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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

【小説】蝉時雨の奇想曲(カプリス)

先日から時おり言及していた読み切り小説、「十二月の組曲」の八月分です。あえて言うまでもないと思いますが、私の書く小説は全てフィクションです。それは「十二月の組曲」に属する短編についても同じです。たとえ、明白なモデルがあっても、私小説に近いものでも、全てフィクションとしての設定を組み直しています。というわけで、この話の設定の半分はフィクションですので(しつこい)




蝉時雨の奇想曲(カプリス)

 虫取り網を持った子供たちとすれ違った。夏休みの開放感にはしゃぎながら、キャッキャと騒いでいる。ねっとりと肌にまとわりつく重い空氣など全く感じないかのように朗らかに。


 都会とは思えないほどの自然に囲まれたこの寺の境内で、たくさんの蝉が一斉に叫んでいる。本堂の手前では忙しく社葬の準備をする業者たちの声が聞こえた。志乃は礼装用ハンドバッグからハンカチを取り出して汗を拭いた。

「池田くん、こっちだ」
香川部長がテントの中から呼んでいる。志乃は黙って一礼するとテントに入っていった。
「遅かったじゃないか。どうしたんだ?」
「すみません。人事部長に呼ばれていました」

 志乃がそういった途端、香川部長の顔は、氣まずそうに歪んだ。知っているんだ、この人も。志乃はつま先を見つめて唇を噛んだ。

「とにかく、今日はここで君に仕切ってもらうから。お香典の管理の責任者として頼むよ。記帳が始まったら絶対にこの場を離れないように」

 志乃は顔を上げた。
「では、いまのうちにご焼香させていただきます」

 香川部長の顔はさっと曇った。
「いや、それは遠慮してほしいんだ。その、奥様がな……」

 再び志乃はつま先を見つめて、短く頷いた。


「えっ。ちょっと、あのテントにいるの、池田課長じゃない?」
「そうよ。香川部長が呼んでいたもの」
「ええ~っ? でも、何で課長ここに来れるの? 噂じゃ日高専務、腹上……」
「しっ!」
「ああ、ごめん。不謹慎だったわね。でも、そうなんでしょ。池田課長と……」
「違うのよ。亡くなった時の相手は受付の新井ちゃんだって」
「げっ。そうなの? 新しいブランドものばかり持ってたからなんか怪しいと思ってたけど」

「彼女、警察で事情を訊かれた後、ビビって寝込んじゃっているらしいよ」
「本命の彼氏には振られちゃうかもね」
「ま~ね。でも、新井ちゃんはいいんじゃないの? 退職してどっかでやり直せば。まだ二十歳そこそこだし、かわいいしさ」
「そうよねぇ。それにひきかえ……」

 喪服を着た三人の女たちの視線は、池田志乃に向けられた。

「池田さんさ、これらしいよ」
そういうと、一番事情通らしい女が首のあたりに手をやった。
「ええッ? もう?」
「うん。さっき、部長に呼び出されてたの人事の本田っちが見たんだって。自主退職勧告ってやつ?」
「ああ、日高専務って婿養子でさ、奥様は大株主の一人娘だったんでしょ。今はその株、全部奥様が相続してるし、亡くなった専務の分と合わせると筆頭株主なんじゃないかな。奥様が眉を上げたら社長だって走るよ」
「日高専務が社長になったら、池田さんがはじめての女性役員になるとまで言われていたのにね。諸行無常だ……」


 声が大きすぎる。全部聴こえているわよ。二人の関係は会社中が知っていた。志乃は知られても構わないと思ってきた。世間がなんと言おうとこれが自分の幸せの形なのだからと。

「池田課長は私たちの憧れなんですよ~」
つい先日まで、彼女たちは言っていた。志乃はそれを鵜呑みにしていたわけではなかったが、少なくとも自分の地位は自分で獲得してきた自負があった。支店に十年もいたので、昇進は随分と遅れてしまった。だが、その間もふてくされずに仕事に励んだ。

 ずっと本社の中枢にいて営業で目覚ましい成績を残した日高が最年少で経営陣に加わったことと、志乃がようやく本社に戻れたことを二人でひっそりと祝ったのは二年前だった。それから志乃は念願の本社営業で社運をかけたプロジェクトに抜擢された。日高の元部下だった香川部長はこのプロジェクトには押しが弱いので、志乃が部長になって引き継ぐのは時間の問題と言われていた。ようやく長年の努力が認められた。

