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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

【小説】魚釣奇譚

scriviamo!


「scriviamo! 2019」の第三弾です。夢月亭清修さんは今年は、プランBでご参加くださいました。プランBは、まず先に私が書き、それに対して参加者のブロガーさんが創作作品や記事などを書いてくださる参加方法です。

清修さんは、小説とバス釣りのことを綴られているブロガーさんです。サラリーマン家業の傍ら小説家としてブログの他に幻創文庫と幻創文芸文庫でも作品を発表なさっていて、とても広いジャンルを書いていらっしゃいます。それに魚釣りでは専門誌に寄稿なさるほど本格的に取り組んでいらっしゃいます。

「scriviamo!」では毎年全く違ったジャンルでご参加くださるのですが、今年はプランBをご希望です。


去年は大変ご迷惑をおかけしたこの企画、今回はプランBで参加させてください!
力入れて、がっつりお返しする所存です!

希望としましては、コラボではなくオリジナルが嬉しいです^^


ということですので、ご縁のある既存の作品に絡める作品はなし。完全なオリジナルで書くことにしました。どんなものにするか考えたのですが、ご本人のお書きになるジャンルがとても広いので、どうしようか途方に暮れました。結局、お好きなお魚と、それからほんの少しだけ「異世界」っぽい感じを絡めた作品を書いてみました。ただし、「異世界もの」というわけではありません。

他のプランBの方にも書きましたが、お返しはこれに絡めてもいいし、ぜんぜん関係のない作品でも構いません。


「scriviamo! 2019」について
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魚釣奇譚
——Special thanks to Mugetutei Seishu-san


 その湖は、電車がトンネルを抜けて最初のカーブを曲がった所に突然広がっていた。深い青緑の湖水は、風が全くないためか、周りの新緑を綺麗に映し出している。曲がりなりにもアウトレットと名のついている商業施設があるような街から、まだ15分も走っていないようなところに、こんな神秘的な湖があるとは夢にも思っていなかったので、亜美は思わず立ち上がった。

 アウトレットにろくなモノがなかったこともあるが、亜美はその街を闇雲に歩き回った。石畳の道は、少し合っていない靴を履いた彼女をひどく疲れさせた。だから、予定よりも早い電車に乗って戻ってきたのだ。

 往きにこの湖を見た記憶は全くなかった。反対の山側に座って、考え事をしていたせいだろうか。

 車内放送が次の駅がすぐであることを知らせた。この湖畔で停まるの? 彼女は少しだけ考えた。このまま電車に乗っていても、一時間後にあの何もない街のホテルについてしまう。だったら、この湖畔で少しだけ時間を過ごすのもいいかもしれない。

 五月になったばかりで、この北国では遅くやってきた春が、遅れを取り戻そうかとするごとく忙しく飛び回っていた。新緑の木々はぐんぐんと伸びて、あちこちで白や黄色の花が咲き誇っていた。陽が高くて、明るい光に満ちている。彼女は、ショルダーバッグをつかむと、立ち上がり出口に向かった。

 それは、湖畔の洒落たホテルの前に停まった。そのホテルの横から、湖へと出ることができる。ホテルにはテラスがあって、数人の客が湖を見ながらコーヒーを飲みつつ談笑していたが、湖に出るとそのざわめきは全く聞こえなくなった。

 不思議な静寂だった。わずかに霞みだした青緑の湖水を一艘の小舟が漂っている。灰色の服を着た小柄な男が釣り糸を垂れているのを亜美はようやく見て取った。釣り竿も、男も、舟も、湖も動かなかった。まるで時間が止まっているかのように。

01.05.2005 Le Prese


「君は、中国人? それとも日本人?」
すぐ近くから声がしたのでびっくりして振り返ると、すぐ後ろに青年と中年とどちらで形容していいかわからぬ男が立っていた。外国人にしてはあまり背が高くなく、濃い茶色の髪は短く服装もどこにでもあるような茶色いジャケットにジーンズ姿だ。

