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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

【小説】大道芸人たち Artistas callejeros 番外編 〜 菩提樹の咲く頃

お待たせしました、という言葉がこれほど必要な小説もないでしょう。実に半年以上お待たせしてしまいました。しかも読み切りではありますが、二つありまして、今日発表するのはその一つ目です。(二つめは来週発表予定です)

リクエストをくださったのは私のもっとも古いブログのお友だちの一人のあずまなかいじさんで、こんなリクエストでした。

個人的には、“ヴィルパパサイド”をもっと掘り下げたスピンオフとかも読んでみたかったりw
己の大儀は、誰かにとっての悪。己にとっての悪は、誰かの大儀。
『敵役の正義』も明確にできると、物語に更に奥行きもでてきたりもします。
お気が向きましたらば、ご一考下さいませ。


ヴィルパパとは、「大道芸人たち」を読んでくださった方ならご存知のカイザー髭ことエッシェンドルフ教授です。このリクをいただいた時に、「うわ、やられた」と、思いました。第一部では、ただの悪役なのですが、第二部でArtistas callejerosが変わっていくのにあたって大きな役割を果たしていまして、いつかは掘り下げなくちゃいかんと思っていた矢先のことでございました。

今回のストーリー、本編でいうとチャプター5のはじまる三ヶ月前を基点に、教授は想いを過去に向けています。

普段は、外伝はお遊び的要素が強く独立していますが、この作品と次に発表するもう一本の外伝は、半分本編のようなもので、さらにいうと重いです。小説を読むのに順番を指定したりするのは、作者のエゴだと思いますし、本編を読んでいない方に外伝だけでも読んでいただくのもとてもありがたいことなのですが、こちらから読むと本編を読む印象が大きく変わると思います。それだけご承知おきくださいませ。

10:50 追記。
「大道芸人たち Artistas callejeros」本編のチャプター5をお読みになっていらっしゃらない方へ。ネタバレがあります。ここでネタバレされたくない方は、先に本編をどうぞ。


【大道芸人たちを知らない方のために】
「大道芸人たち Artistas callejeros」は2012年に当ブログで連載していた長編小説です。興味のある方は下のリンクからどうぞ

「大道芸人たち Artistas callejeros」を読む このブログで読む
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あらすじと登場人物



大道芸人たち Artistas callejeros 番外編 〜 菩提樹の咲く頃

 白く煌めく光が、菩提樹の花の間を通る。風が柔らかく薄い黄色の花をそよがせる。六月の陽射しは強いというよりは鋭い。ハインリヒの、もう若いとは言えない肌を刺すようだ。彼はしばし見上げて眼を細めた。彼が乗り込むのを待つ間、トーマスは開いた車のドアの前で微動だにせずに立っていた。

 ハインリヒはこの樹はかつては建物の高さと変わらなかったのにと思った。そう、彼がこの館の主となってさほど時間が経っていなかった頃。彼の勝利の始まりだった、あの頃。

 ハインリヒ・ラインハルト・フォン・エッシェンドルフは、広大な領地と由緒ある城館を所有し、長い伝統を誇る男爵家の長男として生まれた。颯爽とした身のこなし、先祖伝来のゲルマン的な整った風貌に加えて、優秀な頭脳にも恵まれていた。低俗な子供たちと交わる事もなくミュンヘンの城館で家庭教師によって教育を受けた。若くして母親を亡くしたが、彼を十分に甘やかす召使いたちに囲まれ足りないものはなかった。

 ハインリヒは、最年少で大学教授となった。父親のエッシェンドルフ男爵は、ハインリヒがフルートを専門とする事にいい顔をしなかった。上流階級のたしなみとして若干のクラッシック音楽の趣味を持つのも悪くないと勧めたのは彼自身であったが、エッシェンドルフの子息が舞台の上で演奏するなど、到底許されない事のように思ったのだ。だが、ハインリヒは父親を説得するために教鞭を取る身となった。大学教授となれば、芸人まがいのフルート吹きとは違う。ようやく父に認められたハインリヒは満足だった。

 その少し前に、ハインリヒはもう一つ、父親に反抗した。遠縁にあたるマリエンタール家のエルザとの結婚を決めたのは父だった。ハインリヒはまだ結婚したくなかった。さらに高慢で世間知らずな妻に我慢がならなかった。ハインリヒが演奏旅行でベルリンに行く時にエルザはパリへと買い物に行った。ハインリヒに三日遅れてエルザがミュンヘンに戻ってきた時に、彼女の家財はすべて実家に送られていてハインリヒはエルザに会うのを拒んだ。プライドの高い彼女が実家から冷たい手紙とともに指輪を送ってきたので、ハインリヒは離婚届を送り返した。父の男爵は経過すら知らされておらず、間に入ろうとした時にはすべて手遅れだった。

