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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

【小説】鐘の音

今日の小説は『12か月の楽器』のラスト12月分です。このシリーズでは、楽器をテーマに小さなストーリーを散りばめています。

今回の選んだのは、楽器というのはちょっと無理があるのですが、教会の鐘です。ヨーロッパの生活にとって、腕時計やスマホが普及した現代ですらかなり大切な存在なのですけれど、今回の作品の舞台に選んだ中世(実はここはフルーヴルーウー城下町。でも、マックスが領主様ではないです)ではもっと重要な存在でした。

ここに出てくる2人は、まだ未発表の私の妄想にだけある作品のカップルなのですが、12月分のためにイメージしていた『Carol of the Bells 』の世界観にちょうどはまったので、出してしまいました。かなり自己満足な世界観が炸裂していますが、お氣になさらずに。そして、これが今年発表する最後の小説になります。


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鐘の音

 鐘が鳴り響いている。その音は、屋内では考えられぬほどの力強い響きで降り注いでくる。そして、世界に語りかける。教会に集え、神を褒め称えよ、強き者も、弱き者も、すべてを救う神の御子を待ち望めと。

 水飲み泉は街道に向かう門にほど近い町外れの一角にある。レーアは六角形の1つの面に背中をもたせかけて蹲っていた。

 そこは、半年ほど前に彼女が高熱で倒れ、死にかけた場所だ。あの時と同じく、今の彼女にはどこにも居場所がなかった。

 熱はないけれど、今度は真冬だった。昼でも冷たかった風が、日が暮れてからは切るように彼女を苛みはじめた。

 昨夜を過ごしたアーケードは、風から守られていた。寒くて眠ることはできなかったが、動けなくなるほどのつらさではなかった。今朝、あそこから追い出されたときに、城壁の中でもう1度見かけたら棒で打ち据えると脅された。

 昨夜、2日前に雇い入れられたばかりの屋敷で主に夜伽を強要され、逃れるためにレーアがついた嘘は功を奏した。
「私に触れない方がいいです。私は、犬の血を浴びました」

 犬を殺すこと。それは、もっとも忌み嫌われる行為で、その血に触れた者に触れることも、同じ禁忌を犯したと見做され社会から抹殺される。

 好色でも蚤のような心臓しか持たない男は、慌ててレーアを自由にしたが、すぐに屋敷から追い出された。たった2日で、彼女は仕事と住まいの両方を失った。

 それ以前、夏から彼女がいた所は、暖かかった。《周辺民》と呼ばれる、忌み嫌われる人びとが住む一角で、貧しい人びとが住む小さく狭い家々がひしめく地域に、森に面した裏口を持つ奥深い仕事場を備えた比較的広い建物だった。

 行き倒れていたレーアをその家に連れて行き、看病をして半年も住まわせてくれたジャンは、革なめし職人だった。この仕事に就く者は《周辺民》からも敬遠される。それは、もっとも禁忌とされたある種の動物の血液に直接触れるだけでなく、強い臭いを放つ溶液や糞尿で皮を煮るその工程が迷惑がられたからだ。

 しかし、レーアは数日間は高熱で朦朧としていたので、誰に助けられたか意識していなかった。縁もゆかりもない病人の世話をし、根氣よくスープを飲ませ、回復した後も家事を引き受ける以外の見返りも求めずにそのまま住まわせてくれた人に対して、嫌悪感を持つことないまま、彼と親しくなった。

 それは、本来なら教会がしてくれるはずの庇護だった。だが、それを待っていたら彼女は助からなかっただろう。たぶん、今いるこの水飲み泉の傍らで、とっくに息絶えていたはずだ。

 ジャンが彼女を抱きおこした時も、教会の鐘は鳴り響いていた。それは日曜日で人びとが夕べの祈りを捧げるために賛美歌を歌っているのが聞こえた。

「おい。どうしたんだ」
レーアは、「水を」と頼んだ。

 泉から汲んだ水を飲ませてくれた後で、彼は訊いた。
「家は、どこだ」

 レーアは、首を振った。高熱で朦朧としていたけれど、どこにも行くあてがないことは忘れていなかった。ジャンは、彼女をそのままにはせずに、抱きかかえて自分の家に連れて行った。自分の寝床に寝かせて、1週間以上も看病してくれた。

 それからの半年間は、レーアにとって幸福そのものだった。物心ついたときから義父とその後添いに奴隷のようにこき使われてきた彼女には、《周辺民》として忌み嫌われる人びとの中で生きることなどなんともなかった。

