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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

【小説】北の大天蓋の下で

今日の小説は『12か月の建築』11月分です。このシリーズは、建築をテーマに小さなストーリーを散りばめています。

今月のテーマは、北極圏に住むサーミ人の木造住宅ゴアティです。

子供の頃、『星のひとみ』という本を読んだ記憶があります。当時は「ラップランド」「ラップ人」という名称で紹介されていた北極圏に住む遊牧民族の民話を元にしたストーリーだったと思います。実は詳細はあまりよく憶えていないのですが、本来ならば死んでしまうような厳寒の中、放置された赤ん坊が数奇な運命に導かれて救われた所から始まる話でした。とはいえ、どう考えてもハッピーエンドではなくて、児童文学としては異色な作品だったので強く印象に残っています。

その印象が強かったので、今回のシリーズでもサーミ人のことを題材にすることを決めて調べはじめました。子供の頃に理解できなかったあの圧倒的に悲しい美しさについて、少しだけ理解が深まったような氣がします。


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北の大天蓋の下で

 シューラは、霜で覆われかかった下草を踏みしめた。彼女にとって幸いなことに、まだ雪が地域を覆い尽くす前で、数週間前に降ったのであろう雪の名残は、全く日の当たらない場所にのみ残っているだけだった。それは、ここが森の中であるからだった。平原は雪に覆われている。1日に数時間しか太陽の出ない11月の北極圏で、当てもなく歩き回るわけにはいかない。夕闇と共に氣温は急降下し、彼女の中で危険信号が点滅した。

 モスクワ発ムルマンスク行きのキエフ鉄道に乗ったのは3日前だ。いつも通りにスケジュールを優先するのであれば、空港に向かうべきだったし、たとえ自分の休暇を使うとしても本来ならばもう自宅に戻っていても、おかしくない時間だった。

 モスクワで大学を卒業し、順調にキャリアを重ねたアレクサンドラ・ダニーロヴナ・プーシキナは、ニッケルの買い付けで優位な条件を手にするためにミハエル・アルバキン氏と交渉を重ねた。ミーシャ、シューラと呼び合う信頼関係を手にしてようやくムルマンスクで会うことになったが、彼女は虫の知らせのように、どこかでアルバキン氏とは会えない予感がしていた。

 ムルマンスクは、ノルウェーとの国境に近い北極圏、コラ半島にある。シューラにとっては、母親から何度も聴かされた地名であったが、異国のロンドンやニューヨーク以上に遠い土地だった。祖父の生まれ故郷であるコラ半島に、1度も行ったことがなかったのは、考えれば奇妙なことだった。

 アルバキン氏が扱うニッケルは、ひどい環境災害を引き起こしたことで悪名高いノリリスク・ニッケルから調達しているという黒い噂があった。それでも他のどの会社よりも都合のいい見積もりは、シューラにとっては競合他社や社内のライバルたちとの戦いに勝つために魅力的だった。

 だが、もうアルバキン氏との交渉を考える必要も、環境問題に対して良心の呵責に堪えることもない。それ以前に明日の朝、シューラが生きている保証すらないのだ。

 モスクワの冬に慣れていたので、たまたま自分が乗るときに列車に何かが起こるなどと想像したこともなかった。突然の停車と、説明もない2時間の待機にシューラは苛立った。ブレーキの近くで凍結した氷柱が割れ、エンジンを傷つけたという情報はまわってきたものの、いつ回復するのかという説明はなかった。

 別の機関車が到着して、ようやく動き出した列車は次の駅で乗客を降ろしたものの、代替交通機関などの用意は無かった。白タクシーを手配して、先の駅まで行こうと交渉した。足下を見られないように、わざと高慢に振る舞ったのがよくなかったのかもしれない。

 途中で喫煙をしたいから、コーヒーでも飲める所で停めろと言ったら、運転手は何もない平原で急停車した。
「何よ。危ないじゃない」
「コーヒーの飲める所なんてねえよ。勝手に吸え」

