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Posted by 八少女 夕

【小説】バッカスからの招待状 -10- マンハッタン

WEB月刊誌「Stella」参加作品「バッカスからの招待状」です。東京・大手町にある隠れ家のようなバー『Bacchus』。バーテンダー兼店主の田中佑二が迎える客たちのなんて事はない話をほぼ読み切りのような形でお届けしてます。

今回は、いつもと違って田中本人の過去に関わるストーリーになっています。前半の客・中野の視点と後半の常連・夏木の視点からは、どういう過去かはわからないようになっていますが、中野がマミと呼んでいる女性(本名・伊藤紀代子)と田中の過去について詳細を知りたい方は、「いつかは寄ってね」という掌編を覗いてみてください。


月刊・Stella ステルラ 6、7月号参加 連載小説 stella white12
「月刊Stella」は小説、イラスト、詩等で参加するWEB月刊誌です。上のタグをクリックすると最新号に飛びます。


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バッカスからの招待状 -10- 
マンハッタン


「東京に行くなら、寄ってほしいところがあるの」
彼女はそう言った。

 理由を訊いても答えてくれないのはいつもと同じだ。彼女の秘密主義には慣れていた。出会ってから十七年、一緒に暮らして九年経つが、それは変わらない。

 中野は背筋を伸ばして歩いた。大手町のビル街。五年ぶりに訪れた日本だったが、少なくともアメリカに移住した十八年前以降、大手町に来た記憶はないので、おそらく二十年以上はこの界隈には足を踏み入れていないだろう。東京駅の様相がずいぶんと変わってしまったのにも驚いた。

 こんなに様変わりした街なら、彼女が言っていたバーはもうないかもしれないと思っていた。だが、少なくともそのビルは建て替えたりしていないらしく、その地下にバーがあるかどうかははっきりしないが、とにかく中に入ってみた。そして、言われていなければ見落とすほどの小さな紫のサインをみつけた。白い小さな文字が浮かび上がっている。『Bacchus』と。

 さて。まだなくなっていなかったら、入って酒を飲んで来いとだけ言われたが、一体どんな店なのだろう。

* * *


 入口が開いた。入ってきた客と、ちょうど目の合った夏木は、おや、と思った。中年のきちんとした紳士だが、佇まいにどことなく違和感がある。顔はアジア人だが、外国人だろうか。

 店主でありバーテンダーでもある田中がいつものように穏やかに迎えた。
「いらっしゃいませ。カウンターと奥のお席、どちらがよろしいですか」

 田中が名前を呼ばないという事は、一見の客なのだろう。珍しい。この店は、なかなか見つけにくい場所にあり、新しい客の大半は、常連が連れてきて紹介するのだ。必然とほとんどの客の名前を一人で店を切り盛りしている田中が憶える事になる。夏木のように入り浸っていると、やはり、ほとんどの常連の名前を知る事になってしまう。

「一人ですから、カウンターでお願いします」
その日本語は、ごく普通のものだったので、夏木は外国人ではなかったのかと思った。なにが日本人と違うと思ったのかと考えると、姿勢と歩き方だった。

 おしぼりを受け取ると、その客は「ありがとう」とはっきりと口にした。その動作、答え方もどことなく慣れているものと違う。外国暮らしが長いのかもしれない。

 その客は、店を見回し、それから田中に訊いた。
「この店、随分昔からあるんですか」

「はい。来年、開業二十五周年を迎える予定です。途中で数回、手を入れましたが、基本的にはほとんど変わっていません。どなたからかご紹介でしょうか」

 彼は頷いた。
「パートナーが、東京に行くならこの店に行けと。彼女も少なくとも十七年は日本を離れているので、店がまだあるかどうかわからないと言っていました。変わらずにあったよと伝える事ができますね」

「外国にお住まいですか」
「ええ。ニューヨークに住んでいます」

 夏木は、田中の表情が一瞬強張ったのを見た。彼は、しかし、すぐにまた手を動かして、メニューを男に渡した。
「……その頃の女性のお客様で、アメリカですか。メニューをどうぞ。なにをお飲みになりますか」

