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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

【小説】赤い糸

scriviamo!


「scriviamo! 2018」の第十弾です。夢月亭清修さんは、手紙をモチーフにした作品で参加してくださいました。ありがとうございます!

夢月亭清修さんの掌編小説 『次の私へ』

清修さんは、小説とバス釣りのことを綴られているブロガーさんです。サラリーマン家業の傍ら小説家としてブログの他に幻創文庫と幻創文芸文庫でも作品を発表なさっていて、とても広いジャンルを書いていらっしゃいます。現在連載中の「移動城塞都市と涙の運河」も、とても面白い冒険譚ですよ!

今回書いてくださった小説は、「郷愁の丘」で多用している書簡形式にインスパイアされて手紙になっています。この手紙を料理しろと仰せなんですけれど、あのですね……。いったいどうしろと。

「こんなの簡単じゃん」と思われる方は、ぜひトライしていただきたいと思います。色々とわからないだけではなく、制約も多いし、どうやって続けていいのか、のたうちまわりましたよ。

お返しは、悩んだ末、まじめに「中二病テイスト」で書くことにしました。いや、ふざけて返そうと思ったんですけれど、そこはかとなく清修さんから「ちゃんとそれっぽく書け」というオーラが発せられているように思ったんです。ですから、こうなりました。ちょっと拾えていない部分もあるかもしれませんが、これが限界でした。これでも三度書き直したんですから。しくしく。


注意・まず先に清修さんのところでお題となっている作品を読んでください。読まないと、下の作品は意味不明です。

行けなかった方はこちら(クリックで開閉)

『次の私へ――』

 この手紙を発見した君は、きっとすごく驚いていることでしょう。それと同時に、この文面に対する激しい既視感と、ある予感を感じているはずです。
 私もそうでした。過去からの手紙こそが心の奥底に眠る記憶と、そして力の、最後の鍵。
 この手紙を読み終える頃には、君も私のように、固い覚悟が決まるはずです。

 世界と、君と、そして誰よりも、愛する彼の為に。

 これまでの人生には苦労が多かったことでしょう。様々な戦いの夢にうなされる夜が過ぎる度に、君は誰にも言えない苦しみを抱えることになりましたね。
 鮮明で、まるで痛みすら現実へ持ち帰るような夢は、君に眠ることへの恐怖さえ植え付けたかもしれません。
 時には漏れ出した力が周囲を傷つけてしまい、友達が離れていってしまったことだってあると思います。
 でも、夢は夢ではなく記憶、力は大切なものを守る為のギフトです。どうか、私達のすべてを、今を生きる君の為に役立てて下さい。

 鍵をお渡しする前に少しだけ、私のことをお話しましょう。
 今、嫌な予感でいっぱいになっているだろう君の、慰めになるなら幸いです。
 君と同じように、私も、彼を愛しています。苦しい人生の中で、彼だけが灯のように光り輝いて、私を暖かく、導いてくれましたから。
 彼と共にある将来、彼と共に育む未来を夢に見て、幸せを感じたこともまた、悪夢以上に数えきれませんでした。
 結局、心の扉を開け、運命を受け入れた私にその夢は叶えられませんでしたが、でも、だからこそ、君を信じてこの手紙を書いています。

 彼もまた、私達と同じ存在なのです。
 だからきっと、いつか、いつかの私と、いつかの彼に託したい。
 そう、強く願っています。

 お願いします。彼を止めて下さい。

 願わくば、最愛の人を殺めなくてはならない悪夢に、どうか終止符を。

 武運長久をお祈りし、最後に鍵を記します。

             ――前世の君より

『月下老人 赤い糸 韋固の血に染まれり』


上の作品の著作権は夢月亭清修さんにあります。夢月亭清修さんの許可のない利用は固くお断りします。


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赤い糸
——Special thanks to Mugetutei Seishu-san