 シューラは、煙草をくわえて火をつけようとしたら彼は怒り出した。
「ふざけんな。外で吸えよ」

 しかたなく、彼女は降りた。コートを着て、外に降り、寒いだろうとドアを閉めたところ、運転手は、急にアクセルを踏んで発進した。

 彼女は、あわてて罵声を飛ばしながら、そして、次に懇願しながら追いかけたが、車は戻ってこなかった。シューラの荷物をトランクに入れたまま、男は走り去ってしまった。

 はじめからシューラの荷物や金を狙っていたのかもしれない。身体に危害を加えられなかったのは幸いといえるのかもしれない。貴重品を入れたハンドバッグを持って車を降りたことも幸運だと思った。救援を呼ぼうとまずは警察に電話を試みたが、なんと圏外だった。

 しばらく歩けば駅や警察のある町にたどり着くだろうと甘い見通しでいたのも間違いだった。歩き出してからようやく、明るくなった広大な平原に1人でいることがわかった。2時間ほどでその日がもう傾きだしたが、その間、他の車どころか動物すらも側を通らなかった。

 あの男が警察に通報される心配もしなかったのはそのせいだった。町まで生きてたどり着くことはないと思ったのだろう。実際にそうなる可能性の方が高そうだ。

 このまま、何もない平原を歩くか、それとも暖を取るために森林へ進むかしばらく考えてから、シューラは森林を選んだ。ほんのわずかだが、女の歌声のようなものが聞こえていたからだ。

 深い緑の中を、こわごわ進むと、その歌声は少し大きくなった。言葉は全くわからないが、おそらくこのあたりに住むサーミ人のヨイク歌ではないかと思った。もし、ロシア語か英語が通じれば、近隣の村に連絡してもらい、助かるかもしれないと。

 シューラは、暗い木々の間を進み、突如として見えた光景に愕然とした。

 子供の頃、悪いことをすると母親はいつも脅した。
「ババ・ヤーガが迎えに来てあんたをバリバリ頭から食ってしまうよ!」

 その伝承の鬼婆は、鶏の足の上に載った木の小屋に住んでいると教えられた。今シューラが目にしているのは、まさにそんな小屋だった。4本の生えた木を柱として、その上に高床式の木の小屋が支えられている。柱となっている木の根が、まるで鶏の足そっくりだ。

 シューラが硬直しながら立っていると、その小屋の中から、誰かが出てきた。それは、ハバ・ヤーガのイメージの老婆ではなく、子供とはいえないが、大人ともいいがたい年齢の若い女性だった。

 黙って凝視しているシューラを見て、彼女も驚いたような表情を見せた。そして、何かわからない言葉を発した。

 これがさっき歌っていた人だと、シューラは思った。シューラに言葉がわかっていないのを見て取ると、彼女はノルウェー語で何かを言った。それも通じていないとわかると片言のロシア語で訊いた。
「あなたは誰? どうしてここにいるの?」

 シューラはホッとして、言った。
「わたしは、シューラ。犯罪にあって、放り出されたの。町へ行きたいの」

 少女は、少し考えてから首を振った。
「少なくとも、今夜は無理ね。ここには私しかいないし、この寒さであと30㎞は歩けないでしょう?」

「どこかに救援は呼べない?」
シューラがスマートフォンを取り出すと、少女は笑った。
「それ、まだ動くの?」

 そう言われて見ると、スマートフォンの電源は切れていた。氷点下の寒さと、圏外で見つからぬ電波を探す動作が電池を消耗させたのだろう。電池切れになっていたことに氣がついていなかった。

 シューラはそれでも食い下がった。
「あなたは携帯電話は持っていないの?」

 少女は首を振った。
「ここでは電化製品は役に立たないの」

 それから、手に持っていた革鞄を斜めがけにしてから高床式の家の扉を閉めると、梯子を伝わりながら降りてきた。そして、シューラの傍らに立った。
「今夜、町に行くのは無理よ。わたしはマリよ。ついていらっしゃい」

