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Posted by 八少女 夕

【小説】郷愁の丘(3)動物学者 - 2 -

第三回目「動物学者」、長いので三回に分けると前回書いて、三分の一に切ったんですが、この後に二つほど別の小説が入って間が空くので、この話はさっさとここで発表する事にします。ああ、行き当たりばったりだとこういう事に。いつもより長いですが、五千字程度なので、お許しください。すみません。

今回は、いろいろな設定上の情報がたくさん出てきます。(あ、無理に憶えなくても、必要になったら「あらすじと登場人物」を読めばいいのでご安心ください)それに、ようやく主人公の二人が「スコット博士」「ミズ・カペッリ」と呼び合うのを脱出します。やれやれ。でもまだ先は長い……。


郷愁の丘「郷愁の丘」を読む
あらすじと登場人物




郷愁の丘(3)動物学者 - 2 -

 給油を済ませ、小さな村が遠ざかっていくのを振り返り、後方座席のメグとルーシーがともに寝いっているのを目にして彼女は微笑んだ。

「マニャニというのは大きい街ですか?」
ジョルジアが訊くと、彼は笑った。

「ニューヨークと比較したら村以前で集落と言った方がいいでしょうね。それにレイチェルは、少し街から離れた所に住んでいるんです。彼女は、ゾウの研究をしていて、裏庭にゾウが登場するような所に家を買ったんです」

 ジョルジアは、ふと思いついたように言った。
「じゃあ、ミセス・ブラスのお母様はもしかして……」

「ご存知かもしれませんね。レイチェル・ムーア博士です」
アフリカの動物研究者として、彼女は有名人だった。まだ五十代だが、ゾウの権威として認められる研究成果も知られていた。『夕陽の沈むさきに』と題した本人の半伝記映画に出演していたので、さほど動物学にも詳しくないジョルジアでもその名前を知っていた。

「あなたの義理のお母様でもあるんですよね」
ジョルジアが確認すると、彼はわずかに戸惑いを見せた。

「これから引き合わせるから、説明しておいた方がいいでしょうね。父の家はナイロビ郊外にあって、レイチェルの住む家とは別です。父ジェームス・スコットとレイチェルは、表向きはただの親しい友人ということになっています。もちろん同業者やこの辺りの人びとは、誰がマディの父親か知っていますし、二人はお互いの家を行き来しているのですが」

「ジェームス・スコット博士……あの映画にも出ていらっしゃいましたよね。確か、ライオンの権威で、大学の名誉学長をなさっていらっしゃる……。あの方があなたのお父様だったんですか」
「はい。でも、この世界でも僕と彼が親子であることを知らない人の方が多いでしょうね」

「どうして? ご自宅で他の研究者の方と顔を合わせたりはなさらないのですか?」
「僕は、八歳の時から彼とは別に暮らしているんです。今でも彼と会うのは年に一、二度、それも学会で遭う方がずっと多いんです」

 ジョルジアは、もしかしたら悪いことを訊いたのかと不安になって彼を見つめた。彼は顔を向けてまた微笑んだ。
「氣にしないでください。父と喧嘩しているわけではないのです。ただ、あまりにも僕の人付き合いが悪くて、家族ともまともにつき合えないし、父も自分から息子に歩み寄ろうというタイプではないんです。それで氣をもんだマディとレイチェルの方が、機会を作っては僕を家族の会と学会を含めた社会に引っ張りだしてくれているくらいなのです。あの二人には、感謝しています」

 ジョルジアは、また同じことを感じた。この人は、なんて私によく似ているんだろう。家族が嫌いなわけではないし、社会を憎んでいるわけでもないけれど、氣がつくと一人こもってしまう感覚は、彼女にはとても馴染みがあった。

「あなたが住んでいる所は、安心できる居場所なんですね?」
ジョルジアが訊ねると、彼は少し驚いたように彼女の顔を見た。揶揄でもなく、疑惑でもない、真摯な表情を見て、彼は少し間を置いてから力づよく答えた。
「ええ。あそこで僕は初めて安らぐことを知りました。《郷愁の丘》は、僕にとっての約束の地なんです」

