scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

【小説】あなたの幸せを願って

月に一度発表する読み切り短編集「十二ヶ月の野菜」の十月分です。このシリーズは、野菜(食卓に上る植物)をモチーフに、いろいろな人生を切り取る読み切り短編集です。十月のテーマは「南瓜」です。十月に南瓜ときたらハロウィンなんですが、わざと違うものにしてみました。

先日の休暇中に練った話なので、舞台は北イタリアの山の中です。


短編小説集「十二ヶ月の野菜」をまとめて読む 短編小説集「十二ヶ月の野菜」をまとめて読む



あなたの幸せを願って

 クラーラの家は、ボコボコする道をオンボロバスに揺られて30分も登った所にあった。彼女の他には、もともとは20家族くらいが常時住んでいたらしいが、今では夏の休暇用に貸し出している家が三軒あるだけになっている地域だ。冬の運行時間になるとバスも通らなくなってしまう。

 リーノの両親が今年最大の派手な喧嘩をして、母親がナポリに帰ってしまったので、彼はしばらく父親の妹であるクラーラの所に預けられることになった。はじめは妹のアーダと一緒に祖母に預けられたのだが、二人が喧嘩ばかりするので、祖母は二人一緒は勘弁してくれと父親に直談判したのだ。

 たしか三歳くらいの時に逢っているはずだが、彼は叔母のクラーラを憶えていなかった。

「あれは偏屈の変わり者だよ」
だいぶ前に母親がそういったので、リーノは氣味の悪い魔女のようなおばあさんが迎えにくるのかと思っていたが、母親よりもずっと若くみえた。茶色い髪を素っ気なく後ろで結び、飾りの全くないブラウスとスカート姿だった。リーノは叔母がまずまず氣にいった。

 クラーラに連れられてバスを降り、ほんの少し山道を登ると、山に抱かれるように小さな庭があって、いくつもの南瓜が実っていた。黄色いコスモスやエンドウ豆の仲間のようなピンクの花も風に揺れていた。その奥には、小さい石造りの家があって「さあ、ここよ」とクラーラは木の扉を開けた。

 白い壁の小さな台所はスープの匂いで満ちていた。今どき、薪オーブンで調理しているらしい。古ぼけた薄水色の木の棚のガラス窓に、いくつもの瓶詰めやジャムが見えた。リーノが物珍しさに興奮しているのを見て、クラーラは優しく笑った。

 クラーラはリーノを寝室に案内した。
「小さいけれど我慢してね」

 小さいなんて問題じゃなかった。リーノは自分一人の部屋を持ったことがなかった。これからどのくらいかはわからないけれど、この部屋を独り占めできるんだ。古い木の寝台、机と椅子に小さいタンス、そして、洗面器と水差しが置かれている。

「お腹がすいているでしょう。すぐにご飯にしましょうね」
クラーラは台所に戻ると鍋をかき回した。リーノは荷物をタンスにつっこむと、いそいそと台所に戻った。そして、クラーラについて彼の村で噂されている言葉について率直に訊いてみた。

「ねえ、角のある女コルヌータ って、なんのこと?」
リーノが訊くと、クラーラの手はぴたっと停まった。しばらくの不自然な間で、少年にも絶対に訊くべきでなかったことなのだとわかった。クラーラは甥の方を見て、ぎこちなく笑った。
「誰か他の人が幸せになったってこと。でも、他の人に、そんな言葉を遣っちゃダメよ。言っちゃいけない言葉の筆頭だわ」

 クラーラの説明では、リーノにはそれが悪い言葉のようには全く聞こえなかったが、この称号は、かなり悪いことなのだろうと思った。どうしてなんだろう。いい人に見えるのに。

 寝取られ女コルヌータ。クラーラはため息をついた。人里から離れていれば、嘲りの言葉を聞かないで済む。けれどそれが長くなると、それを受ける痛みを忘れてしまう。そして久しぶりのその言葉が彼女の胸を新たに抉るのだった。それが永久に続くのかと思うとがっかりする。けれど、彼女はリーノの前でその言葉を発した人びとも、それにリーノ自身にも悪意はないのだと自分に言い聞かせた。

