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Posted by 八少女 夕

【小説】終焉の予感 — ニライカナイ

50000Hit記念リクエスト掌編の第四弾です。山西左紀さんからいただいたお題は「ニライカナイ」でした。そして素敵な作品も書いていただきました。ありがとうございます。

 左紀さんが書いてくださった作品: ニライカナイ

で、私の作品ですが。情けないことに「ニライカナイ」って何? という所から出発しました。なんと、沖縄にそんな伝承があったのですね。全く知りませんでした。お返しは、サキさんの小説っぽくしたいなと思ったのです。といっても私の書くものなので似ても似つかぬものになっちゃうことは始めからわかっていましたが。私の小説群の中でSFっぽいのはこれしかありません。以前書いた『終焉の予感』。あれの続きではなくて前日譚を書いてみました。「ニライカナイ」を使ったのは新しい設定ですが、キャラや設定は既に頭の中で固まっていたもの。上手く融合できたかな。

あ、現在いただいている50000Hitリクエストはこれで全て書きましたが、引き続き無期限で受け付けています。よかったらいつでもどうぞ!


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終焉の予感 — ニライカナイ

 暗い店内を、ヴィクトールは見回した。牛脂灯か。こういう地の果てには、まだ原始的なものが残っていたんだな。この街から、いや、全世界から、電灯が消えて半年が経っていた。

 半年前、直径300m程度の隕石が、海洋に浮かぶ島を直撃した。その衝撃は惑星規模の厄災を引き起こした。地震、津波、熱波による火事、粉塵による寒冷化の被害もひどかったが、人類にとって壊滅的な被害を及ぼしたのは、その衝突が引き起こした強い電磁パルスだった。全ての電子回路と半導体が損傷を受けて使えなくなった。携帯電話、コンピュータ、車、ビル、工場、交通機関、全てが麻痺した。発電所は停まり、浄水施設も機能停止した。

 各国、各大陸の政府も正常に機能しなくなった。最優先で非常用電源を用い、人類がじきに迎えるであろう次なる厄災に備えるべく手を打っているが、テレビもラジオも壊れ新聞も配達されなくなったため人びとの耳には噂話しか入ってこなかった。

 ヴィクトールは、その中ではもっとも多く情報を得ている人間の一人だった。職業はと訊かれれば「冒険家」と答えるのが常のこの男は、未開の地や密林で秘宝を見つける「探し屋」として名をあげていた。この数年間彼が取り組んでいたプロジェクトは伝説の永久エネルギー源、コードネーム《聖杯》を発見して持ち帰ることだった。

 《聖杯》は大陸を覆うほどの超エネルギーシェルターを動かすことのできる、理論的には唯一のエネルギー源で、それを狙っているのは彼の故郷であり雇い主でもある《旧大陸》だけではなかった。

 《旧大陸》《北大陸》《南大陸》《中大陸》《黒大陸》。人口爆発が、統制なくしては手に負えなくなることがはっきりした百年ほど前より、世界は五つの大陸に分かれ統括されるようになった。特別な許可証を持たない人間は、他の大陸へ渡航することすらも許されなかった。ヴィクトールがこの《南大陸》に入る許可証を得るのも大変だった。普段は許可証ぐらい自分のつてでなんとかするのだが、今回だけは依頼人経由で入手してもらう他はなかった。誰もが《聖杯》を狙っている。妨害がひどいということはすなわち、《聖杯》を手に入れられる可能性のある者として、彼がそれだけ知れ渡っているということだった。

 他大陸へ渡航する許可証の必要ない唯一の例外が、《コウモリ》と陰口を叩かれる《アキツシマ》の人びとだった。彼らは本来《旧大陸》に属する大きい群島に住んでいた。だが、半世紀ほど前にその島々を載せていた三つのプレートが崩壊し、全ての島が消滅した。生き残った一億一千万の難民を《旧大陸》だけで受け入れるのは不可能だったため、五大陸の合意の上、彼らだけは移動の自由が与えられ、望む大陸へと移住できるようになった。

 ヴィクトールの入ったこのバーの持ち主チバナは、《アキツシマ》だった。
「いらっしゃい」
チバナが、きたわね、という顔をした。ちょっと見ただけでは男か女かわからない妙に中性的な小男だ。いつも赤かピンクに近い色のものを身につけているので余計そう感じるのかもしれない。

