FC2ブログ

scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

【小説】豪華客船やりたい放題 - 4 -

大海彩洋さんと、ちゃとら猫マコト幹事で開催中の「【2019オリキャラオフ会】豪華客船の旅」の参加作品の第四回目です。

アンジェリカと四十時間だけ身体を交換した山内拓也。四角の中でなくてもどこにでも行ける自由を満喫中です。今回は、よTOM−Fさんのところのあの方と遭遇した模様。

旅の思い出は、えーと、次回かなあ。すみません。

それと、申し訳ありませんが、これから私に余裕がなくなりますので、おそらくハロウィンまでには完結できません。(この後を全然書いていませんし)さすがにクリスマスということはないですけれど、発表が遅れることをご了承ください。


オリキャラのオフ会


【2019オリキャラオフ会】豪華客船の旅の募集要項記事(大海彩洋さんのブログ)
私のところのチームの詳細設定/この話をはじめから読む



目が合ったそのときには 3
豪華客船やりたい放題 - 4 -


 ピザ、カントリーポテト、ミニカツ丼、餃子、バッファローチキン、ハンバーグのホワイトソース煮、唐揚げ、エビチリソース。これこれ、こういうの。俺は、ビュッフェの端にある庶民的なコーナーの前でほくそ笑んだ。

 妖狐に身体を乗っ取られて、京極の屋敷に世話になるようになってから、俺の食生活は激変した。ヤツの屋敷の露天風呂がメインの根城で、そこに京極家で長年家政婦として働いているサエさんというおばちゃんが飯を運んでくれる。で、美味いんだけど、上品なんだこれが。鯛のすり身団子入りのお吸い物とか、おぼろ豆腐とか、金目鯛の煮付けとかさ。ああいうのを食べているから京極はああいう醤油系お坊ちゃんに育ったんだろう。

 タダ飯を食わせてもらっている以上、文句はいわないけれど、俺はジャンクフードで育ったクチ。たまにはコテコテのものが食いたいんだよ。

 アメリカから来たという少女アンジェリカと四十時間だけ身体を交換した俺は、まず彼女の船室で服をとっかえひっかえして楽しんだ。美少女ライフ、楽しいな。

 アンジェリカのワードローブには、高そうな服がズラリと並んでいたけれど、とりあえずスモーキーピンクのフリルいっぱいの服を選んで着た。これ絶対に何十万もする高級子供服だ。タグを見たらイタリア語だった。ブランドものだろうな。一人ファッションショーもそこそこにして、美味いもんを食うため船内を歩き回ることにした。

 まずお茶会ってヤツに行ってみたら、綺麗に着飾ったガキどもが、すましてスコーンやらキュウリのサンドイッチを食っていた。しかも、アンジェリカの友達らしき美少女が、俺が彼女じゃないことを速攻で見抜きやがった。こいつはマズいと思ったので、俺はさっさと逃げ出し、こっちの大会場の方へと向かった。お嬢様の集まりそうなとこは、行っちゃダメだな。

 恭しく招き入れてくれたウェイターからでっかい皿を受け取り、俺は食いたかった飯を片っ端から載せていく。やっぱりハンバーグがあったらスパゲティミートソースもつけたいよな。エビフライにはタルタルソースを載せて、おっと。欲張って載せすぎたか、ヤバいな、バベルの塔みたいになってきた。

 バランスを取りながら後ずさっていたら、後ろにいた誰かとぶつかってしまった。
「きゃっ」
「わあっ」

 スパゲティミートソースが、俺の着ているワンピースの前面にベッタリとついちまった。ありゃりゃ。お、もったいねーな。俺はまだ服に引っかかっているスパゲティをごっそり掴んでそのまま口に放り込んだ。

