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Posted by 八少女 夕

【小説】郷愁の丘(17)わたしはここに

ついに「郷愁の丘」は最終回を迎えました。前作「ファインダーの向こうに」の小さなスピンオフとして書いた「サバンナの朝」を発表してから二年、正式に連載小説としての連載を開始してからも一年三ヶ月、例によってなかなか進まない主人公たちの姿に読者をやきもきさせつつ、なんとかここまでやってきました。

前回、第三者であるレイチェルに移った視点は、再びジョルジアに戻っています。

追記に恒例の後書きを記載しています。


郷愁の丘「郷愁の丘」を読む
あらすじと登場人物




郷愁の丘(17)わたしはここに

 ハンモックに揺られながら、ジョルジアは深く澄んだ青空を眺めた。全ての不安がこの光景のように拭い去られていた。ページをめくる静かな音がした。顔を向ける。ハンモックのすぐ下に座って彼は曾祖父の研究日誌を繰っている。彼女の視線を感じて目を上げた彼は、目を細めて微笑んだ。

 穏やかな優しい微笑みも、朝焼けの中で燃え上がる魂の闕乏も、月の光に照らされた激しい情熱も、全てが紛れもない彼自身であると同時に、そうあるべきひとりの人間の姿だった。そこには何のぎこちなさもなく、わずかな矛盾もなかった。全く同じものが、ジョルジア自身の中にもある。彼女は彼を肌で感じ、魂で受け入れることができた。

 そして、それは一方通行ではなかった。これまで誰一人として出来なかったことを彼は容易くやってのける。醜い肌を見られることを怖れてジョルジアが流した涙は、彼の抱擁の中に溶けて消えていった。何も失われなかったし、どちらの想いにもブレーキはかからなかった。

 そして、グレッグも彼女の弱さと怯えの原因を目にしたことで、ようやく彼女の言葉を心から受け入れることができた。「あなたは私に似ている」

 家族に心から愛され、素晴らしい友人と理解ある同僚に囲まれていてもなお、彼女は彼と同じ煉獄を歩き続けてきた。

 それは同情でも寛容でもなかった。受け入れてもらえなかった苦しみと、そのために傷つき迷い続けてきた同じ感情の共有だった。だからこそ、二人はお互いを求め、受け入れることができ、与えることができた。

 彼は相変わらず礼儀正しく臆病だが、想いを隠そうとはしなくなった。穏やかな、けれども、あの朝焼けと同じように心の隅々までに広がる万感の想い。彼女はそれを感じ、受け止め、自分の中にも認め、境界もなく溶け合っていく歓びを知った。

 自然と環境が引き起こす、すべての強い印象とわき上がる感情も、螺旋を描くようにして彼の中に穏やかに帰着していった。

 ジョルジアはついに、彼女の《郷愁の丘》は場所ではなくこの人なのだと見出した。

 発つ朝に、ジョルジアはようやく納得のいく写真を撮ることに成功した。朝焼けの中に佇む彼と寄添う愛犬ルーシーの影。


愛しいジョルジア。

もう雪が降ったというのは本当かい? 前に雪を見たのはずいぶん昔、オックスフォードでだ。イギリスの冬が苦手で屋内に隠ってばかりいた僕には、あまり楽しい思い出ではないけれど、君のいるニューヨークの雪を想像すると、とてもロマンティックに思えるから不思議だ。

こちらは、少雨期の終わりだ。そろそろバブーンたちが悪さをしに《郷愁の丘》を訪れるようになる。台所にまで入り込むので、より一層、戸締まりをちゃんとしなくてはいけなくなる。

もっとも悪い事ばかりじゃない。道のぬかるみがなくなるので、君が経験したようなひどい運転はしなくて済むようになる。移動にかかる時間もずっと短くなるんだ。今度は、君も乾季のケニアを経験するだろうね。

君と会社の契約の話、もちろん僕には全く異存はないよ。君のキャリアを大切にしてほしい。ニューヨークでの君の味方とのつながりも。僕はむしろ、君と年に五ヶ月も一緒にいられるようになったことを心から喜んでいるんだ。

それに、ダンジェロ氏、君の兄さんにも感謝しなくてはならない。年に一度、報告にニューヨークまで行くという契約、そうでもしないと成果を出そうともせずにのらりくらりとしていると疑われているのかと思っていた。たとえその通りでも、君の居る街への往復航空券をもらえるのは本当にありがたい。もちろん休みを都合して、出来るだけ長く君と過ごす時間を作るつもりだ。もっとも、そうなると今度からはルーシーを連れて行く手だてを考えないといけないな。

論文は、山登りで言うと七合目まで来ている。もっとも新しいアイデアが湧いてきたので、少し別の角度からアプローチすることになるかもしれない。明日、レイチェルの所に行って、方針について相談して来ようと思っている。

レイチェルの所には、ここの所ずっとマディたちがいる。だから最近よく逢うんだけれど、小さなエンリコが、僕に懐きはじめているんだ。メグにひどく嫌われていたから、全く思いもしていなかったんだけれど、彼は僕といるのを好み、自分からやってくる。子どもの扱いは全くわからないけれど、絵を描いてみせると喜んでケラケラ笑うんだ。

マディは、僕が君と出会って変わったからだというけれど、そうなのかな。自分では変われたのか、よくわからない。でも、誰かに好かれていると感じるのは、嬉しいものだね。

そうそう、君に教えてもらったボローニャ風パスタソース、とても簡単そうだったから試してみたんだ。でも、火にかけていた事を忘れてしまって鍋を焦がしてしまった。二回もそれをやったので、アマンダがとても怒ってしまって、二度と焦げた鍋は洗わないって言われてしまったよ。焦げていない上の方は食べたよ。君のほどではなかったけれど、長く煮たおかげで自分で作ったとは思えないくらい美味しかった。焦げた匂いはしたけれどね。そういうわけで、時間のかかる料理は僕にやらせると危険だから、別の簡単な料理を教えてくれないか。