 西の空には、霞んだ月が浮かんでいる。満月でもなければ半月ですらない。惨めに力を失っていく下弦の月は、骨まで染みる冷たい霧の向こうに寂しく沈んでいく。

 彼は、無事に逃げだせたのだろうか。リンは時計に目をやった。大変なことをしたのだと、胃が痛くなりそうだった。彼をそのままにしておけば、むしろ幸せなまま人生を終わらせてやれたかもしれない。逃げ出したことがわかれば、《モラレス》だけでなく連邦政府も必死で彼を追い、見つけ次第抹殺しようとするだろう。それは精子採取の終わった他の《優性種個体》たちに対する手続きとは違い、大きな苦痛を伴うはずだ。

 《優性種個体》の青年たちは二十回の採取が終わると別の施設に移される。勤めはじめの数カ月は、それが安楽死のための手続きだとは知らなかった。それを知ってからも、かわいそうだとは思っても、何かをしようとは思わなかった。連邦政府に戻るために良心など悪魔にでもくれてやるつもりだった。それなのに、なぜ彼のために私は人生を棒に振ったのだろう。彼女は訝った。

 C9861が、彼女を見る時、他の少年や青年たちとはまったく違う表情をしていた。彼らの外見は互いにとてもよく似ていた。当然だ。そうなるように純粋培養された品種なのだから。採取された精子は厳重に管理され人工受精に使われる。リンたち《中位人種ミッテルメンシュ》には絶対に手の届かない特権階級がこうやって生まれることを《モラレス》で彼女は知った。

 《モラレス》は民間企業だが、連邦政府の後ろ盾によって純血種の再生産を請け負っている。優生保護法に基づくあらゆる農産物の種の管理を委託されているのは一般にも知られているが、《優性人種ウーベルメンシュ》、つまりIDカードの認識番号の最初の文字がAからEのどれかである人々が、ここから提供される精子と卵子の人工受精によって独占的に生み出されていることはトップシークレットだ。

 この人間ブロイラーの存在を知る事になったのは、皮肉にもリンが優性ではないにもかかわらず優秀なだったからだ。

 彼女は、連邦政府で働くためにあらゆる努力をしてきた。高校まではクラスでもずば抜けて優秀で、大学での特別コースに入るための選抜試験でも、全問正解を書いた自信があった。にもかかわらず、彼女が進むことができたのは特進コースではなかった。その後も連邦政府の国法府に進むはずが、数カ月で民間企業である《モラレス》へと送られた。

 リンの認識番号はGではじまっていた。両親の結婚によって生まれた彼女は他の《中位人種》と同じように雑種なのだ。だが、少なくとも雑種にはそれなりの自由があった。もちろん特権階級にはなれないが、それでも卵子と精子を採取するためだけに存在し、品質劣化と流出を防ぐために早々に処分される存在よりはずっといい。

 彼女が配属されたセクションには、金髪碧眼のCタイプと赤毛で緑の瞳をしたDタイプの少年と青年たちがいた。C9861はその一人にすぎなかった。なのに、彼だけにリンはいつも注意を引かれた。彼も、リンが通る時にいつも振り向いた。目があって、一秒か二秒、時間が止まった。

 あの謎の手紙がどこからきたのかリンにはわからなかった。彼女のブースのデスクの中にあったのだ。どこからきたのかもわからず、具体的な事も書いていなかった。そのまま捨ててしまえばよかったのだ。それとも上司に見せて忠誠心を見せる選択もあったはずだ。

 リンがそうしなかったのは、彼の安楽死の期限が迫っていたからだ。C9861は十八回目の採取を終えていた。再来月には彼は「移される」はずだった。リン自身の手で、その手続きをしなくてはならなくなる。他の成長した《優性種個体》と同じように。

「彼もまた、私達と同じ存在なのです」
リンは、手紙のこの一文を何度も読み返した。

 手紙を彼女のブースに隠すことができたのは行方不明になったという前任者であるとしか考えられなかった。彼女の残した私物を上司の命で届ける手続きをした時、その家族の住所を控えてあった。実際に行ってみて、その地域には反政府組織のアジトがあることがわかった。そして、それから二週間がたった今、リンは落ち着かない心地でこの怪しげな部屋の中に座る事になった。

「心配のようだね」
地獄からの使者という表現がぴったりくる、皺くちゃで禍々しい顔をした老婆がヒッヒと笑った。忌々しい。この女の口車に乗せられて、私もC9861も《モラレス》と連邦政府から追われる立場になったのだ。

