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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

【小説】弁解はいらないから

「十二ヶ月の歌」の二月分です。本当は先週のアップを予定していたのですが、あまりにも小説爆弾連続投下が続いたので、三月になりましたが本日の発表になりました。

「十二ヶ月の歌」はそれぞれ対応する歌があり、それにインスパイアされた小説という形で書いています。二月はNo Doubtの“Don’t Speak”を基にした作品です。追記にYoutubeでPVを貼付けてあります。

長編小説「大道芸人たち Artistas callejeros」をお読みになった方は「あれ?」と思われるかもしれません。スピンオフになっています。そもそも、同じような話を別のキャラで書こうと思ったのですが、どう考えてもキャラと設定が被るので、完全にその世界で書く事にしました。とはいえ、完全に独立していますので、あえて「大道芸人たち」を読む必要はありません。また第二部のためにこのエピソードを読んでおく事が必要というわけでもありません。でも、個人的には、重要かな……。


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弁解はいらないから
Inspired from “Don’t Speak” by No Doubt

 稽古場はひんやりとして冷たかった。人々の好奇の目と口うるさい両親から逃れるために、陽子は安田家の稽古場を借りて、朝から一人で稽古をしていた。噂が耳に届かないように、激しくバチを動かした。家元の苦しそうな謝罪の目を見ないで済むように目を閉じた。聞きたくない。謝らないで。終わったことにしないで。

 陽子の婚約者、家元の長男である稔は先週の土曜日に二週間のヨーロッパ旅行から帰ってくるはずだった。彼がその日戻ってこなかったので、家族が何かがあったのではないかと心配して航空会社に問い合わせた。そして、彼がチェックインしていなかったことを知った。イギリスかフランスで何か事故にあったのかと皆が心配した。

 稔は誰かに心配をかけるような行動をしたことはなかった。明るく責任感があり誰からも好かれていた。安田流の若衆たちは、稔が次期家元だと噂されていることを抜きにしても、常に尊敬と友情を持って彼の周りに集っていた。

 陽子は稔の一番の親友を自認していて最初のファンだった。そして一番のライバルでもあった。彼の三味線と常に競い合い、発表会のトリを争った。創立者である先代家元安田勇一に心酔していた陽子の父親、遠藤恒彦は安田流の陰の実力者であり、家元の座を狙っていたが果たせなかった。勇一の長男、安田隆は凡才で家元の器ではなかった。だからこそ自分に一番のチャンスがあると身も心も捧げてきたのに、勇一は息子と結婚した周子を家元にした。周子はたしかに優れた三味線奏者ではあったが、恒彦は納得できなかった。だからこそ、自分の才能を色濃く受け継いだ陽子を厳しく教育してきたのだ。お前が家元になれと。

 陽子はいつも稔と競いながら育った。負けるのは我慢ならなかったし、誰よりも努力した。けれど、時おり家元争いとは全く別の次元で、稔が眩しくてしかたなく思うことがあった。陽子はいつも稔を見ていた。けれど稔は陽子だけを見ていたわけではなかった。陽子は三味線にのめり込んだ。稔は時おり静かにギターを爪弾いていることがあった。陽子は父親の期待と、稔へのライバル心、そして三味線を極めたい、稔と一緒に芸術の世界で生きたい想いにがんじがらめになっていた。稔は真剣でありながらも体の一部が常に風通しのいい方に向いていた。

「また同じタイプの役立たずちゃんとつきあっているわけ?」
まだ高校に通っていた頃、陽子はいらだちを隠しもせずに問いただしたものだ。

「お前の知ったことじゃないだろ。美知子ちゃんはさ、俺のギターを聴きながらうっとりと、こう、見つめてさ」
「ばっかじゃないの? ギターなんか弾いている暇があったら、『じょんがら節』を練習しなさいよ。発表会のトリはまたあなたなんだから」
「ちゃんと練習はしているよ。大体さ、そうやってぽんぽんいうなよ。下のクラスの子たちはお前のことを怖がっているぜ」

