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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

【小説】Usurpador 簒奪者(11)燃えて消えゆく想い

『Usurpador 簒奪者』の最終回です。

また大きく時が動いて、マヌエラは我が子アルフォンソの病床にいます。全ての目撃者であるジョアナは、マヌエラたちと自分たちの運命が変わった若かりし日々のことについて記憶をたどります。

30年前に起こったことの物語はこれでおしまいですが、この話の因縁が第1作『Infante 323 黄金の枷 』の直接の続編でもある第3作『Filigrana 金細工の心』に引き継がれます。



『Usurpador 簒奪者』を読む「Usurpador 簒奪者」をはじめから読む
あらすじと登場人物





Usurpador 簒奪者(11)燃えて消えゆく想い

 濃紺のゴブラン織りカーテンを締め切ってあるせいで、部屋はことさら暗く思われた。横たわる当主の具合が悪く、サントス医師は、しばらく泊まり込むことになるだろう。すぐ隣の部屋の準備を済ませた後、ジョアナは静かに戻り、控えめに報告を済ませた。

 当主ドン・アルフォンソの顔色はいつもに増して悪く、食事のために起き上がることも出来なかった。それでも、彼はジョアナに礼を言うことを忘れなかった。その声は、聞き取れないほどにわずかなものだったが、彼が生まれた時からこの館で働き見守り続けてきた彼女にはよくわかった。

 当主は、ベッドの脇に座る母親ドンナ・マヌエラに微笑みかけて、話の続きに戻った。
「父上が亡くなった日の事を思いだすのですよ」

 マヌエラは、瞳を閉じた。ジョアナも、その日のことはよく憶えている。わずか5年ほど前のことだ。現当主と同じく身体の弱かった前当主は、同じように暗くカーテンを締め切った部屋でこの世を去った。

 周りに揃った家族たち1人1人に、思いやりのこもった声をかけていた臨終のカルルシュは、しかし、意識が混濁すると、ずっと口にしなかった想いを漏らした。

「ドイス……。ドイス……。おもちゃも、絵本も……全部あげる……。だから、もう1度、笑ってよ……」

 その心の叫びは、臨終に立ち会うことを拒んだ22には伝わらなかった。

 カルルシュを支えて生きることを選び、結婚し、4人の子供の母親となったマヌエラを、22は裏切り者と罵倒し、2度と目を合わせようとしなかった。17年後、23が居住区に遷るのと入れ違いに『ボアヴィスタ通りの館』に遷されてからは、ジョアナが22と顔を合わせることはほとんどなくなった。

 5年前、臨終のカルルシュのうわごとを耳にしたマヌエラは、いつものように娘のアントニアに伝言を頼むのではなく自ら『ボアヴィスタ通りの館』へ出かけ、22にこの部屋にきてくれるように懇願した。だが、彼女は虚しく1人で戻ってきた。

 溝はあまりにも深く、時は無力だった。双子のように仲良く育った2人の少年は、もう2度とかつてように笑い合うことはなかった。

 マヌエラは、その時のことを思い出したのだろう、聞き取れないほどの微かな声で言った。
「かわいそうなドイス……。かわいそうなカルルシュ」

 それから我が子の頬にそっと手を触れて続けた。
「それに、かわいそうなアルフォンソ、かわいそうなクリスティーナ……」

 ジョアナは、はっとして心を現実に戻した。非情なドラガォンの掟に遮られ、愛し合った2人が結ばれることの出来ない例は、22とマヌエラだけではなかった。

 アルフォンソは間もなくくるであろう死を覚悟し、愛し合った娘と結婚しなかった。やがて代わりに当主アルフォンソとして生きることになる弟23に、決して触れることの出来ない妻を残さないように。新しい当主が自ら選んだ妻との間にドラガォンの《5つの青い星を持つ子》を残すこと。それはこの部屋にいる全て、ジョアナ自身を含めて、掟によって黄金の枷に囚われた《星のある子供たち》が、自らの想いを諦めてもサポートしなくてならないドラガォンの悲願だ。

「母上。私は幸せでしたよ。クリスティーナも、きっとこれから幸せをつかんでくれることでしょう」
当主は肩で苦しそうに息をしながらも、穏やかな口調で微笑みかけた。
「アルフォンソ」

 マヌエラの背中を、ジョアナは見つめた。肩が震えていたが、彼女は取り乱すようなことはしなかった。ジョアナもまた、黙ってその場に立ちすくんだ。彼女の覚悟も、目の前の間もなくこの世を去ろうとしている若い当主がこの世に生まれたあの日にもう出来たのだ。