「日本人です」
「そうか、ずっとあの釣り舟を見ているけれど、珍しいかい?」

「ええと、そうですね。東京ではあまり見ないし……その、何もしないでぼーっとしているのって、本当に久しぶりで」
亜美は、戸惑いながら答えた。

「君たちは、本当に予定をいれて忙しくするのが好きだよね。僕の知っている何人かの日本人も来る度に今日は何をするのかって訊くよ。休みの時にまで動き回らなくてもいいと思うけれどね」
「はあ。でも、せっかく遠いヨーロッパまで来たんだし、いろいとやらなくちゃって思ってしまうんですよ」

 何を弁解しているんだろう、私。男は、肩をすくめて笑った。
「それで、ここで立っているのも、その『いろいろ』のひとつかい?」

「電車でここを通ったら、とても素敵だったんで降りてみたんです。こんなところに、こんな幻想的な湖があるって思ってもみなくて。あの舟も全然動かないし、不思議だなって」
「あれはトマ爺さんさ。彼は楽しんでいる。ようやく五月になって釣りが解禁になったからね」
「解禁?」
「ああ、ここでは釣りは五月しかしちゃいけないんだよ」

 ぴしゃんとわずかな音がして、トマ爺さんは何かを釣り上げたようだった。舟と湖面、そして、爺さんの釣り糸の先が揺れている。爺さんは、魚を箱にしまうと、次の餌をつけてまた湖に糸を垂らした。再び湖面は静かになった。

 男は訊いた。
「一人で旅行をしているのかい。日本人にしては珍しいね」

 亜美は頷いた。
「本当は、プレ・ハネムーンのつもりで予約したんですけれど、相手に二股かけられていたことがわかって。傷心の旅になりました」
「そうかい。それは氣の毒だったね。でも、結婚してからわかるよりはマシだろう」
「そうとも言えますね」

「見ていてごらん、だんだん大物が釣れるようになるから。トマ爺さんの釣り竿には魔法がかかっているんだって、人々は言うよ」
男が指さすと、確かに爺さんのは少し大きな二匹目を釣り上げたようだった。

「さあ、君の願いを言ってごらん。爺さんの魔法の釣り竿が大きな魚を仕留める度に、それは現実になっていくから」
男の言葉に、亜美はぎょっとして、その顔をまじまじと見つめた。冗談を言っているのかと思ったが、表情はごく真面目だった。

 そして、亜美はようやく思い当たった。どうして私はこの人とこんなにペラペラと話しているのだろう。ここまでいつも下手くそな英語でのコミュニケーションに苦労していたのに。もしかして、この湖も、あの釣り舟も、この男の人も、本当に魔法が関係しているんだろうか。

「信じられないみたいだね。こんな話は知っているかい? ロシアの民話だよ。あるところに貧しい漁師のおじいさんがいて、海で金色の魚を釣り上げた。その魚は人間の言葉を話し、海へ帰してくれたらどんな願いでも叶えてくれるという。おじいさんは、かわいそうに思い何ももらわずに放してやったが、家に帰ってその話をするとお婆さんは彼の無欲をなじった。壊れたたらいを示し、せめてそれを直してくれと頼んでくれればよかったのにと」

 亜美は、その話をどこかで聞いたことがあると思った。子供の頃に読んだ絵本だ。たしかプーシキンによる民話集を元にした本だったように思う。
「たしかそのおじいさんは海へ行ってそれを頼んだのでしたっけ」

「そうだ。そしてまた家に戻るとたらいは新品に変わっていた。おばあさんは、くだらないことを頼んだと悔しがり、新しい家を頼め、貴族になりたい、女王になって宮殿に住みたいと、次々とおじいさんに願いを言わせた。そして、金の魚はその全てを実現してくれた」

 亜美は、その話をどうしてこの男はするのだろうと訝った。でも、今いるここが、魔法にかけられた異次元であるのならば、この男の言うとおりに、素直に願い事を言ってみるべきではないかと感じた。

「私の願いも本当に言っていいんですか?」
「もちろん。願わなくては、何事も叶わないからね」

 亜美は、あれこれを考えた。そして、金の魚や魔法の釣り竿を怒らせないような些細な願いごとを口にしてみた。
「インスタで、100のハートマークが欲しいなあ」

 彼は、片眉を上げるとトマ爺さんの方を示した。
「撮ってアップしてごらん」

 亜美がスマートフォンを向けてシャッターを切ると、ちょうどトマ爺さんが魚を釣り上げている瞬間が撮れた。魚は大きく跳ね上がり、偶然とは言えこんなにいい写真が撮れたことは今まで一度もなかった。彼女が、その写真を早速アップすると、みるみる「いいね」のハートマークがついていき、数分以内に倍のフォロワーと108のハートマークがついてしまった。