「《郷愁の丘》ですって? なんて素敵な名前なの」
ジョルジアが言うと、彼は笑った。
「誰がその名前を付けたのかわかりません。前の持ち主はそんな三流ドラマみたいな名称は恥ずかしいから変えてもいいと言っていましたが、僕はそのままにしたかったんです」

「シマウマがたくさんいるんですか?」
ジョルジアは、訊いた。象の権威のムーア博士は、ゾウの生息地の近くに家を買ったというのだから、彼の自宅の側にも研究対象がいるのかと思ったのだ。

「ええ。シマウマも、ガゼルも、ヌーも。でも、彼らは留まりません、タンザニアヘ行き、それからまた次の年になると帰ってきます。研究には向いています。それに哲学者になるにもいい所かもしれません。あなたも、きっと数日間でしたらお氣に召すでしょう。写真に撮りたい景色がたくさんあるはずですから」

「どうして数日間なんですか?」
「ニューヨークと較べるまでもなく、とても退屈な所と思われるでしょうから。一番近い街まで一時間近くかかるんです。テレビやラジオの電波もよく途切れてしまうし、電氣や水道のといった公的ライフラインも通っていないんです。幸い、敷地内に泉があるので、ガスボンベと発電用のオイルを買うだけでなんとか生活はできますが」

「行ってみたいわ」
「本当ですか?」
「ええ。マリンディよりも、ずっと」

「じゃあ、お連れしましょう。今夜は、レイチェルの所に泊って、明日にでもあなたをムティト・アンディの駅にお連れしようと思っていました。でも、本当は、あなたにお見せしたいと思っていたんです。忘れられない風景や、心をつかむ瞬間を切り取る特別な目をお持ちのあなたなら、なぜあそこが《郷愁の丘》と名付けられたのか、きっとわかるでしょう」

 ジョルジアは遠くを見ている彼の横顔を見つめた。不思議だった。全幅の信頼としか言いようのない心の凪が、朝の砂漠のように鮮烈な陰影を持って横たわっていた。それは論理的ではなく、おかしな安心感だった。これまで独身男性の自宅に行こうとしたことは一度もなかった。ましてや街まで車で一時間も離れている陸の孤島に行くなど、考えたこともなかった。

 もちろんジョルジアは、彼もまた男性であることを忘れるほどナイーヴではなかった。けれど、彼女には失うものもなかった。片想いの相手には存在すらも知られておらず、かつてつき合った相手には女性としての存在を否定された。守る価値のないもののために、疑心暗鬼になる必要などないのだ。

 反対に、スコット博士のことは、もっと良く知りたかった。お互いのことをまだよく知りもしないのに、それでもこれほど近く感じる相手だ。一緒にいると心が安らぐだけではなく、話にも興味が尽きなかった。

 モンバサからマリンディへと向かう二時間、ジョルジアは彼といろいろな話をした。シマウマの縞の現れ方の話から、写真の印画と人間の虹彩に関する話題まで、お互いの専門を交えながら語り合った。

 彼の家族の話は、その二時間にはほとんど出てこなかった。その時は家庭があると思っていたので不思議だったけれど、今は納得していた。彼が独身だと知っていたら、マリンディの別荘への招待にどう答えただろうと彼女は考えた。異母妹マデリンの家族が常に一緒にいるとしても、おそらく彼女はイエスと言わなかったに違いない。

 でも、今、彼と同じ狭い空間を共有しても、彼女は彼に対して他の男性、例えばリチャード・アシュレイに対するような煩わしさや警戒心をまったく抱かなかった。モンバサからマリンディへと向かった二時間の後、彼はジョルジアにとってよく知らない男性ではなくて、ニューヨークで十年来の公私ともに強い信頼関係で結ばれている同僚のベンジャミン・ハドソンと同じような存在に変わっていた。

