は首を振った。
「いま弾かれた曲を、母の前で弾いていただけませんでしょうか」

 稔は訊いた。
「無病息災と、不老長寿を祈願して?」

 彩花里は「はい」と微笑んだ。

 稔は彼女の母親は、この曲の題名を知っているのだろうかと考えた。『Solitude』。彼は、和尚にはあえて言わなかった。家元の重責に氣丈に耐えているこの女性もおそらく知っているけれど、あえて口にすることはないのだろう。共にはいられないことを言い募る必要はない。ただ想う心だけが伝われば、それでいいのだと思った。


(初出:2016年6月 書き下ろし)

追記


稔が弾いた曲はこちらです。

上妻宏光『Solitude』
関連記事 (Category: 小説・大道芸人たち 外伝)
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Category : 小説・大道芸人たち 外伝
Tag : 小説 読み切り小説 コラボ リクエスト キリ番リクエスト 77777Hit

Comment

says...
執筆、お疲れ様でした。
ワガママなリクエストにも関わらず、素敵な小説を書いてくださって、ありがとうございます。

今回もまた、やられました。白状しますと、感動して鳥肌ものでした。
たぶん安田稔でくるだろうな、という予想までは当ったんですけど、『樋水龍神縁起』の新堂和尚も出てきてくださるとは……。
そして彩花里をあそこまで可愛く、また深く掘り下げて書いてくださって、ほんとうに嬉しいです。着物から帯や帯締め、そして持ち物まで、八少女夕さんの拘りというか、ほんとうに丁寧に描いてくださっているなあと感心します。彩花里なら、ああいうことするだろうし、ああいうことも言いそうだと、肯きながら読ませていただきました。

彩花里の「花一会」ですが、とくに決まり事はありません。御作に書かれている通り、ただ一度の出会い、ただ一度の瞬間を「活ける」ことが、あの子のやりかたです。

芍薬は、豪華な花ですよね。「立てば芍薬」っていいますけど、彩花里ではまだあの花には敵わないですね。

そして、稔との協演は「美しい」の一言でした。
芍薬の花言葉ではありませんが、やはり稔の才能は並外れているんでしょうね。演奏した曲、哀愁と激しさと美しさが同居した、印象的な曲ですね。天候の変化とあいまって、静かなのにドラマティックなシーンになっていると思います。
彩花里の活け花が良かったのも、彼の演奏にひっぱってもらったおかげでしょう。

芍薬は薬草であり、茶花でもありますので、この「会」にふさわしい花ですね。
「出雲の山茶」は、恥ずかしながら、今回、初めて知りました。そんなものも栽培していたんですね。恐るべし奥出雲。そして梅雨に相応しい菓子「水牡丹」。ううう、なんて素敵な茶会でしょう。招待して欲しいかも……。

ラストも素敵ですね。
稔も和尚様も彩花里も、そしてパリの愛里紗も、「loneliness」ではなく「solitude」なんですね。あえて語らずとも、それがわかっている三人の邂逅。これも縁なのかもしれませんね。

今回もまた、素晴らしいお話を読ませていただいて、ありがとうございました。
2016.06.29 14:00 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんばんは!
キャラクターは分からないのですが、楽しく読ませていただきました!
お題にたいして見事な回答ですね^^
文章も曲の雰囲気と一貫して沿っているように思います。
花一会の空気をたっぷり妄想させていただきました。
2016.06.29 18:16 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

ああ、ほっとしました。「うちの彩花里と花一会をよくもこんなテキトーに書きやがって」にならなくて。

4人の中で稔にしたのは、6月→単衣&絽の名古屋帯とせっかく彩花里がちゃんと着ていても、他の三人ではその違いがわからないから(笑)着物の描写は楽しませていただきましたよ。ただの女の子は単衣の江戸小紋なんて持っていないし!

