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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

【小説】つーちゃん、プレゼントに悩む

scriviamo!


今年最初の小説は、「scriviamo! 2021」の第1弾です。ダメ子さんは、プランBでご参加くださいました。ありがとうございます! プランBは、まず先に私が書き、それに対して参加者のブロガーさんが創作作品や記事などを書いてくださる参加方法です。お返しを考える時間も必要でしょうから、とりあえず早急にアップさせていただきました。

ダメ子さんは、かわいらしい絵柄と様々な登場人物たち、それに短いセリフで胸のど真ん中を突くストーリーの、ネガティブな高校生ダメ子さんを中心に繰り広げられる日常を描く人氣マンガ「ダメ子の鬱」でおなじみです。

さて、「scriviamo!」では恒例化しているこのシリーズ、もともとはダメ子さんのところに出てくる、「チャラくんにチョコレートを渡せない後輩ちゃん」をネタに書かせていただいたものです。後輩ちゃんを勝手に名付けてしまったアーちゃんだけでなく、付き添いで勝手に出したつーちゃんまでも、いつの間にかダメ子さんの「ダメ鬱」のキャラクターに昇格させていただいています。1年に24時間しか進まないのに、展開は早いこのシリーズ、今回、先行で書かせていただきましたが、実は24時間なんて進んでいません。合同デートのその夜の話です。どうなるんでしょうねぇ。っていうか、もともとのメインキャラ、アーちゃんを置き去りにしているかも……。


【参考】
私が書いた『今年こそは~バレンタイン大作戦』
ダメ子さんの描いてくださった『チョコレート』
ダメ子さんの描いてくださった『バレンタイン翌日』
私が書いた『恋のゆくえは大混戦』
ダメ子さんの「四角関係』
私が書いた『悩めるつーちゃん』
ダメ子さんの『お返し』
私が書いた『合同デート』

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つーちゃん、プレゼントに悩む - Featuring「ダメ子の鬱」
——Special thanks to Dameko-san


 私は、帰宅してからずっとネットの前に陣取っている。それまでの検索履歴は、ずっと麗しい外国人モデルばかり、私のまったくお金のかからないパーフェクトな趣味に関するものだけだったのに。あ、「薄い本」つまり同人誌を作るための諸々のコストは別だけれど。

 なのに、この私が現存する(そりゃ外国人モデルだって現存しているだろうけれど、2.5次元の世界にいるから現存しないも同然だ)日本人男子学生のために、ネットショップを巡回する羽目になるとは!

 私は、ムツリ先輩が少しは喜びそうな、でも、仰々しくない、ついでにいうと動機を誤解されない程度のプレゼントを購入するというミッションを抱えている。

 今日のデートは、いや、私のデートではなくて、アーちゃんとチャラ先輩のデートに私とムツリ先輩が同行しただけだけれど、私たちの思うような方向にはなかなか行かなかった。どういうわけか、私とムツリ先輩がゲームセンターに迷い込んでしまい、『時空の忠臣蔵』っていうシュールなゲームに興じていたので、映画を見そびれてしまったのだ。

 で、その後、プリクラを撮ったり、他のゲームをしたりして、4人で色氣もへったくれもない午後を過ごした。

 ふとみたら、クレーンゲーム・コーナーがあって、ぬいぐるみがこちらを見ていた。お。これって、アーちゃんを喜ばせるチャンスをでは? そう思った私は、中でも特にカワイイぬいぐるみが入っている台のところで騒いでみた。
「きゃー、アーちゃん、これかわいいよね。欲しくない?」
アーちゃんの部屋に、こういうファンシーなぬいぐるみがそこそこ置いてあるのはリサーチ済みだ。

「うん。かわいいね。あれ? つーちゃんも、これ欲しいの?」
怪訝な顔をするアーちゃん。それも当然。そもそも私はぬいぐるみには興味はない。ロシアのイケメンの方がずっといい。そこは、スルーして「きゃー、欲しい」とだけ言っていればいいものを。

