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Posted by 八少女 夕

【小説】大道芸人たち 2 (5)ミュンヘン、弔いの鐘 -2-

3つに分けた「ミュンヘン、弔いの鐘」の第2回です。この4人、いろいろなことを
多数決で即決していくのに慣れていて、今回も大切なことをあっさりと決めています。人生には、時おりこういうことがあります。本当はもっとじっくり考えて決めたいけれど、そういう大問題ほど急いで決めなくてはならないのですよね。そして、後で「あの時がターニングポイントだったんだな」と思ったりするのかもしれません。


「大道芸人たち 第二部」をはじめから読むこのブログではじめからまとめて読む
あらすじと登場人物




大道芸人たち Artistas callejeros 第二部
(5)ミュンヘン、弔いの鐘 -2-


「ヴィル? ああ、よかった。連絡がこないので心配していたのよ」
「蝶子。あんたと早急に話をしなくてはならない。だが電話で話せるようなことじゃない。葬儀まではやることがありすぎて、俺はスペインには戻れない。たぶん、あんたはここには来たくないだろうが、ミュンヘンか、それとも少なくともゲルテンドルフあたりにでも来てくれないか」

「いいわよ。明日、そっちに行くわ。平氣よ。迎えなんかいらないわ。道はわかっているもの」
そう答える蝶子を横目で見て、稔とレネは顔を見合わせた。

「行くのかよ」
電話を切った蝶子に稔が問いかけた。

「なにかとても大切な話があるんですって」
「なんだよ、それ。大丈夫なのか?」
「危険があるようには聞こえなかったけれど」

 蝶子の答えに、レネは心配そうに眉をひそめた。稔はじっと考えていたが、やがて言った。
「俺たちも行こう。もしかしたら助けが必要かもしれないし。もし、俺たちに用がなければ、俺たちはミュンヘンで稼げばいいじゃないか」

 レネも力強く頷いた。蝶子はほっとして笑った。
「またサンチェスさんに予約をお願いしてくるわね。すぐ出られるようにしてね」

「今度は、三味線持っていくぞ」
「ミュンヘンに行くって、ヤスミンに電話してこようっと」
三人はばたばたと行動に移った。

* * *


 翌日の午前の便が取れたので、二時にはもう三人はエッシェンドルフの館の前にいた。

 館に行くこと自体は怖くなかった。教授がもういないなら恐れるものはなかった。けれど、使用人たちの前にどんな顔をして入っていっていいのか、蝶子にはわからなかった。

「いいか。俺たちは外で待機している。三十分経ってもお前が戻ってこなかったら、突入するから」
蝶子の緊張の面持ちを見て、稔は言った。蝶子は笑った。
「心強いわ。行ってくるわね」

 以前と同じように手入れの行き届いた石畳の小道を通って、蝶子は玄関に向かった。意を決して呼び鈴を鳴らす。出てきたのは喪服を着たマリアンだった。

「まあ、蝶子様。ようこそ。アーデルベルト様がお待ちですわ」
「ありがとう、マリアン」

「あの、こんなときですけれど……」
「え?」
「ご結婚、おめでとうございます」

 蝶子は困ったように笑った。マリアンは皮肉ではなくて本心から言っているようであった。
「ありがとう」

 そうやって話している時に、階段の上からヴィルが降りてきた。やはり喪服を着ていた。
「蝶子。悪かったな。呼び出したりして」

 蝶子はヴィルに耳打ちした。
「あのね。ヤスとブラン・ベックも来ているの。私が三十分以内に安全に姿を現さない場合、強行突入するって手はずになっているの」

 ヴィルは少しおかしそうに顔を歪めて、そのまま玄関に向かい、外の二人を呼び寄せた。
「大丈夫だ。何の危険もない。今回は丁重に扱ってもらえるぞ。俺たちの待遇は改善されたんだ」

 二人は肩をすくめて、中に入ってきた。
「俺たち、心配だったから一応ついてきたけれど、なんでもないなら英国庭園あたりで稼いでいるぜ」

 稔の言葉にレネも頷いた。だがヴィルは頭を振った。
「いや、あんたたちにも一緒に聞いてもらいたい話なんだ。とにかく俺たちの今後のことに大きく関わってくる話だから」

 そういうと、ヴィルは三人を連れて応接室に向かった。途中で、マリアンに声をかけた。
「この二人のために、寝室を二つ用意しておいてくれないか」

「わかりました。二階の東の二部屋の準備をしておきます」
「ありがとう」

 応接室は広く、優雅な調度が置かれていた。がっしりとした座り心地のいいルイ十六世様式の椅子や重厚な飾り棚が、いかにもドイツという感じで、同じ裕福な館でも華やかで異国的な要素の強いバルセロナのコルタドの館とは好対照だった。