 マデリンの入院騒ぎを挟んで、再び彼の車で今度はマニャニへと向かうことになった時も、彼女は彼ともっと長い時間を過ごすことになることに躊躇いを感じなかった。彼の家である《郷愁の丘》へ行くことは、それとは少し意味合いが違うが、ジョルジアはこの成り行きに不安は全く感じなかった。彼はマリンディの別荘に誘っただけで、それ以降の行き先の変更は全てジョルジア自身が望んだことだ。

 彼は真面目で紳士的だった。そしてどういうわけだか、彼女が心地よいと感じる距離を知っていた。

 これ以上一センチでも近づけば、彼女が不安に感じる心理的な、もしくは物理的なテリトリーを、多くの人は無自覚に侵す。同僚であるベンジャミン・ハドソンのように長年知っている人や、《Sunrise Diner》のキャシーのように親しくしている人ですら、ジョルジアは時おりそれを感じて身を強張らせた。それが不必要な怯えだと思考ではよくわかっていても、反射的にびくついてしまうのだ。

 その一方で、彼女にはどうやっても近づけない類いの人たちがいる。ジョルジアの方から関心を持ちもう少し親しくなりたいと感じる時に、徹底的な無関心を示して近寄らせない人たちだ。自分からその距離を縮めなければ、親しくはなれないとわかっていても、その見えない壁や遠さを感じてわずかな一歩を踏み出すことが出来ないことが多くあった。

 彼がジョルジアとの間に置く距離は、その二つの距離の間にあった。どんな時でも。ジョルジアは、だから、自分が望む時に少しずつ彼に近づいていくことが出来た。いくつもの窓からそっと覗いてみると、心地よくて興味深い世界が存在している。そして、その世界は決して素っ氣なく扉を閉めて拒否したりはしない。どんな風に覗き込んでも優しく穏やかに歓迎してくれるのだ。

 そして、ジョルジアは新しく知り合う人から逃げるばかりだったこれまでと対照的に、むしろその場に留まり、彼の話をもっと聴き、自分のことを知ってもらいたいと思うようになっていた。

 それまで撮り続けていた子供たちの笑顔の写真を撮るのをやめて、モノクロームの人物写真を撮るようになったきっかけも、ニューヨークの知り合いにはほとんど話せなかったのに、彼には正直に話していた。

 秋の柔らかい陽が射し込む墓地で、彼女は一人の男の姿を偶然撮った。その横顔に浮かび上がった陰影は、自分の心を見つめ直すきっかけとなり、世間の喜ぶ子供の明るい笑顔ばかりを撮り続けていた彼女にとって、作品の方向転換のきっかけとなった。そして、彼女は有名キャスターであったその男に恋をした。

「一度も知り合っていない人にそんな感情を持つなんておかしいと、自分でもわかっているんです。でも、私の作品を創り上げるためには、その感情を無視することは出来ませんでした。自分と向き合わない限りはそれまでの殻を打ち破ることはできなかったんです」

 彼は、彼女の片想いについて、肯定してくれた。
「あなたはちっともおかしくなんかありません。あなたはそのニュースキャスターに迷惑をかけたわけではないんですから、そのことを恥じる必要はありませんよ。それに、恋とは論理ではないでしょう。いつの間にか身動きが取れないほど好きになってしまっている。僕にも似た経験があります」

「知り合ってもいない人に恋をしたことがあるんですか?」
「いや、知り合ってはいます。でも、二度と逢う機会もない程度の知り合いだったから、あなたのケースとほとんど変わりありませんよ」

「その女性への想いは、自然消滅したんですか?」
ジョルジアは訊いた。叶わない想いがいつかは解消された事例があれば、彼女自身が今の虚しい渇望に耐えることも楽になるかもしれないと思ったのだ。