でも、稔だけじゃ彩花里のお相手としては役不足なので、新堂沢永に登場してもらいました。
反対に和尚だけだと、「大道芸人たちじゃないじゃん」になっちゃうので、稔はついでです。

そして、彩花里を書かせていただく時に、きれいないつもの姿だけじゃなくて、前に猫男爵に「こら」していたときのあの可愛い感じも再現したかったので、破戒坊主に「めっ」していただきました。

稔というキャラクターを作り出すにあたっては、上妻宏光の音楽はずいぶんと大きい位置を占めていまして、私の中での稔はたいていこの人の演奏で響いているのです。それでいて社会からはみ出してしまった、ギターも捨てきれなかった、そういう「一芸に秀でてはいない」ところも持っていて、だから本物の一流にはなれない、お家元の彩花里と比較するとかなり格下でもあります。でも、彩花里は「大道芸人風情」と思ったりするような人じゃないから、きっと喜んで共演してくれる……と勝手にやっちゃいましたが、お許しいただけて嬉しいです。

芍薬にしたのは、実は「どの花にしようかな」と考えていた日に大家の奥さんにいただいたからなのですよ。季節からも「立てば芍薬」で彩花里に合うことからも「よっしゃこれだ!」と。でも、薬草で茶花なんですね。そうかそうか、わかっていなかったけれど、選んで正解だったぞ!

お茶は薄茶にしようかと思ったんですけれど、この破戒坊主の方丈には茶釜はなさそうだし、茶道じゃないから煎茶でもいいかなと。でも、普通の煎茶じゃなくてと探したら、あったんですよ。「出雲の山茶」が。いやぁ、インターネットって素晴らしい。
実際には斐伊川ですが「樋水龍神縁起」的にはもちろん樋水川&蛟川なので、新堂和尚のために彩花里が用意するお茶としてはぴったりかなあと。水牡丹(水芍薬はなかったので)は、私が食べたい(笑)

ああ、こんどバーチャルお茶会しましょうか。みんなで「これぞ」というお菓子や軽食を持ち寄って……(いい加減にしろと、なんか飛んでくるな、きっと)

>「loneliness」ではなく「solitude」なんですね。
そうなんですよ。この曲を選んだのは単に音がちょうどよかったからなんですけれど、これ「loneliness」だったら書けませんでした。それだと四人全員の生き方からちょっと離れちゃうし。で、「solitude」なんですね。実は、これが私の大テーマだったりして(ごにょごにょ)

今回もおつき合いいただき、リクエストとコメント、そして彩花里を貸していただきありがとうございました!
2016.06.29 22:07 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

あ、スピンオフなので「?」だったかもしれませんが、とくに重要ではないのでお氣になさらずに。
含まれるリクエストのモチーフが多いので、出来るだけ不自然にならないように頑張りました。

今回も、わりと清修さんのところの「サウンド・ノベル」に近い作り方になっているかなあと思いつつ書いていました。
(すみません。まだ余裕ないんですが、まだ参加を諦めたわけではありませんので、お許しください)
TOM-Fさんのように完璧な「花一会」は無理でも、ちょっとらしく書けたらいいなあと思っています。

コメントありがとうございました。
2016.06.29 22:25 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
そのひとのために一度きりの花を活けるって
素敵ですよね。
このお話を読んでいると、一人一人の心の中に
「心尽くし」の精神を感じました。

牡丹ってわたしのなかで1位2位を争うくらい好きな花なので
すが市場に並ぶのも一瞬なら飾り方も難しいしで
こうやって彩花里さんに活けていただけてなんか
すごい満足感が^^

TOM-Fさんの和菓子の描写もものすごい
おいしそうでしたが、その流れを汲んだ
ここでも雅な和菓子の登場。
夕さんは外国の描写も上手ですが日本の描写も
秀逸ですよね。すごいなあと思います。

三味線の曲だけど、現代的な感じの曲なんですね。
主旋律を稔が弾いて、ヴィルがいるときはバックミュージックを
彼が担当するのでしょうか。

『Solitude』って孤独とか一人って意味なんですね。
曲調と新堂和尚の泰然とした佇まいもあって
悲壮的な感じじゃなくて、それを受け入れて「ここに在る」
というような凛としたものを感じます。
2016.06.30 11:42 | URL | #- [edit]
says...
芍薬でした(^^;)
あたまの中では芍薬が浮かんでいたのに(笑)
すみません///
2016.06.30 11:48 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。
二ついっぺんの返事で失礼します。

