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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

【小説】秋深邂逅

scriviamo!


「scriviamo! 2020」の第十弾、そしてラストの作品です。大海彩洋さんは、『オリキャラオフ会@豪華客船』の作品で参加してくださいました。ありがとうございます!

 大海彩洋さんの書いてくださった『2019オリキャラオフ会・scrivimo!2020】そして船は行く~方舟のピアニストたち~ 』

大海彩洋さんは、ライフワークである「真シリーズ」をはじめとして、精密かつ重厚な小説を書かれるブロガーさんです。いろいろなことに造詣が深いのは、みなさんご存じだと思いますが、今回はピアノとピアノ曲に関する愛をたっぷりと詰め込んで、「何でもあり」の豪華客船に乗せてくださいました。そもそも主要キャラたちが「そんなふうに集まるのは本編ではないでしょ」な状態に大集合しているのですけれど、加えてお友達のブログのそうそうたるメンバーも乗っちゃっている「オリキャラのオフ会」です。

うちのチャラいピアニストもちゃっかり加わってすごいピアノに触らせていただいているようですが、さすがにこのストーリーに直接絡むのは無理だわ……。うちオフ会参加メンバーはほとんど逃げたした後だしなあ……。

というわけで、単純なオマージュ作品を書いてみました。このお返しの方法は、TOM−Fさんの作品には何回かしたことがありますが、彩洋さんへのお返しでは初めてかも? 

「船旅」「四人の演奏」「一人の女の過去」あたりを踏襲してあります。歴史的事実と「聊斎志異」に出てくるとある怪異譚もちゃっかり絡めてありますが、加えて私の未公開(黒歴史ともいう)作品由来の嘘八百も混在しています。こちらもオリキャラのオフ会と同じくアトラクタBだということで、ご容赦ください。

読む上では関係ありませんが、使ったメインの四人は、先日のエッセイにちらりと語った「黒歴史で抹殺した神仙もの」のキャラクターたちです。つまりワイヤーワークで空飛ぶ仙人だと思っていただいて結構です。今回用意した通名は、ガーネット、翡翠、アクアマリン、紫水晶の中国名で、これは石好きな彩洋さんへのサービス(笑)


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秋深邂逅
——Special thanks to Oomi Sayo-san


 深まる秋の夜空に大きな月が煌々と輝いていた。出立より荒れ狂う波にひどく悩まされた航海で、このように凪いだ宵は初めてである。紅榴は箜篌くご を抱えて甲板に出た。遠く絹の道の最果てから伝わったとされる竪琴は、紅榴の指先を通し二十三本の弦から妙なる調べを繰り出す。

 紅榴と呼ばれるこの弾き手は、揚州出の高官という触れ込みである。まるで少年のように若く、ひどく赤みの強い髪を髷に結っているために露わになっている首がほっそりとしている。文人でありながら武術もなかなかの腕前である。大使と共に第一船に乗る晁衡大人からの推挙状を持っていたため、この船でも破格の扱いを受けている。なぜ本名ではなく紅榴と呼ばれるのか、また、どこで流暢な日本の言葉を身につけたのか、皆が訊いたが笑みを浮かべるのみで多くを語らなかった。

 蘇州黄泗浦を出て三日、遣唐使船四艘のうち二艘の姿は見えない。が、渡航が上手くいき阿児奈波に着けば消息も知れよう。

 紅榴のつま弾く箜篌の音は、近くを走行するもう一艘に届いているらしい。むせび泣く声がこちらにまで届いてくる。

「おそらく普照どのではないか。鑑真和上を日本にお連れできなかったことを嘆いておられるのだ」
顔を上げると、いつの間に側まで来たのか、翠玉が立っていた。紅榴は、「そうやもしれぬな」と口先だけで笑った。

 十九年の長きにわたり、日本で授戒を行うことのできる高僧を探し、苦労を重ねてきた普照にしてみれば、五度の失敗にもかかわらず、日本へ行こうとしてくれた鑑真を置いて日本へ帰らねばならぬことは耐えがたいに違いない。同じ志を持ち共に辛苦を耐えた栄叡は唐で客死し、鑑真和上と共に日本へと向かおうとした弟子の多くも波間に消えていった。ようやくやって来た遣唐使の船に鑑真を乗せることができたというのに、発覚を怖れた大使藤原清河が一行を降ろしてしまったのだ。