 亜美は、驚いた。本当に魔法の釣り竿なのかと。今は二十一世紀なのに。

「さあ、次の願い事はなんだい?」
男は冷静に言った。

 亜美は先ほどよりもずっと慎重に考えた。結婚するつもりで退職してしまったが、破談になって出発前まで履歴書を書きまくってあちこちに送った。その一つでも色よい返事が来たら嬉しい。
「第一志望の会計事務所に就職できたら嬉しい」

 トマ爺さんの舟から、またぴしゃりという音がして、明らかにより大きな魚がかかった。男は頷いた。
「メールをチェックしてごらん」

 亜美が、メールを調べると、会計事務所からのメールが入っていた。
「来月から、働いて欲しいって! すごい、信じられないわ」

 男は表情を変えずに続けた。
「次の願いは何かね」

 願いは決まっていた。
「別れた彼よりも、優しくて、誠実で、有能で、かっこよくて、みんなが羨む彼氏が欲しいな」

 男は「やれやれ」という表情を見せたが、またしてもぴしゃんという音がした。するとスマートフォンからダイレクトメッセージの通知音が鳴った。

 亜美がスマートフォンを見ると、どうやら新しいフォロワーのようだったが、よく見るとそれは長い間ファンでしょっちゅう舞台を観にいっていた有名俳優からだった。
「素敵な写真だね。僕も釣りが大好きなんだ。君が僕を既にフォローしているって知って嬉しかった。相互フォローさせてもらったよ。これからもよろしくね。というより、もっと親しくなりたいから、DMしたんだけれどね。連絡を待っているよ」

 亜美はスマートフォンを取り落とすかと思うくらい驚いた。隣にいる男を見ると、「どうした」とでも言いたげな涼しい顔で立っていた。
「見てごらん」

 恐る恐るトマ爺さんの方を見ると、釣り上げた魚はすでに鮭サイズになっていた。こんな小さな湖にあんな魚がいるんだろうか。

「そろそろ大きさも限界だよ。もっと願いがあるなら慎重に頼むがいい」

 亜美は、急いであれこれ考えた。こんなラッキーは、二度とないだろう。何億円ものお金を頼むか、お城を頼むか、それとも……。そうだ。

「いっそのこと、あの魔法の釣り竿をもらえれば、いつでもどんな願いでも叶うんじゃないかしら」

 亜美がそう言った途端、男はとても悲しそうな顔をした。そして、黙ったまま亜美から離れていった。

「え?」
スマートフォンが震えたように思ったので、それを見るといきなり電源が落ちて画面が暗くなった。
「え、え?」

 亜美はまずスマートフォンの再起動ボタンを押して、電源を入れようとした。それから離れていった男に何か言おうとして顔を上げると、彼はどんなスピードで離れたのか、もうどこにもいなかった。動揺しながら湖のトマ爺さんの方を見ると、舟の上の爺さんは始めと同じように黙ってい釣りをしていたが、釣り上げたはずの大漁の魚はどこにも見えなかった。

 スマートフォンの起動を待つ間に、亜美の脳裏には、突如として子供の頃に読んだ「金色の魚」の絵本の結末が蘇った。女王になってもまだ満足しなかったおばあさんは、おじいさんに「金色の魚を家来にして海の支配者になりたい」と言い出したのだ。どんな欲張りな願いも叶えてあげた金色の魚は、さすがに呆れて海の中へ戻ってしまった。そして、お婆さんは元の貧しい家で壊れたたらいと一緒に待っていたそうだ。

 亜美は、自分の最後の言葉が、民話のお婆さんと同じだったことに氣がついた。再起動を終えたスマートフォンは、前と全く同じ状態だったが、トマ爺さんを映したインスタグラムの投稿はなかった。フォロワーも前と同じだったし、今朝ホテルを出て以来の新着メールもなかった。

 亜美は、肩を落としてまた駅へと歩いて行った。

(初出:2018年1月 書き下ろし)

