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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

【小説】豪華客船やりたい放題 - 1 -

大海彩洋さんと、ちゃとら猫マコト幹事で開催中の「【2019オリキャラオフ会】豪華客船の旅」の参加作品の第一回目です。

すみません、まだウゾさんのところのキャラしか出てきていませんし、宿題の『旅の思い出』も出てきていません。次回以降にぼちぼち書きますので、今日は導入部のみで失礼します。


オリキャラのオフ会


【2019オリキャラオフ会】豪華客船の旅の募集要項記事(大海彩洋さんのブログ)
私のところのチームの詳細設定など




目が合ったそのときには 3
豪華客船やりたい放題 - 1 -


 ほう。さすがは、お坊ちゃま。

 京極は、ウェルカムパーティに遅れないように身支度をした。タキシード、俺には執事コスプレにしか思えない服装をしてもちゃんと絵になる。鏡を覗いて、俺がちゃっかり来ているのを知り、露骨に嫌な顔をした。

「来るなといったのに、どうしてここにいるんだ、山内」

 山内拓也、それが俺の名前だ。見かけは全然それっぽくない。かつては普通の男だったけれど、あれこれあって、今は狐の耳と尻尾を持つ美少女の姿をしている。四角い枠の中にしかいられないのはもどかしいが、反対に四角い枠の中であればどんなところにでも自由にいけるという、非常に便利な能力を持った異形なのだ。

 京極髙志は、俺が勤めていた会社の総務課長代理だ。イケメンで、お育ちもいい上に、仕事も出来るので女たちが群がるけっこうなご身分。ずっとムカついていたけれど、俺が本来の身体を乗っ取られてこの姿になってしまって以来、自宅にかくまってくれて面倒を看てくれている。そう、こいつは性格もいいヤツなんだ、腹立たしいことに。

「世界から金持ちがワラワラ集まる豪華客船パーティ、美味いものも、綺麗どころもたっぷりと聞いたら、そりゃ行きたくなるさ。お前だけ楽しむなんてずるいぞ」

 京極は、ますます嫌な顔をしてため息をついた。
「僕は、遊びに来たわけじゃない。乗っ取られた君の身体とパスポートで、イタリアに入ったという《ニセ山内》の情報をもらうために、この船のオーナーと話をする必要があるから来たんだ。君だって、早く身体を取り戻したいだろう」

 そう言われて、俺は少し考えた。まあ、確かに身体を取り返したいって思いはあるけれど……。
「そんなに急がなくても、いいかな。ほら、先週『魔法少女♡ワルキューレ』の放映が始まったばかりだし、その他にリアルタイムで追いたいシリーズがいくつかあるんだよな。ゲームもまだシリーズ3に着手しだしたところだし、コスプレの方も……」

 俺ののんびりライフのプランを聴いてイラッときたのか、京極はそれを遮った。
「そういえば、先週も着払いで何かを頼んだだろう」

「悪い。けど、しょうがないだろう。俺は休職中で収入ないしさ。お前のクレジットカードの家族カード作ってくれたら、着払いはやめるよ」
「冗談じゃない。カードなんか作ったら、とんでもないサイトで課金するに決まっている」

 よくおわかりで。
「まあね。でも、服は仕方ないよ、必要経費だろ? お前にとっても」

 これは京極にとっても痛いところをついたようだ。服の着用が、俺の持つもう一つの迷惑な能力を封印するからだ。

 俺は、誰かと目を合わせると、そいつと身体を交換することが出来る。まあ、そういうわけで俺自身の身体を誰かに持って行かれてしまったわけだ。で、もう一度目を合わせると再び元に戻る。同じ相手とは一度しか交換できない。つまり、俺は俺自身と目を合わせて身体を取り戻さなくちゃいけないわけだけれど、そいつがどこにいるのかわからない限り、話は簡単じゃない。

 で、事情をよく知っている京極ん家の露天風呂をメインの根城にさせてもらっているのだが、一応美少女の姿をしているので、独身の京極には目の毒らしく「服を着ろ」と言われた。で、着てみたらなんと誰と目を合わせても問題は起こらないということがわかったのだ。おかげで、京極は俺が服を脱いで人前に出ないようにますます心を砕く羽目になったというわけだ。

 俺にとっても悪い話ではなかった。もともと俺は猫耳のギャルが大好きなのだ。で、鏡に映せば自分の姿にはいくらでも萌えられる。コスプレもし放題。アニメとゲームの合間にコスプレ、こんな天国がどこにあるだろうか。身体が戻ってしまったら、またドヤされながら営業に回らなくっちゃいけない。だったら今のうちに存分楽しまなくちゃ。

 払わされる京極には悪いけど、俺の軍資金はとっくに底をついてしまったから……。ま、いいだろ、お坊ちゃまには働かなくても構わないくらい財産があるんだから、月に数着の服くらい。いや、数着じゃないな、小物も入れたらギリ二桁ってとこ?