「大丈夫?」
優しい女性の声に振り向くと、青い着物姿の女が心配そうにのぞき込んでいる。お、超マブい女の子にぶつかったな、ラッキー。

 俺は、できるだけ外国人の女の子の声に聞こえるように甲高く答えた。
「ノープロブレム! ちょっと汚れちゃったアルね」

 ガイジンの美少女の口から、こんな台詞が出てきたのを聴いて、着物の娘はわずかに変な顔をしたが、すぐに微笑んで懐紙を取りだし、俺の服にこびりついているスパゲティやエビフライのパン粉を取り除いてくれた。

 おお、カワイ子ちゃんはいい匂いがするなあ。おしとやかで親切、超美人だし、コスプレさせたら何でも似合いそう、いいじゃん、上手いこと連絡先を聞き出せないかな、俺の身体を取り戻したらカノジョになってもらったりしてさ。

「いた! こんなところに」
げ。この声は、京極? なんでもう見つかったんだ? 俺がアンジェリカの格好していること、どうしてわかったんだろう。

 京極は、いつもになく厳しい顔をして仁王立ちになった。
「なんてことをしてくれたんだ! あれだけ迷惑をかけるなと言ったのに!」

 ちょっと待ってくれよ、まだエビフライもハンバーグも食っていないのに、お楽しみはもう終わりかよ。
「ごめんなさい、叱らないで。汚すつもりじゃなかったの、わーん」
渾身の泣き真似でこの場を乗り切る作戦遂行中。

「泣いた振りしてもダメだ。ちょっと来い」
断固として言う京極と俺の間に、すっと着物のカノジョが割って入った。

「失礼ですけれど、少し厳しすぎませんか。汚してしまったのは、このお嬢さんが悪いわけではなくて、私とぶつかってしまったからなんです。理由も訊かずに頭ごなしに叱るのはかわいそうですわ」

 うはっ。この別嬪さんは、イケメン京極じゃなくて、この俺の味方だ! 生まれて初めての勝利じゃん? ひゃっひゃっひゃ。

「いや、服を汚したことではなく、こいつが、その……」
京極は、着物姿の美女に凜と意見されて、しどろもどろになった。そうだよなあ、まさか少女を妖狐姿に変えて、代わりにうまいもん食い散らかしているのを叱ったなんて、言えっこないよなあ。

「……その、お手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした。ほら、山内、お礼を言って。行くぞ」
京極は、アンジェリカ姿の俺に強引に頭を下げさせると、まだ不審げに眉を寄せている別嬪さんの目を避けるように俺を強引に会場から連れ出した。

「どこ行くんだよ」
俺は、小さな声で京極に囁いた。

「とにかく、その服をなんとかしないと。ブティックに服を買いに行く」
「なんで?」
「君が身体を乗っ取っているのは、あのマッテオ・ダンジェロ氏の姪だぞ。そんなみっともない姿のままにしておけるか」

 ブティックで鏡を見て、我ながらこれはないなと思った。スプラッタ映画じゃあるまいし。服にベッタリとミートソース、しかも口の周りも真っ赤だ。

 京極がなんでもいいから服を選べと言ったので、俺はとにかく手と顔を綺麗にしてから、服を選んだ。アンジェリカの服みたいにメチヤクチャ高そうではないけれど、俺が普段買っていた服と比べたら十倍くらいはする服ばかり。京極がカードで払ってくれた、悪いね。

 ちょうちん袖の青いワンピースにしてみた。浦安のネズミ~ランドでたまに見る「不思議の国のアリス」コスに見えるように、白いエプロンとタイツ、それに黒い靴を合わせてみた、ひっひっひ。飯食うにはちょうどいいだろう?

