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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

夏が過ぎていく

現在休暇中なので、のんびりと爽やかな夏を満喫しています。

氷河

漏れ聞く日本は相変わらずの猛暑らしいですが、こちらは申し訳ないほどの爽やかな8月です。一時期ヨーロッパが猛暑というニュースが日本にも伝わったので、多くの方に心配していただいたのですが、いかに猛暑でも日本の夏に比べたら全く大したことがありません。

小学生だった○十年前、東京も今ほどは暑くなくて家庭にエアコンがなくても普通に暮らせた時代、「朝の涼しいうちに宿題を済ませましょう」と口を揃えていわれました。そして、本当に朝はとても涼しかったのですよ。

今年の「猛暑」のスイスでは、たった1日「夜でもけっこう氣温あるかも」と思った日がありました。そして、その翌朝、窓を全開しても「あれ?そんなに涼しい風じゃない」と思ったんですが、たぶんその「暑すぎる朝」が、記憶にある小学生だった真夏の朝と同じぐらいでした。それ以外の日は、「猛暑」といっても夜に窓を開ければ快適な涼しい風を楽しめるし、36℃くらいある日中も北側の日の当たらない部屋にいれば25度くらいの快適な温度でした。もちろんエアコンなしで。

一方、水不足の夏でもあるので、あちこちで「山火事注意」の警報は出ています。上流のスイスはめったに水には困らないのですが、下流の国々では水不足が深刻になってきているようです。

去年は、COVID-19、COVID-19と大騒ぎをしていました。大きなイベントは中止になるし、海外旅行も高額な検査があったり飛行機のキャンセルが相次いだりしてバカンスにもなかなか行けない雰囲氣でした。さまざまな行動制限に加えて、心理的圧迫のせいで夏も楽しめませんでした。

今年は、その去年が嘘みたいで「コロナ禍なんかなかったことになっている」ように思います。2月に屋内での法的マスク強制が解除されてから一瞬で町ではマスクを見なくなりました。私も手作りしたたくさんの布マスクを掃除布にしておさらばしました。一時は毎日のように騒いでいたウクライナ問題についても、ニュースで耳にすることは稀になりました。

一方で、ガソリンの値段は上がったままですし、隣国ではエネルギー問題が人びとを不安にさせており、真冬に17度までしか暖房を入れられないとか、薪の購入での詐欺が横行したり、決して2019年までの「なんの心配もない夏」が戻ってきたわけではありません。

スイスは、どういうわけか食糧危機の兆しも感じられないし、マスク着用や望まぬ注射を強制されることもありません。なので、もっと晴れ晴れとした想いを持ってもいいと思うのですが、そうではない日々を送っています。

2019年までの日々には、もう戻れないのだと思います。疑問を持つこともなく、調べることもしなかったあの頃、世界は基本的に法と正義と善良さを中心に回っていて、平和でちょっぴり退屈ですらありました。真面目に働いていれば、少なくとも日々の生活は保障されて、老後も慎ましく暮らせば困らない場所のはずでした。

個人的には、あれから失業して、スイスの失業保険受給も体験しました。それから再び幸運に恵まれ、新しい職種と前の職種の両方の仕事ができるようになりました。各国の感染対策上も、私のお財布の中身も、理論的には以前と同じように年に3回国外旅行をしても問題はないようになりました。

でも、コロナ以降、私と連れ合いは全く海外旅行には行っていません。その間に猫が生活の中に入ってきてしまったということもあるのですけれど、それは本質的な問題ではなくて、たぶん世界が私の考えていたものと全く違ったので浮かれて楽しめなくなってしまったというのが一番の理由だと思います。

空を見ても、山を見ても、新聞やネットからあふれてくる文字を見ても、もう以前と同じようなまっすぐな受け止め方はできなくなってしまいました。私は「自由でもっとも恵まれた時代に生まれてきた、歴史上もっともたくさんの知識を得た霊長」の1人ではなくて、おそらくそれとは真逆の『青い錠剤』で宥められただけの愚かな羊だったんだなと。

それを受け止めるのは、とても困難でつらかったのですけれど、1度消化したらあとは生き延びるために、動き始めることもできるようになりました。

それに、これまでは教え込まれたことを考えもせずに受け入れていたのですが、ごく当たり前の自然現象や古い建築など、いつも身近にあった多くのことについて自分で観察し考えるようにもなりました。まだ世界の真実がわかったとは言えない、思考の入り口付近にいるのですけれど、多くの小さな物事について自分の仮説を立てたり、ネットで仮説に対する裏付けとなる知識を探したりしながら、思考を繰り返しています。