追記


途中に写真があるように、この話は実際に私の見たある5月1日の光景から作りました。(もちろん、謎の男が話しかけてきたわけではありませんよ)モデルにした場所は、ベルニナ急行の終点ティラノにほど近いレ・プレーゼという場所です。このレ・プレーゼ湖は、一時間半もあればまわりをぐるっと歩ける程度の小さい湖です。
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Category : scriviamo! 2019
Tag : 小説 読み切り小説

Comment

says...
執筆、お疲れ様でした。

オトナの童話というか、寓話ですね。
結果はあるあるなパターンですけど、ではどうすれば良かったのか、と考えるとかんたんに答えは出ませんね。
亜美の発想はまさしく最適解なわけで、でもそれは際限のない欲望そのもので。シンプルですが、考えさせられる物語ですよね。
ああでも、湖の描写は素敵ですね。旅先でそういう場所に出会えたら、時間を忘れてのんびりしてみたいものです。……え、弾丸ツアー? ハテ、なんのことやら。
2019.01.14 10:47 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんばんは。

そうそう、寓話ですかね。
そして、もちろんこれで、もらうものもらってワハワハなんてカオスなストーリーには出来ないんですけれど、これって人ごとじゃないなあと思いつつ書いていました。

もちろんこういう形で提示されたら、最後の選択は「あるあるストーリー」から類推してしないかもしれませんが、実生活では時々やっちゃっていると思うんですよね。引き時が、そう簡単には決められない、人間の悲しい性ってやつでしょうか。

この写真、なんのフィルターもかけていないんです。
こういう幻想的な光景にたまーに出会います。
もちろん普通の日常生活の延長なのですけれど、魔法がかかっていてもおかしくないと思わせる、そんな一瞬でした。
ま、普通の釣り人ですよ。

もっとも、この光景は、きっと弾丸ツアーでは巡り会えないだろうなあ。
弾丸ツアーだと効率はいいんですけれどねぇ……。

コメントありがとうございました。
2019.01.14 21:56 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
おぉ、なんだか僕のブログの内容を全部トッピングしたような、かなり豪華なお話で、しかも面白い!!
素敵な掌編をありがとうございます^^

最初は魚や釣竿を怒らせないようインスタというささやかな願い事をした亜美なのに、男に乗せられていく様がスリリングというか、欲を掘り起こしていくような感じがドキドキしました。

さて、奇譚なのでお返しの自由度がかなり高いように感じていますが、それだけに妄想が広がって迷ってしまいますね……w
2019.01.16 15:43 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

ああ、お氣に召してよかった。今回かなり悩んだんですよ。どんなお話を書けばいいんだろうって。
魚釣りの話を書きたかったのですけれど、釣りのことはあまりにも知らないので、こんな風になりました。

この手の教訓有りの民話、実際にこうなったら「こんな選択するわけないじゃん」と思いますが、実生活では時々こういうことをやっちゃったりするんですよね。引き際がわからなくて。そんな小市民の代表として亜美を書いてみました。
あと、あの湖の光景がとても印象的だったので、一度使ってみたかったのでした。

どんな形でも構いませんので、お返し、楽しみにしていますね。

ご参加とコメント、どうもありがとうございました!
2019.01.17 21:09 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
旅行しないからなあ。。。
こういう湖の街というか旅館というか。
そういうのには確かに憧れますねえ。。。
出不精だから、たぶんこういうところに行くことはないから。
夕さんの文章で楽しんでます。
(*'▽')
2019.01.18 04:23 | URL | #- [edit]
says...
こちらにもありがとうございます。

そうですねぇ。たとえ旅行をしょっちゅうする方でも、ここにたどり着くのはちょっと大変かも。
私はわりと近いのでよく行くんですけれど。
こういう光景も、一期一会ですよね。

そういう印象的なシーンを文章に組み込ませるのが好きなのですが、楽しんでいただければ本望です。

コメントありがとうございました。
2019.01.18 23:19 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
わあっ、これはすごい、ご本人も大絶賛ですが
本当に清修さんに捧げるにふさわしい題材と話運びになっていると思いますです。
「異世界」の定義はいろいろありますがいわゆる「転生系」で
見られる「異世界」でなしに日常にそっと忍び寄るものとしての
「異世界」というのが、清修さんの作風ともマッチしていると思いました。