 まっすぐに彼の前のカウンター席に座った。
「いつものテキーラを」
「あんたのためにとっておいたよ。あれも、もうなかなか手に入らなくなってね」
「工場が放棄されたのか」
「途中に電解プロセスが必要なんだって」

 チバナは氷の入っていないテキーラを彼の前に置いた。冷凍庫が動くはずはないのだから文句を言う客は居なかった。ヴィクトールもライムが入っていることに感謝しながら飲んだ。

「それで」
「来ているよ」
「本物なのか」
「どういうこと?」
「本物のアダシノ・キエなのか」
「それは、あんたがテストしてみればいいじゃない。あたしは、ここで以前に三度見ただけ。《南大陸》や《黒大陸》の連中が奪おうとしていたけれど、《北大陸》の連中が守りきっていたわ」

「護衛は」
「全滅みたいね。一人で困っている。あそこの隅よ」
チバナが目で示した奥の席をそっと見ると一人の女が寄る辺なく座っていた。ヴィクトールは思わず十字を切った。まったく場違いな女だった。密林どころか、街から一歩も出たことがないようなひ弱なタイプだ。

「あれか?」
「そうよ。見えないでしょう?」
「見えないどころか、数時間でお陀仏になっちまうんじゃないか」
「そう。肉体的なトレーニングまで手が回らなかったんでしょう」

 彼はもう少し情報を集めようとした。
「本当に一人なのか」
「当然でしょう。《北大陸》のリチャードソン総帥の秘蔵っ子で、最後の切り札よ。それが、護衛もなくあんな状態で居るんだから、本当にもう誰も残っていないのよ。でも、一人で居るのが分かるのも時間の問題ね。そうなったら、とんでもない争奪戦が始まるはずだわ」
「この世にたった一人しかいないんだからな」

 ヴィクトールの愛用の暗号解読マシーンも半年前の電磁ショックでの被害を受けた。十年以上かかけて用意したデータが全て消失し、暗号を解くのは不可能だった。それはどの「探し屋」も抱えている悩みだった。現在、暗号解読が可能なのは、外部データと電子回路を使わずに自身の脳だけで情報処理ができる特殊訓練を受けたサヴァンのみだ。アダシノ・キエの能力は、中でも群を抜いており、世界中のエージェントが欲しがっていた。彼はもう一度振り返って、店の片隅に寄る辺なく座る女を眺めた。精神的に不安定な挙動は特に見られない。人付き合いが良さそうにも見えないが。

「ところで、顔立ちから言うと、あんたと同じ《コウモリ》か?」
「さあ、どうかしら。可能性はあるわね。少なくとも遠い祖先はそうかも。名前はそうだから」
「あれは、本名なのか?」

 チバナはちらっとヴィクトールを見た。
「役所に届けられた名前という意味なら、そうなんじゃない」
「他にどんな意味があるんだ」
「帰属意識がない人間ってのはね、自分の存在そのものに違和感があるの。外側の自分と名前に嫌悪感を持ち自分だけしか知らない名前を持つことで心の平安を保とうとする者が多い。だから、あの子がアダシノ・キエ以外の本当の名前を持っていても、あたしは驚かないわ」
「あんたにも本当の名前があるのか」
「当然でしょう」

 それはなんだと訊いてみたかったが、答えないのは分かっていた。無駄な質問に使っている時間はなかった。
「このチャンスを作ってくれたあんたの狙いはなんだ」
「何を言っているのよ。あんたとあたしの仲でしょう」
「あんたが友情なんて甘い概念なんかで動くタマか」

「ふふん。分かっているでしょう。あたしにできるのは、《聖杯》がどの大陸に行くのかを正確に見極めることだけ」
「で、俺に賭けるってわけか」
「あんたが最有力なのは間違いない。でも、大穴もありえるわね。あたしは《旧大陸》と《北大陸》のどちらに行ってもいいのよ。見極めたら、そちらに行くんだから」
「たいした《コウモリ》だな」
ヴィクトールが軽蔑したように言うと、チバナは笑った。

「ニライカナイって、知っている?」
「いや。コウモリ語か?」
「イエスでもあるしノーでもあるわね。《アキツシマ》の支配民族じゃない民族の間で信じられていた場所なの。東の果て、海の底にあり、あたしたちが生まれてくる前にいたところで、死んでから帰るところ」