そんなわけで、旅行と創作のネタ探しばかりをしていた頃とは、ずいぶんと違う時間の使い方をするようになりました。

世界の不安は、終わったわけではなく、ますます不穏な方向に向かっています。次に何が来るのか、私にはわかりませんけれど、少なくとも警鐘がならされたものについては自分なりの準備はしています。それが充分かどうか、もしくは単なる杞憂なのかは、実際に問題が起こらないとわかりませんし、何が起ころうとまた起こらないままだろうと、それに順応して生き抜くべく歩き続けるしかありません。

この夏休みも、そんなあれこれを考えながら、たまに近場にツーリングと食事に行く程度の日々を過ごしています。あと1週間、のんびりと、少しは執筆も進めながら過ごすつもりです。

季節は緩やかに移ろい、既に朝晩は秋を感じるようになっています。足下にも枯れ葉が舞ってくるようになり、植えた野菜のほとんどは収穫時期を迎えています。

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Comment

says...
おお、そちらは穏やかなようで何よりです。

日本はね。。。
夏の暑さ自体が災害とも言えるレベルですからね。
多温多湿。言ってみればそれだけですけど、
外に出れたものではないですからね。。。


ウクライナ情勢はあまりスイスでは関係ないのですかね。
ヨーロッパなので、もっと報道されているのかと思った。
こちらもウクライナ情勢はあまり報道されなくなりましたね。
むしろ、台湾情勢が緊迫しているので、そっちにシフトしてますね。。。
2022.08.22 11:55 | URL | #- [edit]
says...
ロシアのウクライナ侵攻で、正義やら秩序やらは、ずいぶん様変わりしてしまいましたからねぇ。
さしずめパスカルの言葉、『正義は議論の種になるが、力は非常にはっきりしている。そのため人は正義に力を与えることができなかった』ですかね。
戦争についていえば、日本も他人事じゃないんですよね。ロシアとは国境を接しているし、周辺には不穏な国もあるし。日本周辺は、もはや「アジアの火薬庫」みたいなものです。

さて。
「青い薬」というと、「マトリックス」ですね。
コロナ関係では、陰謀論もささやかれていますし、こうなってくると、仰るように、世の中には私の知らないことがまだいっぱいあるのかもしれないって思いますね。正しいと思っていることも、じつは騙されているのかもしれないですし。

でも結局のところ、なにを正しいとするか、なにを信じるか、自分で決めるしかないんですよね。自分の見聞や経験を頼りにするのか、客観的な(とされている)エビデンスに依拠するのか、書物やネットの情報を吟味するか、そうやって取捨選択しつつ決めるしかない。
いずれにせよ、デカルトじゃないですが、疑うことは放棄しちゃいけないでしょうから、盲信にだけは陥らないようにしたいと思います。
2022.08.23 13:05 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんばんは。

そうなんですよね。
日本では「夏が好き」っていえばかなり驚かれると思います。だってつらいほどの高温多湿ですものね。
外でのんびり、なんて不可能ですよね。

ウクライナ情勢は、はじめの頃は毎日のように報道していましたが今はあまりしませんね。
それに付随する問題(難民問題やエネルギー危機)が、時おり……という感じです。

台湾問題も構造はウクライナと同じですよね。
日本が上手く巻き込まれないように立ち回ることを祈っています。

コメントありがとうございました。
2022.08.23 21:49 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

受動的に送られてくる情報を無批判に受け入れていると、生死に関わるような世の中になってきたと思います。
おっしゃるように現在「正しい」とされていることの多くが「力」もっといえば「金を持つもの」によって決められているんでしょうね。
この頃の日本の政治界隈はずいぶんといろいろと暗部が明るみに出てきたので少しわかりやすくなっていますけれど、世界のどの国でもその構造は同じです。

2年くらい前までは「陰謀論」で片付けられた多くのことが、現在では事実に裏付けられて片付けること自体が難しくなっています。
でも、その「陰謀論」界隈がすべて正しいとはもちろん思っていませんよ。
それに、注意深く見ていればわかるような世界のおかしな出来事も、あまりにも雑な欺し方で、まるで探偵小説でのミスリーディングをさせるための撒き餌みたいなものなんじゃないかと思ったりもします。

おっしゃるとおりで、いずれにしても何をするにせよ自分で決めるしかないのです。
集められる情報にも限界がありますし、選択している時点では結果は誰にもわからない事も多いですよね。
TOM−Fさんが小説の題材になさった「シュレーディンガーの猫」みたいなもので。

一番楽なのは思考放棄して長いものに巻かれる生き方ですけれど、私は自分の人生をそういうふうにしたくはないのですよね。
せっかく考える能力を授かって生まれてきたのだから、弱いおつむながら考えることは放棄しないでいこうと思います。

コメントありがとうございました。
2022.08.23 22:17 | URL | #9yMhI49k [edit]

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