 時を置かずして父の男爵がこの世を去ると、ハインリヒは男爵位を相続し、名実共にエッシェンドルフの主人となった。若く、裕福で、名声もある青年は、はじめて自分のしたいことを思うがままに出来るようになったのだ。そうだ、あの時もこうやって、この菩提樹の樹を見上げたのだったな。ハインリヒはつぶやいた。

「総合病院でございますね」
運転手のトーマスが確認した。
「そうだ。予約は二時だ。シュタウディンガー博士も向こうに行っているはずだ」

「アーデルベルト様がよくなられて本当にようございました。さぞご安心なさった事でございましょう」
「そうだな、この春まではまだ予断を許さない状態だったからな」

 総合病院には、四月の半ばまでアーデルベルトが入院していた。二月にニースで一人息子はチンピラに刺され、肺に達する大けがをした。一年以上も消息不明になっていたかと思えば、大道芸人をして暮らしていたという嘆かわしいニュースとともに、フランスの警察からの連絡があった。父親として出来るかぎりの事をしてやったつもりだが、彼は反抗ばかりする。こうなってはじめて自分の事を父親がどう思っていたかを、ハインリヒはわずかに悟った。

 アーデルベルトは、笑わない子供だった。

 エルザとの不幸な結婚に懲りたハインリヒは、当分結婚するつもりはなく、次々と寄ってくる女たちとの情事を純粋に楽しんだ。裕福で名声と前途のある自分を絡めとろうとする女郎蜘蛛のような女たちがどんなゲームをしかけてこようとも、彼は常に心の中でせせら笑っていた。大学で教えていたマルガレーテ・シュトルツもその手の女の一人だった。美しかったが鼻っ柱が強く、プライドの高さはエルザに似通うものがあった。ハインリヒがマルガレーテと同衾している時、どこかエルザを手篭めにして辱めている感覚があった。普段はどれほど高慢な女でも、組み敷かれている時は彼の支配下にある。彼はマルガレーテを、つまりエルザを支配して罰した。そうすればするほど、我が強く、反抗心を持った女はハインリヒに心酔していった。ハインリヒは図らずも女の支配のしかたをこの女から学んだ事になる。

 マルガレーテはハインリヒにのめり込み、自分が唯一無二の女だと思い込むようになった。そして、ある日得々として報告してきたのだ。
「赤ちゃんが……あなたと私の愛の結晶が、ここに宿っているの」

 彼は激しい嫌悪感を持ってその報告に臨んだ。狂ったように、他の女と情事を重ね、マルガレーテの存在を無視しようとした。連絡を絶ち、子供が生まれたので逢ってほしいという願いすら退けた。「私の子供だと言う証拠はない」と告げた言葉がいけなかった。マルガレーテが裁判所を通じて正式なDNA鑑定を申請したあとで、彼は認めざるを得なかった。ヴィルフリード・シュトルツとして役所へ届けられた子供はたしかにエッシェンドルフの血をひいていた。そうなったからには、彼は名前を与えてやらなくてはならなかった。子供の名前はアーデルベルト・ヴィルフリードと届け直された。それでも、ハインリヒは当分マルガレーテと子供に逢うつもりはなかった。

 その意志を数年後に曲げる事になった。息子に音楽の才能がある、このまま埋もれさせるのは惜しいと言う連絡に興味をおぼえたのだ。マルガレーテの策略だと思いつつも、万が一本当に才能があるならば、早くきちんとした教師につけなければ取り返しのつかない事になる、そう思ったのだ。マルガレーテの癖のあるフルートの音色がつけば、息子のキャリアには致命的になるだろう。また、自分ももっと早くにいい教師につけていれば回り道をせずにすんだと思っていたこともある。父親が音楽に理解がなかった事をハインリヒは不快に思っていた。

 アウグスブルグの集合住宅に足を踏み入れたとき、ハインリヒは思わず眉をしかめた。灰色のコンクリートが打ちっぱなしの建物は趣がなかった。外には工場の騒音がどこからともなく満ちて、落ち着かなかった。アパートメントの暗く天井の低い部屋も時計の針の鬱屈した音を増幅した。

 久しぶりに見たマルガレーテは、疲れた顔をしていた。目の下に隈があり、学生の時よりも安っぽい体に合わない服を着ていた。憐憫を感じる事はなく、ただ不愉快でたまらなかった。