 チャラ先輩とムツリ先輩も近づいてきて、「ほお」という顔をした。
「よし。ムツリ、俺たちで取ってあげようぜ」

 げ。私はいらないよ! とはいえ、言い出しっぺなので今更いらないとも言いにくい。ああ、チャラ先輩がクレーンゲーム上手で、ムツリ先輩は下手だといいなあ。

 でも、現実はそんなに都合よくは運ばなかった。2人ともクレーンゲームはさほど得意とはなさそうだった。もちろん私がやったらもっと下手だったはず。問題は、2人ともけっこう課金しちゃったこと。もちろん、チャラ先輩の取ったピンクのウサギは、順当にアーちゃんが手にした。なんか空氣を読まないチャラ先輩は、最初私にくれようとしたんだけれど、私は急いでこう言ったのだ。
「わ。このウサギ、今日のアーちゃんの服とぴったり!」

 まだ取れていないムツリ先輩に「もういいから他のことをしませんか」と言いそびれたのは、そのやり取りがあったからだ。アーちゃんは、チャラ先輩からもらったウサギを大事に抱きしめていた。結局、直にムツリ先輩が取った緑の亀をもらうことになったのは私だった。

アーちゃんとつーちゃん by ダメ子さん
ダメ子さんからイラストをいただいてきました。このイラストの著作権はダメ子さんにあります。

 不要な課金をさせてしまった以上、なんかのお返しをしなくては、私の氣が済まない。ただでさえお茶代とかもお2人が出してくれたしなあ。っていうか、チャラ先輩とアーちゃん、そろそろ勝手にデキて、2人でデートしてくれないかなあ。

 さて。私は、ムツリ先輩の好みなんて、全然知らない。まあ、どんなチョコが好きかは、安売りチョコの交換をしたので知っているけれど、さすがにアレってわけにはいかない。

 こんな短い間に、何度もプレゼントのやり取りをしていると、周りだけでなくムツリ先輩にも誤解されそうだし、何か「これは儀礼的なお返しですから」って感じのするプレゼントってないかなあ。私は、3次元にはとことん縁のない女なので、こういうときにどうしたらいいのかがさっぱりわからない。

 ネット巡回を繰り返していると、スマホがメッセージの到来を告げる。あ、アーちゃんだ。

「つーちゃん、今日はつきあってくれて、どうもありがとう。大好きなチャラ先輩と。お茶して、一緒にゲームして、夢のような午後でした。チャラ先輩に取ってもらったウサちゃん、宝物だよぅ」

 って、その文面を、そのままチャラ先輩に送って、次につなげるのよ! って、3次元に縁のない私が、なんでこんなツッコミをしているんだか。私は、急いで返信を書く。
「それそれ。その文面をチャラ先輩に送って、ウサちゃんのお礼をさせてくださいって、1対1のデートにつなげるのよ!」

「ええっ。そんなの、無理! つーちゃんは、ムツリ先輩と、そうやってデートするの?!」
なんなのよ、この文面は。
「するわけないでしょ。私は、形だけのお礼の物品を渡して終わり。アーちゃんは、ちゃんとかわいく、先につなげてよ!」

「でも、でも! わ、私、デートなんてしたことないし、つーちゃんがいないと、どうしていいかわかんない!」
おいおい。私だってそんなことわかんないし、そもそも、そんなんじゃ生涯おつきあいなんてできないじゃない。
「大丈夫だって。今日だって、しばらくチャラ先輩と2人きりでお茶していたじゃない。アレの続きだと思えば……」

 だいたい私は、パニクるアーちゃんにつきあっているヒマはないのだ。さくっとムツリ先輩へのプレゼントの件を片付けて、美形の2.5次元を眺める日常に復帰しなくちゃいけないんだから。

 うーん、何がいいかなあ。ムツリ先輩はバスケ部だから、なにかバスケットボール関係のもの? タオルとかはどうかな。スポーツブランドの……わっ、けっこう高い。かといって、お風呂で使うみたいなもの贈るのも微妙。

 バスケ関係の書籍は……。「上手くなるためのトレーニング100」かあ。これじゃ、バスケが下手だと宣言しているようなもんか。ダメだ、これは地雷。

 面白グッズは……。バスケットボール柄のマウスパッドか。こういうのいらないよね。ほら、心にヒットして愛用されても困るし、反対にいらないモノをあげても迷惑なだけだし。