 彼は、しばらく答えるのをためらっていたが、やがて首を振った。
「いいえ、まだ。いつか消えてくれればいいと思っています」

 ジョルジアは、彼が見せた表情の翳りに、悲しさをおぼえた。手の届かないものを想い続けることは苦しい。けれど、それを手放し失うことも、決して心躍ることではないのだ。それは人生に新たに刻まれる静かな敗北だった。それも、とても惨めな。自らを嘲笑して吹き飛ばそうとすれば、もっと激しい痛みとして心の奥に疼きだす、やっかいな感情の嵐。彼女のよく知っている世界だ。

「ミズ・カペッリ。まもなくマリアカニに着きます。給油を兼ねてまた少し休憩しますが、どのくらいお腹が空いていますか」
彼がそう言うと、ジョルジアは笑った。

「メグはとっくに名前で呼んでくれているのに、いつまで礼儀正しくミズ・カペッリなんですか」

 それを聞くと、彼は困ったように口ごもった。
「それは……親しくもない僕に馴れ馴れしくされたら、あなたは嫌だろうと……」

「でも、この数時間で、ずいぶん親しくなったと思うし、私はジョルジアと呼んでいただけたら嬉しいわ。私もスコット博士ではなくて、ヘンリーと呼んで構わないのかしら。そして、堅苦しい話し方をお互いにしないようにしません?」

 彼は、例のはにかんだような笑顔を見せた。ジョルジアはまた一歩彼に近づけたように感じて嬉しかった。彼は、少しの間黙っていたがためらいがちに口を開いた。
「その……もし嫌でなかったら、グレッグと呼んでくれないか」

「グレッグ?」
「ミドルネームがグレゴリーなんだ。とても小さかったとき、可愛がってくれた祖父にそう呼ばれていて……。もちろん、違和感があるならみんながそう呼ぶヘンリーでもいいんだが……」

 ジョルジアは微笑んだ。
「喜んで、グレッグ」
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Tag : 小説 連載小説

Comment

says...
更新、お疲れ様でした。

ジョルジアとグレッグのあいだにある距離感は、極めて同質というか、同じ程度のものなんですね。だからこそ、安心感があって、自分のペースで近づいていくことができる。うん、いいですねぇ、そういう「はじまり」って。
そうそう、名前の呼び方。大事ですよね、これ。二人の距離感そのものですからねぇ。
そして、グレッグも一目ぼれ(?)で片思いの恋をしていたんですね。なあに、忘れることはできなくても、痛みはいずれ消えるものです。頑張れ(他人事w)

しかし、このお二人、それぞれに才能もあるし活躍もしているのに、ほんとに初心というか可愛らしいというか。同類を見つけて惹かれあうっていうのはいいですけど、オクテな同類すぎてヤキモキさせていただけそうですね(笑)

この二人をどうやってくっつけていくのか(ですよね?)、楽しみにさせていただきます。
2017.04.19 16:11 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんばんは。

前作ではジョルジアが「人のせいじゃなくて自分に原因がある」と氣づくところで終わっていましたが、この話では、怖がっていたジョルジアが具体的に動くのですね。
でも、昨日まで出来なかった事は、同じ条件では簡単に打開できないので、なぜこの人だと自分から一歩を踏み出せるのかの納得性が必要かなと思ったんです。

グレッグが作り出すジョルジアにとって心地のいい距離の秘密は、もう少し後に出てきますが、要するにシマウマの観察と同じことですね。それと同時に、グレッグ自身が外伝でも開示したようにダメダメであるのは、彼自身の問題が絡んでいます。そうなんですけれど、それがTOM-Fさんのおっしゃる通りこの「その年齢でそれはないだろう」な二人の「はじまり」にぴったりハマるラッキーになっているわけです。

呼び方は、ようやく変わりました。実を言うと、英語ではあまり変わらないんですけれど、日本語、ドイツ語、イタリア語だと二人称も文法も変わるので、いつまでも他人状態になっちゃうし、何かきっかけを書いて切り替えないと近づけないですよね。キャシーみたいに「ハロー、私キャシー」と最初から言える人だと話は早いんですけれど。