 女性社員たちの羨望は陽のあたる場所にいること、都心のマンションで暮らし、流行のスーツに身を包む華やかな自分に向けられたものだろうが、その裏には今までの苦労があるのだ。志乃はそれが誇らしかった。

 しかし、その苦節も仕事ぶりも、大株主のご機嫌ひとつで吹き飛ぶ程度のものでしかなかった。


 先程の女たちは、焼香から戻ってきて、また話しだした。
「奥様と池田課長って同い年なんだって。そうは見えないよね」
「池田さんって、異様に若いよね。リフティングしてるのかな」
「さあね。子供産んでいないからかもよ。それとも、服装が違うから? もう五十近いのに派手だよね。ま、女が出世するには、仕事よりもそっちだよね」
「バブルの申し子か。その頃から日高専務の愛人だったのかな」
「さあ。もしかして新井ちゃんが生まれる前からとか? ひえ~」

 葬儀の間中、志乃は人々の好奇の目にひたすら耐えていた。聞こえないふりをして震える手で香典の金額を書きとめ続けた。


 葬儀が終わったらしい。出棺の前に、未亡人にマイクが渡された。少し遠いが志乃もその声を所どころ聴き取ることが出来た。
「本日は……きっと亡くなった主人も……突然のことで……主人は私たち家族を大切に……ちょっとした出来心で過ちを犯したこともありましたが……」
出来心の過ち。志乃はその言葉を心の中で繰り返した。剛さん。私はあなたの言葉を信じてきた。
「愛しているのは君だけだ。でも子供がかわいそうだから、今、妻と別れることはできない」

 奥様が大株主の娘であることは知っていた。だから離婚したら彼が地位を失うこともわかっていた。
「俺はどうしても社長まで登り詰めたいんだ。この会社を本当にまともにできるのは俺しかいない。志乃もそう思うだろう? 俺たち二人で、この会社を業界一位に押し上げよう」
二人で。そう、二人で。志乃は結婚などという形にはとらわれない愛を示したかった。


 奥様には理解できないあの人を、私だけがわかっている。はじめてのデートで聴いたフォーレの『ヴァルス・カプリス』。荒削りに見える人が、こんな繊細な音楽を愛するなんてとても意外だった。暗闇の中で、握られた彼の手の暖かさにときめいた。彼がピアノを聴きながら食事をするのが好きだというので、当時買ったばかりのマンションには、質のいいオーディオを揃えた。フォーレ、ショパン、リスト。知らなかった曲を沢山用意して、彼を待った。いま聞こえている蝉時雨が、フォーレの踊り回る音色と重なる。『ヴァルス・カプリス』。私たちだけの愛の世界。


「退職したら、俺は家を出て、志乃と暮らすつもりだよ。その頃には子供たちも成人しているしさ」
子供たち。先程、テントにやって来た二人の少女たちの視線が心に突き刺さる。セーラー服に喪章をつけた少女たち。一人は十八歳で、もう一人は十五歳のはずだ。


 二人目が出来たという話を日高剛に聞かされた時、志乃は怒った。長女が成人するまで離婚は出来ないが、妻との関係は崩壊しているとずっと言っていたのに。だが日高は酔った末の過ちだと言った。

 三年後にまた子供が出来たと聞いた時、志乃はもう何も言わなかった。「私もあなたと結婚して子供が欲しいのに」その言葉を飲み込んでしまった。

 蝉時雨が、突き刺さるように降り掛かる。二人の少女の視線のようだ。
「見て。あの女がクリスマスとバレンタインデーの……」

 日高剛の自慢は、家族と愛人の両方を満足させてやっていることだった。
「家族とは夏休みと正月を一緒に過ごして、家族サービスをたっぷりしてやっているんだ。その分、クリスマスとバレンタインデーは、お前とゆっくり過ごすって妻に宣言してあるのさ」
「そんなこと言って、大丈夫なの?」
「ふん。あの女は、働けもしないからな。だから、お前の存在をはっきりと言っても、何もしないんじゃないか」

 私は奥様とは違う。自分の城と仕事を持つ自立した女として彼と対等に生きているんだ。打算の何もない純粋な愛を彼に捧げている。


「いい歳して、愛だの恋だの言っているんじゃないわよ」
数年前に、不倫を知った妹が吐き捨てるように言った。
「そんな事を言うなら、どうして斉藤さんと結婚しなかったのよ」