 だがわずかに射し込んだ陽は、部屋の隅にいた少年の髪にあたって柔らかい金の光がダンスを踊っているように錯覚させた。小さな手には不釣り合いなフルートもまた輝いていた。母親のピアノの伴奏に合わせてそのフルートから澄んだ音が響いてきたとき、ハインリヒは幼かった自分の子供時代に戻っていた。フルートの音色に惹かれていった、あの遠い日々に。

 あれほど意固地になって無視しようと思っていた少年に対して奇妙な関心が芽生えた。マルガレーテの、何度言っても直らなかったおかしなビブラートを微かに感じていても立ってもいられなかった。これは一刻も早くきちんとした指導をしなくてはならない。

 週に一度、トーマスの迎えで館にレッスンに来る息子は、ドイツで期待できる最高の教育環境のもとあっという間にその才能を花ひらかせていった。

 アーデルベルトは決して媚びなかった。何かを欲しがる事も、父親の歓心を得るために姑息な行動をとる事もなかった。ほとんど口を利かず、表情を変える事もなかった。笑わなかった。そして泣かなかった。だが、すべての想いは、フルートの調べに、ピアノの響きに乗って天上へと昇華していった。貧しいアパートであれ、エッシェンドルフの館であれ、それはまるで変わらなかった。

 多くを語らず、喜怒哀楽も示さず、何も要求しない従順な少年は、全く別の形で雄弁だった。館のサロンに置かれたベーゼンドルファーのピアノに触れる時に、いつもわずかに息を飲む。それは恋いこがれた女に何週間ぶりにようやく逢って触れる事を許された青年のようだった。一週間、あの灰色のコンクリートの集合住宅に置かれた安物のピアノでひたすら練習してきた課題を、暗唱してきた恋文を披露するかのように溢れさす。その音色の違いに彼の瞳は輝き、頬は紅潮する。

 ハインリヒの目はそんなアーデルベルトに釘付けになった。子供なぞ関心を持った事もない。やっかいな未熟な存在として、避けてきたはずだった。だが、息子の小さな掌から溢れてくるメロディーは、それが大して難しいものでないにしても、ただの練習曲ではなくて、彼の目指す音楽そのものだった。ことさら厳しい顔をして技術の事をいかめしく口にするが、そうしなければ心の中に湧いてくる予想のつかない感情を制御できないように感じたからだった。

 フルートを吹きながら傾げている頭に、窓から射し込む陽の光が反射している。実に美しい光景だった。はじめて見た時から感じたその美しさは、共に過ごす時間が増える度に、何とも言えぬ喜びと誇りとなってハインリヒの中に育った。アーデルベルトはもはやマルガレーテが無理にこの世に送り出したやっかいな存在ではなくなっていた。これが私の息子だ。エッシェンドルフの正当な跡継ぎだ。誰よりも優れた血筋だ。

 時間が経つにつれて、アーデルベルトの背は伸び、小さかった手も次第に大きくなっていった。しなやかな肢体に、生命力が宿りだす。骨が、筋肉が、丸まるとして柔らかかった肌よりも目立ちだした。声が変わり、少年から男になっていく体の変化に戸惑い、秘め事に悩んでいるのを感じる事が出来た。それほど彼の音色は雄弁だった。

 その当時、ハインリヒが定期的に逢っていたリディア・ハースという女が、アーデルベルトを厄介払いしようとした事があった。彼女はエッシェンドルフ男爵夫人になるためにありとあらゆる布石を置きながら、ハインリヒには賢明にもその目的を巧妙に隠していた。だが、週に一度現われてはフルートとピアノのレッスンを受ける少年がハインリヒの子供であるという噂を聞きつけると、行動にでたのだった。

「話があるんだ」
ある時、レッスンが終わってからアーデルベルトがハインリヒを引き止めた。
「何だね」
「来月から、少しレッスンのペースを落としてほしい」
「何故だ」
「ギムナジウムの受験の準備を始めたい」

 ハインリヒは眉をしかめた。
「ギムナジウム?」
「そろそろ将来の事を考えなくてはならない」
「コンセルヴァトワールから大学へ行けばいいだろう」
「音楽を職業にする事は考えていない」
「なんだと。何故だ」

 アーデルベルトは小さく肩をすくめた。
「うちにはそんな金はない。あんたの氣まぐれが終了して、自分でレッスン代を捻出することになったら、破産だ」
「氣まぐれだと?」
ハインリヒは半ばショックを受けた。息子が「うちには金がない」と言った事も予想外だった。