「本当に彼を無事に逃してくれるんでしょうね」
リンは老婆に詰め寄った。

「さあね。あんた次第だよ」
「私? 私が何かできると思っているんですか? メインシステムに侵入して彼のセクションの管理プログラムに手を加えたことは、すぐにわかってしまいます。私はもうあそこには戻れません。家族に迷惑がかかるから、実家に助けを求めることもできません。私自身が追われる立場なのに、どうやって一人で彼を助けられるというの」

 老婆はカラカラと笑った。
「一人でなんてことは言っていないさ。もちろん我々がバックアップする。だが、あのC型を本当の意味で解放することができるのは、組織の助けじゃないのさ。お前さん、あの手紙に書いてあった『鍵』の意味はわかったのかい」

 リンは首を振った。それどころか、手紙の最初から最後まで、意味がさっぱりわからなかったのだ。

「やれやれ。あそこに書いてあったのは、お前さんのご先祖が属していた民族の伝承の話じゃないか」
「なんですって?」
リンは身を乗り出した。

 老婆はやれやれと首を振った。
「その昔、いつか結ばれる男と女の足首は普通のものには見えぬ赤い糸で結ばれていて、その運命を変えることができないのだという伝説だよ。韋固というのは、そのことを信じまいとして運命の許嫁を殺そうとした男だ。最終的にはその娘と結婚することになったらしいがね」

 リンはため息をついた。
「そんな昔話がなんの役に立つのですか。まさかあなたも赤い糸の運命を信じているなんて言いだすんじゃないでしょうね」

 老婆はその狡猾そうな皺を更に深くして笑った。
「やれやれ。どうしてそうでないと言えるね。では、お前さんがわかるような言い方をしてやろう。私たちは誰でもヒト白血球抗原(HLA)複合体をもって生まれてくる。自分の細胞と不要なウィルスやバクテリアとを識別するのに必要なシステムだが、本来人間は自分とはまったく異なるHLA複合体を持つ相手を求めることがわかっているのさ」

「全く違う相手?」
「そうさ。免疫システムの多様性が増すと環境の変化に強い子孫を残すことができるんだ。連邦政府の純血種政策はその自然の摂理に楯突いているのさ」

「ということは、政府が独占しているC型の遺伝子を手に入れることがあなたたちの目的?」
「ある意味ではそうだね。だが、我らはただ『月下老人』の役割を勤めようとしているだけさ。『赤い糸』はもう勝手に動き出しているらしいからね」

「意味がまったくわからないわ」
リンは挑むように老婆を見つめた。

 老婆はカラカラと笑った。
「お前さんの細胞全てにHLA複合体が組み込まれている。お前の赤い血がもっとも遠いパターンのHLA複合体を感知するんだよ。同じような見かけをしている者の中で一人だけどういう訳か目が行く。他の人間にはわからないようないい香りがする。その相手に対して性的関心が高まる」

 リンは、ひどい居心地の悪さを感じた。そんなつもりではないのに。
「あなたは、まさか、私と彼をくっつけようとしているの?」
「くっつけようとしているのは私じゃないよ。わかっているはずだ。頭を冷やして考えてごらん。お前さんのこれまでの行動の意味を」

* * *


 C9861は、走った。外の世界は暗くて寒く、救いがあるようには全く思えなかった。それでも、もはや元の世界に戻る事はできなかった。彼に残された時間は少なく、暖かく心地良い繭の中で幸せな夢にまどろんでいる時間はなかった。

 あの女を信用していいという証拠はなかった。彼にわかっているのは、次は彼の番だということだけだった。

 彼のいた場所には、彼と似た境遇の少年たちが集まっていた。少しずつ年齢の違う少年たちは、だが、決して老いることはなかった。青年となり、周りの「大人たち」と変わらなくなると、順番にいなくなるのだ。彼よりも歳上の最後の男は一年前に去った。そのC9823は、いなくなる一ヶ月ほど前に「大人たち」の目のない時を選んで彼に話をした。その前の少年たちがやはり口頭で伝えてきたであろう情報だった。