グレッグの片想いの件は、ええと、おそらくドン引きだと思います(笑)
この件は、次の話で明らかになるかな。

この二人をくっつけるのは、ええ、本当に大変なんですよ!
美穂を動かすのなんて超簡単だったわと、今さらながら思ったり。
シマウマって、ロバの仲間なんですけれど、本当にロバのごとく動かそうとしても頑として動かないんだな、これが。

まあ、でも、動かない割に展開はそこそこ早いはずなので、見捨てずにお読みいただけると嬉しいです。

コメントありがとうございました。

2017.04.19 21:44 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
2人ともずいぶん雄弁なのは、やはり波長が合っているからなのでしょうね。
ジョルジアも普通なら自分の希望を言ってみたりはしないでしょうし、グレッグなんか絶対誘ったりしなさそうですもんね。
絶妙な距離感、これを保てるのはグレッグの場合は動物学者だから?と思ってたんですよ。
でも、もしそうだったら普通の人にも絶妙な距離感で接近できるはずなんだけど・・・。たぶんそんなのとはまた違った感覚なんでしょうか。ジョルジアがシマウマなみとか・・・?そんな馬鹿な!
ジョルジアの場合も距離感がとても求められる職業なのに・・・。あ、これこそまた別の能力ですね。

名前の呼び方、これって重要です。サキも相当に気を使いますが。グレッグがミドルネームで呼んでくれと言ったのには驚きました。一気にそこまで行っちゃうんだ。普段なら絶対と言ってもいいほど見せないジョルジアの積極的な態度も、とても嬉しかったです。
一歩どころか、彼らの性格から考えると二歩も三歩も前進したようです。
英語(英語ですよね?)では「グレッグと呼んでくれませんか」から「グレッグと呼んでくれないか」になるとどういうふうに変化するのかわかりませんが、日本語だと一気に2人が近づいた様子が感じられます。

う~ん。ミクやジョゼなんかと違う大人の恋、雰囲気となりゆきを楽しませてもらってます。
2017.04.20 11:42 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
こんばんは。

くすくす。マリンディからのに時間も含めると、車に六時間ですからね。
話が全く弾まなかったら、これは地獄ですよ(笑)

「絶妙な距離感」ですけれど、これはジョルジアにとって「絶妙」なだけで、他の人、例えばキャシーなんかだったらあまりに遠巻きすぎて視界にも入らないと思います。でも、動物学者だからというのは正解です。この人は臆病で警戒心の強い野生の草食動物が逃げださない距離というのを体感で覚えてしまっているんですね。そして、だからこそとても辛抱強いんです。野生動物というのはこちらの都合なんてお構いなしですから。ただ、おそらくグレッグに興味を持って近づいてくる人間は、ほぼ皆無でしょうね。そういう意味でもジョルジアは例外なのでした。

名前の呼び方はですね。実は、これまで誰も「何と呼んでいいのか」と訊いてくれなかったんですよ。自分からは「ファーストネームで呼び合う仲になろう」とは言えず、たいてい相手から「これからはヘンリーって呼ぶね」と押し切られただけで。でも、本人にとっては「ヘンリー」よりも「グレッグ」の方が自分の名前なのです。で、ジョルジアには「グレッグ」と呼んでほしかったんですね。この辺りにも彼にとってのジョルジアの存在の立ち位置を象徴させています。

英語にも敬語と平常態の言葉との違いがありますけれど、日本語にするともっと際立つ感じですよね。
グレッグのジョルジアに対する二人称も、今後は「君」と表現しています。

確かにミクやジョゼとは年齢が全く違いますが、でも、大人の恋かなあ。ううむ、やっている事はそんなに大人じゃないかも。
でも、この後に来る「生殺し」は、きっとサキさんの小説にはあまり登場しないタイプの展開かもしれません。なんか、そんな小説ばっかりだなあ……。見捨てずにお読みいただけると嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2017.04.20 19:40 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
ここにいる動物は生きている。
懸命に生きている。
生きるために移動して、群れで生きて。。。
、、、ということを感じますねー。