「ご存じないのはお氣の毒だが、あれだけ派手に嘆いてくれれば、清河殿は和上を密かにお連れしていることに氣付くまい。大伴様としてはありがたいのではないか」

 背の高く深緑の装束に身を固めた男は、持っていた縦長の包みを前に置いて紅榴の横に座った。絹の包みを取り去り現れたのは七弦琴だ。黒く漆塗りが施され金銀や螺鈿で装飾されている。

 翠玉と呼ばれるこの男もまた、謎に包まれている。太い眉の下に鋭い光を放つ切れ長の目を持つ剣士で、口髭の下の口元は一文字に結ばれ、長い髪は乱れ一つない。途中でこの船を襲った海賊どもを軽々と撃退したときですら、顔色一つ変えなかった。しかし、武門だけでなく風流にも通じているのか、七弦琴を嗜むらしい。紅榴は、この男と旧知の仲らしく現れた琴に驚きすらも示さなかった。

 二人が静かに演奏を繰り広げるところに現れたのは、二人の僧侶である。老いた一人は手に五絃琵琶を手にしている。

「これは海藍どの。あなたも加わっていただけますか」
翠玉は琴を少し引いて、僧の座る場所を作った。

「このような月夜に、ともにつま弾くことができるのは、願ってもないことでございます。仏のご加護ですな。ところで、こちらにおりますのは、私と同室で過ごしております常白殿です。鑑真和上と共に日本に向かわれるのです。紅榴どのの弾いておられた曲のことをお訊きしたいと仰せでしてな」

 紅榴は眉を上げて、壮年僧の顔を見た。思い詰めているのか、それとも怖ろしい思い出があるのか、わずかに震えている。

「先ほどそなたが弾いていた曲といえば……」
翠玉は、琴をつま弾いた。紅榴は、音色を絡ませながら答えた。
「……紫娘娘が我らに教えた曲だ」

「紫娘娘!」
常白の顔色は一層悪くなった。

「失礼ですが、あなた方は、どこかでその娘娘にお会いになったのですね」
その僧が震えながら訊くと、老僧海藍までがバチを手に合奏に加わった。
「その通り。そして、今そなたもな」

 船倉から誰かが簫笛を奏でながら上がってきた。淡い紫の薄物を纏った女だった。明るい月の光に照らされて、女の白い顔がくっきりと浮かび上がる。この世の者とも到底思えぬ美しさだ。

 演奏をしていた三人は、一様に手を止め、笛を吹く女に拱手礼をした。常白だけは、ガタガタと震えながらその場に立ちすくんでいた。

 女は吹き終えると緩やかに笛を放し、三人に一人一人深く抱拳揖礼をした。
「海藍上人、翠玉真人、そして、我が師、紅榴元君、お久しゅうございます」

「紫娘娘、頭をお上げください。あなたも、日本へと向かうおつもりとは存じ上げませんでした」
海藍が愉快な声で告げた。

「みなさまがこの船に乗られるのを知り、急ぎはせ参じました。お声がけいただけなかったことを、恨みに思いますわ」

 紅榴は箜篌をつま弾いた。
「そなたは泰山にて修行中と聞いた。我らが酔狂、鑑真和上の密航が発覚したときの安全弁の仕事などで邪魔するには忍びなかった」

「まあ。安全弁ですって?」
紫娘娘が大きく目を瞠る。

 翠玉が答えた。
「さよう。皇帝は、高僧鑑真を連れていくなら、道教を広めるのため道士も連れて行けと、難題を押しつけたそうだ。それで大使の清河殿は、皇帝からの正式な許可を得るのを諦めた。大伴古麻呂殿は、晁衡大人と謀り、一度降ろされた鑑真和上と弟子たちを密かにこの第二船に乗せた。それにあたり、我らは用心棒かつ役人に捕まった場合の申し開き用の道士として招聘されたというわけだ。ついでに日本の見学もできるしな」

 紫娘娘は鈴のような笑い声を上げた。
「でしたら尚更、お誘いくださらなくては。私はみなさまと違いかの蜻蛉洲あきつしま を見たことがないのでございます。加えて、この素晴らしき望月の宴に加わらせてくださらないなんて、あんまりですわ」