 俺がそれに着替えると、京極はアンジェリカのワンピースをすぐにクリーニング店に持って行った。
「代金は今このカードで支払います。仕上がったら、マッテオ・ダンジェロ氏の船室に届けていただけますか」

 京極はテキパキと俺の尻拭いを進める。すまん。悪氣はなかったんだ。
「それよりさ、さっきの着物ムスメ、超マブかったよな。お前が邪魔しなかったら、連絡先を訊けたのにな。俺が元の身体に戻ったらきっと滅茶苦茶喜んで、つきあってくださいって言われちゃったりして……」

 京極は、厳しい目を向けた。
「お家元が君にそんなことを言うはずないだろう」
「お家元?」
「あの方は、花心流という華道の三代目家元だ。少しは敬意を持って話せ。だいたい先ほどは、君のせいで僕が不興を買ってしまった、参ったよ」

 あれ、悪いことしちまったかな。こいつ、モテモテだからフラれ慣れていないんだろうな。

「ともかく、今度はエプロン付きだから安心だよな。ちょっくら、二回戦に行ってくる」
そう言って飛び出そうとした俺を、京極はエプロンの紐を引っ張って引き留めた。

「ダメだ。君一人だと、何をやるかわかったもんじゃない。いま一緒に行くから少し待て」
「え。でも、お前、忙しいんじゃないの?」

 京極は、珍しく鬼の形相になって答えた。
「ダンジェロ氏にこの船のオーナーを紹介してもらうつもりなのに、君が大切な姪御さんの評判を下げるのを放置できると思うのか!」

 えーと、オーナーに紹介してもらうって、なんでだっけ?
「別に無理してオーナーと知り合わなくてもいいんじゃないの?」

 つい、そう言ってしまってから、ヤバいと思った。すっかり忘れていたけれど、俺の身体を取り戻す件だった。このままじゃ温厚な京極を逆上させそうだ。トンズラしたいのをぐっと堪えて、仕方なくお目付役つきでグルメツアーを続行することにした。
関連記事 (Category: 小説・豪華客船やりたい放題)
  0 trackback
Category : 小説・豪華客船やりたい放題
Tag : 小説 連載小説 コラボ オリキャラのオフ会

Comment

says...
更新、おつかれさまでした。

ちょっと山内さん、ジャンクフード好きはいいですけど、アンジェリカの身体でそんなに食べたら、周りがびっくりするし、あとで本人に叱られません?
そして、彩花里を出してくださって、ありがとうございます。あの子、半分スタッフだし、着物姿は目立つでしょうけど、それ以外は影が薄いと思うので。で、さすがに京極氏は、ご存知でしたか。まあ、ああいう展開なら、彩花里はきっとああいう行動に出るでしょうね。ま、根に持つタイプではないので、ご安心を。

山内アンジェリカ、アリスコスプレでせっかくのグルメツアーなのに、京極氏がお目付けについちゃいましたね。あれはダメ、これはダメ、とか言われて辟易するのが目に見えるようです。

ご多忙とのことですが、無理のない程度で活動なさってくださいね。
2019.10.20 07:15 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんばんは。

この四十時間で、アンジェリカのウェストはかなり危険なことになりそうですよね。
それに、予想に漏れず品位は落しまくりです。

さて、お家元、お借りしました。
一応、いたいけな少女(ただし挙動不審)を京極がいじめている構図ですから、きっと叱ってくださると思いまして……。
京極の家は東京日本橋のなんだかやたらでかい旧家という設定なので、華道もきっと誰かが嗜むだろうと。
京極の母親が先代お家元に習っていたとか、そういう感じではないかと。

拓也は元に戻ったら(彩花里から告られて)つきあってコスプレごっこするとか、あり得ない妄想していますが、こいつは本当にどうしようもないヤツなので、単純に無視してくださいませ。

拓也にとって、アンジェリカの容姿+アリスは渾身のコスプレだったのですが、どっちにしても振る舞いで全てを台無しにしていますね。京極に見つかってしまったので、これ以上の滅茶苦茶はやりにくいのかな。

来週、ちょっと旅行に行きますので、そこで続きを考えます(そうなんです、ノープランで書いていたりします)