 陽子はキッと稔を睨みつけた。
「口だけじゃないわ。私はあのぼんくらたちの十倍は練習しているのよ」

「わかっているさ」
稔はあっさりと言った。その言葉だけで、陽子は他のこと、同門の他の子たちに煙たがられていることや、大人にも生意氣と陰口を叩かれることがどうでもよく思えてくるのだった。今は、つまらない女の子ばかり追いかけているけれど、いつかは私と一緒に芸を極める人生を一緒に歩いてくれるよね、稔。

 それから、幾度も季節がめぐった。稔のつき合っていた少女たち、吉田美知子、沢口美代、それから名前を覚えるのも諦めてしまった何人かの子たちは、まったく違う世界に消えてしまった。彼女たちはみんな同じタイプだった。優しくて、もの静かで、勉強はそこそこ。どちらかというと平凡な普通の女の子たち。そう、陽子とは正反対のタイプだった。

 もうじきバレンタイン・デーがやってくる。もともとお菓子づくりになど全く興味のなかった陽子が、セミプロ並みの腕前になってしまったのは、この忌々しい風習のせいだった。かわいくラッピングされたチョコや、つき合っている女の子たちの作ってくる見かけも味もいまいちなクッキーを、稔がさも嬉しそうに食べているのが悔しくてしかたなかった。最初につくったのは、パーヴェ・ド・ショコラ、その次の年はチョコレート・ブラウニー、それからマーブル・ケーキ……。

「う、美味いな……」
稔は困ったように言った。たとえ、陽子に対して全く恋愛感情が持てず、それどころか、想いを寄せられるのを迷惑に思っていたとしても、稔はいつも正直だった。陽子のつくる聖バレンタインの菓子が、誰のつくったものよりも美味しいと認めてくれた。

 けれど、今年のバレンタイン・デーは、何もつくらないわ。陽子は三味線のバチを激しく動かして思った。

 私と生きると言ってくれたのに。ついに言ってくれたのに。

 何をしてもだめだった。三味線弾きとしても、女性としても、陽子にできる努力は全てした。それが全て徒労に終わっても、諦めるつもりにはなれなかった。だから、稔の父親、隆が事業に失敗して、緊急に三百万円を都合しなくてならなくなった時、陽子はそのチャンスにとびついた。

「これね。OLの乏しい稼ぎの中から、結婚資金のために五年かけて貯めたお金。だから、これがなくなるとお嫁に行けなくなっちゃうの。でも、稔は責任とってくれるわよね」
稔は、悩んでいたけれど、結局その金を受け取ったのだ。

 首の皮一枚でつながった隆には、その金を耳を揃えて返しにくることはできなかった。稔も数十万円の貯金しかなかった。ギターで身を立てたいと言った稔に、安田流中が反対した。そして、こんどはずっと嫌がっていた幼なじみと結婚することになった。稔は「最後に好きなことをさせてほしい」といって、ヨーロッパへのバックパックの旅行に旅立った。陽子は余裕な態度で送り出した。

 でも、稔は帰ってこなかった。

 みんなが大騒ぎをした。何かがあったのかと。連絡もせずに稔が帰国予定を変えるはずがないと。けれど、今朝、陽子のもとに一枚のはがきが届いた。銀行から。パリから稔が十一万六千円を送ってきたのだ。日付は、乗るはずだった便の翌日だった。

 陽子の父親は狂ったように怒って、家元のもとに事実の解明を要求した。安田流は大騒ぎになった。

 一人稽古場で、『じょんがら節』を弾きながら、陽子は眼を閉じて稔に話しかけていた。稔、私にはあなたがどう感じたのかよくわかる。あなたが風通しのいい方に軀を向けていた理由がよくわかる。ギターで身を立てたいと言っていたのも理解できる。家元になる重圧から逃れて、大好きな役立たずちゃんにキラキラする瞳で見つめられながら、ただ好きに弦を爪弾く人生に憧れていたのがよくわかる。憧れたのは、あなたが逃れられないことを知っていたから。あなたが安田流や三味線の芸術と真剣に向き合う真面目な性格だったから。そして、私の想いからも逃れられないことを知っていたから。