 今日、選んでみたのはさっき届いたばかりの『魔法少女♡ワルキューレ』のシリーズもの。まずは『ファイヤー戦士ブリュンヒルド」を着てみた。白い肌に赤いミニスカって、滅茶苦茶合うよね。髪型もちゃんと高めのポニーテールにして再現したけど、京極のヤツ、わかってんのかな。

 京極はため息をつくと、袖口をカフスで留めた。
「しかたないな。観て歩くのは仕方ないが、あまりあちこちで迷惑をかけるなよ。大人しくそこでアニメでも観ていてくれ」

 そう言って京極のヤツは出て行った。ふふん、この船のテレビはオンデマンドだから、かじりついていなくても再放送を観られるんだよ。もちろん『魔法少女♡ワルキューレ』の放映は外せないけどさ。

 さ。せっかくたくさんの服を用意してきたし、あちこちで見せびらかしてこなくっちゃ。どこから行こうかな。

 テレビやスマホ、ドア、窓や鏡だけじゃない。プール、ビリヤード台、調理場の流し、ワゴンの下、段ボール箱、ポスター。四角いところならこの船のどこにでもある。

 試しに一つのドアへ行ってみたら、ちょうど二人の少女が挨拶をしているところだった。一人はクリーム色のボレロ付きワンピースを着たブルネットの少女で、もう一人は全身真っ白のビスクドールのように美しい少女。ブルネットの少女が一人であれこれ話しかけながら、もう一人の少女にガラスの煌めく髪飾りをプレゼントして去って行った。白い少女は、髪飾りを陽に透かし、それから少し離れたところで立っていた全身黒づくめの男にそれを見せた。

 俺は、もう一人の少女が語っていたことをちゃんと聞き取っていた。「甲板長主催の船に纏わる伝説とお茶会」そんなものがあるなら、顔を出してみようかな。いや、茶菓子を食べるのは、枠の中にいたらダメだよな。さて、どうしよう。
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Tag : 小説 連載小説 オリキャラのオフ会 コラボ

Comment

says...
執筆、お疲れさまでした。

始まりましたね、豪華客船オフ会。
参加者の皆さんが、続々と作品を発表されているので、ちょっと焦っています。うむむ、ヤバいぞ(笑)

さて。
のっけから、京極&山内のコンビでしたか。
山内氏、なんだかもう、妖狐生活を満喫してますね。嗜好ともぴったりあっているし、こりゃ社会復帰は無理だな。
京極氏も迷惑かけられつつ、いろいろと世話を焼ているようで……って、問題解決のために動いているようですが、当の本人があれではねぇ。

今回はどんな騒動を引き起こしてくれるのか、ワクワクしますね。
マッテオ&アンジェリカのご登場は、次話ですね?
そちらも楽しみです。
2019.09.29 23:57 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
山内、絶対にもうずっとこのままでもいいかなぁ・・・なんて本気で思ってますよね。
変身願望というか、自分の容姿を心底楽しんでいるみたいだし、どこへでも行けるんだから、悪いことなんて無いと思ってますよきっと。
それに服を着ると・・・などというあたらしい設定が追加されていますから、そのうち四角い枠の呪縛が解けるという設定も追加されるかもしれませんものね。
でも、京極は本当に律儀でいい奴ですね。偽山内がイタリアに入ったというところがミソですが、オーナーとどんなやり取りが展開されるのか、楽しみです。
マッテオ&アンジェリカの登場もあるし、夕さんがこの先を書かれるのをもちろん楽しみにしていますが、皆さんが作品を発表されるたびに自由度が制限されていくような気もしています。
これは本当に早い者勝ち(というか言ったもん勝ち)ですね。
2019.09.30 11:23 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
こんばんは。

当方、大雑把なプロットしかない状態で見切り発車です。しかも、すみません、いつもに増して内容のないおちゃらけ作品です。
きっとTOM−Fさんは今回もちゃんとしたのを書かれるんだろうなあ。
楽しみにしていますよ!

で、今回は山内拓也が主人公です。
もうね、こいつ、自分で書いてもがっかりするくらいダメなヤツですね。
もともとスペック低かったのが、露天風呂とアニメ&ゲーム&コスプレの日々を憶えちゃって、もう日常生活には戻れないでしょう。
京極の頑張りは、全て水の泡です(笑)

アンジェリカはもう登場していますが、マッテオはもう少し後ですね。
彩洋さんからの宿題と、みなさまとの交流、少しずつこなしていく予定です。

本当に大丈夫か?

コメントありがとうございました。
2019.09.30 21:53 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

拓也は、そんなにさっさと元に戻ったら困るでしょうね。
きっとこのままでもいいと思っています。
服を着るとガードがかかる設定は、このオフ会のために付け足しました。いちいち入れ替わると大混乱になりそうなので。
でも、四角い枠設定は取れません(笑)

京極の方は、どうでしょうね。
っていうか、ヴォルテラパパがこの船に本当に乗っているのかどうかも不明なので、そっちは進むのかなあ。

マッテオは今回は単なる引率者なので、あまり前面には出てこないかもしれませんが、おいおい……。

さて、私もそうしますが、あまり他の方の作品の設定に真剣に合わせなくていいと思いますよ。豪華客船に乗っていて、お約束の「旅の思い出」を一つ語り、あとは誰かを目撃すればいいだけですから、それ以外は全て無視して大丈夫かと。せっかくですから、一緒に乗りましょうよ〜。