私は、、、家でグータラしてますね。。。
(´д`|||)

野生の逞しさ見習わないとですねー。
2017.04.21 01:03 | URL | #- [edit]
says...
ジョルジアがグレッグへの親しみを深めていく過程が、すごくリアルに伝わってきますね。
そして、珍しく、更に深く知ろうという気持ちが芽生えてる。
グレッグの片思いの話はちょっぴりショックだったのかもしれませんが、その事も、気持ちに拍車をかけるきっかけになるのかも。

そしてついに二人は呼び名を変えましたね。
親密度を深めるためには愛称で呼ぶのが一番だと言いますから。
さいごの、ジョルジアの嬉しそうな顔が目に浮かびます。
いやあ、本当にベストカップルだなあ。^^
2017.04.21 04:35 | URL | #GCA3nAmE [edit]
says...
こんばんは。

野生動物はいろいろな事を考えませんからね。
考えて戸惑って上手くいかないと悩んじゃうのが人間で、そんな人間の小説を書いています。
野生動物みたいにストレートに行動すると、わかりやすいんですけれどね。

コメントありがとうございました。
2017.04.21 22:28 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

ここまで臆病なのはめずらしいかもしれませんが、そうでない人たちでも、妙にぐいぐい来られると警戒してしまうし、あまりにも興味を持ってもらえないと「仲良くなりたいよ」と言えない事もありますよね。
他の人だと、そもそもグレッグに興味は持たないと思うんですよ。別に悪意はなくても「そんな人いたっけ?」となってしまうというか。そういう意味で、ジョルジアだからこそ物語が進むというのはあるかなあ。

グレッグが誰かに片想いしているというのは、この時点のジョルジアにはそんなにショックじゃないかもしれません。
むしろ「そんな妙な恋をするのは私だけじゃないんだ」的に安心していたと言うか。
でも、いつまでもそんなじゃ、お話にならないので、永久に「この人は勝手に誰かと幸せになって」的な関わり方ではなくなりますのでご安心ください。(いや、そんなこと誰も心配していないって)

そして、呼び名ですけれど、さすがに敬称付きでこれ以上仲良くなるのは難しいですからね。
ここからとても親しい友達になるまではかなりあっさり行くのですが、その先がまた(笑)
ジョルジアは彼の友達になれて本当に嬉しいんですね。
この章までは、本当にのんきです、ジョルジアは。

そろそろちゃんと話が進んでいきますので、見捨てずにお読みいただけたら嬉しいです。

コメントありがとうございました。

2017.04.21 22:38 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
追いつきましたあ。ってえばるほどではないが…
ジョルジアの新しい出会いと旅にドキドキです。

自分と空気の似ている人って、分かるんですよね。
あ。と思う第一印象は大体合っていることが多いです。
うん。ミドルネームはちょっと特別で思い入れがあるかも。ですか?

夕さんの物語の書き込みにはもう圧倒されます。
一話から世界観がすごい。景色に引き込まれます。
背景事情や一つ一つの動作もリアル。

車で四時間は、こちらでもアリアリです。
日帰りです~^^
2017.04.22 05:06 | URL | #- [edit]
says...
ちゃんといつもすぐに拝読していたのにコメントが遅れている間にずいぶん進んでいました~というのか、進んでいない??とも言えるけれど、こちらを拝読して「夕さんのお話だ~」としみじみ思いました。
物語の主人公がどんなにぐるぐるでも、飽きさせないで、主人公の気持ちに入らせるのが上手だなぁと思いました。うんうん。ジョルジアの逡巡とか、何かから抜け出したいという気持ちとか、ちゃんと伝わってきました。あらすじだけ聞いているとなかなか入り込めないこともあったりしますが、これは詳細に入り込んでみつけていくシンパシーなんだなぁって。
ジョルジアと全く同じ経験はなくても、それに近い感情は誰だって一度は経験がありそうですものね。
しかも、グレッグの想い人って、これまでの小出しの情報からすると……? 当事者って気がつかないものでしょうね。あれ? 他の誰か? 幸せの青い鳥じゃないけれど、近くに転がっているはず。でも、近くて遠いからこそ、ぐるぐるってわけですね。
もしかして、ジョルジアの「名前で呼び合いましょう」「この数時間で親しくなったじゃないですか」ってのは、グレッグにとってはちょっと意味深で、どこか切ない?