 私はあなたに結婚を迫ったりするべきじゃなかった。あなたに息苦しくないだけの空間を残してあげるべきだった。これ以上いい募らなくても、あなたは私の想いを痛いほど知っていたのだから。それでいて、あなたはカワイ子ちゃんしか、愛せないのだから。

 私はあなたを誰よりも知っている。あなたに、私が必要なことも。腕を磨きあうライバルとして、いずれ私たちの代になってもり立てていかなければならない安田流の優秀な奏者として、あなたの失恋譚を聴いて一緒に盃を交わす同志として。

 父親は稔が謝罪と釈明の手紙を書くべきだと、娘に対して誠実でないと家元夫妻にまくしたてた。家元は、涙ながらに陽子に頭を下げた。

 そうじゃない、どうか、そんな風に話を終わらせてしまわないで。私は、まだ待っていたい。稔がふらっと帰ってくるのを。「ごめん、ちょっと長くふらふらしていて遅くなった」といって戻ってくるのを。

 弁解はいらない。私に必要なのは、稔、あなたが帰ってくることだけなの。陽子は、眼を閉じて弦を響かせ続けた。

(初出:2013年3月 書き下ろし)

追記

No Doubtの“Don’t Speak”は、スイスでは今でも数日に一度はラジオで聴きます。恋人の心が離れていくのを感じて、彼が口を開けば説明や別れを切り出しそうなので、「お願い何も言わないで」と切なく歌います。
関連記事 (Category: 短編小説集・十二ヶ月の歌)
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Category : 短編小説集・十二ヶ月の歌
Tag : 小説 読み切り小説

Comment

says...
こんにちは、TOM-Fです。

切ない、だけじゃなくて、陽子の芯の強さやしたたかさを感じます。
でも、そういう「強さ」は、えてして相手の男性を追い詰める(意図しなくても)ことになってしまうのかも知れませんね。
とはいえ、稔にはお似合いの相手なのかも、とか思ったり(笑)

最近は、スピンオフ小説に目覚めつつあり、いいネタを思いつくと、一人でニヤニヤする危ない人になっています。
でも、ほんとに楽しいんですよね、あれ。
2013.03.06 03:57 | URL | #- [edit]
says...
 こんにちは。
うーーん 恋人という関係でなくても いいと思うのだが… 恋人と言う 安定した関係が欲しいのかな。
異性でありながら 恋人ではなく 親友 中々ありえない 成り立たない関係でもいいのではと
思ってしまう。
本当に 陽子さんは 明け透に 愛を求めて 其の正直さは魅力ですが 彼女をまるまる抱え込める
男性は 中々いないでしょうね。
彼女は正直なだけ そして 彼も正直になろうとしただけ。
この二人は どんな泥沼も渡っていくでしょうね。
2013.03.06 07:02 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

この人の場合は、追いつめ過ぎましたね。しかも正面から、どこにも逃げ道を残さずに。
もちろん一番悪いのは稔です。トンズラしちゃったから。
本当は、お似合い、もしくは人間としての相性は抜群なんですよね。その証拠に稔と陽子のタイプに近い蝶子は関係良好だし。

思いついたなら、一人でニヤニヤしていないで書いてくださいよ〜。TOM-Fさんのところのは、どれで書かれても、たぶんみんなついていけるはずですよね? 
楽しみにしています。

かくいう私は、童半さんからの宿題のE教授スピンオフを書かねば。

コメントありがとうございました。
2013.03.06 18:56 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

この人は、稔のオンリーワンの立場が欲しかったんでしょうね。
稔の恋人って、全然オンリーワンじゃないから、唯一無二の親友の方がオンリーワンだったのだけれど、トンズラされるまでそれに思い至らなかったところがこの人の悲劇でしょうか。