コメントありがとうございました。

2019.09.30 22:01 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
今回のこの二人(でいいのかな。一人と一匹?)の登場(乗船)はなかなか変化球でしたよ!
でも、マコトが絶対物の怪類好きなので(?)、きっと山内をおもちゃにするに違いありません。とくに、しっぽ鬼ごっこは、遊びの中でダントツ好きな遊びなのですね~(あ~でも、四角いものがあったら逃げちゃうのか)。しかも、ドアとかどこでも行っちゃうんですよね。ビリヤード台もか。えらいこっちゃ。でも、どこでもドア機能は要りませんね。

今回は、いきなり「でかい設定」が飛び出したので、皆様を戸惑わせているような気がしなくもないけれど、ちょっと軌道修正いたします^^; そうそう、船のカフェで優雅にお茶飲んで頂くだけでいいのにな~
引き続き、楽しみにしております!
2019.10.01 04:49 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
こんばんは。

人差し指、大丈夫ですか?! お大事になさってくださいね。

さて、前回のオフ会ではわりと真面目なキャラを投入して、書く皆さんに氣を遣わせたようなので、今回は全く中身のないおちゃらけだけでいくことにしたのです。すれ違うだけで十分というか、何も考えずに記述して素通りできるというか(笑)

拓也は四角い枠の中にいますが、基本的には戸口とか鏡とかスマホとかで、しかも通り過ぎると向こう側にはいない設定なので、尻尾で遊ぶのは可能かしら? 前に京極と露天風呂で酒を飲んでいたようにお風呂とかプールみたいなところなら一緒にいられるのですけれど、マコト、水は苦手では……。

彩洋さんも、他のみなさんも、ミステリー系で大がかりな秘密を用意なさっているようですが、おそらく私らはくだらないじゃれ合のまま、何が起こっているのか理解しないまま下船しちゃいそうです。

次回、また日曜日にアップする予定です。タケルやマコトが登場するのはもうちょっと後になりそう、少々お待ちくださいませ。
(時間を稼ぎ、その間に船の設定のお勉強します・笑)

コメントありがとうございました。


2019.10.01 19:49 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
今晩は。始めまして。
イベントの末席に加えさせていただきました津路と申します。
この度はどうぞよろしくお願いいたします。
以前より陰ながら拝見させていただいておりますが、
作品数が多くてなかなか追いつきません。
その上、どの作品も内容も濃くて、ただただ感服するばかりです。
その中でも山内氏は一風変わったと言うか、あまり見受けられないキャラクターですね。
京極さんは、何故、ここまで親身にされるのでしょうか…
当然、優しくて親切な方だからなのでしょうが、それにしても不思議です。
いや、あまりに残念すぎて。山内さんが。
マッテオさんとアンジェリカちゃんの方はどうなるんでしょう。
楽しみにさせていただきます。勿論、他の作品も!
ただ、ご予定もあられること思いますので、どうぞ、無理のないようご自愛ください。
悪文失礼いたしました。
2019.10.02 16:11 | URL | #yl2HcnkM [edit]
says...
はじめまして。scribe ergo sumにようこそ!

こちらこそずっと読み逃げをして申し訳ありませんでした。
初コメント恐怖症です。すみません。

内輪で盛り上がっているっぽいイベントに参加するのは、勇氣がお要りだったことと思います。
でも、みなさん氣さくでいい方ばかりですよ。

さて、当ブログ、自分でもとっちらかっているなと思うのですけれど、作品数だけは多いです。
あまりにも多いので、長編などは読むつもりになれない、という方のために大体月に一度の割合で読み切りを発表するようにしています。
ネタ切れで長編の外伝でお茶を濁すこともありますが……。
もし、「読んでやってもいいかな」と思われたら、そのへんからどうぞ。

つて、この「目が合ったその時には」というシリーズは、もともと年に一度私がやっている「scriviamo!」というイベントの時に生まれた作品です。ブログのお友達であるlimeさんが描かれたイラストにあわせて何かを書かなくてはいけなかったので、苦し紛れに生み出したのですね。
今のところ二つしか書いていなかった作品ですが、わざわざ読んでもらう必要もないかと思い、簡単な設定だけこの作品の中で説明させています。まあ、でも、このオフ会は基本的に本編との整合性を真剣に考えなくてもいいのですけれど。

マッテオとアンジェリカは、「ファインダーの向こうに」「郷愁の丘」「霧の彼方から」という一連の作品のサブキャラで、ヒロインであるジョルジアの兄と姪です。というようなことはさておき、キャラが立っているので、こういうお遊びでは使いやすいと言うことで選びました。

よかったら絡んでみてくださいね。

十月の半ばから十一月の頭まで更新が難しくなるのですが、書けるうちにそこそこ書いてアップする予定です。
志士朗さんの作品も始まったようですね。近いうちにコメントに伺わせていただきますね。

今後ともどうぞよろしくお願いします。
コメントありがとうございました。
2019.10.02 20:42 | URL | #9yMhI49k [edit]

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