 彼はいつものノートブロックを取り出して、その聞いたことのない言葉を書き込んだ。ニライカナイ。
「あんたはその民族の出身なのか」
「ええ。でも、そんな区別はもう意味がないわね。わかるかしら。支配民族も被支配民族も居場所を失ったの。神々は、ニライカナイからやってきて、あたしたちに豊穣をもたらしてからまた帰って行くというけれど、かつては海と島という違いのあった双方が、今では海の底にあるの。この惑星に残された時間もわずかな今、大陸の所属も意味を失っている」

「何が言いたい」
「今のあたしはニライカナイにいるのと変わらない、死んでいるとは言わないけれど、生きる以前の状態でしょう。いくべき所に行って根を張って生きたいの。それがどこにあるのか見極めたいの」
そう言って、チバナは空になったヴィクトールのグラスをもう一度テキーラで満たした。

 ヴィクトールは立ち上がって言った。
「ようするに生き残れる場所ってことだろう。それは《旧大陸》さ。そうでなくてはならないんだ、俺にとっては。なんせ俺は《コウモリ》じゃないからな」

 店の一番奥に座っていた女は、近づいてくるヴィクトールを見て一瞬怯えた目をしたが、下唇を噛み、体を強ばらせて、まともに彼を見つめた。彼は、どっかりと彼女の前の椅子に座った。
「俺は、ヴィクトール・ベンソン。はじめまして、アダシノ・キエさん。チバナから聞いているだろう」

 キエは頷いた。
「私を《聖杯》のある神殿まで連れて行ってくれる人が居るって。あなたが《北大陸》のために働いているという証拠を見せていただけませんか」

 ヴィクトールは首を振った。
「隠してもしかたないから言うが、俺は《旧大陸》に雇われている」

 キエは眉をひそめた。
「私が協力すると思っているんですか」
「するさ」
「理由を言ってください」

 ヴィクトールはキエの瞳をじっと見つめて言った。
「あんたは一人では神殿まで辿りつくことはできない。《北大陸》のヤツでそれを助けられるヤツはいまこの辺りにはもういない。上のヤツらがそれに氣づいて、他のヤツらを送り込んでもここに到達するまで、数日から数週間かかる。その間、あんたは丸裸だ。あんた自身がよくわかっているはずだ」

 キエは眼を逸らした。彼は続けた。
「あんたのことは他の大陸のヤツら、全員が狙っている。《旧大陸》に雇われた俺以外のヤツも含めて。俺はあんたを人間的に扱い、あんたの意志を尊重するが、他のヤツがそうしてくれる可能性は低い。むしろ目的のために手段は選ばないだろう。あんたを拷問するか薬漬けにしてでも協力させようとする。いずれにしてもあんたは神殿に行くしかない。あんたが相手を出し抜いて《聖杯》を《北大陸》に持ち帰るためには、少なくとも五体満足でいなければならない。もちろん俺も簡単に渡すつもりはないが、それでも俺と行くのがあんたにとっての最良の選択だ。そうだろう」

 キエはしばらく下を向いて考えていたが、ヴィクトールのいう事がもっともだと思ったようで、頷いてからもう一度彼の顔を見た。ほとんど黒く見える瞳に強い光が灯っている。根性はありそうだ、彼は思った。

「契約条件を教えてください」
「簡単だ。俺はあんたを神殿まで連れて行く、そのために必要な全ての助力をし、あんたを守る。あんたは、ここから神殿までの間にぶつかるはずの全ての暗号を解き、神殿で《聖杯》を取り出す」

「あなたが私に危害を与えないという保証は」
「証明はできないから信じてもらうしかない。あえていうなら、こんなところで契約を持ちかけていることだ。暴力や薬物を使うなら、もうとっくに実行している。俺にはあんたと行ってもらう以外の選択肢はないし、浪費する時間もない。俺は拷問や薬には詳しくないが、人間ってものを多少はわかっている。強制したり憎みあったりするよりも、好意的な人間関係を築く方がずっとエネルギー消耗が少なく時間短縮になる。だから俺はあんたに危害を加えるよりも好意的にするんだ」

「……納得しました」
「じゃあ、念のために三つの質問で、あんたの能力をテストさせてもらう。もしあんたが詐欺師か誇大妄想狂だったと後でわかっても、やり直す時間は俺にはないんでな」
「どうぞ」

 ヴィクトールは懐からいくつかの紙片を取り出した。一枚めの紙には二つの長い文字列が書かれている。彼が携帯マシンのテスト用に用意したもので、数年の時を経て黄ばんでいた。
「この文字列は暗号化されている。下にあるのが暗号化する前の文字列で、アルゴリズムは言えない。キーを解読してほしい」