君が来る二月が待ち遠しい。君に見せたいものがたくさんあるんだ。それに、話したい事も山のようにある。手紙やメールには全ては書ききれない。

マディは君がもっと快適に過ごせるように《郷愁の丘》を変えた方がいいっていうんだ。一理あると思う。でも、彼女がなんとかしろと言う家具よりも、一番大切なのは暗室を用意する事だろう? どうしたら氣にいるか、君の意見を聴かせてくれるね。近いうちに、また書くよ。

愛を込めて グレッグ



 ジョルジアは、手紙を折り畳むと、コートのポケットにしまった。一昨日、彼が送って来たメールには、彼の家の近くに出現した小さな川で水を飲むシマウマ親仔の写真が貼付されていた。《郷愁の丘》は、痛みや悲しみを越えて新たな生命を生み出している。はるかに広がるサバンナは生きてさまざまな表情を見せている。

 ジョルジアは今にも雪が降り出しそうな高層ビルの合間の空を見上げた。ニューヨークでは今日も八百万もの人生ドラマが忙しく繰り広げられている。彼女も、その一人として人生の道を歩いていると思った。

 その道は曲がりくねり、見とおしは悪く、とても遠い。けれども、地球の裏側には彼がいる。同じくらい遠く足元の悪い道を、一歩一歩進んでいる。それを知っているのは、何と素晴らしいことか。やがて、その二つの道が一つに重なる事を夢見ながら歩いていくのは、この上なく美しい。

 彼女は今日もまたここで、精一杯の日常を生きようと思った。 

(初出:2018年6月 書き下ろし)

追記


【後書き】

始まりは、本当の偶然でした。ブログのお友達である夢月亭清修さんの企画に参加するために、鉄道に関する掌編を書くことになったのです。私は鉄道に特別詳しいわけではなかったので、実際に乗って印象深かったナイロビ-モンバサ間の夜行列車で何か書けないかと手持ちの作品を見渡したのです。そうしたらジョルジアがアフリカに行っていたことを思い出しました。

その作品を書くために、いくつかの具体的な記述を書いている内に、どういうわけか新しい物語とキャラクターが生まれてきてしまったのです。

作品を書き出した時に考えていたのは、ジョルジアの物語の続編のような体裁をとりながら、もう一人の人間の物語を書きたいということでした。グレッグです。そして、これまで形にはしていなかった、アフリカでの経験を少し描写してみたいという欲も出てきました。

リチャード・アシュレイが生まれ、レイチェルやマディ、アウレリオとメグが生まれました。ルーシーも早い段階から活躍をはじめ、長老もいつの間にか重要な地位にのし上がってきていました。そして、その間にニューヨークにいるマッテオやキャシーも黙っているはずがなく、一度限りで出したはずのクライヴやクレアもどんどん動いてくれました。

この世界で遊んでいる内に、外伝の世界ではマッテオの秘書のセレスティンや専務のブライアン、ジョルジアの妹アレッサンドラだけでなく前夫のレアンドロとアンジェリカなど、それぞれが好き勝手に動き出して、まるで『大道芸人たち Artistas callejeros』や『森の詩 Cantum Silvae』、それに『黄金の枷』の世界のように、複雑な世界観が完成してしまいました。こうなったら、後はそれぞれの物語を大人しく書き写すのが私の仕事になります。

ヒロインであるジョルジアと主人公グレッグの、いつもの私の物語よりもさらに後ろ向きで「ぐるぐる」と悩んでばかりいる姿に、イライラとなさった読者は多いのではないかと思います。この二人、出会ってからお互いが必要な相手だと確信するまでに四年もかけています。その間に、ジョルジアは一度、別の立派な男性(TOM−Fさん、キャラをお貸しいただきありがとうございました)に想いを寄せて、失恋して、それを乗り越えています。

この小説で私が言いたかったのは、「王子様は、身近なところにいる」ということではありません。「自分と似た相手となら上手くいく」ということでもありません。「運命の相手は必ずどこかにいる」ということでもありません。

あえて言うなら「本当に必要として、それを正しく願えば、それは現実になる」ということ、それに、(マッテオのように必要のない人は別として)「誰か心から理解してくれる人の存在は人生を救う」ということだと思います。

この作品のもう一つの主役は「アフリカ」でした。

1998年末に私は東アフリカのサバンナを訪れました。テレビも、インターネットも、デパートメントストアも、しゃれたカフェも、バーも、コンビニも何もない、生と死が隣り合わせの厳粛な空間に立ち、自らの小ささと世界の雄大さ、自然の暖かさと厳しさ、生命の孤独と生きる強さを痛いほどに感じました。その経験は、それからの私の人生に大きな影響を与え、ターニングポイントとなりました。

あの複雑な想いを、この作品に書き込めたとは思っていません。おそらくそれは、それから書いたすべての作品の中に、そして、これからも書き続ける私の作品の中に少しずつ表れてくるものだと思っています。

とはいえ、この小説が私なりのアフリカ讃歌として読者の心にわずかでも届くことを願っています。

さて、この作品は一応のハッピーエンドで終了しました。不甲斐ない二人を応援してくださった皆様に、心から御礼申し上げます。

長らくのご愛読と執筆への応援、本当にありがとうございました。

特に、この作品が生まれるきっかけをくださった清修さん、いつもながら文句一つ言わずに大切なキャラクターを貸してくださったTOM−Fさん、関連する小説を通してこの作品を有名にしてくださった彩洋さんとけいさん、素敵なイラストを描いてくださったダメ子さん、canariaさんに心からの感謝を捧げます。

本来ならば「ニューヨークの異邦人たち」シリーズは、これをもって一応終了するつもりでいたのですが、例によってまたしても続編が生まれてきてしまい、まだしばらくこの世界から逃げられないようです。