 ヴィルは重い扉を閉じると、棚からアクアヴィットの瓶と小さいグラスを四つ取り出してきた。
「一ダースも注文したのに、あの晩俺が一口飲んだだけで誰も手をつけていないんだ」

 レネがにっこりと笑った。
「まだ、飲んだことないんですよ」

「販売しているのにか?」
「あれが最初で最後の販売だったんで」

 四人はグラスを合わせて、その透明の酒を飲んだ。
「うげ。強い」
稔は目を白黒させた。レネは咳き込んだ。

「これ、12本もあるわけ?」
蝶子も氣が遠くなる思いがした。ヴィルだけが平然と飲んでいたが、一杯でやめて、代わりに白ワインを持ってきた。

「それで?」
蝶子がヴィルの顔を見た。

「俺は今、選択を迫られている。つまり、相続するか放棄するか」
「お蝶はともかく、俺とブラン・ベックに相談する必要はないだろう?」
稔はあっさりと言った。

「そういうわけにはいかない。Artistas callejerosの今後にも関係がある」
ヴィルは答えた。

「それはつまり、相続したら、お蝶とテデスコが抜けるってことか?」
稔の言葉に蝶子はびっくりしてヴィルの顔を見た。

 ヴィルは即座に首を振った。
「抜けるわけはないだろう。だが、活動には影響が出る。もらうのは単なる銀行預金ではないので、受け取るだけ受け取って、年中ほっつき歩いているわけにはいかなくなる」

「というと?」
「コモやバロセロナ、それにマラガの仕事をするぐらいは問題ない。また、秋にピエールを手伝うのも問題なくできる。だが、それ以外は半分くらいになるだろうな。月に一度、数日間はここに戻らなくてはならないだろうし、お偉方とつきあわなくてはならないことも増えると思う」

 蝶子はほっとした。思ったほど悪くないじゃない。
「相続したほうがいいと思う理由もあるんでしょう?」

 蝶子の言葉にヴィルは頷いた。
「以前、大道芸人は若くて健康でなければできないという話をしただろう。今は自由で氣ままな旅さえできればそれでいいが、そのうちに体が利かなくなる。その時に四人とも安心していられる」

「カルちゃんにたかってばかりいる状況も改善できるわね」
「そうだ、それが二つ目だ。彼の事業に協力することも可能になる」

 蝶子はそんなことは考えたこともなかったが、確かにそうかもしれないと思った。

「それから、三つ目だ。俺はあんたたちの才能を街角の小銭集めだけで終わらせるのは残念だと常々思っていた。俺が相続すれば、俺たちの活動の可能性がもっと広がる」

 ヴィルは稔、レネ、それから蝶子の顔を順番に見た。
「だったら、どうして相談する必要があるんだ?」
稔が訊いた。

「これは俺の考えで、あんた達がどう考えるかはわからないからだ。もしこの相続で、Artistas callejerosが壊れるなら、俺は相続を辞退するつもりだ。それほどの価値はないからね」

「いまのところ、壊れるようなことは考えられないよな。先のことはわかんないけれど、俺たちの氣持ち次第で続きもするし、壊れもするんじゃないかな。とくにマイナス要因はないよ。相続すればいいんじゃないか?」
稔が言った。レネも手を挙げて賛成の意を表した。

 ヴィルは蝶子の方を見た。
「あんたには、反対する他の理由があるだろう。ここに関わるのはイヤなんじゃないか?」

 蝶子は少し間を置いてから首を振った。
「日本の諺に『毒を食わらば皿まで』っていうのがあるのよ。こうなったらどんな恥を上塗りしても同じだわ。利点の方が大きいもの、私は意義なしよ」
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Tag : 小説 連載小説

