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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

【小説】やっかいなことになる予感

この記事は、カテゴリー表示のためのコピーです。

scriviamo!


今年最初の小説は、「scriviamo! 2022」の第1弾です。ダメ子さんは、今年もプランBでご参加くださいました。ありがとうございます! プランBは、まず先に私が書き、それに対して参加者のブロガーさんが創作作品や記事などを書いてくださる参加方法です。お返しを考える時間も必要でしょうから、とりあえず早急にアップさせていただきました。

ダメ子さんは、かわいらしい絵柄と様々な登場人物たち、それに短いセリフで胸のど真ん中を突くストーリーの、ネガティブな高校生ダメ子さんを中心に繰り広げられる日常を描く人氣マンガ「ダメ子の鬱」でおなじみです。

さて、「scriviamo!」では恒例化しているこのシリーズ、もともとはダメ子さんのところに出てくる、「チャラくんにチョコレートを渡せない後輩ちゃん」をネタに書かせていただいたものです。後輩ちゃんを勝手に名付けてしまったアーちゃんだけでなく、付き添いで勝手に出したつーちゃんまでも、いつの間にかダメ子さんの「ダメ鬱」のキャラクターに昇格させていただいています。あ、ダメ子さん、アーちゃんもつーちゃんも、フルネームはどうぞご自由につけてくださいね。

今回は、ムツリくんのヒミツ(?)に肉薄してみました。ほら、意外と経験豊富っていう、アレです。つーちゃんは、単なる耳年増系で経験は全く豊富でないので役不足かもしれないけれど、適当にグルグルさせてみました。


【参考】
私が書いた『今年こそは~バレンタイン大作戦』
ダメ子さんの描いてくださった『チョコレート』
ダメ子さんの描いてくださった『バレンタイン翌日』
私が書いた『恋のゆくえは大混戦』
ダメ子さんの「四角関係』
私が書いた『悩めるつーちゃん』
ダメ子さんの『お返し』
私が書いた『合同デート』
私が書いた『つーちゃん、プレゼントに悩む』
ダメ子さんの『お返しのお返し』

私の作品は新しいカテゴリーでまとめ読みできるようにしてみました。
『バレンタイン大作戦 - Featuring「ダメ子の鬱」』シリーズ


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やっかいなことになる予感 - Featuring「ダメ子の鬱」
——Special thanks to Dameko-san


 困ったなあ。私は、アーちゃんに持ち込まれた新たな問題に頭を抱えている。

 1つ上の学年に、モテ先輩というめちゃくちゃモテる人がいる。カッコいいのは間違いないけれど、私もアーちゃんも、モテ先輩ファンクラブ(そんなものがあるのかどうかも知らないけれど)に入っているわけではないし、ましてや彼女になりたいとか狙うような野望はない。

 私は、2.5次元のおもに北方系の美男子モデルへのオタ活が忙しいし、アーちゃんは、モテ先輩と同じクラスのチャラ先輩にずっと片想いをしているのだ。

 でも、問題は、そのチャラ先輩が絶望的に鈍くて、アーちゃんの必死のアプローチをわかってくれないこと。それどころか、あがり症のアーちゃんがようやく手渡せたバレンタインのチョコを、なぜかモテくん宛だと思い込んでいることなのよね。

 そのせいで、先輩のクラスやバスケ部では、アーちゃんが年下のくせに抜け駆けして、チャラ先輩まで使ってモテ先輩にすり寄っていると思っている女の先輩もいるとか。そんなこと、言われてもねぇ。

 ここは、例によってムツリ先輩に相談して、クラブやクラスでのモテ先輩好きの方々の誤解を上手く解いてもらうしかないかな。って、なぜ私がこんなことばかりしているんだろう。アーちゃん、本人が言えばいいんだけれど、あの子はあがり症で、誰ともまともに会話できていないしなあ。

 私は、クラブが終わりそうな時間を見計らって、帰宅するムツリ先輩を待ち伏せすることにした。いや、私は別に口実作って、ほぼ毎日ムツリ先輩に会おうとしているわけじゃないから。本当だってば。

 まあ、ムツリ先輩、けっこうしっかりしているし、昨日渡したどうでもいいお礼も思いのほか喜んでくれたし、いい人なのは確かなのよね。

 そう言えばあの時「俺も金髪に染めようかな」なんて言われて、びっくりだったな。「金髪が似合うのはあっちの美少年だけ」って話に持って行ってしまってちょっと傷つけちゃった感があるのよね。

 全否定しちゃったのはまずかったかなあ。美少年ってジャンルじゃないのは確かだけれど、でも、カッコよくないっていう意味で言ったんじゃないし……。いや、私は、一体だれに言い訳しているのかしら。

 あ、来た。アーちゃんのバレンタイン騒動以来、週に何度もムツリ先輩と会っているので、けっこう遠くからでも歩き方やシルエットがわかるようになったのが驚き。これは、ちょっと由々しき問題じゃない? 

 私が、声をかけようとしたとき、ずっと前方にいた女の人が、驚いた声を出した。
「あら! コクルの弟くん……えっと、兵くんだったよね。久しぶり~。私のこと、覚えているよね?」

「あ。はあ、もちろん……ご無沙汰しています」
ムツリ先輩が、立ち止まって軽く頭を下げている。

「イヤだあ。そんなかしこまって。タメ語で話してくれてもいいのよ。ほら、私たち、その……他人行儀にすべき仲ってわけでもないし、ねっ」
「いや。そういうわけには……」

 聞き捨てならない会話が続くので、つい聞き耳を立ててしまう。台詞から考えると、あのひと 、たぶん先輩のお姉さんの友だちよね。でも、ちょっと変。先輩の肩や前髪を触ったり、媚び媚びの声色になったり。

 私は、電柱の影に隠れて2人の会話を聞いていた。2人は、こっちの方に歩いてきて、ひとつ手前の角で曲がって視界から消えた。2人一緒に歩いているというのか、あの女の人が、ムツリ先輩にまとわり付いていた感じだけれど、でも、先輩もまんざらでもないのか迷惑そうな感じではなかった。

 私がいたことには氣づいていなかったと信じたいけれど……。いや、別に私は後ろめたいことがあるわけじゃないし、氣づかれてもいいんだよ。

 肝心なムツリ先輩が女の人と一緒に帰ってしまったので、私は相談をあきらめて帰ることにした。

 なんだかなあ……。アーちゃんの問題も棚上げだし、今日は、推しの記事が出ていると思われる雑誌をチェックしに書店に行く予定だったけれど、その氣も削がれちゃったなあ。

 っていうか、どうして私は、こんなにガッカリしているのかな。ちょっとこれは、厄介なことになる予感がする。問題があるのはアーちゃんだけで、私はオブザーバーのはずだったんだけれどなあ。

(初出:2022年1月 書き下ろし)


追記

ダメ子さんがお返し作品を書いてくださいました!

ダメ子さんの描いてくださった 「疑惑」

電柱で挙動不審なつーちゃん by ダメ子さん
このイラストの著作権はダメ子さんにあります。無断使用は固くお断りします。
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Tag : 小説 読み切り小説 コラボ

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