 おや。紹介者のこと、これ以上、訊かないんだろうか。夏木は首を傾げた。

 男はメニューを広げて、各種の酒やカクテルが並んでいるのを見た。それから、顔を上げて自分を見ている夏木と目を合わせた。そして、笑って訊いた。
「ここでは、なにかお奨めはありますか?」

 夏木は肩をすくめた。彼は、アルコールを受け付けない体質で、酒は飲めないからだ。
「ここ、ワインやウイスキーなども揃ってますが、田中さんの作るカクテルは評判いいですよ。僕はお酒は弱いので、いつもノンアルコール・カクテルを作ってもらっています」

 男は頷くと、「じゃあ、僕もカクテルを」と言ってそのページを開いた。
「ああ、『カクテルの女王』があるぞ。僕の住んでいる街に因んで、これをお願いします」

 田中は頷いた。
「マンハッタンですね。かしこまりました。ライ・ウィスキー、カナディアン・ウイスキーのどちらになさいますか。バーボンや他のウイスキーでもできますが」

 彼は少し考えてから言った。
「バーボンで作っていただけませんか。そう言えば、彼女はいつもそうやって飲んでいたので」

 田中は、「そうですか」と小さく言うと、「かしこまりました」と言って後の棚からフォア・ローゼスを手にとった。他にもバーボンはあり、こういう状況では必ず確認する田中がその瓶を手にした事を夏木は彼らしくないなと思った。

「バーボンを使うなら、『バーボン・マンハッタン』と言わなくてはならないと言う方もあるそうですね。実を言うと、僕にはそこまで味の違いはわからないんですよ。彼女はいつも、そのフォア・ローゼスで作ってほしいとバーテンダーに頼んでいますね。もしかして、この店で憶えたのかな」

 田中は、何も言わずに、バーボン、ノイリー・プラット スイート、アンゴスチュラ・ビターズ をミキシング・グラスに入れてかき混ぜた。カクテル・グラスに注いで、マラスキーノ・チェリーを飾った。

 それから、いつものように丁寧な手つきで、男の前に置いた。
「どうぞ」

「さすがですね。彼女はいつもノイリー・プラットにしろと注文して、時おり誇り高いバーテンダーともめているんです。これはあなたのオリジナルなんですか?」
男は満足そうに頷くと、夏木に向けて少しグラスを持ち上げると飲んだ。

 田中は首を振った。
「いいえ。特にご指定がなければスイート・ベルモットはクセの少ないチンザノを使います。ただ、十五年以上前にこの店で、フォア・ローゼスのマンハッタンをご所望なさり、ずっとお見えになっていらっしゃらない方は一人しか思い当たりませんので、こちらのレシピでお作りしました」

「マミを憶えていらっしゃるんですね。僕はニューヨークで彼女と知り合ったので、日本にいたときの彼女のことは何も知らないです。彼女も全く昔の事は話したがらないので」
男は、ニコニコと笑いながら言った。

 田中は、少し間をあけてから答えた。
「大変失礼ながら、お名前は憶えておりません。そのお客様は、妹さんとご一緒によくいまそちらの夏木さんがいらっしゃる席にお掛けになっていらっしゃいました」

 夏木は、また「おや」と思った。二度目や三度目には必ず名前で呼んでくれる田中が、マンハッタンのように強い酒を頼み、しかも変わった注文をする常連の名前を憶えていないなんて事があるだろうか。

「ニューヨークに戻ったら、彼女に報告しよう。お店がまだちゃんと有っただけでなく、田中さんが憶えていてくれて、こだわりのマンハッタンを出してくれたってね」
「お元氣でいらっしゃると伺い、嬉しいです。どうぞ奥様に、よろしくお伝えください」