 鐘は、こんなにも大きな音で鳴るものだっただろうか。誰も通らなくなった寂しい通りに、それは雨のように降り注いだ。

 やがて、その響きは、いつの間にかこの半年間に聞いた、彼の言葉となった。
「お前、なんて名前だ」
「水、もっと飲むか?」
「腹、空いていないか?」
「こっちに来て、暖まれ」

 煌びやかな教会の装飾や神父ら、立派な日曜日の衣装に身を包んだ紳士たちは、レーアには冷たかった。そうではなくて、忌み嫌われ、すえた臭いをさせて、教会墓地に埋めることすら拒否される、社会の隅に追いやられた存在が、彼女にとっての福音だった。

 ジャンは、ぶっきらぼうだが優しかった。彼女は、生まれて初めて家事に対しての礼を言われた。作った食事は「美味い」と賛辞をもらった。冷たい泉で洗濯をすることも、大量の繕い物をすることも、ねぎらいや感謝の言葉をもらったことで、笑顔でできるようになった。対等に話をして、笑い合うことも、彼女には新鮮だった。誰かを好きになったのも初めてだった。

 鐘は、容赦なく、彼女の聞きたくなかった言葉も思い出させた。
「行くな、マリア。……戻ってこい」

 夜中に聞いた、起きているときには、決して悟らせなかった彼の願いは、レーアの儚い希望を打ち砕いた。

 出て行きたいと望んだわけではない。けれど、彼の心の奥に住み続ける女性の影に、レーアは悟ったのだ。ここも、私の居場所ではないのだと。いずれ出て行くように言い渡される前に、ひとりで生きていく手立てを見つけなくてはならないと。

 洗濯の時に逢う近所の女の1人タマラが、中央広場に店を構える商人の屋敷で洗濯女としての仕事を紹介してくれた。すぐに住み込みで来てくれと言われて、少し困った。こんなにすぐに、ジャンの元から去りたかったわけではなかったから。
 
 ジャンは、タマラからその話を聞いて、ひどく怒った。それは、まったく想像もしなかった反応だった。レーアは、弁解もこれまでの感謝も口にすることを許されないまま、ジャンの家からたたき出された。

 でも、その屋敷からもたった2日で追い出され、レーアは再び宿無しになった。

 夏に、高熱に朦朧としながらこの街にたどり着いたとき、この水飲み泉に蹲っていたのは、少なくとも水を飲むことができたからだ。でも、今はもうこの泉では水を飲むことはできない。凍るから水が抜かれている。

 なぜ、いつまでもここにいるのだろう。寒さを除けることも、水を飲むこともできない。あるのは、出会いの思い出だけだ。鐘と風の音を聴きながら、彼の声を思い出して、夜を過ごすのだろう。そして、きっと朝には目覚めることもないだろう。

 それで、弔いでもまた鐘を鳴らすことを思い出した。

 この世は、幸せに生まれついた豊かな者と、そうでない者とがいるが、誰にとっても等しく訪れるのが死だ。だから、レーアはこの音を聴くことを許されているのかもしれない。天が彼女に与えてくれる、分け隔てのない恵みがこれなのかと、彼女は聞きながら考えた。

 だとしたら、彼の言葉を思い出しながら、どんな階層に生まれようとも変わりのない世界に行くのは、悪くない。

「……おい、ってば。聞こえないのか?」
こんな言葉、言われたことはなかったような。レーアは、ぼんやりと虚ろな瞳を上げた。影が星空を遮っている。

「……ジャン?」
かすれた声で訊くと、影はかがんで、彼の瞳が見えた。

「ここで何しているんだ?」
「……何も」

 彼は、しばらく黙っていたが、拗ねたような声で言った。
「せっかくタマラが、俺のところに居たことを隠しておいてくれたのに、台無しにして追い出されたんだってな」
「ええ」