 そこまで言ってから、いまにも倒れんばかりに震えて立つ壮年僧を見て、艶やかに微笑んだ。
「私、紫石英と申します。どうぞお見知りおきを。……それとも」

 海を一陣の冷たい風が立った。紫娘娘の黒髪と薄絹がゆらりと泳ぎ、それに伴い牡丹の花のような芳香がただよった。
「紫葛巾と名乗った方が、よろしゅうございますか?」

 常白は、地面にひれ伏し叫んだ。
「許してくれぇ! 葛巾、許して……頼む、許してくれ……」 

 紫娘娘は、ひんやりとした眼差しを向けて立っていた。その口元にはうっすらと微笑みすら浮かべている。

 常白は、その顔を仰ぎ見る勇氣もないらしい。
「そなたを置いて逃げたのは、申し訳なかった。皇子さまに嫁ぐ予定の貴人と駆け落ちするなど、とんでもないことをしでかしてしまったと、恐ろしくてならなかったのだ」

 紅榴がおかしそうに口を開く。
「なるほど。娘娘を盗み出したあげく、破れ屋に置き去りにした日本からの進士受験生というのはこの男だったか」

 翠玉が、やはり口元だけで笑いながら琴をかき鳴らした。口を挟むつもりはないようだが、わざわざ唐までやってきた志も果たせず、見捨てた女の怒りを怖れて震える小人に呆れている様子が見て取れた。

「どうか祟らないでくれ。成仏して欲しい。……おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら まにはんどま じんばら はらばりたや うん」
固く目を瞑り、真言を唱えて震えている。

 海藍上人は、笑いながら常白の肩をトントンと叩いた。
「心配せずとも良い。このお方は怨霊などではない。ここにいる紅榴どのの弟子にて我らが同志でもある。そなたごときに去られたぐらいで、命を落とすほど弱々しき女子ではない」

「ご上人、その言い様はあんまりでございます。あのとき私は悲しみと飢え苦しみで生きる望みを失っておりました。実際に通りかかった師がお救いくださらなければ、あのまま山中で朽ち果てていたはずでございます」
紫石英は、氷を吹くように告げて、ゆっくりとかつての愛しい男に近づいた。

「仏門に入ったのも、私の菩提を弔うためではありませんのでしょう」
「いや……その……」

「鑑真和上は、ご自身で費用を賄われてまで日本行きを決意しておられた」
海藍は、琵琶をかき鳴らす。

「渡航の禁を破ってまでな。……お側にいれば、日本に戻る機会に恵まれる」
紅榴が箜篌で加わり、翠玉も琴をつま弾きながら答えた。
「進士に受からず遣唐使船で大っぴらに帰国できぬ日本人には、唯一の手立てだろうな。元来望んでいなかった剃髪をしても」

 常白は、もはやきちんと立っていることもできなくて、紫娘娘から離れようとガタガタと震えながら船室の方へと這っていく。彼が退くと、彼女はゆっくりと歩みを進め、その距離はほとんど変わらない。月がゆっくりと歩むのと同じように、青白く浮かび上がった二人は移動していった。

 残った三人は、もう二人を見ることもなく和やかにそれぞれの楽器を構え、再び先ほどの曲を合奏し始めた。

 かつて二人が恋人同士であった唯一の満月に、微笑みながら共に奏でた曲が凪いだ海を渡っていく。もう一つの船で嘆く普照の泣き声と、許しを請う不実な常白のわめき声は、共に闇夜に消えていった。

 悲鳴と何かが階段を転げ落ちる大きな音がして、こちらの船の不快な声はピタリと止まった。船室の奥で、何事が起きたのかバタバタと駆け寄る音がしているが、紫娘娘は興味を失ったかのごとく身を翻し、合奏する三人の元へと戻ってきた。

 三人とも手は休めずに、女の方を見やった。紫娘娘は、ほんのわずかの微笑みを口に浮かべたが、何も言わずに簫笛を構えた。美しい音色が加わり、冴え渡る月は輝きを増したようだった。

 凪いだ地平線の彼方にわずかに黒い影が見える。鑑真和上が熱望した日本への玄関である阿児奈波は、もうさほど遠くないようだった。

(初出:2020年3月 書き下ろし)

追記


四人が弾いていた楽器は、正倉院に収められている楽器をもとに書いてみました。なお、現在の中国の五絃琵琶はバチを使わずに爪で弾くのですが、唐代はバチを使っていたということなので、その様に書きました。