まだ完成はしていないので、いつ公開できるかはっきりしたことは言えないのですが、発表する時には、また読んでいただけると嬉しいです。

最後に、この作品の脳内エンディングテーマを、ご紹介しますね。


Saint-Preux: Le Piano d'Abigail 1ere partie

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Category : 小説・郷愁の丘
Tag : 小説 連載小説

Comment

says...
更新、おつかれさまでした。
そして、またひとつ物語を完結に導かれたことに、敬意を表します。

冒頭のシーンが、とても素敵です。
この二人が彷徨のすえにたどりついた、おだやかな時間。一見どうということのない時間ですが、満ち足りたとても幸せな時間ですね。
それは、『肌で感じ、魂で受け入れる』という言葉が、端的に表しているように思います。
月並みな言い方になりますけど、人生を歩んできた生身の人間がいて、心で結ばれる。
そして、それが二人をとりまく大自然の営みと一体となって、そこにある。
そんなイメージを抱きました。

もうひとつ、作品全体を通して、タイトルにもなっている『郷愁の丘』があるアフリカの描写が、圧巻でした。
陽炎のゆらめくサバンナや、動物たちの逞しい姿、荒々しくも雄大な気象、そしてあの神々しいばかりの朝焼け。
いいことや綺麗なことばかりではなく、そこにある現実の問題も織り交ぜてあって、行ったことのないアフリカを身近に感じるシーンも多かったです。

ラストは、たがいに違う場所で、それぞれに職業を持った大人のことですから、納得のいく選択でした。お互いにとってかけがえのない安らぎを得た二人が、これからどんな活躍をするのか、そういう未来が楽しみに思える、素晴らしいラストだったと思います。

それにしても、小さなきっかけから、こんな大きな物語が生まれていくって、創作の醍醐味ですねぇ。そして、狭い世界にとどまらずに、どんどん関係が生まれて広がっていくというのも、すごく楽しいことだと思います。

長期の連載、ほんとうにおつかれさまでした。
大変なこともありましたが、この作品が完結はしても決して終わりというわけではないのと同様に、人生もまたいろんなことを乗り越えて、続いたり繋がったりしていくものだと思います。
これからも、たくさんのすばらしい物語を読ませてくださいね。
2018.06.27 07:11 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんばんは。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ようやくラストシーンにたどり着きました。

冒頭のシーン、この二人ですので、とてもあっさりしているのですけれど、その中から満ち足りた幸福を感じていただけてとても嬉しいです。
お互いに色々なことがあって、苦悩したからこそある晴れ渡った穏やかな幸せ、もちろん、その「色々」は決して人類の生存を左右するようなすごいことではなくて、単に「生きていれば誰でも何かはあるよね」の一つとしての嵐が過ぎ去った後の幸福なので、こう、あまりめくるめく二人だけの世界で締めるのではなくて、静かな感じにしてみました。

二人が終始地味だった分、アフリカの方はできるだけ「非日常感」が出るように書きました。何もかもが強烈で、かつ、雄大な感じ。さらにいうと、特に日本人から考えると「めちゃくちゃ」な部分もあって、忘れられない思い出になる大陸ですが、それを少しでも伝えられたらいいなと思っていました。こういっていただけると、それだけで報われた想いがします。


そして、ラストはまた離ればなれでいる二人というラストにしたのは、ええと、「食べるのもやっとの窓際研究者のところに嫁に行って専業主婦ってどうよ」と思ったからです。
かといって、グレッグがニューヨークに移住しても、野生のシマウマいませんしねぇ。
それでも、これまでと違って「誰もいないひとりぼっち」での一人暮らしではなくて、年に五ヶ月は同居する変則的な夫婦(まだ婚約者)として、手紙や電話やメールで連絡をとりつつの一人暮らしなので、お互いの仕事に張り切って幸せにやっていくと思います。

「ファインダーの向こうに」を書き終えた時には、「この女、まあ、ずっとぼっちかな」と思っていたのですが、なんとジョセフよりも早くゴールインすることになりそうです。あ、まだ決着はついていませんか。(なんの?)
ジョルジアの存在そのものが、TOM−Fさんとジョセフへのお詫びのために生まれてきたキャラクターですから、TOM−Fさんこそが「ニューヨークの異邦人たち」の世界の大恩人でもあるのですよね。
美穂の時代から、三作にわたり大切なキャラをお貸しくださった寛容さに甘えまくってきましたが、ここでひとまずの完結です。
本当にありがとうございました。

最終回を残したタイミングで我が家に不幸があり、どうしようかと思いましたけれど、やはり、私にとって作品を書き、発表し続けることは、仕事以上に大きな意味を持っているので、間を開けすぎずに発表しようと決心しました。「書くからこそ自分がいる」scribo ergo sumの精神で、これからも物語を紡いでいこうと改めて思った数週間でした。

あらゆる意味で、支えてくださることに感謝しています。

今後ともどうぞよろしくお願いします。

長い間、ご愛読とご感想をいただぎ、ありがとうございました。
2018.06.27 21:46 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
完結おめでとうございます。
そして、ご苦労様でした。

わたしはここに・・・いいタイトルですね。
穏やかな2人の様子に、こちらまで穏やかにエンディングを迎えられました。
つくづく感じますが、ジョルジア、グレッグ、その他のキャラクターにも、ブレがなくて、その奥深い心の動きまでまったく矛盾なく表現されていますね。
こういう深い人物像や人間関係を書いてみたいのですが、どうしても思いつきのキャラクターを心の赴くままに暴走させてしまうサキにはなかなか困難な事です。
最初から物語の骨格をきちんと作って書き進められる夕さんならでは、なんでしょうね。
これは見習わなければならない事だと思っています。
でも、それをやろうとすると書けない・・・。