Comment

says...
更新、お疲れ様でした。

衝撃の前回から一週間、ようやく落ち着いて読むことができました。
エッシェンドルフの財産よりArtistas callejerosの旅の方が値打ちがあるというヴィル、男前ですねぇ。よかったら、私が相続しますよ……ドイツ語わからないけど(笑)
さらっとお話を聞いた限りでは、蝶子の見解どおり、相続した方がメリットがありそうですよね。でもそれじゃあお話が盛り上がらないから、きっとなにかあるんだろうなぁ。
それがなにかは、この先の楽しみにしておきます。
教授があんなことになっちゃうと、安田家やロウレンヴィル家も大丈夫なのかと心配になります。というか、なんかありそうな気がしてならない……。
2016.09.21 10:30 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
導入部で夕さんもおっしゃっていますが、多数決とはいえ(あ、反対無しか)この4人、とても大きな決断をしていますね。ほんと、ターニングポイント感が満載の回でした。何しろ夕さんがそうおっしゃってますものね。
ヴィルに呼ばれて3人が屋敷に向かうシーンは、やっぱりハラハラしましたよ。
エッシェンドルフの館ではろくなことが無かったから、つい心配してしまうのですが、無事に、しかも3人とも受け入れてもらってとりあえずはホッとしました。マリアンにはお祝いの言葉もかけてもらってるし・・・。
でも、本当にマイナス要因は無いのかな。老後の心配や、カルロスの事業への協力、4人のプロデュースなど、ああ、なるほど!さすがはヴィルだなとは思うけれど、利点は本当に難点より大きいんだろうか?
前回心配した事が現実味を帯びてきて、物凄く心配になってきました。
なんとかしてください。

あのアクアヴィット、飲んでやろうかな?
2016.09.21 11:42 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
とりあえず、強行突入はなかったな。
あれば、それはそれで愉快なお話になりそうでしたが(笑)。

相続か。。。
私にも姉がいるのですが、そろそろ家族で真剣に話し合った方がいいな。。。
土地もそれなりにあるので、その分配や。
財産をどうするか。。。
家族付き合いもあるからなあ。。。

・・・ということを考える相続の光景でしたね~~。

2016.09.21 11:46 | URL | #- [edit]
says...
これはきっと何か裏がありまっせ~!!
簡単に相続していいのかな?( ´∀`)
すごく気になる展開になってきましたね。
確かに老人になっても大道芸は出来ないという現実的な問題も出てきましたか。
いつまでも冒険って出来ないんでしょうね~、きっと・・・
2016.09.21 14:53 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

小説なので怒濤の展開ですけれど、実人生でもいずれはこういう問題って起こることなんですよね。
本当の人生みたいに悠長にやっていると小説としてはつまらないので、「結婚式の後に葬式」という流れにしていますけれど。

ヴィルとしては、はじめから捨てたつもりだったので、手にできなくてもいいみたいですけれど、その一方でカルちゃんにたかっている一方というのはいかがなものかという想いもあるみたいです。社会からの自由とのたれ死にって紙一重なのですが、その辺について彼なりに思うことはあったようで。

TOM-Fさんも相続したいですか。だったら私と折半しましょう(笑)

相続のメリットは確かにあります。それに、この結論を後悔することになるってほどのストーリーではないんです。
でも、いいことばかりのわけはないだろって感じでしょうか。

安田家やロウレンヴィル家もねぇ、なにもないかというとアレなんですけれど、まあ、ぼちぼち(意味不明)

コメントありがとうございました。
2016.09.21 18:28 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

第一部が、「楽しければそれでいいでしょ、自由に生きられれば他のことはいいよね」的なベクトルの話だったんですけれど、第二部からはこういう感じで方向転換していきます。

マリアンはもともと「こっちの方がお似合いなのにな」と思っていたので、かなり好意的に迎えてくれています。
そういえば、逃げだす前の蝶子に「アーデルベルト」の情報をくれたのはこの人でした。

全体としてプラス要因が多いというのは間違いないです。
だからといって、お伽噺のように「これでめでたしめでたし」とはいかないのが私のストーリーでして。
かといって「不幸への序章」ってわけでもないのでそこまで心配しなくても大丈夫(かな? う〜ん)

> あのアクアヴィット、飲んでやろうかな?

え。酔っぱらっちゃいますよ!
私はひと口で投げ出すかも。

コメントありがとうございました。
2016.09.21 18:33 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

あはは、こんなところで大活劇してもしょうがないですよね。

相続問題というのは、ご両親が健康の時に少し話しておくというのも大切なことなんですよね。
いよいよという時になると「縁起でもない」ということで話せなくなりますし、何もかも済んでから「あのときああされた」的に言われても困ってしまうということがありますし。