 制限時間は15分だと言おうとした時に、キエは口を開いた。
「RSA、秘密鍵はM@rga1ete2987」

 彼は動きを止めた。彼の自慢の専用マシンで二時間半かかった演算だ。彼の卒業した大学のスーパーコンピュータなら三日はかかるはずだ。
「次はこれ。前近代的なメソッドを併用してある」

 キエはじっとそれを見た。彼はメモと鉛筆を差し出したが、彼女は見ていなかった。視点が定まらなくなっている。白目が見えた。ヴィクトールが眉をひそめた。が、それは二十秒くらいのことだった。

「ヴィジュネル暗号とシーザー式の併用ね、ケチュア語の『iskay chunka hoqniyoq』は21。これをシーザー式の鍵にしたのね。元の文字列はポルトガル語で『E nem lhe digo aonde eu fui cantar』」
ありえない。俺のテストでは15時間かかったのに。

「最後は、本物の俺たちが探している古代文明の暗号だ。こっちが書いてあるのが、あんたも知っている『密林の書』の暗号ページ。それから、俺が先日奥地でみつけた礎石にあった文字列……」
そう言ってから、ヴィクトールはふと不安になった。キエの尋常ではない解読のスピードに何かのトリックがあるのではないかと疑ったのだ。どこかと秘密裡に接続していて、連絡を取りあっているのではないかと。

 紙片を見せるのをしばらくためらった。それは実際に最初の砦に行ったヴィクトールだけが持っている情報であると同時に、他の「探し屋」に対する唯一のアドバンテージだった。これを今《北大陸》に知られたら、俺にチャンスはなくなる。彼は腹の中でつぶやいた。

 彼はもう一枚の別の紙をキエに見せた。
「この文字列が鍵かどうかは、俺にはわからん。次の砦のある位置を解読できるか」

 それを見たキエは眉をひそめた。『密林の書』の方は見ようともせず口を開いた。
「正しい情報をインプットしなければ解は得られません」

「試しもしないで間違った情報だとなぜわかる」
「ニライカナイ。これは砦にあった文字列ではなくて、チバナさんに聞いた言葉でしょう」

「あいつ、あんたにもその話をしたのか?」
「いいえ。でも、私も《アキツシマ》ですから」
「そうか。すまなかった。あまりに解読が速いんで不安になったんだ。あんたは俺を信用できるか」
「わかりません。今までそういう人は一人も居ませんでした」
「そうか。それでも契約するつもりはあるか」

 キエは黒い瞳を伏せた。暗号解読よりずっと長い時間をかけていたが、やがてまた彼の目を見た。
「連れて行ってください」

 ヴィクトールは頷いて、チバナのもとに戻り、もう一つのテキーラのグラスを持って戻ってきた。グラスを重ねて彼はここ数年のもっともポピュラーな乾杯の言葉を口にした。
「《聖杯》の救いに」

 キエは同じ言葉では答えなかった。
「《聖杯》で救われるなんて信じていません」

「では、なぜ行くんだ?」
「個人的な興味です。知りたいんです」
「何を」
「これまでしてきたこと、これからすること、生まれてきたこと、生きることに価値があるのかどうか」

 彼は彼女の目を見つめ返した。
「あんたは、いや、俺たちは、きっとその答えを得るよ」

(初出:2014年10月 書き下ろし)
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Category : 小説・終焉の予感
Tag : 50000Hit 小説 読み切り小説 リクエスト キリ番リクエスト 地名系お題