「さあ、食べましょう」
パルミジアーノ・レッジャーノの塊と、薄くカットされたパン、それに鍋から注がれたオレンジ色のスープ。クラーラはリーノの前に腰掛けて微笑んだ。

 リーノは南瓜のスープはあまり好きじゃないんだと言い出せなかった。湯氣の向こうの微笑みを壊さないように、渋々スプーンを動かし、ふうふうと息を吹きかけてから観念してスープを口に運んだ。

「あ、美味しい」
彼がつぶやくと、クラーラの微笑みはぱっと笑顔になって花ひらいた。

 リーノが苦手だった、薄くてあまり味のないスープと違って、この南瓜のスープは濃厚だった。塩と胡椒でシンプルに味付けされているだけのようなのに、どちらも豊かに感じた。そして、それが甘味とコクを引き出している。タマネギの香りはするけれど、とても滑らかでどこに入っているのかも目には見えない。

「母さんの作る南瓜のスープと全然違うよ。こんなに美味しいの初めて食べた」
そういうと、クラーラは少し困ったような顔をした。義姉の料理にケチを付けるような会話はできないと思ったのかもしれない。わずかに論点をずらして回答した。
「少し甘味のある種類を植えてみたの。この南瓜は、評判いいのよ。明日、注文してくれた人たちに届けにいくから、一緒に行かない?」

 土曜日はいつもテレビでアニメを観るから行きたくないと答えそうになったけれど、この家には衛星チャンネルの映るテレビはありそうにもなかった。リーノは頷いた。一人で待っているなんて退屈だろうし、宿題をするよりは面白いだろう。

「クラーラは南瓜を売って暮らしているの?」
彼女はその質問に笑った。
「そうしたいけれど、それだけじゃ食べられないわ。翻訳の仕事をしているの」

「だったら、もっと都会に住めばいいのに。周りに誰もいない山の中って、つまらなくない?」
「つまらなくないわ。逢いたい人には自分から逢いに行けばいいし、逢いたくない人とは逢わなくてもいいもの。それに、幸せは周りがどんなだかとは関係ないの。幸せな人はどこにいても幸せなんだと思うわ」
彼女は微笑んだが、ほんの少し寂しそうに見えた。

 次の朝、新鮮な絞りたてのミルクと、焼きたてのパン、それに手作りのジャムの朝食が待っていた。
「このミルクどうしたの?」
「この上で放牧している、ジュゼッペおじいさんが、牛乳やクリームやチーズを売ってくださるのよ。そろそろ牛が里に帰ってしまうから、そうしたら村に買いに行かなくてはいけなくなってしまうけれどね」
「パンはクラーラが焼くの?」
リーノは薪のオーブンをちらっと眺めて訊いた。彼女は頷いた。

 このパンのために、きっと彼女はリーノよりもずっと早くに起きたのだ。畑仕事をして、牛乳を取りに行き、朝食を用意する。昨夜、トイレのために起きた時に、クラーラは自室で仕事をしていた。テレビやたくさんのお店がなくても、やることがないと暇を持て余しているわけではないのがわかった。

 朝食が終わってから、クラーラは小さなリヤカーを庭の裏手の小屋から出してきた。オレンジで小人の帽子のように尖っているもの、それにクリーム色の瓢箪のように見える南瓜がまず運び込まれた。それに小さくてとても食べられないように見えるミニ南瓜は、リーノがやっと抱えられるような大きめの籠に入れられてリヤカーに載せられた。

 ゆっくりと山道を下っていく間、クラーラはリーノのかけ算の暗唱につき合ってくれた。それから、月末にクラスでハロウィーンの催しがあると話したら、子供の頃に憶えた幽霊の出てくる詩を教えてくれた。

 バス停を通り過ぎて、しばらく歩くと数軒の家があった。「待っていたのよ。あなたの南瓜はお店で買うのよりもずっと美味しいから」と話しているのが聞こえた。リーノは自分のことのように嬉しくなった。

 少し軽くなったリヤカーを牽いて、さらに歩き大きな建物の門に着いた。「ホテル・アペニーノ」だった。クラーラはほっと息をついて汗を拭くと、裏手にまわってキッチンに通じる扉の呼び鈴を押した。中からは白い上着を着た学校を卒業したばかりのような若い青年が出てきた。
「ラッジさんですか。ああ、聞いています。南瓜ですよね。運び込むの手伝いますね」