彼女にとっての大きなコンプレックスもサキの思っていた通り、何の問題も無く彼女の涙と共に流れ去ってしまったようですし、それによって2人の結びつきはますます強まったみたいだし、いいことばかりです。
この辺の穏やかな折り合いの付け方、読んでいてとても自然で素敵です。
でも、もう少しこってりと書いてほしかったような・・・。

そしてグレッグの手紙、「愛しい・・・」とか、「愛を込めて・・・」とか、なかなか書いちゃってますね。文面もえらい進歩です。
ニューヨークとサバンナ、なんだか変わった夫婦形態みたいですが、これってミクとジョゼより変わってますよ。
ダンジェロのさりげない配慮とかレイチェルやマディ、そしてアマンダのことまで、この手紙だけであれから先どうなったのか、グレッグがどう変わったのかがよく分かります。
《郷愁の丘》がどのようにリフォームされるのか楽しみにしています。
それにしても、まだ手紙を使ってるんですね。2人らしいと言えばそれまでですが・・・。

そしてさりげない日常の中のエンディング。その中に物語の始まりではほとんど感じられなかった彼女の前向きな気持ちが感じられて、とても嬉しかったです。

続編も楽しみにしています。夕さんが始めようと思った時で結構ですから、また書いてくださいネ。
2018.06.28 12:10 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
こんにちは。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
「わたしはここに」は、かなり初期の頃から決まっていたタイトルでした。
「ここ」はニューヨークのことでもあるのですけれど、彼女にとっての《郷愁の丘》のことでもあります。

この辺りから書き始めているので、最初と最後のキャラクターには大きな違いはないですね。
もちろん、どれだけ内面をさらけ出しているかによって、相手から見えている様子は変わってきていますけれど。
でも、あれですかね。
サキさんのところは、魅力的なキャラクターを中心に話を構成するので、そういう書き方が合っているのではないでしょうか。
私のところのキャラクターは、特に、特別他人を引きつけるようなタイプではないので、キャラクターを自由に動かしても全然面白くないです(笑)サブキャラクターの方は、強烈タイプがたまにいますけれど。

例のコンプレックス解消シーンは、あっさり逃げていますよね。
っていうか、けっこう「誰得?」なシーンじゃないかと思ったんですけれど。
実際、続編書いていても、やはり「これって、本当にみんな読みたいのか?」と首を傾げたりするんですよ。
先日の記事によると、思ったほど「もういらん」とは思われていないようなので、続行して書くことにしましたけれど。

そして、手紙の変化に氣づいていただけて嬉しいです。
そうなんです。手紙を全編で多用しているんですけれど、この言葉遣いなどの変化、狙っていました。
ずっと「迷惑だろうから」と我慢していた言葉が、最後に解禁されているんです。

ジョルジアは、結婚後も年に七ヶ月は単身赴任するつもりです。
っていうか、グレッグは甲斐性ないですし……。

レイチェルやマディとは今まで以上に親密になったようですし、アマンダも舌打ちしながらまだ働いています。
ただ、この人は、他の白人をどうゲットすべきかそっちに心が向かっているかも。

《郷愁の丘》は、少しずつ結婚生活を視野に入れて変えていくでしょうが、なんせグレッグはあまりお金もないので慎ましく。
マッテオが大金投入しそうですが、ジョルジアが断りそう。

通信はずっと手紙が主ですね。
メールも全くしないわけではないのですけれど、やはり手紙を書きたい二人のようです。
そして、ジョルジアもグレッグも、ずいぶんと前向きになりましたよね。
本質的にはそんなに変わっていないようですが、お互いの存在はいい方向に作用しているみたいです。

続編、来年の頭くらいには公開したいと考えています。
って、ちゃんと書かないとダメですけれど。
また読んでいただけたら嬉しいです。

長い間のご愛読と、ご感想、ありがとうございました。
2018.06.28 16:29 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
エンディングテーマが沁みる…(i_i)
このラストに向かって、途中停車しながら来たのですよね。

心を大事に育ててきた物語だと思います。
遠距離ということもあって、色々がなかなか伝わらなくて。
でも会った時の濃厚な時間にギュッと距離を縮める。
不安が確信に移っていくにはプロセスと時間がかかりましたが、最後はやっぱり言葉と行動(と胃袋?)なのかな。

特筆すべきはやはりサバンナの背景ですね。
空気が、風が、自然が、そして動物たちが、二人の距離を上手い具合に取り持って支えていましたね。
郷愁の丘はすなわちグレッグ。納得です。

動物たちの会話が聞きたい^^
ルーシーに通訳を頼もうにも、ルーシーの言うことも分からないし(><)

夕さん、執筆お疲れさまでした。
最後、大変だったと思うので、十分にお休みされてくださいね。
って、いろいろ控えているの…?
2018.06.29 13:12 | URL | #- [edit]
says...
乙でした
大作を書き上げるのはいつもながらすごいです

落ち着いたラストが二人によく似合っていると思いました
手紙の距離感が近かったので最初お兄さんからの手紙かと
思うぐらいでした

後ろ向きで「ぐるぐる」と悩んでばかりいる姿には
私はイライラというよりも親近感を持ちました
(私もイライラされてるのかな…)
そして二人に心から理解してくれる人ができたのが
うらやましく思えましたです
あまりロマンチックじゃない関係というのも
素敵なものとわかりました
2018.06.29 15:21 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

そうですね。ここを目指して、ぐるぐるを書いてきました(笑)

そして、弱くて臆病な心を持った二人が、時間をかけつつ、ちょっとずつ歩み寄りました。
どちらも自分の問題に足を引っ張られて、なかなか進展しませんでしたが、やはり行動と言葉は大事ですよね。
それにご飯も(笑)

二人が地味で、傍目には退屈な分、背景には頑張ってもらいました。
アフリカは、オーストラリアもそうでしょうが、スケールが日本とは何もかも違うのですよね。
それに、人々の堪忍袋の緒も、たぶんずっと頑丈(笑)
素晴らしいこと、印象的なこと、ひどすぎること、その全てが強烈な印象で残るんですけれど、そのわずかでも伝わっていたら嬉しいです。