 その男は、上機嫌で帰って行った。夏木は、田中に訊いた。
「すごいですね。そんな昔の注文をよく憶えているものだ」

 田中は、少し遠い目をして答えた。
「先ほど、バーボンを使うなら、『バーボン・マンハッタン』と言わなくてはならないという人もいると、あの方はおっしゃっていたでしょう。あれを私も言ったんですよ。私もまだ若くて、頭でっかちでしたから」

「へえ?」
「レシピは、あくまで基本です。お客様にはそれぞれの好みがあります。好みに合わせてその方にとって一番おいしいカクテルを作るのが私の仕事であって、自分の知識を押し付ける必要はないのです。その事を教えてくださったのが、その方でした」

 それなのに、名前を憶えていない? そこまで考えてから、夏木ははっと思い当たった。

 僕の座る席って、例の『でおにゅそす』涼子さんも二十年以上前によく座っていたって……。もしかして、さっきの人の奥さんって、あの涼子さんのお姉さんなんじゃないか? 

 待てよ、田中さんは彼女の事を「涼ちゃん」と呼んでいた。それなのに、そのお姉さんの名前を知らないなんてありえない。ということは、田中さんは、もしかして誰だかわかっていて知らないフリをしていたんじゃ……。

 田中は、フォア・ローゼスとノイリー・プラットの瓶を棚に戻してから、振り向くと言った。
「夏木さん、『でおにゅそす』にいらっしゃったとおっしゃいましたよね」

「はい。この間、すみれさんと一緒に行きました。和風の飲み屋に一人で入るのは敷居が高いというので。素敵なお店でしたよ。田中さんにもいらしてほしいとおっしゃっていました」
「お互いに時間がなかなか合いませんので。ところで、近いうちに、またいらっしゃるご予定はありますか?」
「ああ、実は、今度の金曜日に行く予定なんです。近藤さんが僕たちが言った話を聞いて行きたかったと言うので」

 それを聞くと、田中は頷いて名刺を取り出してペンを走らせた。
「それでは、これを彼女に渡していただけませんか」

 夏木は、「わかりました」と言ってそれを受け取った。文字が上になっていたので、内容が読めた。

「涼ちゃん。今日、君のお姉さんのご主人と思われる方がいらしたよ。彼女が日本を離れた仔細をご存じないようだったので、細かい事は何も訊かなかったが、今はニューヨークで幸せに暮らしているようだった。田中佑二」

 お姉さんが、ニューヨークに住んでいる事を、涼子さんは知らないってことかな? 夏木は、田中の顔を見て、仔細を訊くべきか考えた。田中は、微笑んで「お願いします」と言った。それは、これ以上は触れないでほしいという意味に聞こえたので、その通りにする事にした。

 夏木は名詞を大事に自分の名刺入れに挟むと、頷いた。少なくとも酔っぱらって、これを渡す事を忘れてしまう事だけはない。飲めない体質も悪くないなと思った。

 お礼の代わりにと田中がごちそうしてくれるというので、彼は一番好きなサマー・デライトを注文した。

マンハッタン(Manhattan)
標準的なレシピ
ライ・ウイスキー、バーボン・ウイスキーまたはカナディアン・ウイスキー 2
スイート・ベルモット 1
アンゴスチュラ・ビターズ 数滴

作成方法: 
材料をミキシング・グラスに入れてステアする。
カクテル・グラスに注いでマラスキーノ・チェリーを飾る。




(初出:2017年6月 書き下ろし)
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Comment

says...
更新、お疲れ様でした。

うわぁ、田中バーテンダーの古傷が……。
長い年月が経っても、そう簡単に心の整理はできない、かな。複雑な心境なのでしょうけど、それをおくびにも出さずに、最後までプロで大人な対応でしたね。さすが。
紀代子も、田中と『Bacchus』のことが気になって、どうなっているのかを知りたかったんでしょうねぇ。もっとも、中野氏のお喋りが過ぎて、逆に自分の状況を知らせてしまうことになりましたけど、これはこれで良かったと言うべきなのでしょうね。でも、本名を知らないあたり、この二人って正式に結婚はしていないのかな。う~ん、いろいろと複雑だ。
夏木氏もあれこれ詮索せずにおいたのは、こちらもオトナな思いやりですね。