本当にとても素敵なご流派ですよね!
私は華道のことはほとんど何も知らないので、活けるシーンの描写は逃げています(とほほ)

ああ、「心尽くし」って素敵な言葉ですよね。
彩花里は、ほんとうに「心尽くし」がぴったりです。
そして、残りの二人も、それぞれに……かな。

牡丹も芍薬も(ちなみにこちらではどちらでも同じ扱いです。お氣になさらずに)実に美しい。
姿形も香りも、「百花の王」「花の宰相」にふさわしい豪華さですよね。
先日、大家の奥さんに「花もらいすぎちゃったの」といただいたんですけれど、とても大きいので飾るの大変でした。
でも、何日間が芍薬の香りが部屋に満ちて幸福になり、それでこれで書くことに(笑)

和の描写、好きなんですけれどむずかしいのですよね。
和風のものを書く時には、可能な限り和語を使うようにしていて、ただ、あまり知られていない言葉ではなく……。

和装については、日本で正社員をした(たったの)5年間、着物に関わる仕事をしていたので書くのは苦にならないのですが、邦楽はぜんぜんわかっていません。

そういう人間が書いているものなので、稔を書く時には、わりとこういう新しい三味線曲をイメージして書くことが多いです。
それにヨーロッパだと、あまりバリバリの邦楽だとお客さんがついていけないかなと。
今回の曲は、コモのレストランなど、一張羅を着てハイソなお客さんの前で演奏するのをイメージしています。だからヴィルの伴奏がつくんですね。今回はメロディだけですが。

この曲、孤独、独りといわれると「そうかな」と思うでしょう?
でも、そうなんですよ。哀愁はあっても、すがって泣いている感じではなく、独りできちんと立っている、そういう感じなのですね。その感じを出せたらなあと思いつつ書いていました。

コメントありがとうございました。
2016.06.30 21:26 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
素敵ですぅ~(*u_u)
リクエストではなく共作ではないですかと思ってしまう程の彩花里ですね。
和尚さんを思う彩花里の心からの気遣いが本当に行き届いていてすばらしい。
彩花里がやってきた意味やありがたさにピンと来なくて首を傾げる稔がツボです。
けれどもそのあとのさすがの家元同志(あ、微妙な違いがあるにしても)の共演はこちらも脳内くらくらするほど素敵でした。

上妻宏光さんは、本当に素敵な方ですよね。
私の大好きなギターリストのMIYAVIさんと共演したことがあるのです。
二人の演奏や、音楽に対する考え方とかに通じるのもがあって実現したことなのですが、いんや、凄かったです。
夕さん、ご存知かな https://www.youtube.com/watch?v=uHgoB-A0gsA

稔とMIYAVIが共演したとして、ヴィルと蝶子がすぐに乱入して、レネがどうしようともじもじしつつも加わるの図の妄想が尽きません^^
2016.07.01 03:40 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

おお、お氣に召して嬉しいです。
TOM-Fさんとは何度もコラボしているのですけれど、やはり書かせていただくときは緊張します。
うちの子みたいに作者にも粗雑に扱われているキャラならいいんですけれど、あちらの大切なお子さんですし。

稔はぜんぜんわかっていない所がポイントです。
一応邦楽の所の子供なので、和装については例えば蝶子などよりもはるかにわかっているのですが、お花は専門外で、そもそも「華道か〜。何する所だろう?」みたいなレベルですしね。

稔の周りの大人は、おそらく稔を未来の家元にしようと思って子供の頃から育てたと思いますから、最低限のたしなみはあるでしょうが、逃げて大道芸ですからねぇ。まあ、落伍者ですね。

MIYAVI氏は、知らなかったのですが、けいさんのご紹介になった記事で「こういう方がいらっしゃるんだあ」と。
この共演もすごいですよね。
これ、生で見たらものすごいだろうなあ。

> 稔とMIYAVIが共演したとして、ヴィルと蝶子がすぐに乱入して、レネがどうしようともじもじしつつも加わるの図の妄想が尽きません^^

あ、でもその前に祥吾や策たちが乱入するかも!
賑やかで楽しくなりそうです。

現在、花園課長に仲良くしてもらおうと、いろいろと考えている所です。
ちょくちょくそちらに行きますが「何やってんだこいつ」と怯えずによろしくお願いします。

あ、「怒濤の一週間」読破したんですけれど、感想はまた後日!
面白かった〜!