 シューラは、彼女の家には入れてくれないのかと思って落胆した。寒さに手足は強ばり、もうたくさんは歩けるとは思えなかった。マリは、ああという顔をしてから言った。
「心配しないで。すぐそこだから」

「ここは、あなたが寝泊まりする家じゃないの?」
「違うわ。これは倉庫なの。寝泊まりするのはゴアティよ」

 ゴアティが何を意味するのかはわからなかった。いつだったかテレビで見た、サーミ人が寝泊まりする布テントを想像した。その映像では、トナカイがソリを牽き、人びとは氷の上で焚き火をしていた記憶がある。ソリがあれば町まで連れて行ってもらえるかもしれない。

 木々の合間を少し歩くと、高さ4メートルほどの木の小屋が現れた。たくさんの丸太を円錐形に束ねてある。そして、隙間から緑色の苔や植物が顔を出していた。布テントでもなければ、人びともトナカイもいなかった。
「これが、ゴアティよ」

 マリは、丸太でできた扉を開けて、シューラに「どうぞ」と言った。

 近くで見ると丸太の骨組を土や木が覆っている。土にびっしりと苔が生えており、また覆った外側の木々から新芽が生えている。根のついた自然の木々や苔が絡み合い、補強と断熱効果があるようだ。

「ここで靴を脱いでちょうだい」
そう言うと、マリは毛皮でできたブーツを脱いだ。彼女は小さなフェルトの中履きを履いていて、シューラの薄いストッキング姿を見ると、奥から同じようなフェルトの履き物を持ってきて渡してくれた。

 中は15平方メートルくらいだろうか。中央に石の囲炉裏があり、炭が赤く熾っていた。奥の一部分にだけ、毛皮が敷かれているが、それ以外は非常に細い枝が敷き詰められていた。

 少女は、革鞄から薪を取り出すとそれを囲炉裏にくべて火を熾した。シューラは、待ち焦がれた火の暖かさに安堵の声を漏らした。

「座って」
マリは、囲炉裏の近くの場所を示した。シューラはコートのボタンを外し、肩から羽織るようにして火に当たった。それから、小屋の中を見回した。

 外側は生きている植物で覆われていたが、内側は滑らかに処理された丸太で組まれている。湾曲した大きな柱が2本、それをつなぐ太い丸太が全体を支える骨組みとなり、その骨組みに立てかけるように丸太が並べられている。丸太にはいくつかの枝が残されていて、それを骨組みに引っかけて全体がバラバラにならないようにしている。だから、縄や釘のようなものは一切見えないのに、しっかりと固定されている。

 不思議な小屋だ。中心に平たい石で組まれた炉と、鍋のようなものがあるだけで、棚やテーブル、椅子などの家具はない。かといって布テントほど簡易な作りではなく、外にあのように植物が育つのならば、新しい建物ではないだろう。
「古い建物なの?」

「そうね。たぶん200年くらいじゃないかしら。正確には知らないけれど」
「あなたはここに住んでいるの?」

「いいえ。でも、ここに来るときには使うわ。一族みんなのゴアティなの」
そういいながら、炉に鍋を掛けて湯を沸かした。

「サーミの人たちって、たくさんのトナカイを放牧したり、観光客たちに犬ぞりを見せて暮らしているんじゃないの?」

 無知な質問には、慣れているのだろう。苦笑しながら答えてくれた。
「たくさんトナカイを飼って放牧する人たちは山岳サーミっていうの。私たちはトナカイは飼うけれど小規模で主に森に住むので森林サーミって呼ばれている。ほかに湖や海岸に住む人たちもいて、彼らは漁業を営むのでトナカイは飼わないのよ。それに、今では都会に行って伝統とは関係のない仕事をしている人もたくさんいるわ」