これをキッカケに、いよいよ涼子ママと・・・なんて一瞬思いましたが、なんかなさそうだなぁ。メッセージを送るのに、携帯とかじゃなく名刺を手紙代わりにするとかねえ、まあ田中バーテンダーらしいなぁという気もしますが……。
2017.06.21 16:57 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんばんは。

そう、なぜいきなりこんな話が、という展開です。
もういい加減に次にいきゃあいいのに、いつまでも同じところにいる田中です。
まあ、でも、動揺しても大きく表には出さないですむぐらいには立ち直っている模様。

紀代子は、中野に何もしゃべっていませんし、もちろん結婚もしていません。そもそもちゃんとしたパスポートでいるのかも不明。っていうか、どうやって国外逃亡できたんだろう(笑)

夏木は実は好奇心でいっぱいですが、田中からではなく涼子から聞き出そうとか思っているかも。
もっとも涼子の片思いについてわかっているかどうかは微妙です。この辺はすみれのほうが敏感かも。

田中と涼子は……おそらく全然進まない(笑)
田中って携帯メールは似合わなそうですよね。その方が明らかに話は早いのに。
きっと涼子も返事は夏木にことづけるだろうなあ。
って、夏木はメッセンジャーボーイか!

コメントありがとうございました。
2017.06.21 20:53 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
ふうむ。
個人の好みもあれば、
個人の状態によっておいしさも変わりますよね。
私も昔はカクテルつくっていたんですけどね。。。
今は面倒になって、つくらなくなったなあ。。。
けど、小説読んでいると、またカクテル作りたくなってきますね。
ヾ(@⌒ー⌒@)ノ
2017.06.22 05:47 | URL | #- [edit]
says...
あれ?マミじゃぁなかったですよね。
紀代子さんですよね?ちょっと調べちゃいました。
思わぬところから彼女の登場ですね。
でも、どういう気持ちで彼にバッカスに寄ってほしいとお願いしたんでしょう。
まず、バッカスがあるかどうか確かめたかった?
そしてバッカスが有ったら、田中さんの様子が知りたかった?
そして自分が幸せであることを伝えたかった?
いろいろ想像させられますね。
あ、若い頃の自分を中野さんに伝えたかったのかも・・・。
中野さんとマミが結婚しているのかすら解りませんが、それなりに幸せにやっている様子は伝わってきます。
田中さんの静かな対応は流石です。いろいろ聞きたいこともあったでしょうが、今さらどうしようもないと言う事はあるんでしょうけれど、事情を全く知らなそうな中野への配慮もあるのかな。
田中さん、カクテルを通じて紀代子さんとの思い出を辿っているみたいでしたが、その中に微かに中野さんに伝えたい思いもあったのかも。複雑な心の動きが想像できます。
そして涼子への伝言はただの報告ではないでしょう。
どうにか動かないかなぁ。
でもこの人、そう簡単には動きませんからね。
思いを秘めることの多い田中さん、静かで、素敵です。
2017.06.22 14:16 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
こちらにもありがとうございます。

個人で作るカクテルなら、もちろんなんでもありですよね。
プロの作るカクテルは、客の好みをちゃんと聞く姿勢も大切ですし
プロとしての知識や技術もとても大切。
で、そのバランスが大事なのかなあと思います。

コメントありがとうございました。
2017.06.22 22:37 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

そうです。前に読んだ方が覚えている確率は低いと思って、わざわざリードにも書いたのですが、マミは本名ではありません。
今回のストーリー、マミ視点と田中視点がないので、双方がいま何を思っているかは藪の中です。

でも、紀代子が完全に忘れているわけではないのは確かなようですね。
中野と結婚していないんですけれど、その事情についてもきっと藪の中ですねぇ。

田中は紀代子がニュヨークで生きていること、それにもう一人ではいないことを知って、ようやくこの件を終わりにできるのかもしれません。まあ、彼には本当にどうしようもないですしね。