 レーアは、そのまま彼の瞳を見つめていた。彼は、かまわず続けた。
「行くところがないなら、なんで帰ってこない。革なめしの所にいるより、凍え死にたいのか」

 思いもよらない言葉にレーアは、首を振った。
「違う……。だって、2度と来るなって……」

 ジャンは、ため息をついた。
「……そういえば、そんなこと言ったっけな。真に受けるな。とにかく、うちに来い。死ぬよりはいいだろ」

 彼はそう言うと、踵を返して歩き出した。レーアがついてくるとわかりきっているように。

 彼女は、立ち上がろうとして、そのまま前に倒れた。冷え切ってこわばった足は、まったく言うことをきかなかった。

 彼は、振り向くと、戻ってきて「どうした」と訊いた。レーアが立てないのがわかると、「つかまれ」と言って彼女を抱き上げた。

「ごめんなさい」
うなだれる彼女に彼は答えた。
「せっかく助けたのに、ここで死なれたら腹が立つだろ。同じところだぞ」

 鐘はまだ鳴り響いていた。風は同じように吹いていたが、それは彼女の命を終わらせるためではなく、鐘の音を遠くに届ける天の使いのみわざと変わっていた。

 レーアは、ぐったりと頭を広い胸の中に埋めた。忘れがたい、あのどこか脳内を刺激する臭いがした。

 かつてわずかに不快だった、それこそが革なめし職人をもっとも卑しい人びととして社会の片隅に追いやる独特の臭いを、レーアはこの上なく信頼できて安堵のできる徴として嗅いだ。

「前よりもずいぶん重くなったな」
息が少し切れているが、あいかわらずの皮肉が彼女を安堵させる。真剣な顔つきで怒鳴られ追い出されたときから止まらなかった悲しみが、風に散らされて消えていく。

 鐘が鳴り響く。すべての人びとの上に。世間からも、教会からも見捨てられた、凍える2人の上にもこだまする。

すると、突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った。
「いと高きところには栄光、神にあれ、
地には平和、御心に適う人にあれ。」

ルカによる福音書 2: 13-14(新共同訳)



(初出:2022年1月 書き下ろし)

追記


蛇足ですが、このストーリーの中で繰り返される鐘の音イメージを作り上げた動画を張っておきます。いろいろなグループが歌っているクリスマス向けの曲なんですが、この少年合唱が一番好きかも。


Libera - Carol of the Bells (New)

鐘バージョン

Cast in Bronze - Carol of the Bells
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Category : 短編小説集・12か月の楽器
Tag : 小説 読み切り小説

Comment

says...
執筆、お疲れさまでした。

教会の唱える神の恩寵的なものって、結局、ほんとうにそれが必要な人々には届かない。そして、そういった今日を生きるのに精いっぱいの人々は、逆に、教会の唱える神の恩寵的なものなど、なんの糧にもならない。そんな捻じれというか、すれ違いが起きてしまっていますね。
これって、じつは中世だけの問題ではなく、今日でも同じなんじゃないかなと思います。
それを教会の鐘の音に重ねて描く。こういう題材の扱いが、ほんとうに手馴れていらっしゃるなぁと感心します。

レーアは立ち回りが上手いようで、肝心なところでは不器用ですね。ジャンもやはり不器用。こういう時代では生きにくい二人ですが、いいカップルになりそうな予感がします。
この二人でどんなお話を用意(妄想)なさっているのか、いずれスピンオフなりで発表されるのを楽しみにしています。
2022.12.28 05:47 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんばんは。

さっき書いたコメ返がどこかに消滅してしまい、打ちのめされている私です……orz

あらためて。
最近、某小説のベッケム大司教などの、あまり好ましくない聖職者ばかり書いているようなので、ちょっと反省しています。
欧米で次々明らかになっているようにろくでもない聖職者もたくさんいることは間違いないのですが、一方で志の高い立派な聖職者もたくさんいるはず。とはいえ、それが届かない人たちもいることも確かで、私が書く話にはその手の取りこぼされてしまった人たちがよく登場することになります。

今回題材にした中世でも、現代のような「生存権」やら「生活保護」などがなくても教会や同業者組合などが、弱い人たちを救っていたはずなのですが、それでも取りこぼされてしまった人たちの話ですね。

鐘の話ですけれど、実はこの作品は「鐘のキャロル」のイメージに、レーアとジャンの物語を重ねて作ったので、こういうつくりになっています。
この曲、歌詞だけ読むとめでたい歌なんですけれど、メロディーがそうでもないので、前半の絶望的なトーンと、後半の救済されたトーンの両方を書きやすかったです。

不器用な2人というのは大好物なので、わりと似たような話が多くなるのかも。
レーアの事情は、もうこの作品でほぼ全て晒してしまったので、改めて書くこともないかもしれませんが、ジャンの方の事情はまだ書いていないので、そのうちにまた登場させるかもしれません。もしくは『森の詩 Cantum Silvae』の外伝みたいな形で?
まあ、今のところ何も考えていないのがバレバレですね(笑)