「用が済んだら、僕たちは始末されるらしい。それが嫌ならば、ここを逃げ出すしかないが、外の世界はここほど楽ではないそうだ。それに、どうすればここから出られ、どこへ行けば助かるのかも僕は知らない。どうすればいいのかも。でも、C9798が僕に伝えたことだけは、君に言っておかなくてはならない。君も必ずそうするんだ。次の少年たちのためにね」

 C9823が去ってから、彼はずっと落ち着かなかった。前いた少年たちがどこへ行ったのか、本当に「始末」されたのかも知らなかった。だが、彼は、義務として年下の少年に彼自身も受け取った情報を伝えた。彼が、こうして逃げ出したことを知らない彼は、おそらく「C9861は始末されたのだ」と思うだろう。もしかしたらそれは事実となるかもしれない。逃走したことがわかれば、「大人たち」は彼を間違いなく「始末」するだろう。

 彼の「用が済む」という意味はなんとなくわかる。彼の体格が変わり、それまで見ることのなかった生々しい夢を見るようになってから、彼は定期的にラボトラリーへ連れて行かれ、体液を採取された。それは非常に快感を伴う作業で、決して嫌いな体験ではなかった。

 彼は、いつもあの女のことを頭に描いた。彼と見かけの違う背の低い女。漆黒の艶やかな髪と切れ長の瞳。初めて見たときから、眼が離せなかった。他の女とは違う見かけだから。そう思ったが、それだけでは説明がつかなかった。あの女の前任者も彼とはまったく違う見かけだったように思う。彼は、そちらの女には、あまり注目したことがなかった。

 あの女だけはどういうわけかすぐに顔を憶えてしまった。ラボトラリーへ彼を誘導するときに、前を歩く後ろ姿が妙に氣になった。いい香りがするように思った。だがそのことを他の少年たちに話すと、みな首を傾げた。「あの黒髪の女? 特に他と違う匂いなんかしないぞ」

 あの女が、メッセージをこっそり渡した時、彼は別の期待をした。だが、それは彼と甘い秘密を持とうという誘いではなかった。もっと切羽詰まった内容だった。処分される前に彼を逃すと。

 他の人間からのメッセージだったら、信用しなかっただろう。「大人たち」にそれを告げて、話を終わりにしたに違いない。だが、それをしたらあの女が「処分」されると思った。だから、彼は「逃げる」方を選択した。

 少なくともこれまではあの女の言った通りにことが運んだ。彼は、生まれてから一度も離れたことのない建物を抜け出し、明け方の誰も彼もが眠った街を一人走っていた。

 どこへ行くのかはわからない。だが、新しい扉が開かれて、その戸口にあの女が立っているように思った。

(初出:2018年2月 書き下ろし)

追記


「大道芸人たち Artistas callejeros」の読者へのおまけ

「なんだ、この話は」
ヴィルは眉を顰めた。稔は笑って謝った。
「悪い悪い、テデスコ。あんたとトカゲ女にちょいと外見を貸してもらった」

「なんだか、どこがどうというのかわかりませんけれど、ぞわぞわする話ですね」
首を傾げるレネの後ろからディスプレイを覗き込んで、蝶子は笑った。
「中二病風って言うのよ」

「なんだそれは」
ヴィルとレネにはどうも通じないらしい。

「ところで、この手紙ですけれど……」
レネは、課題の手紙をじっと眺めた。稔は訊いた。
「なんだ? 他にいい上が浮かんだ?」

「ええ。ほら。私も愛している『彼』って言ったら……」
「あ。あれか!」

「何よ」
蝶子が皿を持って入ってきた。もちろんおやつとして自分が食べるために。

「それだよ!」
稔は蝶子が異様に大きく切り取った、バウムクーヘン(Kuchenは男性名詞)を指差した。

「止まらないのよね。やめないと太っちゃうのに」
蝶子がそういうとなくなると思ったのか、レネも急いでキッチンに行き、やはり大きなひと切れを切り出してきた。稔は焦った。
「ちょっ。なくなる前に俺も!」