当時の曲では全くないのですけれど、それぞれの楽器の音色を探しているうちに、この曲はどの楽器でも弾いている人が多いので、勝手に脳内イメージソングにしていました。「绿野仙踪」というのは「オズの魔法使い」って意味だそうです。同じ曲をあれこれ貼り付けても仕方ないので、ここでは笛バージョンを。

琵琶吟 又は《绿野仙踪》
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Tag : 小説 読み切り小説

Comment

says...
執筆、お疲れ様です。

なるほど、あのお話へのオマージュですか。
登場人物たちの只者でない感が、ハンパないんですが……。皆さん、仙人なんですよね。

さて、優雅に合奏する四人の傍らで、ひどい目にあっている常白。唐に留学したものの、本分であるはずの科挙に合格できす(いやでも進士はきついでしょw)、貴婦人をかどわかした揚げ句に置き去りにして、最後は鑑真にくっついてなんとか帰国を図るとか、ちょっとなぁという男性ですね。船上での振る舞いから最期まで、いかにも小人という感じがします。
紫石英、今は仙人になった相当な女性のようですが、かつてはろくでもない男にひっかかったというところでしょうか。あのまま駆け落ちが成功していれば、今ごろこの二人は、どうなっていたんでしょうねぇ。結局は上手くいかなかったような気がします。彼女は今の立場に満足しているようですし、元カレの哀れな最期も気に留めるほどのことではないという感じですね。

これ、黒歴史化させずに、ぜひ連載してもらいたいです。八少女夕さんの伝奇ファンタジーとか、面白そうだし。
2020.04.01 09:03 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんにちは。

あはは、実際には一緒に航海している鑑真和上と阿倍仲麻呂(晁衡さまですな)の方がとんでもなく「ただ者ではない」のですけれど、勝手に同行させていただき、遊んでみました。

で、そうなんです。四人は黒歴史作品のメインキャラである仙女&仙人(笑)
彩洋さんの作品にあわせるために一人男装しております。赤レンジャーが、女でございます。

黒歴史の当時の設定だと、紫雲英(=紫石英)と駆け落ちした男は超優秀なイケメン進士でしたが、追手から逃れるためによりにもよって蜀清霞(=紅榴)と丁少秋(=翠玉)が魔物と戦っている洞窟に飛び込んでしまい、流れ弾(?)に当たって命を落としたことになっておりました。でも、こちらはアトラクタBということで、駆け落ち相手はめっちゃダメ男として生き残っていたことに。

しかし、阿倍仲麻呂って本当にすごいですよね。外国人なのに若くして進士にばっちり合格、唐の皇帝に「帰っちゃダメ」と言われるほどに信頼されて出世。なのに私はずっと百人一首の人くらいにしか認識しておりませんでしたよ。

さて。紫娘娘が名乗っている葛巾というのが「聊斎志異」に出てくる怪異譚の一つなのですけれど、葛巾紫という銘柄の牡丹があったそうです。で、牡丹の精らしいのですね。魅入られてしまった男が駆け落ちするんですが、正体に氣がついて逃げ出した、的なお話です。それを彩洋さんのアナスターシャのエピソードに引っかけて使ってみましたが、こちらはどうも単なるダメ男のストーリーに(笑)

この黒歴史、個人的には好きなんですけれど、また書くのはきっと無理。時代考証で死にます。「森の詩 Cantum Silvae」で懲りている私です。でも、またこの程度のお遊びでは登場させるかも。

コメントありがとうございました。
2020.04.01 14:29 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
わ~。本当は先に前のいくつかの記事・お話に先にコメントを入れたかったのに、ばたばたしている間に時が過ぎてしまい(コロナ騒ぎ以前に、普通に修羅場の春休みでした)、先にこっちにコメントさせていただきます(^^)/

私も、一度は命がけで一緒に生きようと思った女を待てずに他の女に走った男を書きながら、TOM-Fさんちによく登場する?だメンズキャラをイメージしていたのですけれど、夕さんの書くだメンズキャラに負けちゃいましたわ。開き直らずに謝っちゃうあたりが、まさにだメンズ。
う~ん、私ったら中途半端に手加減しちゃうんだなぁ。小説のキャラって手加減しちゃダメなんですよね。もっとだメンズを書く練習しなくっちゃ。
特にこの時代背景の中じゃ、こういう人の居場所もあるって気がしました。混沌とした中だからこそ、ダメなやつも生きていられるんだなぁ。そういう混沌とした感じ、好きです。
で、だメンズ・常白、階段から落っこちて……どうなっちゃったのかしら。あわれ。

