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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

生命は道を見つける

実はここしばらく人間が自然に対して行う蛮行に沈んでいたのですが、浮上した話を。

切り株から生える枝

今週はキリスト昇天の祝日で4連休でした。とはいえ、イタリア方面は渋滞になることがわかっているので、遠出はせずにいました。そんなわけでのんびり過ごしたのですが、普段はしないことをしようと思い立って、同じ村に所属するペトログリフを見学に行ってみました。その話は別に記事にしますが、その途中でこんな木々を見つけてちょっと嬉しくなったので、それについて語ります。

伐られた木

1か月ほど前のことですが、近所に生えている立派な木がほとんど伐られてしまいました。もちろん土地の所有者は木を伐採して売る権利はあります。でも、涼しい木陰を作っていた美しい木々を全部一斉に伐って光景が変わるほどの丸坊主にするなんてと、近所の皆が憤っていました。この写真のような木材の山が5つくらいできて、それを大きなトラックが根こそぎ持って行き、土地は無惨な切り株だらけになりました。散歩の度にそれを眺めるのがとても悲しかったのです。

切り株から生えた木

それが、金曜日にペトログリフを見るために、近くの山に登っている途中にかなり昔に同じように伐ったと思われる切り株をいくつも見たのです。この道を歩くのは初めてではないのですが、それまでは切り株にはさほど注目していなかったのですね。

見ると、切り株の根元から立派な木が2本も育っています。それに、冒頭の写真のように、切り株から新しい枝がぐんぐん生えている様子もたくさん見かけました。

私がかつてカオス理論とマイクル・クライトンにハマるきっかけをくれた映画『ジュラシック・パーク』には、数学者イアン・マルカムの「生命は道を見つける」という台詞がありました。「恐竜が勝手に増えないように最新テクノロジーで完璧に制御している」という人たちの傲慢さに対しての警告的な言葉で、ホラー的展開への一種の予言となっていた言葉ですが、今回の私が見た切り株から生えた生命に関してだけいえば、植物の生命力に対する讃美ともいえる言葉でした。

我が家の近くの切り株だらけの無惨な土地も、よく見ると残された切り株からひこばえが生えてきています。太陽光が直接差し込むようになった土地には、どんぐりやその他の木の実からの若苗がたくさん芽吹いているのが見えます。

たぶん私が生きている間には、かつての森のような土地には戻らないかもしれませんが、その後には再び緑豊かな散歩道に戻るのかもしれないと思うと、嬉しくなりました。「もののけ姫」のシーンのようにみるみる生えてくれればいいですけれど、現実はそうは行きません。でも、植物たちにはたくさんの時間があります。その時間を祝福したい想いでいっぱいになった午後でした。
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Comment

says...
ううむ、難しい題材ですね。

まあ、人間社会の理論では正しいのですが。
土地の所有者は何をしてもいいという理論は正しいですけどね。。。

ブラジルのアマゾン熱帯雨林と同じ理屈ではあるんですよね。
アマゾンの熱帯雨林伐採に世界は批判しているけど。
ブラジルだって食っていかないといけないのだから、
伐採をやっているという話でもあるので。
(やり方云々の問題は色々にしろ)


夕さんがおっしゃっている通り、
植物には長い年月がありますからね。
色々な道から生命の息吹を魅せてくれますよね。

私も今月に庭の剪定をやったんですけど
(涼しい季節にやらないとバテる)、
去年切ったところから、新芽が生えているのを見ると、
植物の生命の強さを感じさせてくれますよね。
まあ、そうは言っても、生え放題にしていると、
隣にまで植物が伸びていうので容赦なく切るのですが(笑)。

2023.05.26 12:26 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

そうなんですよ。
別に法律に触れたことはしていない……のですけれど、そこに住んでいた動物たち、人びとの環境、大雨など何かあったときの災害の危険性などなど「なんでこんなことするんだ」と思っている人もたくさんいて。まあ、私なんかは単純に「悲しいなあ」だったのですけれど。

庭の樹木などは、そのままにしておくという方もいますけれど、実はある程度剪定をして不自然に混み合った中の枝を除いてあげたり、土地の関係で根の大きさと地上部の大きさのバランスを取ってあげたりすることで、むしろ樹木を健康にしてあげるという意味もあったりしますよね。私も、鉢植えの樹木は毎年この時季に剪定しています。ほんとうに植物の生命力には元氣をもらいますよね。

コメントありがとうございました。


2023.05.26 23:31 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
 垣根の垣根の曲がり角~♪ 今や人の習俗の曲がり角である。
 焚火は禁止されてしまったので落ち葉を集めても厄介なだけである。焼き芋を焼くのどかな風景なんて何処にも無い。そうなれば落ち葉を出す気なんて悪者になるしかない。結果公園の木は切られて禿坊主。増々熱い夏の日々。木陰も無いような公園に人は集まらず、ただでさえ少ない子供が遊ぶ姿なん見られる訳がない。エアコンなしには居られない。その電力を賄うために、森切って林焼いて発電パネル。エコロジー万歳だ。
2023.05.28 14:03 | URL | #eRuZ.D2c [edit]
says...
こちらにもありがとうございます。

えー、いまって焚き火も禁止になってしまったんですか。
焚き火で焼き芋はともかく、昨今の樹木を切り倒したがる輩、異常ですよね。
そもそも日本なんて真夏が暑くて大変なんだから、木陰は残しておいた方がいいのに!

ちなみにスイスは60%が水力発電です。太陽パネルをつける個人宅はあっても、メガソーラーで禿げ山なんて話しはないですねぇ。
日本もあれだけ山と川があるのだから、もっと水力発電もできると思うんですけれどね。
昨今の「環境のために」のごり押しは、どうもどなたかのポケットが膨らむように、無理なごり押しが進んでいるように思えてなりませんね。

コメントありがとうございました。
2023.05.28 23:00 | URL | #9yMhI49k [edit]

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