 キッチンに走って行くその背中を見送りながら、ヴィルは嫌な顔をした。
「本場のミュンヘンにいるのになぜわざわざ日本のバウムクーヘンを空輸して食うんだ」

「だって、こっちの方がおいしいから。止まらないんですよね」
レネが幸せそうに頬張った。蝶子も唸いた。
「まさに、『お願いです。彼を止めてください』よね。ま、いっか。また真耶に頼んで送ってもらおうっと」

 ヴィルは大きなため息をついた。

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Comment

says...
執筆、お疲れさまでした。
夢月亭清修さんの作品を先に読ませていただきましたが、あれ、なかなかにハードルが高いですね。短い作品なのに、膨大な情報が詰め込んであるし、設定もいろいろと想像できてしまうし。自由度が高いようでいて、じつはけっこう縛られるという気がします。

で、こちらの作品ですが。
近未来SFテイストですね。「彼」と「私」の関係や、起きているドラマは、ダークファンタジーっぽいですし、書簡の扱いはサスペンスめいているし。一作でいろいろと楽しませていただけました。
あ、「運命の赤い糸」って、遺伝子レベルのつながりでしたか。なるほど、それなら生まれたときから、結ばれているわけだ。そしていかにも胡散臭そうな「月下老人」の予言どおり、「私」と「彼」がくっつく日が来るのかもしれませんね。


……。

って、これ、稔の創作だったんかい!
いつから作家に転身したんだ。
それはそうと、バームクーヘン、私も大好きなんですけど、日本のモノの方が美味しいんですか? 意外だなあ。
2018.02.19 12:13 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
夕さん、SFじゃないですか!
・・・と驚いたりはしません。たくさんはありませんがSFを書いてらっしゃいますからね。
毎度いかにもそれらしい設定には驚かされるのですが、ネーミングも素敵ですね。
ドイツ語が使われているのかな?読んでいてありそう感がピリピリ来ますね。
リンとG9861の関係が微妙に謎ですが、これってアレ?
こういう設定を中2病風って言うんですか?
ちょっと恥ずかしいんですけれど、サキは中2病というものがよくわかっていません。いつの間にかよく使われる単語になっていて、今さら聞けなくなってしまったんですよ。
ということはサキの作品って中2病風的なものが多いのかな?

今回描かれた未来世界はとても暗くて陰湿で、人類の未来としては迎えたくない未来世界ですね。
「用が済む」なんて片付けられてはかないません。彼らはやっぱり本当に「始末」されたんでしょうね。
赤い糸、老婆、組織、そして月下老人、これらについてもう少し詳しく教えて欲しかったなぁ。
冷静に考えれば、あり得ない話では無いように思えるだけに、読後感は重い物です。ちょっとカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」の読後感を思い出してしまいました。
サキではなかなかこういう雰囲気の作品は書けませんね。
憧れてはいるんですよ。でもなんとなくはっちゃけるんですよ。

追記の4人の会話が救いでした。
物書きエスのパターンですね。
え!外見はヴィルと蝶子なんですか?
こりゃあ、もう一回読み直さなくっちゃ。

夢月亭清修さんの手紙は謎のままですが・・・。
2018.02.19 12:38 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
まさか、将来はかずお・いしぐろを狙っている?? 
なんだか、ちょっと『私を離さないで』の世界みたいでぞわ~っとしました。夢月亭清修さんの作品のほうは、どうともつかみ所がなくて、どうともできるようで、どうともできないような、読んでいる方は曖昧模糊な不気味ワールドに浸かっているだけでよいのですが、ここから書き起こすとなると一体どうしろと??だったのでは、と推察いたします。
でもそこはさすが夕さん、ちゃんと内容を引っ張りつつ、独特の世界を、しかも具体的に作り上げられましたね~。なんか、夕さんにいつも親近感を覚えるのは、物語の舞台のディテールをついつい作り上げちゃうところ。もちろん、私は夕さんの足下にも及びませんが、設定を(書く書かないか別にして)ある程度作っちゃわないと、もやもやでは置いとけないってところがあるじゃないですか。そういうの、好きです。
夢月亭清修さんの月下老人!ってのがなんとも不思議な響きですね。
面白かったです(*^_^*)