それはともかくとして。
リチャードがいちいち引き合いに出されて、デリカシーがない苦手な相手扱いされているのがちょぴっと可哀想で、ちょっと滑稽^^; 本人は一生懸命だろうになぁ。でも、一生懸命の人が時々うざったいのって、わからんでもないなぁ。
このぐるぐるはまたどこまで続くのか、今から楽しみです(*^_^*)
2017.04.22 05:50 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
心の距離感のお話がとても丁寧で、素敵でした^^
二人とも距離のバランスが似ているんですね。
似ているからこそ、信頼できるって感覚は分かる気がします。
このバランスがちょっとでもズレていたら、近付き過ぎただろうか? 遠すぎるだろうか?ってお互い迷子になってしまいますよね。笑
そしてスコット博士にも似たような恋の過去が?
気になるところです^^
2017.04.22 17:31 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

おお、お読みいただけて嬉しいです。
まだそんなには話も進んでいないし、ちょうどいい頃合いかも(笑)

そして、そうなんです。
似ている人は「おお、仲間だ!」と第一印象で反応してしまうんですよね。
そして、こうすると楽だと肌で知っているので、一緒にいてもストレスがすくないんですね。
その分、ドキドキとか、びっくりとか、ジェットコースターとか
そういうハプニングは少ないのかも。その分小説にはしにくいかも(笑)

グレッグはミドルネームへの思い入れは、ものすごくアリです。
だからこそ、妙だとわかっていても、頑張って頼んでみた、って感じです。

ヨーロッパや日本の話だと、さほど背景となる世界については書き込まないのですが、アフリカについてはいいも悪いも鮮烈な世界ですので、書き込みたくなります。そして、この強烈さが、穏やかで起伏の少ない二人の関係の進み方に色を付けるのかなと思います。そうじゃないと、結構つまんない話かも。謎とか、事件とか、なんもないし。

車で四時間、オーストラリアはありそう! 広いし!
ひ、日帰りかあ。すごいなあ。

コメントありがとうございました。
2017.04.22 18:26 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

っていうか、彩洋さん、ちゃんと寝ていらっしゃいます?!
ご無理なさらないでくださいね。

なんかね。皆さんの小説を拝読してから、はたと自分の小説に戻ると「もしかしてこんなに何も起こらない小説書いているの、わたしだけ?!」と愕然としちゃいます。謎ないし、事件も起こらないし。中世のヤツとか、謎の秘密の世界観のヤツとかは、まだ「これはなに?」と読者の方に思っていただけるけれど、この話、車で移動しているだけだし、実はこの後も事件らしい事件はほとんどなくって。

前作は、ジョルジアがひとりでぐるぐるしているだけの話でしたが、今回は半分抜け出しかけのジョルジアと、全然抜け出せていないグレッグの二重ぐるぐるの話なので、発表する度に「皆さんに見捨てられるかも」とドキドキしています。確かにあらすじだけ読むと「なんだそりゃ」ですね。でも、実はこの話をあらすじにするとあれだけなんですよ。本当に。そこからアフリカを知らない読者の方にどれだけシンパシィ感じていただけるかは、本来は作者の腕次第なんだけれど、無い物ねだりをしてもしようがないので、どこかにあるみなさんの似たような経験と、あとは読者の方が察してくださるのを期待するという本末転倒に……。よろしくお願いします。

そして、グレッグの片想いの相手ですが、全然ひねっていませんので彩洋さんの想像の通りですよ。っていうか、外伝であれほどネタバレしちゃったので、もう今さら隠すつもりはなかったんですが、結構皆さん、別のとり方をしてくださっている? どっちにしても次の話で明らかになりますので、それまではこれだけにしておこう。(って、今さら)