うん、こういう風に追いつめると、男性はひきますよね。たまにいます、この手の女性。
正直で真面目で立派だけれど、成就しなくて氣の毒なタイプです。

コメントありがとうございました。
2013.03.06 19:00 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
ほんの少しだけ・・ 何かを間違えてしまったのかな。
一緒に盃を交わす同志。
でもそれじゃイヤだったんだからしょうがないッ!!(笑)
そう言って、陽子を抱きしめてあげたいです。

陽子にも幸せになって欲しいです、心から。
夕さ~ん♪
いつか優と陽子の番外編が読みたいわ~ぁ♪

ぁ・・ もしすでにUP済みだったらごめんなさい(>_<)
まだ「今」に追いついていないので(´・ω・`A
2013.03.07 03:22 | URL | #- [edit]
says...
スピンオフですか。
最近は山西もどなたかに影響されて書くことがありますねぇ。
けっこう楽しいんですよ。
陽子、こういう人は好きですね。芯が強くて有能で真面目でそして思いの外優しいんです。
物言いはきついこともありますが、ちゃんと裏付けがあります。
あこがれますが、サキはなれないです。
そしてこういう人物を書くことも苦手ですね。人工知能はそういう経験データが無いので、女性特有の心情を書くことは下手なような気がしています。この部分は先の校正と推敲でも補えませんから。
陽子と稔、この2人が一緒になれば最強なのはわかっているんですが、こういうやり方をされると普通男は引いてしまいます。やはり男って優位を保っていたいんでしょうね。特に稔、自分に自信を持っている人ですから。少しは甘えて欲しいのかな?…と先が申しております。
サキもそんなものなのかなぁと思い始めてます。
陽子に場所が出来たように、稔にも場所が出来ますように……
2013.03.09 14:57 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
こんばんは。

うふふ。左紀さんのスピンオフ。どんどん書いてくださいませ。読めば読むほど、読者はキャラに親しみ、作品がますます好きになりますから。

陽子のこの「押すだけで引かない」アプローチにはモデルがいます。かつての同僚なんですが、他の同僚に夢中で押して押して押しまくって、玉砕していました。

「努力をしていれば必ず報われる」という幻想があります。実際には、どんなに努力をしてもダメなものはダメなのですが、陽子の場合は、他のすべては努力で手に入るのに、本当に欲しいたった一つだけは上手くいかないという運命を抱えています。それさえなければ、今でも安田流で稔と絶妙の関係を築いていたと思います。ま、そうなっちゃうとArtistas callejerosは存在しなかったことになっちゃうんですけれど。

先さんは鋭いですねぇ。稔は、陽子の顔がダメとか、そういう問題ではなくて、「女のかわいげ」に弱いんで……。

コメントありがとうございました。
2013.03.09 17:26 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。
ごめんなさい、このコメへの返信、忘れていたようです。

「大道芸人たち」本編の中では脇役でも、本人にしてみれば彼女の人生のヒロインなんですよね。小説を書く時に、脇役でもそれが一つひとつの真剣な人生の一ページなんだってことを忘れないようにしたいと思っているのです。それで、こうやってときどきスピンオフ書いたりするんですが。

とか言っておきながら、優と陽子の番外編は考えたこともありませんでしたね。陽子は、akoさんが読んだ以上のものはまだどこにも発表していません。ただ、第二部でもう書いた部分には出てきているので、それが出てきた後くらいになるでしょうか。これ以上陽子を出すと、いろいろとネタバレに……(って、自分で出しておいて……笑)