若いころはそんなことは考えられないですが、私くらいの年齢になるとやはり、まわりにそういう話が増えてきますよね。

まったく何もないと、話は簡単ですけれどね。財産のあるお家は、大変です。

コメントありがとうございました。

2016.09.21 18:38 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

まあ、もともと正統な相続人なんで、それ自体はいいんですけれどね。

お話なのにそんな夢のないことを言うなって言われそうですが
大道芸人は、確かに永久にやるものじゃないですね。
というか、それを続けていたらただの浮浪者みたいなものでして。
ヨーロッパの冬は厳しいですし、人間の体もいろいろとガタがきますし。

コメントありがとうございました。
2016.09.21 18:51 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
今回は相続か破棄の二択で、蝶子さんもほっと感じたように、
相続したからといって極端にがんじがらめになる訳でもなさそうですし、
(今の所は)相続したほうがメリットが高そうですよね。
ターニングポイントだけれど相続を後悔するほどのストーリーでは
ないということですし、でも後々ゆっくり余波が広がっていく、みたいな
感じでしょうか。
その辺りのさじ加減が逆にリアルに感じましたね。
こういう、「いいことばかりのわけはない」という、
グレーゾーンのニュアンスが逆に
「しがらみ」になって地味に活動の足を引っ張るような……

それにしても、屋敷の描写が優雅で荘厳で
喪服のヴィル様とセットで脳内で華麗に再生されてました^^

『毒を食わらば皿まで』ですが、この毒が如何程の「毒」なのか
お待ちしております!
2016.09.22 03:14 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

そうですね。メリットは明らかにあります。
単純に、お伽噺の「実は大きな国の王子様でした。めでたしめでたし」みたいな、メリットだけのご都合主義になると「なんだよ、こいつら、うまくやりやがって」って感じになりますけれど、実際の人生はそんなに美味しくないかも、って話ですよね。
でも、まあ、宝くじにあたったくらいの棚ボタではあります。

第一部は、全員が家族や責任を全て放り出して、多少のメチャクチャに目をつぶっても自分のやりたいことを貫き自由を満喫するというストーリーでしたけれど、第二部になると「そうは問屋が卸さない」の方向に少し揺り戻されるんですよね。

canariaさんに素敵に脳内再生していただけて嬉しいなあ。
エッシェンドルフの館は、小さなお城みたいなものですから、ここへ来るとヴィルや蝶子は上流社会的な振舞いになります。
稔やレネは、ちょっと落ち着かない感じかも(笑)
そのうちにここがたまり場になって慣れてしまいますけれど。

> 『毒を食わらば皿まで』ですが、この毒が如何程の「毒」なのか
> お待ちしております!

結果的に「父親から息子に乗り換えた女」ですからね。猛毒でございます(笑)
普通の神経の太さでは戻ってこられませんが、蝶子ですからね。

この先も呆れながらも応援していただけると嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2016.09.22 21:03 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
ヴィルがみんなに相続の話をしたのは、納得ですね。
これからの活動に関わることだし……。何より、自分と蝶子が抜けるなんてことを考えもしないってところ、好きです^^
抜けるなんていったらそれこそ大事件。
蝶子の決断も、潔いですよね。
遺産なんていらないわ、何て突っぱねたほうが、自由になれるのは分かってるけど、やっぱり人生、悲しいかな「金」です…。

とはいえ、やっぱりこの後、いろいろ問題が沸き起こって来るんだろうなあ・・・。
後悔することにならなきゃいいけど……。

ついさっき、義父の49日の法要から帰ってきました。
うん・・・。まさに相続問題で大変(笑)
なんか、身につまされるわあ><規模は違えど~。
2016.09.24 09:12 | URL | #GCA3nAmE [edit]
says...
こんばんは。

ヴィル本人としては、家を二度目に逃げだしてArtistas callejerosに戻った時に、すでに明確にそっちを選んでいるんで、相続のためにやめるという発想は全くないんですよね。ただ、相続するとなると活動できなくなることが増えてくるしそれを理解してもらえないと困るし。

「遺産なんかいらないわ」っていうのは、実際には必要な分を持っている人が言えるセリフなんですよね。
今のところ困っていないとは言え、カルロスの援助がないとこの4人は浮浪者の一歩手前ですし。
それは蝶子も、本当に浮浪者っぽかった稔も、それに両親が暖かく迎えてくれるレネもよくわかっていて「遺産なんか断れ」とは言いにくいと思います。それに、ヴィルと違って他の三人は、どうなっていくのかいまいち想像できないんですよね。