グレッグは切ないどころじゃありませんよ。ジョルジアは、この時点では全く何もわかっちゃいませんが。

リチャードは、広く浅くで、誰とでもお友だちなので、ジョルジアからはうざい人扱いですが、みんなからは愛され重宝されていますよ。で、今回はまだ逢っていませんが、もし知り合っていたらマディの夫のアウレリオなんかももっとウザがられると思います。なんせ彼はイタリア人なので、ここぞとジョルジアに親しみをこめて友達面しそうですし。もっとも別に二人ともジョルジアを口説こうとかそういうつもりは皆無でしょうね。ジョルジアは実は一般には全然モテないタイプなんで。

最後近くまで続く筋金入りのぐるぐるストーリーですが、見捨てずにお読みいただけると嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2017.04.22 18:43 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

そうですね。適切な距離感って人によって違うと思うんですよ。ある人によっては近すぎてストレスでも、他の人にとっては遠すぎて「やってられない」ですし。この二人の場合は、似た者同士なのでとくに努力しなくても最善のポジションを取れているようです。もっとも、本人たちがいまいちわかっていないところがアレですけれど。

グレッグの片想いの話は、次の話で開示されます。でも、ドン引きかも(笑)
本人たちがぐすぐすしている割に、展開は早いかもしれません。そうじゃないと話は一向に進まないので。
二週ほど別の話が入りますが、また読んでいただけると嬉しいです。

コメントありがとうございました。


2017.04.22 19:00 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2017.04.24 05:56 | | # [edit]
says...
こんばんは。

あはははは。ここでもどかしかったら、ここから後は……。
ここから本番ですよ、「いい加減にせい!」な、ぐるぐる&生殺しは。

おっしゃる通り、ジョルジアはちょうどはっきりとした恋の激情に翻弄されたばかりで、恋とはそういうものだと思っています。
そういう方がわかりやすいんですよね。

グレッグに出逢ったのは、クロンカイト氏に恋をしたのよりも前ですし、その当時から「この人、私に似ている人だな」とは思っていましたが、それでおしまいだったんですね。
でも、第一印象で「一緒にいてものすごく心地いい」なのは強烈に憶えていたので、再会してから「らしくない」と読者の方を驚かせる警戒心のなさで、ひょこひょことグレッグについて行っています。

それから、今回の作品で、あちこちに書き込んでいる事ですが、欧米人を祖先とする人びとと、現地の部族の人びとの問題。
日本のように「周りにいないからあまり関係ない」のと違って、アメリカでは人種差別というのはとても繊細な問題で、ジョルジアは住んでいるところも、つきあっている人も、人種差別とは逆ベクトルな考え方と行動をする人として設定しています。その上で、アフリカの(アメリカとはまた違う)強烈な現実というものもあるのですね。差別とはまた別に、「人類皆兄弟」ではくくれない問題があって、その現実のなかで人びとは生きているんですが、それを書き込む事で、その問題を提起したいわけではなく、むしろその地に生きるグレッグという人間を表現する手段にしています。

私が表現したいと思っているのは、社会問題を提起する事ではなくて、あくまで現実の限界の中でもがきながら生きている個々の小市民の姿なので、こういう書き方になるのかなと思います。

グレッグは、これまでに何度か恋をしていますが、一度もまともに実った事がありません。
だから、今回もはじめから諦めているようなものだったんですけれど、なんか、告白する前にもう失恋しているという……。
でも、本人には知られないつもりでいるんですよ。
(そうは問屋が……)

次回から、もう少し話が進みますので、もう少々我慢しておつきあいいただけるとありがたいです。

コメントありがとうございました。

P.S.
前回いただいたコメントへの返事、なぜか長い事未公開状態になっていました。いまはもう公開になっていますが、もし、お読みになれなかったとしたらごめんなさい (><;)
2017.04.24 21:13 | URL | #9yMhI49k [edit]

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