Comment

says...
そうおっしゃいますが、このお話はやっぱりSFですね。
前作ではハッピーエンドになる続編を書いてほしいなどと無茶なお願いした記憶があるのですが、今回はなんと前日譚なんですね。
視点もヴィクトールに変わっていますし、彼の頭の中を覗けて面白かったです。
地の果ての町の一角にある薄暗いバー、サキは架空世界に登場するこういう雰囲気が大好きですが、チバナがとても素敵です。男なのかな?小柄で赤かピンクに近い色のものを身につけているって少し妖しげで、喋り方も雰囲気ありますし。
それに《アキツシマ》の設定、思いっきり心当たりがあります。《コウモリ》は言い得て妙ですが、ちょっと酷い言われようですね。
世界観もよりはっきりしましたし、コードネーム《聖杯》これもいいですね。
ニライカナイは不思議な言葉ですが、チバナが根を張る場所をどこに決めるのか、興味はあります。今居るここがニライカナイと変わらない、生きているのか死んでいるのかあやふやな状態というのは、チバナの正直な気持ちなんでしょうね。流浪の民の気持ちは正確には分りませんが、根が無いというのは不安なものなんだろうなと思います。
サキの書いた作品ではニナイカライを理想郷というよりも不安定な空間として描いてしまったのですが、この言葉自体にサキがそういうイメージを持っているので、なんとなく納得できます。
キエとの交渉と契約の場面、合理的に考え最適の選択を選ぶ、こういう選択場面、サキは好きですが、日常でこういうことができるかと言われると、多分不可能だと思います。普通は簡単には納得できません。そして好機を失するんですよ、多分。
暗号解読よりずっと長い時間をかけたキエの決断に乾杯です。
もちろんテキーラで!

夕さん、サキはこういうの大好きです。一般受けするのかどうかわかりませんけど。
SFってあまり受けないのかなぁ。
変なお題、受けていただいて、ありがとうございました。
2014.10.25 14:08 | URL | #0t8Ai07g [edit]
says...
更新、お疲れ様でした。

ニライカナイ、難しそうなお題でしたが、さすがに見事なさばき方です。
あのハードボイルドSFの前日譚、謎のカップルの誕生秘話ですね。
ヴィクトールはともかく、アダシノ・キエって、なんか露と消えちゃいそうな儚い名前ですね。
うっは~、日本沈没してたんですか……。本土が《アキツシマ》なら、チバナとキエの出身地は《ウルマ》ってところですかね。
普段はまったく意識していない日本の民族問題ですが、もし列島が沈没しちゃったら、そのときは出てくるのかもしれませんね。《アキツシマ》の人々、《コウモリ》と揶揄されながらもしぶとく生きていってほしいです。チバナさんもね。
それにしてもチバナさん、私のなかでは、ニューハーフのオネエキャラとして定着してしまいました。その意味でも《コウモリ》だったりして(笑)

50000ヒット記念リクエスト小説、コンプリートおめでとうございます。
みんな書くの早いなぁ。残るは私だけですよね~。目下、鋭意執筆中です。来週の水曜日には発表できる予定ですので、今しばらくお待ちください。
2014.10.25 16:04 | URL | #V5TnqLKM [edit]
says...
こんばんは。

おお、サキさんのSF認定! これは嬉しい。
SFは受けますとも、ただし、サキさんの書かれる作品のようにちゃんとSFになっていれば。それがとても難しい。

あ、「終焉の予感」憶えていてくださいましたね。あれを書いたときはほとんど設定がなかったのですが、けっこう反響があったので、あの後妄想を進めて、このくらいの設定ができています。隕石がどうこうというのは携帯コンピュータや通信やGPSが使えない、暗号解読は人力のみという話にするためでした。

チバナの設定は外見ややっていることなどはそのままですが、今回のお題をいただいて名前を変えました。沖縄にある苗字に。この人の存在は象徴的で、存在そのものが《コウモリ》です。男と女、所属、生と死、すべてが定まらないのですよね。それでもしぶとく生きていこうとする一種のしたたかさがこの人の本質です。同じ《アキツシマ》であるキエは、もっと別の問題を抱えていて、これ(最後のキエの疑問ですね)がこのシリーズのテーマになっているのですが、それにチバナの語る「ニライカナイ」を重ねあわせてみました。

《アキツシマ》の設定や、長い時が経って名前に漢字がなくなってしまった感じなど、ちょっとサキさんの小説っぽい〜と思いながら書いていました。ま、全体のできは比較しようもない初心者SFもどきですけれど。

キエの選択ですが、この人は若干破れかぶれです。人生のほとんどを利用され続けてきた人なので悲観的で、自分で切りひらくという氣概もなく、理論的に「そうかも」と思っただけで簡単に乗ってしまいました。まあ、ヴィクトールはいま語っている通りのタイプの人間なので、彼女にとってはラッキーだったかも。でも、前作のようになりますので、決して楽観的な話しではないのですが。

この話は、とても長編にできる自信がないので、こういう感じで書けるお題のリクエストが来たときの小出しになるかと思います。お氣に召してほっとしました。

素敵なリクエストとコメントありがとうございました。
2014.10.25 16:18 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