 斉藤健司。悪くない人だった。日高剛のような野心やロマンティックなデートの演出は望むべくもなかったが、優しくて表裏のない人だった。健司は子供がいつも笑っていられる温かい家庭にしたいと言った。志乃も子供は好きだった。いつかは結婚して自分の子供を産みたいとも思っていた。けれど、その時の志乃には「よき母よき妻」でありながら、仕事を続けるのは無理だった。

 あの時、志乃にはプロジェクトの方が大切だった。総合職として採用されて六年、男性社員に負けないように頑張ってきた。仕事の企画・提案は誰よりも早く、なおかつ高クオリティのものを提出してきたと自負していたし、ゴルフやアルコールによる接待も嫌がらずにしてきた。それなのに平凡な男性社員よりも昇進が遅い。そのことが悔しかった。

 志乃は中学校や高校でいつも優秀な成績を残し、有名私立大学に現役で合格した。就職のときも総合職以外は考えられなかった。


「死んだ子の歳を数えるな」という。数えてどうなるというのだろう。けれど、志乃は蝉が激しく鳴くと、生きていれば直に成人式を迎える子供のことを思う。

 健司は産めと言った。結婚して、一緒に子供を育てようと。志乃にはその妊娠は迷惑以外の何ものでもなかった。やっと手がけさせてもらえたプロジェクト。今、離れたら、あのぼんくらな同期たちに手柄をとられてしまう。結婚や子供はもっと後でいい。

 手術の後、自分は何をしたのだろう思いながら歩いた道。あの時も蝉時雨が狂ったように響いていた。相談もせずに中絶をしたことをなじる健司の声が遠く感じられた。その夏、二人の仲は終わった。


 恋人と別れ、中絶の罪悪感に悩み、そしてプロジェクトから外された喪失感で自暴自棄になっていた志乃に近づいてきたのが同期の日高剛だった。
「結婚するなんてもったいないよ。仕事をしている池田さんは誰よりも輝いているんだから」

 ようやく私のことを本当にわかり認めてくれる人と出会えた。日高の左手の薬指に光る指輪を残念に思いながら、志乃は思ったものだ。


 日高とつき合いだしてしばらくして、二人でいる所を社内の人間に見られた。それからしばらくして、支店に異動になった。それから、本社にいる同期とはどんどん出世に差がつくようになった。

 結婚と出産をする限界は三十五歳だと思っていたので、日高に別れを切り出したこともあった。
「何を言おうと、俺は別れるつもりはないから。俺たちはこうなる運命にあったんだよ」
それ以上、どんな言葉が必要だっただろうか。結婚という形にこだわるならば、健司さんと結婚すればよかったんだ。そうしなかったのは、私と剛さんの間に運命の絆があったからなんだ。志乃はやがて思うようになった。結婚して子供を産む代わりに、私は素晴らしい人生を手に入れたのだと。「運命の愛」と「充実した仕事」と「自立」と。


 その日高はもういない。最後に側にいることも、焼香することも、別れを告げることも出来なかった。二人で退職金をもらい、クラッシック音楽を聴きながら優雅に老後を過ごす夢は潰えた。結婚と出産を犠牲にして励んできた仕事も失った。五十を前にして次の職を探すのは難しいだろう。


 『ヴァルス・カプリス』に聴こえる蝉時雨。誰にも相手にされず、一人で寺を後にするその横を、子供たちが無邪氣に走っていく。虫かごの中の蝉は大音響で空氣を震わせる。屈託のない笑顔。前途に満ちたその姿。何にでもなれる。どんな未来も自分の手で勝ち取っていくことが出来る。蝉を一つひとつ捕らえるように。

 自分はもうあの中の一人ではないのだ。熱くつっかえるものがこみ上げてくる。剛さん。私たちの愛は、どこにいったの? 本当に存在したの? どこで人生は狂ったのだろう。私はいつでも努力を惜しまずに、真剣に生きてきたのに。

 湿氣と汗で肌にまとわりつく化繊の喪服。蝉時雨。子供たちは、人々は、夏を謳歌している。

 けれど、志乃の人生はもう秋だった。たった一人の、実りのない秋だった。

(初出:2012年6月 書き下ろし)
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Category : 短編小説集・十二ヶ月の組曲
Tag : 小説 読み切り小説