コメントありがとうございました。
2019.10.20 19:47 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
さすがに食い気の夕さんですね(失礼)
山内アンジェリカ、食いまくってますね。しかもB級ばかり・・・。よくこれだけ食べ物の名前が・・・。
それに山内アンジェリカ、スモーキーピンクのフリフリドレスとか「不思議の国のアリス」コスとか・・・アンジェリカ+袖の青いワンピース+白いエプロンとタイツ+黒い靴は中身はさておいて、きっととても素敵です。
中身が山内というのもちょっとギャップ萌えだったりして。
こんなに楽しんで味を占めてしまっては、ぜったいに山内、元へは戻りませんね。少なくとも妖狐までしか戻る気はありませんよ。
京極何のために苦労してんだか・・・。もう放っておいたらいいのに。
あ、少なくともアンジェリカは戻れるように監視しておいてほしいかな。

お忙しそうですが、無理なさりませんように。
ゆっくりとお待ちしていますから。
彩洋さんも締め切り云々はおっしゃらないでしょうし・・・。
あ、クリスマスまで伸ばすっておっしゃってますよ。

2019.10.21 11:47 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
こちらにもありがとうございます。

拓也、お上品でない食べ物に飢えていたようです(笑)
このペースで食べまくると、太っちゃいますよね。
まあ、アンジェリカは父親と母親両方の元でトレーニングをしているので、直に元に戻るでしょう。(人ごと)

拓也は、まあ、あまり元に戻りたいとは思っていないかもしれませんね。
モテないわ、営業職は大変だわ、六畳一間暮らしだわ、戻ってもあまりいいことなさそうですしね。
今は、仕事もしないでお風呂につかりながらアニメ三昧ですから。

もつとも、京極は人がいいのか追い出せないけれど、このままずっと居着かれても困るのかも。

アンジェリカは、ちゃんと身体を取り戻しますし、あと二回か三回で適当に収めるつもりなのですが
この二週間ほどは、書いている時間がなさそうなので、少し11月にずれ込みます。
でも、急がないと「scriviamo!」に重なってしまうので、時間ができたらサクッと終わらせる予定です。

コメントありがとうございました。
2019.10.21 21:27 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
彩花里はいつでも公平で優しいですね~。でも、大食い状態の山内にまで……あ、でも外見がアンジェリカだから優しいのか。いや、山内のままでも優しくしてくれたかしら?
まぁ、コスプレ風出で立ちは、ハロウィンが近いと言うことでなんでもあり、状態でしょうから、みんなそれほど疑問に思っていないだろうからいいとしても、こんなに食いまくっていては……
そして、なぜ、中国人ふうな外国人のふり? 山内はどんな状況になっても生き残れるんだろうなぁと、順応能力の高さにちょっと羨ましくなりました。

で、みなさん、一歩ずつ船のオーナーに近づきつつありますな~
えーっと、どうしよう。大して何も考えてなかったけど、きっと乗ってない^^; あ、オーナーの親分はね^^; って、あれこれ、どぎまぎしつつお茶を濁すのでした。
ま、オフ会ですから! 何でもありです。何しろ、どこでもドア搭載ですからね~。乗って無くても、出てこれる。
どきどき……
2019.10.26 01:10 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
おはようございます。

彩花里は時々見せる「めっ」ってしてくれる姿が好きなので、今回もそれで(笑)

元の姿だったらこうはいかないかと。もちろんイケメン京極と比べてということはしないでしょうが、「俺のコスプレ彼女になって」なんて怪しい男は相手にしないでしょう。
拓也は行き当たりばったりなので、どうやって外国人のふりをするか考えていなかったので、ああいう酷い日本語(?)に。
京極がオーナーに会いたがっている件は、お氣になさらずにどうぞ。もともと会えずに終わる予定でした。
戻ったら続き書きますね。
コメントありがとうございました。
2019.10.27 06:37 | URL | #9yMhI49k [edit]

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:https://yaotomeyu.blog.fc2.com/tb.php/1743-3d6383c5