涼子と田中は、う〜ん、どうでしょうねぇ。
まあ、何もないんじゃないかな。って、実は私が何も考えていないだけです。
田中は、そもそも涼子の思いに氣づいていないし。

コメントありがとうございました。
2017.06.22 22:44 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
あ!ちゃんとリードに書いてくださってる!
サキはリードを読まずに本編だけでコメントを書いちゃったんですね。
マミって誰?で、「いつかは寄ってね」に辿り着くまでの遠かったこと・・・。
間抜けでした。
そしてすみません。
2017.06.23 12:17 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
こんばんは。

あ、やっぱり本編だけでしたか。
探すの大変だったでしょう。
できるだけ関連小説を簡単に見つけられるように工夫はしていますが、でも、シリーズをまたがるとわからなくなるんですよね。
ちなみに涼子の名字が初登場したのは「バッカスからの招待状 -7- アイリッシュ・アフタヌーン」ですから、紀代子のフルネームを探すのはちょっと大変なんですよ。それにしてはどうでもいい情報だし(笑)

わざわざ探してくださり、さらに再コメントもいただき、ありがとうございました!
2017.06.23 19:11 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
そっか、マミは紀代子さんのことで、中野さんとは夫婦じゃなかったんですね。
パートナーと言っても、籍を入れてない場合もあるんだ。
いろいろスッキリしたところで本題です。
今回は、田中さんがふっと言葉を省略してしまう瞬間が僅かにあって、その間が、彼の過去に対する感情を伺わせます。
過去のことだから……と、完全にすっきりしているわけでは無さそうですね。
そういうところ、人間らしくていいです。
あまりにスマートすぎるより、ちょっとそんな部分があったほうが、ね^^

田中さんは、中野のことを紀代子の旦那さんと思い込んでるんですよね。
会話の中に、いろんな想いが溶けているのを感じます。
名前を覚えていないと言ったのは、紀代子への配慮なのですね。最初は分からなかったのですが。

田中さん……やっぱりいろんな意味で魅力的です。
2017.06.25 11:25 | URL | #GCA3nAmE [edit]
says...
こんにちは。

そうですね。たとえアメリカでも日本人同士が正式に結婚するためには戸籍謄本が必要で偽名のままでは無理です。
紀代子が別のマミという名前の人間になりすましていて、そのパスポートや戸籍謄本でという可能性もありますが、まあ、この辺はこのストーリーにはどうでもいいことということで(笑)

田中は、二十年以上も独り者でやっているということは、全然すっきりしていないと思います。
でも、ショックを強く受けるほどには、もう紀代子に対する思い入れはなくなっている感じですね。
紀代子が実名を名乗っていないということは、中野にも色々と隠しているのだということは想像しています。
だから彼女の名も、自分と同棲していたことも、日本から失踪したということも一切触れずに、名前すら憶えていないただの客であるようなフリをしたのですね。
これは客である中野への配慮であると同時に、かつては生涯を共にしようと思っていた紀代子への配慮でもあるようです。

とりあえず「これはもう戻ってくることはないな」とわかったので、もう待つことはないと思いますが、まあ、だからと言ってすぐに次の可能性が始まるわけはないですよね。(というか、作者は何も考えていない……)

コメントありがとうございました。

2017.06.25 14:53 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
う~ん もやもやしますね~。
人の気持ちなんてきれいに切って、きちんと貼って、まっすぐ繋いで
なんてできないから面白いとは思うんですが・・・。

これで涼子さんとはますますくっつくことはない気がします。
でも今より少し甘えて甘えられての関係になったら素敵。
(勝手に)期待します。(笑)

でも田中さんますますいい味出してます。
夏木さんも男として成長してる??かも。

母の介護であまりゆっくりと訪問できなくて。
でも楽しませていただいてます。(^^♪
いつもありがとうございます。
2017.06.29 15:30 | URL | #8tY9vXl2 [edit]
says...
こんばんは。

もやもやしていただけましたか。うふふ。

そうですよね。
もちろん、単純なハッピーエンドもありですけれど、まあ、この二人はそんなに若くないですし、もっと複雑で味わいのある人生や関係が似合うかなあ、なんて。

とりあえず、少なくとも田中にとって紀代子は「二度と戻ってこない人」になったかな。
かといって涼子とどうこうなるという選択肢は、あるかな、ないかな。ないというか、考えていないというか。
でも、お互いにちょっと特別な存在であるということは間違いないので、これからもその路線で進んでいくかもしれませんね。
(どんな路線?)