Comment

says...
 こんにちは。
感想を言葉にすることが 難しいと 言葉で表せない もどかしさを感じる小説でした。
男のずるさ 女の浅ましさ いや 大人のなりきれない人の 切なさを 哀しさを感じました。

彼女が それでも 人生は続いていくと 開き直り 強さを 新たな人生を 自分を手に入れて欲しいと
願ってしまいます。
蝉時雨が 耳に残るような 印象的な小説でした。





 
2012.06.27 08:26 | URL | #- [edit]
says...
面白い面白い面白いです!!
もう奥ゆかしさが文からも内容からも読み取れて、感服です
気持ちは湿っぽくなりましたが、ついつい何度も読み返してしまう
蝉時雨を聴いたら、この夏は志乃を思い出しそうです
2012.06.27 11:56 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

感想ありがとうございます。
人間の生き方に正解なんてないと思うんですが、それでも「どうして」と思うことがあります。
道徳的・宗教的・社会的な「正しさ」を基準に誰かを裁きたくはありません。
それでも、「その道を行かないでほしい」と祈るように願うことはあります。
それが、たぶんウゾさんも感じたもどかしさの正体なのかもしれません。
人とその営みに関わる、その「何か」を伝えたくて、きっと私は小説を書き続けると思います。

コメントをどうもありがとうございます。
まだまだですが、もっと精進しますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。
2012.06.27 17:51 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
感想、ありがとうございます!

今回、いろいろな立場から見える「人間」をどう書くかで、けっこう悩みました。
男性からも女性からも怒りの声が上がるのではないかと怖れていましたが
面白いと言っていただいて、ほっとしました。

誰かの行為を責めるような単純な書き方には出来るだけならないように
いろいろな人物からのセリフや事実から読み手が何かを感じることができるような
そういう作品にしたいと思いました。

全体的に痛い作品ですが、何度も読んでいただけたなんて、本当に感激です。
今後もまた精進いたしますのでどうぞよろしくお願いいたします。
2012.06.27 18:02 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
お邪魔しています、TOM-Fです。

 なかなか深いお話しですね。

 ラストシーンは、とても重いですね。
 人間は誰でも、動機はなんであれ、世俗的な成功を願うものではないでしょうか。そういう「業」のようなものを背負って、それとの折り合いをつけながら、毎日を送っている。
 私は、志乃の生き方を、肯定する気にも、否定する気にもなりません。ただ、そこに、そういう人生があったのだと思うだけです。
 志乃は、地位や名声や物質的な幸せは得られなかったかもしれませんが、なににも代え難い彼女の人生という「成果」を得ています。たとえ一人ぼっちであったとしても、世俗的な幸福を得られなかったとしても、彼女がそれで納得できるか否か、その一点に尽きるのだと思います。
 彼女は、納得できなかったのかな。そうだとしたら、ほんとうに「実りのない」人生ですね。とても残念なことです。

 いいお話しを読ませていただきました。ありがとう。
 では、では。
2012.06.28 02:13 | URL | #- [edit]
says...
おはようございます。

そうですね。わたしはこれを単純な「ある愚かな女の物語」として書きたくありませんでした。
これはフィクションなので成果主義の「結果」が現実として提示されてしまったようにしてありますが、
私を含めて世界に生きる多くの「業」をもった人間はたぶん
「日高剛が突然死ぬ前日」を生きているのだと思っています。
そしてその中で、答えのでない問いを繰り返しているのでしょう。
それが人生だと思っています。
(彼女は「成果主義」の人間なので、出た答えに納得はできなかったでしょうね)

心地のいい作品ではありませんでしたが、最後まで読んでいただき、ご感想をいただけたことを嬉しく思います。人間をいろいろな角度から書けるよう、今後も精進しようとおもいます。またおつきあいいただければ幸いです。