 ニキビ面の青年は、リヤカーに残っていた全ての南瓜と籠に入ったデコレーション用のミニ南瓜をキッチンに運び込んだ。クラーラが納品済のサインをもらおうとすると、青年は頭をかいた。
「困ったな。僕はまだ見習いで、サインしちゃいけないって言われていて。シェフは、ついさっき急用で出かけちゃったので……。待っていてください、オーナーを呼んできますから」
そういうと、クラーラの様子も氣に留めずに、奥へと行ってしまった。

 今までずっと穏やかだったクラーラが、ひどく慌ててそわそわする様子を見て、リーノは不思議に思った。
「クラーラ、どうしたの?」

 その声で、我に返った彼女は、リーノに切羽詰まった様子で懇願した。
「ああ、リーノ、お願い。今の人とオーナーが戻ってきたら、この受領書にサインをもらってちょうだい。私は、門の所で待っているから」
「え?」

 押し付けられた受領書とペンを持ってぽかんとしている間に、クラーラは急いでリヤカーを牽いて出て行ってしまった。しかたなく彼はキッチンの片隅で青年たちを待った。

 ほどなくして青年が、立派な服装をした背の高い紳士と一緒に戻ってきた。
「あれ? ラッジさんは?」

 リーノは進み出て受領書とペンを差し出した。
「叔母は、リヤカーと先に出ました。サインをお願いします」

 ホテル・アペニーノのオーナーらしい紳士は、じっとリーノを見つめた。
「君は、ラッジさんの甥なのかい」
「はい。リーノ・ラッジです」
「そうか。確かに似ているな」

 彼は茶色い瞳の目を細めて少し寂しげに笑ってから、受領書に書かれたクラーラの字をじっと見つめてから、丁寧にサインをした。受け取ってからぺこりと頭を下げて出て行こうとするリーノにこう言った。
「叔母さんによろしく伝えてくれ。代金は今日中に振り込ませると……あ、待ってくれ」

 内ポケットから札入れを取り出すと、50ユーロを彼の手に握らせた。それは南瓜を運んできた労力に対するチップとしてはいくらなんでも多すぎるので、リーノも青年も目を丸くした。オーナーは、しかし、それには構わず、キッチンの中を見回して、テーブルセッティングのために用意された花籠から紅い薔薇を一本抜き取ってリーノに渡した。
「ラッジさんに……いや、クラーラに渡してくれ」

 ホテルの裏門で、リヤカーにもたれかかるように立っていたクラーラの横顔は憂いに満ちていた。
「ありがとう、リーノ。ごめんね」
そういう彼女に彼は50ユーロ札と、紅い薔薇を差し出した。
「よろしくって。代金は今日中に振り込ませるって」

 クラーラは困惑した顔をした。
「だって、これだけでもう代金を超えているわ……」
「でも、代金の話をした後にこれをくれたんだよ。それとこの花も」

 彼女は、50ユーロを返そうかと迷っていたようだったが、やがてため息をついてポケットにしまうと、紅い薔薇をリヤカーに引手の脇に差して歩き出した。

「ねえ、クラーラ。あのオーナー、知っているの?」
「どうして?」
「だって、ラッジさんにと言ってから、わざわざクラーラにって言い直したよ」

 風が吹いて、クラーラの茶色い髪はゆっくりと泳いだ。彼女の灰緑の瞳は、紅い薔薇を見ていた。それから、ゆっくりとリーノの方に視線を移すと、もとのように穏やかに微笑んだ。
「ええ。昔の友達なの。とても仲がよかったのよ。私ね、昔、あのホテルで部屋係として働いていたの。彼は、その時に一緒に働いていたウェイターだったの」

 リーノは首を傾げた。
「オーナーなのにウェイター?」
「オーナーのお嬢さんと結婚したのよ。今は二人でホテルを経営しているの」
「ふ~ん。クラーラが、あの人に逢いたくないのはどうして? 嫌いになったの?」

 リーノが訊くと、クラーラは首を振った。
「いいえ。嫌いじゃないわ。でも、逢わない方がいいの。あなたが面白いゲームをしている時に、同じゲームをしたくてもできない人がじっと見ていたら楽しめないでしょう。だから……」