バームクーヘン、ですね。うんうん、私は、クラブ・ハリエ派です。しっとり好き。
でもクラブ・ハリエのバームクーヘンは高すぎて滅多に口に入りません。だから、せめて北菓楼のバームクーヘン。
でも麻耶ならきっと高級バームクーヘン、あっさり購入するだろうな。あ~、クラブ・ハリエのバームクーヘン、食べたくなってきた~~~
2018.02.19 12:52 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
こんばんは。

「scriviamo!」の作品は、簡単なのってないんですけれど、今年一番の七転八倒はこれだったかも。
あれをこうすると、こっちが矛盾する、これをこうとると、あっちが拾えないという具合に。

で、拾った上で、なんとか自分形式の話にしようと四苦八苦した結果が、なんか中途半端な話になりました。
そもそも五千字前後で済む内容じゃないんですよね。
正直言って、要にした部分は「赤い糸≒異なるHLA複合体」だけだったんですが、そのためになぜここまで話が複雑になるんだ orz

しかも、内容もアレなんで、つい追記で遊んでしまいました。
稔がこの課題に挑んだ模様です。って、書いているうちに出てくる二人の容姿がどう考えてもヴィルと蝶子みたいになってきたんで、突っ込まれる前にそれでしたと書いちゃえと。
バウムクーヘンですけれど、外人も含めて何人かに本場のものと日本のものを同時に食べさせて判定を願いましたが、日本の圧勝でございました。本場のものはなんかパサパサしているんですよね。日本の企業努力にはかないません。

コメントありがとうございました。

2018.02.19 22:22 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

これですね。実は「ありえないSF」としてではなくどちらかというと「現実の形を変えた批判」に近いイメージから書き始めたんですよ。
「わたしを離さないで」は読んだことがなくて、みなさんのコメントから「そういう話なんだ」と反対に驚いたんですけれど、この話のもとネタは、私のすぐ身近にある牛の種付けなんです。

そこらへんの農家には、雄の牛っていなくてすべて管理された種牛の精子を獣医がやってきて種付けしてお終いって事になっているんですね。それと近年のモン○ント社の問題などへの危惧も含めてちょっとこういう社会になるかもしれない、なったらやだな、という思いを題材にしました。

中二病的というのは、「あるある」「症状」などを加えて検索すると、いろいろと典型的な状態が解説されていますが、私個人的にはまさに清修さんの手紙にあるような状態が「現実に自分に起こる」と思い込んでしまう思春期の一時的な状態、だと思っています。簡単にいうと、根拠もないけれど明日あたり誰かが突然「あなたが世界を救う人です」と宣言するのを待っている。でも、現実は普通の一般人だけど、ということではないですかね。

この小説では、わざと「中二病」にうなされている人が書きそうなキーワードとして「ウーベルメンシュ」を使ってみました。ご存知の通り、これはニーチェが提唱した哲学上の概念で日本語では「超人」と訳されていますけれど、のちにナチスドイツの指導理論に利用されて歪められましたよね。ニーチェとその哲学をよく理解している人からしたら腹に据えかねる使い方でしょうが、こういう「よく分かっていないけれど、かっこいいから使ってみる」も「中二病」の特徴でもあるわけです。

サキさんの作品が中二病っぽいとはあまり思ったことはないですね。
少なくともSFだから、中二病っぽいという位置づけではないと思うますよ。少なくとも私の理解の仕方では。

今回の話は、そもそも詰め込み過ぎです。
これ以上の説明をすると二倍くらいには軽くなってしまいますし、そうすると読んでいる方も飽きると思います。
なんせ、そもそも中身があまりないのですから。

この話が暗く思えるのは、おそらく私が感じている人類の未来があまり明るくないからだと思います。
基本的に、この話は、例の「終焉の予感」の世界観と共通なんです。これ裏設定では「北大陸」の話なんですよ。

で、稔が書いているというのは、本当のおふざけです。
単純に、バウムクーヘンの話を書きたかっただけです。
これ、最初にこうやってお返ししようかと思った回答であったりします。

清修さんの手紙には、ご本人にちゃんとした裏設定があるみたいです。
そちらも読んでみたいですよね。

コメントありがとうございました。
2018.02.19 23:02 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