ありがとうございました!
2012.06.28 05:57 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
 すざましい話でした。軽やかなのは最初の2行だけでした。
 エェイ!!何やってるんだよ!!!
 どいつもこいつも身勝手で!
 池田志乃にしろ日高剛にしろその他の登場人物といい、何をやってるんだ!!!
 各々の言い分は単独で聞いた時は各々つじつまが合ってまともな事のような気がしますが、それに対応する人の言い分と組み合わせた時、すべては矛盾し崩壊し救いようが無くなります。 人間の自分中心にしか考えられない思考システムの脆弱性が、もろに表現されているような物語だと思いました。深いです。すごいです。ドロドロです。
 山西は他人を思いやるという簡単な行為にも、自分の中の自分のライブラリーだけを使って他人をシュミレーションすることによってしか思いやれない人間の限界を感じます。かく言う山西もその人間の1人なんですが。
 とても良く出来ていますが、もしテレビドラマだったら山西、最初の3分でチャンネルを変えているかもしれません。それほど救いを感じませんでした。つらいです。
 さらりと、そしてドロりとえぐられています。
 もう一度言います。夕さん、すごいです。
 山西例のごとく酔っています。暴言お許しください。
2012.06.28 15:34 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
ううう、嬉しい。
いや、こう返すのは、なんか変ですが、でも、正直な反応として嬉しいです。

その「何やってんの!」は、普段、私が現実に感じていることでもあります。この話、半分はフィクションですが半分は……。私もチャンネル変えたい(泣)

というのは、さておき、今回は作者自身の言葉として「何やってんの!」「いや、それってさ……」を書かずに、どう表現するかが課題でした。問題の二人だけでなくて、(子供以外の)出てくる人物全員に対して。それがなんとか伝わったみたいなので冒頭の「嬉しい」になるわけです。

本人もそれほど心地よくなかったんで、しょっちゅうにはしたくはありませんが、「人間とは何か」の考察の一つとして、時おりこういうのも書いていこうと思っています。チャンネル変えたくなるときもあるかと思いますが、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

ありがとうございました!
2012.06.28 17:54 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
人間関係、特に戦闘服に身を包みながらの関係は
どんなに長い間の積み重ねも
些細な出来事で脆く崩れてしまうものですよね。

それでも
今ある自分、すべては自分が選びその道を歩いてきた結果だと受けとめることだけが
救いの道なのかもしれません。

剛の愛を信じるには、あまりに無情な死因。
それでも
自分の愛は本物だったのだと
月日が流れることで、志乃が胸をはれますようにと
私は願ってしまいます。


追伸
通勤電車でも読ませて頂いてるのですが
夢中になりすぎて、2度ほど降りるべき駅を乗り過ごしてます(笑)
2013.03.01 01:52 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

この小説には完膚なきまでに救いがありません。人間の不幸には外的要因つまり本人にはどうすることもできないことで陥ってしまうものと、自分から進んでいってしまうものとがあると思っています。そして、この話の主人公の場合は後者です。何度でも後戻りのチャンスがあったのにです。

私は、この主人公のモデルになった人には、こんな事になってほしくないと思っています。そして、これは彼女だけの話でも、婚外恋愛に限った話でもないと思っています。この話をことさら辛い結末にしたのは、そのせいです。世の中には、因果応報だけでは片付けられない、とても辛い目に遭っていらっしゃる方がたくさんいます。災害や、病や、それに家族の問題などで。でも、少なくともこの志乃に関しては、自己評価と他人からの評価にギャップがありすぎた、彼女がナイーヴすぎたことで、起った事と言って構わないと思います。つまり、彼女の意志と行動があれば、この結果は避けられた事だと思います。

彼女はそれでも歩き続けていかなくてはなりません。私も、同じことになった人たちが、それでも力強く生きていく事を願っています。

そして、電車を乗り過ごしてしまわれたんですか? そんなに夢中になって読んでいただけるなんて、私には何よりもの勲章です。でも、氣をつけてくださいね〜。

コメントありがとうございました。
2013.03.01 23:36 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんにちは、はじめました。
二次小説、それから最近オリジナルをポツポツ書きはじめた南実(なみ)と申します。

たまたまリンクをたどっていたら、こちらのサイトに着きました。

そして、ブログの雰囲気にまずこころ惹かれ、目的別の案内ページを拝見いたしました。

すると。間奏曲、鎮魂歌、幻想曲など音楽のことばがたくさん!というのも、私は、クラシックが好きなんです。

「蝉時雨の奇想曲(カプリス)」を今読ませていただき、さっそくフォーレの「ヴァルス・カプリス」を蝉時雨とともに聴いています!