「俺はあんたのように遊んで暮らせるような金のある家庭には生まれてこなかったんだ。現実的な選択をするしかないだろう」
ハインリヒは耳を疑った。
「何を言っているんだ。私の持っているものは、やがてすべてお前のものになるんだ。お前は私の息子なんだぞ。忘れたのか」
アーデルベルトは肩をすくめた。
「遺伝子はそうかもしれないが、社会的には俺とあんたは他人だろう」

 ハインリヒはようやく思い出した。彼は社会的には「アーデルベルト・W・シュトルツ」だった。ハインリヒには嫡子はいなかった。心の中ではとうに彼こそがエッシェンドルフを継ぐ唯一無二の存在になっていたというのに。アーデルベルトの冷たく関心の無い物言いが心に引っかかった。そんなことが、彼の心を茨のように突き刺すとは考えてもみなかった。ハインリヒははじめて氣がついた。彼は息子を愛していたのだ。

「あんたがあの女と結婚して、ちゃんとした子供をもうけたら、そいつを大学に入れればいい」
その言葉を聞いて、ハインリヒはすぐに理解した。勝手な事を息子に言ったリディア・ハースとすぐに別れると同時に、弁護士を通してアーデルベルトをエッシェンドルフの嫡子とする手続きを開始した。我が子がフォン・エッシェンドルフ姓を名乗る事になった事を、母親のマルガレーテが大喜びしたのは間違いない。ハインリヒはすぐにも息子を引き取りたがったが、母親から子供を取り上げると法的に厄介な事になるので、しばらくお待ちなさいと弁護士に諭されてあきらめた。

 ハインリヒは、しばらく満ち足りた時間を過ごした。アーデルベルトは従順に音楽を続けた。名実共に自分の息子になったことが、彼を幸福にした。大学在学中にコンクールで優勝し、彼の前途は約束されたようなものだった。

 同じ頃、彼は母親と住んでいたアパートメントを出て若者と共同生活をはじめた。ハインリヒが辛抱強く待っていたのはそれだった。独立した息子なら母親には法的な便宜を一切図らずに済む。マルガレーテの存在を無視したまま、アーデルベルトを跡継ぎとしてミュンヘンの屋敷に引き取れるのだ。彼は、息子に引っ越しを命じた。

 だが、アーデルベルトはそれを断ったばかりか、突然フルートをやめると言い出した。用意したデビュー演奏会をキャンセルすることになった。遅い反抗期かとさほど心配もしていなかったが、本当にきっぱりとフルートをやめてしまった。それから……。


 車は総合病院についた。トーマスがドアを開けると、どこからともなく菩提樹の香りが漂ってきた。車から降りて見上げると病棟の前に大きな樹がたくさんの花をそよがせていた。

 ハインリヒの心と言ってもいいフルートを置き去って、出て行ってしまったアーデルベルト。愛しい女を失い、これからは息子と二人で生きていこうと思っていたのに失踪してしまった我が子。死にかけたと聞いて、心もつぶれるかと思うほど心配して迎えにいった二月の朝。それから、息子の指に光る指輪をみつけたこと。その指輪が、愛する女の指にあったのと同じデザインだと氣づいてしまった事。

 そのすべてが、彼の心臓を締め付けた。それは、今、息子が途切れがちに、激痛をこらえながら吹こうとしているフルートの悲痛な音色に似ていた。だが不思議だった。どれほど反抗し、どんな形で裏切ろうとも、ハインリヒはアーデルベルトをそのまま受け入れていた。彼は息子を愛していた。自分でも信じられないほどに深く、無条件に。

 愛する事は痛かった。彼の持っている、持ちすぎているともいえる全てを差し出しても決して得る事のできない想いに絡めとられる事は苦しかった。だが、なかった事にはできなかった。

 彼はしっかりと前を見据えると、今後の治療方針について医師達と話し合うために病院へと入っていった。

(初出:2013年7月 書き下ろし)

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Category : 小説・大道芸人たち 外伝
Tag : 小説 読み切り小説 リクエスト

Comment

says...
こういうの大好きなんです。
お父さんという立場のひとの息子や世間への想い、傲慢さも愛情も無関心や憎しみやあれこれの葛藤。
きっと父親って、自分が腹を痛めない分、父親になるためには『努力』が必要で、それは単に頑張るという意味じゃなくて、時間の流れとか(時間との闘いは十分に努力の範疇)、環境の変化とか、いろんなものが渦を巻いて、その結果突然、何かに目覚めるんじゃないかと思うのですよね。
それが愛情であるといいのですが、たまにはちょっと難しい方向へ行くことも。
世間に対しても、男はいつも何らかの『努力』を求められますから……
これが母と子どもなら生まれないドラマなんですよねぇ。