そして、例えそうであっても、「アフリカだから恋に落ちた」ではなく「彼のいるところだから特別だった」に落ち着きました。
タイトルは、そういうことでした。

けいさんのほうが、きっと動物たちやルーシーとの会話に長けていると思いますけれど、それでもルーシーたちは「もう、わかんないかな!」とブツブツ言っているかもしれませんね。

ルーシーは、結構満足していると思います。
少なくとも妻の座を狙っていたアマンダよりもジョルジアが家族になって、ほっとしているかも。

さて、無事に完結しましたが、この後、速やかに続編完成に向けて執筆に入らないと、と焦っているところです。
来年の頭には、公開できたらいいなと思っているのですが、どうでしょうね。
まずは、時間稼ぎ作品でしばらくお茶を濁します。

けいさんも、お風邪などを召しませんよう、健康で冬を乗り切ってくださいねー。
そして、また余裕ができたら、時々作品を読ませてくださいませ。

長い間のご愛読とご感想、どうもありがとうございました。
2018.06.29 22:00 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

「ファインダーの向こうに」も「郷愁の丘」も短かいはずだったのに、なんか長くなっちゃいましたね。
最終回を迎えると、やはりほっとしますね。いろいろと書き散らしているだけに(笑)

最後の手紙は、やはりそれまでのどこか他人行儀な手紙と全く異なり、ちゃんと婚約者の手紙になっています。
ま、マッテオ兄ちゃんならまどろっこしく手紙なんか書かずにプライヴェートジェットでひとっ飛びかな……。ははは。

ぐるぐるに親近感を持っていただけたのは嬉しいですね。
「こんなにぐるぐるしたのを読ませたら、嫌がられるのかな」と心配するのは、こっち側のタイプの「あるある」なのかも。
作者がこっち側なので。

あまりめくるめく二人だけの熱すぎる世界にいられると、なんとなく入っていけない感じがするんで、こんな関係の方が書きやすかったです。
素敵と言っていただけて僥倖です。

長い間のご愛読とご感想ありがとうございました。
そして、もう一度、素敵な初ジョルジアのイラスト、ありがとうございました。
2018.06.29 22:13 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
ひとつのラストシーンを迎えましたね。じんわりといい景色です。ジョルジアの心情が不安からゆったりとした安寧の場所に向かっていく過程が丁寧に描かれた物語でした。
『郷愁の丘』での二人の生活の一部が切り取られて語られているの、本当にいいですね。これはジョルジアとグレッグという二人だから作り出せる景色だったのですね。そして、なんか、今更だけれど、ジョルジアの傷のこと、それに対してグレッグがどういう反応だったか(もちろんそれは予想の範囲なのだけど)、そっと触れられていて、それを読んでほっとしました。グレッグが拒否をしないのはもちろん分かっていることだけれど、それよりも、彼女の傷を知ることでグレッグが自分の立ち位置というのか、ジョルジアとの関係の意味を確かめて彼自身を受け入れてくれたジョルジアを受け入れた、それで自分の事も受け入れ得たというのが分かって、ジョルジアの傷は、単にジョルジア自身の傷ではなくて、グレッグにとっても大切な傷だったんだなぁと思いました。
(なんか、書いていることが意味不明で済みません。表現力がなくて)

最後も書簡になっているのも良かった。これだけで、二人の帰着したところがよく分かったし、しかも、皆さんが書かれている通り、ちょとした変化が(いや、大きな変化かも)あって、それを確かめながら読めて、あちこちでにこにこしてしまいましたよ。一番気に入ったのは、エンリコが懐いてくれている(なつきかけている?)ってところかな。過去のおじいちゃんとグレッグ自身の関係が重なります。
しかもパスタソース作ってるし(^^)
モノクロで始まった物語に、色がつきましたね。でも極彩色じゃない。かといってパステルカラーでもない。何だかオレンジ色です。アフリカの大地と夕陽の色。

「わたしはここに」……うん、いいタイトルです。ただニューヨークというのじゃなくて、ただ『郷愁の丘』というのでもなくて、ただグレッグが居る場所、ってのでもなくて、ジョルジア自身の心の居場所、ここにちゃんと生きているってことですね。
あ~、この言葉、私が二度目にイタリアを放浪したときに、あるお祖母ちゃんに言われたなぁ。3日間通った教会の守り人のお祖母ちゃん。「Io, qui」わたしはここにいるから、いつか帰っておいで。そういう言葉だった。魂の居場所って、現実の場所でもあるけれど、宇宙における座標ですね。
素敵なラストシーンを用意してくださってありがとうございました。

ところで、NHKで『サーカスの恋』というドキュメンタリードラマをやっていたので、思わず真剣に見ちゃいましたよ。デンマークのあるサーカス団の話。団長一家の男の子と、曲芸師一家の女の子が恋に落ちていて、みんなが二人を応援してる。曲芸師一家にはアメリカから声もかかってたけれど、二人の恋が上手くいってる時で、曲芸師一家はアメリカに行くことを断念。でも、結局二人は破局して、そうなると、もう一緒には居られなくて、21年も一緒にやって来た二つの家族は別々の道を歩み始めるって話。う~む、狭い世界で大変なんだなぁと、しみじみ見入っていました。いや、ステラたちの関係とは全然違う話だったけれど……なんか、最後の最後に「4ヶ月後」ってのが出てきたから、つい「二人は再会して仲直りしました」ってオチを求めてたら、あっさりとそのまま(分かれたまま)終わっちゃって……思わず、そう言えば夕さんの長編の恋愛ものって、ぐるぐるするけれど、最後はちゃんと気持ちを確かめ合うことが出来て、すごい大団円じゃなくてもハッピーエンドにおさまってるなぁ、と改めて恋愛もののラストについて考えました。
恋愛ものはハッピーエンドじゃないと、なんか落ち着かないや。まぁ、TVのはドキュメンタリーだったから仕方ないんだけれど、なんか不完全燃焼の気分でした。だから、夕さんの物語にはほっとしています。
余談でした(^^)
2018.07.01 16:46 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
こちらにもありがとうございます。