 その話をしているうちに湯が沸いた。マリは手際よく、コーヒーを淹れ、パンを温め、それからトナカイの燻製肉を切り分けて渡してくれた。古い折りたたみナイフや食糧は、みな彼女の持ち歩いていた革鞄から出てくる。火の熾し方、トナカイの毛皮を敷き詰めて座り心地のよい場所も作る手際もいい。

「マリ、あなたはいくつなの?」
シューラはずっと疑問に思っていたことを訊いた。

「16歳よ」
印象は間違っていなかった。しかし、彼女の行動は、とても16歳のようには見えなかった。森の奥に1人で寝泊まりし、火を熾し、食べ物を用意し、寒さも孤独も怖れる様子がない。

「あなたたちの民族は、16歳でもこんな風に何でもできるの?」
シューラが訊くと、マリは不思議そうに見つめた。

「何でもできるわけじゃないわ。ひと晩くらい、問題なく過ごせるだけよ。子供の頃から、家族に習ってきたの。あなただって、あなたの家なら暖のとり方や、コーヒーの淹れ方に困ることはないでしょう?」
それはそうだ。

「こんなに人里離れたところに、1人でいるのって大変じゃない?」
そう訊くと、マリは少し笑った。
「1人になりたいから森にいるのよ。ずっと学校に通わなくてはいけなかった。ようやく1人で森に来られるようになったのよ」

 シューラは、心底驚いた。
「じゃあ、あなたはずっと1人でここにいるの?」

 マリは首を振った。
「残念ながらそうじゃないわ。普段は村で働いているの。2週間の休みで、森に来ているだけ。明日はもう少し南のゴアティに移る予定よ」

 つまり、マリは徒歩だけでこの森に来ているのだ。シューラは、彼女に出会えたことがとんでもない幸運だったことに今さらながら氣がついた。

「ずっと森にいられたらいいけれど、私たちの祖先のような暮らしは、難しいの。義務教育だの、税金だの、逃れられないことがたくさんあるから。納得がいかないことにも従わざるを得ないから」

「税金や社会保障費は、しかたないんじゃない? 安全を守るためであったり、病や老後に困らないためにひつようなことでしょう?」

 マリは、シューラをじっと見つめた。
「あなたは、ここで安全? 困っていない? 税金や社会保障費が、今あなたを助けてくれている? その仕組みここでは無効だけれど、私たちは、税金や社会保障費なんかなかった頃と同じことをして生きているわ。あなたたちの『保障』や『安全』が、ここには届かないのに、なぜそのための掛け金を払わなくちゃいけないの?」

 シューラは戸惑いながら言いつのった。
「でも、都会では、社会は全く違って機能しているのよ。警察は電話1つできてくれるし、病院にも近いの。暖かい家に住んで、珍しい美味しいものを食べられる。キャリアを重ねてお金を稼げば、最新流行のファッションに身を包んだり、海外旅行に行ったり……」

 マリは、首を振った。
「そうしたい人は、すればいいわ」

 それから、マリは焰を見ながら、ヨルクを歌い始めた。先ほど聴いたのと同じだ。意味はわからないが、何か特別な想いが込められているかのようだった。

 焰が揺らめき、火の粉と共に煙が上がっていく。小さな穴から煙は夜空に上っていく。冷たい北極圏の空がその煙を引き受けている。漆黒だと思ったのに、その穴からは緑色の光が揺らめいた。
「え?」

 マリは、立ち上がると身振りでシューラを外に誘った。コートを着て、ブーツを履いて急いで外に立つと、木々の切れ目に広がる空は、緑色のカーテンに覆われていた。オーロラだ。

 マリのヨルクに合わせるかのように、オーロラは波打ち煌めいた。風と、遠くを動く動物が揺らす木々の音が、ヨルクに絡みつきながら張り詰めた冷たさの中シューラの耳に届く。