コメントありがとうございました。
2022.12.29 00:26 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
楽器シリーズの最後12月が鐘というところが、さすが夕さん、納得の選択で、良いなぁ~と思いました。
このところ、少しラフマニノフを勉強していて(弾くのではなくただ本を読んだり聴いたりしているだけ)、彼の曲には鐘にまつわるもの、部分的にフレーズの中でも、が多いような気がしていて、今年の私のひとつのテーマにぴったりな締めくくりの物語、ありがとうございました。
色々あった1年の最後に光が射すようで、ほっとしますね。

そして今回はっきりと分かったのですけれど、夕さんが「そうは問屋が卸さない」設定を使うときと、私が使うときは向きがチガウ!と。あ、チガウがカタカナになってしまう……マコトのせいですね。
と言うのも、私、レーアが行き倒れている最後のシーンで、フランダースの犬のラストのように、「あんなことやこんなことがあったけれど、最後は天使が迎えに来る」パターンを思い浮かべていました。ジャンは間に合わなくて後悔する、と!(ひどい😅……年末にそれはないやろ。明日第九を聴きに行く私なのに、ベートーヴェンに怒られる) 
で、夕さんはちゃんと間に合うように書いてくださったので、ほっとしたり、私の想像の方向に苦笑いしたりで。要するに、夕さんの場合は「そうは問屋が卸さない」設定は前提設定→その中での一生懸命生きる人がどこかで(小さくても)救われるパターン、なのに、私ったら、なかなか設定は行けている(スペックはまぁまぁ)→でも「そうは問屋が卸さない」ラストを迎えるパターン🤣
もちろん、「そうは問屋が卸さない」設定ばかりじゃないので、あくまでも脳内設定イメージですけれど。でもね、不器用で上手くいかない前提条件の中の人がラストまでそのままだったら、救われませんよね。う~私ったら。

今、ピアノレッスンの私にひとつ前のこどもさん(多分小学1-2年生くらい)がハンドベルの練習もしてて、なんか鐘の音って広がりがあっていいなぁと思います。
夕さんも素敵な年末年始を!
2022.12.29 05:45 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
皮肉なものですよね。鐘の音は万人に平等に降り注ぐんだ。あ、死も万人に平等でしたよね。なんだかなぁ・・・。
どんなに幸福に生きても、どんなに不幸に生きても最後はどっちも死んでお終い。はい平等でしょ?っていわれてもねぇ。人生は無情だなぁ・・・。

鐘は楽器か?といわれるとハテナの部分もありますがカリオンだって楽器ですからね。
12月という時期的にも鐘はピッタリだと思います。
それにしても革なめし職人の地位って低いんですね。革なんか生活の必需品でしょうに。
ジャンにはジャンなりに訳ありのようですし(マリアって?)、レーアもこれ以上下がりようが無いくらい不幸そうだし、最底辺に生きる二人にそれなりに幸せな未来が待っているといいのですが・・・。
2022.12.29 11:30 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
こんばんは。

最初のアイデアでは「鐘と合唱」だったのですけれど、どっちにしても楽器というには厳しいですね。
でも、メロディーを鳴らすタイプの鐘はヨーロッパ中のあちこちにあるし、オルガンは教会の中には入れない人にはきちんと聴こえないので、鐘をラストに持ってきました。

ラフマニノフの研究ですか!
実は、母の蔵書から「ラフマニノフ 限りなき愛と情熱の生涯」という本をこちらに持ち帰ってきているんですよ。あんなにロマンティックな曲を作るのはどんな人だろうと興味を持ったのに、4年経っても積ん読……orz
「scriviamo!」も楽しみですよ!

さて。「問屋が卸さない」話を作るときは、前半でこんな悲惨な話にはしませんって(笑)
それに年末の締めくくりの話で「フランダースの犬」はちょっと……。
少なくとも私の小説では最後に天使が降りてきたりはしないと思います。単なる野垂れ死に。(もっとひどい)
あと、「問屋が卸さない」かどうかはともかく、ハッピーエンド風に終わっていても、その後が幸せかどうかはわからない、というのはあるかも。
私は「めでたしめでたし」というのをあまりありがたく思っていなくて、人生ってそこで終わりじゃないし、そこからの紆余曲折の方にこそ人生があると思うので。
とはいえ、5000字程度の作品にそういう蛇足は入れなくてもいいし、年末なのでひとまずこんな感じで終わりです。