前作では、TOM−Fさんへのお詫び作品でしたし、ジョルジアを「ぼっち」のまま放置して終わり、それはそれでいいかなと思っていたのですが、こちらはどういうわけか勝手に暴走していつの間にかハッピーエンドになってしまいました。

そしてですね。やはりこの二人ですから、いくら浮かれているとはいえ「めくるめく熱々なシーン」というのはあまり似合わないなと思ったんです。こう地味な描写から、色々なことがにじみ出るようにしたいと。というわけで最後にもう一度手紙を出してみました。というか、この手紙との対比になるように、その前に書いたいくつかの手紙を「そんなに他人行儀にせんでも」な書き方に留めました。

それから、一部(サキさんほか)の読者が期待しておられたジョルジアの例のコンプレックスと直面するシーンは、「よく読めばわかるけれどほとんど触れない」で逃げました。グレッグがこれでジョンと同じ反応を示すとは誰も思っていないでしょうから、わざわざR18シーンを書くほどのこともないかと思ったのですけれど、結局、続編で触れることになりました。あらら。

二人とも、お互いの弱点に躓いていて、それが相手と鏡合わせのコンプレックスであることを知った時にようやく相手をちゃんと包むことができるようになったのだと思います。
だからジョルジアの相手は、スーパーマンではなくて、ダメダメな弱い人間でなくてはならなかったのだと。

そして、にんまりしたのは、書簡の中のエンリコとの関係に、老グレゴリーとの関係を感じてくださったこと。
実はですね。
エンリコはヘンリーのイタリア語形なんですよ。老グレゴリーと小さいグレッグは、ヘンリーと小さなエンリコとしてちょっとしたバリエーションになっているんです。なついてくれる子には、こちらも遠慮せずに愛情を注げるのだと、グレッグは祖父の心情をようやく理解したのではないかと思います。また、父親にもこうして甘えたらもっと別の関係があったのかもと考えるきっかけになったかもしれません。要するにずっと思い込んでいたように自分が嫌われる要素を持った人間ということではなくて、単純にボタンの掛け違いだったかもしれないと。

同時に、このエピソードを書いたのは、グレッグに「君に愛されているのが嬉しい」とではなくて「誰かに好かれるのは幸せだ」と婉曲的に言わせたかったのですね。

パスタソース作っていますが、失敗しています。
没頭すると他のことをすぐ忘れちゃうところは、生涯直りませんから。そして、お金払っている方なのにアマンダに怒られています(笑)

この物語がオレンジ色というのは、最大級の賛辞だなあ。
そう、どんなに浮かれていても、パステルカラーではないのですね。美しくて懐かしいだけでなく、やはりどこか泣きたくなるような強烈な哀しみを漂わせたアフリカの色彩、グレッグを故郷に引き寄せて、そしてジョルジアも共感した《郷愁の丘》の色をどうやったら伝えられるかなと何度も書き直しましたから。

そうそう、ジョルジアの「ここ」って、「現在の物理的な座標」でもなければ「愛するダーリンのいるところ!」だけでもないのですよね。人間ってそうじゃないですか。もちろん「この人こそが、私の全て」と何もかもなげうてる方もいるかもしれませんけれど、普通は積み上げてきた人生の道のりがあって、新しく見つけた大切な人や場所もあって、心の座標もあって、その全てを総合して生きているものだと思うんです。イタリアの教会で出会ったお婆さんに、そんな素敵な言葉をかけていただけたなんて、素晴らしいです。なんて哲学的で、しかも神秘的ですらあるいい言葉なんだろう。人生一期一会で、そういう出会いが世界を美しくしている、そう思います。

『サーカスの恋』ですか。実際の狭い社会で、まあ、上手くいけばいいでしょうけれど、修羅場になったりしたら仕事も生活も一緒で、しかもそれぞれの家族も一つテントの下でって、やりにくいでしょうね。

『夜のサーカス』はリクエスト小説から始まったので、ひどい破局や後味の悪い話は書かなかったのですけれど、そうでなくても最近はけっこうハッピーエンドが多いですね。
昔は、けっこう救いのないオチばかり書いていたのですけれど、最近は丸くなったのかな。ま、時々『こ、このラストは、えーと……」をやりますけれど。
あ、ひどい破局はあまり書かない分、あまりキラキラしすぎない、わりと現実に即した設定で書くようになりましたね。そうやってバランスを取っているのかしら。

最後までご愛読くださり、ありがとうございました!
2018.07.01 21:53 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
物語の完結に思う事は、作品によって様々ですが、夕さんが描かれるキャラクターも、そしてドラマも、作り物めいて無くて、本当に存在する人たちのドキュメントを読み終わった感じがします。

きっと二人はうまくいく設定のはずなんだけど、このまま何十年も互いの気持ちに気づかないままだったらどうしよう…とか、要らぬ心配までしてしまいました。グレッグのせいで(笑)

最終話の冒頭で、二人はこの安心感と安らぎを得るために生まれて来たのかもしれないなと、しみじみ思ってしまいました。

そしてこの物語で、アフリカと言う国が少しリアルにイメージできるようになりました。
ただ遠い過酷な環境の国と言うのではなく、そこで生きている人々の日常や事情、野生動物との関係性、そして、想像を絶する美しい大自然の景色。
アフリカの大地のイメージが、この物語を特別なものにしている気がします。
体験したことを余すことなく物語に組み込んでしまえる夕さんが、すごい。うらやましいです。(どこにも行かないから引き出しが空っぽで(;_;))