 シューラは、震えた。真っ黒にそびえる森の木々と、風と、ゴアティから立ち上る煙は、マリのヨルクと同調して、北の大きな天蓋を讃美していた。横たわる世界は完璧で冷たく、シューラはどうしようもなく小さかった。

 順調に駆け上ったキャリアも、クリスマスシーズンの豪華な晩餐も、何もかもが儚く脆く虚飾に満ちていた。矮小で役に立たないのは、動かないスマートフォンや、駆けつけてくれない警察と同様、見下されないための傲慢な態度や、ニッケル調達をめぐる黒い噂に目を瞑る欺瞞を当然のことと思っていた自分自身だ。

 ゴアティの中に戻ってから、シューラはもう先ほどのように雄弁に都会生活の優位を主張できなかった。マリもまた、多くは語らなかった。

 用意してもらったトナカイの毛皮を敷き詰めた寝床に横たわりながら、暖かく燃える焚き火を見つめた。

 ババ・ヤーガの小屋のような倉庫にしまわれた薪や食糧、トナカイの皮や森の木々から作られた慎ましい調度、電氣も漆喰もないのに、まだ生きている植物に守られた暖かい夜。マリやその仲間たちが大切に思い、残したいと思っている暮らしのことを考えた。

 凍死する心配はなかったけれど、慣れないトナカイの毛皮の寝床では深くは眠れなかった。ずいぶんと時間が経ったように思ったが、北極圏の夜は長かった。すべての電子機器が動かないシューラには時刻を確かめる術はなかった。

 暗い中、マリが淹れてくれたコーヒーとともに朝食をとった。ボタン1つで出てくるカプセル式のコーヒーと違い、コーヒー豆を入れた小さな鍋が焚き火の上でコトコトと音を立てるのを待つ時間はとても長い。1週間前のシューラだったら、この時間は人生の無駄遣いに思えたことだろう。

 でも、今の彼女にはこの長い時間が必要だった。意味のわからないマリのヨルクも、トナカイに関する思い出話も、彼女の旅の拠点であるゴアティのある聞き慣れぬ地名の数々も、今のシューラには聴く時間がたっぷりあった。

「このカップ、素敵ね」
コーヒーの注がれた木製カップは手に馴染む形と、温かみのある木目がいい。

「ククサって言うの。白樺の木にできたコブで作るのよ。この大きさのコブができるまでには30年くらいかかるので、大量生産はできないの。だから、手に入ったら大切に使うのよ。たいていは贈り物ね」
マリは微笑んだ。シューラは「そう」と、改めて珍しそうに眺めた。

 マリによると、上手に移動していけば、3日後には町につけ、警察や電話といった彼女の必要な助けが得られるという。彼女は、それまで一緒にいて助けてくれると言ってくれた。シューラは、それで十分だと思っていた。アルバキン氏からのニッケルの買い付けは、もう望みがないだろうが、それがどうだというのだろう。社内での出世競争に遅れをとったことも、もう氣にならなかった。

 北極圏に広がるサーミたちが暮らす自然に支配された世界の大きさ、マリの助けを借りて生きて帰ることの奇跡を経験している意味の方がずっと重要だと感じる。

 天蓋に散らばる満天の星は、北極星の周りをゆっくりと動いていく。シューラはククサを両手で抱えて、コーヒーの香りを吸い込んだ。

(初出:2023年11月 書き下ろし)

追記


ストーリーに出てきたサーミの伝統歌謡ヨイクは、単なる歌ではなく自然と交流する儀式の一部でもあるようです。今回のストーリーはロシアのコタ半島を舞台にしましたが、サーミ人を国境で○○人と区分することはナンセンスなのかも。

Mari Boine - Gula Gula (Hear the voices of the foremothers) by Jan Helmer Olsen

【追記2】ゴアティの情報が見つかりにくいみたいなので、私が参考にした動画を貼り付けておきます。

Arctic ancestral survivalism: on extreme weather Sami wisdom
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Category : 短編小説集・12か月の建築
Tag : 小説 読み切り小説