そもそも「ニライカナイ」を知らないという時点で「大丈夫か?!」だったのです。ふぅ……。
難しかったですね。

アダシノ・キエって、確かにススキ野原か柳の下かって感じですよね。なんとなく音で決めました。もはや《アキツシマ》が残っていなくて、アキツシマ語やその文字もないので、どの漢字かは役所の書類には残っていない、という設定です。たぶん本人たちでアキツシマ文字の読み書きができる人間もかなり限られているってことになっています。この人とヴィクトールまではずっと決まっていて、困ったのはヴィクトールの苗字。何も考えていなかったので、ここ数日でいろいろととっかえひっかえして決めました。

> 本土が《アキツシマ》なら、チバナとキエの出身地は《ウルマ》ってところですかね。
そうそう、そういうことです。
チバナは完璧なおねえキャラです(笑)ただし、手術はしていないくて、男性トイレに行くタイプです。
バーの経営者という所も含めて『dangerous liaison』のトミーとキャラかぶっていますが、チバナの方がしたたかで食えないやつです。トミーはもっと暖かくておせっかい。あっちは幸せだからだと思いますが。

記念リクエスト、一応いただいた分はこなしましたが、まだ「いつかはリクする予約済み」という方がいらっしゃいますし、お氣になさらずにどうぞごゆっくり。

うふふ。どんな「ウィーンの森」か楽しみにしています。
コメントありがとうございました。
2014.10.25 16:48 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
う~む。
これは重厚なSFだ。。。。
素晴らしくて思わず見入ってしまった。
聖杯などの古代遺産から、隕石で地球が危機に瀕していることなど、
設定が細かくて面白かったです。
(*^-^*)
2014.10.25 22:49 | URL | #- [edit]
says...
はい。というわけで、参加してみましたよ。

一段落ついた、と思ったでしょうが、そうはいかん(^^)

ふっふっふっ(笑)

http://crfragment.blog81.fc2.com/blog-entry-2346.html
2014.10.26 08:04 | URL | #0MyT0dLg [edit]
says...
こんばんは。

うわぁ、ありがとうございます。
SFは守備外なので、こうやって断片で出すのが精一杯なのです。
《聖杯》と暗号解読、キャラならびにストーリーは、自分で考えましたが、世界観の方はテレビドキュメンタリーで観た知識をもとにしています。隕石が落ちてきたら、人類かなりヤバいみたいです。落っこちてこないことを祈りましょう……。

コメントありがとうございました。
2014.10.26 17:49 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

地名系お題への参加ですよね? 50000Hitリクエストのコメ欄じゃないし……、そう書いていないし……。

> 一段落ついた、と思ったでしょうが、そうはいかん(^^)

え?
って、ことはこのお題で書けってことですか?
どっち?

ご連絡お待ちしています〜。

いま、ポールさん家で読んだら、やっぱり50000Hitって書いてありましたね。ということはやっぱりあのお題で書くのか……。頑張ります(^_^;)

リクエスト、ありがとうございます。
2014.10.26 17:53 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
いや、撤退しても別にかまいませんよ。

なにせ「パリ-イス」も、「ウィーン」も、「北海道」も、「ニライカナイ」もお書きになっておられますから、すでに課題は全部クリアしたということで(^_^)

それでもあえてこの題名で書くというのなら、八少女さんを尊敬いたします(^_^)

あからさますぎる挑戦状(笑)
2014.10.26 23:58 | URL | #0MyT0dLg [edit]
says...
おはようございます。

ええと、もう書いちゃいました(^_^;)

明日発表しますので、もうちょっとお待ちください。

再度のご連絡、ありがとうございました。
2014.10.27 05:28 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
ご紹介いただきました前日譚、遅くなりましたが拝読させて頂きました。

うわ~、300mの隕石が落下していたとは……。おまけに日本は半世紀前に沈没し、さらに新たな終末が忍び寄っていると……これはまた世界はえらいことになってますね(怖)

日本沈没と言えば、私がもっとも敬愛するSF作家、故・小松左京先生が考え出したモチーフですけど、お読みになりましたか? 「日本沈没」ももっとも好きなSFの一つです。

この続編と言いますか結末がどうなっていくか、いろいろと妄想が膨らんでいます。
ハッピーエンド好きですので、サキとヴィクトールは協力して《聖杯》を手にするも、《聖杯》はそれだけで単純に救いになるものではなく、結局五大陸の力を結集して当たらないと役立たないものだったので最終的には全人類が協力して……という展開を考えてしまいます。楽天的すぎますかね?
2017.04.29 10:20 | URL | #kYK71OPk [edit]
says...
こんばんは。

うわぁ、無理して読んでいただいたようで、すみません。
ありがとうございます!