* * *


「ジョアナ。これはなんだ」
アントニオの手には、ジョアナの日記があった。昨晩、マヌエラの出産を控室で待ちながら書いていたのを、ドタバタでつい置きっぱなしにしてしまった。氣づいて朝一番で取りに来たが、その時にはもうなかったのだ。

「読んだの?」
「ああ。誰のものだかわからなかったからね。最初の方、誰が書いたかわかるまで読ませてもらった」
「そう」

 受け取ろうと手を伸ばしたジョアナに対し、アントニオは首を振った。
「申し訳ないが、これをそのまま返すわけにはいかない」

「どうして?」
「君は誓約を忘れたのか」

 ジョアナは首を傾げた。誓約が何かぐらいはわかっている。ここで起こったことを、外の人間に話したことは1度もないし、この日記を外の人間に見せるつもりも全くなかった。
「誓約を破ったりしていないわ。これは純粋な日記よ。個人的なものだし、いけないの?」

 アントニオは頷いた。
「君が、これをよその人間に見せたりするような人でないことはよくわかっている。でも、君はたった数時間でもこれのことを忘れていたね。同じことが君の家で起こるかもしれない。それが起こってしまってからでは遅いんだ」
「持って帰ったりしないと言っても?」

「この館の中で存在を忘れることも許されないんだ。君は、この中にインファンテの存在について触れている。この記録を後世に残すことは許されない。たとえ、この館の中であっても」

 アントニオが、どこまで読んだかジョアナにはわからなかった。彼女の彼に対する想い、フェルナンドの死、マヌエラをめぐるカルルシュとドイスの葛藤、すべてを次の世代の《星のある子供たち》と《監視人たち》にも知られずに置かなくてはならないことは、ジョアナにもわかった。

 彼女は、この館の中で時間を過ごし、多くを目撃し、体験し、大切なものを得て、そして別の大切なものを失った。彼女は歳を重ねたのだ。それは記録してはならないものだった。アントニオは、いつものように落ち着いた低い声で言った。
「すべてを君の心の中に留めておくがいい。それは、誰にも禁じることはできない」

 ジョアナは頷いた。薪の燃えている暖炉に視線を移した。
「燃やしてちょうだい」

 アントニオも頷くと、彼女の手をその日記に添えさせた。彼女は力を込めて、それを火の中へと放り込む彼の手助けをした。

(初出:2020年6月 書き下ろし)
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Category : 小説・Usurpador 簒奪者
Tag : 小説 連載小説

Comment

says...
更新、お疲れさまでした。そして、第二作、完結おめでとうございます。

カルルシュは、死の直前までずっと引きずっていたんですね。
たぶん家族にはそんなことはおくびにも出さずに接していたんでしょうけど、そう思うとほんとに哀れだなぁ。
22もねぇ、気持ちはわからなくもないし、カルルシュやマヌエラを許せとは言わないけど、せめて今わの際の兄の言葉くらい、聞きに行ってやってもよさそうなものを。カルルシュにとって、救いがあったのかなかったのか、わからない人生でしたね。
カルルシュの跡を継いだアルフォンソは、ドラガォンのシステムから大事な人々を守るために、自らを犠牲にした。
マヌエラのもらした言葉は、ほんとうにそう言うしかないのだろうな、と思います。

そして、システムを守るために、自らの幸せをなげうったアントニオとジョアナのやりとりが、この作品世界の虚しさを象徴していますね。これほどの人生模様が繰り広げられているというのに、それらが記録に残ることはなく、むしろ何事も起きていないかのように、システムが運営されていく。痺れますね、このエンディング。

こうなってくると、いよいよ第3作が楽しみですが……今後のご予定は?
楽しみにしています。
2020.06.17 09:06 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんばんは。

ありがとうございます。

カルルシュ、いくら頼りないとはいえ、子供たちの前では一応「当主のお父さん」をやっていましたので、ずっと思い悩んでいたことを見せませんでした。
でも、実は結局それが一番の心残りだったようです。
22は意固地になっていますので、マヌエラが来たからってほいほい許しには来られなかった模様。
この人、実の父親ペドロのことも許さないで、死なれていますので、周りは来なくても「やっぱりねー」と思っていたかも。

さて、前半のシーンは、ちょうど前作が終わったぐらいの時期の話です。
この頃23の居住区にいる何もわかっていないマイアは、23とラブラブ状態になり、ひとりルンルンしています。
23の方は、このストーリーのすべての背景を知っていて、その上でここで自分が意固地になっている場合ではないことをわかっているので、兄に何かあったら自分がドラガォンを背負って立たなくてはならない、そうでなければアルフォンソとクリスティーナだけでなく、ペドロも、22も、カルルシュもマヌエラも、アントニオもジョアナも、とにかくあれこれあった全員が浮かばれないと思っているわけです。