コメントありがとうございました。
2016.07.01 19:35 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
本当に、何てしっとりと優雅な流れなんだろう。
文章運びの美しさと和のテイストが絶妙で、読みながら唸りました。
ヨーロッパの優雅さを熟知して描きながら、和の粋と優美もこんなに鮮やかに綴ることができる夕さんに、改めて惚れ直します。
TOM-Fさんの物語は未読ですが、彩花里さんの人物像がとてもリアルに感じられました。
ああ~、こんな所作のできる女性って憧れるけど、やっぱり生まれ育った環境と血筋なんだろうなあ。
稔、惚れるなよw
和尚もいいですねえ。徳を積んでいらっしゃるけどちゃんとハメも外せるところがかわいい。
稔の奏でる曲がまた、とても素敵なBGMになって、この優しい空間に満ちてるようで。
ああ~、完成度の高い素敵なSSでした。
私も時代が合えば自作キャラ混ぜてほしかったなア。中世設定のキャラがいなかった><(次の機会をねらおう^^)
2016.07.01 22:59 | URL | #GCA3nAmE [edit]
says...
う~~む。わびさびを感じる文章ですね。
私は日本にいても、このような日本の風情を感じる文章が書けないですじぇ。。。
その点ではとても日本的な素晴らしい文章ですねえ。。。
そういえば、こういう三味線だとかを最近聞いてないですね。。。
そういったものを想起させる文章でした。
(*´ω`*)
2016.07.02 05:04 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

うう、褒めていただき、ありがとうございます。
洋物を書くときと、和のものを書く時、意識的に遣う言葉を切り替えていますが、それもほとんどわからない程度の違いかなあと。
また、平安ものと現代物も違いますよね。

TOM-Fさんのところの女の子たちは、私の所のように雑な扱いは受けていませんので、どの物語を読んでも素敵なのです。
うちは……女も男も、散々だなあ。ごめんよ、打たれ強くいておくれ〜。
とくに彩花里は、素敵です。とても可愛いいのですが、凛としていて、さらに乙女なところもあります。

稔ね、ええ、彼のツボにど真ん中な女性ですけれど、さすがにコラボの度によそさまのヒロインを口説くようなキャラばかりだと、もう誰からもコラボしてもらえなくなります。手癖が悪いのはマックスとレオポルドで十分(笑)

破戒坊主もお氣に召して嬉しいです。
稔のようなはみ出しものも可愛がっている遠縁の爺さんだから、少しやはり外れた感じのキャラですね。
こういうおじいちゃん、好きです。

コラボはやっぱり大変です。
水曜日発表分は書き終えましたので、あと三人分コラボを書かなくちゃいけないんですけれど、自分の所のキャラと違ってとても氣を遣うので書く度に寿命が縮まるようです(笑)
ご本人にお氣に召していただけると嬉しいですが、それ以外にもファン読者の方も「こんなの許せない」って思われるかもしれませんし。頑張ります。

あ、limeさんのお子さんたちとも、いずれは共演……いいですねぇ。
でも、それこそ、ファン方たちのチェックが怖い!
そろそろまだ読んでいないシリーズも読ませていただいて備えなきゃ!
って、まずは終わっていない掌編をなんとかせねば!

コメントありがとうございました。
2016.07.02 19:25 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こちらにもありがとうございます。

うう、褒めていただき嬉しいです。
和装関係の仕事に就いたことがありますので、そのつながりで日本の伝統工芸や、茶道ぐらいまでは少しだけ知識を得る必要があったんですが、それがちょっとだけ役に立っているかなあ……。

でも、三味線は、実は全然わかっていないです。
まさか、よくわかっている方が小説を読むことになるとは思わずに「大道芸人たち」書き出しちゃったのは……でした。
ブログ界は、危険です(笑)