サキさんと彩洋さんのご指摘で、「そっか。『私を離さないで』ってそういう話だったのか」と理解しました。実は、まだそちらは読んだことがないのです。日本でドラマになったとも聞いたのですが、なんせ浦島なのでストーリーも知らなかったり。

サキさんのところでちらっと書きましたが、この話は牛の種付けからの発想で作った話なんです。
そういう種の増やし方が当然になっている世界で、ジュラシックパークの恐竜たちみたいに、勝手に生命が他の道を見つけ出して行くというのを赤い糸に絡めた、という感じでできています。もちろんこの話、五千字で収めるような話ではないのですが、私、SF苦手だし、きっと長編で書くことはないからいっか、みたいな。

清修さんの手紙はですね。正直言って「どうすんの、これ」と途方にくれたんですよ。みなさんに向けられた企画だったら、確実にスルーしていたと思いますが、「scriviamo!」は逃げられないんです(泣)

で、いくつかのパターンを対策として考えたうち、真面目に考えたものを本編にして、おちゃらけた方をおまけで追記にしました。
近年の日本のバウムクーヘンの進化、ただごとではないですよね。
クラブ・ハリエは関西のお店でしょうか。今度伺う時にゲットできないかな。ちょっとリサーチしてみます。

コメントありがとうございました。
2018.02.19 23:11 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
清修さんもそうですがわたしはお二方のお話を中二病ぽいとは
まったく思いませんでした。
多分、お二方とも、それっぽい単語を散りばめつつ内容が
しっかりしているからなんだろうな、って思います。
でも、稔が書いたとなると、中二病ぽいというのはなんか分かる
気がします(笑)
いずれにせよ、夕さんが本来指向しているお話とはだいぶ方向性が異なるというのは分かります。

と思ったら、牛の種付けから着想を得られたんですか!

わたしが普段書くお話を読んで下さっている夕さんならお分かりいただけると
思うのですが、わたしはむしろ好きなテイストです。
シンクロシニティなのですが、今度発表する二月分の掌編がまさに
この手の医療系SF風味のお話なんですよ。

あり得るかもしれない未来だから、あまり中二病ぽく感じないのかもしれません。
体制というか成果至上主義というか人の心が置き去りにされた
世界で、「赤い糸≒異なるHLA複合体」で惹き合う二人が存在する、
という設定がロマンチックですよね。

皆さん引き合いに出しておられるカズオ・イシグロ氏ですが、
現実で起こっていることを、現実を舞台にして書こうと思ったら書けなかったので、架空の世界を舞台したら書けた、というのが、「わたしを離さないで」なのですって。

この二人は蝶子さんとヴィル様が外見上のモデルになってますが、
舞台が変わることで二人の愛の形(といったらちょっと違う感じもしますが)が、まったく別のものになっちゃってますよね。

だから、夕さんが蝶子さんとヴィル様の係わりを書くにあたって、現代というかあの大道芸の世界を舞台にされたのは必然の理だったんだな、と逆説的ですが、そう思ったのでした。

バームクーヘン食べたくなりました。
日本のお菓子は全体的に水っけ、もちもち感が重視されてる気がするのですが、お米を食べる民族だからなのかしら。日本は新しいものを作るのは苦手みたいですが、既存のものを突き詰める執念はすごいものがあると思います(笑)
2018.02.20 01:51 | URL | #- [edit]
says...
むずっ!たくさんいじめられて大変ですね

ファンタジーになるのかなと思ったらSFとは引き出しが多い!
中二病というよりも本格的SFに感じました
人間をこうやって作るのは以前SFでホットな話題だったみたいですね
私もいくつか読んだことがあります
みんな逃げだすんだけど、こうやって赤い糸で結びついていると
ただ逃げるのと関係性がだいぶ変わってきて面白いです
2018.02.20 14:31 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

清修さんの作品の手紙は、ご本人はさらりと書いていらっしゃるんだと思いますけれど、本物の罹患者であった過去を持つ私にとっては「あ、イタタタ!」でしたよ。中二病への敏感さはおそらく罹患した過去があり、それが重症だったかどうかに比例するような氣がします(笑)