 何か、消え物ないかなあ。引越のあいさつでいう、ティッシュみたいな。誰もが必要だけれど、でも、すぐに使い切って、なくなってくれるもの。

 あっ、これは? Shoe Cleaning Wipesだって。靴のクリーナー? 携帯用の個別包装で12個セット。値段もまあまあお手頃で、クレーンゲームで使った分くらいだよね。これなら使ってなくなるし、色氣はゼロな感じだし、決定。

 私は、商品をポチって、お母さんにクレジットカードの入力を頼んだ。

「なにこれ?」
「バスケットボールの靴をきれいにするお手拭きみたいなもん?」
「あなた、バスケットボール部に入ったの?」
「ううん、帰宅部のままだよ」
「ああ、じゃあ、アーちゃんへのプレゼント? にしては、可愛くない真っ黒な商品ね」

 お母さんにいろいろ詮索されても面倒なので、この手の商品にファンシーなものはないのだとだけいって、金額分のお小遣いを渡し、なんとか購入にこぎ着けた。ああ、面倒くさい。やっぱり2.5次元を眺めている方がずっと楽だわ。

 商品がうちについて、それをさりげなくラッピングして、さらに変な感じにならないようにサラッとムツリ先輩に渡すのかあ。なんだか、障害物競走をしているみたい、はあ。

 私が、悩みまくっているのも知らず、その間もアーちゃんから、これからどうしたらいいのかを問い合わせるメッセージが、どんどんと貯まっていた。

(初出:2021年1月 書き下ろし)
関連記事 (Category: scriviamo! 2021)
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Category : scriviamo! 2021
Tag : 小説 読み切り小説 コラボ

Comment

says...
執筆、お疲れさまでした。

ああ、クレーンゲームは、むきになったら負けです。あれは、店員に頼めば……いや、なんでもありません。
あーちゃん、ぬいぐるみ貰って嬉しかっただろうなぁ。つーちゃんの言うとおり、メールしちゃえばいいのにね。すっかりつーちゃんを頼りにしていますね。そんなことだから、付き添いだったはずのムツリ氏とつーちゃんの方が進みそう……って、なんか去年も同じようなコメントを書いた気がする(笑)
こうなるともう、なにがなんでもくっつけないぞ、という作者の意地のようなものすら感じます。
まあ、そのおかげでずっと連作で繋がっていて、まさに「scriviamo!」を地でいくコラボだなぁと思えるんですけどね。
ダメ子さんのお返しも、また来年の展開も楽しみです。
2021.01.06 11:56 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
2.5次元に生きている友人が何人かいましたが、みんなどこかの時点で3次元に帰ってきていました。まぁ、人によってはまた2.5次元にすぐに戻っちゃうのですが。恋はその人の住む世界を変えるんですね。もしかしてつーちゃんも、まさかのどこかで3次元に返り咲いたりしちゃいそうな……アーちゃんよりも結構行動に出ていますから、これで付き添いムツリ先輩が誤解して、あれやこれやで?
まぁ、ダメ子さんと夕さんでその展開はないか(o^^o)

いや、でも、ほんとにあ~だこ~だ考えるのはアーちゃんと一緒だけれど、アーちゃんに比べて「何かしている感」は強いですよね。誤解されないようにプレゼントを必死で考えるってことは、少なくともその時間ムツリ先輩のことを(好き嫌い関係なく)考えているんですから。

そして、いるいる、アーちゃんのような子。要するにその人の話を誰かにしたいだけなんですよね。くっつかない方が楽しいのかもなぁ? 
などど、毎回思うこのシリーズ。本当に、もうすっかり定着しましたね。
ダメ子さんの切り返しが楽しみです(o^^o)
2021.01.06 13:51 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
こんばんは。

ええっ。店員に頼むなんて裏技が?!
ま、純真な高校生がそんな裏技は知らない方がいいのかも?
実は、クレーンゲーム、トライしたことないんですよ。きっとお財布空になるんだろうなあって。

アーちゃんは、絶望的なあがり症設定で、つーちゃんにはあれこれ言えるようですが、チャラ先輩には言えないのかも(笑)
チャラ先輩も、チャラチャラしていて知れなりのおつきあいはあるようですので、アーちゃん、たぶん前途多難です。