アントニオもジョアナも、ただのきびしいおじさんとおばさんに見えますが、実はそういうわけで、あの屋敷にずっといて、マヌエラたちを支えている、そんな裏話のようなストーリーでした。

という流れを背景に、ようやく『Filigrana 金細工の心』の連載を始めようと思います。
ただし、その前に例のエッセイや、123456リクエストなどをちょこちょこと挟もうと思っています。
(そしてその間に自転車操業を……)

長らく読んでいただき、また次作も楽しみにしていただき感謝です。

コメントありがとうございました。
2020.06.17 18:36 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
血筋の継承にこだわって他からの血をいれずに代を重ねると弱くなるといいますが、やはりカルルシュやアルフォンソを見ているとそういう傾向にあるのでしょう。23にしても24にしても弱い部分が見えていましたものね。たぶん他にも体の弱い当主でなんとか代を繋いだことも多かったのではないでしょうか。
マイアくらい血筋の薄い者が入っても、やはり血筋の中から選ばれているのですからちょっと心配に思ってしまいます。
どんな血脈を繋いでいるのか分かりませんが、それがドラガオンシステムを厳格に運用する事の弱点なのかもしれません。
厳格なアントニオ、怖いくらいです。
ジョアナ、彼女も負けていませんね。
こんな人であるからこそこの位置にいるのであり、システムは続いていくのだと思いますが、この2人の関係を思うとなんだかやりきれません。
弱い体に重責を担わされて、カルルシュやアルフォンソには同情してしまいます。普通に生まれていればもっと長く生きられたのかもしれないのに。
マヌエラがカルルシュに尽くした気持ちはわかる気がしますし、22が意地でもマヌエラを許さず、カルルシュを認めなかった気持ちもわかる気がします。
マヌエラにとって結婚は自分を生かす上で最善の、そして唯一の道でしたでしょうし、22にとって2人をうらみ続けることが自分の存在意義だったと思うんです。
22には和解なんてあり得なかったんだと思います。

次作は23とマイアでの展開になるのでしょうか?
何も知らない状態でこの重たい宿命の血族に自らの意思で引き込まれたマイアですが、彼女がどのように変わっていくのか、23と2人どのようなコンビネーションを発揮するのか、とても楽しみにしています。
あの底抜けの明るさと打たれ強さで困難を乗り越え、23と一緒に物語を先へ進めていってくれるだろうと期待しています。
連載再開をお待ちしています。
2020.06.18 12:10 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
こんばんは。

《星のある子供たち》は、いずれにしても父方も母方もどこかでは親戚(両親ともに《星のある子供たち》のみ)なのですが、遺伝子のバラエティーとしては小規模の閉鎖された町くらいでしょうか。昔はたとえば「よそ者との結婚は許さないよ」という感じで同じ村の人間との婚姻が臨まれていた共同体もありましたから、この程度のバラエティーがあれば絶滅は防げるのかなと設定しました。
とはいえ、当主の家系は、同じ遺伝子が集まる傾向がある(なんとなくよく当主夫人を出す家系に当主の娘が嫁ぎがちであるなど)ので、体の弱い当主が増える原因になった可能性がありますよね。

ならば、星一つから嫁をもらうルールにすればいいのにという話になるかもしれませんが、その一方で、当主夫人はこどもを産むだけでなく、当主の代理として対外的に仕事をする必要もあるので、やはり全くわかっていないマイアみたいなのよりは、マヌエラのように初めからいろいろなことがわかっていてそれなりに振る舞える人がよかったりするわけです。

アントニオは、そうなるように育てられたという一面もありますが、もともとこの仕事に非常に適性のある性格だったのですね。《鍵を持つ者》は当主と違い、いくつかの家系の中から最も適性のある者を選びます。こちらは完全な実力主義なのですね。ジョアナも実際に、アントニオのパートナーとしてぴったりな人だったのでしょう。結婚はしませんでしたが、この2人はいいコンビとしてずっと《ドラガォンの館》で歳を重ねます。

この3部作は、すべてを貫くテーマが「運命との和解」なのですけれど、意固地になった22を置き去りにして終わったこの『Usurpador 簒奪者』は、第3作『Filigrana 金細工の心』の前提となります。

次作では、マイアはほぼ蚊帳の外です。ほら、マイアはルンルンして終わりましたので、作者の興味対象から外れてしまったのですよ(笑)