 彼には、叔母がなぜ突然ゲームの話をしだしたのかよくわからなかった。そういえば妹のアーダとの最後の喧嘩のきっかけはゲームだった。妹は一緒に遊んでほしかったのに、リーノは邪魔をしないでほしかった。一日にゲームをしていいと許されているのは30分だけだったから。横でぐすぐすと泣くアーダ。ゲームに集中できなかったのは、それがうるさいからではなくて、心になにかが刺さるように神経をざらつかせるからだった。

 でも、いま思いだすのは、アーダの涙に濡れた瞳で、決してセーブしてリュックサックに入れて持ってきたゲームの続きをすることではなかった。あの時、遊んでやればよかったな。僕、もう、アーダとも、パパやママとも逢えないのかな。

 心細くなってクラーラの顔を見上げると、彼女は薔薇の花を見ていた。彼は、クラーラの瞳にずっと浮かび続けている寂しそうな光がなんだかわかったような氣がした。アーダのように泣きたくても、大人は泣けないのかな。

「クラーラ、僕、アーダのこと嫌いなわけじゃないんだ。あの時はわかんなかったんだよ。ゲームを楽しめるのは今だけで、アーダと遊ぶのはいつでもできると思っていたんだ」

 彼女は微笑みながらリーノの頭を撫でた。
「わかっているわ。アーダがそれをわかるにはまだ時間がかかると思うけれど」
「僕、アーダに絵を描いて、送ってあげようかな」
「そうね。そうするといいわ。絵が描けたら、一緒に郵便局に行きましょうね」

 リーノは南瓜とクラーラの絵を描いて、アーダに送った。返事の代わりにアーダからリーノの絵が送られてきて、彼は泣いてしまった。それからすぐにリーノは家に戻ることになった。母親がナポリから帰って来たのだ。クラーラと別れる時にもリーノは泣いた。彼女も目を赤くして「家族へのクリスマスプレゼントを買うときに使いなさい」と、あの50ユーロ札をくれた。

 普通の生活に戻って忙しくしていても、家で、スーパーで、南瓜を見かけると、リーノはクラーラの悲しい瞳とホテル・アペニーノのオーナーの渡した紅い薔薇を思いだす。

「誰か他の人が幸せになったってこと」彼女はそう言った。誰かとはあのオーナーのことなんだろうか。幸せのお礼にあの花とお金と、それからたくさんの注文をクラーラにくれたんだろうか。

 ずっとクラーラの側にいて元氣づけたいと思ったけれど、そうしたらアーダが泣いちゃう。僕もママやパパが恋しくてつらい。みんな幸せになるのって難しいなあ。リーノは母親の相変わらず薄くて美味しくない南瓜のスープを食べながら考えた。

 クラーラどうしているだろう。もう、あの薔薇は枯れちゃったかな。リーノは彼女へのクリスマスプレゼントに、紅い薔薇の刺繍のついたハンカチを買おうと思った。

(初出:2013年10月 書き下ろし)
関連記事 (Category: 短編小説集・十二ヶ月の野菜)
  0 trackback
Category : 短編小説集・十二ヶ月の野菜
Tag : 小説 読み切り小説

Comment

says...
更新、お疲れ様でした。

南瓜はほっこりと煮たのが好きですけど、このスープも美味しそうですね。リーノのお母さんの南瓜は種類が違うのでしょうか、それとも調理法の違いかな。

クラーラは、晴耕雨読ってやつですね。「コルヌータ」呼ばわりは勘弁してほしいですけど、それでなければこういう生活も豊かでいいのでしょうね。
無邪気なリーノの視点で、クラーラの身に起きたドラマを間接的に描いているのが面白かったです。クラーラの視点だと赤裸々すぎただろうお話も、ほどよくオブラートにくるまれたような感じで、読後感も南瓜のように甘口でした。

クラーラにいい人が現れることと、リーノの家族が仲良く暮らせることを、お祈りします。
2014.10.11 13:30 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんばんは。

実はですね。こちらで普通に売られている南瓜は日本のものよりほっこり度が少ないのですよ。瓜とまではいきませんが、かなりあっさり系なのですね。で、もちろんいろいろな品種が売られていまして、中でもほっこり系、もしくは甘味の多いものもあります。