紫娘娘? 本当は牡丹の精? 要するに物の怪の類いかもと思ったら、この逞しさ・妖しさも納得です。黒歴史のキャラにしておくのはもったいないけれど、確かに、以前の設定のまま書くのって無理かもってのありますね。アトラクタB仕様で使うのって、なかなか良い案かも知れません。私もいつかSFもどき書いていた頃のキャラで遊ぼうかなぁ~(^^) あ、これ以上書く書く詐欺を増やしてはいけない。

楽しく読ませて頂きました。ナイスな切り返しを頂き、ありがとうございました~
2020.04.01 16:39 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
こんばんは。

修羅場……お疲れ様です。学校、お休みなんですよね。余計に修羅場化したのではと……。
ご無理なさらないでくださいね。

さて。
彩洋さんの所に登場した、亡命しても西側で喜んで受け入れてもらえるような立派な科学者とは違って、常白は小市民の中のダメンズですから(笑)
書きませんでしたけれど、破れ屋に置き去りにして逃げちゃった時、状況からしていいとこのお姫さんは死んじゃうと予想していたのですよね。未必の故意ってやつでしょうか。なので、こんな所に登場したのは恨み積もっての悪霊だと信じ込んでいます。
「一緒に生きようとした」のではなく「(捨てて)殺しちゃった」ような設定のキャラなので、そりゃ容赦なく惨めに書けますとも。

今回書くにあたって調べたら、鑑真和上は、偉いし尊敬されていて日本に行かなくてもいいのに何度も法律破って密航しようとするわ、周りも牢にぶち込まれたりするわ、なのに、お弟子は裏切って密告したりとけっこうめちゃくちゃです。そういう中での日本行きなので、中にはちゃっかりこういうダメンズが紛れ込んでいるのもアリかなあと思いました。

階段から落っこちた後のことは想像にお任せです。
単純に、落ちてちょっと怪我しただけかもしれないし、鑑真和上に過去がバレて怒られたかもしれないし、もしくは、打ち所が悪くて死んじゃったかも。どうなったでしょうかね。

そして、この「娘娘」は、後には道教の女神さまにつける尊称みたいになったようですが、もともとは高貴な家柄のお嬢様につけていたらしいので、めっちゃ家柄が高い出身の(でも仙人仲間では一番の後輩)「お嬢」みたいな感じで使っています。読み方が「にゃんにゃん」なので、このお返しにもちょうどいいかなと(笑)

「聊斎志異」の「葛巾娘子」のストーリーは、たまたま牡丹の名前が「葛巾紫」でうちの「紫娘娘」と重なるので面白がってくっつけただけですが、洛陽が牡丹で有名である理由にこうした伝説を結びつけるのって面白いなあと思っていました。
このストーリーでは、紫娘娘は、もと人間です。今は仙女ってことになっていますが(笑)

オリキャラのオフ会では、真面目なキャラの整合性などは誰も求めていないと思うので、そのお返しも「こういう設定は、あまりにも馬鹿っぽい」みたいなことは考えずに「黒歴史上等」で書けて楽しかったです。黒歴史はいっぱい持っているので(自慢にもなりゃしない)またこういうアトラクタBの時には、積極的に遊ぶ要員としてスタンバイさせようかなと思いました。

お忙しい中、超大作でのご参加、ありがとうございました!
2020.04.01 20:04 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
この頃の人たちは海を渡るだけでも大変だったんでしょうね
密入国だと今でも大変なのかもですが…
でも現地で色恋みたいなのは今も昔も変わらないのかな><

紫娘娘さんはかっこよさそうな女の人なのに
なんでこんな男の人に騙されたんだろ…
普段は同じ口でロマンチックなこととか
言ってたりしたんでしょうか?ブルブル
2020.04.02 13:06 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

大変だったのに、めげずに五回も六回もトライした鑑真和上、すごいです。
いまの密入国なんて、当時に比べたらお茶の子さいさいかもしれません。

紫娘娘はかっこよさそうですが、もしかしたらただの厨二病かもしれませんよ!

まあ、ゲスな方は男性だけとは限りませんが、どの時代にもいましたよね。
世間知らずな娘は、痛い目に遭ってようやく目覚めたのかも。
でも、おかげで仙女になれたんだからラッキー?