『Filigrana 金細工の心』では、『Infante 323 黄金の枷 』で「あれ、この人たち何しに出てきたんだっけ」という状態だった女性2人がダブルヒロインとなって話が進みます。

あまり間を空けずに連載開始したいと思っていますので、また読んでいただけると嬉しいです。

ご愛読とコメント、ありがとうございますした。
2020.06.18 19:21 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
連載楽しませていただきました。
うん、何だか、第1作目のマイアのお花畑物語はあれはあれで良かったのですが、システムの意味が重い割にはマイアが(確かに)「るんるん」過ぎて(いや、それはそれでいいんだけれど)、個人的にはこれまで夕さんが書かれた外伝のほうが、なんかどろどろ感がはっきりしていて結構好きだったんです。そういう意味では、今回の連載は、この世界を正確に(というのか、言葉が上手くないけれど)伝えるお話だったような気がしました。
すごく俯瞰してみたら、こんな立場に生まれてうんぬん、もっと他の生き方だったら幸せだったかもうんぬんのタラレバ話は、どんな世界にもないと思っているので(そりゃ私は、平和な日本であんまり困らないでのほほんと生きているけれど)、彼らの人生のどれも、今の比較的どんな国へ飛行機でパスポート持って行けちゃう(今はコロのせいで行けんけど)時代だから「不自由で可哀相」みたくみえちゃうけれど、つい70年ほど前だったら、世界はほとんど人がのほほんというわけには行かなかったから、みんなそうは思わなかったかもなぁって。

えっと、何が言いたいのかというと、人は誰しもその生まれた場所・環境・時間での運命があって、それを受け入れざるを得ないってことなのかな。運命に従順になるっていうことじゃなくて、そこにあるのは非情(情がないって意味ではなくて、情というもののつけいるところはないって意味)なので、そこでどう生きるかはもう、その人その人でいろいろありって。逆らうのもあり、しょぼんとするのもあり、流されるのもあり、何とか折り合いを付けるのもあり、そういう感じ?
だから、カルルシュもマヌエラも、アントニオもジョアナも、そして未だぐれてる22も、それぞれの置かれた場所で生きているわけだなと。もっとこうしたらいいのに、というのを感じない。それが夕さんの小説のいいところだなぁと思います。読んでいる方も、受け入れざるを得ないというのか。諦念と和解と言う言葉には意味の違いがあるんだろうけれど、根っこには同じものがあるのかなぁ。
カルルシュの最後の言葉は切ないけれど、なんてのか……言葉があって良かったと思いました。みんながそれを聞いて、色々思っただろうから。最近、人生後ろから数えるようになると、何でもあっさり受け入れちゃう自分がおりますわ。

そうそう、外伝を読み直してみたんですよ(ちょっと事情があって……お楽しみに?)。
で、まぁ~、通して読んだら、うちのトト、もしかしてマイアとDNAを共有してるんじゃないかと思うくらい、脳天気やなぁ(マイアは人に迷惑かけてないけれど、あいつ、迷惑かえりみとらん)。まぁ、兄貴がしっかりしてるし、詩織は結構言いたいこと言う怖い小姑になるかも、だから、いいか。
外伝では、23が22のヴァイオリン聴いていたお話が、やっぱり好きだったなぁ。

あ、そうそう。誰のこどもか分からない話。
『ダ・ヴィンチコード』ではあの血脈キープ集団は、なんとマグダラのマリアのご遺体を保管しておりましたわ(でも、トムハンクスが最後に棺が埋まっているルーブル美術館のピラミッドの上でターミネーターみたいにかがんでいましたが、とても掘り出せそうにはないけれど。しかも、入れ替わってても誰も分からん)。DNA鑑定が可能という設定ですね。でも2000年もたったら、もう、継ぎ足した秘伝のソースには元のものは残っていない状態、なのかもなぁ。
特殊な遺伝病がない限りは、血縁が近いと弱いこどもが生まれる論は気にしなくてもいいのかしら、と思ったりしますが、種の保存は多様性が一番の目的だから、そういう意味では変化する環境に対応する能力は下がるかも、ですね。

ともあれ、次のお話、楽しみにしています(*^_^*) 
2020.06.19 05:06 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
こんばんは。

最初は、本編はマイア視点のアレだけのつもりだったのですよ。
でも、裏で暗躍している奴らの暗ーい話の比重が大きいものだから、外伝ではおさまらなくなってしまい、こんなことに(笑)