スープの調理法でも、日本でのパンプキンスープよりも薄まっているものが多く、うちの連れ合いなどはそれを食べつけていて「南瓜のスープはまずい」と思っていました。ブイヨンの量を減らして、生クリームやバターでコクをつけた、私にとってあたりまえのスープを出したら驚かれました。

クラーラの生活、ちょっと仙人のようですが、こういう生活を好む人はそれなりにいます。もちろん退屈と紙一重でしょうが、この手の性格の人には静かで満ち足りているんでしょうね。

日本だと略奪した人の方が悪いと陰口を叩かれることが多いですが、イタリアでは若干事情が異なるようで、「略奪された間抜けなヤツ」というのは最大の侮辱のようです。この言葉の男性形をうっかり使ったりしようものなら、流血沙汰も覚悟すべきみたいです。

こういうドラマは、起きた直後は別として、その後の人生が淡々と続く中でたまーに痛みがぶり返す、そういうものだと思うのですよ。今回書いてみたかったのは、そのずっと後の痛み、それも生々しくではなくあっさりとだったので、わざわざリーノという子供の視点を使いました。そこに注目していただけたのは嬉しいです。

クラーラの幸せと、リーノの家庭の平安(笑)を祈っていただいてありがとうございます。リーノの所はきっとこれからも波瀾万丈そう……。

コメントありがとうございました。
2014.10.11 19:49 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
最初はアルムおんじの女性版みたいな印象を持ちました。
だいぶ人当たりは良いみたいだけど。甥のリーノだからかな?と思ったりしてました。
クラーラ年齢や容姿に関する記載が大まかにしかないので勝手に想像していたのですが、オーナーの登場で一気に設定が若返りますね。そういうことか……。クラーラの喋り方まで変化しますよ。そしてやっと彼女に対する描写が出てきて、彼女が素敵な女性のイメージに固まってきます。
そして彼女の一癖ある比喩は、彼女の優しさが漏れ出て来ていたんだなと思えてきて、とても良かったです。
オーナー、どんな気持ちでクラーラに接しているんだろう?ちょっとサキには分らないですね。
彼女の幸せを願わずにおれなくなりますが、さてどんな人生が彼女を待っているんだろう。
紅い薔薇のハンカチを受け取った時の彼女の顔を想像してしまいます。

実はサキもカボチャは苦手です。甘いですからね。サキはおつまみ系の方を好みます。カボチャの煮物に箸を付けないで怒られたりしています。
でも、このお話の中、想像の世界なら美味しくいただけそうです。
2014.10.12 05:55 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2014.10.12 07:51 | | # [edit]
says...
こちらにもありがとうございます。

人物の風貌を書く所って、いつも悩みます。いかにも「これが設定です」みたいに毎回冒頭で書くのも不自然で、今回は説明しても不自然でない所を探したらかなり後半になってしまいました。掌編って難しいですね。

今回はずっとリーノ視点だけで書きたかったのですが、一カ所だけクラーラの考えていることが出てきます。(「寝取られ女」のあたりです)イタリアやイタリア語に詳しい読者だけだったら、あそこは省きたかったのですが、さすがに説明しないと、後半のオーナーの存在が「?」になること間違いないので、無理に入れました。やっぱり掌編って難しい。

オーナーがクラーラに対してどんな想いを持っているのかは、いくつもの解釈があると思います。申し訳ないことをしたと思い続けているのか、自分の過去の決断を後悔して元に戻りたいと思っているのか、それともほとんど何も考えていないのか。クラーラにもわからないと思います。

クラーラも、このまま引きずって生きるのか、新たな誰かにめぐりあえるのか、それともすっぱり忘れて一人で力強く生きていくのか、、いろいろな未来があるかと思いますが、幸せを願っていただけて、彼女も嬉しいと思います。

あ、サキさんはカボチャの甘さが苦手な方なのですね。「お菓子はご飯に合わない」ってところでしょうか。日本のカボチャは格別に甘いですからね。もしかして、リーノのお母さんのスープなら、けっこう好きだったりして……。
私は、茹でたカボチャとマヨネーズ、松の実、パセリを入れた洋風カボチャサラダも好きです。邪道? 洋酒にはよく合うように思うんですが。