あずまなかいじさんがリクエストされなかったら、いつか私がリクエストしていたと思います(^^)
気になっていたヴィルパパの気持ちが読めて、とても嬉しいです。
実は私の話が4代、いや5代にわたる話になってしまったのも、このパパ好きが災い?したのです。
親子(父子)葛藤と兄弟葛藤が大好きで、行きついてしまった……疑似親子・疑似兄弟も含めて。
そして、その根幹にあるのは、ゴッドファーザー。アル・パチーノが見せた『息子』の死への涙とそのあとの復讐を見ると、あぁ、これはもう、いつか書こうと。
父親の愛情って、時々行きすぎると実力行使になるので、怖い。それが時々、当の息子にもぶつかってしまう。息子は、父のことを理解することはもしかしたらないのかもしれないと思う。人生としての答えは出せても、父親自身への愛情と言う形で答えを出せないのかも。
ヴィルとパパ、私のツボにはまっています。
堪能いたしました(^^)
2013.07.14 05:48 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
こんばんは。

コメをいただいた後に「しまった! チャプター5のネタバレ注意を書くの忘れた!」と慌てましたが時遅し。申しわけありませんでした。あちゃ〜。

他のリクエストと違って、これは本編にものすごく関わる外伝で、どう書くのが一番か半年も悩んでおりました。来週の分と一氣に書こうかとか、来週の分だけ書こうかとか、悩んだ末、こういう形がベストだろうと思いました。

彩洋さんもそうだと思うんですが、私は「なぜこうなるのか」というところにものすごくこだわってしまうのです。「大道芸人たち」のストーリーの中ではエッシェンドルフ親子と蝶子の関係、それから稔の失踪とその去就が全編を流れるこだわりどころで、エッシェンドルフ親子と蝶子に関して言えば、単純に「DNA検査の結果が黒だったから」とか「ヒロインだから」とかそういう理由だけでの結びつきでは自分で納得がいかないのです。今回の親子関係が、来週発表する教授と蝶子の関係にもとても大きな影響を及ぼしていて、それが第二部にもつながるので、どう伝えるかというのは悩みどころでした。

親子の形にもいろいろあって、つい先日発表した「おまえの存在」のように単純に父性愛・母性愛ではくくれない形も存在するのですが、それでも一般論で言えば彩洋さんがおっしゃるように母親が子供に対して持つ愛というのはかなり自明のもので、その形の愛はヴィルの母親も若干のゆがみはあるもの持っていたと思います。その一方で、ハインリヒは自身がもともと親との関係が薄い上流階級で育った上、ヴィルの誕生から音楽を通して面会するまでの関わりがすっぽりと抜けているので、時間をかけ父性愛の存在をわざわざ認識しなくてはならなかったという事情があって、よけいややこしいことに。

ヴィルは父親の愛に対して完全に誤解していると思います。チャプター1の失踪シーンでの独白にそれが現われています。父親の蝶子に対しての盲目の愛については認識しているんだけれど、それがどこから来ているのかをまったくわかっていない。蝶子は蝶子で教授の自分に対する執着の種類を誤解している上、自分は他人だからいいとして教授は息子はあきらめないだろうと感じています。その辺の三人の認識のズレにあたるようなものが、現実でもきっとあるんじゃないかなあと、親と子、男と女、それぞれの関係性を思いながら第二部も綴っていこうかななどと思っています。

コメントありがとうございました。
2013.07.14 20:59 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
大丈夫ですよ~
実は、【幻の猫】を書く時に、ざっとイメージを作るのに走り読みをしていたので、内容は知っているのです。
イメージを外さないか心配で……
そして、今、じっくり読み直しています。だから実は2回目の読書中。
走り読みでも面白かったけれど、ゆっくり味わうと、本当に面白いなぁと思いながら拝読しております。
感想はいっぱいあるので、またゆっくり書きに来ますね。
2013.07.15 04:02 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
こんばんは。

ほっ。それならよかった。
まあ、あの小説はミステリーではないので、ネタバレが致命的ってことではないんですが、それでもどきどきしました。来週の分はチャプター1までのネタバレしかないんですけれどねぇ。

コメントありがとうございました。
2013.07.15 18:10 | URL | #9yMhI49k [edit]

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