この話の設定は「んなわけないだろ」なものなんですけれど、おっしゃる通りこういう制限は大昔でなくてもわりとそこら辺にあったもので、たとえば鎖国をしていた日本もそう(出て行けないのが普通だった)ですし、数十年前のスイスでもムスリムどころか「カトリック教徒(もしくはプロテスタント)と結婚? 絶対ダメ!」なんてのは普通だったようです。文化によってタブーは様々で、「そんなこと」とよそ者が言うのは簡単なんですけれど、共同体にとってはとても大切なことであるのなら止めることはできないのかもしれませんね。

このシリーズもそれなりに登場人物が増えてきましたが、視点を変えてみれば、本人には本人なりのいいたいことがあって、それぞれが一生懸命、もがいたり受け入れたりして生きている、というのを少しずつ開示しているような感じですかね。

諦念と和解は、基本的には同じですね。和解といえば格好いいのですけれど、ようするに皆がそれぞれに何かを諦めて手放して生きていく、そんな姿を描いているつもりです。カルルシュは、最後までヘタレでしたけれど、少なくとも彼には一番の理解者であるマヌエラがいて、子供たちに恵まれて(当主として重い荷を抱え、悩みはあったけれど)彼としてはそんなに悪くない人生だったのでは、と思います。少なくとも前半よりはずっと。

さて、お、何か書いてくださるご予定かな? って、あれかしら、もしかして(笑)楽しみです。

うちの外伝ですけれど、発表したときは私しかわかっていなかったあれこれが、そろそろみなさんにも意味がよくわかって、また読んでいただいたら違う感じの理解になるのかな、なんて思っていました。とくに「格子の向こうの響き」は、なぜ22があれほど感じが悪かったのかも、そろそろ納得していただけるかと。それにしても意固地なんですよ、あの人。

そして『ダ・ヴィンチコード』そうなんですね。
でも、ツッコんでいいですか? 100歩譲ってマグダラのマリアのご遺体が本物だとしてですね。
でも、それじゃ、マグダラのマリアの子孫かどうかはわかるけれど、キリストの子孫かどうかはDNA鑑定できませんよね?
でも、復活していないということになっているのに、ご遺体を残すわけにもいかないから、そうなるんだろうか……。

まあ、母方の遺伝子は厳密に管理していれば、ちゃんと渡されていきますけれど、父親の遺伝子って2000年もあったら、絶対にどこかで間男のと入れ替わってますよね(笑)

ということで、うちのシステムでは男の方にも女の方にも等しく「誰か」の遺伝子は入っている、そして、それだけで交雑を繰り返しているという設定にしてあります。それと、ヨーロッパの王家で困りまくった血友病のようなことがあると困るので、《星のある子供たち》の人数を数百人単位にしてみました。このくらいの範囲であれば、ある程度の多様性は保てるのではってことで。

カルルシュとアルフォンソの2人ともが弱かったのは、血が近かったからというよりは、単に弱かった体質を引き継いだ設定、23と24の方は血が近いからというよりはそもそもの境遇に問題があるからああなったのでは、という感じですかね。とくに23はたんなるビタミンDと太陽が足りていなかった、ということで。

というわけで、次は感じの悪い22が主人公。また読んでいただけたら嬉しいです。
その前に、少しずつですが、123456記念なども発表できたらと思っています。

ご愛読と、コメント、どうもありがとうございました。

2020.06.19 22:39 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
掲載お疲れ様です。
やっぱり、亡くなるときに思うのは子どものこと。。。
・・・というのもありがちですけど、よくある話ですね。

私の職場でも、子どもと不義理になった親というのは、
どうして、亡くなる前に子どものことを口にしますね。
そこから死ぬ前に会える家族もあれば、会わないまま別れる家族もある。。。
こっちも、あまり家族問題には干渉しないですけど、
亡くなる前ということもあって、
仲違いしていると分かっている子どもに
「親が死ぬ前に子どもに会いたい」旨の電話をかけることもありましたね。
(>_<)
2020.06.25 03:23 | URL | #- [edit]
says...
こちらにもありがとうございます。

この話は、亡くなるときに一番気にしていたのは「子供のことではなかった」という話なのですけれど。

ともあれ、子供に、親やパートナー、その他のどんな係累にせよ、不本意で疎遠になってしまい、それが大きな引っかかりになっている場合、いつもはそんな素振りも見せなかったのに、今際の際に急に言い出すということはあるようですね。

このテーマでは、別に掌編を書いたこともあるのですけれど、会って和解すべきかどうかもケースバイケースで、正解に当たることはないのかなと思います。

コメントありがとうございました。
2020.06.27 09:00 | URL | #9yMhI49k [edit]

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