コメントありがとうございました。
2016.07.02 19:43 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
ああ、彩花里がまるで以前から夕さんのキャラクターだったみたいに登場していますね。素敵です。
この優雅な出で立ちや立ち振る舞いはどこから出てくるんだろう?夕さんの頭の中にはいろんな物が入っているようです。羨ましい。現在はNETがあるとは言え、それで調べただけでは絶対こんな風には書けないと思います。

和尚は達観しているようで実は未練をたくさん残しているのかな。そんな気がしました。そんな和尚の2人に対する気遣いがとても素敵でした。
稔も彩花里も、こんな和尚だからその人のためにと思うのでしょうね。
三味線と華道のコラボはお互いに響き合って高めあい、素晴らしいものになったと思います。これを見ることができた和尚は幸せ者ですよ。そしてそれはここには居られない人のための物でもあったのですね。きっと伝わると思います。
『Solitude』いい曲ですね。曲名が効いています。きっと演奏する機会は巡ってくると思います。そして思いはきっと伝わります。

2016.07.04 11:38 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
こんばんは。

暑いんですか。水分とるの忘れないでくださいね!
こっちは、爽やかすぎて申し訳ないくらいです。

彩花里はもともとのキャラが素敵なので、特に何をしなくても魅力的でした。
むしろ魅力を損なわないか心配していましたよ。
和装に関しては、5年間職場で叩き込まれたのが役に立ちました。

TOM-Fさんの本編でも彼女がよく着ている江戸小紋、とても応用範囲の広い特別な着物なんです。
本来小紋はお茶会などに着るには少し格が低い普段着に近い柄なんですが、江戸小紋だけは別で色無地と同じように使えるんです。でも、小紋の性格もあるので粋にオシャレ着にも出来るんですね。

とても格の高いお茶会などでは金箔などを多用した袋帯を着用するのですが、今回は破戒坊主のお相手なので、もっと砕けた名古屋帯。ただし、一応「たった一人のお客様」なので、金糸を入れました。そして6月なので着物は(袷ではなく)単衣で、帯も絽という涼しげな織を使うという決まり事がありますが、年に一二度しか着物を着ない素人は活躍する時期の少ない単衣や絽は持っていないことが多いのです。それをひと目で見て「え? こんな本格的な和装をするのは……」とわかるのはうちの四人の中では邦楽の家で育った稔しかいない(蝶子には不可能)なのですね。というあたりのことは、やはりNETではそう簡単に調べられないので経験が役に立ったかなと思います。

この和尚は、一応「大道芸人たち」の第一部に出てきたとは言え、「樋水龍神縁起」の主人公の父親なのです。第一部でArtistas callejerosが奥出雲で奉納演奏をすることになったのは、樋水龍神神社の禰宜になりいろいろあって行方不明になってしまったこの主人公のためだったのですが、この新堂和尚はやはり「人には見えないものを見て祓うことが出来る」人で、なぜ息子が行方不明になってしまったのかを知っているんです。とはいえ、妻亡き後大事に育てた息子がいなくなってしまい、その後ずっと一人で(といっても女遊びもしていましたが)、それもあって遠縁の悪ガキの稔を我が子か孫のように可愛がっていたという流れですね。

なので、サキさんのおっしゃる通り、いろいろと心に思うことがあって、でも、そんなことは見せずにお祓いの出来る和尚として、また、信徒に慕われる破戒坊主として、自分の努めを全うしているってところでしょうか。

実は稔とパリには深い縁がある、という裏設定があるのですよ。パリの彩花里のママ、どういう事情で日本を離れているのかはわからないのですけれど、それがわかったらまたコラボできたらいいなあと思っています。

コメントありがとうございました。
2016.07.04 20:23 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
このリクエスト形式ってすごくよくできてますね。思えばこれは昔、国語でニュースの記事の書き方みたいなのを習って、5W1Hって覚えましたが、それをやっている訳なんですね~。考えるとすごく面白い企画です。さすが夕さんだなぁ。
そして、久しぶりの稔の日本ですね。新堂和尚も登場して、短い中にも中身がぎゅっと詰まった短編でした。そこへ彩花里が出てきて本当に贅沢ながらも和風のしっとりとした物語。やっぱり5W1Hの見事な調和ワールドでした。そうそう、うちがあまりにも毒々しい5W1Hを依頼したことがよく分かっちゃった(@_@)
稔の三味線も久しぶりな感じがしました。やっぱりいいですね。花もしつらえも何もかもすてきでした。