コメントありがとうございました。
2014.10.12 19:08 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

ええ、冗談を笑い飛ばせない状態のときもあるかもしれませんから、これは懸命なコメント投入先だったかと思います(笑)

ありますあります。「空耳アワー」ならぬ「空目アワー」みたいなこと。
今度そういうの集めたらいいかもしれませんね。

「ロバの耳」はいつでもどうぞ〜。

コメントありがとうございました。
2014.10.12 19:11 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こういうの、かなり好きかも。はい、こういう何ともままならない中で淡々と生きている。そういう人生の物語を書くというのは私の理想です。現実には大きな事件が起こるわけでもなく……ただ人の心には少しさざ波が立ち、でもその波に対して何かができるわけでもない、それでも日々を生きている。
そしてそれを子どもの目が見つめている。物事が分かっていないようで、でもどこかで何かを感じている子供。この世代を超えた二重構造もツボです。『ニューシネマパラダイス』や『ミツバチのささやき』に通じる世界観がある物語だと思いました。
私もこういう人物たちをあちこちで作っているのですけれど、なかなかこんな風に短編で切り出せません。羨ましいなぁ。
何はともあれ、とても楽しませていただきました(*^_^*)
2014.10.13 01:14 | URL | #nLQskDKw [edit]
says...
こういう子供の頃の大人たちのよくわからない行動が
大きくなってあとで振り返ると
そういうことだったんだなって分かってきて
あわわわってなるんですよね
あわわわってなるのは私だけかもしれなくて
リーノ君は動じてないのかもですが…

イタリアでは取られた方がバカにされるんですね
日本ではNTRなんてのも人気があるのに…///
2014.10.13 08:29 | URL | #- [edit]
says...
こちらにも、ありがとうございます。

こういうの、私のデフォルトかもしれません。「何も起こっていない、もしくは、何も解決していない」短編。

いろいろな小説があって、「書くからには劇的なドラマがなくちゃ」という作者も、そういうものしか読みたくないという読者も多いと思うんですよ。何を書こうとしているか(「楽しいものを」とか「ミステリーを」とか「ゲーム的ファンタジーを」とかですね)によって、そのスタイルって変わってくると思うんですが、私が書こうとしているのはどちらかというと「現実のあたり前の人生」に近いものなのです。ごく普通の人生って、そう毎日冒険や大事件が起こるものじゃないじゃないですよね。そういう平凡な日常の中で、喜んだり悲しんだり、へこんだり浮かれたりする、そして、それについてアメリカン・ヒーローのように奇跡的な強さで立ち向かうのではなく、へこんだままだったり、しょうもない抵抗を試みるだけだったりする市井のどちらかというと弱い人びとがいますよね。そういうのを応援しつつ表現できたらいいなと思っているのです。特に、この「十二ヶ月の……」シリーズは、そういうのを目指していたりします。

今回リーノという子供視点を使ったのは、まあ、そうじゃなければ何が起こっているかを即わかってしまって、起承転結のあるストーリーにならないからなのですが、それと同時にリーノとアーダ兄妹の関係を比喩にして、オーナー(名前つけろよ!)とクラーラの関係の可能性の一つを示唆してみるという二重性を狙っていたというのもあります。でも、実際には何の設定もないんですけれど。短い話だから、これで十分かなと。

子供、「どうせ何もわからない」と断言しちゃいがちですが、私たちが子供だったときもそうだったように「確かにわかっていなかったこともあるけれど、意外に本質を理解していた」ということも多いですよね? 彩洋さんが例えば和子を使って表現しようとしている世界も、そういうことに繋がるのかなと思ったりします。そんなわけで出てきたリーノでした。お氣に召して嬉しいです。

コメントありがとうございました。
2014.10.13 19:26 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

いや、リーノも、もう少しして意味が分かったら、真っ青になるかと。
リーノの設定は小学校三年生くらいなので、クラーラは「さっぱりわからない」ぼかし方で回答しています。で、大人なら何も訊かないでもピンと来ることも子供なので「なんなんだ?」なんですよね。


NTRって調べちゃいましたよ。「寝取り」じゃなくて「寝取られ」なんですね。どんなM的ジャンルなんだ(笑)イタリアをはじめとする地中海世界じゃ絶対に流行らないと思いますv-290