ヒロインの人生が大きく狂い、今まさに直面している事実に大きな衝撃を受けているばかりでなく葬儀の場面なんですね。
葬儀って人生の決算ともいうべきものですが、彼女のような立場となると辛いことは必定です。

このような席に夫の長年の愛人がいられるのはなぜかなと思いましたら、そういうことだったのですね!
奥様は「ちょっとした出来心」ということばで、復讐したかった。志乃も新井ちゃんと同様、ただのつまみ食いの相手だ、と一蹴されてしまいました。
志乃さん自身も、これまで積み上げたものが簡単に崩れ去ったように感じていますね。

ヒロインの心はしかし、真っ暗という感じでもないよう受け止めました。

蝉時雨、夏休みの無邪気な子どもたち。夏の盛りの葬儀は暑くて大変であることも、今まさに夏ですから場面は容易に想像できます。(笑)
そういった周りのことに心が及ぶ志乃さん。キャリアを実力で積み上げてきただけのことはあって、このような状況でも冷静さを欠くことなく立っていられる人なんだと思いました。

日高専務。ずるい男ですが、機会があれば男ってこんなもんじゃないか、と。むろん妻一筋というやり手の男性もいるでしょう。なるべくなら、そう願いたいですけど。(笑)
婿養子のやり手の男が家で肩身が狭いとなれば、外に愛人をつくるのもまたあることだ、と許容範囲になってしまいます。もちろん、そういう人の相手は嫌ですが。(笑)

人間いろいろな面があり、当事者にとってはそれが必然なのでしょう。

そして、私がこのずるい男に心惹かれるのは、やはりクラシックを愛する人だからかもしれません。志乃さんが惹かれるのも無理ないかな、とクラシック愛好家には私甘々の何割増しになってしまいます。(笑)

「人生の秋」、確かにこの時点ではそうなのかもしれません。
努力を重ね、真剣に生きてきたからこそ、切ないですね。

しかし、私は願いをこめて思いました。
フォーレの「ヴァルス・カプリス」が明るく素敵な曲ですもの、この曲が思い出せるなら志乃さんには、きっと新しい展開が待っている、と。

2014.07.25 03:09 | URL | #JNrjWVGA [edit]
says...
こんばんは、そして、はじめまして。
ようこそscribo ergo sumへ。

日本と時差があり、さらに平日は働いていますので、コメントへの返事が大変遅くなりまして申しわけありません。今後ともどうぞよろしくお願いします。

さて、読んでいただき、ありがとうございます。南実さんもクラッシック音楽がお好きなのですね。嬉しいです。
実は、私の作品には、クラッシック音楽が出過ぎなところがありまして、このブログのどこを切ってもそんな話ばかりになっています。この「蝉時雨の奇想曲(カプリス)」はその「ちょっと出し過ぎ」が念頭にあって、あまりクラッシックを中心にはしていない、標題だけのなんちゃって作品でして、もしかしてちょっと肩すかしだったのではないでしょうか。

クラッシック音楽を中心にすえて書いた作品としては、「ラ・ヴァルス」長編ですが「樋水龍神縁起 Dum Spiro Spero」「大道芸人たち Artistas callejeros 番外編 〜 Allegro molto energico」なとがあります。また、当ブログの一番人氣作品の長編「大道芸人たち Artistas callejeros」もほとんど音楽の話になっています。(すみません、どうでもいい宣伝でした)


「蝉時雨の奇想曲(カプリス)」は、ちょっと試験的な作品で、あまりの救いのなさに発表当時ブログのお友だちの間に衝撃が広がりまして。いろいろな人生を読み切りでオムニバスに集めた中の一つとして受け取っていただくとありがたいです。

人間の弱さ、ずるさ、それに自分に都合のいいように解釈してしまう悲しい性を人ごとのように書き出しましたが、これは作者である私もそうです。

日高ははっきりいってとんでもない女の敵ですが、それも単純に嘘で固めた欺瞞だけではなく、どこかに志乃の心と共鳴する部分を持っていたことをフォーレの「ヴァルス・カプリス」で表せたらと思っていました。そこをくみ取っていただけて嬉しいです。

感想をくださった方の多くが、今後も生きていく志乃の立ち直りを願っていてくださる、その暖かさに驚くと同時に、世間も捨てたもんじゃないなと思う私です。

これをご縁に、どうぞ仲良くしてくださいね。

コメントありがとうございました。
2014.07.25 19:33 | URL | #9yMhI49k [edit]

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