そうそう、私は結構長い間お茶を習っていたのですが、ずいぶん前に先生がご高齢で教室を閉められたと同時にやめてしまいました。でもその頃経験した雰囲気とか、思い出しました。うちの先生は「型は大事だけれど、何よりもお茶室の雰囲気、そのときのお客人と一緒に作る世界が大事」という方でしたから、ちょうどこの新堂和尚のお茶室のイメージだったかもなぁ。懐かしい気がいたしました。
江戸小紋、いいですよね。私もお茶をやっていた頃は着物に俄然興味があって、あれこれ将来着てみたい着物などを見て回ったりしておりました。江戸小紋は手が届かないなぁと思ったので、せめて小説に出そうと「清明の雪」で出したりしておりましたが、うん、夕さんの書かれる描写を拝読して、う~む、まだまだだなぁと思い精進したいと思いました。

彩花里と稔と新堂和尚の世界、すがすがしく清らかでいいなぁ(*^_^*) 狐と狸を拝読した後だけに、よりほのぼのといたしました!
そして、タイトルにあるように、今そこにいない人にも想いを馳せる、狭い茶室から広い世界が見えるような、まさにお茶の精神そのもの、そしてそこの添えられた花の清楚ながらも華やかな雰囲気。方丈の中で見事に花が咲きました。
さて、次は狐と狸か……(薔薇なのに……(;_;))
2016.07.10 02:50 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
こんにちは。

あうあう。お疲れの所、こっちにまでありがとうございます!

このリクエスト形式ですね。
実はあまり何も考えずに始めたんですよ。

前回の35キーワードは、ものすごく具体的だったので、一つひとつをきちんと関連づけて話を作るのは困難で「とにかく出てくれば何でもOK」みたいな形になったじゃないですか。それはそれで面白かったんですが、今回はむしろ詳細はこちらにまかせてもらうけれど、選んでいただいたリクエストは少なくとも可能な限り話にちゃんと絡める形で書きたいなと。

でも、いずれにしても大変でした、やっぱり(笑)

でも、選んでいただくリクエストが中途半端にかぶらなくてありがたかったです。出来た作品がみな同じテイストだと「またか」って感じになるじゃないですか。こちらは、もともとTOM-Fさんの描く彩花里とその世界がありますから、それに即した物を書きたいなと思ったんですよね。彩洋さんの所はうってかわって重厚な感じを目指したんですけれど……力不足かな、やっぱり。

和装に関しては、私が和の世界ではもっとも確信をもって書ける部分でして、あとはお茶のところがちょっと。邦楽や華道に関しては「?」なんです。だから記述も薄い(orz)

和装の決まり事は、本当に細かくて多岐に渡り、やはり現代の普通の娘さんがNETで調べて即書けるような物ではないのかなと思います。あ、同じように日本の伝統芸能や伝統工芸の世界もそうなんだろうなと思いつつも厚顔無恥に書いちゃいますけれど!

特に暑くて湿度の高い中での夏の装いは、なかなか奥の深いマニアックな世界ですから、普段なら私も手は出さないのですが、彩花里がワンピースって訳にはいかないじゃないですか(笑)

彩花里ママのことまで話に入れるのはどうかなと思ったんですけれど、彩花里と稔の共通点に「大切な家族と離れている」があって、何となく入れてみました。更にいうと、彩花里は違うと思いますけれど、稔の方は「好きだけれど一緒にはいられない」というこの人独特の矛盾ともいえる問題が控えているんですよね。

余韻の中で、それを彷彿とさせる作品にしようかなと思ってこんな感じになりました。

ああ、「薔薇なのに、狐と狸」って、笑える。
題名に惹かれて読み出した方はずっこけたかも。

ご無理なさらずに、いつでもいい時にお越しくださいね。

コメントありがとうございました。
2016.07.10 15:24 | URL | #9yMhI49k [edit]

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