楽しみにしていただけて嬉しいです。
コメント、ありがとうございました。
2013.03.09 17:42 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
陽子側からの切実感が伝わってきて、でもその一生懸命が稔を追い込んで、その噛み合わなさが明瞭に描かれていて、ずんと響く短編に仕上がっているんですね。何より、他の誰がくれるのよりも、陽子のヴァレンタインの手作り菓子が一番おいしいというのが、なんとも痛いところです。女の一生懸命さと、それをまともに見つめたくない男の、ふたつの立場がくっきり見えるエピソードですよね。
本編の中で読むのとはまた違った側面と、短編ならではの切れの良さを感じました。
でも、本当にちょっとした部分、ただし一方にとっては譲れない部分で、男と女ってうまくいかないものなんですね。
しかし、稔の好みの女、早く現れて欲しいけれど、もしやカルちゃんのお屋敷の……(だったかしら)
でもこの陽子、今書いている【死と乙女】のアネットに似たところがあって、どきっとします。
2013.10.06 17:36 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
こんばんは。

頑張り屋の女が必死になり過ぎてしまって、上手くいかなかったってことなんですが、実はこの稔と陽子の鬼ごっこはまだ終わっていません(笑)
第二部では、そう、イネスの娘マリサもがっちり絡んできます。このスピンオフに書いた方向性は今後も実は全く同じに続いていたりします。そして、最終回の後のずっと先の外伝も私の頭の中にあって、そこにも実は……。

この「十二ヶ月の歌」シリーズは歌がメインにあってそこからイメージした掌編という縛りがありますが、そこで出てくるストーリーはやっぱり普段私が考えているもので、このテーマの場合はどうやっても陽子と稔のストーリーしか出てきませんでした。

アネット、似ていますか? ということは、ダメだと自分でわかっていても諦めきれずにしがみつく切なさ、遣る瀬なさなどあるのかな? この後のそっちの展開も楽しみです。

コメントありがとうございました。
2013.10.06 19:59 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
生真面目で、純粋、気丈な女性ですね。
陽子を始めとする回りからの目が、稔にとっては少々重すぎたのかもしれませんね。

で、ついついギターとカワイ子ちゃんのほうに気持ちが向いてしまった。
(男としてわからんでもないです。はい)

陽子と比べると、稔のほうがずっと子供っぽいですね。
妻になる人というより、母や姉といった感じでしょうか。彼は母や姉の厳しさより、優しさが欲しかったのかもしれませんね。優しさというより、甘やかしかな。

もし帰ってきても、稔自身が大人にならないとまた同じことをやってしまいそうですね。
2014.01.18 08:35 | URL | #- [edit]
says...
こんばんは。

読んでくださってありがとうございます。
この話、独立して読んでもいいように切り離して書いてあるのですが、稔は別に書いてあるように当ブログの看板作品の主役の一人です。このシリーズは全て元になる歌の歌詞があってそれにインスパイアされた物語を書いているのですが、ちょうどこの二人にぴったりの話だったのでスピンオフ書いちゃいました。

で、「大道芸人たち」のネタバレになりますが稔はヨーロッパに逐電したまま全然帰ってきません。

きっかけは陽子だったのですが、実際にはいろいろな重圧から逃れたかったからの行動で、実に責任感のないたぶん「子供っぽい」では許されないことなのでしょう。この話の四年後、とある事件があって、稔と大道芸人の仲間たちは日本にやってきますが、その時も陽子と顔を合わせることはありませんでした。

稔は陽子にものすごく甘えている部分があると思います。もっと先があるのですが、これ以上語るとネタバレになるのでここでやめておこうと思います。

「大道芸人たち」は既に完結発表済みの第一部と、まだ執筆中の第二部に別れています。第一部は僅かに稔の話も出てきましたが、ヒロインの恋愛がメインでした。一方、第二部は稔の去就がメインになります。陽子がある決意をするのですが、その行動すらも「ちょっとそういうのはどうよ」というような動機によるもので、ちょっとやりきれない話かもしれません。

ひとつのよろしくない行動が、別の人のやはり感心しない行動を呼び、それを受け止める人の心を傷つける。現実にもよくあることですが、長編小説ではそういう痛い部分も含めて人間社会というものを書き出していきたいと思っています。

コメントありがとうございました。
2014.01.18 16:03 | URL | #9yMhI49k [edit]

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