お嬢様のダメ子さんもロマンチックな囁きには注意してください。
何か心配なことがあったら、人生経験豊かな隣のお兄さんに相談してくださいね!

コメントありがとうございました。
2020.04.02 22:11 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
なんと鑑真和上が関係したお話なんですね。
鑑真さんのことは少しは知っているのですが、そこにこういうエピソードを付け加えるとは!面白いです。
歴史的な観点からとても興味深いのですが、いつも読ませていただいている夕さんのキャラとは違った特殊な能力を持ったキャラが登場していてとても新鮮です。
登場する小道具、背景設定などもとてもユニークでこちらもとても新鮮です。
でも、骨格は超ダメンズのお話みたいで、その落差に唖然とします。
常白、姑息で卑怯な上に女々しくて、とんでもない奴ですね。ここに居ると言うことは相当優秀な人材なんだろうに。頭でっかちなのでしょうか?
相手が悪かったというか、メチャクチャ怯えさせられた上にひどい目にあわされているようですが(痛快!)、たとえ命を取られていたとしても同情の余地は一切無いと思います。
紫娘娘の常白に対する態度も読んでいてドキドキします。
夕さんは描写しないようにされていますが、サキだったら命を落とす様子をバッチリと書いちゃったと思います。あれでは少し物足りない・・・。
黒歴史についてはよくわかりませんが、この面々が日本に着いてからの展開も知りたくなりました。
もちろん常白の様子も(生きていればですが)。

今年も「scriviamo!」ご苦労様でした。
来年も参加すべく精一杯精進します。
2020.04.05 05:36 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
こんにちは。

そうなんですよ。どうせ遣唐使船を使うならなんといってもこの第十二回遣唐使かなと。

メインの四人はお遊びで選んだキャラで、合奏さえしてくれればいいということで、彩洋さんのものすごいグランド・ピアノの代わりに、正倉院にも収められているこの時代の楽器を選んでみました。

で、現代の話になると「そんなすごい人はいないでしょ」的になってしまうのですけれど、この時代の実在の人物、優秀にも程があるというか、中でもすごいなと思うのが阿倍仲麻呂(晁衡)と、鑑真和上ですが、両方ともこの第十二回遣唐使船で日本へ向かっているのですよね。阿倍仲麻呂は後にベトナムへ流されてしまうのですけれど。

外国人なのに、ほぼ最年少みたいな若さで進士に合格してしまった上、その後も皇帝に重用された阿倍仲麻呂のような天才に較べたら、進士に合格しなかったという設定の常白はダメっぽくみえますが、遣唐使の留学生に選ばれたのだから日本では優秀な方だったのでしょう。とはいえ、人格までも優秀とは限りませんよね。とんでもないことをしでかし、そもそも唐に来た目的も果たせず、当たり前の方法では帰れない、でも、どうしても帰りたいので選んだのが、鑑真の弟子になって一緒に日本行きの船に乗せてもらうという方法だったのでしょう。それまた大変な努力が必要だったはずです。鑑真は厳しい戒律を広めようとしていた人ですから。

常白がここでどうなったのかは、読者の想像にお任せという方法をとりました。そもそも紫娘娘は怨霊ではないので、死んじゃったとしたら、それともただの怪我だとしても、ただの事故です。ここにいる四人とも(ワイヤーワークで)空も飛べるくらいの力がある神仙になっているので、救おうと思えば救ってあげられるのですが、それはしてあげなかったということですね。

この四人が出てくるもともとの話は日本に行く話ではないので(単純に彩洋さんの話に合わせて船に乗せたかっただけでした)、黒歴史のストーリーでは日本見物の話はないのですけれど、かなり長いこと一人で遊んでいたストーリーなので、私自身にはとても思い入れがあったりします。もっとも今から思うとものすごく馬鹿馬鹿しいストーリーなので、手を入れずに発表することはないでしょうね。手を入れるとすると、時代考証が大変なので、きっと次に出てきてもこの手のお遊びでおしまいだと思います。

今年も無事に「scriviamo!」を終えることができました。参加して盛り上げていただき、ありがとうございました。
来年またやったら、ぜひご参加くださいね!

コメントありがとうございました。
2020.04.05 17:02 | URL | #9yMhI49k [edit]

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