この隕石による電磁パルスの問題は、とあるドキュメンタリーでシュミレートされていたもので、実際にそうなるらしいですよ。
日本沈没の話は、このストーリーとは直接関係なかったんですが、大陸間にフリーパスな人びとを作り出すためにその設定を取り入れてみました。

でも、実はかの「日本沈没」は読んでいないのです。別にSFや日本のベストセラー名作に興味がなかったわけではないのですが、読みそびれたまま二十年前から日本を離れていますのでもうなかなか読むチャンスもなく。でも「首都消失」は読んだ記憶があります。すごいですよね。ああいう作品を書けるのって。

私にはああいう作品はとても書けないし、真似しようなどという大それた野望もないのです。だからSFの長編とミステリー、それにファンタジー系の小説は手を出しません。嫌いというのではなく、好きでないと書けないし考えつかないものだと思うからなんです。

この作品は、そんな私の作品群で珍しくSFなんですが、もともとはじめから一シーンを切り取って終わりにするものとして書き出した「なんちゃってSF」で、長編にする予定は全くないです。細部を書き切る自信がないので。
私は南米の民間信仰的なものが好きなので、それを絡めた続きや結末は妄想したりしたんです。
ですから、頭の中には「どうなって」「こうなって」というイメージはありますけれど、たぶん私の頭の中だけで終わるはずです(笑)

実はこのブログの中には、そういう瞬間だけ切り取った作品、けっこうありますが、皆さんがそれぞれの結末をイメージするというのも面白いかもしれませんね。

コメントありがとうございました。

2017.04.29 16:45 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
なるほど、日本沈没により大陸間を移動していく《コウモリ》ですか……鳥とも哺乳類ともどっちつかず……《コウモリ》の設定は秀逸ですね。「日本沈没」第二部でも日本人は世界中に散らばりながらも政府機能を維持していますから、案外近いものがあるかも知れませんね。
また拙文で誠に恐縮ですが、15年前に「日本沈没」の紹介を書いてますので、よろしければお時間のある時にでもご笑覧頂ければ幸いです。
http://space.geocities.jp/lepi0628/sf/japan_sinks.htm
http://space.geocities.jp/lepi0628/sf/japan_sinks_2.htm

「首都消失」もすごい思考実験的小説ですよね。小松左京は普通では考え付かないような状況を描き切るところがすごいです。類似の設定の話で「アメリカの壁」という中編もおすすめです。

私がフィクションを考える時全世界や全人類に頭がいくのも、小松左京作品の影響が大きいようです。
やっぱり《聖杯》は地球規模のレイラインか何かと関係してて、一つの大陸で独占できるものではないということで世界規模の協調を……と理想主義的妄想継続中です(笑)
2017.05.03 02:54 | URL | #kYK71OPk [edit]
says...
こんばんは。

再びコメントをいただき恐縮です。とても嬉しいです。

紹介文拝見させていただきました。小説そのものを読んでいないのにあれこれ言うのはおこがましすぎるのですが、深く感銘を受けられたへろんさんの熱い想いが伝わってくる文章でした。
第二部は、ご本人だけで書かれたものではないのですね。そのことによる違和感などもあるのかなと思いました。

へろんさんのコメントや、ご紹介文を読んでますます思ったのですが、私が小説で表現しようとしているのはそのような大きなテーマではないですね。もちろん人類の行方や、現実の日本人のあり方などに思うことは多々ありますが、そういったテーマを自作小説で語るには、とてもではないですが知識と経験が不足しています。

私はマイクル・クライトンの小説が大好きで、あれこれ読みましたが、あの人の作品も興味深いディテールが単純に面白いだけでなく、多くの問題提起がなされている作品群だと思います。でも、同じようなものを「私も書きたい」というわけではないのですね。そういうことをすると、超絶劣化した真似事にしかならないと思うからです。「終焉の予感」は、あくまで「SKYFALL」にインスパイアされて書いた一場面だからこそ書けたものです。

私が関心を持ち、表現しているものは、例外なくすべて個人的な人間関係のことです。だから、この作品でヒロイン・キエの関心も、彼女の過去にあった人間関係と自分とヴィクトールの関係に集中しているのですよね。あの設定は、すべて彼女の孤独を読者に簡単に理解させるための舞台に過ぎません。