Comment

says...
執筆、お疲れ様でした。

サーミ人も、その住居(?)のゴアティも、またしても初めて知りました。ラップ人という言葉には聞き覚えがありましたが、今では使われていない言葉みたいですね。
ゴアティという住居はなかなか資料が見つかりませんでしたが、半分自然のままの木を使った小屋みたいですね。枯れ木の束じゃあ寒そうですけど、書かれているような生きた木ならマシなのかな。
シューラ、命の危機でしたが、マリに出会えたことで思いがけない余得にありつきましたね。マリの生活のしかたや、目撃したオーロラなど、シューラの人生観を変えるには十分だったと思います。都会に帰った彼女、また機会をみつけてこの森に帰ってきそうな気がします。
2023.11.22 10:20 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんばんは。

あ、そうですよね。サーミ人では、トナカイの大群と移動する山岳サーミの使うテント住居ラヴヴォの情報はたくさん出てくるんですが、ゴアティの情報にたどり着くのは大変だったのを忘れていました。追記に参考にした動画を改めて貼り付けておきました。お時間があったらどうぞ。

私もラップランド、ラップ人という言葉しか頭になかったんですが、この言葉はもともと定住者たちがサーミ人のことをそう呼んでいた、ちょっと侮蔑的だということで、最近は使わないようになったんだそうです。

この掌編を書くにあたって、サーミ人の暮らし方をいろいろと調べたのですが、大変さと羨ましさと両方の感情を持ちました。
もちろん弱っちい私たちは、サーミ人たちのように生きることはできないのですが、それでも学ぶことがたくさんあるように思います。
また、大多数の人たちが当たり前のように受け入れている制度について、考え直す機会にもなりました。

シューラは、これをきっかけに生き方を少し変えるかもしれませんね。
もともとおじいさんがこの地域の出身という設定なので、TOM−Fさんがおっしゃるように、また時おりここに戻ってくるかも。
マリとも交流が続くかもしれませんね。

コメントありがとうございました。
2023.11.22 23:01 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
サーミについては知っていました。
フィンランドとロシアの長い戦争を舞台にしたサーミ人のスナイパーの話を呼んだことがあるんです。あのロシアに立ち向かうなんて(ウクライナもそうですが)なんともたくましい民族ですね。あの辺は昔から鎮まることがないのかな・・・。何とか折り合いを付けてほしいです。
それはさておきゴアティ、とっても良いですね。あの極寒の地で生きていくための知恵なんでしょうが、この地で手に入るものを組み合わせて最適なものを作り上げているように思います。しかも建材自体が生きているなんて、あの外観、とっても素敵です。
自然とともに生きる(都会に住む者の憧れとはまったく別の意味で)、まさにそういう生き方を彼らはしているのですね。SDGsを標榜する文明と称するものの中に生きる人々にも彼らに学ぶことは多いんじゃないかと思います。
シューラの常識とこの地での常識の対比はちょっと愉快ですらありました。携帯電話、こんなところでは通じないですよね?普通。シューラの言い分とマリの言い分の食い違い方といったら・・・・。
シューラ、サーミの生活に圧倒され感銘も受けたようですが、このまま無事モスクワに戻ったら、また元の“取った取られた”の生活に戻っていくんだろうな。
でもね、きっとこの大自然の中に放り出された時に感じた自分の小ささや弱さや心細さ、文明から隔絶された大天蓋の下で感じた安らぎみたいなものの経験は残っていると思いますから、彼女の行動や心理に何らかの影響が現れるんじゃないかと思います。
マリとの交流を保ち、たまに大きな休暇を取って、この地を訪れるようになったらいいなぁ・・・。
2023.11.24 14:49 | URL | #jOWqJxro [edit]
says...
こんばんは。

