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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

いつか……

訪問させていただいた方の氣になる記事から、勝手に話を発展させてしまう記事シリーズ。

結婚記念日の記事にたくさんのコメントをいただいた事を、とても嬉しく思っていました。それだけでも十分に嬉しかったのですが、ウゾさんのところでこんな素敵なお祝いの掌編をいただいてしまいました。嬉しい、嬉しい、生まれてはじめての献辞つきです!

   何時か 一緒に 言葉になろう。
     
     scribo ergo sum の 主催者 八少女 夕 さん へ 捧ぐ  

   

 わたし達って 七夕の様だねと 笑いあった事がある。

確固たる 自身を持ち 曲げることが出来ない 遠く離れ 偶に 折を見つけては会う。
自身も そして 自身の仕事も大切 其の上で 貴方に会いたいと思う。
其れは 貴方も 同じだろう 我侭なのだろうか。

御互いに 遠く離れている為に 会う場所は 何時も中間地点の小都市。
何かあるわけではない 寧ろ 何も無い 小都市。
何かを 求める頃は 過ぎ去り 蒼い柔らかな頬は 既に失くした。
唯 小さな 静かな時に 身を委ねる。

駅前の 何の変哲も無い喫茶店で 唯 お茶を嗜む。
観光や 買い物 その様なモノを求める様な 幼い 感覚は 遠く過ぎ去った。
唯 沈黙が 緩やかに流れ…

 … 元気にしていたか。
 … ええ 少し 風邪をひいてしまった。
 … そうか。

沈黙に 身を委ねる 心地よさ。

 … 人の死は 終わりではない 人は 最後は言葉になる。
   其の人の表面的な 顔立ちや 声音は やがて 掠れ ぼやけ…
   やがて 思い出せなくなるだろう。
   でも その人は 優しかった 厳しかったと 言葉になり 思いとなる。

緩やかに 穏やかに 何時か 何時か 言葉になるまで 共に時を刻まないか。
そして わたしは 其の手を握り締める けっして 離さないと。


何時か 一緒に 言葉になろう。  - 百鬼夜行に遅刻しました



私はかつて鳥になりたかったのです。オペラシティの14階、新宿のビル街を見通すガラス張りの休憩室で、遠くに住むその人のことを想っていました。自由に飛んでいく鳥を眺めながら、もし、仕事や国境やその他の自分を縛り付ける因習を振り払えるなら、力の限りに西を目指すのにと思っていました。

ようやく休みをとって、七日でスイスとの往復をして翌日から出勤して働いたので、体が悲鳴を上げて高熱を出しました。もうだめなのかな、と諦めかけました。距離と社会的な壁と銀行預金とに負けるのかと思いました。

さよならを決意したその時に軽やかに飛んできたその人が、あっさりと引き取ってくれて私は今ここにいます。

鳥になりたかった私をあのビルの中に残したまま、バイクの後ろで感じた風をアフリカに置き去ったまま、たくさんの想いをこの谷にこぼしながら。

彼はこんな風に言葉にします。
「お前は最初の女じゃないけど、多分これで打ち止めだから」

いつかは言葉だけになる日が来るでしょう。私か、彼か、そしてその両方がどこにもいなくなって。でも、ウゾさんがくださった美しい掌編が予言だった事がわかるその時まで、私の想いはずっと空を舞っているのです。
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Tag : いただきもの

Comment

says...
 こんにちは。
取り上げて頂いて ありがとう御座います。

多くの人が 負けそうになる 色々な柵を 乗り越えて 掻っ攫いに来たのですね。
色々なものを天秤にかけ それでもと 行動したのでしょうね… 感慨深いです。
僕の個人的な感覚では スイスの方って シャイで 何処か感情を表す事が不器用な感じがするのですよ。
その スイスの方が 此れほどまでに 大胆な行動にでる。
よほど 八少女さんが魅力的で 失いたくないと思ったのでしょうね。
中々 その様な方には めぐり合えないのが現状で…
めぐり合えた そして 其の幸運を手に入れた 素晴しいです。
僕も 何時か 掻っ攫いたいと思える方に めぐり合いたいものです。
益々 私小説が 楽しみになりました。
 



2012.07.11 03:50 | URL | #- [edit]
says...
おはようございます。

素敵な掌編、ありがとうございました。
書いた憶えのない遠距離恋愛時代の痛みや、ゆっくりと成熟していく関係やら全てお見通しで完全に脱帽しました。

魂を分かち合える相手のいない孤独を持て余し、探すわけでもなくアフリカを彷徨った二人がたまたま同じ場所で足を止めた不思議。こんな奇縁が、同じ願いを持つ人たちの希望になりますように。

ウゾさんにかっさらってもらえる女性は幸運ですね。幸福なご報告が聴ける(まだ遠い未来の)その日まで、また、その後も、このご縁が続く事を願っています。

ありがとうございました!
2012.07.11 05:33 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
うわぁ、何かジンワリきました(´;ω;`)ブワッ

繊細な心でつづったような、美しい文ですなぁ。
2012.07.11 15:27 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

でしょう? でしょう?
こんなに美しい文章をいただいてしまって感激です。
これだけでも結婚した甲斐があるってものです(なんか違う?)

コメントありがとうございました!
2012.07.11 17:02 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
何て素敵な記事なのだろうか。刺激が強くも、やんわりと包み込む大人なやり取り……羨ましいです!鳥が翼を目一杯広げ、羽ばたくように……心躍る夕さんの私小説が愉しみです
2012.07.12 04:40 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

うわ、しまった。
自分で私小説の出来に対するハードルを上げてしまったらしい……。
あまり期待しないでくださいまし。
本当に書くのかな、私。

みなさんの作品や記事に影響や刺激を受けて、作品はいろいろ書きたくなってはいるんですけれどね〜。

コメントありがとうございました!
2012.07.12 17:20 | URL | #9yMhI49k [edit]

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