ムツリくんとつーちゃんは、どっちかにスイッチが入ったら、普通に恋愛物になりそうですけれど、どうなんでしょうね?
じつは、ムツリくん、チャラくんよりももてて、やることもちゃんとやっているらしいので、こっちも何も起こらないかも?
まあ、チャラくんもムツリくんも、あちらのメインキャラですから、私は余計なことはしないように自重しています。

この後どうなるんでしょうね?
ダメ子さんのお返しが楽しみです。

コメントありがとうございました。
2021.01.06 21:59 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

よく考えると2.5次元愛好家は、3次元に戻ってきやすいのかもしれませんね。
かけ持ちもOKか。

ムツリ先輩は、意外と経験豊富だし、その気になったらつーちゃん程度はあっさり落とせると思いますが(すでにかなりぐらついているみたいだし)、ムツリくん、何を考えているのかちょっとわからない(笑)

ま、きっと、普通のラブラブ方面には行かないでしょう、ダメ子さんのところの路線的に。

そうですね。
アーちゃん、本当にチャラ先輩とくっつきたいのか、その辺は微妙ですよね。
単にあがってしまうので、上手く伝えられないのか、それとも、片想いで盛り上がるのが好きなのか、微妙な感じです。

つーちゃんは、ぐすぐずするのが嫌いみたい?
しかし、チョコレート(半額)の交換からまだ1週間も経っていないのに、もう次のプレゼントって、行動だけは展開が早いなあ……。
私もダメ子さんの次の手が楽しみです。

コメントありがとうございました。
2021.01.06 22:17 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
う~ん・・・現代っ子の行動(夕さんが想像で作り出されているものですが・・・)にちょっとイライラさせられています。あ、けっして悪い意味じゃないんですよ。しょうがないなぁと思いながら楽しく拝読しています。
サキにとってこういうシチュエーションはあるあるではないのですが、こういう二組の関係ってそれぞれに有りなのかなぁ。
アーちゃん、なかなか発展しそうにないし。つーちゃんはプレゼントにこんなに理屈をこね回しているようではまだ入り口にも達していないようだし、なんだかどちらも成就しないような気がしてきました。
ちなみにクレーンゲーム、サキは始めから「取れるはずはない」と決めていて、チャレンジしたことすらありません(マイナス思考ですね)。
ダメ子さんのお返しを待ってみますが、このまま青春のほろ苦い(甘酸っぱい?)思い出になってしまいそうです。
2021.01.09 03:30 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
わっ最初
素早くありがとうございます
2月のイメージだったので油断してました

怪しいゲームだけじゃなく
みんなでワイワイクレーンゲームもしてたんですね
まさにリア充…

そしてつーちゃんの絶対勘違い(?)されたくない
という気持ちがすごく伝わってきました

続き描かせていただきます
2021.01.09 13:37 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

あはは。この2組が全然進展しないのは、作者2人共、進めるつもりがないからでは。
ムツリくんとチャラくんは、ダメ子さんのところのかなり重要キャラなので、私が勝手に進めるわけにはいかないんですよ。
あちらの構想などがあるでしょうし。

クレーンゲーム、私も最初から諦めている組です。
金魚すくいも取れたためしないですし、きっと無理。

ダメ子さん、おそらくバレンタインデーの頃にお返しをくださると思います。
あのチームが出てくるだけでワクワクするんですよね。楽しみです。

コメントありがとうございました。
2021.01.09 23:17 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

Bの方は、お返しを考える時間が必要なので、できるだけ早く発表するようにしているのです。
2月のいつもの頃で構いませんので、どうぞごゆっくり!

チャラくんとムツリくんだし、それなりにリア充な展開にはなるのでは?
その割には、まったく進展していませんが。

つーちゃん、いろいろと自分に言い訳しまくっていますが、かなり意識しているような……。
空回りにならないといいんですけれど(笑)

お返し楽しみです、どうぞよろしくお願いします。

今年もご参加いただきありがとうございます!
2021.01.09 23:20 | URL | #9yMhI49k [edit]

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