ジョルジアとグレッグは、やはり遠距離が続くのですね。
でも年に5カ月は一緒に居られると聞いてホッとしました。(これも周りの応援団のお陰ですね^^)

これからは、皆に愛され、そして自分自身を愛し、二人は愛情に満ちた日々をおくるのでしょうね。
またきっと夕さんが、二人のその後を描いてくれると思うので、その日まで、二人ともお元気で(*´▽`*)
2018.07.03 03:52 | URL | #GCA3nAmE [edit]
says...
こんばんは。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回もあらすじにしてしまうと、本当に単純な話なのですが、いやー、なんでこんなに連載に時間がかかったんでしょうね。
他の物書きさんのキャラだったら、十分で終わることに四年もかけた二人の話、ようやく一段落しました。
ジョルジアが頑張らなかったら、おそらく永久にぐるぐるだったでしょうね。あはははは。

大人しい二人の、とても地味な光景でのエンディングですが、それがこの二人に似つかわしいと思うと同時に、物語としては、やはりアフリカの強烈さに、平坦になりすぎないように助けてもらったように感じます。

説明するのはとても難しいのですが、「貧しい」「不潔」「人々が面倒くさい」など、おそらく一つだけでも日本の方には「絶対無理」な場所に感じられるアフリカ。同じ雄大な自然のあるアメリカやオーストラリアと比較して「なぜアフリカ」と思われることも多いと思うんですけれど、ありとあらゆるマイナスを打ち消すものすごい郷愁が捉えて放さない大陸なのです。その矛盾というか「もう死んでもごめん」な要素がてんこ盛りなのに、戻らずにいられないアフリカを小説にするのって、ものすごいチャレンジだと思っていました。

今回、とりあえずは果敢にも挑戦しましたけれど、どれだけ伝わったのかなとかなり弱氣でした。
ですから、わずかでもリアルにイメージできるようになったとおっしゃっていただけるととても嬉しいです。

私の物語って、わりと日本の方に馴染みの薄い場所を舞台にすることが多いので、それを上手く伝えるのは毎回チャレンジだなと思っています。だからあまり受けないのかもorz

さて、ジョルジアとグレッグの同居は、年に五ヶ月という微妙な長さからスタートです。
休暇よりは長いけれど、嫁に行ったというほどは長くない。
まあ、このくらいが妥当かなと思いました。すぐに専業主婦になってしまうほど、腰掛け的に写真を撮っていたわけではないし、かといって、いきなり動物写真家になるっていうのもなんですから。この辺のリアルをちょっと追求したら、こんな微妙な嫁のいきかたになりました。

この二人の話は、現在書いている続編で、おそらく来年辺りにもう一度しつこく登場させると思います。
その時にもまた読んでいただけると嬉しいです。

長い間のご愛読とコメント、どうもありがとうございました。
2018.07.03 20:42 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
遅ればせながら、連載完結、本当におつかれさまでした。
この物語が生まれたのは「偶然」だったとのことでしたが、
ラストをこうして見届けた今、その偶然も含めて
>「本当に必要として、それを正しく願えば、それは現実になる」
ってことなのかな、と思わされました。
実は最初からジョルジアやグレッグの物語は完成していて、
夕さんが「偶然」をとっかかりにその物語をこうして降ろして紡いでくださった……
そんな感じがしています。

この物語のテーマの一つに「居場所」というものがあると思いますが、
ジョルジアの出した結論に非常な感銘を受けました。
《郷愁の丘》は場所ではなくグレッグだった……
もう、この短い文にものすごい質量の想いが込められていて、ずぎゅーんと撃ち抜かれました。

もちろん、アフリカそのものの持つ土地の力というものもあったでしょう、
でも作中でジョルジアの目を通して描写されたアフリカは、
グレッグというフィルターも同時に通していたと思うのですよね。
なんていうか、アフリカとグレッグ(一個人)という、
一見真逆のものが実は一つで同じものだった、みたいな。
うまく言えないんですけれど、バラバラになっていたものは本当は一つで
アフリカに、ひいてはグレッグに(ジョルジアの中で)帰結していった、そんな風に感じました。

そして冒頭のシーンが本当に素晴らしいです。
ここのシーンですが、夕さんがこんな風に静かに書かれた理由がわかる気がしました。
ここは、単なる肌と肌を合わせるシーンというだけでなく、もっとこう、
魂と魂が重なる感じ。だから、あえて肉体的なあれこれは書く必要がなかったのかな、って思いました。二人にとって肉体的なあれこれは、単なるとっかかりに過ぎないというか。
とはいえ、続編では違った切り口で描写されるとのことで、それはそれでまた楽しみなのですが……^^

また、手紙で始まり、手紙で終わる、というのも二人らしいと思いました。
また、グレッグ自身が好転していることがうっすらうかがえるのも
いいですね。グレッグが変わったから、今度はそれに即した現実をまさに実現させているのですね。
それから、なるほど、こうした形でしばらくは関係を続けることになったのですね。
そうですよね、確かに現実的に考えるとこうなるのかも。
こうした、現実と魂の領域のバランスの描写も見事だと思います。

夕さんのアフリカ体験が、このお話ではいかんなく織り込まれていて、
夕さんが執筆を通して伝えたいことが、この物語ではけっこう端的に
込められているような(とくにラストで)気がしました。
エンディングテーマもぴったりで、本当に自分のイメージ通りでした。

連載中、お母様のことがあったりと本当に大変だったと思いますが……
scribo ergo sumの精神を、一つの物語を通してまた感じさせていただきました。
そのことに、本当に本当に深い感銘を受けました……
物語の素晴らしさというだけでなく、その精神性にも胸を打たれずにいられませんでした。
夕さんが夕さんであるために綴られる物語を、これからも影ながら応援していきたいです。
素敵な物語を本当にありがとうございました。
次回作も楽しみにしてます。
2018.07.09 14:45 | URL | #- [edit]
says...
こちらにもありがとうございます。