さてさてみなさん仰られてますが確かに大人の寓話という感じがしました。
こういう「次から次に願いが叶う系」って、なんかこう、読んでいて
ワクワクすると同時に不安になりますよね。だって行き着く先が天国か地獄しか
ないような気がそこはかとなくしてしまうからです。
この話でいえば、最初は素朴な願いからスタートした亜美の欲望がどんどん
肥大化していって、最後に欲望の根源をぎゅ、っと掴むような願いを口にしてしまうところ。読んでいて、なんかちょっとゾッとしちゃいました。
亜美の置かれてる状況というのはまったく変わってないのに、最初と最後で
亜美の心象がまったく違うものになっているところも怖いな、と思いました。
とまあ、わたしはこんなことをつらつら考えさせられてしまったのですが、
さてさて、清修さんはどんな風に返してくださるのかな?
いろんな解釈の余地がありそうなだけに興味深いですね^^
2019.01.20 14:36 | URL | #- [edit]
says...
こちらにもありがとうございます。

これはですね、苦肉の策です。
本当に何を書いたらいいのか悩みまくりました。
清修さん、お魚ものから、異世界冒険譚から、官能ものまで、本当に広いんですけれど、とっかかりが難しくて。

で、官能ものは「scriviamo!」ではNGで、異世界冒険譚は私の能力的に無理で、お魚にしたんですけれど釣りの知識がないのでこんな風になりました。プーシキンの「金色魚の話」をベースに敷いてありますが、題材はできるだけ現代に寄せてみました。

そうした理由として、「自分とは関係のない物語のお話」ではなくて、こういう形ではないけれど誰もが時々やってしまう「金色の卵を産むニワトリをうっかり殺してしまう」系の「あちゃー」を書いてみたかったんですね。

もう一つの解釈としては、この男も魔法の釣り竿も、すべて亜美の想像の産物だったと。
彼女はあれこれ煮詰まっていて、魔法の杖で全て解決したらいいなと思っているんですけれど、それは想像の世界でしかなくて「ダメか」と肩を落とす。そりもまた現実でも「あるある」なのかなと。

まあ、どうとでも取れる話ですし、これに絡めなくても問題ないので、清修さんがどんな形でお返しを書いてくださるか、楽しみです。

コメントありがとうございました。
2019.01.20 21:59 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
読んでいて「猫の町」を思い浮かべました。
長編の中に挿入されている短いお話で、主人公が列車で旅行中、いつの間にか猫の町に迷いこんで帰ってこられなくなる話なんですが、夕さんのお話も冒頭部分から物語の世界に迷い込んだみたいに、不思議空間を楽しませていただきました。
でも、夕さんの短編にしては珍しく救いが無いんですね。
ま、元に戻っただけで、悪くならなかっただけましといえば、そうなんでしょうけれど・・・。
でも、一瞬でもぬか喜びをしてしまったら、ショックはさらに大きいかも。
亜美、かわいそう。
サキだったら何を頼んだだろう?
う~ん、これは難しいな。
作中ではかなり急かされている状況だし、冷静に考えるのは無理ですね。
「もうこれで充分です」なんて、とても言えそうにありません。
2019.01.21 12:16 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
こんばんは。
「猫の町」ですか。そんなお話があるのですね。面白そう。

救いがないというか、それこそ「そうは問屋が卸さない」でしょう。こんな何もしないで濡れ手に粟ってことはまずないかと(笑)
民話の中では、少なくともおじいさんが金色の魚を助けていますしねぇ。

こんな風に、いかにも魔法みたいにいいことが提示されてどんどん欲深くなっていくことは、まずないでしょうけれど、ごく普通の人生でも、始めはわりと謙虚だったのに、だんだんと幸運が当たり前になって、つい「もっと」欲しがってもらえていたものもなくす、ってことはわりとあるんですよね。今回はそんな話の寓話的に書いてみました。

やっぱり「千載一遇のチャンス」と思うと、人間ってそう簡単に引き際を決められないんですよね。私でもきっと全部失うまで行ってしまうように思います。

コメントありがとうございました。
2019.01.21 22:43 | URL | #9yMhI49k [edit]

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