コメントありがとうございました。
2014.10.13 19:34 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
読み終わって温かくなるお話でした。
人里離れたところでひっそり暮らしているクラーラはなにか人に後ろ指さされることをしたのかな?と、最初に思ったのですが、その逆ですね。
思慮深くて才女であるクラーラが、世間から離れるように暮らすのはちょっと可哀想だけど、彼女はその場所で自分なりに幸せに暮らしているようなので、それはそれでいいのかな。
まだ深いところまで分かっていないリーノの視線が純粋で、ほっこり。
きっと大切な愛情とか優しさとかを、クラーラから感じたんでしょうね。
ああ、でもやっぱりクラーラさんにはもっともっと「自分が」幸せになってもらいたいなあ・・・。
2014.10.13 23:30 | URL | #GCA3nAmE [edit]
says...
こんばんは。

そう、普通なら隠れているのは悪いことをした方なのですが、この話では逆転しています。逆上したり、騒いだりしない方が割を食ってしまうのは「なんだかなあ」ですが、意外とこういうことは実際の人生にも多いように思います。

でも、クラーラは、こういう暮らしが好きみたいです。「そっとしておいてほしい」というところでしょうか。

リーノはあまりわかっていないながらも一生懸命クラーラの味方をしようとしていて、彼女の方もそれを感じて嬉しかったと思います。もうちょっと大きくなると、わかってくると思いますけれどね。わかったときの反応なども想像してみたりすると、またなんか書けそう。

彼女が、過去の檻から上手に出られるといいんですけれどね。こういうキャラの場合はかなり難しいですよね。彼女の幸せを願っていただいてありがとうございます。

コメントありがとうございました。
2014.10.14 20:28 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんにちは。

クラーラという女性の人生において大切なものが、短いお話の子どもの純な目を通して凝縮されて伝わる、素敵なお話だと思いました。
変わり者と人から言われる女性、しかしそれは過去の出来事や思いを忘れない人生だったから、なのでしょうねえ。
都会にいれば、あるいは田舎にいても今日は洪水のように溢れる情報に触れることは可能であって、古いことはどんどん上書きされます。
しかし、ゲームをリセットしてまったく新しくはじめる、そういう器用さはクラーラにはない、そこが魅力ですね。
田舎で人が流れないところでは、その場にいれば一生つきまとう過去を抱えて生きること、それは自分から離れていった相手への未練かといえば、私は違うと感じました。
住んでいる場所に対する思いが深いから、ではないでしょうか。おいしい南瓜のスープ、その南瓜が取れる場所。黄色いコスモスやエンドウ豆の仲間のようなピンクの花が咲くところから、別れ難かったのではないかと感じたのです。

キッチンの様子は想像しながらじっくり味わわせていただきました。だいぶ時代は違いますけれど18世紀のヨーロッパの人々や暮らしのことを考える昨今、私の頭には匂い立つように蘇ります。
楽しい時間を与えてくださって、ありがとうございます。
2014.10.20 06:56 | URL | #JNrjWVGA [edit]
says...
こんばんは。

ずっとそちらでコメントができないままでごめんなさい! 近日中には、手一杯状態が終わると思いますので、お許しください。

さて、読んでいただきありがとうございます。

田舎暮らしは、おっしゃるように、情報や刺激の洪水で記憶の上書きがされることが少ないので、クラーラもまだ完全には立ち直っていないと思います。でも、去って行った恋人に固執しているというだけではなくて、単純に現在居る所で、引き続き生き続けているということなのですよね。

一年も経てば全く風景の変わってしまう都会と違って、この手のヨーロッパの田舎は、19世紀くらいとあまりかわらない生活を続けていたりします。違うのは電氣と水道と電話がある、近くまでバスが来る、服装が違うなんてことでしょうか。

とくに薪オーブンは、まだ使っている人がかなり多いのですよ。風流ですが、食事の支度一つにも手間がかかります。正にスローライフになりますね。

楽しんでいただけて嬉しいです。
コメントありがとうございました。
2014.10.20 20:13 | URL | #9yMhI49k [edit]

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:https://yaotomeyu.blog.fc2.com/tb.php/911-d20c25ce