そして、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

実は、前作を書き終えた時、ジョルジアはきっとずっと「ぼっち」だろうなと思いながらだったのです。
それなのに、どういうわけか、アフリカにもう一回行かせただけで、こういうことになってしましました。

ジョルジア視点で描かれる《郷愁の丘》は、世界中のどこよりも素晴らしい所であるという印象を抱かせますが、実はここにこれほどの強い思い入れを持っている人間はそんなにいません。ストーリーの登場人物に限定して言うと、グレッグ、ジョルジア、それに長老くらいでしょうか。例えば、伝聞的なマディの台詞として「ここはメールチェックもできやしない」「あのろくでもない家具はなんとかならないの」的にディスられているのです。リチャード・アシュレイ辺りは「あんな所に住むのは絶対ごめんだね」というでしょう。

朝焼けやサバンナはともかく、ジョルジアが《郷愁の丘》に完璧に参ってしまったのは、グレッグの存在と大きく絡んでいたからなのですが、鈍い彼女はようやく最終回でそれをはっきりと認めたというわけです。

思うんですけれど、サバンナの強い引力って、例えば東京の魅力と正反対の所にあるんです。
東京は何でもあって、選択肢も多様で、二十四時間自分の好きに行動できて、刺激も多い。
アフリカのサバンナでは、その全てが取り除かれて、魂が丸裸にされる感じなんです。
大地と大空だけ。星空だけ。テレビもラジオも自動販売機もインターネットもない。
面倒くさい知人との関係や、細かい作法などに煩わされることもない。
その中で、合わない人と二人っきりなんてなったら地獄ですけれど、ぴったりといったら、これに勝ることもないのです。

この作品で、あえて大人なベッドシーンを入れなかったのは、実はその辺にも関係しています。
ジョルジアの痣とトラウマを乗り越える話、それに、「小学生じゃないんだから、プラトニックでいいわけないだろ」な話は
もちろん背景にあるんですけれど、それを細かく描写することで、わかりにくくなることもあるんじゃないかなと思ったんです。
これがニューヨークの恋物語だったら、むしろその話が前面に出てくると思うんですけれど
この話では、むしろ朝焼けの中の散歩とか、午後に二人で木陰にいるとか、そんなわずかな喜びを共有できるお互いの存在というほうが
いいたいことに近いのかなと思ったのですよね。

ただ、そうやってきれい事で排除した部分を続編で別に拾ってみました。
それはそれで、裏側として覗いてみたい方専用という感じですね。

グレッグの手紙には、そうです。彼の変化が書かれていると同時に、二人の具体的な次のステップが書かれています。
グレッグはかつかつの収入(+マッテオ兄ちゃんからの援助)で暮らしている甲斐性なしですし、ジョルジアはようやくキャリアが認められ出しているところですから、ここで専業主婦化はありえんだろう、ということでこんな半単身赴任ライフにしてみました。
「王子様と結ばれてめでたしめでたし」で、全てを放り出すのって、なんか嘘っぽいですよね。

母の存在は、私の中ではとても大きく、正直言って「ブログ、いや、最終回、どうしよう」としばらく迷ったのですけれど、仕事や家庭生活以上に、創作活動は私の人生にとって大切なので、ここでフェードアウトするようなことは、絶対にしたくないと思いました。また、母もそれを望んでいないと思います。なので、無理矢理通常運転に戻しました。そうしてよかったと思います。次作もペースを落とさずに書いていく予定です。発表する日が来たらまた読んでくださると嬉しいです。

長い間のご愛読ありがとうございました。


2018.07.09 22:15 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
またまたご無沙汰してしまってすみません><;
が、ようやく完結まで読めました!
更新お疲れ様でした。
すごく楽しかったです♪

ジョルジアが郷愁の丘に辿り着いてからの展開は、この二人らしくないスピーディーさというか、逆に寝ぼけて~ってのは確かにグレッグぽいような感じもして……笑
ともあれホッとしてしまいましたよ^^

さらにそこからの三話分は、過去を回想しつつも、グレッグの心が順を追ってほぐれていく感じが嬉しかったです。

最後の手紙でグレッグは「自分では自分が変わったのか良く分からない」みたいなことを言っていますが、いやいや、突っ込まざるを得ないですね。
めっちゃ変わってんじゃん!!ってw
是非是非、素敵な暗室を作っていただきたいですね。

完結おめでとうございます。
また別の作品も読ませていただきます!
2018.07.21 15:54 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

いえいえ、こちらこそお忙しい中、最後までお付き合いくださりましてありがとうございました。

寝ぼけて……がなかったら、この二人、あと何十年も同じことをやっていそうです(笑)

「期待と絶望」と「父と子」の章は、これまで本編では大きく取り上げていなかったグレッグの生い立ちや悩みが浮き上がるように、そして、「あなたのもとへ」での盛り上がりと、「わたしはここに」での静かな幸福に違和感がなくなるように構成を考えました。

書いている本人の脳内では整合性がとれていても、説明を省くと「唐突に前向きになった?」みたいになりますものね。

そして、本人はよくわかっていないようですが、確かにグレッグ、めちゃくちゃ変わっています。
というか、これまで言えなかったこと、全部解禁です。
いままでぼっちだったので、家具やら暮らしぶりやら、いまいちだったグレッグですが、嫁に来てもらえるのだから「変えないと」の自覚は少しはあるようです。ただし、マディには「あの家具はひどすぎでしょ」とコテンパンに言われている模様。でも、あまりお金ないんですよね。多分当面は暗室だけだろうな。ジョルジアは、それでいいみたいだし。

このストーリーは、清修さんの企画がなければ生まれてこなかった話ですから、二人とも清修さんに感謝していると思います。
長い間の応援とコメント、本当にありがとうございました。
2018.07.21 21:54 | URL | #9yMhI49k [edit]

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