もともとのストーリーは、どちらかというジャンの人生の方に焦点を合わせてあるので、レーアがここで死んじゃったらあまりにも救いがなさ過ぎになってしまうのです。『森の詩 Cantum Silvae - トリネアの真珠』の下調べ中に出てきた《周辺民》たちに関する記述が元になっているのですが、実は、この話は彩洋さんのところでいうと「真たちに対する蓮たち」みたいな同じカップルの別バージョンなのです。もう1つのカップルは現代のスイスにいる、レーアにあたる女性をメインにした話で、こっちの中世バージョンはジャンがメインになっています。でも、どっちも未発表だし、ちゃんと書いていないんですけれど。というわけで、ゴージャスとは正反対の小市民または《周辺民》が中心の話になっています。まあ、マッテオ兄ちゃんみたいなのを書いているときと、こういうのを妄想しているときと、ありますよね〜。

ハンドベルも素敵ですよね。強制される類いの習い事ではないだろうし、あの手の楽器をちゃんと習いに来る子供がいるっていうのは、ちょっと嬉しいなあ。クリスマスシーズンには趣ありますよね。

彩洋さんもよいお年を!
コメントありがとうございました。
2022.12.29 20:55 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

そもそも「全ては平等だ」とかいうのって人間社会だけなんですよ。そのくせに全然平等ではない。
平等なのは死抱けだったので「死の舞踏」というモチーフが流行ったという皮肉もあります。
弱い人たちに対する救済として、喜捨みたいなものや、教会や修道会、貧民院、それに同業者組合のようなしくみもあったのですけれど、それでも漏れてしまった人びとがいて、私の小説世界ではそうした人たちの助け合いまたは人情みたいなことで補っています。実際もそういう部分があったのではないかなと思います。

中世ヨーロッパでは、賤民または周辺民と呼ばれた人たちがいて、貴族だけでなく農民や平民たちからも差別されていました。
意外なことに、全てが貧しい人たちではなかったようです。
有名なのはジプシーやユダヤ人ですけれど、その他にも刑吏、墓掘り、皮剥ぎ、革なめし、屠殺人など人や動物の生死に関わる仕事をする人たち、娼婦、傭兵、煙突掃除人や夜警、粉ひきなども蔑まれていたようです。
でも、生活になくてはならない大切な職業がたくさん含まれているんですよ。そういう仕事をする人がいなくなれば困るだろうにと思いますよね。

この2人は、最終的には、わりと普通に「それなりの幸福」を手にしていますね。
まあ、再び登場するかわからないのですけれど(少なくともまったく書いていないので)、せっかくハッピーエンド風に終わるエピソードなので今年の終わりの掌編として書いてみました。

コメントありがとうございました。


2022.12.29 21:55 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
血を浴びる・・・ということが禁忌。
昔だとそうでしょうし、今でも良い気持ちはしないですからね。
私も医療従事者じゃなかったら、
血を見ただけでフラフラしたのかなあ。。。

多分、以前も話したと思いますけど。
救急搬送で入院してきた老婆の患者さんがいたんですけど。
その方は旦那から暴力を受けていて、子どもを置いて逃げて、
その後は生活保護で生活していたんですけど。

このまま朽ちるように死んでほしくないと思ったのか。
ウチの職場の人たちはムキになって、警察も動員して、
老婆の子どもと孫が見つけて(旦那はお亡くなりになっていた)、
間際に面会してもらった・・・ということがあったんですよね。

やはり、どんなに朽ちても拾う人はいる、
ということを教えてくれる夕さんの小説だと思います。


多分、これで今年の最後のコメントになりますね。
一年間ありがとうございました。
よいお年をお迎えください。
来年もよろしくお願いします。
2022.12.30 13:10 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

わりと不思議なのですが、中世では犬を殺すということに、つよい禁忌があったようなんです。
そこから「犬の血を浴びた」というだけで絶対に触れてはいけない穢れた存在と見做すこともあったようです。

それだけでなくて、刑吏や皮剥ぎ、墓掘りなども賤民として差別対象だったことから死に関わる職業が恐れから被差別対象と変わっていったのでしょうね。実際には、絶対になくてはならない職業ばかりで、差別する方はその恩恵を受けていたのですから、自分勝手な行為だと思います。

お歳を召して、孤独に死を迎えようというときに、縁もゆかりもない人たちが必死に最期の願いを叶えてくれるというのは、ご本人にとっては何よりもの救いだったのではないでしょうか。たぶん、子供や孫たちに会えたとことと同じかそれ以上に嬉しかったんじゃないかなあ。いいお話です。

今年1年、本当にありがとうございました。
蓮さんもどうぞよいお年を!


>
> 多分、これで今年の最後のコメントになりますね。
> 一年間ありがとうございました。
> よいお年をお迎えください。
> 来年もよろしくお願いします。
2022.12.30 23:20 | URL | #9yMhI49k [edit]

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