まあ、人生って、どの道を選んでも「大正解!」だけじゃないですよね。
でも、結局は「あのときああするしかなかったよね」だと思います。

あ、もう49日ですか。お嫁さんとしてのお務め、お疲れさまです。
相続って大変ですよね。
別にもめていなくても、なんか書類を用意するだけでウルトラ煩雑で面倒くさくて……。
どうぞお疲れが出ませんように。

コメントありかどうございました。
2016.09.24 22:02 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
この夕さんの『大道芸人たち』の物語、なんとなく私の中ではちょっと異質感があったのです。違和感ではないのですけれど、夕さんのお話ですごい「安心して最終回を待っていていいのか」というと、最後はもしかするとハッピーエンドとは一概には言えない展開に落ち着くという先入観があって(最初に拝読したのが『樋水龍神縁起』だったからかな~)、いつもどっちに行くのか、考えながら読んじゃうんですよね。あ、もちろん、ハッピーエンドの解釈は私自身「それもまたひとつのハッピーエンド」と解釈することも多いので、世間一般の解釈とは異なっていることも多いのですけれど。
その中で『大道芸人たち』シリーズはリラックスして読んじゃっていたのですけれど、今第2部の展開で「あ~、やっぱりそうは簡単にいかないわな」と、逆に妙に安心しています。こうでなくちゃ、夕さんの物語って感じがしませんから。

そう、ヴィルが相続するってことは、単に金持ちになるとか、今後の身分や生活が安定するとか、そんな簡単な話じゃないんですよね。それは蝶子の身の上にも大いに降りかかってくる問題で、吉と出るか凶と出るか、まるで分からなくなってきたので、興味津々で読ませていただきたいと思います。
稔もレネも、巻き込まれていくようですが、彼らも自分たちの生き方を考えていく大きな機会なのですね。
続き、また楽しみにしています。
2016.09.25 09:52 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
こんばんは。

くすくす。
彩洋さん、いろいろと先読みするなあ(笑)
どっちだと思います?
(と、誤摩化す)

ほら、「森の詩 Cantum Silvae - 貴婦人の十字架」みたいな「なんだよ、この単純な話は」みたいなストーリーもあるじゃないですか。(答えになっていない)

まあ、でも、プロポーズで始まって、結婚式で浮かれて、最後までそれだけだったら、ちゃぶ台ひっくり返しません?
そういうストーリーは、私の長編小説ではないですね。

「これ、ハッピーエンド? それともアンハッピーエンド?」と微妙な話、よく書いていますね。
「森の詩 Cantum Silvae - 貴婦人の十字架」と「夜のサーカス Circus Notte」は、「もう勝手にしてくれ」というくらいのハッピーエンドだと自分では思っていますが、それ以外は「む?」という傾向があります。「樋水龍神縁起」本編もそうだし、一見ハッピーエンドになっている「夢から醒めるための子守唄」なども実は私の中では「三方一両損の話」だったりします。「夜想曲」もハッピーエンドではあっても普通の人生っぽく閉じているし、「ファインダーの向こうに」なんて現状維持みたいな話だし。

もっとも「何もできないただのドジな子が、イケメン王子に見初められて玉の輿に乗ってラッキー」みたいな話は、受ける王道ストーリーではありますが、私の書きたいものからは外れているんですよね。ちょっとひねくれているのか「そんなわけないだろう」と書きながら思ってしまうものは書けないみたいです。

だから、どの話も「まあ、そんなもんだよね」というそこそこの場所に着地するように思います。「Infante 323 黄金の枷」もストーリーからすると上の王道ストーリーに近いかもしれませんが、誰もマイアのことを「羨ましい」とは思わないような境遇ですから、自分で納得できる、みたいな。

なんて話はどうでもいいのだった。

この「大道芸人たち」で「何もかも捨てて自由に楽しく」的なストーリーは、正直言って第一部で十分だと思うんですよ。
それ以外は外伝で十分で、第二部として長々と書くようなことでもないと思うんですよね。

第二部として書くならば、おそらく第一部をお読みの読者がみな思われただろうこと「いいなあ、でも現実には無理じゃん」という部分を避けては通れないと思ったんです。「そんな話は求められているのか」という部分も含めて、私の中での着地点までをあれこれひっくり返しながら書いているわけなんですけれど、どうなるかはここで語るのはやめておきましょう。

この話、どうしても蝶子(とヴィル)に興味が集中(そっちに焦点を合わせて私が第一部を書いたからですが)するんですが、これは4人のストーリーで、稔の人生、レネの人生も動いていきます。そちらにも興味を持っていただけると嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2016.09.25 20:35 | URL | #9yMhI49k [edit]

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