サキさんの世代だと、お読みになった時もはじめからサーミでしょうね。
私の子供の頃はラップ人、ラップランドという言葉が普通に使われていたのですが、時代ですね〜。

今の時代、どこの国に属しているかはっきりしない人たちというのはどんどん稀になってきていますが、たくさんの国々が陸続きで存在しているユーラシア大陸には、いくつもの国を横断する民族がまだいて、国境という誰かが決めた線で動きを制限されることに対して納得していないようなところがあります。スイスにも、そうした移動する特殊な人たちがいます。北欧やロシアに住むサーミの一部もそんな人たちなのでしょうね。

ゴアティ、すごいですよね。これ、移動可能なんですって。ただし、テントみたいなラヴヴォと違って、移動させるのは大変みたいです。
女手ひとつでは建てられないでしょうが、業者とか大工といった他人の手を借りずとも自分たちで自分の面倒を見ることになれた人たちの誇りのようなものを感じます。

私たちが当たり前のように享受している現代文明は、こうした極地では本当に何ひとつ役に立たないんですよね。
反対に私たちがいかに多くのものに依存して生きているのか、考えてしまいますよ。

もちろん帰ったら、シューラの生活は80%くらいはもとのままになるんですが、それでも生き方の中に「これでいいんだろうか」「こんなやり方もあるかも」というような広がりが出てくるんじゃないかと思います。あと、黒いビジネスには目を瞑らないようになるんじゃないかと。

私もシューラはきっとまたマリやサーミの元にやってくるんじゃないかと思いますよ。

コメントありがとうございました。
2023.11.25 23:04 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
凄い。雪国ファンタジーような展開。
雪の雰囲気、北国のありようが描かれていて、
とても魅入られる文章を読ませて頂きました。
ありがとうございます。

社会保障とか税金の話にも触れていて、
その辺は現代を感じましたね。
東京で生まれ育った方が
人にたくさんいる社会に疲れて
田舎のところに行くのは良くある話ですしね。
実際に、島根県とかも転出数と転入数が拮抗している状態で、
転出に関しては若者が外に出ていって戻ってこないパターンが多いですが、
その分、都会部の方が生活のしやすさや
ゆとりをもって生活をしているの感じて、
転入している方も多いですからね。


ゴアティ、凄いですね。これで移動可能なのか。
テント程簡易ではないにして、暫く住むには困らない。
非常に勉強になる建物でした。


2023.12.04 09:24 | URL | #- [edit]
says...
こちらにもありがとうございます。

今年は太陽活動の影響で、北海道でもオーロラが観測できたということですが、今回舞台にしたのは北極圏で、冬はよくオーロラも観測できるようなめちゃくちゃ寒いところです。そもそもモスクワも、私の住むスイスよりもずっと寒いのですが、それよりももっと寒いのに小屋でひと晩過ごすとか、ものすごい体験だろうなあと思います。

田舎といってもいろいろあって、選択の余地は少ないけれどそこそこ文明の利点が届いているようなところが大半ですが、この話に出てきたようにそもそもそういう所ではない地域というのも、この世界にはまだまだあるみたいです。私が経験したのはアフリカですけれど。
私自身が東京育ちでどっぷり社会のインフラに慣れ親しんでいたので、そうした世界には衝撃を受けて、井の中の蛙だったなと実感しましたね。

島根県はそこまでの田舎ではないですが、都会とは違う生き方や考え方が主流だと思います。
日本に帰るなら島根に住みたいななどとチラッと考えたりもしましたけれど、もう帰ることはないかなあ。

ゴアティ、本当にすごいと思います。
テントと違ってそうしょっちゅう動かすものではないらしいですが、
動かそうと思えば動かせるんですよね。
私も書きながら毎回勉強になっています。

コメントありがとうございました。
2023.12.05 20:20 | URL | #9yMhI49k [edit]

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