だから、もしまた続編にあたるものを一場面だけ書くことになっても、おそらく、全人類を救おうというようなヒロイックなストーリーにはならないと思います。そういうストーリーは、きっとへろんさんのように、そちら方面に強い関心のある方が素晴らしい作品をお書きになると思うので。

コメントありがとうございました。
2017.05.03 20:29 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。

ヒロイックなストーリー……は私も書くのは苦手ですね。昔「銀河英雄伝説」の二次創作を書いていた時も、歴史を動かすような英雄ではなくて、歴史の狭間でもがく平平凡凡な個人を書いてました。

フィクションでの問題提起は若い頃には結構こだわりましたが、最近はあんまりこだわらなくなってます。
それにどれほど大きなテーマでも、人間が登場する限りつきつめれば個人的な人間関係と無縁ではないと思います。「日本沈没」の中でも日本首相がアメリカ大統領という一個人の孤独を垣間見るシーンがあり、うそ寒い気持ちになったことがあります。

大きなテーマというのはある意味、現実の人間関係だけでは辛いことや悲しいこと、思い通りにならないことが多いので、そうした現実から読者を連れ出して慰める役目も担っていると思います。
だからこそ最終的には個人にせよ世界にせよ、希望が持てるものが良いと感じてしまいます。

ということで先日も書きました理想主義的妄想になるわけですが、さて《中大陸》あたりに舞台を移したりして勝手な妄想継続中です。再度の書き込み、すみません(^^;)
2017.05.07 14:20 | URL | #kYK71OPk [edit]
says...
こんばんは。

三たびのコメントありがとうございます。

へろんさんは、もう現在は創作はなさっていらっしゃらないのでしょうか。
お邪魔させていただいた奥様と一緒に運営なさっていらっしゃるブログでは、創作の記事はなかったように思うのですが(探し方が悪かったのでしたらごめんなさい)コメントを読ませていただく限り、かなり創作マインドが盛り上がっていらっしゃるような……。

私個人は、二次創作というものは基本的にはしません。嫌いとかそういう事ではなくて、二次創作をすると原作者の方や熱心なファンの方のお氣に召さないものを書いてしまう心配があり、そういうことを恐れながらびくびく書くのが性にあわないからです。完全オリジナルですと、ご自分の好きなようにストーリーも結末もできますから、安心して妄想をめぐらす事が出来ますよね。

だから、へろんさんが二次創作ではなくて、オリジナルのSFをお書きになったら面白いと思うんです。

もし教えていただけたら、喜んで読ませていただきにいきますよ。私はSFを書くのは苦手で、今後も発表するのは別ジャンルの作品が主になるかと思いますが、読むのはジャンルを区切って面白いものを逃したりしたくないと思っているのです。というわけで楽しみにしていますね。

コメントありがとうございました。


2017.05.07 18:56 | URL | #9yMhI49k [edit]
says...
こんばんは。
何度も申し訳ございません。

ブログはまだ始めたばかりですので、あまり内容を広げすぎてもいけないかと思い、SFや創作の話題はまだ載せていないんです。オリジナルSFは二十年ほど前にいくつかホームページに発表していました。
http://space.geocities.jp/lepi0628/sf/original_index.htm
に今も置いていますので、よろしければご笑覧頂ければ幸いです(ホームページではLepiと名乗ってました)。

二次創作は私もそんなにしないと申しますか、今まで書いたのは一遍だけです。ただただ「銀河英雄伝説」があまりに好きすぎて、その舞台を借りてオリジナルキャラを主人公にしていましたので、通常の二次創作とは少し違うかもしれませんが、当時の「銀河英雄伝説」ファンの方には好評を頂きました。
http://space.geocities.jp/lepi0628/gin/memnon_00.htm
にありますので、長いですがよろしければ・・・

うちのホームページのことばかりで誠に申し訳ございません m(_ _)m
こちらでの書き込みが続いて申し訳ないですので、何かございましたらホームページの掲示板に書き込んでいただければ幸いです。
2017.05.08 15:07 | URL | #kYK71OPk [edit]
says...
こんばんは。

SFそのものにとても弱いのと「銀河英雄伝説」はまったく存じ上げていないので、遠からずオリジナルの方を読ませていただきますね。

丁寧にお知らせいただき、ありがとうございました。
2017.05.08 21:52 | URL | #9yMhI49k [edit]

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