夏木は、メッセンジャーボーイだし、すみれとは全然進んでいないし、いいんですかねぇ、こんなで。
彼としては、ものすごく居心地いいみたいですけれど。
応援感謝です。

お母様のご介護、大変ですよね。
お察しします。お疲れが出ませんように。
それに、こちらにいらしてくださるのも、どうぞご無理のないように。
氣分転換に、時々いらしてくださるだけで、とても嬉しいのですから。

こちらこそ、大変な時にいらしていただき、コメントも、ありがとうございました。
2017.06.29 20:04 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
ちょっと意外な田中を発見。
田中の紀代子への気持ちは、まだそこに残っている部分があるとしても、年数が経っているから、もうあんあまり執着心みたいなのはなくて、心を残している対象が紀代子なのか、過去の紀代子なのか、そこに残っている自分の気持ちだけなのかってところかなと思ったりします。
で、意外だと思ったのは、「文字が上になっていたので、内容が読めた」ってところ。正確には、意外と思った部分と、田中らしいと思ったところと両方です。田中って実はちょっと自分を他人に見せる部分もあるんだなぁと思って。名刺だから折り畳むのも変だってのもあるから、お話的には夏木に見えたってのは有り難い?けど。
夏木が何も分からんだろうから見えてもいいやってのじゃなくて、悟られるかもしれないけれど(夏木になら)見られてもいいか、という感じだったのでしょうか。いや、でも夏木って人が良さそうだから、文面通りに受け取っただけかなぁ。あるいは、何も分からずにメッセンジャーとして(アッシーみたいに)夏木を使う事へのちょっとした気遣いだったのかな。
なんかちょっとあれこれ思い巡らして、楽しんでいたのでした。
ま、これで紀代子は戻ってこなさそうだし(過去のことをパートナーにみんな話してなかったり偽名だったりしている辺りに何かまだありそうな気はするけれど)、涼子をもう少し違う対象として見ないかなぁ。だめか。
2017.07.02 04:19 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
おはようございます。

わ〜い。彩洋さん が復活した!

そして、彩洋さん のツッコミ、さすがです。実は、ここはちょっと悩んだところなんですけれど、あえてそうしたんです。
第一に、キャラ的に「夏木がこっそり盗み見る」は嫌だったんですが、ここは夏木視点なのでほかにこの情報を語る方法がなかったんですよ。
つまり、作者都合。

そして、ちょっとだけ、彩洋さん のおっしゃる「頼むだけ頼んで理由は何も訊くなは失礼か」というのもあったと思います。でも、この情報では、田中が「夏木は知らんでもいい」と思っている情報は何もわからないようになっているんです。つまり読者はわかっていますが、夏木はマミこと紀代子と田中が恋愛関係にあったことは、全然知らないままなのです。涼子が喋らない限り(笑)

夏木にとっては「涼子さんの、今は居所を知らないお姉さんはニューヨークにいる」ということがわかっただけなのですね。

今の田中は、もう紀代子に対する執着はほとんどないと思います。
ただ、喧嘩して別れたとか、死別したとかいうのと違って、いつ帰ってくるかわからないままだったので、次に全く進めなかったのですが、これでようやく本当に終わった、という感じではないかと思います。とはいえ、もう結構な歳ですし「よっしゃ、次行こう」という感じにもならなそうです。涼子? ええと、どうでしょうねぇ。そもそも田中は涼子がずっと自分を想っていることを全く知らないし(笑)

コメントありがとうござまいした。
2017.07.02 09:06 | URL | #9yMhI49k [edit]

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