清修さんの手紙で、拾えていないとわかっているのにあえて放置した部分は、「力」という部分です。これ、いわゆる超能力的なものを指すんだろうなと思ったんですけれど、ぽっと出のヒロインにそんなものまで持たせてあげるほど私は親切な作者ではないので。

この話の背後にあるものは、私の思想で「自然を人間の力で支配したり管理したりできると思ったら大間違い」というものなんです。そういう意味で、家畜である牛の種付けというかなり平和なレベルの話から、遺伝子操作だとか食料独占などに関係する一部大企業や国家の方向性への強い不信感を持っています。私がSF風の作品を書くときは、必ずこのテーマが見え隠れしているんですよね。

ノーベル賞作家と自分を比較するのはあまりにもおこがましいですが、カズオ・イシグロの問題意識や作品へのアプローチともしかしたら近いのかもしれないと思うのは、ちょっと嬉しいですね。

二月の作品は医療系SFなのですか! こういうシンクロって、とても嬉しいですよね。
楽しみです。

ここでArtistas callejerosを登場させたのは、たんなる皆様のウケ狙いです(笑)
ウーベルメンシュを出すのなら、外見はどうしてもヴィルみたいになってしまうし、一方遺伝子的にとても遠い女と想定するとアジア人が書きやすいし、なんかヴィルと蝶子じゃんとおもって。
でも、大道芸人たちのストーリーは、やはりあの舞台でないと成立しませんね。一応「逃げてきた」設定は一緒ですけれど、あの四人は緊張感ゼロで楽しんでいるし。

バウムクーヘンはですね。やはり生地がある程度しっとりしているからこそ美味しいんだと思います。
ミュンヘンで買ったのは生地がパサパサで……。けっこう有名な店で買ったんですけれどね。
連れ合いも日本のほうが美味しいといいました。

コメントありがとうございました。

2018.02.20 22:57 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

難しいですよね。毎年こういうのを募集している私は、もしかして極M?!

ファンタジーにするのはもっと大変ですよ。
なんかもっと中二っぽくしなくちゃ釣り合わなくなるし。五千字でそれはきついです(笑)

ああ、人間をラボで作る系のSF、けっこうジャンル化しているわけですね。
逃げ出したくなりますよね。
でも、逃げる方法をどう考えつくのかってところがポイントになるんでしょうね。
ラボ育ちだと、そんなこと知らないだろうし。

赤い糸が要なので、使わなくちゃいけませんでしたが、本人にしてみたらどうなんでしょうね。
せっかく逃げ出しんだからいろんな人を試したいとか?

コメントありがとうございました。
2018.02.20 23:02 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
夕さん、執筆お疲れ様でした^^
こんなに作り込まれた世界が帰ってくるとは思っていなかったので、非常に楽しく拝読いたしました!

これを読んでいて、手紙が常に同じ文面で回り続けるなら、遠い未来ではこんな形の『彼と私』もありそうですし、きっと手紙を受け取ったそれぞれが違う物語を生きているんだろうなぁと、さらに妄想が膨らみましたよ♪
リンが身を寄せた老婆の所と、これからC9861が向かう先が同じとも限りませんし、一山も二山もありそうな世界観ですね!

素敵な短編のお返しありがとうございました!

非常に無茶ぶりだったので、来年は僕がBで、小説を返したいなぁと考えています><
2018.02.21 16:20 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

前回のとうって変わり、今回は清修さんの作品の「正解」が全くわからなかったので「これでいいの?」と悩みつつ書きました。
これでよかったんでしょうか。
そもそもの清修さんの設定も、読んでみたいです。
機会があったら、開示してくださいね。

この手紙が、過去からどんどんまわり続けるんですか?
受け取った方が、それぞれに解釈して右往左往するとか?
なんてこったい。

リンとC9861がこのあとすぐにあって「めでたしめでたし」なんて話にはなりそうもなさそうですよね。
えっと、何も考えていないのですが、ずっと会えなそうな(笑)

おお、来年はBですか。って、私は喜んでいる場合じゃなくて、今年の「scriviamo!」の続きを頑張らなくちゃいけないのでした。

難しいけれど素敵な作品でのご参加、ありがとうございました!
2018.02.21 21:14 | URL | #9yMhI49k [edit]

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